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【シンゴ青年の不幸せ(?)な日々】 - (2007/07/07 (土) 16:53:57) のソース

蜘蛛、その不気味な容姿から気味悪がられていた虫。
害虫を食べる益虫ということで一応大事にはされていたが、
その毒々しく怪しい姿をした小さな虫は、殆どの人には嫌われていた。

…いつの話だ。可愛らしい小さな虫じゃないか。
今の蜘蛛は毒々しい色のままでっかくなったうえに、益ですらないんだぞ。
女の上半身がくっついて、毎晩散々俺を犯すんだぞ!
それが彼女なんだぞ!!

ここは復元資料をさらに複製し収めた、復元図書館。
そこで昆虫図鑑という資料の中にあった蜘蛛の項目を覧ながら、
青年シンゴは心の中で叫んでいた。


【シンゴ青年の不幸せ(?)な日々】

滅びの大戦と呼ばれる戦争があったのは五百年前。
その時生き残った人々は、自分達が築いてきた文明が世界を滅ぼしたことを悟り、
ありとあらゆる資料を後世に残さないため、処分してきた…はずだった。
その当時の世界人口は軽く百五十億を超えており、その分だけ膨大な量の資料が存在した。
大戦後の世界人口わずか五百万程度の人力では、全ての資料を処分することは不可能であった。
そして現代、数少ない貴重な資料は発掘され、大戦前の文明について、研究がされていた。
一部は複製され、こうして復元図書館に並べられ、誰もが覧ることができた。
シンゴがいたのは列島と呼ばれる国で初めて建てられた復元図書館。
そしてまだ列島に一つしかない復元図書館でもあった。

ここは学問の都市という別名をもつ、ヒロシマ。
最近、滅びの大戦前に一度、壊滅していたことが判明した都市だ。
滅びの大戦でも激しい戦火に呑まれ、全滅寸前に追いやられてはいたが。
そんな都市がなぜ列島初の復元図書館が建つほど復興したのか?
その理由は、この列島では人が多く住める土地が隣の街オカヤマより東にはなく、
様々な流通の中心として発展せざるをえなかった事にある。
それにこの地にいた人々の子孫は、崩壊からの立ち直りに強く、世界的にも早く復興した都市でもあった。

そんなヒロシマでシンゴは、生物学者を目指し勉強していた。
世界人口の三分の二以上を占めるのは獣人である。
彼らは大戦時に、人に動物の体と能力を加えて造られた、キメラ(合成生物)の子孫だ。
今では普通に人と共に生活し、中には夫婦になるような者までいる。
たまに社会に溶け込めず、害をなす[魔物]に身をやつす者もいるが。
そんな当たり前になった獣人を、異端視する人はいつの世にもいたのだった。
このシンゴも、程度は軽いとはいえ、そんな中の一人だ。
だがシンゴは獣人を理解したかった。
そのために、獣人に組み合わされた、動物のことを学ぼうと思い至ったのだ。

動物のことを学び調べるのに一番効果的なのは、野山にいる野生の動物を観察することである。
シンゴはその事を把握すると、早速調査をはじめた。
しかし何を焦ったかシンゴは、初心者の分際でいきなり深い山へと入っていったのだ。
その山には魔物がいて、シンゴは出会ってしまった。

