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サウンド機能 - (2007/05/26 (土) 01:57:41) の編集履歴(バックアップ)


サウンド機能

大型の鉄道模型なら、それ自体が聞き応えのある音を奏でるのは事実だが、HO以下のモデルではリアルな鉄道音はあまり期待できない。大型模型であっても、細密に再現されたSLやDLの車体から発する音がモーターの音だけ、というのは少々さびしい。鉄道模型は鉄道車両という静止した対象を楽しむのではなく、鉄道という動きのあるモノを模型化しているのだから、やはり模型の精密感に応じたリアルなサウンドを楽しみたいという欲求が生まれるのは自然の成り行きだろう。

目次


鉄道模型のサウンドシステム:発声場所について

鉄道模型のサウンドを大きく分けると、(1)レイアウト上で鳴らすもの、(2)コントローラ付近で鳴らすもの、(3)車両自体から鳴らすものの3種類に分けられる。それぞれ、鉄道環境音(自然の音や駅構内放送等)、運転手や機関手が聞く車内の音、そして鉄道車両自体が発する音を再現するのに適しているが、(2)についてはTOMIXより「N-S2-CL」という商品が発売されており、臨場感のあるサウンドを簡単に楽しめるようになった。また(1)についても、レイアウト志向が日本より強い欧米では昔から多くの製品が販売されており、多様な音を手軽に楽しめる。
(3)の車両から発する音については、大型模型はともかく一般的なHOやNスケールでは発声装置やスピーカの搭載が難しく、なかなか普及が進まなかったものの、やはり走行音にこだわりたいファンは多く、いくつかのシステムが販売されてきた。

鉄道模型のサウンドシステム:音源場所について

車両にスピーカを積んで発声させる場合、音源をどこに置くかで大きく2種類に分けられる。ひとつはサウンド生成装置をコントローラ側に置き、車両は単なるスピーカと簡単な制御回路だけにする方法。もうひとつは、サウンド生成装置を車両に搭載してしまう方法。前者の例がPFM方式と言われるもので、天賞堂からSL-1という商品名で販売されていたのでご存知の方も多いかと思う。線路に流れる走行用電流が単純な直流であることから、そこにサウンド信号を載せてしまうところがポイントで、車載装置が単純・小型である上、キャブコントロール等でうまく制御すれば複数の車両に別々の音を発させること等もできたが、その機能の限界は低く、「すべての車両が個別に質のいい音を出すべき」というファンの夢を達成することはできなかった。また電気的ノイズの多い線路をサウンド信号が通過することから、どうしても雑音を排除しきれない問題もあった。それでもレイアウトや車両の加工が最小限ですむこともあって現在に到るまで改良は続けられ、後継製品も見かけられる。
後者の方式も、実は歴史は長く、PFM方式の原型が戦後すぐの1950年代に開発されたのに対し、車載サウンド装置については戦前の大型鉄道模型ですでに存在した。レイアウトに複雑な装置を設置することなく、車両だけで完結することから、装置を車載できるならばこちらの方式を採用するに越したことはない。プラレールのサウンドシステムもこの方式で、レールに設置したトリガーを通過すれば特定のサウンドを発するというアイデア自体は古いものである。
ただし、HO以下の小型模型で、任意のタイミングで汽笛吹鳴等が制御でき、しかもリアルな音を発声させたいとなると、やはり車載装置の進化と小型化を待たねばならなかった。電子部品が安価に大量生産できる時代になり、車載サウンド装置(およびそれを遠隔操作する仕組みと装置)もさまざまな製品が開発・販売されてきたが、やはり決定版となったのは1990年代のDCCと連携するサウンド・デコーダ登場であろう。集積回路技術や音声圧縮技術の向上により、大型スピーカで聞いても遜色ない音色と、線路を介さないことによる低ノイズが実現、また多数のファンクションを搭載できるDCCならではの、さまざまな音の再現(エンジンや発電機の起動音、多様な警笛・警鐘の使い分け等)等がファンの心を掴み、今ではHO以上の模型ではサウンド機能の搭載が当たり前となりつつある。

