-黄山にチベットモンキーというニホンザルに似たサルがいる。 -戦闘的な性格だが、オスは子供を非常に可愛がるという面がある。 -サルのオスは普通、子供を抱かないが(子供が大人の腹にぶら下がって歩いたりする状態)、チベットモンキーはするし、面倒や遊び相手もする。 -普段は群れの中でもケンカが絶えないが、赤ちゃんザルをオス同士であやすことが行われる。 -実際には、下位のオスが子供ザルを抱えて、上位のサルに近寄り、子供を差し出し、2匹であやす。これによって友好関係を深めるのである。これをブリッジングという。これは2匹の間で子供が橋のようにまたがってあやされているところから。 -ただ上位のオスがそっぽを向いたりすればブリッジングは成功しない。 -子供のほうはありがた迷惑というわけではなく、実際大事にされるし、ブリッジングに使われることを通して、友好関係のつくりかた、個々のサルの性格を学ぶ。 -またブリッジングに使われる、可愛がられるということは、自分の将来の順位にも関ることなので、子供のほうから使われたがるぐらいである。 -離れザルが群れに入るときも子供でブリッジングすることによって一員として認められる。 -チベットモンキーがこのような生態をもつようになったのは黄山という環境によるものらしい。 -もともとは広い範囲で生活していたチベットモンキーは環境の変化によって黄山などの山岳地帯に追いやられた。 -狭い豊かではない地域にいくつもの群れが隣り合うことになり、争いが頻発化し、戦闘的なオスが増えていった。 -群れの中でも強いものが勝つ、厳しい階級社会となり、それを緩和するためにブリッジングという儀式が生まれたのではないかと言われている。 -NHK「ダーウィンが来た!」2010/4/19放送