「第一話/明日葉姉妹の朝」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

第一話/明日葉姉妹の朝」(2008/04/02 (水) 02:01:38) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

 目覚まし時計が、アラームを鳴らし始めた。大きなニワトリの形をした時計は、耳障りな音をわめき散らす。  布団から、手が伸びてきた。そっと時計を掴むと、 「うるっせぇっ!!!!!!!!」  思いっきり壁に叩き付けた。ニワトリは沈黙。部品が床に散らばり、部屋は再び静かになった。  と、今度は廊下を歩く音が聞こえる。部屋のドアが開いた。 「お姉ちゃん!? また目覚まし壊したでしょ!!」  明日葉緑(ミドリ)は開口一番、ベッドの上で布団にくるまる姉に向かって怒鳴った。姉は布団から顔を出し、眠そうに言う。 「止めたんだよー」 「これは壊したって言うの!!!!」 「壊れたんだよ。最近の目覚ましは脆くていけないね」 「どっちでもいいから、起きなさいよ!!」 「今日は創立記念日で休みでしょー」 「毎週毎週創立記念日な学校があるかぁ!!」  ミドリは布団をひっぺがすと、姉の頬を掴んだ。 「いひゃい、いひゃいれふ」 「起きないと、遅刻だよ」 「あい。おきまふ」  明日葉縁(ユカリ)はそう言うと、大きく伸びをした。 「今日のご飯はなにー」 「アジの開きとお味噌汁」 「えー、パスタがいいー」 「じゃあ夜はパスタね」 「わーい、だからミドちゃん好きよ」 「……さっさと着替えて、降りてきてね」 「了解しましたー」  ぽややんとした笑顔のユカリを置いて、ミドリは部屋を出た。    ***** 「ごちそうさまー」 「お粗末様でした」 「本当にミドちゃんは料理上手よねー」 「お姉ちゃんが出来なさすぎなのよ」 「ねぇ、私の嫁に来てよ」 「女同士だし姉妹だし、もう私お姉ちゃんのお嫁さんみたいなもんじゃないのよ」 「まだ婚姻届出してないよ」 「ああもう! お茶飲んだら歯磨いてね!!」 「うい」  毎日がこのような会話である。  姉はどこまでが素で喋っているのかわからないが、ミドリにベタ惚れというのはわかる。  その度にミドリは顔を赤くしつつも、まんざらでもない表情で会話をしていくのだ。  しかし、とミドリは思う。  姉の着ている制服は、どうにかならないのだろうか。  もうユカリは23歳である。胸やお尻だって大人のプロポーションだし、無駄にフェロモンも出ている。そんな大人の女性が、セーラー服はいかがなものだろう。  別にユカリは仕事場でコスプレをしている訳ではない。ユカリは希望が丘女子高等学校に通う、高校一年生なのだ。ミドリとはクラスメートでもある。  ユカリは今、鼻歌交じりでハイソックスを履いている。その格好はかなり際どいが、似合っているのも事実である。  ちょっとため息をつき、自分も準備を始めた。  玄関を出て、鍵を閉める。 「さ、行こうか」 「はーい」  ユカリはいつも、登校する時は張り切っている。ミドリは思い切って聞いてみた。 「ねぇお姉ちゃん。なんで毎朝元気なの?」 「だって、ミドちゃんと一緒に学校行けるんだよ?」 「~~~~っ!!!!」  ミドリは顔を真っ赤にして、歩みを早めた。 「あらっ、少々スピードが速いですよ!?」 「速くしたの!」 「待って、待ってよぉ」  そんな切ない声を出されちゃ、待つしかない。ミドリは歩みを止めると、今度はユカリに抱き着かれた。 「うあっ!!!!」 「えっへっへ、捕まえたぁ」 「ちょ、放してよ!!」  公衆の面前で、セーラー服の少女とセーラー服のコスプレをした女性が抱き合っている姿は、かなり怪しかった。
 目覚まし時計が、アラームを鳴らし始めた。大きなニワトリの形をした時計は、耳障りな音をわめき散らす。  布団から、手が伸びてきた。そっと時計を掴むと、 「うるっせぇっ!!!!!!!!」  思いっきり壁に叩き付けた。ニワトリは沈黙。部品が床に散らばり、部屋は再び静かになった。  と、今度は廊下を歩く音が聞こえる。部屋のドアが開いた。 「お姉ちゃん!? また目覚まし壊したでしょ!!」  明日葉緑(ミドリ)は開口一番、ベッドの上で布団にくるまる姉に向かって怒鳴った。姉は布団から顔を出し、眠そうに言う。 「止めたんだよー」 「これは壊したって言うの!!!!」 「壊れたんだよ。最近の目覚ましは脆くていけないね」 「どっちでもいいから、起きなさいよ!!」 「今日は創立記念日で休みでしょー」 「毎週毎週創立記念日な学校があるかぁ!!」  ミドリは布団をひっぺがすと、姉の頬を掴んだ。 「いひゃい、いひゃいれふ」 「起きないと、遅刻だよ」 「あい。おきまふ」  明日葉縁(ユカリ)はそう言うと、大きく伸びをした。 「今日のご飯はなにー」 「アジの開きとお味噌汁」 「えー、パスタがいいー」 「じゃあ夜はパスタね」 「わーい、だからミドちゃん好きよ」 「……さっさと着替えて、降りてきてね」 「了解しましたー」  ぽややんとした笑顔のユカリを置いて、ミドリは部屋を出た。    ***** 「ごちそうさまー」 「お粗末様でした」 「本当にミドちゃんは料理上手よねー」 「お姉ちゃんが出来なさすぎなのよ」 「ねぇ、私の嫁に来てよ」 「女同士だし姉妹だし、もう私お姉ちゃんのお嫁さんみたいなもんじゃないのよ」 「まだ婚姻届出してないよ」 「ああもう! お茶飲んだら歯磨いてね!!」 「うい」  毎日がこのような会話である。  姉はどこまでが素で喋っているのかわからないが、ミドリにベタ惚れというのはわかる。  その度にミドリは顔を赤くしつつも、まんざらでもない表情で会話をしていくのだ。  しかし、とミドリは思う。  姉の着ている制服は、どうにかならないのだろうか。  もうユカリは23歳である。胸やお尻だって大人のプロポーションだし、無駄にフェロモンも出ている。そんな大人の女性が、セーラー服はいかがなものだろう。  別にユカリは仕事場でコスプレをしている訳ではない。ユカリは希望が丘女子高等学校に通う、高校一年生なのだ。ミドリとはクラスメートでもある。  ユカリは今、鼻歌交じりでハイソックスを履いている。その格好はかなり際どいが、似合っているのも事実である。  ちょっとため息をつき、自分も準備を始めた。  玄関を出て、鍵を閉める。 「さ、行こうか」 「はーい」  ユカリはいつも、登校する時は張り切っている。ミドリは思い切って聞いてみた。 「ねぇお姉ちゃん。なんで毎朝元気なの?」 「だって、ミドちゃんと一緒に学校行けるんだよ?」 「~~~~っ!!!!」  ミドリは顔を真っ赤にして、歩みを早めた。 「あらっ、少々スピードが速いですよ!?」 「速くしたの!」 「待って、待ってよぉ」  そんな切ない声を出されちゃ、待つしかない。ミドリは歩みを止めると、今度はユカリに抱き着かれた。 「うあっ!!!!」 「えっへっへ、捕まえたぁ」 「ちょ、放してよ!!」  公衆の面前で、セーラー服の少女とセーラー服のコスプレをした女性が抱き合っている姿は、かなり怪しかった。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: