ダンゲロスSS4内検索 / 「鈍亀の継嗣プロローグ」で検索した結果

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  • 鈍亀の継嗣プロローグ
    プロローグ ■鈍亀の継嗣プロローグSS 叛逆のガールミーツヒューマノイド■ ■1:ダイダラボッチ■ AD1944年2月24日。 首都に大型爆撃機の編隊が大挙して来襲した。 大本営陸軍参謀本部の「戦況手簿」によれば、迎撃部隊の高射砲師団による砲撃は大型爆撃機の飛行高度に到達せず、首都はなすがままに蹂躙されたという。 ――――しかしそんな記述と並んで以下のような一文がその「戦況手簿」には記されている。 「B29(大型爆撃機)、11機の墜落を確認。墜落原因は墜落した機体を基に調査析中。現在のところ長距離航行の練度不足が有力。(現代語訳済)」 また、灼熱地獄と化したその日の首都から、幸運が重なった末生き残った者は後にこう語る。 「(前略) もう、町中真っ赤でなぁーんも見えんかった。 焼夷弾はそれこそ雨みたいだったし、空気が全部燃えちまってる...
  • 鈍亀の継嗣
    鈍亀の継嗣 ■キャラクター名:鈍亀の継嗣 ■キャラクター名読み:どんがめのけいし ■性別:その他 キャラクター設定 ■主人■ ○キャラクター名 ワカバ ウツキ ○概要 愛した人の願いのために戦う、非・魔人の女の子。 迷宮時計とそれに纏(まつ)わる戦いの性質について熟知している。 非力を補うため、未来の世界の幼女型ロボットを従えAD2044年から参戦。 ○性別 女性 ○所持武器 ・果物ナイフ ・対魔人ヒューマノイド(※後述) ○性格 一般常識を心得ており、基本的には明るく平和的。 しかし、人として大切な何かが欠けている。 目的達成のために、その異常性は牙を剥く。 ○外見 くせっ毛のショートカットと健康的な肉体。 良く言えばスレンダー、悪く言えば女性的な魅力に乏しい体つき。 戦場に応じた服装を心がけるが、どの...
  • 裏第二回戦第4試合
    ...SS・図書館その3 鈍亀の継嗣プロローグワカバウツキを巡る時間軸と、謎のメッセージ『火曜日、資源ゴミ』 27,348文字 試合情報一覧(キャラクター名50音順 試合SSの順番とは無関係) 戦闘空間 キャラクター名 特殊能力名 【過去】図書館 ツマランナー 歌えば多分なんとかなる 鈍亀の継嗣 なし 本葉柔 おっぱいレーザー
  • 飴石英
    飴石英 ■キャラクター名:飴 石英 ■キャラクター名読み:たがね せきえい ■性別:男性 キャラクター設定 その少女はキリコと名乗った。 髪は黒く、前髪で隠れているが琥珀色の瞳をしていた。 白いワンピースを着て、手にガラスでできた斧を持っていた。 胸には綺麗な色ガラスを組み合わせて作られた小さな砂時計のペンダント。 優しげな口調で話し、微笑んでいた。 「時計の欠片を探している」 と少女は告げた。 ガラスの割れる音が聴こえた気がした。 ガラスの斧がくるりとまわり、辺りは血に染まった。 「姉さんの為に必要なんです」 とても静かになった部屋の中で少女は告げた。 ガラスの割れる音が耳障りに響いた。 姉が居なくなった。 だが姉はあのクズとは違う。 勝手に居なくなったりはしない。 と少女は言った。 とても静か...
  • 裏第二回戦第4試合結果
    裏第二回戦:【過去】図書館 このページではダンゲロスSS4裏第二回戦、【過去】図書館の試合結果を公開します。 投票結果 試合SS キャラクター名 得票数 裏第二回戦SS・図書館その1 ツマランナー 4票 裏第二回戦SS・図書館その2 鈍亀の継嗣 2票 裏第二回戦SS・図書館その3 本葉柔 17票 サブGK総評 殺伐ゴスロリ中年男性・ツマランナー vs 抜け道の支配者・鈍亀の継嗣 vs おっぱい星人(蟹)・本葉柔 表裏合わせてもぶっちぎりの重量級戦闘となった【過去】図書館。 一回戦で戦ったマジ天使四葉ちゃんを巻き込み、最悪(いつも)のミルキーショックを武器にして勝利したツマランナー。 対し、『迷宮時計を味方につけている』という能力を下に、凶悪極まりないマンチ的戦法で戦った鈍亀の継嗣。 それぞれ違った武器を持ちながら、しかし『迷宮時計との特殊な因縁』という点で繋が...
  • 補陀落とろろ
    補陀落とろろ ■キャラクター名:補陀落 とろろ ■キャラクター名読み:ふだらく とろろ ■性別:女性 キャラクター設定 ビッチによる世界征服を目論む秘密結社「ニャントロ国際親善協会」。そのビッチ養成機関「虎の尻穴」を卒業した、史上二人目のビッチ(B-005148試験型ビッチ)。 若干15歳の少女。白の袖なしドレス一枚を着ただけの姿で下着を付けていない。常に裸足で足下は土汚れで黒ずんでいる。洗髪、洗顔、入浴などしばらく行っておらず、髪の毛は油ぎり、皮膚は垢だらけで異臭を放っている。だが、このような姿になったのも「AI」を手にした以降である。 元々、とろろは「虎の尻穴」第五期生の中でも下の上程度の成績のビッチであり、数度の落第、殺処分をコンダクターの"慈悲"により免れてきた。劣等感も手伝い、2つ年上のエリートビッチ、猟奇温泉ナマ子に強い憧れを抱い...
