Dangerous SS Light内検索 / 「プロローグ(美人戦隊ビジレンジャー)」で検索した結果

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  • プロローグ(美人戦隊ビジレンジャー)
    プロローグ(美人戦隊ビジレンジャー) 神奈川県の採石所。そこの一番見晴らしがよい地点で 鎧を着たサンプルっぽい男が高笑いしていた。 「うわーっはっはは、私の名はサンプル将軍! 秘密結社ヘドロッカーの幹部!これより世界征服の 第一歩を踏み出してくれるわー!」 そこから一歩踏み出したら崖下に落ちるだけでは? 何てことを言ってはいけない! 悪の組織が世界征服を宣言する時は指定された採石所 を通らないといけない事が法律で決まっているのだ! 「よし、これで市役所に怒られないな。 じゃあまずはバスジャックでも・・・」 「待ちなさい!」 採石所から立ち去ろうとするサンプル将軍を止める声! 振り返ると腹部に『4』と書かれた白い戦隊スーツの女! 以上一名!他には誰もいない! 「誰だー・・・え?」 周囲を見渡すサンプル将軍。だが誰も隠れてい...
  • 美人戦隊ビジレンジャー
    ... プロローグSS プロローグ(美人戦隊ビジレンジャー) 参加キャラクター
  • 予選結果コメント(美人戦隊ビジレンジャー)
    美人戦隊ビジレンジャー 順位 キャラクター名 合計P あやまだ CAT 銀河 クオンタム 珪素 さささ 滝口流 ぺんさん 無知園児 ロケット商会 43位 美人戦隊ビジレンジャー 3 0 0 0 0 0 0 0 0 1 2
  • 参加キャラクター
    参加キャラクター 投稿された参加キャラクターの一覧です。 プロローグSSの最終投稿時間が早かった順に並びます。 キャラクター名     性別  特殊能力名 プロローグSS プロローグ文字数 鶴来 鞘華 女性 超最強必殺剣 プロローグSS 2480 【復活の天才】 天道 優斗 男 魔法式CAT (Control All Talents)  プロローグSS 2456 ハンマエル 無性 デウス・エクス・ハンマー プロローグSS 2345 Windows93マン 男性 Windows93Tシャツ プロローグSS 1010 出海九相 男 BENKISH プロローグSS 2494 片羽 美刀 女 剣神Lv16 プロローグSS 2500 あもにゃん 非公開 二重存在(ダブルブッキング) プロローグSS 2500 名称不定・後ろの怪異 不明 (それに名前をつければ怪異は終わる) プロ...
  • プロローグ(篠原 楓)
    プロローグ(篠原 楓)  「あたし、大きくなったらヒーローになる!」  空がオレンジに染まり大きな影を落とし始めた夕暮れ。  そんな夕暮れ時の坂道を、一人の青年と一人の少女が並んで歩いていました。  「それは……本気かい? 楓ちゃん」  「うん! 本気だよ!」  「……例えば、どんな? 楓ちゃんはどんなヒーローになりたいんだい?」  「師匠みたいなヒーロー! 世界一かっこよくて、世界一優しいヒーローになるの!」  当然のように、少女はそう言いました。  無邪気な笑顔で──、それがどれだけ大変なのかも知らず、けれど夢と希望に満ちた願いを。  「……そっか。うん。でも、そうなると僕は引退しなきゃだ」  「そんな、どうしてですか!」  「だって、楓ちゃんがヒーローになるなら僕の役目は無くなっちゃうからね」  どのみち、彼にはあまり時間が残さ...
  • プロローグ(海原 信)
    プロローグ(海原 信) 『キミに叶えたい願いはあるか?』 コンビニでお菓子を買って、さて帰ろうと思ったらケータイが震えたので見ると、妙なメールが来ていた。なぜかそのまま無視する気にもなれなくて、指を走らせる。 『どんな願いでも?』 送信。そしてすぐに返信が来た。 『願いを増やす等の類は通らない』 少し考えてみる。叶えたい、願い。 『願いを検知。健闘を祈る』 いやいや。なんだそれ。突然願いはなんだと聞いてきて、その願いも聞かずに勝手に祈られても、ね。性格わるっ。 怪訝な目で僕を見て、コンビニに入っていく人がいた。もしかしなくても邪魔だな?どうしようと思った時に、公園が目に入った。ちょっと落ち着きたくて公園へ足を向ける。その公園は今にしては珍しくジャングルジムとか地球儀の骨みたいな回るやつとかが置いてある。 「……懐かし...
  • プロローグ(半沢時空)
    プロローグ(半沢時空) 正午直前、都内某高校。普段なら学生達と教師が腹を空かせながら授業を進めているはずの教室は、ひしゃげた机や椅子達が散乱し、窓ガラスが割れ切った、見るも無残な様相を醸す。 そこで二人の者が五メートル程の間合いを取り睨み合っていた。 一方は紺色のジャージ姿で二本の棍棒を持つ男、もう一方は学ランを着た大柄な男。両者ともに魔人である。ジャージ男が口を開く。 「...で、いつになったらどいてくれるのかな、そこの後輩君、俺はまだこの教室を破壊し足りないだよねえ?ん?」 「貴様の後輩になった覚えなどないな。この騒ぎの原因は貴様か、名乗れ」学ランの男も臆さず返す 「ほーう?随分生意気だねえキミィ、オレはここのOBの村松、22歳、わが麗しき母校を破壊したい気分になってなあ、キミも母校と同じになるか?」 「来るなら来い、返り討ちにする。別に正義感に駆られて悪い奴...
  • プロローグ(田中 翼)
    プロローグ(田中 翼)  私のクラスの田中君には翼が生えている。漫画やアニメに出てくる天使のような翼だ。とてもきれいだけれど、田中君には正直言って似合っていない。その上、翼をいくら動かしても飛ぶことができない。  言ってしまえばただの飾りだ。それでも田中君にとっては生まれた時からある体の一部で、お母さんのお腹の中から出てきた時には既に小さな翼が生えそろっていたらしい。彼のご両親は驚いた。当然だろう、お父さんにもお母さんにも、二人の親戚の内の誰にも翼なんて生えていなかったから。  二人は驚きのあまり田中君に「翼」なんていうあんまりにも安直な名前を与えてしまった。二人は田中君の翼について色々と悩んだが、最終的に「悩んでもしょうがないか、生えちゃってるし」との結論に達し、開き直った両親の手によって田中君はのびのびと育った。その甲斐あってか、田中君は羽が生えているだけの、普通の男...
