ダンガンロンパSSまとめwiki内検索 / 「見えない扉は危険」で検索した結果
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見えない扉は危険
ホームルームを終えた放課後の教室。クラスメイトの多くが退出した後も、数人が席に残って思い思いに過ごしている。 すでに帰り支度を済ませていたボクも、なんとなく自分の席で携帯をいじっていたが、そろそろ帰ろうと腰を浮かした。その時。 「ホントだってば! ねえ、何とかしてよ!」 一際大きな声が聞こえて、思わず振り返る。 見れば“超高校級のスイマー”朝日奈さんが、最後列の席の葉隠クンに何か訴えていたようだ。 “超高校級の占い師”葉隠クンはおろおろしたような表情で……ボクと視線が合った。 『ちょいちょい』と、手招きされる。嫌な予感。……だが、一応席を立って彼らの方へと近づいた。 「いよう、苗木っち! いい所に来たな」 「いや……葉隠クンが呼んだんでしょ。どうかしたの?」 ボクの質問を無視して、彼は朝日奈さんの方に顔を向ける。 「なあ、朝日奈っち。オレ、そういうのはやってねーからよ。...
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セレスティア・ルーデンベルク
... VJmiCWT/ 見えない扉は危険 推理風SS
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大人ナエギリ花札編 五枚目
五枚目:菖蒲に八橋 「お、お湯加減…どうかな」 ぎこちない声がガラスの奥から響く。 「最高よ…極楽だわ…」 対照的に、風呂場に響いた私の声は、自分でも信じられないくらいに蕩けていた。 探偵業は自由なものというのが一般的な認識らしいが、少なくとも私にとって、それは間違いだ。 土日でも平気で依頼が舞い込んでくるし、それを売りにしている手前、勝手に休むわけにもいかない。 そういう日は、苗木君が私の家の家事を任されてくれる。 数日分の御飯を作り置いてくれたり、こんな風にお風呂を掃除して沸かしてくれたり。 何もお返しが出来ないのが心苦しい。 「菖蒲湯、ね…初めて入ったけれど、気持ちいい…」 「そりゃ、よかった…です」 「けれど、少しだけイメージと違ったかも。もっと、こう…花ばかり浮いているのかと」 「あ、それはアヤメと間違えてるんじゃないかな...
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ナエギリ春夏秋冬 第一話『春に着ていく服がない。』
霧切さんは時々、ほんとうに言ってはならないことを言うと思う。 「苗木君、貴方の私服なのだけど………フルジップのパーカーってちょっとないと思うわ」 「………………………………は?」 季節は春。長かった冬がようやく終わり、桜の蕾も膨らんできたある休日のこと。 私服で登校してきたボクに対して、彼女は大真面目な顔でそうのたまったのだった。 「大体ソレ、いつ全部閉じるのよ? 昔から自分が見えないところにまで気を遣うのが粋だとか言うらしいけど、自分が見えなくなるのは果たして粋なのかしら。 目立ちたいのか目立ちたくないのか、ちっともわからないわ」 「いや、目立ちたいとは思ってないけど……」 むしろ目立とうと思っても目立たないのがボクのボクたる所以である。最近は”超高校級の平凡”だなんていう人がいるのだけど、正直ボクも”幸運”なんかより ずっとそっちの方が相応し...
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kk10_959-961
日直の仕事で授業に使う資料を図書室から取りにいく途中のことだった。 「これも因果律の運命か、死を告げる堕天使よ……!」 教室の廊下に立っている一人の生徒が僕らを、正確には霧切さんをジッと見つめていた。 ――両手に水の入ったバケツを持たされながら。 ~ ガンダム、廊下に立つ! ~ 小声で"知り合いなの?"と聞いてみると、霧切さんは首を横に振る。 「死を告げる堕天使よ、貴様の能力が本物かどうか俺様が直々に試してやろう……。ジャッジメントだ!」 素通りしようと思ったけど僕らの前に立ちはだかるのだった。 こっちは急いでいるっていうのに――。 「……その妙な呼び名をやめてもらえないかしら?」 「フッ、何をほざくかと思いきや……。貴様ら一族のみに与えられた能力、俺様の前で隠し通せるとでも思ったか?」 「一つ確認す...
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pp1_167
ペコ 「遊園地楽しいですか?ぼっちゃん。」 九頭龍「ああ、次はジェットコースターに乗ろうぜ。」 ペコ 「(ギクッ)あ、あれは危険ですよぼっちゃん!!」 九頭龍「でも楽しいぜ。」 ペコ「(まいったな…ジェットコースター苦手なのだが…しかしぼっちゃんが 楽しんでくれるなら…)…わ、わかりました。乗りましょうジェットコースター。」 九頭龍(…なんかペコの顔がひきつってるな…) ジェットコースター搭乗 九頭龍「うひょお!楽しいなぁ!なぁペコ!あれ?どうしたペコ?」 ペコ、眼鏡にひびが入って気絶。 ジェットコースターから降りて 九頭龍「大丈夫かペコ?こういうの苦手だったなら言ってくれればよかったのによ…」 ペコ「うぅ…しかしぼっちゃんが喜んでくれるならこれくらいは…」 九頭竜、ペコをやさしく抱きかかえ 九頭龍「ありがとな、で...
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403-405
舞園「腐川さん、昨日はちゃんとお風呂に入りましたよね?」 腐川「な、何よ・・・あたしがどうしようとあんたには関係ないでしょ」 舞園「つまり入ってないんですね・・・ダメですよ!女の子は毎日お風呂に入らないと!」 腐川「ひ!い、いいじゃない、少しくらい・・・」 霧切「そうね。私も今は毎日入っているけど、探偵にはお風呂に入れない時もあるわ。 別に何日か入らなかったからって、死ぬわけじゃないから大丈夫よ」 舞園「・・・信じられません」 江ノ島「それマジ?ありえないでしょ、女の子として。そんなことしてるの、アンタたちくらい・・・」 戦刃「紛争地帯では水浴びすら出来ないことも多い。でも、悪臭が出ない限りは敵に気取られることはないから大丈夫」 江ノ島「絶望的だわ!まさか身内にいるんなんて!」 朝日奈「ねえねえ、さくらちゃん。私達はちゃんとトレーニングの後に入...
