ダンガンロンパSSまとめwiki内検索 / 「ある探偵の個人的悩みからくる憂鬱」で検索した結果

検索 :
  • ある探偵の個人的悩みからくる憂鬱
    あの狂気の学園から脱出して早1日目が終わろうとしている。 冷たく重い扉を開けた先に私達を待っていたのは、数々の事実であり そのことは私たち皆に少なからずショックを与えていた。 しかし、だからといって私達は立ち止まるわけには行かない。 私たちは希望であり、前に進むことが死んでいった仲間たちに報いることになるのだから。 そうして日が暮れるまで外の有様をひと通り把握した後、私達は今や出迎える人がいなくなってしまった 無人のビジネスホテルにて今日の疲れを癒している。 設備自体は学園に比べてひどく劣化しているものの、監視カメラがないというだけで、 ここまで気分が違ってくるものかと驚いた。 やはりモノクマの姿を連想せずに済むというのは、ひと際の開放感を与えてくれているらしい。 だが、そんな気分も先程の夕食での会話を思い出すと吹き飛んでしまう。 あの忌々しい殺...
  • 霧切響子個人スレSS その1
    ... NdRSnDZm ある探偵の個人的悩みからくる憂鬱 329-334 QDU/+TFe 苗木の手料理 340-341 U/k3hyrv 苗木の受難? 388-389 L2D0/yXa 睡眠薬ネタ 390,397-398 VUTOrs7Y,wDevawtT 霧切さんの裸エプロン・・・だと? 454-461 +aR8vlQS 霧切さんのお手伝い 468-469 RXVw85kR メイド喫茶 572 H7/AqMX6 髪 619-620 wQaaLtus 看病ネタ 696-698 GderTKPr 苗木君の誕生日・前編 714-715,805-807 GderTKPr 苗木君の誕生日・後編 733-735 SV39v0sh 霧切さんコミケへ行く 773-784 h9sRur5o Beautiful Years ~記憶の彼方の親友~ 霧切→舞園   おまけ 919-9...
  • kk9_272-276
    いつから目で追いかけるようになったのだろう…… いつからこんなに胸が痛くなるようになったのだろう…… いつから彼女のことを好きになったのだろう………。 それは彼女を初めて見た時からなのだろうか いつもの様に何気ない会話をしていた最中なのだろうか めったに表に出さない素の感情を見れた時なのだろうか ……いつからなのかは分からない。けれどこの気持ちだけは確かに分かる。 ――僕は霧切さんが好きだ。 きっかけも理由も分からない。 気が付けばいつも霧切さんのことを考えている。 朝から霧切さんと会話できたらその日1日はずっと幸せな気持ちになるし。 霧切さんが探偵の仕事で会えなかったらその日1日はずっと寂しい。 だから休みの日は何かと理由を付けて一緒に過ごせるようにしてるし 探偵の助手を名乗って常に側にいられる様にしている おかげで僕はいつも幸せな気...
  • あなたの隣で 5章 探偵 苗木誠
    新たな生活も落ち着き、響子はしばらく休業していた探偵の仕事を再開した。かつてのように誠と二人でこなしていたが、昔と違うのは誠が助手ではなく響子と同じ探偵であること。 しかも、響子が思っている以上に誠は腕の良い探偵となっていた。 初めて一緒に仕事をした日、依頼の内容は密室殺人事件の解決だった。響子は時々調べて分かったことを口に出すものの、それをどういう風に考えて事件を解決に導くかは、 ほとんど誠に任せていた。探偵になって、活動もしていたという誠の実力を見てみたかったのだ。  事件の被害者は男性で、彼は鍵のかかった部屋のベッドの上で胸をナイフで一突きにされて絶命していた。第一発見者は被害者の友人である男性と女性の二人だった。 被害者には家族がなく、二人が一番親しい間柄だったらしい。 彼らが被害者の部屋を訪れた際には鍵はかかっており、事前に連絡を取っていたというのに...
  • 探偵ネタ
    「苗木君、今すぐ服を脱ぎなさい」 「……は?」 ここは希望ケ峰学園探偵同好会室。 メンバーはボクと霧切さんだけの小さいと言うのもおこがましいほどの同好会だ。 ある程度実績がある為、部屋を与えてもらっている。 無論その実績の9割以上は目の前の彼女の功績だ。 そんな超高校級の探偵の彼女は、今ボクを指刺しながら理解不能な言葉を吐き出した。 「えっと…よく聞こえなかったんだけど……、もう一回言ってもらえるかな?」 多分聞き間違いだろう。 霧切さんは表情を表に出さないクールな女性だ。 2人だけの部屋でそんな服を脱げとかそんなことを言う人じゃ… 「服を脱ぎなさい、そう言ったのよ」 言う人だった。 いやいやいやいや、あれだ、理由とかあるんだきっと。 霧切さんと2人で今まで居たけどそんなアレはなかったし、 それ...
  • k18_471
    友達です、と紹介すると、不機嫌になる。 知り合いです、と紹介すると、しばらく口をきいてくれなくなる。 探偵の霧切さんです、と紹介すると、傷付いたような顔をして目を伏せる。 なので今日は思い切って、逆ベクトルで責めてみようと思ったのだ。 「霧切響子さん。僕の大切な仲間です」 すると彼女は頬を真っ赤にして、じろり、と無言で僕を睨みつけた。 一体僕は、彼女をどう紹介するべきなんだろう。
  • こちら苗木誠探偵事務所4
    「おーい苗木っち! 今度のテストなんだけどさぁ」 「苗木ー! 霧切ちゃーん! ドーナツが上手く焼けないのー!」 「我より強い戦士を……探している」 「え、ええっとー。あはは」 「…………頭が痛いわ」  苗木誠探偵事務所は、ただの何でも屋になりつつある。 ――にゃー。 最初はそれこそ迷い猫捜しに恋人の浮気調査にと、まるで小説に出てくる売れない探偵のような依頼が多かったのに。それがいつからか、 ――多分、テストのヤマはりを請け負った時からだろう――、僕らの事務所には妙な依頼が増えたのだ。 テニスの試合のピンチヒッター。アルバイト先の新メニューの考案。そして、 「――にゃあ」 「ああはいはい。ごめんよ、きょうちゃん」 「っ、………」 太ももにのせられた顎をちょいちょいと撫でる。サテンのようになめらかな感触。黒蜜のようにとろりとした深い黒の毛皮。 『猫を預か...
