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第三話 太陽と月 - (2012/05/20 (日) 12:13:41) のソース

日は完全に沈み、星空となった空には白く輝く月の姿があった…

**???

…何だろう、この感じは。
体が落ちていくような…あぁ、私は今、本当に落ちているらしい。
空はどんどん離れていき、下には一面の暗い海が広がっている…
でも、どうして落ちているのだろう。
私はどうして落ちていて、そしてどうなるのだろう……

そこへ、一筋の光が見えた。此方に向かって、直進的に飛んで来る…まるで翼のような、一対の光が。
私は恐怖の余り、思わず目を閉じていた。
しかも、私の身を打つ風の衝撃に耐えられず、
どんどん私の意識は遠退いていく……



**ヘブンシティ都心

場所は変わり、此処はヘブンシティ。
幾多にも及ぶ建物の陰に隠れるように、二人の人影が映っていた。

「ほら、今日は魚と果物が取れたわよ。」
二人のうちの片方…恐らく少女だろう。
彼女は目の前の相手に、人間の頭程の大きさの魚と、林檎のような赤い果物を差し出した。
「これだけしか無くて申し訳無い」と述べる彼女に、相手は優しげな言葉を返した。
「ううん、僕これだけでも平気だよ。それに、わざわざ採ってきてくれたんだし…むしろ、ありがとう」
中性的な声の少年は相手にお礼を言うと、そのまま果物にかぶり付いた。

その様子を観察していた誰かに気付かないまま…

**海岸

「……で、此処がヘブンシティ自慢の海岸だ。」

俺はサザロス、遥か南にある王国アポロンズフィールドの……
というのは前も言っただろうから言わない。

今はジャンに連れられて、ヘブンシティの見学をしている。
エルフィア達も誘ってみたのだが、
エルフィアは「遊ぶ約束があるんだ」と言って出ていったし、ミリフィアは「誰かが留守番しなきゃ」と言って家に残った。
そして、結局はジャンと二人で廻っている。

そして今居るのが海岸なのだが、これがなかなか綺麗なのだ。
月の光を受けて煌めく海面は、まるでプラチナでも溶けているように見える。
砂浜にも光が当たっており、此方は真珠のような輝きを持っている。
ヘブンシティの自慢と言うだけあって、それは最高に美しかった。

しかも海面を見ていると、青白い光が線を描いて飛んでいくのが映った。
急いで空を見上げると、そこには海面に映った光より更に眩しい光…

「見ろよ!あれ、流れ星じゃないか!?」

俺はジャンの肩を叩き、空を指さした。
するとジャンは、俺に続いて空を見上げた。しかし、彼の表情を見た俺は疑問に思った。

笑っていない…それも、目を細めて流れ星を見詰めている。
何か可笑しいのだろうか、と俺も空に目を向けた。
そこには、未だ消えずに残る光………否、何かが可笑しい。

「あれは流れ星なんかじゃない…デカい光の翼だ!」

そう、それは巨大な光の翼だった。
間もなく翼は向こうの海岸へと降り立ち、終いに光は薄れて消えていった。
何者かを確かめるべく、俺達もそこへ駆け寄った。