サウンド・デコーダの動作

サウンド・デコーダは車載デコーダのひとつであり、アドレスを有し、CV値により設定し、ファンクション機能により発声する、一種のファンクション・デコーダである。ただし最近はモーター制御機能を搭載したデコーダが一般的になっている。
キャブ側でファンクション操作(F1ボタンを押す、等)がなされると、DCC信号としてサウンド・デコーダに送られる。これを受け取ったデコーダは、設定に従い(汽笛等の)音を生成し発声する。音色はデジタルデータとしてデコーダに内蔵されており、商品によってはこれをパソコンで編集できるものもある。
もうひとつの重要なサウンドが走行音である。こちらは設定で「発声する」とすればファンクションに関わらず自動的に発声する。ディーゼルエンジン音や蒸機のブラスト音は、車両の速度に合わせ自動的に変化し、ランダムにコンプレッサ音等も発声する。停止時にはスロットル操作に応じてブレーキ音も鳴る。
他のファンクションとの連動が簡単なのもDCCならではで、蒸機の前照灯を点けると発電機の起動音が響くといった演出もある。

サウンド・デコーダの搭載

初期のサウンド・デコーダは、ファンクション・デコーダのように入力側を線路電源に繋ぎ、出力としてスピーカを外付するものであった。さらに蒸気機関車のサウンド同調(シリンダの動きとブラスト音のタイミングを一致させる)のため、機関車の車輪に接点を設けるカム・コンタクト入力端子が設置されるのが一般的になった。
これらは、普通のファンクション・デコーダ同様、適当な空間に設置(蒸機の場合テンダーには空間があることが多い)するだけでよく、カム・コンタクトケーブルの取り回しくらいが問題になるだけだった。このため、客車や車掌車にデコーダを設置するという方法で、Nゲージ等より小さい模型にサウンド機能を搭載することもできる。またテンダーや客車等にサウンド・デコーダを搭載した場合、デコーダプログラミングの際にもモーター用デコーダと分けて設定でき、便利である。
最近主流となりつつあるモーター制御機能付のデコーダの場合は、これにモーター配線が必要となり、デコーダサイズも大きくなることから、サウンド機能だけのデコーダに比べ設置の自由度が低くなる傾向があった。ただし最近は少し前のモーター用車載デコーダと同等サイズでサウンド機能までついたデコーダが出回り、逆にスピーカ配線を少々工夫するだけで、従来サウンド・デコーダが要していた設置スペースが不要となり、むしろ搭載が簡単になる。
また、近年SUSIのようなデコーダ機能拡張モジュールを使ったサウンド搭載も選択肢に入るようになった。SUSIの場合、最大4線の通信線を介してサウンド・モジュールを増設することになるが、別途サウンド・デコーダを用意するケースに比べ、基盤サイズがひとまわり小さくなるメリットがあり(機能の多くをデコーダに依存するため)、搭載の自由度を高める他、故障時の切り分け等も簡単になる。

スピーカの選択・設置

サウンド・デコーダの搭載より、実のところスピーカ搭載のほうが問題点が多い。
大型模型では音質・音量重視で設置すればいいが、HO以下では音質・音量・サイズのバランスを取る必要がある。スピーカは小型化すれば音質・音量で不利になることから、ぎりぎり妥協できる音を出す、最小のスピーカを選ぶことになる。ただ、幸い近年は携帯電話の音楽機能が強化されたのにともない、携帯電話に内蔵できるサイズでも納得できる音質・音量のスピーカが手に入るようになってきた。各サウンド・デコーダメーカーからも発売されているが、秋葉原等の電子部品店を回れば数100円程度で十分な性能のものが手に入る。
スピーカの設置に関しては、少々のノウハウが必要となる。狭い車内にスピーカを設置する場所を探すことすら難しいのに、設置方法で音質・音量とも大きく変わってしまうからである。簡単にまとめると、テンダー等にスピーカを上向きに設置すれば音は大きくなるが、広がってしまい下向き設置より聞こえにくくなったり、機関車の足元から音が聞こえる下向き設置よりリアリティがなかったりする。またスピーカ裏側からの音が前に回りこまないようにしないと、裏側の音と表側の音が打ち消しあって音が小さくなるので、これを防止するためエンクロージャ等を設ける必要がある。
車両ごとにどの搭載方法がベストかは変わってくるので、後付でスピーカを設置する場合は試行錯誤が不可欠になってしまうし、スピーカ・ボックス等の一般的な研究も必要になる。

サウンドの編集


レイアウト上のサウンド


サウンド・デコーダの主要メーカー


小型模型へのデコーダ搭載

今のところ、Nゲージ以下の小型模型へのサウンド・デコーダ搭載は試行錯誤段階と言える。いくつかデコーダ搭載済車両も発売されているが、重連仕様だったり固定編成のDCだったりと、1台の車両にデコーダとスピーカ双方を積み込む難しさが現れている。それでも、蒸気機関車等ではテンダー(炭水車)に余裕があることもあってファンの搭載実績はかなり増えている。特に携帯電話用超小型高性能スピーカが安価に手に入るようになってきたことが可能性を高めている。