  • kk11_456
    苗木君と霧切さんが未来機関でそれなりに親密になったら 霧切さんが苗木君にいろいろ捜査とかの手ほどきをしているんだけど 自分の教えた技術で、逆に苗木君に追い込まれてしまえばいい、という妄想 霧「…つまり、動揺している人間を見定める手段が必要になるの。ここまではいいかしら」 苗「うん」 霧「個人差はあるけれど…視線の動きや頬の色に着目するのが一番分かりやすいわね」 苗「他には?」 霧「そうね……手が冷たくなっていたり、あとは…手で唇や鼻を触るというのも…」 苗「なるほど…けど、それでも認めない相手には、どうしたらいいの?」 霧「一番は、相手の矛盾を突いて論破して、追い詰めて自白させることね」 苗「な、なんか…エグイね、表現が」 霧「……必要な事よ、探偵業には」 苗「……じゃあさ、霧切さん」 霧「何?」 苗「…僕、霧切さんの...
  • k18_908
    希望ヶ峰学園宿舎入口 真夜中にも関わらず、僕、苗木誠はそこを何度も往復している。 探偵の仕事で遠出していた霧切さんが、今日明日中に帰ってくると聞いて、僕は居ても立っても居られなかった。 明日まで待てばいい。そう思いながらも僕はやっぱり「それ」を1番に言いたかった。 「……苗木くん?」 あと少しで明日になる時、彼女の声が届いた。ナイスタイミングだ。 「こんな時間にどうしたの?」 「霧切さんが帰ってくるのを待ってたんだよ」 数秒の間をあけ、時計を確認した僕は彼女に向かって―― 「誕生日おめでとう。霧切さん」 今日、霧切さんの誕生日になってすぐ、僕はプレゼントを差し出した。
  • 誇りと感情
    他人とは深くかかわらない。なぜなら無駄な感情を抱いてしまうから。 「霧切ちゃん!ドーナツ・・・違う、お昼一緒に食べようよ!」 クラスメートが今日も話しかけてくる。 「ごめんなさい。気持ちだけ受け取っておくわ」 クラスメートは残念そうに「そっか・・・じゃ、また今度ね!」と言い、いつもの友達の集まりに入っていく。 そう、これでいい。 探偵に無駄な感情は命取りとなるから。 かといって断りを入れたこの教室にいるのも心地悪い。 (まだまだ・・・ね) そう思いつつ霧切響子は教室を出て行く。 すれ違い間際に会ったクラスメート――短い黒髪に鼻の辺りにそばかすがある、とても無口な少女。 いつも彼女からは死のにおいがする。そして、自分と同じ超高校級の「何か」と明かしていない彼女。 似ている、いや、何かが決定的に違う。それが何かは分からないけれど。 ただひとつ...
  • 霧切さんコミケへ行く
    私が教室に入った時、苗木君は誰かと携帯電話で話しているようだった。 「うん…わかったよ。日曜の昼に、駅前だね。それじゃ…」 そう言って通話を切った苗木君は、何故か私に気づいて慌てた様子を見せた。 「き、霧切さん!?いつの間に」 「…今来た所よ。苗木君こそどうしたの?そんなに驚いて」 「えっ…ああ、霧切さんに気づかなかったから、びっくりしちゃって…ゴメン、ボク、もう帰るね」 苗木君は私を避けるように教室を出て行った。 …おかしい。いつもの彼なら「霧切さん、一緒に帰ろう」って言ってくれるのに。 まるで何か私にやましいことでもあるみたいだ。 (まさか今の電話…デートの約束を?苗木君が?) 私の中にモヤモヤとした気持ちがわきあがってくる。 努めて心を落ち着けようとするが、それは治まるどころか強くなる一方だった。 次の...
  • こちら苗木誠探偵事務所6
    「――はい。……はい。……それでは、失礼します」 「…………霧切さん」 「……苗木君。待っていてくれたのね」 「うん。……えっと、」 「とりあえず、事務所に戻りましょうか」 「そう、だね」  苗木誠探偵事務所は、いや、希望ヶ峰学園は……、えっと、どこから話せばいいかな。 「ただいま……あ」 「苗木君の家は、ここなのかしら?」 「ちょっと間違えただけだよ」 「それが一回や二回なら、私も貴方の言葉を信用したのにね。……ふふ」 「勘弁してよ、もう」  霧切さんがうっすらと微笑む。重く沈んでいた空気が、ほんの少しだけ軽くなったような気がした。  勝手知ったるボクらの探偵事務所。目を瞑ったってボクは自分の椅子まで辿り着けるだろうし、霧切さんならきっとコーヒーまで淹れて見せる。 それほどまでに慣れ親しんだ事務所にいるのに、ちっとも...
  • kk4_32
    苗木「これが事件の真相だよ!(キリギリッ)」 苗木「ただいま、きり……響子さん」 霧切「お帰りなさい、なえ……誠君」 苗木「……そろそろ下の名前で呼び合うのにも慣れないとね」 霧切「……そうね。それで、事件の方はどうだったの?」 苗木「うん。響子さんの言った通り、犯人のアリバイを崩す鍵は支配者のTバックだった。    今回も無事に事件を解決できたよ」 霧切「そう、良かったわ。最初はあなた一人に現場を任せるのは心配だったけど、この調子なら大丈夫そうね」 苗木「そんな、響子さんのお陰だよ!」 霧切「いいえ、あなたは立派にやっているわ。私もできるだけ早く現場に戻るから、それまではお願いね」 苗木「響子さん……褒めてくれるの嬉しいけど、それは違うよ! 当分は自分とお腹の中の子のことを一番に考えなきゃ!    ボクも何とか頑張るからさ、現場復帰のこと...