木々を掻き分け、暗い山の中を突き進み動物を探すシンゴ。
足元に注意もしないため、“何も発見しない”まま、三日が過ぎていた。
いきなり開けた場所に出た。草が倒され、敷き詰められている。
何かの巣だと悟ったシンゴは、早速調べ始めた。
しかし、何かに引っ掛かったのかいきなり動けなくなった。
よく見ると何か透明な糸が体に絡み付いているのが見えた。
そしてそれは現われた。
「かかった~♪うわ、でかっ。てか人?人だっ。どっどーしよー?」
現われたのは若い蜘蛛女族だった。
世界的に男女の比率は半々だが、獣人の中には男女のどちらかが多いか、どちらかしいかない種族がいた。
シンゴの前に現われたのは、女しかいないのでそう呼ばれる種族のものだった。
こんな人里離れた場所に住む彼女が、魔物であるとすぐにシンゴは推測したが、どうも様子が変だ。
とりあえず観察してみよう。
「あ、あら素敵な…違う、美味しそうなお兄さんね。わ、私の名前はマ、マリーよ、は、初めまして。」
なんだコイツは?本当に魔物か?
己の推測に疑問を抱いたシンゴは、マリーと名乗る女をおちょくってみることにした。
「初めまして、ママリーさん。」
「違う!マリーよ!貴男は今から私に食べられることになってるの!邪魔しないで!」
…激しい反応を示してくれた。
どうやらシンゴは“食べられることになった”らしい。獲物役って事か?
そんなことを思うシンゴを余所に、マリーは自分の“役”に集中した。


「あ、貴男は今から私に食べられるの。私のご飯よ。でもその前に…」
“台詞”を語りあげるマリー。だが、次第に顔が赤くなっていくのにシンゴは気付いた。
「そ、その前に、あ、貴男にじじ人生最後の、そしてさささ最高のか、か、か、か、」
最高の蚊?何のこっちゃ。
「かかか快楽お!アナたにぷれぜントしてあぎるは!!!」
う~ん、言いたいことは伝わった。
だが緊張のあまり、声が裏返ったり噛んだりしたのはマイナスだ。
役者になるためには更なる訓練が必要だ。シンゴはその感想を彼女に伝えた。
グーパンチが帰ってきた。
「違うっ!!貴男はあたしの獲物なの!食べられるの!!
でもそれじゃ可愛そうだから最後の快楽をあたしがあげるの!!
つまりえっちするの!!!」
彼女は激昂し、叫んだ。
と思ったら見る見る顔が、いや全身が(毒々しい色の蜘蛛部分も)赤くなってゆく。
あ、倒れた。マジでなんなんだコイツは?
冷静になれたシンゴは、バッグからナイフを取り出して“糸”を切り、自由を取り戻した。
が、その場からは離れようとせず、珍妙な蜘蛛女を介抱していた。

一時間後、マリーは意識を取り戻した。
「ん…ぅぁ…?はうあぁっ!?」
勢い良く飛び起きた。良かった、元気みたいだ。
しばらくキョロキョロと周りを見ていたが、シンゴと目が合うと再び赤くなり、そして泣きだした。
「お、おい何だよ、何で泣くんだよ?」
慌てふためくシンゴ。だがマリーは泣き続ける。
「おい落ち着けって。どうしたんだよ?
あっそうだ!さっき近くで旨そうな木の実を見つけたんだ。ほら、食えよ。」
落ち着かせようと必死のシンゴ君。
マリーは木の実を受け取ると両手で可愛らしく持ち、一噛りした。
どうやら落ち着いてくれた様で、シンゴはほっとした。
「どうして…逃げないの?自由になれたのに…」
ぼそりとマリーが尋ねた。
シンゴは彼女の豹変ぶりに困惑しながら、しどろもどろに答えた。
「い、いやだってほら、女の子が目の前で目ぇ回してぶっ倒れたんだもん、ほっとけないよ。
それに、…その、傍に居てあげたいなって、思ったから。」
まぁつまりは保護欲を掻き立てられたって訳だ。
だがそんな本音を知られたら、また泣きだすか怒りだすかしそうなので、ぼかしておいた。
「で、君の方は何で一人でこんな所に?俺を喰うみたいな事言ってたけど…」
シンゴは疑問に思ったことを尋ねた。
一応魔物っぽい名乗りを上げたマリーだったが、
もはやシンゴの目には普通の女の子にしか見えていなかった。
「魔物として生きるためよ!人を食らう恐怖の存在になるつもりだったのに…!!」
吐き捨てるようにマリーは言う。
[魔物]とは人との共存を拒み、ときには人を食らう凶暴な存在だ。
だがその正体は人、獣人と何ら変わらない。
社会に絶望を抱いたものが、魔物に身をやつすからだ。
このマリーもそうなるためにこの山に入ったらしい。
では彼女が絶望した理由とは一体何か?
それを聞いてあげる事によって彼女を理解し、癒す事ができる。
そしてそれはこの若い娘を助け、社会に連れ戻すためにもなる。
シンゴはそう考え、実行した。そして後悔した。

