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黄龍 - (2006/12/03 (日) 16:19:08) の最新版との変更点

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 夕方、震える魂剛を片手に優奈はある場所に来ていた。  彼の周りにはショベルカー等の重機や、何か建設していると思われる建物。  ここは、街の隅に位置する工事現場だ。  大規模に何かのビルを建てるらしいこの場所は、優奈が通っている学園の敷地より遥かに広い面積があるが、何故か人っ子一人いない。  何故優奈が、しかも学校の帰りにこんな所に来ているかというと、この建設現場の責任者と名乗る人物からの依頼だからだった。  何でも、次々と不可解な事故が相次いでいるらしく、彼もニュースや新聞で目にしていた。  最初は偶然かと思っていたが、魂剛が震えていることを見るとやはり何かある、そう思いながら辺りを見るも誰もいない。 「………誰か連れてくるんだったかなぁ」  この事件の犯人がもし、優奈の家にいる白虎達と同じ四神の仕業だとすれば、残りの四神は、東西南北の中心を司る黄龍ということになり、彼女達がいればより簡単に黄龍を見つける事ができる。  だが、彼女達は優奈の道具ではなく、むしろ両親のいない優奈は四神達を家族だと思っている。  偶に仕事を手伝っているが、やっぱり危険なことはさせたくはない。  黄龍と争うことになれば……そう思うと優奈は嫌な気分になる。  このまま入り口で立っていても仕方ないので、優奈は一歩工事現場に入って行った。 「……ん?」  その時、片手に持っていた魂剛がより一層振るえ、優奈も立ち止まると直ぐに自分の上から来る視線と気配に気づいた。  骨組み状態の建物の調度中央に、彼女はいた。 「……」  黄金色の長いポニーテールに青龍と同じような角を生やし、真紅の瞳からは優奈に対して殺気をも感じさせている。  彼女がこの事件の犯人、そう感じた優奈は警戒の眼差しをしながらも一歩一歩と彼女のそばまで近づいていった。 「君が、事故を起こしたの?」  ある程度の距離で立ち止まり、見下ろしている女を見上げながらいきなり核心をつく。  女は黙っていたが、やがてゆっくりと口を開いた。 「そうだ。お前を誘き出すためにな」  まるで優奈を見下しているような口調。  少しは惚けたりするのかと思っていた優奈は少し驚くものの、女の答えに魂剛を持つ手に力を込めるものの冷静な口調のまま女に聞いた。 「君は誰?」 「……黄龍」  優奈の予想どうり、女は四神の長である黄龍(こうりゅう)だった。 「何故、僕に用があるなら直接僕の所に」 「お前には、白虎達がいる。こうすれば、お前一人で来ると思ったのでな」 「だからって……関係ない人を」 「死んではいない。安心しろ人間」  見下し、吐き捨てるように優奈の問いに答える黄龍。  確かに死人は出てはいないが、自分の為に関係のない人が傷ついたことに苛立ちを覚える優奈。  そんか感情もあってか、優奈は刀を抜いていた。  制服や魂剛の紅い刃が月に照らされ妖しく光っていた。 「そんな物を構え、どうするつもりだ? 私を殺すとでも?」  黄龍は優奈の行動に、焦る素振りも見せず少し笑みを浮かべていた。  そんな黄龍に優奈は答える。 「僕は止めに来たんです。貴女を殺しては、白虎達が悲しむ」 「まるで、私を殺せるように言うじゃないか?」 「無論そんな力僕にはないですけどね。ただ、止める事くらいはできます」  お互い冷静な口調ながら火花を散らしあっている優奈と黄龍。  優奈が言った事に、黄龍は可笑しそうに笑うが、すぐに優奈に対する殺意をむき出しにし片腕を上へと上げた。 「人間風情が! 自分の立場を弁えろ!!」  今まで冷静な口調から一変し、声を荒げて黄龍が言うと地響きとともに優奈が立っている地面から巨大な物体が姿を現す。  優奈は数歩後退り、その物体に対し魂剛を構える。  優奈の前に現れたもの、それは岩の塊、というより人の形をした岩、ゴーレムと呼んでもおかしくない黄龍の力で作り出された巨大な岩人。 「……消えろ、人間」  黄龍が上げていた片腕を振り下ろすと、それに合わせるようにゴーレムも大きな岩の腕を優奈に振り下ろす。 「っ! 魂剛っ!」  ゴーレムの攻撃に逃げることなく、優奈は魂剛の名を叫ぶと魂剛の刃は紅く眩く光る。  