  • 幕間SS一覧
    幕間SS一覧 このページではダンゲロスSS4に投稿された幕間SSを表示します。 第一回戦までの幕間SS一覧 作者 幕間SS 文字数 登場キャラクター 飯田カオル ワクワク動画大発表 1,743文字 飯田カオルミスター・チャンプ(Mr. Champ)山口祥勝本屋文 本屋文 本屋文の日常 1,522文字 本屋文 雨竜院暈々 ホーリーランドクラブ・SS4合同SS「ハローデイズ」 2,305文字 雨竜院暈々雨竜院暈哉(外部リンク) 撫津美弥子 大発表への反応~撫津 美弥子の場合~ 1,775文字 撫津美弥子飯田カオル 色盲画家ストル・デューン 無題(幕間スレ6-7) 2,759文字 色盲画家ストル・デューン 雨竜院暈々 雨空 1,913文字 雨竜院暈々一切空 撫霧煉國 撫霧煉國(実質)プロローグSS 5,642文字 撫霧煉國 雨竜院暈々 雨竜院家の資料 1,907文字 雨竜院暈々そ...
  • 参加キャラクター
    参加キャラクター このページではダンゲロスSS4参加キャラクター一覧を表示します。 時計所有者(50音順) キャラクター名 性 特殊能力名 蒿雀ナキ 男 五々色鳴 浅尾龍導 両 性剣セクスカリバー 天樹ソラ 男 今度こそ、君に届くと 綾島聖 男 剛魔爆身 飯田カオル 男 絶対ニート宣言 一切空 女 アルバート・ホール ウィッキーさん 男 TAI-Kansoku 雨竜院暈々 女 シフト&ウェット 蛎崎裕輔 男 The Green, Green Grass Of Home 菊池徹子 女 ダイヤモンドピアス 希保志遊世 男 重力妖精召喚「サモン・イオ」 潜衣花恋 女 シャックスの囁き 斎藤一女 女 氷狼(フェンリル) 山禅寺ショウ子 女 賢者の贈り物 色盲画家ストル・デューン 男 赤×黒白 (Red × Black and White) シシキリ 男 コロンダ(殺達) 善通寺眞魚 ...
  • 菊池徹子プロローグ
    プロローグ 『菊池徹子プロローグ:ツラヌキガール』 「ば、番長ーッ!カチコミだーッ!」 三死田高校の番長、著井役ヒトシの元に手下が駆け込む。 著井役はその大きな身体を気だるげに動かし、報告者に向き直る。 「フン、どこの誰だか知らんが身の程知らずなやつよ。で、敵は何人だ?」 「そ、それが……」 「ケケェーッ!どこの誰だか知らんがこの"ジャックナイフのヤス"のナイフ捌きで死ヒャァーッ!」 「……邪魔だよッ!」 「フハハハ!たった一人でこの三死田高校に攻め込んでくるとは!」 「ククク……各階に散らばる四天王すべてを突破せねばこの教室までは登ってこれませぬ」 「ヒャヒャヒャ……そしてこの教室にたどり着いても我等《三原則》が待ち受けている」 「デヘヘ……哀れ哀れ……」 三死田高校、3-B教室……薄暗い教室で4人の影が笑っ...
  • 裏試合SS一覧
    裏試合SS一覧 このページではダンゲロスSS4裏トーナメント参戦キャラクターのマッチング表、および投稿された試合SSへのリンクを表示します。裏トーナメントの詳細については裏トーナメントを参照してください。 裏試合SSへのリンク このページには、裏トーナメント開始時点で敗退したキャラクター、または本戦における結果が反映されたキャラクターが含まれる可能性があります。ネタバレを回避したい方は、先に試合SS一覧の各試合をご覧になってください。 試合結果がすぐに見えないよう、多めの空行を入れてあります。ご了承ください。 以下、表第一回戦までのネタバレを含むおそれがあります。 裏第一回戦 試合SS 戦闘空間 対戦キャラクター名 試合公開ページ 【現代】刑務所 善通寺眞魚 梶原恵介 試合公開ページ 【過去】桜並木 リュネット・アンジ...
  • 真沼陽赫プロローグ
    プロローグ ――どうして怒ってるんだ。 ――怒りたいのはこっちの方だ。 ――どうして泣いてるんだ。 ――泣きたいのはこっちの方だ。 ――どうして笑えるんだ。 ――こっちはもう笑えないのに。 ――どうして「ごめんね」なんて言うんだ。 ――そんな言葉は聞きたくない。 ――どうして「さよなら」なんて言うんだ。 ――置いて行かないでくれ。 ――どうして。 ―― ― 真沼陽赫プロローグSS『小さな一歩、奈落へ』 ― ―― またこの夢だ。 真沼陽赫はベッドの上で自嘲する。 未だに彼女の影は消えてくれない。 鈍痛。また無いはずの、捨ててきた筈の腕が痛む。幻肢痛。 しかしそれは、この胸の痛みに比べれば些細。幻視痛。 思い出すのは、あの日のこと。 ― ―― 学校からの...
  • 日下景プロローグ
    プロローグ 日下景プロローグ「あの日夕焼けの中で」  夕焼けに染まる帰り道。僕の隣には君がいる。  ずっと、ずっと続くと思っていた穏やかな日々。  二人の間には一歩の距離、手をつなぐにはちょっと遠い。  でも、それが今は心地よい。  踏切の前、他愛もない雑談が途切れた空白の時間。 「ねえ」  君の口から、さっきまでとはぜんぜん違う硬い声が漏れる。  緊張した声色。僕より少し背の低い君は、僕の顔をじっと見つめる。 「私……」 ――ああ、ダメだ。  君の言葉に心臓が高鳴る。  もしかして、という気持ち。  まさか、という気持ち。  僕達の関係が変わってしまうのか。ぐるぐると巡る頭の中、君がゆっくりと口を開く。 「君のことが………」 「ん……何?」 ―――カンカンカン  踏切がなり、遮断機...
  • 善通寺眞魚プロローグ
    プロローグ 希望崎学園の遙か西方の地、“四国”。 88カ所に張り巡らされた結界で護られた、謎の多き土地。 ある者は『黄金と暁の地』と語り、ある者は『“新潟県”以上の魔境』と語り、 『白亜の宮殿が聳えていた』『鰹の頭部を持った奇怪な生物に襲われた』 『水という水が茜色に輝いていた』『三日三晩踊る奇祭に参加した』…… 様々な文献、証言が飛び交いながら、どれが真実でどれが虚構か未だに解明されぬまま 噂が噂を呼び続ける、不可思議な土地である。 “四国”について、今の段階で確実に言えることは―― 88の結界に、綻びが生まれつつあるということ。 その結果――トラブルが発生しているということ。 この二点である。 ~~~ 「シャアアアアア……」 「まったく、どーなっちゅーがぜよ……  随分“アヤカシ”どもが騒ぎゆうが」 とある山中にて。 熊...