  • プロローグ(宝条綾果)
    プロローグ(宝条綾果)  雲間から顔を出した太陽は、暖かな日差しを照りつける。 穏やかにそよぐ風は、去り際に頬を撫でていく。 昨夜の雨が残した水溜りは、覗き込む少女の内面までも映し込むかのようだ。 水面に映された少女の顔。その鼻のあたりに、アメンボが止まる。 それが何だか可笑しくって、いつまでも眺めていたい。少女はそう思った。 アメンボが次の水場を求めて飛び立つことを名残惜しそうに見送った少女は、自分も水溜りを飛び越えようと小さく跳ねる。 落ちた水滴が水面に静かに波を起こすかのように、そこだけが透き通って見えた。 ◆◆◆◆ ~~宝条綾果プロローグ 『命短し恋せよ乙女』~~ ◆◆◆◆  宝条綾果は上機嫌であった。 迎えを断り徒歩で帰ると決めたのは、どうやら正解だったようだ。 学校と家路を往復するだけの車内では、こんな光景は見られなかった...
  • プロローグ(菅原 空海)
    菅原 空海・エピローグ『鬼手仏心』/プロローグ『千載一遇』  菅原 空海・エピローグ『鬼手仏心』  いつからか。こんなに渇きを覚えるようになったのは。 「空海(そらみ)さん。いつかこんな日が来るかもしれない――来ないで欲しい。私は、そう思っていたわ」  黒のパンツスーツの女は、レンズ越しの目を細めて言った。立ち姿に一片の隙も無く、これから始まるであろう望まぬ戦いに、それでも戦う為の身体は自然と臨戦態勢をとる。 「鎮(しずめ)さん。私はこの日を待って、待ち続けて――いました」  対峙するのは、墨色の作務衣に身を包んだ大柄な少女。背筋を伸ばし凛とした立ち姿は、180cmを超える上背以上に威圧感を感じさせた。 「あなたは、あの大会に関わるべきでは無かった。恨まずにはいられないわね……『魔人闘宴劇』なんていうバカ騒ぎも、願いに惹かれて大海へ漕ぎ...
  • プロローグ(無形)
    プロローグ(無形) 「ば、バカなァ――ッ!? そんな人形で俺の能力を破るだとぉッ!?」  今の自分が置かれている状況が理解できないとばかりに男は思わず叫びだす。  しかしそれと同時に十分すぎるほどに男は理解していた。これから自分は殺されるのだと。  男の恐怖に震える双眸で捉えるのは自分を刺し貫く騎士甲冑と――一つの人型。  トレンチコートに中折れ帽、そして髑髏の面。その髑髏の面はさながら死神のよう。 「どうだ、今まで楽しかったか?」  その人型の名は無形(むぎょう)。男が想像した通りの男自身を殺すために雇われた殺し屋。  無形(むぎょう)は淡々と問いかける、男の様子など無視して。 「思うがままに人を踏みにじり、陵辱し、殺し、楽しかったか?」  無形(むぎょう)の言葉に合わせるように騎士甲冑が駆動し男の体を巨大な剣で刺し貫いた。 ...
  • プロローグ(ヨンマル氏)
    プロローグ(ヨンマル氏) 『魔人闘宴劇』の開催宣言の記者会見を終えた数日後の事である。亜門洸太郎は奇妙な訪問者を役員個室にて出迎えていた。 「どうぞ、お入りください」 「失礼いたします」 ノックの後にいびつな声と共に入室したのは、ガスマスクにスーツ姿の不審者であった。 「――改めて、先日の無理なアポイントメントを了承していただき、大変感謝しております。連絡の際にもお伝えいたしましたが、私ヨンマルシと名乗らせて頂いております」 全く動じずにお互いが座したところで、不審者の手袋から渡された名刺を彼は手に取り目を通す。無地の紙に、目の前の人物らしき名前がぽつりと印刷されていた。 「ヨンマル氏……?」 「あぁ、こちらは偽名です。リングネーム代りにしていただければ」 加工の施されたくぐもった声がガスマスクから聞こえる。どうやらボイスチェンジャーの類を内蔵しているらしく、...
  • プロローグ(最上 恋)
    プロローグ(最上 恋) 「へへ、お店着くの、楽しみだね、恋ちゃん」 「とうとう『ヘルレポ』のフレアちゃんのフィギュア発売ですからね、九郎さん」  薄暗い路地裏を男と少女が歩いていた。魔人・太田 九郎と、その魔人能力によって生み出された“恋人”・最上 恋である。一見いかがわしい光景だが、二人の関係はとても健全だ。今日も彼らは、この路地裏にあるアニメショップに、予約していた人気アニメヒロインのフィギュアを受け取りに行くところであった。  だが、そんな幸せな時間も突然終わりを迎える。向こうから大股で歩いてきた柄の悪い男が、恋にわざと肩をぶつけてきたのだ。 「ああん? どこ見てンだよ?」 「ごめんなさい……」  典型的なチンピラである。九郎は思った。何も恋が謝ることはない。そして勇気を振り絞った。 「ぼ、僕の恋ちゃんをいじめるな!」  ビビって...
  • プロローグ(金宮 刀)
    プロローグ(金宮 刀)  俺がいつものように大学をサボって、アパートのベランダでもう何日も取り込まれていない洗濯物と一緒にタバコを吸っていると、通りの向こうに目立たない男が立っていることに気づいた。目立たないはずの遠くの人影に気付くというのも何だか難しい話のようにも思うが、その男は目立たなすぎて逆に目立っていたのだ。  金宮刀だ。俺のアパートに何の用だろう。  金宮は信号が青になったことに約3秒遅れで気づくと、ゆっくりと道をこちら側へ渡ってくる。  俺の家は大学にほど近いが、かといって金宮の家から大学に行くまでにこの道を通るわけでもない。そもそもあの金宮が昼間っから大学なんかに行くはずがない。というか、もとよりあの男は道場以外にいることが異常なのだ。  そういえば、と思い出す。昨日酔っている時に金宮から連絡があって、今日の訪問を伝えられた。気がする……  慌てて携帯の着信履歴を...