  • 苗木誠観察日記
    ○月×日  探偵の仕事で出先から帰ってくると、玄関ロビーで苗木君が迎えてくれた。  食堂で出された私の分の夜ご飯を、わざわざ取っておいてくれたらしい。  今回の事件の内容だの、出先の天気はどうだっただの、色々と聞いてくる。  当然事件の経緯は機密事項だし、出先の天気だなんてどうでもいい。  彼には悪いけど早く休みたかったので、質問も適当にいなして部屋に戻った。  …別れ際。苗木君が捨てられた小動物のような、寂しそうな目をしていたのが、少し気にかかる。  明日はお土産でも持って行ってあげようかしら。 ○月△日  苗木君が風邪を引いた。  今日は土曜で、多くのクラスメイトが彼の部屋を訪ねていた。  普段は冴えない彼だけれど、それなりに人望を集めていたようだ。  他のみんなが帰ったあとで、お土産を渡すついでに見舞いに向かう。 ...
  • 愛のMTB
    「霧切さん、もう逃げ場はないよ。ここで決着をつけよう。……クロは――僕の心を盗んだ犯人は君だ」 とうとう追いつめた。ここには逃げ場はない――ここは僕らの教室、入り口の前に僕が立っている。 「苗木君のクセに生意気ね……」 ―――――― 僕は霧切さんの事が好きだ。けれど、最近避けられている。 僕が何か迷惑をかけた訳じゃない。 全く身に覚えもないし、第一理由がない……だって霧切さんも僕の事好きなはずだし。 ――これには確信を持てる。僕なりにウラをとった、霧切さん直伝のやり方で。 だというのに何故か避けられる。普段なら一緒に登校して、一緒に下校する。 たまに寄り道したり、休日に遊びに出かけたりもする。―もちろん助手として霧切さんの手伝いをさせてもらうこともある。 ここ最近はそれらのイベントが一切発生しない。このままじゃこの気持ちを伝えないまま別れてしまう。 それだけは...
  • kk6_465
    苗(あ、ロボコップのだ…懐かしいな、よく家族揃って一緒に見てたっけ) 霧『何? このロボコップとかいう…幼稚なヒーローもの』 苗『……』 霧『ここは子供向けのコーナー…というわけでは、ないわね。なぜこんな……苗木君?』 苗『…何、霧切さん』 霧『あなた、もしかして…好きとかいうんじゃないでしょうね、コレ』 苗『…別にいいでしょ。僕の趣味なんだから』 霧『前から思っていたけれど、子供っぽいわよ。あなたの趣味』 苗『……』 霧『もう少し慎みを持ちなさい。ましてやこんな、似非科学のヒーローアクションなんて…』 苗『……わかったよ』 霧『…そう。わかってくれればいいのよ』 苗『霧切さんはそうやって、誰かの個人的な趣味や大切な思い出に、酷い言葉を吐ける人なんだね。よくわかったよ』 霧『え、ちょ、』 苗『見損なったよ、霧切さん』 霧『な、なによ…!...
  • kk9_358-360
    とあるバス停にて 「ツいてないね、予報では午後から―なんて言ってたのに」 「あくまで天気予報は予想でしかないのよ。外れる事なんてザラよ――それに山の天気は変わりやすいもの」 「それにしたって天気も空気を読んで欲しいよ。折角、霧切さんがスパッと事件を解決したのに」 「……そうね、でも被害者を悼む涙雨ともとれるんじゃないかしら」 「そうだよね、ゴメンね。不謹慎なこと言っちゃって」 「いいえ、私も雨が憂鬱なのは同じだから…探偵の性とはいえ事件に巻き込まれるのも、ね」 僕達二人は、僕がたまたま当てた福引きの日帰り旅行に来ていた。 ちょうどペア券だったし、運良く霧切さんの予定も空いていたので、勇気を出して誘ってみた。 一応、普段頑張ってる僕へのご褒美って名目で。 普通に誘ったんじゃ断られるかもしれないし、助手として頑張ってる僕の労をねぎらうという形にしてもらった。 ...
  • kk7_817-820
    "来い" 希望ヶ峰学園から届いた封筒の中にあった一枚の紙切れ。 誓約書みたいな署名を記入する欄が一つもなく、その二文字だけが書かれていた。 最初は書類の誤送か何かと思って、電話で問合せ先の学生課に確認をとってもらった。 そして保留中に流れるメロディの後に応対した人が学園長の父さん本人だったわけだ。 予想外の展開に僕は戸惑っていると、父さんの方からここで会うように指定してきた。 「詳しいことはその時に話す」って一方的に電話は切られたけど。 僕らの席のテーブルにブレンドコーヒーが2つ置かれた。 お互いソレに手を付けず、カップから浮き出る湯気だけが浮いている。 「まず、その書面は本当に私以外の人が書いたものだと疑わなかったのか?」 「それは……思わなかった」 「……その理由を聞かせてくれるか?」 「学園長という立場が忙しいから...
  • kk7_943-949
    「…待っていたわ、苗木君」  歯磨きをしようと洗面台へ向かったら、僕の歯ブラシを持った霧切さんが仁王立ちしていた。  何を言っているのかわからないと思うけど、僕もわからない。 「えっと…それ、僕の歯ブラシだよね?」  当たり障りのないジャブから入る。  そんなこと見ればわかるだろう、とでも言いたげに、不服そうに霧切さんが眉をしかめた。  いやいや、わかるんだけど、全然わからない。 「あの…歯磨きたいから、返してくれないかな、それ」 「…何故私が貴方の歯ブラシを持っているかについては、疑問じゃないのかしら?」  残念ながら、自分から地雷を踏み抜く趣味はない。 「一応、誤解のないように言っておくけれど」  霧切さんは僕の歯ブラシを握り締めたまま、ビシッと此方に指を突きつける。 「貴方の歯ブラシをどうこうしようとかいう変態趣味が私にあるワケじゃない...