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ナエギリ晴耕雨読 第三話『ちょっと時間が空いたので。』
晴れたわね、と霧切さんが言った。 降り止まない雨にうんざりしていたのが二日前のことで、6月の最高気温が記録されそうだとの声に慌ててエアコンの掃除をしたのが昨日。 ぐいぐいと上昇する気温と湿度に耐えかねて、何かに負けた気分になりながらエアコンのスイッチを入れたのがつい二時間前のことだ。 ボクらは何故か、校庭に立っていた。 「暑っつう………ねえ、そろそろ理由を教えてよ、霧切さん」 「そろそろ、ね」 霧切さんは振り返りもしない。技術の進歩に敬意を払ってもといダラダラと涼んでいたかと思えば、一言「空気が淀むわ」とエアコンのスイッチを切り、ふらりと外に出たのだった。 校舎の影になっている所を選んで歩いているあたり、好き好んでこんな所にいるわけじゃないと思うのだけど、ボクに推理できたのはそこまで。 あ、あともうひとつ。エアコンを切りあまつさ...
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セレスルート【2章】
『オマエラ、おはようございます! 朝です、7時になりました! 起床時間ですよ~!』 ……モノクマの声がスピーカーごしに聞こえる。 あいつは妙に明るい調子で朝が訪れた事を告げ、ボクを夢の世界から叩き出した。 目を開ければ、そこにはまだ見慣れない部屋の風景。 ここは……ボクや超高校級の才能を持つ仲間たちが、閉じ込められている『学園』の寄宿舎の個室だ。 昨夜はよく眠れなかった。 あの有名な希望ヶ峰学園に“超高校級の幸運”として招待されて……期待に胸を膨らませて入学式に臨んだボク。 だけど気がつくと不気味な建物の中にいて、同じように集められた仲間達と出会い── それから……立て続けに二人の仲間の死を目の当たりにした。 こんな状況で、熟睡なんて出来る訳がない。 これから先、自分や生き残った仲間がどうなるのか……考えると気分が重くなってく...
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暗闇の館の冒険
「では、苗木君。わたくしはエステに行ってきますので、あなたも夜までゆっくりなさって下さいね」 「うん。いってらっしゃい……」 ジャバウォック島のリゾートホテルで過ごす午後。 ホテルの喫茶スペースを後にするセレスさんの背中を見送って、ボクは壁に掛けられた時計を確認した。 夜までまだ時間があるな。これからどうしようか……。 学園の冬休みに、セレスさんに連れられて数日を過ごし……今日は12月31日、大晦日だ。 今夜は『4番目の島』にあるテーマパークでカウントダウンイベントがあるそうで、 ボクらは夜まで時間を潰しながらのんびり過ごそうと決めていた。 それはいいのだが……特にやる事もなく、ただのんびりと言っても落ち着かない。 ボクは当てもなく視線をさ迷わせ――隅に置かれたマガジンラックに気が付く。 席を立って近づくと、そこにあったのは馴染みのない外国語の...
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kk3_646
「……この!」 今、目の前にある物に踊らされていた 誠君が作った肉じゃが……これ程までに苦戦するとは 「だ、大丈夫?」 「気にしないで」 箸の使い方が下手くそと言われてしまえばそれまでだけど、ジャガイモがコロコロ転がるものだから少し苛々する…… 「んっ…く…!」 我慢の沸点が到達、ジャガイモを突き刺そうと思っていた所、視界の端から細長い物がその苦々しい原因を持ち上げ、私の目の前に突き出した つまるところ……誠君がジャガイモを掴んで私の前に運んでいたのだ 「ほら、響子さん、口開けて。あーん」 「む……あーん」 促されるままパクリと口に含んで、何度か咀嚼し飲み込む 甘い味付けながらもピリッと七味の辛さが利いていて醤油の風味とが鼻から吹き抜ける 相も変わらず、腕は衰えていない。寧ろ、上達してるようにしか見えなかった 「響子さん……手伝える事は手伝...
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kk22_433
苗「あーもう霧切さん、そんなに飲んだら体に悪いよ」 霧「成人の祝いなんだから少しくらい大丈夫よ」ぐびぐび 苗「(まあ酔ってないみたいだし…大丈夫かな?)」 霧「それにしても、高校時代から成人まで苗木君と一緒だなんて…胸が厚くなるわね」 苗「そうだね(字の間違いに突っ込んでいいんだろうか…)」 霧「……何よ。どうせ苗木君だって胸が大きい方が好みなんでしょう」 苗「えっ!?」 霧「私の胸は普通だものね。小さくはないけど普通だものね」ぐびぐび 苗「い、いや…どうしたの急に?酔ってるの?」 霧「酔ってる様に見える?」 苗「見えない…けど」 霧「ふふ……酔ってると思うなら、お持ち帰りしてもいいのよ?」 苗「(いや酔ってる!やっぱり酔ってるよ!!)」 霧「あら、苗木君こそ真っ赤ね。酔っちゃったのかしら?可愛くて思わず襲ってしまいそうだわ」 苗「…はいはい(酔っ払うといつにも...
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優しい嘘
嘘が得意なセレス様は、きっと優しい嘘だってつく。こんな風に↓ 苗「はぁ……」 セ「どうしましたの? ため息なんてついて」 苗「いや、さっき『お前地味だな』って桑田クンに言われたんだ。 ボクなりにオシャレはしてるつもりなんだけど、 確かにクラスの皆と比べると地味で無個性だなって思って……」 セ「そんな事はありませんわ、苗木君。わたくし、前から思っていましたの。 そのパーカーといい、髪型(アンテナ)といい、とっても個性的で素敵です。 たとえ千人の男性の中からでも、あなたを一目で見分けられますわ」 苗「ほ、本当……? いや、励ましてくれるのは嬉しいけど、嘘だよね。 いくらボクでも騙されないよ」 セ「……わたくしのこの目が、嘘をついているように見えますか?」<●><●> 苗「み、見えない...
