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*チームωSS1 #contents ***ピョンフ 「共鳴?」 手にした槍を意味もなく撫でながら、おざなりに聞き返す。 何の変哲もない短槍である――愛着がないわけではないし、なまくらなわけでもないが、普通の武器だ。 と、武器をいじるこちらにつられたのだろうか、目の前の少女もまた、(無意識なのだろうが)刀の柄に触れた。 その表情は硬く、眼光は鋭い。しかしそれを除けば、幼さの残る顔立ちである。恐らくはまだ成人もしていないだろう。 思ったより広さがある洞窟。 ようやく目が慣れてきたのか、周りの魔人たちの気配も活発になったのを感じる。いや―― (あるいは、殺し合いを前にして、高揚しているってことなのかも、な) 「……」 こちらを見つめる少女の視線に気づき、彼女は――ピョンフは目の前へと意識を戻した。それを確認し、少女が答える。 「私の刀は、一人では真価を発揮しない――『共鳴者』と力を合わせることで、100%の力を発揮する」 そう言って少女は、鞘から刀を抜いてみせた。 刀身はない。 何かの冗談かと思う者もいるかもしれないが……実際にその少女に相対してみれば、そいつのそんな感想も一発で吹き飛ぶだろう。 少女の名は結昨日奏。 相当の凄腕と言っても全く過言ではないであろう力量の剣士。 劇的な能力や個性を持たないピョンフの最も優れた武器……5年間を戦いと逃亡に明け暮れた、その経験からくる皮膚感覚が告げる。 刀身が無かろうが関係なく、少女自身が抜き身の刃であり。 その手刀こそ二の太刀を必要としない必殺の剣なのだと。 「魂の『共鳴者』。そして、私の生み出された場所を奪った『敵』を探し出すために。私は必ずこの試験を突破する」 「へ……じゃあ、その共鳴者ってのは、まだ見つかってないってこと?」 思わず口を突いて出てしまったこちらの問いに、少女はちょっとだけ決まり悪そうに目を泳がせた。 「…………見つかるかもしれない。これからの戦いの中で」 「呆れた……」 実戦で試したことのない技。どこにいるのかも分からないパートナー。 こいつは、当てもなくそれを探し続けようというのか。 「そんな果てのないことやってないで、普通の武器を使えばいいじゃないのさ。あんたの実力でちゃんとした刀を使えば――」 「そんなことはできない」 鬼に金棒ってやつだろ、とそう続けようとした先は、少女の言葉によって遮られた。 「この『響』は私のルーツだから」 私の戦いの基幹だから。 だから、この刀を――あの日に唯一残った研究結果の結晶を、手放すことはできない、と。 「…………」 ピョンフは手にした槍に目を落とす。 何の変哲もない短槍である――愛着がないわけではないし、なまくらなわけでもない。 わりと長い間を共に戦い、敵を打ち倒してきた武器だ。 普通の武器。使い勝手がよく、手に馴染む……敵を殺す、そのために特化した存在。 (そこにそれ以上の意味は必要ない。これがベストの武器のスタイル) 刀身のない刀は、武器とは言えまい。 (でも……) それでもこいつはその刀を持つ。そこには、単なる武器としてだけではない、別の想いが込められているのだろう。 (なんというか、そういうのは……) そういう生き様は。 「そういうところは、嫌いじゃないね」 奏は、少しだけ驚いたように見えた。 ***黒井ピョートル(首級獲得エピソード) 黒井ピョートルは、深夜の道路を歩いていた。 (赤村崎シロウ……ね。ったく、頼まれたら断れないとはいえ、なんでそんな奴が標的なんだよ) 連続道路標識引っこ抜き事件。4日間に渡って引っこ抜かれた標識は、112本にのぼる。 犯人は、畠に埋まっている根菜を引き抜く速度が日本一の魔人。 そのアホは、こともあろうに武者修行のために道路標識を引っこ抜いてまわっているらしい。 (ってか、なんだってそんなどうでもよさげな魔人に殺し屋の俺が派遣されるんだ? くそ……) ともあれ、上司の命令には逆らえない。 暗い夜道を、腹の中で標的の魔人と上司とたばこ増税に対する呪詛を呟きながら歩いているのも、そういうわけである。声には出さない。近所迷惑だしね。 (つーかさあ、たばこ税率400%ってなんだよ。販売価格が一気に5倍だぜ? ほんとにこの国はもう……) と、この国の行く末について真剣に憂いていた時、標的の後ろ姿を見つけた。 (……あいつか) あらかじめ渡された情報と一致する。 それでも、間違って人違いで殺してしまっては大変なので、ピョートルは声をかけた。 「赤村崎シロウさんですね」 男が振り向く。半身になってこちらを見る形だ。 ちなみに、ピョートルの敬語は職業上の癖のようなものである。人に対する態度はきちんとしないと、箔がつかない。 「お前は……」 「黒井ピョートル。あなたを暗殺するために雇われ」 最後まで言い切ることはできなかった。次の瞬間にはピョートルはブロック塀の残骸と共に寝転がっていた。 (――――!?) 何をされた。 理解するより先に、視線を前方に投げる。 