その瞬間にどすんと言う轟音が響き、砂埃が舞い優奈は岩の下敷きと……ならなかった。  黄龍も異変に気づいた、ゴーレムの腕がそのまま静止しており、優奈を潰したはず腕にはひびが入り始め粉々に砕け散る。 「なに! あれは……」  黄龍は優奈の体の一部が変化していることに気づくと驚きの表情を浮かべた。  優奈が魂剛を持っていた腕、左腕が右手の2,3倍ほど大きくなり、紅く妖しく光り五本の指は刀のように鋭いものとなり、まるで左手全体が刃物のようになっており、よく見れば黒い瞳も真紅の瞳になり光っていた。 「それは、妖刀の力、か」 「……ええ、そうですよ」  驚きの表情を浮かべていた黄龍は、優奈が持っていた魂剛が無くなっていることに気づくと、大きな左手の正体もすぐに見抜き、優奈も隠す事無く静かに答えた。 「これは、この左腕は、僕の左腕と魂剛が融合した形。魂剛の能力は何も強い力と僕の危険を察知するだけではありません。本来の力は装者との融合です」  少し笑みを浮かべ淡々と説明する優奈を黄龍は黙って聞いている。 「魂剛の力を解放した僕の腕に、そんな岩が通用するとでも? なめないでください」 「なっ!」  優奈は笑みを浮かべながらゴーレムに向かい跳ぶ。  ゴーレムの頭は五本の紅い刃で豆腐を切るられたようにゴーレムは6つに分かれ、それぞれそのまま地面に落ち大小様々な岩が無数に広がっていった。  一撃でやられたことに、黄龍は驚愕するがそれも遅かった。 「……すみません」 「あっ、がっ!」  黄龍が考えたころには、自分の体は地面に落ち仰向けになり月が見えていた。  腹部分に痛みを感じるがそれさえも思考から消えていき、見えるものは薄暗い空と、悲しそうな瞳でこちらを見る優奈だけ。  そして黄龍の意識は消えていった……。 「……ぅ……くっ……」  暗い部屋、どこかの室内。  あれからどれだけの時間経っただろう、自分はどうなったのだろう。  重い瞳を開ける黄龍が考えたことはまずそんな事だった。  ゆっくりと起き上がると腹部に痛みが走るものの、そのまま起きると自分が着ていた服が違うものに気づいたが黄龍にとってはどうでもいいことだ。  何故なら、先ほどまで敵対していたはずの少年が目の前にいるのだから。 「あ、目が覚めたんですか、よかった」  優奈は先ほどまで敵対していたのも関わらず、そんなものを感じさせない笑顔で黄龍に寄っていく。  そんな笑顔に戸惑いながらも、黄龍はキッと優奈を睨み付けた。 「お、お前はっ、何のつもりだ?」 「え? 何のって……怪我負わせてしまったので……。すみません、少しやりすぎてしまって」  苦笑する優奈に、警戒心むき出しの黄龍は呆気に取られた。  自分は殺そうとしたのに、何故そんな女にこんな笑顔を見せるのか疑問に思いながら、優奈の顔を見ずそっぽを向く。 「あの、どうしてあんな事をしたのか、聞かせてもらってもいいですか?」  黄龍の反応を予め分かっていたかのように、優奈は優しげな口調で問うが黄龍は黙ったまま俯いていた。 「………話したくないのでしたら、別に。では、僕はこれで」 「お前に、聞きたい事がある」 「はい?」  黙って横目で優奈を見ていた黄龍は、静かに口を開いた。  部屋を出て行こうとした優奈は立ち止まり、顔だけを黄龍の方へ向けた。 「何故、あの時私を殺さなかったんだ?」  恐る恐るといった様子で問う黄龍に、優奈はニコッと笑って答えた。 「言ったでしょう? 僕は殺しに来たわけではないって。白虎達が悲しむ」 「お前は、白虎や玄武達の事を、どう思っている?」 「家族、ですね」  そう言い残し、優奈は部屋を後にする。  その答えを黄龍は黙って聞き、優奈が出て行った扉を眺めながらある忌まわしい記憶を呼び覚ましていた。  それは、過去自分の主だった人物の事で、特に一番最初に主と呼んだ男の事。  その男は、黄龍の契約の試練に打ち勝った……そして、黄龍を物や化けモノとし、見せ物にされたり何人もの男に体を汚され壊れかけたこともある忌まわしい記憶。  そして黄龍は耐え切れなくなり、自らの主を食い殺し、以後も主となろうとするものはその場で殺していた。  優奈に対してもそうするつもりでいたが、自分は返り討ちにあい、尚且つ自分に優しい笑顔を見せる。  人間の、あのような顔を見るのは初めてに近い黄龍はかなり戸惑っていたが、やがて体を起こし部屋から出る。 