  • kk6_572-577
     絶望は終わった、という言い方は正しくないかもしれない。  江ノ島盾子が死の間際に残した“希望と絶望は表裏一体”という言葉は、きっと真実なのだと思う。  希望の先には絶望が、そしてその絶望を乗り越えた先にはまた希望が。  生きる限り、そのサイクルが終わることは無いのだろう。  だがそれはそれとして、一先ずは。  世界は絶望から立ち直り、ひととき平和という名の希望が訪れようとしている。  僕らがあの学園を“卒業”してから、五年。  少しずつではあるが、世界は僕らのよく知っていた日常の姿を取り戻しつつあるのだ。  そして、その傍らで。  僕個人の――いや、“僕ら”の人生においてもまた、大きな転機が今まさに到来している。 「ただいま」  帰宅の挨拶を口にしながら玄関のドアを開く。  数ヶ月前に構えたばかりの“僕ら”の新居。  それまでは僕らにとってオ...
  • k18_173-175
    ※ダンガンロンパ霧切に関連づいた話題もあるので閲覧注意してください 放課後、霧切さんと自室で勉強会を始めてから二時間が経過しようとしていた。 徐々に僕の集中力も途切れ、ペンを走らせる手も止まりテキストと睨めっこする時間の方が多くなってきた。 うーん、わからない。こうなったら――。 「き……」 りぎりさん。ちょっとここ教えてほしいんだけど――という続きの言葉が僕の口から発せられることはなかった。 と、いうのも僕は思わず霧切さんの黙々と自分の課題を進ませている姿が完成された絵画のように見えたからだ。 「どうしたの?」 僕の方を見ずに次のルーズリーフにペンを走らせる霧切さんの姿に見蕩れていた――なんて正直に言えるわけもなく、適当に誤魔化すことにした。 「……き、霧切さんにとってさ、探偵ってどういうものなのかなーなんてふ...
  • ナエギリ顛末記 2/2
    玄関で靴を履き替えた僕の背中から、女将さんが声を掛けてくれた。 「お怪我の方、大丈夫ですか?」 「はい、ご心配なく。……それと色々ご迷惑かけてすいません」 「いえいえ、お気遣いなく」 ブーツを履き終えた霧切さんも立ち上がり、女将さんの方を向いて挨拶をする。 「色々わがまま言ったにも関わらず、それに応えていただき有難うございました」 「お客様がご満足していただければ私達従業員は嬉しい限りでございます。ご満足いただけました?」 「はい、とっても」 「えぇ、素敵なサービスでした」 「それではまたのご宿泊、心よりお待ち申し上げております」 笑顔で出発を見送ってくれた女将さんに手を振りながら僕らは旅館を後にした。 ~ ナエギリ顛末記 2/2 ~ パーカーのポケットの中に入れていた手袋を右手のみ嵌める。 左手は手袋を嵌められない以上、コートの...
  • kk9_383-388
    事件現場と化したホテルの部屋は、たちまち探偵助手である僕のテスト会場になった。 警察がこの部屋に押し寄せてくる前にハウダニット、"どうやって犯行が起きたのか"を僕に推理してもらうことになった。 しかし、何から調べればいいんだろう――? → 被害者を観察してみる   部屋の様子を調べてみる まずは大の字に倒れている男の人、名前がわからないので"被害者A"の体をよく見てみることにする。 顔や体中が痣だらけで、気絶に至った一撃がどれなのか正直判別できない。 それにステテコ一丁だけというのも何か引っかかる。 この人がホテルに入った時の衣服が見つからないのも、この部屋を選んだってわけじゃないのかな? 「ん? これは……」 そんな被害者のすぐ近くに凶器のドスが転がっている。 けれど血液の付着もなく、刃こぼれし...
  • kk6_322-329
    『○月◇日 響子 誕生日』  白いクロスの敷かれたテーブルには三本の蝋燭が立てられたバースデーケーキ。  その正面には、銀髪の少女が大きなクマのぬいぐるみを両手で抱え座っている。  屈託の無い満面の笑顔は、きっとファインダーの向こうにいる両親に向けられているのだろう。  本当に幸せそうなその表情を見ていると、なんだかこちらまでもが嬉しくなってくる。  とても暖かい、素敵な写真だ――そう思う。  ふと顔を上げ、隣を見やる。  と、 「……何?」  視線に気付いた霧切さん――すなわちかつての写真の少女が無愛想にそれに応える。 「いや、何ってわけじゃないんだけど」 「なら、私の方を見る必要はないわね。そっちだけ見ていればいいでしょう?」  僕の膝の上のアルバムを指差す霧切さんの顔は、いつもに比べてやや仏頂面寄りのポーカーフェイスを作っ...
  • kk6_897-898
    苗「…その、霧切さん」 霧「何かしら、苗木君」 苗「僕の部屋に遊びに来るたびにガサ入れするの、止めてくれないかな…」 霧「あら、何か不都合でもあるのかしら?」 苗「あるよ、そりゃ…見られたくないものだって、色々あるし」 霧「…こういう本とか?」 苗「……」 霧「私がガサ入れするってわかってるのに、よく毎度懲りずに買ってくるわね…今回は洋モノ?」 苗「ぼ、僕が買ってるんじゃないよ! 桑田君が勝手に…」 霧「その割には大事そうに机の棚に仕舞ってあったけど? 要らないのなら捨てればいいと思うわ」 苗「う……」 霧「…モザイク処理がほとんどされてないわね。検閲とか大丈夫なのかしら」 苗「ちょ、勝手に読まないでってば!」 霧「……口の利き方がなってないわね、苗木君。舞園さん辺りにバラしてもいいのよ?」 苗「なっ!? そ、そんなの酷いよ…」 霧「酷いとい...