  • 門司秀次プロローグ
    プロローグ 「うぎゃあああああああ!!」 河川敷に絶叫が轟いた。 筋骨隆々たるモヒカンの大男が腕を抑えてのたうち回る。 「あーあー、もう。いい大人が腕の一本が折れたくらいで。さあ?」 転げまわる男をへらへら笑いながらヤンキー座りの少年が見下ろしている。 やや軽薄な印象もあるが見た目は悪くない。 爽やかなスポーツマンといった風情の学生服の少年は抜身の刀を巨大な筆に収めた。 仕込み筆である。 指で地面に何かを落書きしながらつまらなさそうに言った。 「峰打ちですから」 「お、俺の腕ゃーッ!?」 「腕がもげたわけでもないのにさ」 少年は有り得ない方向に曲がってしまった大男の腕を対して興味もなさそうにしばらく眺めたあと、携帯電話に着信があった事に気づいたのかスマートホンを操作する。 「あーもしもし、スンマセン。いやー、ちょっと戦闘中だ...
  • 羽白幾也プロローグ
    プロローグ  太陽が燦々と輝くある日のこと。子供は遊具で元気良く遊び、高校生と思わしき男子は二人でキャッチボールをし、ママさんたちはベビーカーとともに世間話をしている。  様々な人間が各々の目的をもってこの公園に集っている。そんな中、一人の男がベンチでうなだれていた。 「はあ……このままだとあと二日で金を使い果たしちまう……やっぱり俺ってダメなやつだな……」  残り所持金が4桁を切った財布の中身を見ながら羽白は呟いた。1周間前に行われた地下魔人格闘大会で優勝賞金100万円を手に入れた羽白だったが、1週間でほぼ使いきってしまった。  賞金を手に入れたその日にキャバクラに出かけ9割を使い果たし、その後もちょくちょく無駄遣いと浪費を重ねる生活をしていたのだ。当然の結果である。 「ああ~またやっちまったなあ~。無駄遣いしないって決めたのになあ~。どうして世の中ってこんなに誘惑が多いん...
  • 潜衣花恋プロローグ
    プロローグ 私は自分の花恋という名前が苦手だ。 花や恋という字も、かれんという響きも、私のようなぶっきらぼうには似合わない。 早くに亡くなった両親がくれたものだから、もっと大切にしなければとは思うのだけれど 私のことを花恋と呼んでいいのは愛花姉だけということにしている。 「花恋」 非常に不本意なことではあるのだが、数少ない友人たちに私は極度のシスコンであると認識されてしまっているらしい。 いや、確かに愛花姉のことは大好きだし大事だけれど、シスコンとかそういうのではないはずだ。 両親が死んで、二人別々に親戚に引き取られそうになったところを「花恋は私が育てます。二人で生きていきます」と宣言し、有言実行してくれた愛花姉に感謝しない訳がないじゃないか。 まあ確かに小さいころに「私お姉ちゃんと結婚するー!」とか言ってた記憶はあるけれど、今でも本気で結婚できるとか...
  • 飯田カオルプロローグ
    プロローグ 肉皮ゲーリングという怠け者の男がいた。 三十歳になるまでニートしており、働きたくないという思いから 働かなくてもいい社会作りを公約として選挙に出馬するが最低票数で落選。 その後、日雇いの仕事と工場勤務を掛け持ちして選挙資金を稼ぎ、 住民票を移しながら全国どこかの県会議員選挙にほぼ毎年出馬しては落選し続けた。 40歳の時両親が死亡。同時に全国に染みついたダメ候補な自分のイメージを 消し去る為に生まれ変わる事を決意する。末期がんのホームレス飯田から戸籍を買い取り、 肉体労働で選挙資金を稼ぐと同時に変装用ゴムスーツの開発に取り掛かる。 46歳の時に試作スーツが完成するが実際に着てみるとどう見てもメタボなマネキンだったので 一から作り直す。この間、選挙に三回落選。 女装が得意な親族魔人数人からヒントを得て50歳の時に変装用ゴムスーツが完成...
  • 綾島聖プロローグ
    プロローグ 「――神父様。時計なんです」 その日の午後、綾島聖の部屋に訪れた相談者は、いささか様子が違っていた。 希望崎学園における生徒の悩みは、時に常識を遥かに超えることがある。 超常の能力を持つ《魔人》、ましてや思春期の未成年が集う学び舎なればこそ、 彼らが抱える問題の種類も通り一遍のものではない。 しかし、このとき、綾島にすがりついた少女の悩みは、 そうした希望崎特有の事情を差し引いてもなお特別であった。 少女の手には、どこか禍々しい懐中時計が握り締められていたのである。 「大宮さん。落ち着いてください」 綾島は、温和な笑みを崩さぬまま、優しく彼女の肩を支えた。 いまにも崩れ落ちそうな風情であったからである。 「まずは、事情を。そうでなくては、私もあなたの力になれませんよ」 「ああ、神父様」 大宮と呼ばれた少女は、目に涙を浮かべて...
  • シシキリプロローグ
    プロローグ 『花いっぱいの街には、もう帰れない』 祝薗盛華(ほうそのせいか)は、脳内がお花畑の魔人だった。 どのぐらいお花畑かというと、能力対象が半径20キロの全ての植物。あきれた広さである。 効果は、植物をちょっとだけ元気にする。それだけだ。 常時発動のパッシブで、出力の調整も効かない垂れ流し状態。 お陰様でわが町は緑と花の溢れる素敵な街だった。 植物が元気になるのは良いことばかりではなく、雑草は延び放題だし、花粉症シーズンは毎年大惨事だ。 だから、密かに彼女のことを恨んでいる人間は意外に多かったかもしれない。 たぶん盛華のFS名は「脳内お花畑」。少なくともFS15点以上。下手すると20点の極振り。 彼女の身体能力は普通の人間と全く変わりなく、いや、むしろ並以下だった。 そして、彼女は朗らかで、花と緑とこの街の人々を、心から愛していた。 そんな彼女だ...