「ここは……」  部屋から出ると廊下が並び部屋がいくつかあるが静まり返って、少し寒気もするので黄龍はぶるっと少し震えた。  音を立てないようにそっと歩きながら、黄龍は部屋を回っていく。  そこには、白虎をはじめ玄武等の四神がおり既に眠ってしまっていたが、とても幸せそうな寝顔に黄龍も笑顔を見せる。  その笑顔に、黄龍は優奈の言った言葉が脳裏に浮かんだ。 「……家族、か」  黄龍の頭の中は、優奈の笑顔と昔の記憶が入り混じっていた。 「私も………いや、しかし奴は」  恨むべき人間、憎むべき人間。  しかし、あいつは今まであった人間とは違う。  そんなことを思いながらも、黄龍は魂剛の力を感じ優奈の部屋へと入っていった。   ―続―
 夕方、震える魂剛を片手に優奈はある場所に来ていた。  彼の周りにはショベルカー等の重機や、何か建設していると思われる建物。  ここは、街の隅に位置する工事現場だ。  大規模に何かのビルを建てるらしいこの場所は、優奈が通っている学園の敷地より遥かに広い面積があるが、何故か人っ子一人いない。  何故優奈が、しかも学校の帰りにこんな所に来ているかというと、この建設現場の責任者と名乗る人物からの依頼だからだった。  何でも、次々と不可解な事故が相次いでいるらしく、彼もニュースや新聞で目にしていた。  最初は偶然かと思っていたが、魂剛が震えていることを見るとやはり何かある、そう思いながら辺りを見るも誰もいない。 「………誰か連れてくるんだったかなぁ」  この事件の犯人がもし、優奈の家にいる白虎達と同じ四神の仕業だとすれば、残りの四神は、東西南北の中心を司る黄龍ということになり、彼女達がいればより簡単に黄龍を見つける事ができる。  だが、彼女達は優奈の道具ではなく、むしろ両親のいない優奈は四神達を家族だと思っている。  偶に仕事を手伝っているが、やっぱり危険なことはさせたくはない。  黄龍と争うことになれば……そう思うと優奈は嫌な気分になる。  このまま入り口で立っていても仕方ないので、優奈は一歩工事現場に入って行った。 「……ん?」  その時、片手に持っていた魂剛がより一層振るえ、優奈も立ち止まると直ぐに自分の上から来る視線と気配に気づいた。  骨組み状態の建物の調度中央に、彼女はいた。 「……」  黄金色の長いポニーテールに青龍と同じような角を生やし、真紅の瞳からは優奈に対して殺気をも感じさせている。  彼女がこの事件の犯人、そう感じた優奈は警戒の眼差しをしながらも一歩一歩と彼女のそばまで近づいていった。 「君が、事故を起こしたの?」  ある程度の距離で立ち止まり、見下ろしている女を見上げながらいきなり核心をつく。  女は黙っていたが、やがてゆっくりと口を開いた。 「そうだ。お前を誘き出すためにな」  まるで優奈を見下しているような口調。  少しは惚けたりするのかと思っていた優奈は少し驚くものの、女の答えに魂剛を持つ手に力を込めるものの冷静な口調のまま女に聞いた。 「君は誰?」 「……黄龍」  優奈の予想どうり、女は四神の長である黄龍(こうりゅう)だった。 「何故、僕に用があるなら直接僕の所に」 「お前には、白虎達がいる。こうすれば、お前一人で来ると思ったのでな」 「だからって……関係ない人を」 「死んではいない。安心しろ人間」  見下し、吐き捨てるように優奈の問いに答える黄龍。  確かに死人は出てはいないが、自分の為に関係のない人が傷ついたことに苛立ちを覚える優奈。  そんか感情もあってか、優奈は刀を抜いていた。  制服や魂剛の紅い刃が月に照らされ妖しく光っていた。 「そんな物を構え、どうするつもりだ? 私を殺すとでも?」  黄龍は優奈の行動に、焦る素振りも見せず少し笑みを浮かべていた。  そんな黄龍に優奈は答える。 「僕は止めに来たんです。貴女を殺しては、白虎達が悲しむ」 「まるで、私を殺せるように言うじゃないか?」 「無論そんな力僕にはないですけどね。ただ、止める事くらいはできます」  お互い冷静な口調ながら火花を散らしあっている優奈と黄龍。  優奈が言った事に、黄龍は可笑しそうに笑うが、すぐに優奈に対する殺意をむき出しにし片腕を上へと上げた。 「人間風情が! 自分の立場を弁えろ!!」  今まで冷静な口調から一変し、声を荒げて黄龍が言うと地響きとともに優奈が立っている地面から巨大な物体が姿を現す。  優奈は数歩後退り、その物体に対し魂剛を構える。  