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苗木くんは普通の高校生男子です
苗木「あぁ・・・どうしてこんな事になっちゃったんだろう・・・」 十神「こんな下らない事に俺を巻き込むな。さっさとここから出て行け、貴様ら」 山田「そうですぞー。十神白夜殿!この不肖、山田一二三、十神白夜殿に力を貸しますぞ!」 十神「いらん。黙れ。そして、貴様もさっさとここから出て行け」 山田「なんですとー!」 桑田「へっ、何だよ、お前ら。いい子ぶっちゃってよ。お前らなんかに俺の舞園ちゃんへの愛(主に欲望)を止められると思うなよ!」 葉隠「そうだべ!俺にだって、たまにはいい事ぐらいあっても罰は当たらないべ!俺は裸を見たい!・・・オーガ以外のをだべ」 桑田「安心しろっての。誰も腐川やセレスの貧弱な身体になんて興味なんてねーから!」 葉隠「そうだべ!時代は巨乳を求めている!・・・オーガ以外のをだべ。俺の占いは三割当たる!」 苗木「はぁ・・・」...
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kk5_6
苗木「霧切さんのスレもとうとう5スレ目だね」 霧切「そうね。まったく……私について語っているよりももう少し有意義な時間の使い方があると思うのだけど」 苗木「あれ? 霧切さん照れてるの?」 霧切「照れてなんていないわ。苗木君、皆に顔が見えないのをいいことに適当なことを言わないでくれる?」 苗木「ご、ごめん。でもボクは正直複雑な気分だな……霧切さんにこんなに人気があるなんて……」 霧切「……ええ、確かにあなたの言う通り。私なんかに興味を持ったって得なことなんてないのに、物好きな人達よね。 そもそも、私のどこにそんなに魅力があるというのかしら。理解に苦しむわ。 信じられないのも無理はないわね」 苗木「あ、いやそうじゃなくて……」 霧切「?」 苗木「その……何て言うか……」 霧切「何なの? はっきり言いなさ...
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919-920
今日はクリスマス。 とはいっても私、霧切響子にとってはクリスマス・イブもクリスマスも別に例年と大して変わりは無い。 何時も通りに過ごすだけの一日だ。 …まあ、今年のクリスマス・イブは学園のみんなと過ごしたので、例年に比べれば楽しかったのは認める。 ………苗木君がいなかった事を除けば、だが。 しかしそれは彼も別にわたし達の事を嫌ってとかではなく、ただ単純に家族に「クリスマスぐらい帰って来い」と 言われたからだ。 それならば仕方ないと諦められるし、現に彼は最後までどうするか悩んでくれていた。 しかし根っ子から優しい彼だから・・・家族を蔑ろになど出来るはずもなかっただけの話だ。 そして今日はそれから夜が明けて25日。世間一般の男女の感覚でいえば今日こそが本番といえるのだろう。 実際学園の皆も其々思い思いのクリスマスを過ごす様だ。 ...
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希望VS絶望(入浴編)
苗木「江ノ島さん、お風呂沸いたから先に入っていいよ」 江ノ島「はーい。あ、そうだ。どうせなら苗木も一緒に入る?なんちゃって……」 苗木「うん!わかったよ!」 江ノ島「は?いや、冗談に決まって」 苗木「それならボクは先に入って待ってるよ!」 江ノ島「え……なに?なんなの……?」 苗木「まだかな、江ノ島さん……」 江ノ島「苗木?じゃ、じゃあアタシも入るから……」 苗木「うん!遠慮しなくていいよ!」 江ノ島「なんでそんなに元気なの……ほら」 苗木「ちょっと待ってよ!どうしてタオルを身体に巻いているの!?」 江ノ島「はぁ?当たり前でしょ?なんであんたが喜ぶような事をアタシがしなきゃいけないんだよ」 苗木「それはおかしいよ!タオルを湯船に入れるなんてマナー違反じゃないか」 江ノ島「うぷぷぷ、必死だね苗木クン。見れなくて絶望した?」 苗木「...
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折れない剣
雲一つない午後の空から、強い日の光が降り注いで足元の砂を焼く。 眼前に広がるのはキラキラと輝く青い海。 水着を着たボクは、眩しさに目を細めながら急激に南国気分を高めていった。 そして──期待に胸を躍らせながら、彼女を待つ。 南国のリゾート地ジャバウォック島に滞在中の、ボクとセレスさん。 この島に着いてもう数日を過ごしてきたが、ビーチへ遊びに来たのは今日が始めてだ。 せっかく南の島に来たっていうのに、セレスさんが一向に海へ行こうとしないものだから、 もしかして海が嫌いなのかとも思ったが、思い切って誘ってみて良かった。 ボクの「せっかくだから、海に行ってみない?」との言葉を意外にも彼女はあっさりと了承し、 今は──ボクの背後のビーチハウスの中で、そろそろ水着に着替え終わった頃だろう。 アクシデントでもなく、明るい場所でセレスさんの水着姿を見るのは初...
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kk28_490-492
「あなたも律儀なものね。セレスさんのあんなただの悪乗りに付き合って、一人寂しく居残りなんて。 それにこの時期はまだ冷えるでしょう? 風邪を引いても知らないわよ」 「はは……心配してくれるんだね、やっぱり霧切さんって優しいよ」 「呆れているだけよ、こんな貧乏くじ、サクラの木の下にでも埋めればいいだけなのに」 「それはなんか怖いからいいかな……。それに、ボクは貧乏くじとも思ってないしね」 「……どういう事?」 さっぱり言っていることが理解出来ないようで、霧切さんは露骨に表情を崩した。 普段ではあんまり見られないものだから、ボクまで面喰ってしまった。けど、すぐに言葉を続けることにした。 あんまり見られないってだけで、全く見ないってことではないからな。ちょっと嬉しくなるのは否めないんだけど。 「なんかさ、祭りの後の空気っ...