  • 補陀落とろろプロローグ
    プロローグ 「アハーッ! ねえ! ねえ、キユさんッ! せんぱいを……あたしのせんぱいを、どこに隠したんです!? アハハッ!」  補陀落とろろの身体の下で――、とろろ汁の腐海に沈んだキユは口の中いっぱいに押し込まれたとろろ汁を必死に吐き出しながら……。泣いていた。 「アハハーッ!」  とろろがどろりとしたとろろ汁を右手に掬い上げ、己の股間へと激しく擦り込む。少女の小さな身体が異様なむず痒さに打ち震える。同時に左掌で掬ったとろろ汁をキユの菊門へと強く押し込むが、この残酷な仕打ちにも少年は身を震わせるばかり。まるで抵抗しない。彼はなおも泣きながら、答えた。 「ナマ子は……もう、帰ってこない……」 「アハッ? またそれですかァー? アハハハ! ねえ、どこに隠したんです? どこに……アハハッ!」 「虎の尻穴」からの卒業後、とろろが組織から与えられた最初...
  • 山禅寺ショウ子プロローグ
    プロローグ ◆ 「「「何があっても三・千・字!絶対詰めるぞ三・千・字!!」」」 『ショウ子、……その……何故、自分の名を連呼しているんだ』 「山禅寺じゃなくて三千字!私にもよくわからないけど、私の内の何かが、そう囁くんだ。絶対厳守・三千字!って」 『囁くというレベルではなかったぞ……。絶叫だ。リベラル系市民団体のデモ行進かと思った』 「ふっくん。んなどうでもいい事でちんたらしてる暇ないよ!さっさと仕事を始めないと!」 山禅寺は振り返る。 パフブラウスの胸元に結ばれた赤いネクタイが風になびく。右耳のイヤリングがチャリンと音をたて揺れた。 無数のパイプの曲線と、固い鉄壁の直線で構成された黒い要塞が彼女の眼前いっぱいに広がる。 『原始共産軍魔人指令基地残党の壊滅が今回の仕事だ。兵士が百人、警備ロボットが二百体、魔人が五人。速攻で解決するには、少し...
  • 猟奇温泉ナマ子プロローグ
    プロローグ 「あなたのセックスは悲しい……」  と、あの女は言った。寂しそうな顔を私に向けて……。  やめろ、そんな目で私を見るな!  思わず私は叫んでいた。 「馬鹿げたことを。セックスは人を支配する力! 私は貴様の力に敗れた! 支配されようが殺されようが構わん。……だが、私を。私を憐れむな!」  ウウッと唸り、私は膝をついた。目の前の女の顔を見ているだけで……準決勝で受けた愛撫の感覚が蘇り……私のおぱんつがビチョビチョに濡れていた……。  女の瞳からツウ――と一条の涙が零れ落ちた。 「ナマ子さん……セックスは、共に楽しむもの……。私はあなたと、もう一度セックスがしたい」 「ふざけるな――」  差し出された女の手を私はパシッと弾いた。くうッ――。その一瞬の接触だけで股間から激しく愛液が弾け飛ぶ。糞ッ、肉体が……身体が反応してしまう! エリ...
  • 折笠ネルプロローグ
    プロローグ さあ、さあ、御立会いの紳士淑女の皆様方。お目にかかり恐悦至極。 僕は折笠ネル。これより始まる、活劇の御案内を致す者。主演の一人でもございます。 どうぞ、そのまま御観覧をお願い致します。 では、本日の演目を御紹介致しましょう―― 折笠ネルプロローグSS『わたしこそが、その陽気な夜の放浪者なのです』 対戦レギュレーション 【戦場】 劇場 【時代】 過去 【戦闘領域】 劇場内 【勝利条件】 対戦相手の殺害、戦闘不能、降参、または戦闘領域離脱 対戦キャラクター:折笠ネル 【破壊力】 B+ 【運動能力】 B 【攻撃射程】 A 【耐久力】 C+ 【知力】 B+ 【精神性】 B+ 【特殊能力】 『廬斉夢蝶折据』:折紙で折った造形の具現化 対戦キャラクター:サンプル太郎 【破壊力】 A+...
  • 浅尾龍導プロローグ
    プロローグ 【古代】花園 戦闘領域:1km四方 今では存在しない花々が咲き乱れる大平原。 辺りにはむせるような花の香りに誘われた虫達が飛び回り這い回っている。 身を隠せるような物は無いので開始直後から気が抜けないか。 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 見渡す限りの砂漠に佇む20代半ばの女、浅尾龍導(あさおたつみ)は逆手に持った長大な剣を足元に突き立てる。 120センチの剣身の半ばほどまで埋まったそれは、手を離すと自身の重みで徐々に傾きやがて倒れる。 「何でも切り裂く剣も砂が相手じゃ形無しだな」 やれやれと頭をふって場違いなバニースーツに包まれた体を折...
  • 飴石英プロローグ
    プロローグ 飴石英プロローグSS『痒い所はありませんか?』 ~http //www.music-note.jp/bgm/mp3/0723/musicbox.mp3~ 「硝子が割れる音が聴こえるんです」 目の前に座った少女はそう言った。 少女はキリコと名乗った。 「そう、ですか。他には?」 「少し足が痛みます」 清潔感のある白い部屋には僕と少女と看護師が居る。 消毒液の匂いがする。 「とても怖い思いをされましたからね。その時に感じた事が頭に蘇るというのは不思議な事ではありませんよ」 暴走した大型トラックが買い物客で賑わうショッピングモールに突っ込んだのは数時間前の事だった。 運転手は即死、多数の死者と怪我人がでた。 少女はその事故の只中に居たのだ。 幸いな事に少女は擦り傷だったが目の前で多くの人が死んだ。 見た目は落...