  • プロローグ(茶柱 立)
    プロローグ(茶柱 立) 「落としましたよ?」  後ろから、話しかけられた。ここが街中の大通りならスルーしただろうけど、ここは細い道だし、今すれ違ったのは一人だけなので、声をかけられたのはきっと私。しかし、カバンはしっかり持っているし、スマホもスーツのポケット。一体何を落としたのだろうか?  私は振り返った。そこには人懐っこそうな青年がハンカチを差し出して立っていた。制服だった。私が通っていたところのものではないが、見たことがある。たしか、近所の高校のもの。  私はハンカチを受け取ろうと手を伸ばそうとして、止める。……この子……本当に学生? 「……それ、私のハンカチじゃないわ」  彼が手にしていたのも、見たことない柄のハンカチだった。  そして、私はわざと確認して見せるように、カバンの中に手を突っ込んで、ハンカチを取り出した。 「おや、そうですか? 貴女のカバンから落ちたとば...
  • プロローグ(琴平 くがね)
    プロローグ(琴平 くがね) 「これはね、幸せを呼ぶコインなの。  これを大切にしていれば、きっと幸せが訪れるからね――」 おかあさんがくれた、ちいさなコイン。 それが、わたしのたったひとつのたからもの。 しあわせ、ってなんだろう。 ~~~ びょう気でお母さんが死んで――あたらしいお母さんがやってきた。 わたしをいつもたたく。 事こでお父さんが死んで――あたらしいお父さんがやってきた。 よくわからない、ひどいことをする。 学校では、友だちがいなくなった。 つくえにらくがきされたり、教科しょをやぶかれた。 先生にそうだんしたら、わたしがおこられた。 家にも学校にもいたくないから町をあるいてたら、けいさつにおこられた。 どなられて、むりやり家にもどされた。 おとなになるまでがまんしよう、と思った。 でも、がまんして...
  • プロローグ(凸乃)
    プロローグ(凸乃) 『名前が欲しい……? そうだな、私の名前―品乃(かずの)というんだが―には正方形が3つ含まれている。お前は私より賢い子になれるよう、特別にもう1つオマケしてやろう』  ――夢。  それは創造主と過ごした、短く、そしてかけがえのない記憶。  ぼつぼつと鳴る雨音を感知すると、私はスリープモードを解除して体を起こした。 「相変わらず正確な体内時計だな」  黒髪白衣の少女がベッドに腰掛けて論文を読んでいる。何度振り払っても纏わりつく、それは弱冠13歳にしてわたしを作り上げた天才・雨宮品乃の幻影。  彼女を殺した日も、こんな風に雨が降っていた。 ―――― 『――出来た! 出来たぞ! 私の事が分かるか?』 (……あなた、は……) 『ふふふ……死に物狂いで君の事を作り上げた。誇るといい、君は世界で最も優秀なA...
  • プロローグ(頭陀淵 末黒)
    プロローグ(頭陀淵 末黒) 市民体育館に、金属の衝突音が鳴り渡る。 チェーンソーの駆動音が響もす。 荒い呼吸を整えもせず、男は少女へと排気量100ccの凶器を振り下ろした。 殺人的構造が脳天に直撃しようとしたその時、少女は瞬時に身を屈め、男の脚を強く蹴り飛ばした。 男が蹌踉めき、チェーンソーを握りしめた腕の力が緩む。 少女は相手が瞬時に武器を振り回せないことを見て取ると、追撃の後ろ蹴りを顔面に叩き込んだ。 体育館の隅に腰を下ろし、黒眼鏡の男、頭陀淵末黒が後輩である少女へと炭酸飲料のペットボトルを差し出した。 「ありがとうございまス」 「付き合ってもらってるのは俺の方だから……」 「じゃあ、遠慮なく。頂きまス」 ガスの吹き出す音を立てて栓を開けると、少女は一息にペットボトルの半分以上を空にした。 彼女は栓を再び固く閉めると、ボトルを端に置いて...
  • プロローグ(黒羽 イト)
    プロローグ(黒羽 イト) それは日常の中で漏れ聞こえた、何気ない一言だった。 「うーん…『new super swich』の予約とれないなぁ」 最愛の妹──黒羽マキの呟きを耳にして。黒羽イトは、ほんの僅かに口角を上げた。 (うおおお遂に来た!!しかも私でも分かるやつだ!!) 両親が仕事のしすぎで爆発して死んでからの10年間。妹の誕生日を祝うのは、姉である自分の役目だった。 物をねだらない彼女への誕生プレゼント選びは毎年難航する。できることといえば、こうやって不意の一言を待つくらいだ。 それが今年は、最新のゲーム機(new super swich)!勝った! 彼女は早速バイト先の玩具屋に電話をかける。かけながら想像する。妹の喜ぶ顔!深まる姉妹仲!誰がどう見ても大団円! 「ふっ」 黒羽イトは微かに笑った。最大限押し殺した笑い声は、存外クー...
  • プロローグ(哀渦)
    プロローグ(哀渦) ●  今日も今日とて、私はいつもの悪夢を見ていた。  中学二年の夏。全身が茹で上がるように暑く、喧しく不愉快なセミの鳴き声が響き渡っていたあの日。  私が魔人に覚醒した、あの日の悪夢だ。 「――そのまま動くんじゃねぇぞ。ちょっとでも反抗しやがったら、おめぇのダチを片っ端からシメっからなァ!!」  気色の悪い脂汗を止めどなく流すクソデブニキビ野郎はそう吐き捨てると、私の腹に蹴りを入れた。学校の屋上に響いた鈍い打撃音は、セミの声に掻き消されほとんど聞こえなかった。 「ゴフッ……!! アァ……分かってるよ。反抗なん、ガッ!!」  私の声を遮り、ノッポクソダサ鼻ピアス野郎が私の顔面を殴りつけた。  痛い。とても痛い。だが、それだけだ。ただ痛いだけ。何も問題ない。 「誰が喋って良いっつったんだゴラァ!! テメェは唯黙って殴られてりゃ良いんだよ!!」 「...