シロウは、引き抜いた標識を片手でひょいと肩の上に乗せていた。 (っつ、この、馬鹿力、が……) 死にはしなかったが、どの道行動不能である。 何もできない。ピョートルは精神を集中させ、彼の能力を発動した。 目に見える変化はない。ピョートルの周囲だけ闇が濃くなった――というのも錯覚である。それでこその暗殺能力だ。 とはいえまあ、その能力をお披露目するのもこれが最後になるかもしれないが。 ゆっくりと近づいてくるシロウのものとおぼしき足音。 どうやら、いつでもとどめを刺せると判断したのだろう。 (ったく、なめやがって) それでもピョートルは近づいてくるシロウを睨みつけ―― 勝ち誇った笑みを浮かべるシロウが、笑みの形を作った口を開き―― 「あべし」 ……。 …………あべし? …………ごとん、と。 シロウの持っていた標識がアスファルトに落ちる。 同時にシロウの体が崩れ落ち…… 彼の頭部を直撃した鉄ポールも横倒しになった。 周りを見回す。どうやらピョートルが吹っ飛ばされた先は中学校の外壁のようだった。 どうやら、倒れてきたのはテニスコートの横に備え付けられた照明のポールらしい。 ようやく痛みが走ってきて、ピョートルは顔をしかめた。 よろよろと立ち上がる。シロウの死を確認し、ピョートルは息をついた。 と。 「やれやれ、どうやら終わったようですね」 上司か。 そう思って振り向いたピョートルの視線の先にいたのは、見たことのない人物だった。 無言のピョートルを見ながら、現れた女は勝手に先を続ける。 「この程度の相手に負けるようであれば見限るつもりでしたが……んん、微妙なところでしたが、結果が全てですしね」 「……どちら様で」 「あ、申し遅れました。わたくし、クリックロック・クロックと申します」 「クリック……?」 「あ、名前はお気になさらないでください。まあ……リスペクトのようなものです」 何を言っているのかわからない。 少なくともわかるのは、自分はこの女に監視されていた、ということだけだ。 含み笑いのような声を漏らしながら、彼女は続ける。 「失礼ながら、あなたの実力を見るために、依頼させていただきましたわ。結果は……合格ということにしておきます」 「……何がですか」 「ふふ」 さすがに口調にも不愉快なものがこもってしまったが、女は一向に気にした様子はない。 「おめでとうございます。あなたはこの度、『国家刺客試験』にエントリーされました」 国家資格? ピョートルの頭に疑問符が浮かぶ。 「かいつまんで言うと、国が主催する、暗殺者の公認資格のための試験ですわ」 (国が、暗殺者を抱える……だって?) ずいぶんと胡散臭い内容である。が、近代の社会情勢からすれば、考えられなくもない……のだろうか。 「そんな事に、どうしてしがない暗殺者の自分が?」 「ふふ、疑ってますね? 疑っちゃってますね? 理由はとっても簡単ですよ」 クリックロックと名乗る彼女は近づいてきた。人差し指をこちらへ向け、告げる。 「あなたのその才能……周囲に破壊と生物の死を起こりやすくするという能力。なんとも都合のいい能力ではありませんか。特に……事故を装った暗殺にはね」 「……指で指さないでください」 「本来ならば招待メールを返信し、危険度A級魔人を探し、その首を取るところから開始するはずでしたが……まあ、そこまではこちらで斡旋させていただきましたわ」 余計なお世話だった。 (まあ、事情はわかったけどな) 本当に国家が主催するのかどうかはまだわからないが……少なくとも、暗殺者がぞろぞろ集まる試験に駆り出されることになってしまったらしい。 「もし、もしもですが、拒否したりとかしたら……どうなります……?」 おそるおそる聞いてみる。 秘密を知ったものは消すとか言う展開になるかもしれないので、慎重さは大切だ。 「あらあら、惜しいですね……若い身空で……」 「いえいえいえ、そんなつもりでは」 慌てて否定する。 あぶねー。 「それに、国家刺客に認定されれば、たばこ税を免除して、さらに値段を1割引きにさせていただくことも可能ですのに」 「よろこんで参加させていただきます」 こうして、ピョートルの参加は確定した。 ***木蔭ハヅキ(首級獲得エピソード) 氷の女王・シヴァ「よく来たな木蔭ハヅキ…待っていたぞ…」 (ギイイイイイイ) ハヅキ「こ…ここがシヴァのお城だったのか…! 感じる…シヴァの氷結力を…」 シヴァ「ハヅキよ…戦う前に一つ言っておくことがある。お前は私を倒すのに『伝説のホッカイロ』が必要だと思っているようだが…別になくても倒せる」 ハヅキ「な、何だって!?」 シヴァ「そしてお前から奪った肉まんは冷めていたので温めなおしておいた。あとは私と一緒に仲良く食べるだけだなクックック…」 (ゴゴゴゴ) ハヅキ「フ…上等だ…私も一つ言っておくことがある。私は冷え性だから寒いんだと思っていたが、ただ風邪を引いていただけだったぜ!」 シヴァ「そうか」 ハヅキ「ウオオオいくぞオオオ!」 シヴァ「さあ来いハヅキ!」 