  • 飴びいどろプロローグ
    プロローグ 注 このプロローグは戦闘時のキャラクターの立ち回りをアピールする為の物なので、本編では使われない戦闘空間『樹海(現代)』を利用します。 あくまでも本編と被らないようにする為ですのでご勘弁お願いします。 緑、どこまでも続く密林。どこから出られるのか、出た先に何が有るのか、何も分からない森の中、対峙する2人の男女がいた。 女は作務衣にウエストポーチ、背中に紐で縛り付けた一升瓶を背負うという妙な姿をしていた。年齢は若いが、学生には見えない。 女の名は 「飴 びいどろ」。今この場に転送されたばかりであったが、男の事を見るなり驚きと怯えと敵意を交えた目を見せて、彼から距離を取った。 男の方はというとこちらも妙な姿をしている。いや、厳密に言うと、服装は着崩した上下グレーのスーツという街を歩いていても違和感が無い物だったが、手に持っている剣のような物が妙な存在感を醸...
  • 蛎崎裕輔プロローグ
    プロローグ 山が燃えている。 木がバチバチと音を立てて倒れていく。逃げ遅れた人たちの死体の焼ける臭いが鼻をついた。 北海道のにおいだった。これが北海道だった。 母さんが僕の手を引いてくれていた。僕を逃がそうと必死に走ってくれていた。 その時、山の方から大きな音が響いた。重低音と高音が混じっているような、とにかく怖い雄たけびだった。 エゾヒグマだ。いつも聞いている。エゾヒグマの声だ。 エゾヒグマが暴れているんだ。冬眠の出来なかったエゾヒグマが他の動物が木々に当り散らす。それもまた北海道ではよくあることだ。 僕は母さんに手を引かれながら、燃えている山をみていた。山は真っ赤だった。まるで地獄のように炎が地面を覆っていた。北海道の風景だった。 またエゾヒグマが雄たけびがあげた。エゾヒグマが立ち上がる。炎がその黒くデコボコとした皮膚を照らした。 怖い。そう思った。だけどこれが北...
  • 善通寺眞魚(裏)プロローグ
    プロローグ とある満月の夜。 “四国”のとある山中にて―― 曲がりくねった峠道で、二人の人物が対峙していた。 片方は、白黒の虎に跨った青年。 もう片方は、どこにでも居そうな老婆である。 その両者が――時速数十キロで併走しながら、視線を合わせていた。 「け、けけけけええぇぇぇっ!」 老婆が奇声と共に、手にした鎌を青年目掛けて投げつける。 青年は背負っていた筆を抜き、鎌を“払い”落とす。 「そんなにあわてて走らいでも良かろうに……っと」 「けけええぇぇっ!!」 老婆は妨害が無駄と悟るや、速度を一段と上げる。 青年は足元の虎に活を入れ、それに追い縋る。 「悪りいけんど、逃がすわけにはいかんちや」 目の前に、峠道特有の急カーブが差し迫る。 右に大きくうねった90°の大カーブの先は、奈落の谷底。 老婆は...
  • 菊池一文字プロローグ
    プロローグ 『なあ、子供なんて拾ってどうするつもりなんだよ』 『だってさ、放っておくわけにも行かないじゃない』 『つってもよ、私達はこの世界の人間じゃないんだ。過度の干渉は避けるべきだ』 『だからだよ花恋。アタシたちがいなくなったら、誰がこの世界を守るんだ?』 『その答えがあの組織、か。……徹子。あんた、どれだけお人好しなのよ』 『今更ねえ』 『今更だな』 『……それに、さ。アタシたち、もういい年じゃない。子育ての経験をしておくのも悪く無いなって』 『……歳の話はやめろ』 ----------------------------------------------------- ――菊地徹子と潜衣花恋が戦いを終えて60年後。 「ふーっ、疲れたー!」 『お疲れ様です、菊池一文字様』 「いやはや、お疲れ様でございます」 銀のマントに赤い...
  • メリー・ジョエルプロローグ
    プロローグ わたしはだれ 疑問は泡のように次々と浮かび上がり はじけて消える わたしはだれ? 「起動実験を最終フェーズに移行。器と【迷宮時計】との接続を確認」 身体から幾重にも伸びる配線と 肺まで満たす培養液 「異次元空間への干渉波安定しています」「素晴らしい成果です、イライザ博士」 わたしにとって世界とは強化プラスチックの向こう側 「やはり、人間の脳を経由するアクセスは【迷宮時計】の防御機構を刺激せずに済む。 これこそ【迷宮時計】の完全制御へと至る唯一の道筋。わたくしの考えは間違いではなかった」 『支配せよ』 わたしのからだの真ん中で 疼き続けるひとつの本能 『迷宮時計を支配せよ』 それがわたしのすべきことなの? 「検体の様子はどう」「脳波正常値。眠ったままです」 こわいゆめをみるの どこからき...
  • 撫津美弥子プロローグ
    プロローグ  私の名前は撫津 美弥子、どこにでもいるごく普通の小学六年生。  ちょっとおしゃれに興味がある本当にごく普通の小学六年生です。  ただ、そんな私の周りにごく普通ではないものが存在します。それは…… 「みやちゃんみやちゃん!さっきさ!おばあちゃんが困ってたからさ!助けてあげたんだよ、んで、お礼にこれもらった!」  唐突に現れ唐突に全ての要素を言い切り唐突に私の手にほいと手渡された物を私は見る。 「おにぎりだと思うんだよね」 「おにぎり?……」  うん、確かに黒くて丸いよね。  でもね、ただのおにぎりに、危ない音を発しながら燃え尽きていく火のついた紐はついてないと思う。  そしてこういう時、私がすべきことは一つしかない。 「……って、これはどうみても……爆弾じゃないのー!!」  瞬間、辺り一帯が光と熱に包まれる。  死...
  • 天樹ソラプロローグ
    プロローグ 「天樹ソラ プロローグSS『いつか彼を忘れてしまうであろう私のための備忘録』」 『現在 廃墟世界』  ふと気が付くと、手元に自分の頭で影ができていた。  空を見上げると、ちょうど真上に太陽が来ていた。  公園のベンチに座ってノートを書き始めた時には、太陽は登り始めたばかりだったのに。いつの間にこんなに時間が経ってしまったのだろうか。  時刻を確認しようとカバンを開く。  いつも時計を入れてある手前の内ポケット、中には何も入っていない。  ちょっとアレっ、と思ってから時計はもう無いことを思い出し、苦笑が漏れる。  時計を失ってから、何日がたっただろうか。  頭では分かっているはずなのに、染み付いた習慣はどうしても抜けてくれない。  苦笑いに合わせて、お腹からも音がした。そういえば、今日は朝から何も食べていない。  誰かに聞かれていたら恥ずかし...