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3_274
山田「うおおおおお、何故だぁぁ!何故僕の麗しのメイド喫茶案が敗れたというのだぁ!!」 葉隠「俺は寝てたから良く知らんが、まぁ決まったものはしようがない。諦めが肝心だべ」 山田「くそぅ、せっかく不二咲千尋殿が乗り気になったというのに、あそこでセレス殿の反対さえなければ!」 葉隠「まぁまぁ、元気出せって。そうだ、さっきの結果、どうしたらうまくいってたか特別に占ってやるべ」 山田「いやぁ、今更そんなもの占ってもらっても困るというか‥、意味ねーじゃん」 葉隠「むむむむ‥、来たぞ! これは‥!!」 山田「あ、あのセレス殿!」 セレス「あら山田君。どうしたのです?さっそく衣装についての話し合いですか?」 山田「い、いえ。実はその‥、先ほどセレス殿に言った言葉を訂正させて頂きたくてですね‥」 セレス「先ほどの言葉?」 山田「拙者‥、いや、僕が本当に見たかった...
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超高校級の夫婦【前編】
「誠君、こんなとき、夫婦だったらどうするのかしら?」 静かな宵闇に響いた霧切さんの声はどこか緊張した声色だった。 硬い床に敷かれたシーツの上で、一枚の毛布に年頃の男女が同衾しているという状況。健全な男子であるボクも彼女と同じくらい緊張していて。 「そんな、結婚なんてしたことないから分からないよ、き、響子さん」 そう言ってからすぐに、自分の答えが大きく的を外しているのだということは分かっていた。それでも上手い言い訳など思いつかない。 また呆れらてからかわれるかと思ったけれど、どうやら彼女もそれどころではないようで。 「私だって、したことないわ……」 暗闇に慣れた目で見えたのは、向かい合うように横になる霧切さんの不安げな表情と着崩れた男物の白いワイシャツ。 細かい思惑まで伺うことはできなかったけれど、それはいつもボクをからかっているときのものとは明ら...
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kk24_710-786
違う角度から見る、という言葉が、ボクの脳裏によぎった。 霧切さんが度々口にすることだ。 彼女が多角的に物事を捉えようとするのは、探偵としての性分なのだと思う。 全く同じ物であっても、見る角度を変えれば様々な顔を覗かせるらしい。 だから、今目の前にいる霧切さんにもこれは当てはまるんじゃないかな。 ……多分。 視線の先は、ここではない何処かへ向けられていた。 随分と集中しているようで、不動を保ち続ける姿は、砂浜の景色と同一化しているようにすら見えた。 霧切さんは、見慣れた仕草で考えを巡らせているようだった。 しかし、見慣れているとは言っても、それは仕草に関してだけだ。 これも見る角度が違うってことなのかな。 言葉に偽りは無い、というよりは無さ過ぎる。 文字通りという表現が、これ程当てはまるのも珍しい。 「どうしてこうなったの...
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kk24_410-419
意識が鮮明になった頃には手遅れだった。 リアルな感触は当然で、ここが夢の中じゃないことは明白だ。 冷汗が背筋を伝う。 そりゃボク自身が望んでいたことだし、願望は叶った。 だけど急に現実世界に呼び戻されてこんなことってないよ……。 どうすればいいんだろう。 寝て起きたら、霧切さんに抱き付いていた時は。 霧切さんの柔らかさとは相反して、ボクの身体は硬直する一方だった。 シャツ一枚越しで、息遣いまで聞こえる距離なのに、考えていることはまったく分からない。 ただただ無言の圧力に押し潰される一方で、甘美な気持ちには到底なれなかった。 「……離してもらえないかしら」 「ご、ごめん!」 慌てて身体を離した。 平坦な声からは感情が伺いしれないが、怖くて顔を見ることができない。 しばらくは口を聞いてくれなくなるかも……。 ...
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霧切さんは押しに弱い?
僕は… 霧切さんが押しに弱いとのことだったので… 押してみた 「朝比奈さん…こうなっちゃったよ…」 朝比奈さんに心の中で恨み言を言いながら、苗木は…… 殺しに来たと誤解されて霧切さんに組み伏せられていた 「苗木君、あなたが私を殺しに来るなんて思わなかったわ…信じてたのに」 「い、いや、誤解だよ霧切さん」 「どう誤解だと言う気かしら? 背後からあからさまに怪しい雰囲気で近づいてきていたのに」 「それは…その、朝比奈さんに言われて、ものは試しかなって思って。 それに、僕は霧切さんの事(好き)だからあわよくば良い感じにって」 「え? よ、よく聞こえなかったのだけど」 組み伏せられててよく表情が見えなかったけど、霧切さんは確実に動揺してて これは…思ったより良いんじゃないか?! 調子にのった 「ぼ、僕...
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死が二人を分かつまで
フードを目深にかぶり、早足に歩く。 両手をパーカーのポケットに突っ込み、出来る限りの早足で。 目指すのはこの建物の出入口。 しかし、正面の玄関だけは絶対に使ってはいけない。できることなら誰も意識していないような非常口が好ましい。 暗くてかび臭い廊下の奥にそれらしい扉を見つけた。先程見たこの建物の見取り図とボクの勘によれば、間違いなくこの扉の先は外に通じているはずだ。 ゆっくりと扉のドアノブに手を掛ける。 あと少し、あと少しでボクは外に出ることができるんだ。 今更だが、この一連の動作において一番重要なことはあくまで自然体であること。 決して誰にも悟られてはいけない。 特に――。 「何処に行く気なのかしら、“先生”?」 特に、ボクが一刻も早くこの場から逃げようとしていることだけは。 突然投げかけられた言葉に振り返ると、そこには見慣れた...