  • プロローグ(市毛ひとみ)
    プロローグ(市毛ひとみ) 『吾必倒、吾斬。これぞ我らが極意』 『貴様は、和派英語流衆の誉、五十四代目・一撃必倒斎となる』 『亜門洸太郎を屠るために鍛え、死ぬ命である』  垣間見たのは、ある権力者を殺すためだけに育てられた、暗殺者の過去だった。  ぐるりと世界が反転、背中に衝撃が走る。  銀行の床に、庄部 我丸の巨体が叩きつけられた。  庄部は態勢を立て直しつつ、思考に交じった謎の記憶を反芻する。  断じて庄部自身の過去ではない。  庄部は悪人だ。食い詰め、魔人能力を頼みに、今こうして地方銀行で強盗に及んでいる、裏社会の住人である。  が、殺人を当然とする闇世界の人間ではない。 「お、お恥ずかしいもの、お見せしました」  庄部を投げたのは、少女だった。  時代錯誤な袴姿に、ド派手なジャージを羽織っている。  どうみても華奢...
  • プロローグ(馬屋戸 桜)
    プロローグ(馬屋戸 桜) グンマーに生い茂る木々は互いを圧し潰すかのような密度で、ざあざあと唸るスコールも通さぬ天然のアーケードとなっている。 しかしどこかから流れた水で地表はぬかり、密林はかえってうだるような熱気を増幅させる。 だが雨が降る間、死病を運ぶ虫や獣より獰猛な花は枝葉の陰に身を潜める。出歩くにはいい天気だ。 「ヤセイーッ!」 「ヒヒーンッ!」 「ヒャバーッ!?」 全身を分厚い毛皮に覆われた野生のモヒカンが樹上から飛び出し、撃墜された。 撃ち落としたのは、二足で大地に立つ馬。その前足の硬い蹄。 ……いや、違う。確かに馬面ではあるが、馬形拳の功夫を積んだ拳は蹄のごとく固められてはいるが。 彼は人間だ。名は馬屋戸桜。パルナ寺院の僧兵である。今のところは、まだ。 冷たく穏やかな黒い視線が倒れたモヒカンに注がれる。 「奴らとは違うな。では君の狙いはこれか」 馬屋...
  • プロローグ(勝道 ハテ)
    プロローグ(勝道 ハテ) 「お兄ちゃんは、優しいから」  真っ白なシーツで行き場のなく握りしめられた拳に、そっと手を重ねる。 「きっと私のこと、気にし続けるよね? 妹が苦しんでるのに自分ばかり楽しんでいいのかって悩み続けるよね。でも……私は、やりたいことをやるお兄ちゃんのことが好きだから、だから、自分を誤魔化さないで」  手を握る。白くて、簡単に折れてしまいそうなほど綺麗な手。 「俺は絶対に諦めない、チャンピオンになることも――お前を助けることも。だから……支え合おう、約束だ」 ◇  熱気! 空気を震わす歓声! ドームを埋め尽くす人! 人! 人! 「皆様お待たせしました!」  観客席を隙間なく埋める人々の目線がマイクを握る男へと向けられた瞬間、男は高らかに宣言した! 「これより、ナイト&マジック全日本大会、決勝戦を―...
  • プロローグ(謎のサムライX)
    プロローグ(謎のサムライX)  20XX年現在。過去に行われた廃刀令という悪法によってニホンからサムライの存在は失われたかに見えた。  しかし、誇り高きサムライの魂は朽ちることなく歴史の裏で磨かれ続け今でもサムライは生き続けている。  ―――否、それどころではない。サムライは増え続けている。そう、今この瞬間にも!!  確かに廃刀令・刀狩り・サムライ大虐殺etc 様々な政府の試みによってサムライは駆逐されようとしていた。  だが、それだけ御上に押さえつけられれば押さえつけられるほど燃え上がるのがサムライの魂という物。  その生き様・信念に憧れて、サムライになりたい、と願う若者が後を絶たず最近では小学生の将来なりたい職業ランキングでバーチャルyou tuberに次ぐ第二位にまでなっているほどの人気であった。  政府は、そんな事態を重く見ていた。このままではニホン、いや...
  • プロローグ(河渡 六文)
    プロローグ(河渡 六文)  暗殺業界にもブラック企業は存在する。割を食うのは、人殺し以外何もできないドサンピンだ。  彼らは稚魚のように裏社会に放たれ、あっさりと死んでいく。  その点、河渡六文は違った。彼は自分で思っているよりも、人を殺すのが、上手だった。 「へへ……見逃してくださいよ」  この男、名は塵粕芥(ちりかすあくた)。雇われのアサシンである。  両腰にナイフを差しているが、一向に抜く様子を見せない。ぎょろりと瞳を動かし、死から逃れるようにそわそわと歩き回っていた。 『六文! そんな奴バキューンとぶっ殺しちゃいなさいバキューンと!』  腰に吊るしたリボルバーからは、論華と名乗るやかましい女性の声がする。  本人は死者を乗せる船の船頭を自称しているが、全くもって定かではない。六文は彼女のことをなぜか、ハンバーガー...
  • プロローグ(片羽 美刀)
    プロローグ(片羽 美刀)  吹雪の中、銀の光が閃いた。  ほどなくして大きな質量が雪原へ落ちる。ぼすり、ぼすり。 「……」  剣の主は、己の斬果の元へと歩み寄った。  死んでいたのはフロストワイバーン。北海道では一般的な飛行爬虫類である。 「……違う」  そう、違う。彼の目的はこんな一般爬虫類ではない。 「ならば、」  彼はさして姿勢を変えぬまま、腕をわずかに持ち上げる。 「お前か」  遥かに離れた地点で、再び銀の剣閃が走った。  手応え、あり。 (受けたな)  確かにそこに、斬るべき相手がいたという手応え。  そして彼の遠隔強襲を凌ぐだけの技量を持つ相手だという、手応え。 「……面白い!」  その瞬間、一帯が足元から爆ぜた。  荒れる吹雪。もうもうと舞う雪煙。  少女――片羽美刀は止まることなく駆け続ける。  制...