  • 山禅寺ショウ子 真本格プロローグSS
    山禅寺ショウ子 真本格プロローグSS ◆山禅寺ショウ子 真本格プロローグSS 「「「何があっても・三・千・秒!絶対詰めるぞ・三・千・秒!」」」 地獄のような一人大合唱を終えると、探偵は感想を求めるようにせかせかと懐中時計を開いた。 懐中時計が口をきく。『ショウ子……』 「はい」探偵は答えた。 『ことあるごとに叫ぶそれは、一体なんなのだ?』 「わかんないよ!でも何か叫びたくなるんだ。私の能力と関係してるのかもね」 『ふむ………………』 喋る懐中時計――通称『ふっくん』は、思案するように眼を閉じた。 彼の腹に収まった秒針だけが、コチコチと音を起てる。 「ちょっと」と探偵。 「ちょっと、ちょっと、ちょっと、考えてる暇なんてないよっ!急がないと!今日の仕事を!」 『そうだな』 三千秒探偵――山禅寺ショウ子は振り返った。 パフブラウ...
  • 刻の辻斬りプロローグ
    プロローグ  乾いた砂、乾いた風。  そしてそこに燦々と輝く太陽は、そこに住まう獣達にとっては当然常に存在するごく当たり前の存在である。  しかし、今この場に舞う風と砂埃は、獣達にさえ到底受け入れられるものではなかった。  戦闘空間、サバンナ。時代は、過去。 「はッ……その程度かよ……拍子抜けだな……!」  砂塵の霧の中、一人の男の目の前には巨大な剣を手にした女が存在している。  女はこともなげにその剣を構えると、再び飛び出すように強く地面を蹴り、砂埃を舞わせた。  また同じ手か。そう考えた次の瞬間には女は既に男の目の前に存在していた。  能力かどうかはともかく、この女は高速移動剣術を得意としている。  まさに目にもとまらぬ速さと言った所か、男にはその動きを見切る事が全く出来なかった。  だが攻撃自体は単調そのもの、初見で自分を殺しきれなかった時点で大...
  • 千葉時計草(伊藤日車)プロローグ
    プロローグ  ――京都・中梅(なかうめ)工房製、第十一期醸造生「遠藤之本格中梅ヶ日車(えんどうのほんかくなかうめがひぐるま)」、第三等級認定。探偵として一定の水準に達したるを認む。以後、精進されたし。  続き、汝の稲(いな)に蔵された魂(たま)に告げる。  五箇条の誓文をもって、真実に辿り着くべし。  一に、人工探偵は、被害者たる可能性のある全ての人間に危害を加えてはならない。  二に、人工探偵は、可能な限り加害者の身命を擁護しなくてはならない。  三に、人工探偵は、可能な限り自分の存在を保持しなくてはならない。  四に――  その第一声を理解したことは、今でも覚えている。  相手は誰だったか、生みの親か、名付けの親か、探偵の家か――。  「ねぇねぇ、向日葵(ひまわり)、ひまわり」  ……! 白昼夢とは、自分らしくもない。肩を揺さ振ら...
  • 刻訪朔プロローグ
    プロローグ 1  夏休みが明けてひと月が過ぎ、迫りくる中間テストの気配がにわかに強まってきたこの頃。  昼下がりの希望崎学園高校は、魔人が多いといえども高校生の集団の多分にもれず、今日もかしましい。  いつも通りの昼食の時間ですらはしゃげるのが、若さに与えられた特権なのだろうか。 「たっだいまー!焼そばパンゲットだぜ!」 「おかえり、元気。今日も元気だね」 「それはダジャレなのか!?んんー??」 「いや、違うけど」  死闘を制した友人を気だるい雰囲気で迎えた彼が、今回の主人公である。  体格は中肉中背、黒髪M字バングにブレザー、部活は帰宅部という、流行りのラノベの主人公のような見た目がメタ的には逆に特徴的な 彼は、男女分け隔てなく接することができるスキルに美男美女だらけの世界で普通の見た目であるというスキルも有している、いわゆる隠れリア充主人公だった...
  • ツマランナープロローグ
    プロローグ 【ツマランナーへ】 突然死んでしまってごめんな。実は俺と凛は迷宮時計争奪戦というのに参加しとってん。 最初は俺も優勝してさっさと日常に戻ろうと思ってたんやけど、凛も参加者と知ったから 二人で相談してここで諦めてもええと思った訳よ。正直しんどかった。ほな、な。 PS:俺らの死体触ったら俺の言った事の意味分かるけど参戦の義務が発生するから注意しろよ! 【ツマっちへ】 詳しい事は大体チンネンが書いてたから私からは特に何も。 PS:あの世ではもっと上手い人と組むから後追いするなよ! 後、有名なグループのマネして中途半端なパンチラしてるけど止めた方がいいと思う。 ツマランナーが遺書に目を通したのはスタジオで首を吊った二人を降ろしてからだった。 彼の全身に時計盤が浮かび上がり、迷宮時計についての知識が流れ込んでくる。 「先に遺書に目が行く様に...
  • 本葉柔プロローグ
    プロローグ はじまりの巫女は、混沌の中にいた。 混沌は、更なる混沌へと崩壊の一途を辿っており、はじまりの巫女の命もまた混沌に呑まれて潰えようとしていた。 そこに、三柱の神が現れた。 簒奪の女神・クグルイ。 ナマヌシの神・ヤマグチ。 そして、創造神にして武神・トキガミネ。 神々は醜い争いを続けていたが、やがて巫女の呼び掛けに応え、力を合わせてこの世界を造り出したという。 †††† 希望崎学園最強の男、時ヶ峰堅一は雲よりも高く、稀薄な大気の中にいた。 足場は大地に突き刺した『魔剣13km』。 国造りの神の血筋を引く時ヶ峰一族でも最強の者のみに与えられる「ケンイチ」の名は手に入れたが、まだまだ「健一」には遠く及ばぬと堅一は考えている。 堅一は、創造の矛である『天沼矛(あめのぬぼこ)』を喚べこそすれ使いこなすことはかなわぬのだ。 遥か下界の樹林の中か...