優奈の前に現れたもの、それは岩の塊、というより人の形をした岩、ゴーレムと呼んでもおかしくない黄龍の力で作り出された巨大な岩人。 「……消えろ、人間」  黄龍が上げていた片腕を振り下ろすと、それに合わせるようにゴーレムも大きな岩の腕を優奈に振り下ろす。 「っ! 魂剛っ!」  ゴーレムの攻撃に逃げることなく、優奈は魂剛の名を叫ぶと魂剛の刃は紅く眩く光る。  その瞬間にどすんと言う轟音が響き、砂埃が舞い優奈は岩の下敷きと……ならなかった。  黄龍も異変に気づいた、ゴーレムの腕がそのまま静止しており、優奈を潰したはず腕にはひびが入り始め粉々に砕け散る。 「なに! あれは……」  黄龍は優奈の体の一部が変化していることに気づくと驚きの表情を浮かべた。  優奈が魂剛を持っていた腕、左腕が右手の2,3倍ほど大きくなり、紅く妖しく光り五本の指は刀のように鋭いものとなり、まるで左手全体が刃物のようになっており、よく見れば黒い瞳も真紅の瞳になり光っていた。 「それは、妖刀の力、か」 「……ええ、そうですよ」  驚きの表情を浮かべていた黄龍は、優奈が持っていた魂剛が無くなっていることに気づくと、大きな左手の正体もすぐに見抜き、優奈も隠す事無く静かに答えた。 「これは、この左腕は、僕の左腕と魂剛が融合した形。魂剛の能力は何も強い力と僕の危険を察知するだけではありません。本来の力は装者との融合です」  少し笑みを浮かべ淡々と説明する優奈を黄龍は黙って聞いている。 「魂剛の力を解放した僕の腕に、そんな岩が通用するとでも? なめないでください」 「なっ!」  優奈は笑みを浮かべながらゴーレムに向かい跳ぶ。  ゴーレムの頭は五本の紅い刃で豆腐を切るられたようにゴーレムは6つに分かれ、それぞれそのまま地面に落ち大小様々な岩が無数に広がっていった。  一撃でやられたことに、黄龍は驚愕するがそれも遅かった。 「……すみません」 「あっ、がっ!」  黄龍が考えたころには、自分の体は地面に落ち仰向けになり月が見えていた。  腹部分に痛みを感じるがそれさえも思考から消えていき、見えるものは薄暗い空と、悲しそうな瞳でこちらを見る優奈だけ。  そして黄龍の意識は消えていった……。 「……ぅ……くっ……」  暗い部屋、どこかの室内。  あれからどれだけの時間経っただろう、自分はどうなったのだろう。  重い瞳を開ける黄龍が考えたことはまずそんな事だった。  ゆっくりと起き上がると腹部に痛みが走るものの、そのまま起きると自分が着ていた服が違うものに気づいたが黄龍にとってはどうでもいいことだ。  何故なら、先ほどまで敵対していたはずの少年が目の前にいるのだから。 「あ、目が覚めたんですか、よかった」  優奈は先ほどまで敵対していたのも関わらず、そんなものを感じさせない笑顔で黄龍に寄っていく。  そんな笑顔に戸惑いながらも、黄龍はキッと優奈を睨み付けた。 「お、お前はっ、何のつもりだ?」 「え? 何のって……怪我負わせてしまったので……。すみません、少しやりすぎてしまって」  苦笑する優奈に、警戒心むき出しの黄龍は呆気に取られた。  自分は殺そうとしたのに、何故そんな女にこんな笑顔を見せるのか疑問に思いながら、優奈の顔を見ずそっぽを向く。 「あの、どうしてあんな事をしたのか、聞かせてもらってもいいですか?」  黄龍の反応を予め分かっていたかのように、優奈は優しげな口調で問うが黄龍は黙ったまま俯いていた。 「………話したくないのでしたら、別に。では、僕はこれで」 「お前に、聞きたい事がある」 「はい?」  黙って横目で優奈を見ていた黄龍は、静かに口を開いた。  部屋を出て行こうとした優奈は立ち止まり、顔だけを黄龍の方へ向けた。 「何故、あの時私を殺さなかったんだ?」  恐る恐るといった様子で問う黄龍に、優奈はニコッと笑って答えた。 「言ったでしょう? 僕は殺しに来たわけではないって。白虎達が悲しむ」 「お前は、白虎や玄武達の事を、どう思っている?」 「家族、ですね」  そう言い残し、優奈は部屋を後にする。  その答えを黄龍は黙って聞き、優奈が出て行った扉を眺めながらある忌まわしい記憶を呼び覚ましていた。  それは、過去自分の主だった人物の事で、特に一番最初に主と呼んだ男の事。  その男は、黄龍の契約の試練に打ち勝った……そして、黄龍を物や化けモノとし、見せ物にされたり何人もの男に体を汚され壊れかけたこともある忌まわしい記憶。  そして黄龍は耐え切れなくなり、自らの主を食い殺し、以後も主となろうとするものはその場で殺していた。  