マリーには最近まで彼氏がいた。ラブラブだったらしい。
だが一週間前、突然別れを突き付けられた。有無を言わさぬ勢いで。
マリーは絶望し、四日間も泣き続けた。
そして今から三日前、奇しくもシンゴが入山した日と同じ日に、
マリーは魔物への道を歩むためにこの山に入山したのだった。
シンゴに目眩と頭痛とが襲い掛かる。
そんなしょーもない理由で魔物になられたら、今頃世界は魔物だらけになっている。
シンゴはこの娘に説教することにした。

「おぜうさん、ちよつとここにお座りなさい。」
不気味な口調でマリーに語りだす。
「あんたなぁ、いくら何でもそれはあんまりじゃないか?
あんたがどんな恋愛してたとか、彼氏がどんな奴かは知らないけれど、
一度の失恋で社会に牙向けるのは、短絡的過ぎるとは思わねーか?」
シンゴの優しかった態度が急変したため、マリーはびっくりしている。
シンゴはお構いなしに続けた。
「確かに恋人に一方的に別れられたのは辛いだろうさ。解らんではないよ?
でもその程度だけで魔物目指すってのは、あまりにも情けないよ。
世界の半分は男なんだからさ、辛さをバネにしてもっといい男を見つけるよう頑張ってみなよ。
あんた可愛いんだから男なんか簡単にできると思うよ、俺は。」
言っててシンゴは気付いた、彼女の容姿に。…今更である。
臀部には巨大な蜘蛛の腹があり境目の腰からは蠢く八本の足がのびているが、
腰から上の人部分は彼の言う通り、可愛らしいと言う印象が持てる。
卵形の顔にクリッとした目、外側に撥ねる栗色のショートヘアー。
健康的な色の肌をした体は引き締まっていたが、タンクトップに隠れた胸は大きく盛り上がっていた。
今更その容姿に気付いたシンゴは、固まってしまっていた。
何を隠そうこのシンゴ、生まれてこの方22年勉強一筋できており、女性経験など一切無し。
女友達は何人かいるが、皆(種族的な理由で)お世辞にも綺麗とは言えない容姿をしていたので、
普通の友達としてしか付き合っていなかったのだ。
だが今彼の目の前にいる女の子は、明らかに美人といえる。頭の回路が何本か切れてはいそうだが…
そのためにシンゴは極度に緊張してしまい、動けなくなったのだ。
一方マリーはというと、シンゴの放つ正論のコンボにより、沈んでいた。
最後の誉めことば(?)を聞き逃すほど。

その時だった。
「うわぁぁぁぁぁぁ!?」
「オーホホホホホホ!!」
近くから、男性の悲鳴と女性の不気味な高笑いが聞こえた。
何事かと思った二人は、声のした方へ行ってみることにした。
極力音を立てないように、ゆっくり近づいてゆくと、
先程の悲鳴と高笑いの続きと共に、グチャッグチャッという水音が聞こえてくる。
そして二人は見た。
そこにいたのはマリーと同じ蜘蛛女と、恐らく彼女の糸によって縛られている、犬人族の男だった。
そこで繰り広げられていたのは、魔物が獲物を捕食する光景だった。
「ぐぁぁぁぁ…や、やめ、ひぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「ウフフフフ、い・や。久々の獲物だもの、食べる前にしっかり楽しませて。」
悲痛な声を上げる男とは対照的に、蜘蛛女は嬉しそうに言う。
蜘蛛女は腰を何度も男の腰に叩きつけ、その度にグジュッズチュッと粘ついた音を発している。
シンゴは思い出した。魔物は捕らえた獲物が異性だった場合、性交を求める事があるということを。
独りで生きているゆえの淋しさを癒すためとか、マリーの言ったように獲物への情けのような理由が言われているが、
個人個人理由は違うために、統一の理由というものは解っていない。
そんな事を考えているうちに、蜘蛛女は止めへと移っていった。

