苗「…その、霧切さん」 霧「何かしら、苗木君」 苗「僕の部屋に遊びに来るたびにガサ入れするの、止めてくれないかな…」 霧「あら、何か不都合でもあるのかしら?」 苗「あるよ、そりゃ…見られたくないものだって、色々あるし」 霧「…こういう本とか?」 苗「……」 霧「私がガサ入れするってわかってるのに、よく毎度懲りずに買ってくるわね…今回は洋モノ?」 苗「ぼ、僕が買ってるんじゃないよ! 桑田君が勝手に…」 霧「その割には大事そうに机の棚に仕舞ってあったけど? 要らないのなら捨てればいいと思うわ」 苗「う……」 霧「…モザイク処理がほとんどされてないわね。検閲とか大丈夫なのかしら」 苗「ちょ、勝手に読まないでってば!」 霧「……口の利き方がなってないわね、苗木君。舞園さん辺りにバラしてもいいのよ?」 苗「なっ!? そ、そんなの酷いよ…」 霧「酷いというなら、こっち本の方ね。強姦紛いの企画モノなんて犯罪すれすれの…」 苗「そうじゃなくてっ! …誰にだって知られたくない秘密とか、プライベートなことってあるでしょ…!?」 霧「そういう偉そうな台詞は、十八歳以上になってから言いなさい」 苗「う、うぅ…」 霧(それにしても…どれもこれも、スタイルの良い女性ばかり) 霧(そういえばこれまで見つけた本も、巨乳の女性が多かったわね…) 苗「はぁ……」 霧「…あなた、胸は大きい方が好みなの?」 苗「ぶふっ……と、突然何?」 霧「…別に。そういう女性ばかり写っているから、そうなのかと思って」 苗「まあ、そういう本だから…」 霧「それで…どうなの?」 苗「…なんでそんなこと、霧切さんに言わなきゃいけないのさ」 霧「…腐川さんや朝日奈さんが知ったら、二度と口を聞いてくれないんじゃないかしら」 苗「う、ぐっ……」 苗「…っていうか、何で霧切さんは気にしてないの?」 霧「思春期の高校生男子としては妥当な行動だと理解しているからよ。それに、これくらいで怯んでいては探偵は務まらないもの」 苗「…なんていうか、理詰めだね」 霧「話を反らさないで、私の質問に答えなさい」 苗「…あんまり、そういうの気にしたこと無いから」 霧「へえ…女なら何でもいい、ってこと?」 苗「違うってば! その、なんていうか…大きくても小さくても、っていうか、胸だけ見ているんじゃない、っていうか…」 霧「じゃあ、どこを見ているの?」 苗「な、なんで今日はそんなグイグイ来るの!?」 霧「……」 苗(霧切さん、探偵の目になってる…これは逃げられそうもないな) 苗(適当かつ無難に嘘をついて、乗り切るしか…) 苗「お…」 霧「……」 苗「お尻…かな」 霧「お尻…ですって…?」 苗「う、うん…」 霧「……」 苗「あの、霧切さん…?」 霧「……帰るわ」 苗「そ、そう? …って、なんで本も持っていくの?」 霧「…桑田君が勝手に置いていったものなら、要らないでしょう?」 苗「それは、そうだけど…」 霧「この部屋に置いていったせいで、万が一にもあなたがいかがわしいことをしないために…この本は没収よ」 苗(なんか釈然としないけど…霧切さん、なんか怖いし…) 苗(もしかして、僕が適当に「お尻」とか言ったからかな…) 苗(…もしかして、僕が霧切さんのお尻をジロジロ見ていた、とか思われてるんじゃ…?) 霧(…お尻、だなんて…完全に想定の範囲外だったわ) 霧(引き締まった形の良いお尻が好き、ということかしら…それとも大きさとか柔らかさ…?) 霧(どちらにせよ、この本を読んで詳しく学ぶ必要があるわね…) あー! 霧切ちゃん、エッチな本持ってるー!!> 違っ、これは誤解よ朝日奈さん…> ----