  • kk5_912-914
     僕が彼女と一つ屋根の下で暮らすようになって、もうすぐ一ヶ月が経とうとしている。  無口でクールな女の子という初対面の時の印象。  探偵の仕事にかける深い情熱。  父親に対する複雑な思い。  ふとした時に見せてくれる、とても綺麗で素敵な笑顔。  今日に至るまで、僕は彼女のいろんな顔を見てきた。  そして――ここ最近の間に、僕は彼女の新たな一面を知ることになった。 「響子さん、そろそろ起きないと」 「く、うぅん……起きてる、わよ……」 「いや、そうじゃなくてさ……布団から出てこようよ。もう昼の一時過ぎてるよ?」  彼女は朝に弱い。  それも、ひとかたならず。  探偵として他者の前で自分を律している時には決して見せない意外な弱点――といったところだろうか。 「昨日私が何時にベッドに入ったと思っているの……五時半よ」  布団から顔...
  • kk4_817
    霧切「苗木君、あなたに手伝って欲しいことがあるの」 苗木「うん、いいけど。それって、また探偵の仕事?」 霧切「その通りよ。引き受けてくれて助かるわ」 苗木「それで、今度は何をするの?」 霧切「潜入捜査というやつよ。    私が調べている事件の関係者があるパーティーに出席するのだけれど、そこに潜り込むのにあなたもついてきて欲しいの」 苗木「パーティーって、どんなパーティー?」 霧切「議員の主催する、よくあるものよ。まあ、それなりに大規模なものだれけどね」 苗木「それは……なんだか緊張するなあ。ボクなんか思いっきり場違いな気がするんだけど」 霧切「私がついているんだから、心配しないで。……いえ、むしろ自然な潜入を果たすためにはあなたの協力こそ必要なのよ」 苗木「そ、そうなの? ボクなんかで大丈夫かな」 霧切「ええ。不審を買わず会場に紛れ込めるよう、私...
  • k20_560-562
    「おとうさまっ!」 ――ああ、またこの夢だ。 「ん? どうしたんだ響子?」 「あのね、抱っこして欲しいのっ!」 「ああ、いいよ。おいで」  あの、写真と同じ。 「わぁっ!」 「そらっ、どうだ響子? 高いだろう?」 「ほんとうだぁ! おとうさまより高い高いっ!」 ――カシャリ  不意に聞こえるシャッター音。 「おっ、写真撮ったのか?」 「ええ。凄くいい笑顔だったから」 「おかあさま、写真とったの? 早く見たいわ!」 「そうね。現像しないとけないから、ちょっとだけ待ってもらうことになるけど、いいかしら?」 「わかったわ!」  優しい母の声。  不意にそれは終わる。いつも、そう。 「やだっ……どうしておかあさまは起きないの? ねぇ、どうしてっ? おとうさま、どうして...
  • KK5_826
    苗「あれ、霧切さんそれって……」 霧「気付いたみたいね。そう、ダンガンロンパのラバーストラップよ」 苗「あれ? たしか10月発売じゃなかったっけ?」 霧「ええ、その通りよ。これは正規の販売品ではなくて小売向けの見本品なの」 苗「でもそんなもの、普通は手に入らないんじゃ?」 霧「普通ならね。だけど……私が超高校級の何なのか忘れたのかしら?」 苗「まさか……」 霧「朝飯前というやつね」 苗(探偵の能力を使ってまで……そんなに欲しかったんだ) 霧「ああ、一応言っておくけれど正当な取引のうえでのことよ。別に法に触れるようなことをしたわけじゃないから」 苗「うん……それは分かってるよ」 霧「あなたも欲しい? 一つくらい分けてあげるわ」 苗「いいの?」 霧「どれでも好きなのをどうぞ。ただし、あなたのは駄目よ」 苗「え、なんで?」 霧「……何でもいいじゃない。とにかく、あな...
  • 特命係長 ただのまこと
    「絶望ヶ淵学園?」 「そう。江ノ島さんが総合プロデュースするといって先日開校したの」 朝一番に学園長に呼ばれて学園長室に足を運んでみれば、顔の前に組んだ両手を置いて某司令みたいに神妙な顔つきで前述したキーワードを告げたのだ。 何だかどこかで聞いたことのある単語、そしてプロデューサーが知人ということもあって僕も思わず眉を顰めてしまう。 「……これで何度目ですか?」 「それ以上は言わないで、誠君……」 数えるのも億劫になる頻度に思わず僕は顔を逸らした。 今回で七度目よ、学園長はその言葉を告げると同時に溜め息を吐いた――。 ――霧切 誠。 希望ヶ峰学園・総務第二課の係長。 しかし、それは表の顔に過ぎない――。 彼には学園長直属の特命係長として様々なトラブルを解決するという、もう一つの顔があった! ~ 特命係長 ただのまこと ~ ...
  • 大人ナエギリ 続・キスの意味編
     いつか、霧切さんが褒めてくれたことがあった。  成長し続ける『苗木』、相手に対して誠実であるようにと『誠』。  「貴方の名前は好きよ」だなんて言われて浮かれた僕は、その日はずっと自室でモジモジすることになったんだけど、  翌日よく思い出してみれば、ソレを告げた時の霧切さんの顔はやや陰っていた。  アレは僕の名前を褒めたのではなく、言外の「私の名前は嫌いよ」というアピールだったのか。  そう理解して、翌日彼女の元を訪れれば、ようやく気付いたのか、と呆れられた。 「推理を進めるのに必要なのは論理だけど、推理を始めるのに必要なのは違和感なのよ、苗木君」  部屋着の彼女は、いつもより少しだけ無防備に見える。  男物のコートにグローブ、ロングブーツ、黒を基調とした露出の少ない服装は、見るモノを威圧する。  今日の霧切さんは、ホットパンツにタンクトップ。  やや...
  • kk6_206-210
    「――何をしているの、苗木君…」  声に呼ばれて顔を上げれば、不機嫌を隠そうともせず仁王立ちしていた。  彼女は『超高校級の探偵』霧切響子さん。  僕の大切な、…仲間だ。  僕がこの学園で生き延びられたのは、ひとえに彼女のお陰によるところが大きい。  学級裁判では次々と推理を展開し、黒幕をも追い詰めてみせた。  一番最初の学級裁判で折れかけていた僕の心を立ち直らせてくれたのも、彼女の言葉。  さて、そんな彼女が顔面蒼白ながらも、珍しく怒りをあらわにしているのは、  僕の手の中にある、分厚い一冊のアルバムが原因だと推察される。 「それは私が学園の外に持ち出す必要が無いと判断して、ここに置いていったものよ」 「や、あの…」 「それを…どうしてあなたが手にしているのかしら…?」  言い訳しようとして、遮られる。  いつもの冷静な彼女...