  • プロローグ(空神 無虚)
    プロローグ(空神 無虚) キーボードを弾く音と、何故か麺類を啜る音と水が跳ねる連続音が密室内に木霊する。 部屋の在席人数は2名、頭のネジの外れた鬼畜上司や護衛のSPのような横槍なしの文字通り水入らずな空間。 片や、目の前の光景を珍妙そうに眺めながら文字を打つ、スーツに身を包んだ若い男。 そして、もう片や、ペペロンチーノを頬張りつつコサックダンスしながら和服姿のまま半身浴をしている大和撫子じみた幼女の姿がそこにはあった。 ていうか、ワタシだった。 『ねえ、なんでこの人はペペロン(ryしてるの?』 『あれはな、君が「面白い物が見てみたい」と言った結果……それこそが目の前の惨状なんだ』 送信されてきた閲覧注意動画に疑問譜を浮かべるカボチャのアイコンに対して眼前でペペロン乱舞している和装幼女を尻目にチャット相手に返答する亜門グループ若手社長。 確かなカ...
  • プロローグ(雨夜 鞘子)
    プロローグ(雨夜 鞘子) 金属音。 夜の街に、火花が散る。 ふたりの魔人がそれぞれの"刀"をぶつけ合っていた。 といっても、どちらの得物も真っ当な刀ではない。 片方の名は雨夜 鞘子。 手に触れたものを仕込み刀に変える『仕込み幻刀(ソード・ノット)』の能力者。 ビニール傘を、街路樹の枝を、標識を、 あらゆるものを刀として抜きながら斬りかかる。 しかし、鋼鉄すら斬り裂くはずの彼女の刃は相手に傷一つつけることができない。 もう一人の名は東雲 絹美。 自分自身を至上の刃へと変える『第一刃(ファーストレディ)』の能力者。 「だから、無駄だよ。知ってるでしょ」 鞘子の一振りを、自身の首で受け止めながら絹美は言い放つ。 「鞘子じゃ、私を斬れないよ」 「うん。やっぱり無理そう」 形勢とは裏腹に、ふたりの表情は対照的だった。 優位...
  • プロローグ(鶴来 鞘華)
    プロローグ(鶴来 鞘華)  鶴来鞘華は、対峙する。  目の前の男、天野翔は鞘華に対して剣を構えながらゆっくりと見定めた。 「……なるほど、鶴来鞘華。噂に違わぬ強者らしいね」 「いやあごめんね、果たし状なんか受けてくれてさ」 「あはは、むしろこのご時世に果たし状なんて受け取れるとは思わなかったよ」  軽口をたたきあいながらも二人は一切の油断をしていない。  空気が張り詰めていく。 「……聞いてもいいかい?何故わざわざ僕に挑戦を?」 「剣の世界での最強を目指している。だから強そうな人に片っ端から挑んでるんだ」 「お眼鏡にかなったわけか。光栄だな……それなら」  鞘華は、空気に亀裂が入るかのようにぴしりと張りつめた何かが砕ける感覚を覚える。  幾度の戦いを経ても、この刹那にはぞくりとさせられる。 「本気で戦う必要がありそうだ」  そ...
  • プロローグ(ドラゴン博士)
    プロローグ(ドラゴン博士) 「よう博士~っ!今日もドラゴンの話を聞かせてくれよ!」 「やあゆうき君。君は本当にドラゴンが好きじゃな。じゃあ今日は、ドラゴンと龍の違いについて話すとするかな」 「やったあ!でも、それって日本語と英語なだけで同じものじゃないの?」 「実は、これらは元々別のものを指しているんじゃよ。ドラゴンは英語、つまりヨーロッパで生まれたもの。龍は漢字、中国で生まれたものなんじゃ」 「ふーん……でも、それがどう違うの?」 「中国の龍の絵を見たことがあるかね?ラーメン屋の器に描いてるようなやつじゃよ」 「知ってる!蛇みたいに細長くて、翼もないのに空を飛んでて、手足が短くて……って、ドラゴンとぜんぜん違うじゃん!」 「そう、違うんじゃ。だけど、どちらも『人智を越えた強さの爬虫類』であることから、西洋と東洋の文化交流の中で次第に同じようなものと見なされるようになってい...
  • プロローグ(天桐鞘一)
    プロローグ(天桐鞘一)  カフェ『プラティーノ』。 「ね、ね、まぎりーん!あたし今日誕生日なんで、なんかサービスして!」 「まぎりんのお祝い見たーい!」  最近すっかりカフェの常連となっている、二人組の女子高生。彼女らが姦しく呼び立てるのは、一人の店員である。まぎりん、と呼ばれた端正な顔立ちの青年は顔を上げた。 「ええ。勿論、用意してありますよ。常連さん、特に、魅力的な女性の誕生日は記憶してますから」  青年は事前に準備していたサービスメニューを差し出した。彼の名は天桐鞘一(あまぎり しょういち)。カフェ『プラティーノ』のバイトにして、この店の売り上げと訪問客の女性比率を倍増させた男である。 「え、ホント!覚えてんの!え、ヤバ」 「誕生日専用のやつあるんだー。へーっ」 「ふふっ、特別ですよ。今日のための手作り、余すことなく真心が篭っていますの...