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大人ナエギリ花札編 八枚目
八枚目:芒に月 「絶好の観月日和ね」 「…もう夜だけどね」 苗木君の茶々は置いといて、夕刻過ぎれば暑さも忘る。 ベランダから仰げば、見事な仲秋の名月。 郊外の住宅地なので、街灯が月影を邪魔することもない。 月見でもしないか、と提案したのは私の方から。 いつも彼の家にお邪魔して、冷蔵庫を漁るばかり。 たまには私がもてなして、女らしく手料理の一つでも振舞おう、そう決意したまではよかった。 脱ぎっぱなしの服、放置された食器、溜まるだけ溜まったゴミ袋。 最近出張が続いて、自宅の掃除なんてほとんどしていなかった。 プライベートの私の怠け具合は苗木君にもバレているが、それでも招く側にもマナーというものがある。 朝からゴミを捨て、部屋を片付けて、掃除機をかけて、… まさか、それだけで日が沈んでしまうとは思わなかったのだ。 ...
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大人ナエギリ花札編 四枚目
四枚目:藤に時鳥 「綺麗でしたわ、銚子の『臥龍の藤』」 「隣に愛する人がいてこそ、ひとしおの美しさでしたな」 「…いつのまにウチの駄豚は、そんな歯の浮くようなセリフを覚えたのでしょうか」 ぎゅー、と、山田君の頬を抓りあげながらも、ほんのり頬が赤いセレスさん。 あのポーカーフェイスがここまで分かりやすくなるなんて、人も変われば変わるものだ。 あまりの微笑ましさに、霧切さんもため息をつく。 「…惚気は余所でやってくれないかしら」 「はは…まあ、藤の花言葉も『恋に酔う』だし、今の二人にはピッタリだったかもね」 久々に来客用のカップを出して、紅茶を淹れてリビングに戻る。 机の上には所狭しと写真やパンフレットが広げられていた。 二人で休暇を合わせ、先月末に旅行に行ってきた、そのお土産だそうだ。 山田君とセレスさんは高校以来の恋仲で、時々こ...
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kk9_25-30
「んっーー」 腕を突き上げて伸びをする、背中の筋が伸びた。それと同時に少しだけ眠気が覚める。 「どうしたの霧切さん?腕を伸ばしたりして、なんだか眠そうだね」 まだ教室には私達しかいないようで、私の隣に座る苗木君が話しかけてきた。 「寝不足なのよ。――最近どうしても解けない謎があって、ね」 「霧切さんでも解けない謎があるんだ?」 「えぇ、その謎について知れば知るほど謎が深まっていくのよ」 何せ今まで経験したことの無い問題なのだから 「……すごく難しい問題みたいだね。僕で良かったら少しは手伝うよ」 「霧切さんの助手だし、役に立ちたいんだ」 「……助手、ね……。結構よ」 そんな義務感で手伝うなんて、言わないでほしい 「――あなたに手伝ってもらう方が余計にややこしくなるもの」 「そんなー」 「気持ちだけ受け取っておくわ、ありがとう苗木...
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セレスルート【体験版】
ボクはいつの間にか、暗い眠りに落ちていた。 夢の中で、白と黒の「もや」が揺らめく。これは── 正体不明の「もや」を捕まえようとして思わず伸ばした手が空を斬り、バランスを崩した感覚に目を覚ます。 次の瞬間、ボクは硬い木の板に額を打ちつけていた。 「痛っ……」 どうやらボクは机に突っ伏して眠っていたらしい。痛みのおかげでどんどん頭は冴えてきたが…… まだ少しぼんやりした意識をはっきりさせる為に、ボク自身の事を少し整理しておこう。 ボクの名前は、苗木誠だ。どこにでもいそうな、平凡な男子高校生。 今日は──そう、希望ヶ峰学園の入学式の日だ。 各分野での一流の才能を持った高校生だけが入学を許される超エリート校に、 抽選で選ばれた“超高校級の幸運”として招かれたボクは、今朝、学園の校門をくぐって、それから── ────それからの記憶がすっぽ...
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ナエギリ晴耕雨読 第一話『見切り発車もいいところ。』
――ざあざあ。 「……止まないわね」 「止まないねえ。……梅雨って、こんなふうにざあざあと降るものだったっけ」 「………よく、覚えていないわ。海外が長かったもの、私」 思い出すように天井を見た霧切さんは、そもそも該当する記憶が無かったのだろうか、すぐに視線を元の位置に戻した。 元の位置――すなわち、窓の外――である。 バケツをひっくり返したような、とは流石に言い過ぎではあるものの、しとしとと表現するには少しばかり激しめの雨が、開け放たれた窓の外で自己主張を続けている。 強い風は吹いておらず、昨日の夜から降り出した雨は、今のところ室内に目立った被害を与えてはいない。例年よりも十日ほど早い梅雨入りですと、 窓際のラジオが、雨よりかは幾ばくか大きな音で知らせてくれた。 「それにしても苗木君。貴方、随分と懐かしいものを持ってたのね」 「ラジオのこと? ううん、それ...
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kk14_357-360
「……ぎ、苗木」 誰かに呼ばれた気がして目を開けると、そこには一人の青年が立っていた。 「あ、日向君……」 「おっ、やっと起きたか」 声のボリュームを幾分か抑えて日向君は苦笑いする。 僕を起こすつもりならもっと大きな声で呼びかけるはずなのに、どうしてだろう――? そんな疑問を浮かべていたら右肩に圧し掛かる重み。 ――そうだった、船が到着するまで霧切さんとベンチで一休みしていたんだった。 ~ Shall never surrender ~ 「二人揃って気持ちよさそうに眠っていたからな、大声で起こすのも何だか悪い気がしてな……」 「こっちこそごめん……。何か追加で調達してほしいモノが出てきたのかな?」 「いや、モノっていうよりはヒトって言うのか……?」 「人?」 「あぁ。九頭龍が今度の保護観察で日本に行く前に、腕利きの"...
