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#center(){&color(blue){&size(20){&u(){&bold(){流血少女エピソード-棟城センナ-}}}}} ---- 薄く青を重ねたような景色。人気を失った並木道の所々には土けた雪が横たわり、辺りに響くのは、雀やら何やら、小鳥のさえずりのみである。 「ほっ、ほっ」 白い吐息が、ランニングウェアの少女の口から放たれ霧散する。引き締まった脚がアスファルトを蹴り、小気味良いリズムで進みゆく。 道なりに走っていくと、彼女は、左手に近づく背の低い宿舎に注目する。立華寮。 妃芽薗学園には、創立から日が浅いにも関わらず幾つもの寮が存在する。その理由に関しては諸説入り乱れているものの、決定的なものは一つとしてない。また、寮とは別の居住空間も存在すると聞く。こうも謎の多いこの学園で、真相を追求し始めればきりがない。そもそも、大した理由ではないのかもしれない。 ともかくも、立華寮は、学園の隅に位置する妃芽薗で最も小さな寮宿舎である。二階建てに二人部屋が七つ、鍵型に飛び出した食堂で振る舞われる茶碗蒸しは絶品であるらしい。 少女は建物の前で足を止め、おもむろに二階の一室に目をやった。 「……あれ」 少女はポケットに手を突っ込むと、取り出した音楽プレーヤーで現在の時刻を確認する。6時前。そう、いつも通りの時刻だ。 「……っかしいなあ」 誰に向けるともなく、中空に呟く。 「…………」 暫し部屋を見上げた後、彼女はまたゆっくりと走り出した。それに連なり、白い息が青に小さな点を落としていく。 妃芽薗学園魔人サッカー部二年、棟城センナ。 彼女が佐和村静穂と積比良御咲の休学の事実を知ったのは、その三日後である。 ----

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