  • プロローグ(ローレン・クロート)
    プロローグ(ローレン・クロート) 『カフェ・テロメア』。  金沢のカフェでアルバイトをしている鬼月沙良と出会ったのは、彼女が14歳の時だった。  彼女の凡庸さは今でも印象に残っている。  早くに家族を亡くし、親族の経営するカフェに住み込みで働くことになった少女。  私は彼女に一枚のレコードを渡した。  それが、私にとってはじめての仕事だった。  仕事の内容は『アルマン伯爵』が所有していたレコードの返却。ただし、彼女が"相応しい人"かどうか、十分吟味すること。  鬼月沙良はレコードの本来の所有者、鬼月栞の孫だ。だからレコードの所有権は彼女にあった。  しかし、何しろ財団の蒐集品は即ち奇品珍品の宝物庫。曰く付きの物品や触れれば死ぬ呪物まで、ありとあらゆる『危険物』が揃っている。  そのレコードとてただのレコードでなく、常人に扱える代物で...
  • プロローグ(リリー・ス・メーア)
    プロローグ(リリー・ス・メーア) 彼女は、この世界を愛している。 この世界に生きる全ての人々を愛している。 果てしなく広がる青空を愛している。 様々な形を作り出す雲を愛している。 大地に恵みを与える雨を愛している。 ヒラヒラと舞いながら地を降り立つ雪を愛している。 空を舞い、歌を唄う鳥達を愛している。 草木に止まり、音色を奏でる虫達を愛している。 地を掛け跳ねる動物達を愛している。 水辺を自由に泳ぐ魚達を愛している。 人々が作り上げた技術を愛している。 人々が積み上げた知識を愛している。 人々が育て上げた作物を愛している。 人々が手にした力を愛している。 滴り落ちる血を愛している。 容易に人体を貫く刃物を愛している。 一口で死に至る毒の使用方法を愛している。 ...
  • プロローグ(出海九相)
    プロローグ(出海九相) ──人間に備わる大腸の長さは凡そ1.5メートル。 その文字列を見つけた時、男は己の死ぬべきを見つけた。 「ウンコ ブリリ ブリリ ソワカ!」 「オン ボロン ウンコ ハッタ!」 清浄・満願・放出を意味する真言を唱え、魔刀匠・出海九相(でかい くそう)は決死の儀に挑んでいた。 一族の歴史でも最高峰の刀匠と謳われ、剣士としての腕も比類なき男…出海九相は、己を苛む激痛に苦しむのではなく 微笑みすら浮かべ、死に装束である白に身を包み、今、厠にいる。 武人にとって、剣とは肉体の一部である。 この世に名を遺す、遍く偉大なる武人曰く、「剣を我が肉体の一部として扱う事ができた」と言う。 なれば。 技・才において限界を超えたものがたどり着く先は、剣の道そのものに我が心の限界の先を見せる事。 己が肉体より剣を生み出す事により、道そのものに...
  • プロローグ(鰐淵真琴)
    プロローグ(鰐淵真琴) ◆◆◆ 世界はキラキラと輝いていて 世界は希望に満ちている だから、僕は ◆◆◆ 前回までのあらすじ 不良グループとの対立を乗り越え再スタートを切った舞武高校魔人剣道部に突き付けられたのは廃部通告だった。 廃部撤回の為に魔人剣道近畿地区大会に出場した彼らは苦戦の連続を乗り越え、ついに辻斬高校の決勝戦に臨む。 副将戦、元不良の武田君に対して辻斬高校副主将の藤村が光り輝くビームを放った! ◆◆◆ (馬鹿な!そんな!) 藤村虎徹の目は驚愕に見開かれた。 眼前の男は満身創痍で立ち上がれる筈がない。 (痛みを感じねえのか!) 虎徹は辻斬高校でも屈指の実力者であり、ことビーム剣に限れば全国クラスの腕前がある。 3年前の魔人剣道ルール改定によるビーム解禁の恩恵を最も受けた一人であった...
  • プロローグ(あもにゃん)
    プロローグ(あもにゃん)  回想。  「ありがとう、真崎(マサキ)」  「……何がですか、社長」  あの会見の前夜、あなたは俺に改まった様子で語りかけた。  「だから、敬語はいいって……でも」  「グループの解体なら、納得しています。準備も殆ど」  嘘だ。  「最初からそう言ってくれていたけど……きみが誰より、納得していなかった」  心臓が跳ねる。やはり見抜かれていた。しかし、その目線に咎めるような色はない。  「でも、精一杯協力してくれた。だから礼を言いたいんだ」  違う。俺がやっているのは、解体ではなく──その後の準備だ。  「俺こそ。ありがとう、亜門(アモン)。そんな俺を使ってくれて」  回想終わり。  俺は執務室でパソコンに向かっていた。  あの時のこ...
  • プロローグ(カモミール・L・神津)
    プロローグ(カモミール・L・神津) 「みんなー!今日は○○モール設立十周年記念イベントに来てくれてありがとう!!司会のカモミール・L・神津でーす!」 とあるショッピングモールの特設会場。 ステージ上ではイベントの司会を務めるアイドル、カモミールが客席に手を振る。 「カモちゃーん!」 「今日も素敵だよ」 いつもみかけるファン数人が声援を送る。 それ以外の客席はまばら。休憩に来たと思しきスマホをいじる男性などはいるが、全体的に空席が目立つ。 「今日は楽しんでいってくださいねー!」 通りすがりの買い物客が、会場の方を少し見ては、足を止めることなく立ち去っていく。 (まあ、いつものことだしね) もう慣れた。いや、慣れたくはないんだけど。 モールの方も、安上りだからと彼女を司会に選んだらしい。 まあ、メインイベントの抽選会が始まれば...
  • プロローグ(Mr.ナンバリアン)
    プロローグ(Mr.ナンバリアン) ステージの上で、黒いシルクハットを被った男がスポットライトに照らされている。 マジックショーだ。  男はステージ上でシルクハットを頭から取って観客へ礼をする。 それがショーの始まり。 男がシルクハットを使えばその中から鳩を大量に出す。 かと思えば、ハトがいたシルクハットの中から綺麗な一輪の花を出現させる。 トランプを使えば、男が踊るとトランプも一緒に空中で踊り出す。 手際は見事だ。  マジックが成功するたびに、観客から賞賛の拍手が送られる。 魔人が溢れるこの世の中であっても、観客を飽きさせない。 それは彼のマジックの腕が一流である証だった。 男は観客に向かってウインクをみせる。  その姿に観客の女性陣から歓声が上がった。 「お楽しみいただけたでしょうか それでは、次が本日最後...