  • 苗木君が怒る時
     苗木君は時々、ひどく私を責める。  乱暴とも、強引とも違う、彼の人の良さからくる熾烈さだ。  けっして暴力をふるわれるとか、罵詈雑言を浴びせられるとかはない。  いつも通りに優しいまま、スイッチが入ったように厳しくなるのだ。 「無理はしないで、って言ったじゃないか」  力強く手を引かれ、押し倒すようにしてベッドに寝転がされる。  声音で、怒っているのが分かった。  感情任せに怒鳴り散らすことはないし、私のように冷たく無機質な声で責めることもない。  ほんの少し、いつもよりも声が低くなるだけ。  ただ、彼の怒り方には、そう――― 「……ごめんなさい」 「僕に謝っても仕方ないだろ、霧切さんの体なんだから」 「……、…」 「上着脱いで。薬と飲み物取ってくるから、その間にちゃんと熱測ってね」  手際良く私をベッドに抑えつけるよ...
  • kk7_87-88
    「わたしのお父さん」 わたしのお父さんは「しゅふ」です。 誰よりも朝早く起きて朝ごはんを作ってくれます。 わたしが学校から帰ってくると、宿題のお手伝いをしてくれたり、チェスの相手をしてくれたりします。 いつもやさしい笑顔でわたしを見てくれるお父さん。 そんなお父さんがわたしは大好きです。 でも、そんなお父さんもお母さんの前では頭が上がらないようです。 日よう日に家族みんなで動物園にお出かけした時でした。 お父さんとお母さんが何を見るかで言い合いになりました。 すると、お母さんが 「ここまでいえばわかるわね、まことくん」 と、お父さんにいったらすぐに仲直りしました。 おさるさん、大好きなウサギさん、パンダさんを見れて楽しかったです。  ----- 「なかなか面白い作文ね」 「でも周りの父兄さんに聞かれると少し恥ずかしかったかな」 ...
  • kk22_851-854
    「え、苗木くんの誕生日?」 探偵の仕事で遠出していた霧切響子が学園に戻ってきて告げられたこと。 それは2月5日が苗木誠の誕生日だということであった。そして現在の時間は……。 「22時……。今からプレゼントは買いにいけないわね……」 霧切は考える。苗木の誕生日となるといろんな人がプレゼントを送るだろう。 彼の人柄のよさは誰もが認めるところであり、そんな彼は誰とも交流できつながりがある。 そして……もてる。 「舞園さんは絶対に用意してるでしょうね……。戦場さんはどうかしら?」 苗木と中学が同じの超高校級のアイドル、舞園さやか。超高校級の軍人、戦場むくろ。 霧切も含め3人もの美少女が苗木に特別な感情を持っている。 特に苗木と舞園は中学が同じだったこともあり、互いに想いがあるようだ。 「……どうしようかしら」 ...
  • kk7_679-681
    ※作中の個人、団体、事件はすべて架空のものです。  ――――― 「姉さん、起きて、姉さん。ほぉら……!」 「……きちんと聞こえているから揺すらないでくれる?」 「ダメだよ、ほっといたら二度寝するじゃないか。  明日から寮での生活をするのに、そんな調子で大丈夫なの?」 「そんな気遣い不要よ。……弟のクセに生意気ね」 そう文句を言いながらノッソリと起き上がる女性。 僕の姉さんだ。 パサつく寝癖も気にせず、欠伸をかみ殺しながら椅子に座った。 「朝ご飯」 「はいはい、もう少しで完成だよ」 フライパンで炒めたスクランブルエッグを二枚の食器に盛り付ける。 皿の隅っこにケチャップを添えれば出来上がった。 「はい、どうぞ」 「ん、ありがとう」 エプロンを椅子の背もたれに掛けて、僕も姉さんとは反対側の椅子に座る。 普段使うことのない、もう一つの椅子に。 ...
  • とある寄宿部屋にて
    苗木君と霧切さんは寄宿生ってことで 有り得たかも知れない過去の一風景を。 「霧切さん、ここの数値なんだけど……」 「ここはこっちの数値と比例しているから、平均値を取れば……後は分かるわね、苗木君」 「んっと、この平均値が比例で……そうか、分かったよ。ありがとう、霧切さん」  物理の実験で宿題として出された、実験のレポート作成。  霧切さんと同じ班で実験していた苗木は、どうせ実験結果が共用のものなのだからと、霧切を自室に呼んで一緒にレポート作成をすることにしたのだった。 「これで実験結果は終わりだし、後は考察と感想か。ちょっと一息入れようか、霧切さん」 「そうね。あまり根を詰めすぎてもいい結果にはならないし」 「じゃあ僕、何か飲み物買ってくるよ。霧切さんは何がいい?」 「苗木君に任せるわ」 「わかった。じゃあちょっと待っててね」 ...
  • kk26_248-250
    「霧切、悪いが明日までにこのデータをまとめておいてくれ」 「A地区の被害状況について、本部に送る報告書の作成を頼む」 「救援物資の輸送が必要な地域の割り出しをお願いできるかしら、霧切さん」  上司からの頼み。否、命令。  立て続けに仕事を上乗せされ、内心頭を抱えるも――承諾以外の返事はあり得ない。  能力を買ってくれているのはありがたいけれど、それとこれとは話が別だ。  それでもデスク上のパソコンと向き合い、黙々と作業を消化していく事一体何時間経ったろうか。  日が傾いてくると徐々に人の数はまばらになった。私の仕事はまだ終わらない。  目の奥が疼痛を訴えてくるのを誤魔化すように、眉間の皺を指でぐりぐりと押さえる。 (……あっちは進展があったのかしら)  軽く伸びをして小休止。凝り固まった身体を解しながら同じく第14支部に勤めている元級友達...
