新潮文庫、1967年
日本で最も読まれてきたチェーホフの翻訳だと思われる。
歴史を感じる翻訳だが、上演のために小説家でもあった神西氏によって変更された表現が評価されている。
ただし、湯浅氏などが指摘していたように、原文を逸脱している部分があることは否定できない。
p.32:ガーエフ「そう、だがこの屋敷も、借金のカタに売られてしまう。妙な話だが、仕方がない……」
→原文には(仕方がない)というガーエフが現状を認識している台詞はない。
→この訳文ではガーエフの心境がミスリードされてしまう
p.79:フィールス「…毎にち封蝋を飲んでいるが、これで二十六年か…」
→原文では20年とちょっとであり、26年という数字は用いられていない。
解説について(池田健太郎)
最終更新:2009年10月25日 17:42