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k18_370,376,400-401
「みんなは悪くない。悪いのは全部黒幕だ。」 モノクマからの不正のお仕置きにより地下へと追いやられた苗木誠は、霧切響子の救出によって生き残りメンバーである他の4人との再開を果たし、 改めて黒幕と、真実を向き合う意志を固めていた。そんな矢先の一言だった。 「待て・・・何か匂うぞ・・・」 「苗木から洗ってない犬の匂いがする!」 「マジだな・・・臭いべ・・・」 「あ、あっち行きなさい・・・しっ、しっ!」 十神白夜、朝日奈葵、葉隠康比呂、腐川冬子ら4人全員から苗木は異臭を指摘されたあげくに、距離を置かれた。無理もない。彼は今までゴミだらけの地下室に居たのだから。 「ひ、酷いよみんな!せっかくまた会えて感動してたのに!」 臭い臭いと連呼されては感動どころではない。先ほどまで瞳を潤ませていた苗木は4人を非難した。しかし、戻ってきたんだと実感を得ることが出来嬉しく...
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ナエギリだんがんアイランド【軍事施設編】
さて、彼女が規則正しい寝息と、寝言ともつかないもぞもぞとした音を喉からを響かせる間。 身動きを取れない僕は、かといって本気にして彼女に手を出す度胸も無し。 せめてもと、徹夜で書き上げたファイルに目を通す。 向かう場所はこの公園の他に、砂浜、図書館、映画館、遊園地、軍事施設。 最後にもう一度この公園に戻ってきて、意識を呼び覚まして終了。 となれば、次に向かうのは、順当に行って砂浜だろうか。 近いというのもあるけれど、屋外は出来るだけ日のあるうちに済ませておきたいし。 なんて真面目一辺倒に考えていると、 「ぅ…ん」 ごろ、と、彼女が寝返りを打って、太ももの上の顔がこちら側を向く。 うん、まあ、想定していた展開の一つだけど。 「……、…」 いやー、やばいなぁ。この絵はやばい。 どれくらいやばいかとい...
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希望ヶ峰学園を語るスレ
490 投稿日:2011/02/17(木) 22 02 24 ID PDnXj/Pf 希望ヶ峰学園を語るスレ その22 658 :名無しさん:2011/02/17(木) 13 57 46 ID MobJo9Sei 1学年下の『超高校級の幸運』の彼に雑用を手伝ってもらいました。 とてもいい子でカワイイ! フリーなら唾つけちゃおうかな(●´ω`●)ゞ 659 :名無しさん:2011/02/17(木) 14 00 18 ID kIrIgIrI 658 彼はよく『超高校級の探偵』と一緒にいる姿が目撃されている 恐らく交際しているのだろう、諦めたほうがいい 660 :名無しさん:2011/02/17(木) 14 01 25 ID IDOLmizn 659 あれは単に、彼女に無理矢理引っ張りまわされてるだけみ...
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out of the gravity
学校の屋上というのは、ドラマや漫画なんかでは割と自由に生徒が入り浸っているけれど、実際には危険を考慮して立ち入り禁止になっている場合も多い。 ボクの母校がそうで、だから高い頻度で青春物語の舞台となるその場所には、今まで一度も足を踏み入れたことはなかった。 この希望ヶ峰学園に来るまでは。 「うわあ、結構高いんだね」 「……」 「見てホラ、あの花壇。上から見るとすっごく綺麗だよ。あれ作った先輩って超高校級の植物学者、だったっけ?」 「……」 「あ、あっちの建物が予備学科かな?行ったことないんだけど、どんな感じなんだろ」 「……」 否。この日までは、だ。 普段から解放されているのは知っていたけれど、風が強い上にベンチ一つ無い無愛想な空間は、お世辞にも居心地の良い場所ではない。 考えることは皆同じ様で、今だってボクらの周りには誰一人いない。 「...
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kk26_871
――今、僕が相当に動揺していることに、彼女は気付いているのだろうか。 唇を重ねたのは初めてじゃない。いわゆる大人のキスというものも、何度か経験はある。 それが昼日中のことであれば、むしろ彼女に翻弄されるのは僕の方だというのに。 「キスでそんなに真っ赤になるなんて……キス以上のことになったら、どうなるのかしらね」 余裕綽々にからかわれて、悔しいけど妖艶に微笑む姿は僕よりよっぽど男前で、もしかしたら僕らは生まれる性別が逆だったんじゃないかなんて。 そんな力関係が当たり前だった恋人同士。一夜を共にする――来たるべき時が来ても、それは変わらないんだろうと漠然と思っていた。 ほんの数分前までは。 「……な、苗木君……。いきなり、き、キスとかは……やめてちょうだい」 「……」 一応釈明しておくけれど、別に何も変なことはしていない。キスといっても...
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km1_827-838
「おいおいおいおい…ほ、ホントに大丈夫なんだろーなッ!?」 グラグラと世界が歪み始めたのを感じながら、アタシは左右田の声を確認する。 ジャバウォック島。 地獄のようなコロシアイ修学旅行の、まがい物の舞台。 今、そこからアタシたちは『現実』へと解放される。 ――希望も絶望も乗り越えて、『未来』へと。 「皆…」 生き残り全員の顔を改めて眺める。 忘れるもんか、絶対に。 「……ッ、俺からかよ」 気付くと、九頭龍の体が何だか淡い光に包まれていた。 一瞬戸惑ったような表情を見せたけれど、すぐに九頭龍は決意に満ちた顔を見せる。 「いいか、テメェら。俺は覚えてるからな」 忘れたら転がすぜ?――それだけ言って、不敵に笑ったまま九頭龍は消えた。 「次はオレだな…」 「って、俺もかよ!」 ...