「うふふ、いっぱい出してくれてありがとう。
でももう終わりにしてあげるわ。」
蜘蛛女はそう言うと男を地面に寝かせ、騎乗位の体勢に入った。
八本の足がしっかりと蜘蛛女の体を固定した、次の瞬間
ジュガガガガガ!
人には不可能な速さで腰を振りだした。あまりの速さに蜘蛛女がダブって見える。
「ひぎっっぐがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?あぎィィィィィィィィィィィィ!!」
一際大きな悲鳴が上がる。
凄まじい勢いで精を絞られているのだろう、男の顔が、見る見る土気色になっていく。
「あぃっ、がひっ、ぐあ、ぁぁ、…が、か、、…」
五分も経たぬ間に、男は息絶えてしまった。
「フウッ、なかなか良かったわ。じゃあ次はメインディッシュをいただくわね。」
蜘蛛女はそう言うと男の亡骸を抱き起こし、肩に噛み付いた。
しばらくすると、男の体が萎みだした。
蜘蛛女の牙から注入される溶解毒が男の体を溶かし、溶けた肉汁を蜘蛛女が啜っていたのだ。
その光景を見た途端、それまでの性交を覗いて興奮していた二人を、とてつもない恐怖が襲った。
二人は食事中の蜘蛛女に気付かれぬよう、息を殺し音を立てず、その場から離れた。
蜘蛛女のテリトリーから離れたら今度は、文字通り転がるように山から駈け下りたのだった。

一時間後、山の裾野に息を切らせた二人が出てきた。
恐怖による涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃになっている。
シンゴは、遠くに見える街が視界に入ると安心したのか、その場に倒れこんだ。
一方、マリーはパニック状態が継続していた。
「ちょっとお兄さん何寝てんの!?は、早く逃げないと!!」
お兄さんと呼ばれ、シンゴは思い出した。
まだ名乗ってなかった。
その事がきっかけで、緊張の緩んでいたシンゴは笑いだした。
「な、何が可笑しいのよ?笑ってる場合じゃないでしょう!!早く逃げないと食べられちゃうんだよ!?」
パニック継続中のマリー。
彼女はおかしなことを言っている。さっき山で会ったとき、シンゴを食うと言ったのはどこの誰か?
その事がシンゴをさらに笑いへと誘う。
その態度に腹を立てたマリーがシンゴに殴りかかった。
そのまましばらく笑う男と混乱し怒り狂う蜘蛛女との取っ組み合いが続いた。

数分後…
ようやく落ち着きを取り戻したらしく、二人とも野原に寝転がっていた。
「ここはヒロシマの街に近い。“あいつ”もここまでは追って来ないだろう。
それと今更だけど、俺の名前はシンゴっていうんだ。よろしくな。」
とりあえず現状説明と、簡単な自己紹介をした。
「はぁ…」
マリーは元気がない。彼女はシンゴの言った、“あいつ”の事を思い出していた。
(あれがあたしがなろうとしていたもの、魔物。あんな、恐ろしい…)
人を食うことがどれだけ恐ろしいことか。
深く考えず魔物を目指していた彼女へのショックは大きい。そして…
(最後の快楽の搾精って、あんなに凄くて激しいんだ…)
実はまだ未経験というこのマリー、自分がシンゴに対してやると宣言したことが、
どんなことか想像もしていなかったために、先程とは違うショックも受けていた。
そんな事を考えていたら、体の奥が火照ってくるのにマリーは気付いた。
性欲が高まってきている。
そしてすぐ側には獲物…もとい、シンゴがいた。