ハヅキの風邪がすぐに治ると信じて…! ご愛読ありがとうございました! ***播磨千針 この話は希望崎学園のとある保健室での1コマである。 臨時保険医 播磨千針はコーヒーを片手に副業『ミート×ミート(有)』 の『肉々交換』カルテを眺めていた。 「『宇佐美 観月 本物のウサミミをつけたい』か。却下だな。」 「うわぁ!0がいっぱい。久しぶりに高額の依頼じゃないですか! 千針さんなら10分もあれば余裕でこなせるのに何故です?」 この台詞の主は、『熊野胡桃』と言う。 昔の患者の一人で全身火傷の皮膚を、クマのぬいぐるみと交換された女の子である。 命の恩人ということもあり、現在千針の助手を勤めている。 「顔が好みじゃない。」 「宇佐美さんかわいいじゃないですか!千針さんかわいい女の子好きですよね?」 「宇佐美じゃない。ウサギの方だ。不細工な顔しやがって。 こいつに宇佐美の耳など勿体無さ過ぎるだろ。」 「そんな理由で仕事を蹴る余裕があるとでも思っているんですか!? うちはもうここ5年、いえ創業以来100%赤字です!」 「お金がないのは、首がないのと同じ。 ほら、くるみだって首がないのに普通に生活を遅れてるだろ。 そうそう、首と言えばキリンと首長族の族長の首を交換する手術。 あれはやり甲斐があったな。」 「屁理屈こねないでください!お金は必須です。 それに首の手術は、首の長さにかけて遠距離手術の最長距離記録に 挑戦したときじゃないですか。むしろ記録のためだけでしたよね。それ。」 「屁理屈などこねていない。だが駄々をこねてるのはお前だ。 お菓子を買うお小遣いをやらなかった程度でぐちぐちと。」 「お菓子をくれない千針さんが悪いんです。 だからわたしは考えました。千針さんに嫌な手術を慣れさせて なおかつ、お菓子をもらえる方法を!」 「明らかに後者が、いやどちらもお菓子のためか。」 「悪いですか?私は欲望に忠実なんです! だからさっさと鉢植えに植えてある生首(葉緑素含む) 2つ持って会場に行ってください。申込はわたしが済ませました。 あとはお菓子を勝ち取るだけです!!!」 「はぁ。めんどくさいがそれで機嫌が取れるならよし、か。 で?何の試験なんだ?」 その答えを聞いた千針は駄々をこねにこねまくったらしい。 試験会場にくまのぬいぐるみが、子供のように駄々をこねる青年と 鉢植えを2つ引き摺ってきたのはまた別のお話。 ***結昨日奏1 試験開始時間直前、昼とも夜ともつかない暗くジメジメとした洞穴の中で結昨日奏はうっすらと笑みを浮かべていた。 殺し合いの前に自然と笑顔になる少女。彼女を見て周りの人間の多くは、彼女もまた快楽殺人者か戦闘狂の1人だと思わざるをえなかった。 しかし、それは違った。元来、彼女は凛とした強い存在でありながらも心優しい人間なのだ。 では、何故その彼女が戦いの前に笑顔であったか、それは仇に近づけたという確信から来るものであった。やっと、一族を滅ぼしたヤツらの尻尾をつかんだ。その一心からくる微笑みであった。 それはまだ、試験会場に到着したばかりでこれから自分たちがなにをさせれるか知りもせずただ試験開始を待っていた時であった。 彼女の刀を見て一人の男が声をかけてきた。 「それは、ひょっとして響か?だったらオマエは鳴神研究施設の生き残りなのか?」 奏は驚愕に身を振るわせた。 「なぜ、貴方がこれを知っている!」 仇や仲間を探していた。いままでほとんど情報が得られなかった。そのためか、この降ってわいた様な偶然に彼女の語気は強くなっていた。 「そうかそうか、生き残りがいたのか。あの龍閃獅に狙われたと聞いてたから皆殺しになったものとばかり思っていた。あそこはオレ達の監視対象のひとつだったからな、気にはなっていたんだ。」 「貴方は何か知っているのか――」 ――あの仮面の男のことを。 「さあね、もう、10年も前の話だ。今じゃどうなっているかわからないな。もちろん当時のことなら去年のことのように思い出せるけどな」 「何でもいい!何でもいいから教えてくれ!」 奏は藁にもすがる思いで男に問いかけてた。 男は何か思いついたようにニンマリと笑みを浮かべた。 「そうだな、じゃあ、条件をクリアできたら教えてやってもいいかな。アンタが今回の試験を無事クリアする。それでどうだ?」 奏は戸惑いを覚えた。いったいそんなことに何の意味があるのだろう。 「わかった。無事に試験を終えよう。そうしたら教えてくれるんだな?」 「ああ、それでいい」 男はそういいながら奏でに背を向けて歩き出した。 「おい!アナタの名前は!?」 背を向けたまま男は返答する。 「オレは徒守奏太郎だ。じゃあな、鯨井美弓さん」 彼女がその名で呼ばれたのは久しぶりだった。 結昨日の名をもらう前のその名で。 彼が何故、この名を知っていたかはわからない。 しかし、だからこそ、自分が知りたいことに近づけたと彼女は思っていた。核心に迫っていると実感していた。そう思うと、自然と笑みがこぼれた。 「そう、わたしの本当の戦いは今から始まる……!」 ***結昨日奏2 奥森かずいとの共鳴 ……運命。 運命という存在を、結昨日奏は信じていない。 自分自身の進退を賭けたこの大一番で、今まで手がかりすらなかった「共鳴者」と出会う。 運命的に見えたとしても、運命ではない。 自分と似た精神を持つ「共鳴者」であれば、知らずに同じ行動をとることは十分あり得る。 ならば、いつかは出会うだろうというのも容易に予測できることだ。 まあ、それがこのタイミングであったということは、そして、あの恐るべき監督官……オルガノン・カノンの気まぐれだかなんだかで振り分けられた先がたまたま同じ陣営だったということは、僥倖以外の何物でもないのだろうけど。 奏は隣にいる男を見やる。 整った容貌と、高身長。しかしながら、なぜかどことなく間の抜けた印象を受ける。 洞窟に入ってからというもの、彼が6回ほど転んでいたからかもしれない。 (……というか、本当に魔人なのか、この人) どう見ても危険度A級指定魔人の首を取ってきたようには見えない。 ……いや、人を見かけで判断してはいけないが。 少なくとも、なぜか試験会場にいた幼女とかよりは危険人物だろう。たぶん。 「どうしました?」 奏の視線に気づき、彼が問いかけてくる。柔和な微笑み。 とっさに奏は話題を探す。 「いや……あの、交換手術の処置はどうでしたか。体調は」 「ああ、播磨さんの能力のことですね」 彼は播磨のいる方に視線をやる。 「全く違和感はありませんよ。正直言って、医者としての腕は私などとは比べものになりません」 まあ私の専門は外科ではないのですが、と付け加えたが。 播磨千針の肉々交換手術。 2人の人間の肉体の一部を「元の身体能力ごとすげ変える」という驚異の力は、もはや医術とは呼べない。魔術とか奇術の類だ。 「……まあ、後遺症がないなら何よりですね」 奏の能力である二分の一刀流。それを使用するために必要不可欠な「共鳴者」と出会えたのだが、そこで問題がひとつあった。 「共鳴者」奥森かずい――彼との共鳴では、奥儀を撃つことはできない。 理由は、彼が医師であることにある……要するに、単純に身体能力が足りないのだった。これなら、武器無しという事情を鑑みたとしても、奏が一人で戦ったほうが強い。 戦闘前のブリーフィングで奏がそのことを話すと、 「そうか。つまり体の運動性能を上げてやればいいのだな」 播磨千針がそう言い、そしてあとは早かった。 がっしりとした体躯の男・マッチョムと奥森かずいとの交換手術は滞りなく終了した。 たしかに速度と結果を見ればかずいの言う通り、播磨千針は優れた医師だといえるだろう。 しかし、はっきり言って彼は医者には見えない。 裁縫セット(!)を手術に使っているのはまあ、百歩譲って許そう。布を切るのが本来の用途である裁ちばさみで皮膚を切開するその様子は異様だったが、まだ物理現象の範疇内である。 だが、どうして交換手術をされる二人のあんなに距離が離れているというのだ。 播磨の手から針が糸がハサミが飛んでいくのを見ていたが、今でも自分の目が信じられない。 そして、二人の体の「部品」が次々と宙を交差するその光景は、まるで悪夢のようだった。 というか、今夜あたりの夢に出てきそうである。 「個人的にはもう二度と見たくない光景……」 「アフターケアもしてくれるそうですよ」 かずいが言う。 つまりは、またあの肉の移動が行われるわけか。 正直あまりいい気分ではないが、まあいい。 どうせ、奥儀を放ったあとは、そんな光景を気にしてなどいられないだろう。そんな予感があった。 ……奥儀。 魂の共鳴エネルギーを利用して放つ、必殺の剣閃。 その刀身は金色に輝く奔流。 その威力は無情に貫く激流。 すでに準備はできている。 右手を水平に突き出す。「響」を持つ右手。 かずいの左手が、柄に添えられる。 ***結昨日奏3 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | に・・・二分之一刀流 \__ _________      V    //    ト、   /ミ/    ヘミ\  (二ニ(^^^^^^^^)ニ二)   丶シ88888888丶ソ   i88/⌒\/⌒ヘ88i   }8| |  | |8{ ←敵   88|[二] [二]|88   88} / 〈L ヘ {88  _88′/ ̄ ̄ヘ `88_  ̄ 、 \`ー―"/ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 二人で一つの刀で65%! |  | リーダーでFS+3が加わって65+9の74%! |  | そして応援ボーナスを加えれば74+10の・・・! |  | ゲームキーパー!これで確実に発動する84%だーッ! \__ _____________________      V      ___    /。    \   /       \  |┏━━━━━┓  |┃ ⊂⊃|⊃| ←結昨日奏  |┃    | |  |┃    | |   \\    | /       ̄ ̄ ̄ ̄
*チームωSS1 #contents ***ピョンフ 「共鳴?」 手にした槍を意味もなく撫でながら、おざなりに聞き返す。 何の変哲もない短槍である――愛着がないわけではないし、なまくらなわけでもないが、普通の武器だ。 と、武器をいじるこちらにつられたのだろうか、目の前の少女もまた、(無意識なのだろうが)刀の柄に触れた。 その表情は硬く、眼光は鋭い。しかしそれを除けば、幼さの残る顔立ちである。恐らくはまだ成人もしていないだろう。 思ったより広さがある洞窟。 ようやく目が慣れてきたのか、周りの魔人たちの気配も活発になったのを感じる。いや―― (あるいは、殺し合いを前にして、高揚しているってことなのかも、な) 「……」 こちらを見つめる少女の視線に気づき、彼女は――[[ピョンフ]]は目の前へと意識を戻した。それを確認し、少女が答える。 「私の刀は、一人では真価を発揮しない――『共鳴者』と力を合わせることで、100%の力を発揮する」 そう言って少女は、鞘から刀を抜いてみせた。 刀身はない。 何かの冗談かと思う者もいるかもしれないが……実際にその少女に相対してみれば、そいつのそんな感想も一発で吹き飛ぶだろう。 少女の名は[[結昨日奏]]。 相当の凄腕と言っても全く過言ではないであろう力量の剣士。 劇的な能力や個性を持たないピョンフの最も優れた武器……5年間を戦いと逃亡に明け暮れた、その経験からくる皮膚感覚が告げる。 刀身が無かろうが関係なく、少女自身が抜き身の刃であり。 その手刀こそ二の太刀を必要としない必殺の剣なのだと。 「魂の『共鳴者』。そして、私の生み出された場所を奪った『敵』を探し出すために。私は必ずこの試験を突破する」 「へ……じゃあ、その共鳴者ってのは、まだ見つかってないってこと?」 思わず口を突いて出てしまったこちらの問いに、少女はちょっとだけ決まり悪そうに目を泳がせた。 「…………見つかるかもしれない。これからの戦いの中で」 「呆れた……」 実戦で試したことのない技。どこにいるのかも分からないパートナー。 こいつは、当てもなくそれを探し続けようというのか。 「そんな果てのないことやってないで、普通の武器を使えばいいじゃないのさ。あんたの実力でちゃんとした刀を使えば――」 「そんなことはできない」 鬼に金棒ってやつだろ、とそう続けようとした先は、少女の言葉によって遮られた。 「この『響』は私のルーツだから」 私の戦いの基幹だから。 だから、この刀を――あの日に唯一残った研究結果の結晶を、手放すことはできない、と。 「…………」 ピョンフは手にした槍に目を落とす。 何の変哲もない短槍である――愛着がないわけではないし、なまくらなわけでもない。 わりと長い間を共に戦い、敵を打ち倒してきた武器だ。 普通の武器。使い勝手がよく、手に馴染む……敵を殺す、そのために特化した存在。 (そこにそれ以上の意味は必要ない。これがベストの武器のスタイル) 刀身のない刀は、武器とは言えまい。 (でも……) それでもこいつはその刀を持つ。そこには、単なる武器としてだけではない、別の想いが込められているのだろう。 (なんというか、そういうのは……) そういう生き様は。 「そういうところは、嫌いじゃないね」 奏は、少しだけ驚いたように見えた。 ***黒井ピョートル(首級獲得エピソード) [[黒井ピョートル]]は、深夜の道路を歩いていた。 (赤村崎シロウ……ね。ったく、頼まれたら断れないとはいえ、なんでそんな奴が標的なんだよ) 連続道路標識引っこ抜き事件。4日間に渡って引っこ抜かれた標識は、112本にのぼる。 犯人は、畠に埋まっている根菜を引き抜く速度が日本一の魔人。 そのアホは、こともあろうに武者修行のために道路標識を引っこ抜いてまわっているらしい。 (ってか、なんだってそんなどうでもよさげな魔人に殺し屋の俺が派遣されるんだ? くそ……) ともあれ、上司の命令には逆らえない。 暗い夜道を、腹の中で標的の魔人と上司とたばこ増税に対する呪詛を呟きながら歩いているのも、そういうわけである。声には出さない。近所迷惑だしね。 (つーかさあ、たばこ税率400%ってなんだよ。販売価格が一気に5倍だぜ? ほんとにこの国はもう……) と、この国の行く末について真剣に憂いていた時、標的の後ろ姿を見つけた。 (……あいつか) あらかじめ渡された情報と一致する。 それでも、間違って人違いで殺してしまっては大変なので、ピョートルは声をかけた。 「赤村崎シロウさんですね」 男が振り向く。半身になってこちらを見る形だ。 ちなみに、ピョートルの敬語は職業上の癖のようなものである。人に対する態度はきちんとしないと、箔がつかない。 「お前は……」 「黒井ピョートル。あなたを暗殺するために雇われ」 最後まで言い切ることはできなかった。次の瞬間にはピョートルはブロック塀の残骸と共に寝転がっていた。 (――――!?) 何をされた。 理解するより先に、視線を前方に投げる。 シロウは、引き抜いた標識を片手でひょいと肩の上に乗せていた。 (っつ、この、馬鹿力、が……) 死にはしなかったが、どの道行動不能である。 何もできない。ピョートルは精神を集中させ、彼の能力を発動した。 目に見える変化はない。ピョートルの周囲だけ闇が濃くなった――というのも錯覚である。それでこその暗殺能力だ。 とはいえまあ、その能力をお披露目するのもこれが最後になるかもしれないが。 ゆっくりと近づいてくるシロウのものとおぼしき足音。 どうやら、いつでもとどめを刺せると判断したのだろう。 (ったく、なめやがって) それでもピョートルは近づいてくるシロウを睨みつけ―― 勝ち誇った笑みを浮かべるシロウが、笑みの形を作った口を開き―― 「あべし」 ……。 …………あべし? …………ごとん、と。 シロウの持っていた標識がアスファルトに落ちる。 同時にシロウの体が崩れ落ち…… 彼の頭部を直撃した鉄ポールも横倒しになった。 周りを見回す。どうやらピョートルが吹っ飛ばされた先は中学校の外壁のようだった。 どうやら、倒れてきたのはテニスコートの横に備え付けられた照明のポールらしい。 ようやく痛みが走ってきて、ピョートルは顔をしかめた。 よろよろと立ち上がる。シロウの死を確認し、ピョートルは息をついた。 と。 「やれやれ、どうやら終わったようですね」 上司か。 そう思って振り向いたピョートルの視線の先にいたのは、見たことのない人物だった。 無言のピョートルを見ながら、現れた女は勝手に先を続ける。 「この程度の相手に負けるようであれば見限るつもりでしたが……んん、微妙なところでしたが、結果が全てですしね」 「……どちら様で」 「あ、申し遅れました。わたくし、クリックロック・クロックと申します」 「クリック……?」 「あ、名前はお気になさらないでください。まあ……リスペクトのようなものです」 何を言っているのかわからない。 少なくともわかるのは、自分はこの女に監視されていた、ということだけだ。 含み笑いのような声を漏らしながら、彼女は続ける。 「失礼ながら、あなたの実力を見るために、依頼させていただきましたわ。結果は……合格ということにしておきます」 「……何がですか」 「ふふ」 さすがに口調にも不愉快なものがこもってしまったが、女は一向に気にした様子はない。 「おめでとうございます。あなたはこの度、『国家刺客試験』にエントリーされました」 国家資格? ピョートルの頭に疑問符が浮かぶ。 「かいつまんで言うと、国が主催する、暗殺者の公認資格のための試験ですわ」 (国が、暗殺者を抱える……だって?) ずいぶんと胡散臭い内容である。が、近代の社会情勢からすれば、考えられなくもない……のだろうか。 「そんな事に、どうしてしがない暗殺者の自分が?」 「ふふ、疑ってますね? 疑っちゃってますね? 理由はとっても簡単ですよ」 クリックロックと名乗る彼女は近づいてきた。人差し指をこちらへ向け、告げる。 「あなたのその才能……周囲に破壊と生物の死を起こりやすくするという能力。なんとも都合のいい能力ではありませんか。特に……事故を装った暗殺にはね」 「……指で指さないでください」 「本来ならば招待メールを返信し、危険度A級魔人を探し、その首を取るところから開始するはずでしたが……まあ、そこまではこちらで斡旋させていただきましたわ」 余計なお世話だった。 (まあ、事情はわかったけどな) 本当に国家が主催するのかどうかはまだわからないが……少なくとも、暗殺者がぞろぞろ集まる試験に駆り出されることになってしまったらしい。 「もし、もしもですが、拒否したりとかしたら……どうなります……?」 おそるおそる聞いてみる。 秘密を知ったものは消すとか言う展開になるかもしれないので、慎重さは大切だ。 「あらあら、惜しいですね……若い身空で……」 「いえいえいえ、そんなつもりでは」 慌てて否定する。 あぶねー。 「それに、国家刺客に認定されれば、たばこ税を免除して、さらに値段を1割引きにさせていただくことも可能ですのに」 「よろこんで参加させていただきます」 こうして、ピョートルの参加は確定した。 ***木蔭ハヅキ(首級獲得エピソード) 氷の女王・シヴァ「よく来たな木蔭ハヅキ…待っていたぞ…」 (ギイイイイイイ) ハヅキ「こ…ここがシヴァのお城だったのか…! 感じる…シヴァの氷結力を…」 シヴァ「ハヅキよ…戦う前に一つ言っておくことがある。お前は私を倒すのに『伝説のホッカイロ』が必要だと思っているようだが…別になくても倒せる」 ハヅキ「な、何だって!?」 シヴァ「そしてお前から奪った肉まんは冷めていたので温めなおしておいた。あとは私と一緒に仲良く食べるだけだなクックック…」 (ゴゴゴゴ) ハヅキ「フ…上等だ…私も一つ言っておくことがある。私は冷え性だから寒いんだと思っていたが、ただ風邪を引いていただけだったぜ!」 シヴァ「そうか」 ハヅキ「ウオオオいくぞオオオ!」 シヴァ「さあ来いハヅキ!」 ハヅキの風邪がすぐに治ると信じて…! ご愛読ありがとうございました! ***播磨千針 この話は希望崎学園のとある保健室での1コマである。 臨時保険医 [[播磨千針]]はコーヒーを片手に副業『ミート×ミート(有)』 の『肉々交換』カルテを眺めていた。 「『宇佐美 観月 本物のウサミミをつけたい』か。却下だな。」 「うわぁ!0がいっぱい。久しぶりに高額の依頼じゃないですか! 千針さんなら10分もあれば余裕でこなせるのに何故です?」 この台詞の主は、『熊野胡桃』と言う。 昔の患者の一人で全身火傷の皮膚を、クマのぬいぐるみと交換された女の子である。 命の恩人ということもあり、現在千針の助手を勤めている。 「顔が好みじゃない。」 「宇佐美さんかわいいじゃないですか!千針さんかわいい女の子好きですよね?」 「宇佐美じゃない。ウサギの方だ。不細工な顔しやがって。 こいつに宇佐美の耳など勿体無さ過ぎるだろ。」 「そんな理由で仕事を蹴る余裕があるとでも思っているんですか!? うちはもうここ5年、いえ創業以来100%赤字です!」 「お金がないのは、首がないのと同じ。 ほら、くるみだって首がないのに普通に生活を遅れてるだろ。 そうそう、首と言えばキリンと首長族の族長の首を交換する手術。 あれはやり甲斐があったな。」 「屁理屈こねないでください!お金は必須です。 それに首の手術は、首の長さにかけて遠距離手術の最長距離記録に 挑戦したときじゃないですか。むしろ記録のためだけでしたよね。それ。」 「屁理屈などこねていない。だが駄々をこねてるのはお前だ。 お菓子を買うお小遣いをやらなかった程度でぐちぐちと。」 「お菓子をくれない千針さんが悪いんです。 だからわたしは考えました。千針さんに嫌な手術を慣れさせて なおかつ、お菓子をもらえる方法を!」 「明らかに後者が、いやどちらもお菓子のためか。」 「悪いですか?私は欲望に忠実なんです! だからさっさと鉢植えに植えてある生首(葉緑素含む) 2つ持って会場に行ってください。申込はわたしが済ませました。 あとはお菓子を勝ち取るだけです!!!」 「はぁ。めんどくさいがそれで機嫌が取れるならよし、か。 で?何の試験なんだ?」 その答えを聞いた千針は駄々をこねにこねまくったらしい。 試験会場にくまのぬいぐるみが、子供のように駄々をこねる青年と 鉢植えを2つ引き摺ってきたのはまた別のお話。 ***結昨日奏1 試験開始時間直前、昼とも夜ともつかない暗くジメジメとした洞穴の中で結昨日奏はうっすらと笑みを浮かべていた。 殺し合いの前に自然と笑顔になる少女。彼女を見て周りの人間の多くは、彼女もまた快楽殺人者か戦闘狂の1人だと思わざるをえなかった。 しかし、それは違った。元来、彼女は凛とした強い存在でありながらも心優しい人間なのだ。 では、何故その彼女が戦いの前に笑顔であったか、それは仇に近づけたという確信から来るものであった。やっと、一族を滅ぼしたヤツらの尻尾をつかんだ。その一心からくる微笑みであった。 それはまだ、試験会場に到着したばかりでこれから自分たちがなにをさせれるか知りもせずただ試験開始を待っていた時であった。 彼女の刀を見て一人の男が声をかけてきた。 「それは、ひょっとして響か?だったらオマエは鳴神研究施設の生き残りなのか?」 奏は驚愕に身を振るわせた。 「なぜ、貴方がこれを知っている!」 仇や仲間を探していた。いままでほとんど情報が得られなかった。そのためか、この降ってわいた様な偶然に彼女の語気は強くなっていた。 「そうかそうか、生き残りがいたのか。あの龍閃獅に狙われたと聞いてたから皆殺しになったものとばかり思っていた。あそこはオレ達の監視対象のひとつだったからな、気にはなっていたんだ。」 「貴方は何か知っているのか――」 ――あの仮面の男のことを。 「さあね、もう、10年も前の話だ。今じゃどうなっているかわからないな。もちろん当時のことなら去年のことのように思い出せるけどな」 「何でもいい!何でもいいから教えてくれ!」 奏は藁にもすがる思いで男に問いかけてた。 男は何か思いついたようにニンマリと笑みを浮かべた。 「そうだな、じゃあ、条件をクリアできたら教えてやってもいいかな。アンタが今回の試験を無事クリアする。それでどうだ?」 奏は戸惑いを覚えた。いったいそんなことに何の意味があるのだろう。 「わかった。無事に試験を終えよう。そうしたら教えてくれるんだな?」 「ああ、それでいい」 男はそういいながら奏でに背を向けて歩き出した。 「おい!アナタの名前は!?」 背を向けたまま男は返答する。 「オレは[[徒守奏太郎]]だ。じゃあな、鯨井美弓さん」 彼女がその名で呼ばれたのは久しぶりだった。 結昨日の名をもらう前のその名で。 彼が何故、この名を知っていたかはわからない。 しかし、だからこそ、自分が知りたいことに近づけたと彼女は思っていた。核心に迫っていると実感していた。そう思うと、自然と笑みがこぼれた。 「そう、わたしの本当の戦いは今から始まる……!」 ***結昨日奏2 [[奥森かずい]]との共鳴 ……運命。 運命という存在を、結昨日奏は信じていない。 自分自身の進退を賭けたこの大一番で、今まで手がかりすらなかった「共鳴者」と出会う。 運命的に見えたとしても、運命ではない。 自分と似た精神を持つ「共鳴者」であれば、知らずに同じ行動をとることは十分あり得る。 ならば、いつかは出会うだろうというのも容易に予測できることだ。 まあ、それがこのタイミングであったということは、そして、あの恐るべき監督官……オルガノン・カノンの気まぐれだかなんだかで振り分けられた先がたまたま同じ陣営だったということは、僥倖以外の何物でもないのだろうけど。 奏は隣にいる男を見やる。 整った容貌と、高身長。しかしながら、なぜかどことなく間の抜けた印象を受ける。 洞窟に入ってからというもの、彼が6回ほど転んでいたからかもしれない。 (……というか、本当に魔人なのか、この人) どう見ても危険度A級指定魔人の首を取ってきたようには見えない。 ……いや、人を見かけで判断してはいけないが。 少なくとも、なぜか試験会場にいた幼女とかよりは危険人物だろう。たぶん。 「どうしました?」 奏の視線に気づき、彼が問いかけてくる。柔和な微笑み。 とっさに奏は話題を探す。 「いや……あの、交換手術の処置はどうでしたか。体調は」 「ああ、播磨さんの能力のことですね」 彼は播磨のいる方に視線をやる。 「全く違和感はありませんよ。正直言って、医者としての腕は私などとは比べものになりません」 まあ私の専門は外科ではないのですが、と付け加えたが。 播磨千針の肉々交換手術。 2人の人間の肉体の一部を「元の身体能力ごとすげ変える」という驚異の力は、もはや医術とは呼べない。魔術とか奇術の類だ。 「……まあ、後遺症がないなら何よりですね」 奏の能力である二分の一刀流。それを使用するために必要不可欠な「共鳴者」と出会えたのだが、そこで問題がひとつあった。 「共鳴者」奥森かずい――彼との共鳴では、奥儀を撃つことはできない。 理由は、彼が医師であることにある……要するに、単純に身体能力が足りないのだった。これなら、武器無しという事情を鑑みたとしても、奏が一人で戦ったほうが強い。 戦闘前のブリーフィングで奏がそのことを話すと、 「そうか。つまり体の運動性能を上げてやればいいのだな」 播磨千針がそう言い、そしてあとは早かった。 がっしりとした体躯の男・[[マッチョム]]と奥森かずいとの交換手術は滞りなく終了した。 たしかに速度と結果を見ればかずいの言う通り、播磨千針は優れた医師だといえるだろう。 しかし、はっきり言って彼は医者には見えない。 裁縫セット(!)を手術に使っているのはまあ、百歩譲って許そう。布を切るのが本来の用途である裁ちばさみで皮膚を切開するその様子は異様だったが、まだ物理現象の範疇内である。 だが、どうして交換手術をされる二人のあんなに距離が離れているというのだ。 播磨の手から針が糸がハサミが飛んでいくのを見ていたが、今でも自分の目が信じられない。 そして、二人の体の「部品」が次々と宙を交差するその光景は、まるで悪夢のようだった。 というか、今夜あたりの夢に出てきそうである。 「個人的にはもう二度と見たくない光景……」 「アフターケアもしてくれるそうですよ」 かずいが言う。 つまりは、またあの肉の移動が行われるわけか。 正直あまりいい気分ではないが、まあいい。 どうせ、奥儀を放ったあとは、そんな光景を気にしてなどいられないだろう。そんな予感があった。 ……奥儀。 魂の共鳴エネルギーを利用して放つ、必殺の剣閃。 その刀身は金色に輝く奔流。 その威力は無情に貫く激流。 すでに準備はできている。 右手を水平に突き出す。「響」を持つ右手。 かずいの左手が、柄に添えられる。 ***結昨日奏3 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | に・・・二分之一刀流 \__ _________      V    //    ト、   /ミ/    ヘミ\  (二ニ(^^^^^^^^)ニ二)   丶シ88888888丶ソ   i88/⌒\/⌒ヘ88i   }8| |  | |8{ ←敵   88|[二] [二]|88   88} / 〈L ヘ {88  _88′/ ̄ ̄ヘ `88_  ̄ 、 \`ー―"/ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 二人で一つの刀で65%! |  | リーダーでFS+3が加わって65+9の74%! |  | そして[[応援ボーナス]]を加えれば74+10の・・・! |  | ゲームキーパー!これで確実に発動する84%だーッ! \__ _____________________      V      ___    /。    \   /       \  |┏━━━━━┓  |┃ ⊂⊃|⊃| ←結昨日奏  |┃    | |  |┃    | |   \\    | /       ̄ ̄ ̄ ̄

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