  • 山口祥勝プロローグ
    プロローグ  東京都大田区に本社を持つ『和谷』といえば、居酒屋チェーン店のフランチャイズから独立した、飲食・介護・有機農業など幅広い分野でめざましい業績を上げる大企業として有名だ。  一方で、悪評もある。年休二日、月あたりの平均時間外労働280時間、賃金の非払いといった劣悪な労働環境が噂されていることに加え、会長である渡来充の「365日24時間、死んでも働け」「メシを食える店長は二流。食事を必要としなくなって初めて一流」といった問題発言ゆえにだ。  しかし、現在に至るまで『和谷』が労働基準法違反を摘発されたことはない。政界にもパイプを持つ渡来が厚生労働省に根回しして、労働基準監査が来ないというのも理由の一つ。しかし最大の理由はそこではなく、劣悪な環境に置かれたはずの従業員たちが、全く内部告発を行わないということにあった。 「い、いや、やめて……やめてぇー!」  女性の悲鳴...
  • 雨竜院暈々プロローグ
    プロローグ  ――死にたくない。  ――暑い。渇く。痛い。焼ける。熱い。  ――死にたくない。 「ん……」  ガラリとドアの開く音が、雨竜院暈々の眠りを覚ました。 「げ! 姉ちゃん」  続いて、ドアを開けた弟・暈哉の声が微睡みをすっ飛ばして彼女の意識を現実へ引き戻す。  暈々は入浴中、湯に浸かったまま眠りに落ちていた。 「あら、暈哉。ずいぶん大胆な覗きね。ダメよ、義理とはいえ姉なんだから」 「ちげーよ!! 姉ちゃんそ(・)の(・)状(・)態(・)じゃ外から入ってるってわかんねーじゃん!!」  暈哉がそう叫ぶ。  今の暈々の肉体は湯と同化した状態だった。暈々は湯船に盛られた39℃のゼリーと化し、そこに顔だけが元の形で浮かび上がっている。  同性愛者の暈哉だが、喩え女体に興味津々のヘテロな中学二年生でもこの裸体(?)に欲情するのは厳しいに違いない。 「俺も夕...
  • ウィッキーさんプロローグ
    プロローグ ―某月某日8:35― 「ハイ――」 いつものように受話器をとった受付番は、その聞こえてきた声に自分の耳を疑った。 いや事前に聞いてはいたのだ、聞いてはいたのだが、それでも天地がひっくり返るほどの衝撃を受けた。 それはそれほど『力』のある声であったのだ。 『”グッドモーニングー!!”』 てれれれてれれれれれ♪てれれれれ♪ グッドモーニングー!!IKEMATU! 瞬間、彼の脳裏にかつて毎日見ていた朝の番組の懐かしいあのコーナー、あのテーマ曲が、つた走った。 「ひゃっ  ヒャハー!!!!ウィッキーさんだーーーーーー!!! 本物キター!!」 彼は端的に言ってその番組の大ファンだったのだ。 元々普段からテンション高めの受付(*当番制)ではあったが今日はいきなりテンション最高潮の クライマックスに達していた。 これは今でも稀によくあるこ...
  • 一切空プロローグ
    プロローグ 「皆様、正面スクリーンをご覧下さい……では10億円より開始いたします……30、35、38……50。50億。52。55……」  壇上に登った男が非人間的な数字を矢継早に積み上げる。ホールに居並ぶ参加者達は各人思い思いの虚栄に身を包み、高度に記号体系化された無言のジェスチャーでそれに応える。10メートル四方ほどの絢爛なその競売会場は、奇妙に冷え切った熱気に支配されていた。 「60。61。65……」  古川商会は戦後より60年ほどの歴史を持つ美術品専門の競売会社である。市井の人々の口には決して上らぬその名は、社会表層の皮を一枚潜ればまるで流行りの唱歌のごとく広くに知られている。それはこのちっぽけな同族経営の旧有限会社が、魔人の手によりこの世に生み出された尋常ならざる美術品を入手するための、ほぼ唯一の入り口であることによる。 「72億。72億……他の...
  • リュネット・アンジュドロープロローグ
    プロローグ 「どうしてあなたがそんなものを……!?」 アリマンヌ教会のシスターセシルは帰宅後、突然告げられたその事実を信じられなかった。 目の前の少女―――リュネット・アンジュドローが迷宮時計の所持者だというのだ。 迷宮時計のことは彼女も知っている。 国会議員の飯田カオルがワクワク動画で迷宮時計に関するマニフェストを発表したのは有名な話だ。 その他にも随時発信されるMr.チャンプの動画。 迷宮時計をめぐる争奪戦が実在することは疑いようがない事実。 だが、それは自分には無関係な話だと思っていた。 それなのに。 「セシルは私に優しくしてくれたの」 研究所がなくなって、彷徨っていたリュネットを拾って家に入れてくれた。 薄汚れたリュネットをお風呂に入れて綺麗にしてくれた。 リュネットと一緒に買い物をしてくれた。 リュネットのために新しいかわいらしい...
  • 刻訪結プロローグ
    プロローグ 《1》 お兄ちゃんが死んだ。 血がつながってないどころか義妹ですらない私に、あの人をお兄ちゃんと呼ぶ資格なんてないのかもしれない。 でも、私にとってあの人を呼ぶのに一番ぴったりな言葉が「お兄ちゃん」なんだから、いいよね。 四年前、初めてお兄ちゃんが『刻訪(うち)』に来た。 あのときの私と同じ、孤独に押し潰された真っ黒な瞳をしていた。 若い人もそれなりにいたけど、10代っていうのはやっぱり少なくて、お兄ちゃんは私と一番年の近い人だった。 最初は話しかけても心に声が届いてないみたいだったけど、がんばって何回も話してみたら返事してくれた。 「うん」って一言だけだったけど、嬉しかったな。 お兄ちゃんは左腕がなかったから、ママの能力でパパの戦器と調和(シンクロ)することができた。 羨ましかったけど、痛いのはイヤだからやっぱりいいかな。 お...
