~大金像~ ××××「(霧深き山頂に建つ古めかしい小屋にて、棚に置かれてある茶碗を手に取る)」 ピキ……(男の手の内にある古めかしい茶碗が、自然に割れた) ××××「割れた…か。(割れた大きな破片を摘み、すくっと立ち上がり小屋を出る)」 ××××→アキナガ「さらばだ杏柳國(ありゅうこく)、天寿を全うせしモノよ…。新たな天命は生ける者の人寿の宝…それらが引き継ぐだろう。(霧立つ山道を淡々とした足運びで行く)」 アキナガ「朝日に照らされる若桜…見事なものだ。月に照らされれば…それ相当の価値があるな。今宵、再び足を運んでもみるか。そう思いはしないかね、KX-2。(道中にそびえ立っていた桜の木を見上げながらありもしない背後に問いかける)」 KX-2「ビィヨワァ…ッ!(何処からともなく、烏の羽と共に現れる)」 アキナガ「卿の感情はとうに死んだものだとばかり思っていたが、その認識は改める必要がありそうだな。」 KX-2「……。(無言)」 アキナガ「もう一度卿を雇うことにしよう。なに、次は茶菓子でも持成してやろう。」 KX-2「……。(首を横へ振る)」 アキナガ「……では契約成立ということで。ふ、ふふっ…結構結構。(再び歩み出す)」 アキナガ「(ふと立ち止まり、霧の中…微かに見える青空に手を伸ばす)潤してくれたまえ。杏柳國の代わりにね…。」 アキナガ「人の奥底に潜むモノ…これより私が卿らの主だ。(そして二人は霧の中へと消えていく)」