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kk32_54-56
晴天の下、波の音を聞きながら苗木誠は用意してきたおにぎりを頬張る。 咀嚼しながら身体の前にある釣り竿に目を向ける。 「思ってたより釣れないね」 じりじりと攻撃してくる日差しは12時を回り強くなる一方。その上、狙いの小アジはクーラーボックスに5匹しか入っていない。 「そうかしら? 私は順調だと思っていたわ」 苗木はちょっとだけ首をかしげて右隣を見る。同じように首をかしげ、長い髪を垂らしている霧切響子の瞳にピントを合わせる。 いつもと変わらないように見えて楽し気な色をしている瞳を見ると、愚痴をこぼした自分が情けなく思えてくる。 「5匹ぐらい霧切さんが全部食べちゃうでしょ?」 「そうかもしれないわね」霧切が柔らかく笑う。「あなたが食べたいと言っていたのにね」 苗木は力なく笑みを作る。 二人でアジ釣りに来たの...
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アフターテイスト(苗木side)
後編へ ――『――苗木君、何処にいるの? 話したい事があるから後で――』…… 今日もまた一日、退屈な授業が終わった。 スピーカーから流れる放課後のチャイムを聞き、ボクは耳から抜き取ったイヤホンを上着のポケットにねじ込んだ。 ひとり、またひとりと教室を後にするクラスメイトを尻目に、ボクも遅れて帰り支度に取り掛かった。 「苗木君」 ボクを呼ぶ声に手を止めて、机の前に来た人物へと目を向ける。 声の主は石丸君だった。 それだけを認めると、ボクは再び視線を落として教科書を鞄の中に入れた。 「……担任の先生からの伝言だ。『放課後、学園長室に来るように』との事だ」 「そう」 ボクの態度が勘に触ったのか、石丸君は何か言いたそうな雰囲気を醸し出していた。 怒りをぐっと堪えるように険しい目でボクを睨んでいる。 きっ...
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kk6_206-210
「――何をしているの、苗木君…」 声に呼ばれて顔を上げれば、不機嫌を隠そうともせず仁王立ちしていた。 彼女は『超高校級の探偵』霧切響子さん。 僕の大切な、…仲間だ。 僕がこの学園で生き延びられたのは、ひとえに彼女のお陰によるところが大きい。 学級裁判では次々と推理を展開し、黒幕をも追い詰めてみせた。 一番最初の学級裁判で折れかけていた僕の心を立ち直らせてくれたのも、彼女の言葉。 さて、そんな彼女が顔面蒼白ながらも、珍しく怒りをあらわにしているのは、 僕の手の中にある、分厚い一冊のアルバムが原因だと推察される。 「それは私が学園の外に持ち出す必要が無いと判断して、ここに置いていったものよ」 「や、あの…」 「それを…どうしてあなたが手にしているのかしら…?」 言い訳しようとして、遮られる。 いつもの冷静な彼女...
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五限目続き
僕は再び舐め取る作業を再開させた。服の中に頭を滑り込ませ、おへそから胸へと少しずつ上昇し始めた。 また抵抗されるのも嫌なので、ブラを剥ぎ取るのは諦めて谷間部分に顔を埋めた。 凄く甘い香りがした。うなじや鎖骨よりももっと濃い、理性を消し飛ばす強い香り。 同時に不思議と落ち着く。赤ちゃんは母親の心音を聞いて落ち着くらしいけど、僕もそんな心境になる。 頭の片隅に『何をやっているんだ』と思う自分がいる。いるけれどそれ以上に彼女が欲しい。 頭と同様に両手を服の中に入れ、背中を滑らせる。左手で背中を撫でて、右手は腰に向かって下りブルマの手前で止まった。 口での抗議も手で抑え付けてくることも無かったが、少し身体が震えている。 僕はそんな震えを抑える為に一度愛撫を止め、服から頭と手を抜き出した。 頭を引きずり出して見上げたときに彼女の抗議するような視線を感じた。但し、その...
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お昼休み
午前の授業の終了を告げるチャイムが鳴り響いた後、僕らは一度教室へ移動した。 さっきまであんなに情熱的に求め合っていたのが、まるで夢の中の出来事であったかのように、僕らは普段どおりの軽い雑談をしながら移動した。 無論あれは夢なんかじゃなく現実で、少し痛む両腕が互いに強く抱きしめ合ったことを意識させる。 これは僕らのルール。二人きりの時以外は、あくまでただの親しいクラスメート同士であるかの様に振舞うと決めている。 その代わりにばれないように、熱烈に求め合うことになっている。 ……もっとも、最初はただ単に、僕らが付き合っている事を秘密にするだけのはずだった。 秘密にして二人きりの時に燃え上がる。というものだった。 付き合い始めてすぐの内はそれでよかった。学校ではあくまで探偵と助手、あるいは仲の良い友達。 そして帰宅するなり二人で激しく求め合う。あるいは...
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kk6_665-670
【前編はこちら】 苗木「ね、ねぇ……霧切さん」 霧切「何?」 苗木「今、依頼人の旦那さんと愛人……ここに入っていったよね」 霧切「……そうね」 苗木「ここって……その……」 霧切「ぶっちゃけて言えばラブホテルよ。最近ではファッションホテル、レジャーホテルとも言うわね」 苗木「だよね……。分かり切ってはいたけど、やっぱりクロ……浮気は確実だね」 霧切「……」 苗木「……霧切さん?」 霧切「追うわよ」 苗木「ええっ!!?」 霧切「大きな声を出さないでくれるかしら。犯人たちに気付かれるわ」 苗木「犯人って……。で、でももうここに入った時点で浮気は確定なんじゃないかな……」 霧切「……」 苗木「霧切さん?」 霧切「本当にそうかしら」 苗木「え?」 霧切「仮...
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七海復活?
