0.10mol/Lのヨウ化カリウム水溶液20mLを加えたところ、ビーカー内の溶液が褐色になった。この溶液に0.10mol/Lのチオ硫酸ナトリウム水溶液を滴下すると、溶液の色が薄くなった。ここで、指示薬として少量のデンプン水溶液を加え、チオ硫酸ナトリウム水溶液の滴下をさらに続けると、合計12.0mL滴下したところで溶液の色が青色から無色に変化した。なお、チオ硫酸ナトリウムNa2S2O3は還元剤であり、水溶液中で酸化還元前後において無色である。この実験で用いた過酸化水素水のモル濃度を有効数字2桁で求めよ。」

 

Cmol/L, 10mLH2O2と反応したKIの体積をVmL(加えたKI水溶液は過剰であるからVmL<20mLとすると、KIの還元反応についての反応量は

 

2KI

I2

+2K+

+2e-

反応量

-0.1Vmmol

 

+0.05Vmmol

 

+0.1mol/L×VmL×1

 

1molあたりの酸化剤(+)、還元剤(-)に受け渡しされるe-の物質量を価数Zとして扱う。

酸化剤:H2O2+2H++2e-2H2O

還元剤:2I-I2+2e-

H2O2が受け取るe-の物質量=Cmol/L×10mL×2

(+) --------------------

H2O2 Cmol/L (Z=2)

(-) ---------------------------

KI 0.10mol/L (Z=1)

KIが出すe-の物質量=0.1mol/L×VmL×1

過不足のない酸化還元反応では、受け渡しされる電子数が等しい。つまり、酸化剤と還元剤の物質量にそれぞれの価数を掛けた値は一定である。

これを公式として示せば、ZCV=ZCV’(C, Vは濃度と体積で、右辺と左辺は酸化剤と還元剤のいずれでもよい)

したがって、Cmol/L×10mL×2=0.1mol/L×VmL×1

 

生成したI2Na2S2O3の価数はそれぞれ21である

酸化剤:I2+2e-2I-

還元剤:S2O32- S4O62-+2e-

I2るe-物質量=0.05Vmmol×2

(+) --------------------

I2 0.05Vmmol (Z=2)

(-) --------------------

Na2S2O3 0.10mol/L (Z=1)

Na2S2O3e-物質量=0.1mol/L×12mL×1

0.05Vmmol×2=0.1mol/L×12mL×1よりV=12mLを求め、上で導出したCVについての関係式に代入すればCは求まる。しかし、”I2が受け取るe-の物質量”=KIが出すe-の物質量”であるから、”H2O2が受け取るe-の物質量”=Na2S2O3が出すe-の物質量”なので、

Cmol/L×10mL×2=0.1mol/L×12mL×1

よって、C=6.0×10-2mol/L

最終更新:2015年03月05日 00:38