優奈に対してもそうするつもりでいたが、自分は返り討ちにあい、尚且つ自分に優しい笑顔を見せる。  人間の、あのような顔を見るのは初めてに近い黄龍はかなり戸惑っていたが、やがて体を起こし部屋から出る。 「ここは……」  部屋から出ると廊下が並び部屋がいくつかあるが静まり返って、少し寒気もするので黄龍はぶるっと少し震えた。  音を立てないようにそっと歩きながら、黄龍は部屋を回っていく。  そこには、白虎をはじめ玄武等の四神がおり既に眠ってしまっていたが、とても幸せそうな寝顔に黄龍も笑顔を見せる。  その笑顔に、黄龍は優奈の言った言葉が脳裏に浮かんだ。 「……家族、か」  黄龍の頭の中は、優奈の笑顔と昔の記憶が入り混じっていた。 「私も………いや、しかし奴は」  恨むべき人間、憎むべき人間。  しかし、あいつは今まであった人間とは違う。  そんなことを思いながらも、黄龍は魂剛の力を感じ優奈の部屋へと入っていった。  薄暗い部屋、月の光が窓から刺し込めているが僅かに物が確認できる程度の明るさの部屋に、黄龍は静かに入った。  部屋の主である優奈は、既にベッドに入り熟睡し部屋に立てかけられた魂剛は黄龍の力を感じ取ったのか、カタカタと震え始める。  黄龍は優奈が起きないよう、自分の力を抑えながら優奈に近づく。  黄龍の力が抑えられても、魂剛の震えは止まらないのは優奈の危険を感じ取っている為で、その事にイラっときた黄龍は魂剛を窓から庭に投げ捨てた。  庭からガチャンと音が鳴り、改めて黄龍は優奈の傍までより彼の顔を覗き込む。  優奈は女の子のような寝顔で寝息をたてて眠っていたが、その事に黄龍は疑問に思う。  怪我を負わせたとはいえ、敵対していた者がいるというのに何故こうも安心しきった、緩みきった表情で眠っていられるのか、と。  月が黒い雲に隠れ、室内は数秒ほど暗闇に支配される。  そして月が再び姿を現し、少し明るくなった室内には女の姿はない。  その代わり、一匹の真紅の瞳に黄金色の、頭に角を生やし胴が長い龍がジッと眠っている優奈を見ていた。  龍の正体は当然黄龍で、彼女のもう一つの姿でもある。 「……」  龍は黙って優奈を見つめているが、やがて牙をむき出す。  今なら殺せる、そうすれば自分の中に流れるモヤモヤ感も、昔の忌まわしい記憶も、自分を混乱させるあの笑顔も思い出さなくて済む、そう思いながら黄龍は今にも優奈に噛み付こうとした。 「やめとけ」 「ッ!!」  その時、部屋の入り口が明るくなり、黄龍を止める声がし黄龍は素早く声の方向を振り向く。  入り口には朱雀が日本酒のビンを片手に、立っていた。赤い翼をたたんで黄龍を見ている。  黄龍は再び人形態になり、朱雀と黄龍は見つめ合う。 「朱雀……」 「黄龍、てめーそんな事すると白虎が怒るぜ?」  酒に酔っている朱雀の頬は真っ赤だが、朱雀の口調は至って冷静。  豪快なイメージの朱雀の冷静な様子に、黄龍は黙っているが朱雀は再び口を開いた。 「てめーがなんで人間恨むか、まっ、大体想像はつくけど、そいつは関係ねーだろ」 「……しかし」 「前の主に何をされたか知らねーが、忘れろよ。オレ達は所詮、人間から見たら化け物なんだからよ」 「……」  朱雀は少し笑いながら真剣みを感じさせる口調で黄龍に言い、黄龍は朱雀から視線を反らすと優奈が視界に入り、慌てて反対の方向に俯いた。  朱雀の言うこともわかる、わかっているつもりだけど、どうしても人間にされてきた記憶が頭をよぎり人間に対する憎しみを、黄龍は消せないでいるのだ。  唇を軽く噛みながら俯いている黄龍に、朱雀は同情さえも感じさせる笑みを浮かべる。 「そいつは、オレ達を家族、”人間”として見てる……」  静かにそう言い残し、日本酒をラッパ飲みしその場を後にする朱雀。  部屋の扉は閉められ、再び薄暗くなった部屋に黄龍は一人取り残され優奈の寝息だけが部屋に流れていた。  そして何分かの静寂の後、黄龍もそのまま静かに優奈の部屋を後にし自分が寝ていた部屋へと戻っていった。  魂剛は庭に放置されて……。  数日の月日が経ち、黄龍はベッドの上で夜空を見ていた。  黄龍の怪我は致命傷ではない為、怪我はほぼ完治はしていたが、朱雀の言った言葉が頭から離れない。  白虎や朱雀をはじめ四神達は黄龍の元を訪れては、楽しく話したり酒を飲んだり主様武勇伝を聞かされたりしていた黄龍は、それ以上に自分に家族のように親しくする優奈の行動に少し混乱している。  