  • プロローグ(Windows93マン)
    プロローグ(Windows93マン)  Windows93。それはかの偉人ビル・ゲイツが世に送り出した早すぎるシンギュラリティとも言える製品であり、現在に至るまで数度のバージョンアップを重ね、実に20年以上に渡り第一線で世界中から愛され続けている、まさに世界の至宝としか言いようがないOSだ。  皆知ってるね。  さて今日は、このWindows93の活用方法を皆に……。  何?  そうだ。Windows93だよ。知らないのか?  そんなことはないはずだ。そんなことはないはずだよ。ちょっとそこの君のパソコン、そう、それだよ。それ起動させてごらん。  見せてみて。ほら出てきた。これでよし。ほらそこに、Windows93って書いてあるじゃないか。  何?  今画面にマジックで書いた文字を消せだって? 僕はそんなことはしてないよ。僕はそんなことはしてない。何を言ってるんだ。言いがか...
  • プロローグ(夕暮坂 ナギサ)
    プロローグ(夕暮坂(ゆくれざか) ナギサ)  ■三日前 流れる滝の飛沫が木々を揺らし、風がその間をかけてゆく。 鞍馬山の秘奥、苔むした古木の橋の上で、一組の師弟が相対していた。 「ナギサ。此れより、お主に鞍馬一星流の秘技を伝授する」 ナギサは滝を背に真っ直ぐ、師の玄水と向かい合う。 互いに構えた刀は、切っ先が触れ得ぬ一足一刀の間合い。 「ただの一振り、その目にしかと見届けよ」 「―――はいッ!」 剣気が張り詰め、互いに言葉は消える。 極限まで高まった剣気が水を揺らし、周囲の木の葉を切り裂いた。 それでも、二人は動かない。 (心を、研ぎ澄ませ) ナギサが念じるは水面の如く。唯一振りの星の如く。 一切の油断を許さぬ張り詰めた空気は、一瞬にも、永遠にも感じられた。 額を伝う汗が、頬を流れ、顎から雫になって落ち、 ...
  • プロローグ(名称不定・後ろの怪異)
    プロローグ(名称不定・後ろの怪異) 『カイイノルール』 西暦二〇一八年 六月二一日 ■■新聞 学生不審死 魔人闘宴劇関連のトラブルか  十九日午前、東京都■■区内のホテルで希望崎大学院生 右代秀鳴氏(25)=埼玉県■■■市=が  客室で冷たくなっているのを同ホテルの従業員が発見し、119番通報した。右代氏は搬送先の病院で死亡が確認された。  警視庁■署の調べによると右代氏には目立った外傷はなく、同署は死因を調べている。  右代氏は自身のSNS上で魔人闘宴劇への参戦を表明しており、警察は関連してトラブルが合った可能性もあるとして事件と事故両面から調べを進めるとのコメントを発表した。 西暦二〇一八年 六月一日 希望崎大学文学部 ■■研究室  自他ともに怪異ハンターと認める自分、右代秀鳴が験を担ぐ方だとして、なんの不思議があるだろう。 ...
  • プロローグ(ティンドル・フリントロック)
    プロローグ(ティンドル・フリントロック) あたり一面の炎、焼け落ちる家、響く悲鳴、そして目の前には鉈と松明を持った大男。 逃げようにも腰が抜けて動けない。 「いや……やめて……」 男はニタリと笑うと鉈を振り上げ―― 「――っ!!」 意識が覚醒する。燃える村も、凶悪な男もなく、悲鳴も聞こえない。ホテルのベッドの上にいることが確認できる。 「また、あの夢……」 悪夢から目覚めたこの少女、名をティンドル・フリントロックと言う。 幼い頃に故郷の村を焼かれて十年来、この悪夢に悩まされている。 そんな彼女が遠い異国の地、日本に来てまで『魔人闘宴劇』に参加しようと決意したのは一週間ほど前のことである。 その日、彼女は趣味と実益を兼ね、動画サイトでアニメを鑑賞していた。 その冒頭に挟まる広告、そこで大々的に告知さ...
  • プロローグ(志那々々理央)
    プロローグ(志那々々理央) 創英角出版社7階、オフィスフロア。 簡易なセパレータで隔てられた応接スペースに、二人の男女の影があった。 一人は、目つきの鋭い女性。 薄手のシャツから伸びる腕は細身だが、鍛えられた鉄のように筋張っている。 短髪と長身も相俟って、会う人にはスポーツマン然とした印象を与えるだろう。 もっと言えば戦士に近く、実態を言えば物書きであり、報道用語を使うなら無職である。 名を、志那々々理央という。 もう片方は新品のグレースーツを纏った中年男性。 中年というのは外見の話であって、本人はつい去年まで学生だった身である。 半年前に訪問した時、当時アルバイトとして紹介された男の名前を、志那々々は記憶していた。 「どうだ、前紙」 今どき物理媒体で持ち込まれた原稿用紙650枚を束ねて抱えながら、面を上げた前紙一郎は苦々しい表情を浮か...
  • プロローグ(万願寺レイシャ)
    プロローグ(万願寺レイシャ)  私には願いがある。絶対に叶えたい、願いが。  4歳の頃にはその思いが芽生えていて、気が付いた時には行動していた。  他者の願いを叶えられる魔人能力者は、僅かながらだが存在している。  彼らとの接触手段として、私はお金を稼ぎ続けた。  けれど、どんな大金を支払っても、誰一人として、私の願いを叶えることは出来なかった。  だから、私は賭けようと思う。 「言ったな、亜門洸太郎」  この大会に──この戦いに、全てを。 「どのような願いであろうと、と。確かに、言ったな……!」  私には願いがある。絶対に叶えたい、願いが。  そのためならば何だってして、必ずこの戦いを勝ち残ってやる。  必ず。 ■ 「ここが魔人闘宴劇会場かあ~!」  広大なドームに、声が響いた。  ...
