Московский Художественный театр в русской театральной критике. 1898-1905
М., АРТ, 2005.
【解説】
モスクワ芸術座の公演に対する批評を書籍化したもの。シーズンごとの傾向なども解説が加えられている。
全3巻の予定で現在は2巻まで出版されている。
С.342-344:Сезон 1903-1904
初演の時は
演出家が明示されておらず、1928年のパンフレットで初めて演出家の名前が記述された。
当時、チェーホフには既にペシミスト、黄昏の作家といった印象が既に社会的に植え付けられており
『桜の園』もそうした扱いを受けた。
再評価がなされるようになったのは、彼の書簡での言葉が知られてからである。
→1904年の『桜の園』は、同じシーズンの新作だった『ユリウスシーザー』(シェイクスピア)に比べて評判は良くなかった。
劇評を見ても、そのほとんどは『ユリウスシーザー』が占めている。
С.375-377:П.К(П.С. Коган) Театр и музыка.
"Курьер", М., 1904 1/19.
桜の園の貴族の没落という題材は、決して新しいものではなく、これまで何度も描かれてきた。
ロパーヒンは強く冷淡な人物で、かつて台所にも入れなかった農奴の末裔である。
その彼がかつての住人を追い出していく。
ラネーフスカヤはチェーホフの描いた女性の中でも興味深い人物だ。…この女性像を作り出したのが作者か女優(オリガ)かと、区別することは不可能に思われる。感傷的で、泣いていたのかと思えば、笑いだし、喜び始める。
ラネーフスカヤの他にも特徴的な人物がいる。それは彼女の兄ガーエフである。
作者がシルエットと外見についてしか残していないこの人物は、スタニスラフスキーによって見事に新しく生まれ変わっていた。
この戯曲の結論はどこにあるのだろうか。それは学生(トロフィーモフ)の台詞にある。
彼はロパーヒンが差し出す金を拒否する。誇り高き自由によって。
ロパーヒンとワーリャは、決して結びつくことなく、いつも天気の話ばかりしている。
С.378:Пэк(В.А.Ашкинази). Кстати
"Новости дня", М., 1904 1/20.
『桜の園』にはチェーホフとモスクワ芸術座という2人の作者が居る。
ラネーフスカヤはチェーホフとクニッペルが作り上げた。
ガーエフはチェーホフよりもスタニスラフスキーの方が強い。
С.379-383:Н.Николаев. У худозественников.
"Театр и искусство", СПб., 1904 №9.
ロパーヒンは合理的なエゴイズムを具現化したような人物だ。
本質的にはラネーフスカヤも自分のことしか考えていないエゴイストである。
ワーリャはロパーヒンの醜い(уродливый)考えと対比され…
クニッペルの演じるラネーフスカヤに対する高評価と各役者へのコメントが続く。
С.397-400:Чацкий(Д.В.Философов). Театральное эхо.
"Петербургская газета", 1904 4/3.
前半はチェーホフ劇の特徴について(始まりと終わりの欠けた、事件のない,etc)
『桜の園』に彼(チェーホフ)は、ガーエフの領地を買い、桜の園を切り倒す馬鹿げた愚かな商人ロパーヒンを登場させた。
С.400-402:К.Арабажин
"Новости и Биржевая газета", СПб., 1904 4/3.
(この批評はこれまでの批評とは趣きが違い、非常に興味深い。)
チェーホフの登場人物は皆誠実であり、苦しんでいる。これはゴーリキーの野蛮な略奪者に対するアンチテーゼである。
また、トロフィーモフに対しても理論武装したといったような厳しい意見が並んでいる。
それに対して、ロパーヒンを新しい光と評価。彼はチェーホフの富農である。無慈悲で野蛮な富農などでは無い。
確かに彼は桜の園を切り倒したが、それは彼が悪いわけではない。貴族達が彼の忠告に耳を傾けなかったためだ。
(この批評の注:C.564、に筆者とチェーホフの間の興味深いやり取りが書かれている。)
彼はロパーヒンがラネーフスカヤに恋をしていたのかという質問をしている。チェーホフの彼に対する答えは、「彼は愛していない」というものだった。これはあまり知られていない。
С.402-405:Юр. Беляев. Театр и музыка.
"Новое время", СПб., 1904 4/3.
ガーエフを演じるスタニスラフスキーが特に素晴らしい。
彼は喜劇役者(悲劇ではなく)...
(
スタニスラフスキー自身に対して、喜劇的な役者という批評)
С.411-415:В.П. Преображенский
"Семья", М., 1904, №5.
クニッペルとスタニスラフスキーに対する賞賛。
最終更新:2009年01月06日 17:53