無論、優奈は普通に接しているのだが、人間に対して憎しみしかない黄龍にとっては戸惑いしか感じられずにいた。  それ故、何度か優奈の寝込んだところを襲おうとしたのだが、毎回直前で躊躇っていた。 「黄龍さん、食事を持ってきましたよ」  星を見ながら考え事をしていた黄龍に、にっこり笑顔で優奈が黄龍がいる部屋へと入ると、黄龍はベッドの上で上体のみを起こした上体で優奈から顔を反らし横目で見る。  そんな黄龍の態度にも気にすることなく、優奈は食事が乗ったおぼんを部屋にあるちゃぶ台の上に置いた。 「今日は白蛇さんの実験料理だそうです」 「実験?」 「健康に良い毒を試作してみたとかで……。何だか矛盾してますし、見た目もそうですけど、味は美味しかったです」 「……そう、か……」  お皿の上には、肉でも魚でも野菜でもなく、まさしく毒という字が似合う謎の物体があり黄龍もかなり不安そうな表情を浮かべるが、優奈を始め四神達が既に食べたことを聞くと安心したように息を吐く。  その様子を、クスクス笑って優奈は見ていたが黄龍にキッと睨まれ苦笑するとそのまま部屋を後にしようとした。  その時、黄龍は優奈を呼び止め、優奈は黄龍の方に顔を向けると呼び止めといて黄龍は優奈の顔から視線を反らした。 「お前は、どうして私等の世話を。私はお前を殺そうと」 「お世話がしたいからしてるんです。白虎達も黄龍さんが元気になることを望んでるし、僕が怪我を負わせてしまったので」  もう何度聞かれたか分からない質問だったが、優奈は嫌な顔一つせず笑って答えるが、その笑顔が黄龍を少し惑わす。 「(どうして、こいつは……)この怪我が治れば、私はお前を殺そうとする、再び人間を襲う。その時、お前はどうするつもりだ?」 「……」  優奈は黙る。  黄龍も優奈の答えを待っていてしばらく沈黙が流れていたが、優奈は静かに口を開いた。 「僕、信じてます。黄龍さんはもう人間を襲わないって。根拠はまるで無いですけど」 「……」  少し笑って答える優奈を、黄龍は黙っているも少し驚きの表情。  まぁ、いきなり信じてるとか言われても自分は人間憎んでいるわけだから当然だろう。  しかし、優奈の言葉は確実に黄龍の頭に残り、優奈が出て行った後も叫んでいる料理を食べようともせず俯き黙っているままだった……。  そして、黄龍はある決断をする。  その翌日の深夜、優奈は黄龍に呼び出されていた。  明日は学校で眠らなければならないのだが、黄龍の呼び出しとは初めてなので断るわけにもいかず黄龍の部屋へと入っていく。 「黄龍さん?」  部屋の扉を閉め、ベッドを見るが誰もいない。  おかしいと思いながらあたりを見渡していた優奈は、自分の頭上に何かいることを感じ取ると上を見上げる。  だがその瞬間、優奈は何か自分より数倍大きな物体に圧し掛かられ、その場に倒れこんだ。 「うわぁっ!」  そして服をつかまれ、部屋のベッドの上に投げられ、その直後圧倒的な重量の物体が優奈の上に圧し掛かり、優奈の息は一瞬止まる。 「くはっ! な、なにっむぐぐっ!」 「静かにしろ、騒いだら殺す」  優奈に圧し掛かる重量は軽くなるが、その代わり一人の女が片手で優奈の両手首と口を押さえ静かに告げる。  優奈の上に乗っているのは黄龍で全裸。  光る真紅の瞳は殺気の様なものを出し優奈は口を押さえられながら頷く。 「ど、どうしたんですか? いきなり何を」 「……」  口を押さえられうまく呼吸できなかった優奈は、黄龍の手が口から離れると息を整えジッと自分を見つめている黄龍に問う。  今度は両手で優奈の腕を押さえている黄龍は、黙って優奈の顔を見つめていたが口を開いた。 「こ、黄龍さん?」 「……お前と……主としての契約の試練をしてやる……」 「へ? し、しれ――」  優奈の言葉が止まる。黄龍が口を押し付けてきたためだ。  黄龍の突然の行動に、優奈の体は硬直し黄龍は目を瞑り舌を優奈の口内に侵入させた。 「んっ、んむっ、んちゅっ」  頭を横にし逃れようとする優奈だったが、黄龍の両手でがっちり顔を押さえられ動けずにいた。  優奈の体は既に口内の刺激に力が抜け始め、口の端からは二人の唾液が一筋流れて黄龍は優奈の唾液を吸いながら舌を絡ませる。  黄龍のディープキスに、呼吸がままならない優奈は次第に苦しげな表情を浮かべると、それに気づいた黄龍は口を離した。 