  • プロローグ(裸繰埜家魅首 連鎖)
    プロローグ(裸繰埜家魅首 連鎖)  月は隠れ、森の色は濃い。暗闇が人と人を隔ててくれた。  今は、ふたりきり。僕たちは逃げ出そうと駆けだしている。  早く! 速く! 何かに追われるように。  高鳴り過ぎて割れてしまいそうな心臓と、握り過ぎ折れてしまいそうな小さな掌。  地面が土くれからようやく切り替わろうとする、アスファルトに仕返しをされてしまいそうなほど、強く強く蹴った。  夜の踏切が足を止めてくれた。病的に明るい背後から目を背けると、警報機の無機質な光がかえって目に優しいとさえ思えたんだ。  追われるのは僕たちだけど、追いかけるのは何よりも僕自身なんだとようやく気付けた。  ゼイと息吐く僕は、さぞ恐ろしい顔をしているのだろう。ようやく最愛の妹を見ることができた。   「お兄様……」  首の下から僕を見上げる、濁った虹彩。そこには恐怖があった。  ...
  • プロローグ(ハンマエル)
    プロローグ(ハンマエル) 「神父様、なにもそこまで……」 「いや、いいんだ。ここは僕に任せてくれ」 神父様、と呼ばれた男が傍らの少女を手で制する。 口調は明るく、顔は笑顔。その立派な体格と言葉は、まるでなんてことはないと言わんばかりだ。 しかしその瞳の奥にはまったく逆の、不安と絶望の色がありありと浮かんでいた。 「おい、まだ出てこねえつもりか!?」 「いま、今行く……!」 神父は意を決して、目の前の扉を開ける。 それは、どんな者にでも等しく開かれるはずの、教会の扉。 だが、その向こうにいるのは哀れな子羊などではない。 「ウヒャヒャ~!やぁ~っと出てきたなあ~!?」 そこに居たのは、全身をパンクファッションで固めたモヒカンの男。 「貸した金、今日こそキッチリ返してもらうぜえ~!?」 彼の名は鳥田照男(とりた・てるお)。プロ...
  • プロローグ(キャプテン・ハンセン)
    プロローグ(キャプテン・ハンセン) 「ダァーーーーッハッハッハッハァ!!」  爆音。  爆風。  サイレン。   怒号。  銃撃音。 「ついに……ついに! やってやったぜ、俺ァよォ!」  ここは、日本国内に存在する魔人拘置所のひとつ。  重罪を犯した魔人を捕らえ、封じ込めるための魔の監獄。  笑う男は大海賊、キャプテン・ハンセン。  今から四十年ほど前、太平洋を荒らしまわった大悪党。  この男が逮捕され、監獄に封じられてから四十年――――彼は、脱獄の計画を練り続けていた。  それが今、実行されている。 「ああ、この力を使うのも久しぶりだぜ……! さぁ野郎共、帆を上げろォ!」  ハンセンが叫ぶ。  発動する魔人能力、『船長権限(オール・フォー・キャプテン)』。  即ち、部下の魔人能力及び肉体をコピーして自在に操るチカラ。 ...
  • プロローグ(【復活の天才】 天道 優斗)
    プロローグ(【復活の天才】 天道 優斗)  薄暗い住宅街で蠢く影が2つ。 「いつまで逃げられっかなァ!この俺様からよォ!」  1つは、追う鬼。はち切れんばかりの筋肉と猛々しい角を備えた化物がいた。  もう1つは、逃げる人間。対照的に細い体の男子高校生、そう俺だ。  暴力と服従、傍から見ればそう捉えられかねない俺らだが事実は対等である。  【魔法式CAT】天道 優斗と【あそぶ】獅子堂 猛男による魔人闘宴劇本戦への出場権を奪い合う男と男の戦い。  しかし逃げているばかりじゃ勝てねえ、ひとまず目を逸らさねえと……俺は胸ポケットのデバイスに手を伸ばす。 「起動(インストール)、5番」  すると、俺が十字路を曲がると同時に体が光学迷彩の如く背景と同化する。  “あそぶ”ことで、まさに鬼ごっこの鬼と化している奴は作戦通り見当違いの方向へ走り...
  • プロローグ(アブ・ラーデル18世)
    アブ・ラーデル18世プロローグ ~ユデンの落日~  歴史とは、数多の人間という糸が織りなす一枚のタペストリーである。  今、悠久の栄華を誇るユデン王国の歴史に、新たなるひとつの紋様が描かれようとしていた。 アブ・ラーデル18世プロローグ ~ユデンの落日~ 「王! 我が王よ! お逃げください!」  息せききってひざまづく騎士の目前にて、うら若き女王は荘厳な玉座に腰かけていた。 「申し上げます。革命の一団はいまや城門を突破しつつあります。この王宮もじきに陥落するでしょう。どうか……」 「……貴様」  重装の鎧をまとう偉丈夫は、息を呑みこんだ。  わずか14歳の少女から放たれる威光が、彼の心臓を凍り付かせたのだ。  幼き暴君は尊大に立ちあがり、吼えた。 「この我に、敵を前にして逃げよなどとのたまうか! 我を誰だと思うておる! 我は王...
  • 大会プロローグ
    大会プロローグSS  いくつものフラッシュライトが白い花のように開き、その記者会見は始まった。 「本日皆様に集まっていただいたのは——『魔人闘宴劇』の開催を宣言するためです」  細身のスーツに身を包んだ、年齢のわりに隙のない様子の若い男は、あくまでにこやかにそう告げる。  最強の存在を決めるためのトーナメント。それが、日本でも有数の企業集合体である「亜門グループ」の若き代表取締役社長、亜門洸太郎による提案であり、意欲的な挑戦状だった。 「参加資格は無制限。そして優勝者への賞品は……『願いを叶える権利』だ」  どよめきが辺りを支配した。ひとりの記者が、性急に質問をする。 「それは、どんな範囲の願いでも、ということでしょうか?」 「はい。我々には誰のどのような願いであろうと、叶える用意があります」  まさか、そんなことができるとは思え...
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