  • 死が二人を分かつまで
     フードを目深にかぶり、早足に歩く。  両手をパーカーのポケットに突っ込み、出来る限りの早足で。  目指すのはこの建物の出入口。  しかし、正面の玄関だけは絶対に使ってはいけない。できることなら誰も意識していないような非常口が好ましい。  暗くてかび臭い廊下の奥にそれらしい扉を見つけた。先程見たこの建物の見取り図とボクの勘によれば、間違いなくこの扉の先は外に通じているはずだ。  ゆっくりと扉のドアノブに手を掛ける。  あと少し、あと少しでボクは外に出ることができるんだ。  今更だが、この一連の動作において一番重要なことはあくまで自然体であること。  決して誰にも悟られてはいけない。  特に――。 「何処に行く気なのかしら、“先生”?」  特に、ボクが一刻も早くこの場から逃げようとしていることだけは。  突然投げかけられた言葉に振り返ると、そこには見慣れた...
  • あなたの隣で 6章 探偵と幸せ
     誠がロンドンへ――響子のもとへ来て二人で暮らし、一緒に仕事をするようになってから半年ほどが経った。  普段、食事は誠が栄養バランスを考えた料理を用意し、毎回響子はその料理に舌鼓を打っていた。彼の料理は、盛り付けや味が共にクオリティが高くレパートリーもやけに多かった。 6年間のうちに料理も勉強したのかと響子が尋ねた時は、役に立ちそうなことは何でも覚えた――とだけ誠は答えた。 「今日は、牛肉の赤ワイン煮とかぼちゃスープとサラダ、それにフランスパンにしようと思ってるんだけど、どう?」  誠はいつも響子に事前にメニューを教える。人にはその日の気分というものがあるから、誠なりの気遣いだった。その気遣いに響子は感謝しつつ、 「楽しみにしているわ」と返すのがすっかり日常になっていた。 「誠君、作りながらで良いんだけど、さっき受けた依頼の内容を聞いてくれる?」 ...
  • 497-500
    希望ヶ峰学園を卒業してからおよそ半年、僕こと苗木誠は大学生になった。 今日も朝一から90分間の講義があり、僕は開始15分ほど前に教室に来て適当な席に座る。 苗木「ふああ…。」 舞園「おはようございます、苗木君。今日提出するレポート、出来ましたか?」 苗木「あ、おはよう舞園さん。えっと、レポートはその…。」 舞園「ふふ。その様子だと、まだ終わってないみたいですね。」 僕と同じ大学に進学した舞園さんが僕の隣の席に着き、いつもの可憐な笑顔を浮かべる。 舞園さんは最近歌手以外にも女優としての活動も増え、芸能人として多忙な日々を送っているため、こうして朝から大学にくるのは珍しい。 苗木「でも、あとは考察の部分だけだから、締切の5時までには十分間に合うよ。今日は午後の講義は無いし。」 舞園「そうですか。では頑張って下さいね。」 苗木「うん。」 ...
  • kk6_867
    霧「ケホッ…ごホッ、…」 舞「ほら、ちゃんと毛布被らないとダメですってば」 ファサッ 霧「…暑いのよ…」 舞「それはそうですよ、汗をいっぱい掻かないといけないんですから。それと、お粥。ほうれん草と梅、食べれますか?」 カチャカチャ 霧「あ、ありがとう…」 舞「熱いから、ちゃんと冷ましてくださいね。それ食べたら、冷蔵庫にジュース入ってますから」 霧「…迷惑掛けるわね、舞園さん」 舞「こんなの、全然迷惑でもなんでもないですよ。あ、窓開けて換気しますね」 シャッ ガラガラ 霧(…優しい娘ね。嫉妬していた自分が恥ずかしいわ) 舞「……」 舞「それにしても、苗木君と交代するかのように風邪を引きましたね…霧切さん」 霧「…ええ、そうね。彼を看病しすぎて、移ってしまったのかしら」 舞「看病しただけで、風邪がうつるでしょうか」 霧「……何が言いたいの?」 ...
  • kk4_613-614
    「お待たせしました」 目の前に置かれた広口のガラスの器に、私はほんの少しだけ胸を躍らせる。 勿論、テーブルの向かいに座る彼には、それと知られないように。 偶然通りがかった喫茶店の店先に「かき氷はじめました」と記された看板を見つけたのは苗木君だった。 日本の夏の風物詩であるところのそれは、幼い頃から海外で過ごすことの多かった私にとってあまり馴染みのない食べ物で、 それだけに興味を惹かれるものがあった私は、迷わず一服することを彼に提案したのだ。 鮮やかな青色のシロップに染められた雪山の一角をさくりとスプーンで掬いとり、口に運ぶ。 柑橘系の甘い香りと、サイダーに似た淡い酸味。 軽く目を閉じ、舌の上で氷の粒が溶けていく感触に意識を傾ける。 梅雨が明けてからというもの日に日に暑さが増していることもあり、身体の内から涼やかになる感覚がとても心地良い。 ささやかな幸...
  • こちら苗木誠探偵事務所2
     「呆れた。まさか一人でまだしりとりしてたなんて」 「そう言わないでよ。てっきり霧切さんは気付いてるものかと思ってたんだ」  返事はない。冷たい視線(今度は本当に冷たい)だけを僕によこして、霧切さんは天井を仰いだ。その動作に合わせ、座っている椅子が音もなく斜めに傾いだ。 えらく質のいいオフィスチェア。これは部費で購入したものらしい。ちなみに僕の椅子は普通の、パソコン室にでも置いてそうな回転椅子だ。 少し前までは普通のパイプ椅子だったのだけど、見かねた山田君と不二咲さん(パソコン同好会所属)が寄付してくれたものだ。 「……何よ?」 「いや、別に何も」  ちょっとずるかった。      苗木誠探偵事務所は、教室の三分の二程度の大きさしかない。    部活動に所属したことのある人ならわかってもらえるだろうか、床はリノリウムでできていて、長机が二つ、くっつけて置いてあって。  そこそこ大きなスチ...