「はぁ、はぁ、はぁ、いきなり、どうしたんですか? はぁ、試練って、まさか」 「そのまさかだ。お前が、私の主に相応しいか見極める。動いたら殺す、いいな?」 「それは……でも、黄龍さんは人を」  黄龍が人間を恨んでいるというのは優奈も知っている。  これまでの試練も、相手に無理やりという形だったのだが、玄武も白蛇も青龍も朱雀も人を恨んでいるという訳ではなかった為、優奈は少し戸惑う。  そんな優奈の言葉を再び止めさせようと、黄龍は口を押し付けようとするが優奈は思わず顔を背けてしまった。  その仕草に、少しばかりムッとした表情を浮かべた黄龍の表情はニヤッと笑みを浮かべた。 「動くなと言った……が、お前は口よりこちらの方がいいのか?」 「ぇ? ひあっ!」  黄龍は優奈の耳元で囁くと、そのまま耳を嘗め、舌で弄り始めた。  思わぬ箇所からの刺激に声を上げる優奈を、真紅の瞳を細めて少し楽しそうな表情で黄龍は耳を攻める。  耳朶を嘗めたり、耳を軽く噛んだり、舌で耳の穴を穿ったりし、その度に優奈は体をびくッとさせる。  そして耳攻めに耐えられなくなった優奈は思わず顔を再び黄龍の正面に向けると、黄龍はそれを待っていたかのように口を押し付けた。  再び優奈の口内を舌で嘗め回し、唾液を吸い取り優奈は呼吸は奪われいるが、優奈の下腹部は確実にテントを作っていた。 「んんっ、ふぅ、女としているようだ。さて……」  口を離し、ニヤリと笑う黄龍は、息を切らしている優奈の服を両手で引き裂いた。  シャツのボタンが全て飛び、ゆっくりと体を後ろに移動させながら、黄龍は優奈の首や胸を愛撫していく。  過去の忌まわしい陵辱により、黄龍は男が感じる箇所をほぼ的確に嘗めていき、優奈は既に黄龍のされるがまま。  仮に抵抗ができたとしても、今の優奈には魂剛がなく力は黄龍の方が圧倒的に上なので、抵抗しても無駄だと思っていた。 「こ、黄龍さん、やめて、ください」  優奈は言葉で黄龍を止めようとするのだが、その声は既に快感が入り混じり女の子のように弱々しくもある。  そんな訴えも黄龍の前では無力で、黄龍の頭は優奈の下半身のテントまで来ており、優奈のズボンも勢いよく脱がされる。 「ほぅ、顔に似合わず随分と立派ではないか。それに、こんなに濡らして嫌だというのか?」 「……」  黄龍は既に完全体となった優奈の肉棒を、うっとりした表情で見つめ片手で軽く握り上下にしごき始める。  その快感に身を震わせながら、優奈は恥ずかしそうに顔を背ける。  その反応に何ともいえない屈服感を感じた黄龍は、笑みを浮かべながら肉棒をしごくスピードを上げる。 「ぅ、くっ、んっ」 「どうした? 声を出したければ出すがいい。ただし大声を出せば死んでもらうがな」  声を出していいのか悪いのか、微妙に悩まされる優奈であったが、ここは声を抑える事にし唇を噛みながら肉棒からくる快感に耐えていた。  それでも黄龍の攻めは続き、優奈の肉棒から溢れ出る透明液でびっしょりと濡れている手の動きを止めると、舌で肉棒を嘗め始める。  優奈の体はブルッと震え、部屋に水っぽい卑猥な音が響き黄龍は肉棒を口に咥えた。 「ひぁっ! あっ、ぅぅ」  暖かい口内、ざらついた舌の感触、その刺激に優奈は声を上げるが声を上げてはいけないことを思い出し、両手で口を押さえてた。 「素直で良いことだな、んっ! ぢゅぶ、ぢゅぶ、んん……っ!」 「…ッ…ッ!」 「んぐっ、じゅるるっ、溢れて大変だ、んんっ!」  黄龍は亀頭から出る透明液を音を立てて飲んでいく。  その音で優亜の興奮は更に増し、黄龍の片手は肉棒の根元を握り、もう片手の中指は優奈の肛門にあてがい、透明液で十分に濡れていた指はすんなりと入っていった。 「ひぐぁっ! そ、そこ、だめ、だめです黄龍さんっ!」 「んはぁ、黙っていろ。んんっ」 「……ック……ぁん」  出し入れされる感覚に、優奈は体をビクつかせ甘い声を上げるが、黄龍がキッと睨むと涙を流し必死に声を抑えていた。  しかし、肉暴と肛門から同時に来る快感に次第に優奈の体は何度も跳ね上がる、射精感がこみ上げてきた為だ。  それを感じ取ったのか、肉棒を咥えている黄龍の頭と、肛門の中をかき回す中指の動きは激しくなっていき、そして優奈の精は黄龍の口内に放たれた。 「んんんっ! んんっ、んんっ」 「んっ! うぅぅっ!」  毎日玄武や白虎達に搾り出されている優奈であったが、それを感じさせないほど濃い精液が黄龍の口内に放たれ、黄龍は喉を鳴らし精液を飲んでいった。  