*Story 世界を二分した大戦があった。 大国『アナトリア』とそれに対抗する小国『桜門』 アナトリアはその絶対的な力を世界へ提示し、桜門への武力介入を開始。 勝敗は分かりきっていた。 力の差は歴然、弱小国である桜門が敗戦することは明白であった。 しかし、敗戦することはなかった。 結果としてアナトリアは消滅し、桜門は世界へその力を示すこととなる。 さて、桜門へ勝利をもたらした存在のことを語ろう。 この大戦で使われた力、世界を変えるほどの力を保有する存在。 その剣の一閃は空を割り その身に纏う鎧は如何なるものの干渉を遮蔽する。 彼らのことを人は神の代行人【執行者】と呼んだ。 「キミは・・・誰?」 夏の夜、校舎の屋上で蒼い閃光が走る。 少年はその少女と出会い、その存在を知った。 「私?私はね」 少女には不釣合いの巨大な剣を携え、不敵に笑うその様子は少年の知る少女の顔ではなかった。 力が欲しい。 誰かを護れる、たったそれだけでいい。 自分にも、この女性のような力があれば・・・。 「私は葵。執行者、黒崎葵」 少年『野田康治』が出会った、初めての執行者だった。 ~数年後~ 闇夜に浮かぶ、二つの陰。 世界の裏で抑止力として働きかける二つの力があった。 暗殺家業の名の下に、狂気を討つ暗殺者一族。 少年『石田隆』はそのうちの一人だった。 毎日のように人を殺し続け、自分の心を失いつつあった彼の前に訪れる危機。 それは自分の姉のような存在であり、師でもある『柊優子』の今まで見なかった姿。 ただ一人となって、護るべき存在を抱きかかえ、敵へ突撃する石田の前に降り注ぐ光。 邂逅するのは漆黒の銃を持ち、白き鎧を身に纏いし執行者。 それは執行者として存在する親友『野田康治』だった。 そしてこの事件を機に、大きな流れの中に二人の少年はその身を投じることになる。 執行者と暗殺者。 歴史上、相容れぬ存在である者達が今、覚醒のときを迎える。 *登場人物 :野田康治| この物語の主人公。 桜門学園所属の執行者で父と母が執行者であったが、その事実を知らぬまま彼自身もある夏の夜執行者となることを決意する。 親友石田隆との確執によって一度はその刃を交えるが、謎の人物によって二人とも完膚なきまでに打ちのめされてしまう。 その後石田とは袂を分かつが、野田康治は『自分達の戦いの影で暗躍する者』への疑念を抱き始める。 同級生であり初恋の相手である『望月杏』が狂気に感染したことにより事態は急変する。 執行者とは?自分はなぜ力を欲したのか? 目の前で散る黒崎葵の姿に我を失い暴走するも、石田の問いかけによって本当の自分を取り戻す。 :石田隆| もう一人の主人公。 普通の学生を演じながらも、裏の社会では腕の立つ暗殺者『柊優子』の元暗殺家業の助手をしていた。 しかし、柊優子は仕事中に重傷を負ってしまい、その現場に居合わせた野田康治と運命の出会いを果たす。 生身の人間である自分に対し刃を向ける親友の姿に絶望し、それは執行者と狂気の存在否定へと発展した。 力を欲した彼は柊優子から一振りのナイフと、『魔術・固有次元制御法』を授る。 野田康治との戦い、真の敵との邂逅を経て自らが旗を執る反乱軍『黒き翼』を立ち上げることとなる。 :黒崎葵| 桜門学園始まって以来唯一の天才執行者。 野田康治に『戦う術』を教えた張本人。 その身に余る長剣『イクシオン』を背中に携え、燐と戦場の中で微笑む