「あ、あの、シンゴさん。」
マリーは思わず声をかけた。
「な、何?てかさん付けなんてしないでシンゴでいいよ。
みんなそう呼ぶし、なんかむず痒いし。」
いきなり慣れない呼び方をされたので、シンゴは少し照れ顔で答えた。
その顔を見たマリーは一層興奮が高まる。
「あっあのあの!今からその、あの、…」
どもるマリー。その顔が赤いことに気付いたシンゴは、嫌な予感がした。
「い、今からえっちしませんか!?ていうかして下さい!!」
予感的中。さっきの“アレ”を思い出して興奮しやがったか。そしてそのまま目ぇ回してバタンキュー。
シンゴは勝手にそんなシナリオを描いていたが…
「だ、ダメですか?」
彼女は餌をねだる子猫の目でシンゴを見つめ続けていた。
シンゴはどうやら本気だということを悟ると、跳ね起き逃げ出した。
「あ!待って逃げないで、んえいっ!」
マリーは蜘蛛腹の先にある糸疣から、逃げるシンゴに向けて粘糸を飛ばした。
糸はシンゴに絡み付き、動きを封じた。先ほど見た蜘蛛女に捕らえられた犬人族の男の様に。
「何で逃げるんですか!?」
シンゴの所にきたマリーは、開口一番怒鳴った。
「逃げるよ!てか止めろっ来るな!食べないでくれ!!」
犬人と自分を被らせてしまったシンゴは、恐怖に駆られ命乞いをする。
「シンゴさんを食べたりなんかしません!あんな恐ろしい事、あたしできません!!」
マリーは叫ぶ。自分に魔物は無理だと言うように。
「はへ?じ、じゃあ何で?」
間抜けな声を上げてシンゴは問う。状況が掴めていないようだ。
「その、シンゴさんと、エッチがしたいんです。」
シンゴはやっと理解し、そして慌てた。
「い、いや僕達今日会ったばかりじゃないデスカ。
恋人でもないのに突然そんな事言われても…」
もともとオクテなシンゴだ、彼らしい反応を見せる。
しかし彼は、致命的なことを言ったことに気付かないでいた。
「じゃああたし、シンゴさんの恋人になります!恋人だったらいくらシても大丈夫ですよね!」
その僅かな隙を突くように、マリーは言った。呻くシンゴ。
「いやいやいや!そんなまだ会って半日しか経ってないのに――」
未だ無駄な抵抗を試みるシンゴであったが、
「抵抗しても無駄です、シンゴさんはあたしに捕まってるんです。
おとなしくあたしとエッチして下さい。てゆーかもう犯します!」
そう、彼女の糸に捕まった時点で、既にシンゴには選択権がなかったのだ。
「ちょ、ままままて、おちつんむぅーー!!??」
しつこく無駄な抵抗を続けようとするシンゴの口を、マリーの唇が塞いだ。
そのままマリーの舌がシンゴの口腔に侵入する。
初めて故に舌を不器用にしか動かせないでいたが、興奮を高めるには十分であった。
「ぷはぁっ、はぁっはぁっはふぅっ。シンゴさん、お願いです、彼女にしてください。」