七海「……バックアップで復活できたはいいけど」 七海「……もう、この世界には誰もいない」 七海「……私しかいない」 七海「……………」グスッ 七海「………あれ、何だろうこれ?」 七海「何かの……欠片?」 七海「……あっちにも、そっちにも」 七海「……何のかけらだろう」 七海「とりあえず集めてみよう」 七海「これは……繋ぎ合わせると何かになるのかな」 七海「パズルゲームは好きだけど……」 七海「見本がないとちょっと厳しい……かもしれない」 七海「………でも、何でだろう」 七海「………何だか、これを集めて揃えて並べると」 七海「すごくいいことが起こりそうな気がする」 七海「……よし、頑張ろう」 七海「大体見て回ったけど……」 七海「もう全部集ま...
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kk30_800-804
「苗木っち、俺の相談に乗ってくれ~」 放課後の帰り際、葉隠康弘に頭を下げられて、苗木誠はげんなりした。 きっとろくなことがない。以前に内臓を売ってくれと言われたことがある。今度はどこだろう。眼球あたりだろうか。 なにはともあれ、葉隠の部屋で相談を受けることになってしまった。 宿屋まで歩き、葉隠と別れ、自室へとつづく扉の鍵を差し込んで回す。 かちゃりと音を立てるはずのそれは、手ごたえもなくすんなりと回る。 「……はぁ」 苗木はため息をついてかぶりをふる。 本来なら今朝閉めたはずの鍵が開いていたら焦るところだが、彼は取り乱したりしない。開いている理由がわかっているからだ。 「ただいま」 小さく言って、後ろ手で扉を閉める。すぐに出るのだから鍵は閉めない。部屋の明かりが点いていた。 「……来てたんだね、霧切さん」 「……...
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kk6_642-643
637 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/11/28(月) 12 42 42.08 ID p7DG/y6s [1/2] 苗木君の方からぎゅっとされた時の霧切さんの反応が見たい 638 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/11/28(月) 15 43 03.25 ID zoRHjSP7 637 ・「距離感を間違えていないかしら」などと言いつつ内心まんざらでもなくて振り払おうとはしない。 ・「苗木君、離して」とクールな反応。しかし苗木君が慌てて手を離してからちょっと後悔する。 どっちだ 641 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/11/28(月) 21 09 35.49 ID v4aEQJZU [1/2] 少し頬を赤らめて無言でぎゅっとし返す霧切さんはないんですか!? 642 名前:名無し...
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君のそばに
To―ta pul―chra es, Ma―ri―a, O Ma―ri―a―, tota pul―chra es―, Et―ma―cu―la― , O―ri―gi―na―lis non est in Te 「何の歌だろう? 霧切さん知ってる?」 紡がれた言葉に続いて、白い息が宙へ広がり気温の低さをそれは示していた。 苗木は隣に歩く霧切にどこからか耳に入り込んできた神秘的な歌について尋ねる。彼女に向けた彼の鼻の頭が少し赤い。 「――聖母賛美歌」 「え?」 独り事のようにボソリと答えた霧切は懐かしそうに目を細めていた。 「聖母賛美歌よ。クリスマスはそもそもイエス・キリストの誕生日でしょう? そのイエスを産んだ母親――聖母マリアを讃える歌よ」 そう言い終えると同時に、彼女は顔を上げて苗木が理解したか確かめ...
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誇りと感情
他人とは深くかかわらない。なぜなら無駄な感情を抱いてしまうから。 「霧切ちゃん!ドーナツ・・・違う、お昼一緒に食べようよ!」 クラスメートが今日も話しかけてくる。 「ごめんなさい。気持ちだけ受け取っておくわ」 クラスメートは残念そうに「そっか・・・じゃ、また今度ね!」と言い、いつもの友達の集まりに入っていく。 そう、これでいい。 探偵に無駄な感情は命取りとなるから。 かといって断りを入れたこの教室にいるのも心地悪い。 (まだまだ・・・ね) そう思いつつ霧切響子は教室を出て行く。 すれ違い間際に会ったクラスメート――短い黒髪に鼻の辺りにそばかすがある、とても無口な少女。 いつも彼女からは死のにおいがする。そして、自分と同じ超高校級の「何か」と明かしていない彼女。 似ている、いや、何かが決定的に違う。それが何かは分からないけれど。 ただひとつ...
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kk5_804-807
「うぷぷぷぷ、おはようございまーす!」 起き抜けに見るモノクマの姿ほど、不快な気分にさせるものはない。 「…勝手に就寝中の女子の部屋に入るなんて、良識すらもないのかしら?」 「いいじゃん、そもそも監視カメラで全国放送中なんだよ?」 それを言えば身も蓋もない、と思いつつも、寝ぼけた眼を擦る。 時計を確認すれば、午前四時半。 早朝と言えないこともないが、こんな時間に起こしに来るなんて、嫌がらせ以外の何物でもないだろう。 「…それで?」 不機嫌を隠さず、私は大柄な人形を睨みつける。 「何か用事があって、この部屋を訪れたんでしょう?」 「うぷぷ…コレコレ」 モノクマがどこからともなく取り出したのは、一枚の硬貨。 「じゃじゃーん、モノクマメダルー!」 「……」 「あれあれ、食いつき悪いなぁ。霧切さん一人だけモノモノマシーンやってないみた...
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k2_226-230
「一緒にお風呂に入りましょう、苗木君」 ……と言われて脱衣所にやってきたのはいいものの。 「いいお湯ね……」 なんで僕は、霧切さんと一緒に本当にお風呂に入ってるんだ!? * * いや、ほら、さ? これまでの文脈から推測するに、まず間違いなくアルターエゴについての話だと 思うでしょ? そうだよね? ええと、もちろん、脱衣所でアルターエゴの話はしたよ。したんだ。それはいいんだけど。 だけどその後、霧切さんが突然服を脱ぎ始めたんだ。 困惑する僕に彼女は、 「さっきの会話――私が苗木君を誘った言葉は、当然監視カメラで聞かれているはずだわ。だから、怪 しまれないように、ちゃんとお風呂に入ったほうがいいでしょう?」 とのこと。 「いやその理屈はおかしい」 「……急にモノクマみたいな喋りになったわね」 やれやれ、と霧切...
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