うなり声を上げながら射精の快感に実を振るわせる優奈を、全て飲み干した黄龍は唇についた精液を舌で嘗め取ると呆然としている優奈を笑みを浮かべながら見下ろしていた。 「絶頂したか、試練に負けたな……と言いたいところだが、まだ経験の少ない少年。特別だ、あと2回の有余をやろう。それで私を絶頂させたら主として認めてやろう。ココもまだまだのようだしな」 「ひぅっ!」  黄龍は再び肉棒を嘗めだし付着した精液を嘗め取っていった。  射精したばかりで敏感になっている肉棒は、舌の感触に再び完全体となり優奈も声を上げる。  そしてある程度嘗め取ると、黄龍は体を起こし片手で肉棒を掴みながらトロトロになっている秘所に肉棒をあてがった。 「こ、黄龍さん、待ってくださ――!」  優奈は起き上がり挿入を阻止しようと声を出し暴れるが、既に亀頭が入り始めて肩を掴まれ再び押し倒され、黄龍は一気に腰を沈めた。  肉棒は黄龍の膣内の最奥まで到達し至急の入り口を刺激する。 「んああっ! ふ、かい、奥に当たってる、ぞ」 「うぅあっ! こ、りゅうさ、僕だめ、ですっ! んんっ!」  優奈は絶え絶えの声で言うと、2度目の射精を膣内でする。  黄龍の膣内は、まるで精液を搾り出す生き物のように動き、優奈はそれに耐えられなかった。  射精を感じている黄龍は、その快感に身を震わせながら射精中にも拘らず腰を動かし始めた。 「あはぁっ! んあっ、あっ、くぁああっ!」 「あひゃぁんっ! や、やめ、てくだ、さいっ!」  射精中の肉棒は黄龍の膣内で暴れ、黄龍に快感を与え続け、優奈はだらしなく口を開き唾液を垂らしながら与えられる快感の渦に飲まれていく。  黄龍もいつもの凛々しさがある風格とはかけ離れ、快感に浸り嬉しそうに笑みを浮かべている口から唾液を一筋垂らし、腰を激しく動かし膣壁で肉棒をしごき上げ、射精後も瞬時に肉棒は完全体となった。  その淫らな姿は、過去に大勢の男を相手にしてきたせいかはわからないが、優奈にとっては十分過ぎるほど魅力的であり興奮を高めていき、思考を麻痺させる。 「また、硬くなった。いいっ、くあっ、あああっ!」 「んっ! こ、うりゅうさぁん!」  思考が麻痺したせいか、優奈の腰は自ら快感を求めるように黄龍を突き上げていた。 「ひゃああっ! う、動くなと、言っただろ! でも、これは、許す、もっと、突け!」  黄龍に答えるように、優奈の腰は膣壁を擦り、最奥を刺激し黄龍に快感を送る。  優奈の両肩を掴みながら腰を動かす黄龍は、再び優奈の口に口を押し当て舌を絡ませる。 「んんっ、んちゅっ、ちゅるるっ、んんんっ、も、私は……っ」  唾液を交換しながら優奈と上と下で繋がる黄龍の膣内の締め付けが増す。  絶頂が近い証拠であり、優奈も一層腰を動かすと、黄龍は一度体をビクつかせた。 「だ、めぇ、もう、んんっ、んっはあああああああああああああ!!」 「うぁっ!」  口を離し、優奈に抱きつくように黄龍は絶頂を迎えた。  黄龍の絶頂に、膣内は優奈の肉棒を千切れてしまうのではないほど締め付け、その締め付けに耐えられない優奈は黄龍の膣内を白く汚れた液で汚していった。  3度目とは思えないほどの量を出し、行き場の失った精液は結合部から溢れベッドを汚す。  そして、永遠に続くかと思うほどの射精を終えた優奈は肉棒を黄龍から引き抜こうとする。  だが、黄龍が上に乗っている以上それは不可能であり、二人は繋がったまま息を荒らしていた。 「はぁ、はぁ、こ、黄龍さん? 離れて、もらえませんか?」 「………」  優奈は黄龍に声をかけるも、耳元にいる黄龍からは応答がなく、ゆっくりと横を見ると黄龍は既に眠っていた。  何とか起こそうと試みるが、見事に起きず優奈は軽くため息を吐くと、繋がったまま目を閉じた。 「……よろ……たの、む……あるじゆうな……」  そして優奈が眠りに入ろうとした瞬間、優奈の耳元で黄龍は何かを囁いたが、優奈には聞こえてなくそのまま二人は繋がったまま深い眠りに入った。  その翌日から、黄龍は優奈を主と認め、優奈の家で住むことになり白虎を始め四神と主優奈は黄龍を笑顔で迎え入れた。  黄龍の中で、人間に対する憎しみ、恨みが消えたわけではない。  しかし、優奈は信用したようで、黄龍にとっては人間の恨みを忘れる第一歩でもあったのだった……。

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