さあ、進め新兵共。私がイチからここの流儀ってヤツを叩き込んでやるっス!
……拝啓、郷里の母上(*1)。私にもとうとう部下が出来たっス。
え?少年その2?後っス、後。
支部の敷地が広がったことでやはり人数が揃っていた方がいい、ということでようやくかねてから提案を続けていた防衛システムへの予算申請が通ったっス。無論、支部防衛の責任者は不肖この私であるからには、配属された彼らは私の直属の部下ということになる寸法ですな、ふふふ……。
まあ、ぶっちゃけた話これでも一流どころ相手だとちと厳しいでしょうからな、引き続き予算の申請と訓練は続けていく所存っス。……特に現在出張ってきている有名所相手だと、もたないというか勝負にならない可能性が高いっス(*2)。逆に言えばそういった化けものサン達以外なら大体守ってみせますがね。
というわけで防衛部隊と一緒に霧谷サンからの肝入りで増援が来たっス。また随分と人員が増えましたな、仮想敵やら毎度毎度の事件のクオリティやら考えるとさっぱり安心感が出てこないのが那珂沢くおりてぃ。
現役の中2ですからちっと子供っぽい面も見られますが、だがそれがイイ…………ま、言い始めれば私とそう年も変わらないっスからね。でもなんでしょうかな、この胸を駆け登ってくる衝動は。可愛らしいっスねぇ、強いていうなら支部長サンを弄ってる時の胸の高鳴りが常時発動してるような感じですかな。
それに資料を見る限り確実に私より戦闘力は高いはずっス。しばらくの間は“くれいじーたうん”な那珂沢の現実に凹むこともあるかも知れないっスけど、少年その2に悪いところは一片もないはずっス。あまり落ち込まないで欲しいっス。
……まあ、早速ヤバイのに当たってちと凹んだっぽいですが、なにやらいつの間にか回復してる様子。若さですかな、善きかな善きかな。まったく霧谷サンはこういうまっすぐな子を引っ張ってくるのが異様に上手くて困りますな。
正確には別に奪い還す、じゃないっスけどね。ともかく神代が作ってる融合兵器のキーになる実験体の情報が得られたのでそやつを保護しようという話の流れっス。まったく放っておいてくれればまだ話が楽なのにドイツもコイツも勝手に話に絡んできて困ったものっス。
1)ギルドの場合/
う~ん、どうもその実験体をこっちがゲットして戦力増強されるのが困ったらしく。あわ良くば確保、ダメなら始末するように配下サンを動かしていた様子。まあ、ジーンサンが察知して上手く話し合いで収めたっぽいですが……それだけにこの結果は後がちと怖いですな。
2)防衛隊の場合/
思ったよりも素直に協力してくれたっス。けれど、先日の件(*3)でFHにかなりやられた影響で万全の状態には無いようで。キシュウサンがひとりで応援に来てくれて、結局忍び込む時に陽動役を務めてくれたっス。葵サンが面会に行った限りではクロエとかいう上役サンは今回の結果をさほど気にしてないっぽいですが。まあ、だから一安心というわけにも行かないのが困ったところっス。
3)FHの場合/
こいつらが今回は本腰入れて実験体の確保に動いてたのが面倒ごとになった最大の要因っス。しかも強引にほぼ正面突破で行くのかと思いきや、情報工作のフェイクを入れてひと手間早い段階でこっそり内部潜入を果たしていたとか。あやうくそもそも出し抜かれて持っていかれるところだったっス。さて、帰ってきた皆さんの反応を聞くにその実験体の少女とやらを悪用する気はなさそうな雰囲気だったらしいっスけど……。ともあれマスターブレイズのみならずセルメンバー全員揃うとかなり大概な戦闘力だったようで。一応、前回の件とあわせてこれで一勝一敗っスか?まあ、とてもそんな気分じゃないかも知れないっスけど、次の機会にやり返せばオールオッケーっスよ。あんまり大した損害被ったってわけでもないんですから、頑張って切り替えましょうぜ。
そういうわけで、結局よってたかって神代を出し抜いた形で融合兵器の量産自体は実験体の奪取によって止まるはずっス。最後に所有権を巡ってバトルした結果、残念ながらその娘はマスターブレイズに持っていかれたっス。懸案は二点、ちっとギルドとか周辺の組織に対してカドの立つような結果になってしまったこと。それとこうなるともういい加減神代の親玉が黙っているはずが無いってことですな。
どっちかというと後者のほうがヤバい感じっス、気になることも諸々(*4)あるっスけど、いよいよ全面戦争の季節でしょうかね。