  • あなたの隣で 3章 空白の6年間(2)
    「ねぇ、誠君」 「何?」  誠はロンドンに着いてから真っ直ぐにここへ来たため、昼食をとっていなかった。それを聞いた響子が用意してくれたものを食べているのだが、それはやはりカップ麺だった。 せっかくの彼の一世一代のプロポーズの余韻も台無しである。しかし、それでも誠はこうして響子と一緒に居られるのが何より嬉しかった。ちなみに響子は、誠がちょうどロンドンへ着いた頃に、 彼が今食べているものと同じカップ麺を食べたらしい。そのカップ麺をすすっている誠に響子は尋ねた。 「あなたの6年間を聞いてもいいかしら? 私は淡々と探偵の依頼を受けていただけで代わり映えしない日々を送っていたのだけれど……」 ――あなたは、色々あったのでしょう?  確かに色々あった――誠は過去を振り返る。しかし、彼は敢えてしれっと嘘をついた。ある目論見を思いついたのだ。ごく自然に、笑顔を...
  • kk28_490-492
    「あなたも律儀なものね。セレスさんのあんなただの悪乗りに付き合って、一人寂しく居残りなんて。 それにこの時期はまだ冷えるでしょう? 風邪を引いても知らないわよ」 「はは……心配してくれるんだね、やっぱり霧切さんって優しいよ」 「呆れているだけよ、こんな貧乏くじ、サクラの木の下にでも埋めればいいだけなのに」 「それはなんか怖いからいいかな……。それに、ボクは貧乏くじとも思ってないしね」 「……どういう事?」 さっぱり言っていることが理解出来ないようで、霧切さんは露骨に表情を崩した。 普段ではあんまり見られないものだから、ボクまで面喰ってしまった。けど、すぐに言葉を続けることにした。 あんまり見られないってだけで、全く見ないってことではないからな。ちょっと嬉しくなるのは否めないんだけど。 「なんかさ、祭りの後の空気っ...
  • kk9_243-252
    私たちが希望ヶ峰を卒業して五年――今日は同窓会を楽しんでいた。 それぞれ事情はあるものの殆ど皆が揃っていた。 私も仕事の都合で毎年恒例のこの行事に参加できない時もあったけれど。 彼女―舞園さやかさんだけは今まで一度も参加できていなかった。 今や押しも押されぬトップアイドル。それに女優業やタレント業等テレビに映らない日は無い程だ。 そんな舞園さんに二次会に誘われた。二人だけで、と念を押されて……。 ―――――――― 一応身分を隠すためのメガネを付けた彼女だが、道を歩いているだけで通行人がこちらを見ているのが分かる。 そこで舞園さんに連れられて、業界人御用達の個室のあるお店に入った。 何やら相談事があるらしいが、おおよその見当が付いている……。 付いているからこそ憂鬱な気分になってきた。 いや、遅かれ早かれ分かることだ……はっきりさせておいた方がい...
  • 彼と彼女の話
    ――――― 「江ノ島盾子についてどう思うか、ですって?」 「そう。……って、いふぁいてふ、ひょーこふぁん」 僕の問いに訝しげな表情を浮かべるや否や、頬っぺたを抓ってくるのであった。 「痛くして当然よ。ピロートークに他所の女の話題を持ち出すんですもの」 口に出した時点で時既に遅し。 響子さんは僕の腕枕から離れ背中を向けてベッドの隅でむくれてしまうのであった。 ~ 彼と彼女の話 ~ 草木も眠る丑三つ時、ベッドの傍にあるサイドランプだけの照明だけが灯る僕の部屋。 事後の余韻から一糸まとわぬ姿で抱き合っている時、ふと前述したことが頭に浮かんでしまったのだった。 江ノ島アルターエゴの狙いである"江ノ島盾子量産化計画"――。 僕らの"新世界プログラム"を通じて人格を乗っ取り、ゆくゆくは世界中を江ノ島盾...
  • kk7_118-120
     気配を殺し、音を立てぬように。  視線の先に彼の姿を捉えたまま、探偵の所作をもって歩を進めていく。  彼は相変わらずソファに背を預けたまま、小さく肩を揺らしながら寝息を立てている。  目を覚ます気配がないことを確かめながら、私は慎重に彼の正面へと回り込む。  そして寒夜の外気で冷え切った指先で、そっと彼の首筋に触れると―― 「うわぁぁっ!?」  悲鳴をあげ、大袈裟なくらいにソファから飛び上がる。  この手に消えない傷が刻まれたあの日以来、私の手から温感は失われしまった。  だから彼を襲った感触がいかなるものなのか、私には正確に知ることはできない。  それでも彼の反応が頭の中に思い描いたのと寸分違わないものだったことに、内心で思わず笑みがこぼれる。 「なんだ、響子さんか……脅かさないでよ」  振り返る彼の表情は、驚きと困惑の混ざった呆れ顔...
  • 『超高校級の希望』の希望
    ボクらが希望ヶ峰学園を『卒業』してから、10年の時が過ぎた。 季節は春。絶望に覆われていた世界は、未来機関の手によって徐々に元の姿を取り戻しつつある。まだまだ事件の爪跡は残っているものの、人類は前を向いて確実に一歩を踏み出したのだ。 「霧切さん。コーヒーが入ったよ」 「ありがとう」 この10年間、ボクは全力で世界再建のために戦い続けた。こう書くと大層なことに思えるかもしれないけど、実際は目の前にある問題に片っ端からぶつかっていただけだったりする。 辛いこともあった。心が折れそうになることもあった。それでもここまで来れたのは、心強い仲間たちがいたからに他ならない。 「……あら。豆、変えた?」 「うん。たまには他のも使ってみようと思って。どうかな」 「前のもよかったけど、個人的にはこっちの方が好みかしら」 「本当? じゃあ今度からそれ...
  • @wiki全体から「ある探偵の個人的悩みからくる憂鬱」で調べる

更新順にページ一覧表示 | 作成順にページ一覧表示 | ページ名順にページ一覧表示 | wiki内検索

ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。