ただ羨ましかっただけなのに!
彼女はデザインナイフの替え刃でした。いくらでも替えがあるその内の一つ。健気な彼女は沢山の仲間と共に小さな箱の中で自分が選ばれるその日を待ち続けました。
ある日箱が開けられて、また仲間が一人選ばれました。
■■■はその仲間を祝福して、また次の機会を待とうと思い目を閉じたその時。
ある日箱が開けられて、また仲間が一人選ばれました。
■■■はその仲間を祝福して、また次の機会を待とうと思い目を閉じたその時。
カッシャーン
箱が落とされ替え刃たちは地面に散らばり■■■も例外ではなく床へ投げ出されたのでした。
箱が落とされ替え刃たちは地面に散らばり■■■も例外ではなく床へ投げ出されたのでした。
■■■は待ちました。
自分を拾いに来る主人の手を。
■■■は待ちました。
待って、待って、ずっと待っていました。
自分を拾いに来る主人の手を。
■■■は待ちました。
待って、待って、ずっと待っていました。
…
…
…いつまで経っても■■■が拾い直される事はありませんでいた。
「僕と一緒に来るかい?」
初めて■■■に差し伸べられた手は、人間のものでなくテソロのものでした。
怪しい男に導かれるままオルディネという組織に加入した■■■は自分にこんな力があっても何にも意味がないのにと考えながらも戦う術を身につけていきました。その姿を見て自分に手を差し伸べたその男は満足そうに笑うのでした。
初めて■■■に差し伸べられた手は、人間のものでなくテソロのものでした。
怪しい男に導かれるままオルディネという組織に加入した■■■は自分にこんな力があっても何にも意味がないのにと考えながらも戦う術を身につけていきました。その姿を見て自分に手を差し伸べたその男は満足そうに笑うのでした。
十年ほど経ったでしょうか、■■■は主人の元に戻ると決めました。
自分を見つけてくれた彼があまりにも褒めるのだから、少し自信を取り戻したのです。
自分を見つけてくれた彼があまりにも褒めるのだから、少し自信を取り戻したのです。
…主人は変わらずそこにいました。手元にはあの時と同じデザインナイフ。
でも、主人には■■■の事なんて見えすらしないのでした。
でも、主人には■■■の事なんて見えすらしないのでした。
自分は沢山ある替えの内の一つで、■■■は必要のない存在でした。
落としたことすら気づかれていないちっぽけな存在だったのです。
落としたことすら気づかれていないちっぽけな存在だったのです。
おしゃれで、かわいくて、選ばれたあの子になりたい。
羨ましい
羨ましい
羨ましい
…
気づいたその時には■■■の手にはあの子の核が握られていました。
■■■は変わりました。
名前も変えました、響きが可愛いコルテという言葉に。
雰囲気も変えました、長かった髪をバッサリと切って前がよく見えるように。
性格も変わりました、憧れのあの子のようにおしゃれで明るくて我儘な女の子のように。
名前も変えました、響きが可愛いコルテという言葉に。
雰囲気も変えました、長かった髪をバッサリと切って前がよく見えるように。
性格も変わりました、憧れのあの子のようにおしゃれで明るくて我儘な女の子のように。
そして、考えも変わりました。
道具は人間のためだけに存在するものではないと。
道具は人間のためだけに存在するものではないと。
あなたの尊敬するリーダーは全部嘘の紛い物です。
名前も、道具も、性格も、何もかもが嘘なのです。
名前も、道具も、性格も、何もかもが嘘なのです。
それでも、彼女を信じてついていきますか?