強引に犯す宣言をしておきながら、彼女にしてくれとねだるマリー。
初な彼女は、体だけでなく心でも繋がりたい、そう言っているようだ。
「でっでもっ!」
未だ踏ん切りのつかないシンゴ。てめぇオクテにも程があるぞこの野郎。
「お願いします!!」
マリーは遂にクリンチにでた。シンゴの肩に顔を乗せるようにして抱きつく。
「…分かった!彼女にする!」
遂にシンゴが折れた。
マリーは目に涙を溜めて喜び、再び口を合わせて初なディープキスをした。
合わせて股間の方では、足の鋭い爪で糸と共にシンゴの衣服を切り裂いてゆく。
そこから戦闘態勢に入ったシンゴのムスコが飛び出した。それに自分の性器を押しつけるマリー。
最初のキスのときから既に濡れていたらしく、マリーから出た粘液がシンゴのムスコにかかる。
そのまま粘液を擦り込むかのように腰を前後させはじめるマリー。
「んぅっ…!」
慣れない刺激に呻くシンゴ。
自分を感じてくれていると感じたマリーは、一層腰の振りを激しくした。
青空の下の野原に、グチュッヌチュッという粘ついた音が響く。
「んぐっ!!」
マリーと口を合わせたまま、シンゴは達した。
粘つく白濁液が、切り裂かれていない衣服に撃ちだされる。
「イっちゃいましたね…良かったですか?」
口を放し、尋ねるマリー。
「あ、ああ、良かった、よ…」
射精の余韻に浸りながら、答えるシンゴ。
「今度はあたしが気持ち良くなる番ですね。」
マリーはそう言うと、未だ萎えないシンゴのペニスを掴み、秘裂にあてがうと、そのままゆっくり飲み込みはじめた。
「うぁぁっ、き、きつい…」
「ウッ、い、痛っ、ぐっ、」
初めての快感に悶える男の声と、初めての交わりによる激痛に苦しむ女の声があがる。
「マ、マリー、辛いのか?」
苦しそうな彼女の声を聞き、心配するシンゴ。
「だ、大丈夫、です。」
本当は物凄く辛いが、彼を心配させたくないマリーは、精一杯強がる。
そして遂に、シンゴのペニスは完全にマリーの秘裂に飲み込まれた。
二人とも動かず、その感触を確かめ合う。
そしてゆっくりと、マリーの方から動き始めた。
「んっ、あうっ、し、シンゴさん、うあっ、シンゴさん!」
うなされたように男の名を呼ぶマリー。
「マリー、いいよ、うぁぁ!」
そんな彼女に合わせるかのように、悶えるシンゴ。
そして二人は暴走した。
激しく腰を叩きつけ始めるマリーと、それに合わせるように腰を突き上げるシンゴ。
二人はお互いを求め合い、暴れた。激しい粘水音が辺りに響く。
「シンゴさんシンゴさんシンゴさんっ!ぁああああああああっ!!」
「マリー、まりぃぃぃぃぃぁぁぁあああっ!!」
マリーは一度目、シンゴは二度目の絶頂をむかえ、二人は折り重なるように倒れ込んだ。
荒く息をつく音が聞こえる。
「シンゴさん、もう一回いいですか?」
やっと落ち着いてきたとき、マリーはこう切り出した。
「はひっ!?もっかい!?た、体力的に無理なんじゃないかなぁ!?」
慌ててシンゴは言う。山下りダッシュの後の取っ組み合いをはさんで2連戦。
ちょっと、いやかなり厳しいものがある。
だがマリーは止まらない。
「お願いします、後一回だけ…」
そう言うと、シンゴに飛び掛かった。
「いや待ったマリーストップちょい、アッー!」
その後、連続で3連戦が行なわれたのだった。
「アッー!」

ここは復元図書館入り口。
シンゴは彼女を待っていた。
「ゴメーン、待った?」
現われたのはマリーだ。あれから二人は付き合っていた。
それどころか同棲まで始めている。
「遅いぞ、何分待たせるんだよ。」
今日は週に一度のデートの日。
家では毎日顔を合わせてはいるが、シンゴは相変わらず動物の研究を続けている。
そのため週に一度だけ、息抜きのためにこういう日を設けている。
「んで、今日はどこ行こうか?」
「今日はお天気がいいから、郊外にピクニックにいこうよ!お弁当用意したし!」
二人は幸せそうに歩きだしたのだった。

辿り着いた野原は、二人が初めて体を合わせたあの野原であり、
シンゴはその事に気付いて興奮したマリーにまたしても襲われたのだった。

HAPPYEND.......?