:Lunatic Gate-雪華の神話-| 「さぁ、光一の息子よ。剣を取れ」 最終決戦は自分の生まれ育った桜門の地だった。 親友との再会、アトラスの7剣との死闘、そして憧れだった人との別れ。 様々な思惑が渦巻く戦いは、英雄の生き残り『鶴谷国重』との一騎討ちが最後の舞台となった。 鶴谷を討てば、長きに渡る戦いの連鎖が断ち切られる。 そう信じて剣を取り続けた一人の少年は苦悩する。 本当に終わりなのか? 鶴谷が終わらそうとしていた世界はこんなにも歪んでいるのに。 自分の剣に迷いを感じつつも、最後の瞬間は訪れる。 粉々に砕け散る双剣。 爆散する波動。 アトラスの一人、黒崎雪華が駆けつけたときにはすでに事は終えていた。 炎に焦げる大地と、ボロボロになって落ちている黒き銃。 『兄さん・・・』 銃を拾い上げ、胸に抱き涙を流す。 最後の最後まで主人と共にした、Aiminiftに微かな兄のぬくもりを感じて。 ―あの事件から、3年後 桜門は中村美沙の手によって再建され、世界は平和へ向かいつつあった。 「まったく、マスターはどこへ行ったのやら・・・」 マスターである石田隆はここ数日行方を晦ましている。 「放浪癖がある人だとは言え、ツヴァイハンダーは最近私に任せっきりだしなぁ・・・はぁ」 「そうボヤかないの。彼が居なくてもアナタ一人でもう何でも出来るでしょ?」 中村学園長はいつもの調子で書類に目を通しながら呟く。 「えぇ~・・・そんなぁ・・・」 平和になって2年がたった。 けども、以前狂気は断ち切れていない。 まだここは治安が安定しているものの、他の近隣諸国では未だに狂気に感染した者が猛威を奮っている。 その現状に、雪華は矛盾を感じずにはいられなかった。 「兄さん・・・もし兄さんがいたら・・・」 「今の世界を、どう思ってる・・・かな」 腰に下げられるAiminiftを手に考える。 自分はまだ弱くて、彼のように巨大なものに立ち向かう勇気すらない。 『どうすれば、終わりは見える?』 ―終わりなどない。 ―この戦いの連鎖への抑止力は無くなった その瞬間、桜門に一つの落雷が落ちた。 真っ白の外装に、手には見たことのない文様。 『終わりなどない。過去の雪辱は永遠に消えない!!』 「アラート!?こんなときに誰が・・!!」 そうして雪華は未知の力に立ち向かう。 すべては今を護るため、 兄が残したこの時間を生きるため、 手にはIxion/Divineの刻印が施された十字剣。 そして、黒き銃を携え彼女は戦場へその翼を舞わせた。
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