  • 古沢糸子プロローグ
    プロローグ ■ 21. レストラン『お花の天国』店主の証言  ――ええ、ええ。流石です。流石ですわ。探偵さん。  私は彼……臨次さんのことを知っていました。  知りながら……ただ黙っていました。怖くて、怖くて……  でも、もう終わったのです。はい、試合を見ましたから。  もう彼の魂が、悪夢の中をさまようことはない……そう信じています。  彼の迷宮時計については……ごめんなさい、何も知らないの。  ……婚約者。はあ。盛華さん、もちろん彼女のことも存じていますわ。  え、彼女はどこへ……? 私が、知っているはず?  いやですわ、探偵さん。 ■ 11. 日本再生党前代表、葦出纏の証言  ――だーからさー、なんべん言われたって知らないんだよー。  時計はカオルちゃんが勝手に連れてきたんだもん。  平行世界のカオルちゃんに直接聞けばいいじゃん...
  • 蒿雀ナキプロローグ
    プロローグ  川の水面は先に降った大雨など忘れてしまったように平べったく、月の光をきらきらと細かく反射していて、まるで大きな黒い魚のようでした。  すっかり普段通りの澪筋に沿うように、河原には大小さまざまな木屑が散乱していました。もしかすると、上流の方の橋か何かが壊れて流されてきたのかもしれません。そのくらいひどい大雨だったのです。  ですから、人の一人や二人が木屑と一緒に流されてきてもおかしくはありません。  若い女でした。川に流されて出来たのであろう傷のほかに、人と争ったような傷がありました。それが一つや二つではありません。  横向きに倒れた女の喉のあたりを見ると、まだ息をしているようでした。視線を右にずらすと、女の左手には変わった形の時計が握られていました。  戸口まで私を迎えに出た妻は、怪訝そうに表情を強張らせました。なにせ私が服を血で汚して立っているのですか...
  • 紅井影虎プロローグ
    プロローグ ヒュッ ヒュッ ヒュッ 夜の静寂を切りさく風切音。 しかし、それは彼女にとって聞き慣れた音だった。 (寅流(とらりゅう)の吹き矢か!) 三方から同時に迫る鋭い矢尻。 「ふっ!」 左手で矢の一本を掴み、右の手は素早く抜刀。 刀は右方の矢を地に落とし、その勢いのまま前方の矢も叩き落とす。 刀の鍔(つば)には寅流名刀の証、雄々しく吠える虎の顔。 「出てきなさい! 昼間から付けて来ていたのは分かっている!」 刀を構え、夜の闇に向かって少女は叫ぶ。 それに呼応し、音も無く三つの影が少女の周囲に姿を表した。 わずかな月明かりに照らされたその姿は、全身を黒い忍装束に包まれた、まさしく忍者その物。 一つ異様なのは彼らの顔に被せられた黄色い虎の面――。 (六本の黒い髭……寅流上忍(じょうにん)の証!) 三人...
  • 馴染おさなプロローグ
    プロローグ  目覚まし時計を叩き止め、二度寝に入ってからしばらく経った。シャッというカーテン音と同時、俺こと種人 光(しゅじん こう)の部屋に白い陽光が満ちる。眩しい。 「起きてっ、光くん!」 「ん……あと五分……」 「昨日もそう言ってたし、それで遅刻ギリギリだったんでしょ! ほら起きて!」  ゆさゆさと俺を揺する彼女の名前は馴染 おさな。ほんの数日前に俺の隣家へ引っ越してきた、俺の幼馴染みだ。あの日の突然の再会以来、こうして毎朝俺を起こしにきている。まったく、子供じゃあるまいし…… 「ほーら、起きなって! 光くんっ!」 「あと十分……」 「伸びてるし! 睡眠時間伸びてるし! もうっ!」  俺を揺する手が止まる。かと思えば、がしっと掛け布団を掴んで…… 「えーいっ!」 「うわっ!」  力一杯俺の掛け布団を引き剥がしに来た! 全身に朝の日差しが突き刺さる! 「ぐあ...
  • 真野海人&ネオプロローグ
    プロローグ 高く聳え立った木々の隙間に、びゅう、と風が吹き、さらさらと音を立てながら、幾つかの葉が宙を待った。立ち並ぶ木々は、所謂竹といわれる種類の物で、目を凝らすと、その葉は一つ一つが細く尖った、笹の葉であることが見て取れるだろう。  竹達の間には一本の川が、せせらぎを湛えながら、ゆっくりと流れている。その一連の光景は、確かに音を奏でながらも、見るものに静けさを感じさせる、矛盾した美しさを持っていた。 そこに、場違いとも言える男が一人。軍隊などで見られる袖のないジャケットを身につけた、飢えた狼の如き、獰猛な面構えをした男である。かき上げられた短い髪が、その荒々しい気配をより一層濃い物にしている。 男の名はサンプル太郎。此度、迷宮時計により、別の世界から呼び寄せられた戦士の一人。彼が元の世界に戻るためには、ここに来ているもう一人の戦士を打ち倒さなくてはならない...
  • 希望崎学園『暦』設定
    希望崎学園『暦』設定 ・『暦』 希望崎学園に存在するサークルのような団体 →「ダンゲロス・ニュージェネレーション~睦月涼子 プロローグ~」参照 ・部長について 希望崎学園では、どの時代でも一貫して暦の部長として君臨。 組織のことは副部長に丸投げ、本人が介入することは基本的に無い。 希望崎学園設立前から存在しているらしい。 最近、部長と思わしき人物が写っている60年前(AD1954)の写真が見つかった。 姿形が昔から全く変わっていない。能力はいまだ不明。 一説には、平行世界を自由に渡り歩いているとも推測されているが、真相は不明。 「一体何者なのだろうか……」 ・副部長について 卯月の苗字が継承される。基本的には同学年で一番早くに入部した部員が受け継ぐ。 副部長は、部長から暦でのあらゆる権限を与えられる(組織の方向性の決定や活動内容、部員のスカウトe...
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