本編34 『台風一過』

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  • 本編34 『台風一過』
    ▼   飛竜に乗って舞い戻ったM13地区は、秋だった。 昨夜の台風で散り散りに飛ばされ、道に張り付いた濡れた木の葉を 穏やかな高い空が見下ろしている。 まるで昨日とは何もかも違っているような街の様子が 子供たちに酷く懐かしい感覚を起こさせた。 一晩の戦いにどんな意味があったのかは誰にも分からないまま 確かな変化を齎している。 それは季節の移ろいのように、自然なこと。 朝の街の上に竜が飛来したことに色めき立った街の魔道士たちも さゆみの目論見通り、それが道重邸の庭に降り立ったのを認め 直ぐに日常へと戻った。 飛竜は10人の乗員を全て下すとまた飛び立ち、島へと帰っていった。 いろいろなことを後回しにする。 子供たちは、もう殆ど眠気に抗えなくなっていたから。 聖と香音をそれぞれの家に送ると、 衣梨奈、里保、亜佑美、優樹、遥、春菜、そしてさくらは 道重家のリビングのソファの上で泥のように眠りに...
  • 魔法使いえりぽん 本編
    ...3 「夜明け」 ▼本編34 「台風一過」 ▼本編35 「魔法使いえりぽん」 ノリ*´ー´リ 今更だけどコメントフォームつけてみたりして -- 管理人 (2018-02-03 21 45 27) 面白かった -- 名無しさん (2018-02-23 16 53 23) '21になって読んでも面白いよ -- 名無し募集中。。。 (2021-01-25 00 43 52) 名前 コメント
  • 本編22 『台風』
    ▼ さくらは衣梨奈達に別れを告げると、急ぎ足で夕暮れの街を駆け出した。 どこに向かおうと考えて、今朝休んだ神社を目指す。 だけど途中で、あそこはダメだと思い直した。 走って、もう衣梨奈や優樹達から十分に離れたことを感じ、さくらは一度立ち止まった。 それから息を整え、ゆっくりと歩く。 一気に汗が噴き出し、身体が風に冷まされていった。 「はぁ、薬の効果思ったよりずっと短いなぁ…」 とぼとぼと歩きながら独りごちる。 この街にいられる時間も思った以上に少ない。 衣梨奈に対して少なめに滞在時間を申告したけれど、残りの薬の量を考えると 本当に明後日いっぱいがギリギリだと思えた。 それまでに目的の二人が見つけられるだろうか。 だけどさくらには、そのことについての不安は驚く程に無かった。 昼間口にしたように、見つかるならば見つかるし、見つからなければ見つからない。 それでいいと思った。 もし見つからない...
  • 本編33 『夜明け』
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  • 本編29 『えりぽんとさくら』
    ▼   「なるほどなぁ。要するに道重が、自分らが因子持ちやから仲良くしてくれたんとちゃうかって不安やねんな」 夢の中で、聖と香音とつんくはまったりと話していた。 辺りの景色は相変わらず暗く、雨が滴っていたけれど 不思議とつんくと話すことが心地いい。 要領を得ない聖の断片的な言葉から、つんくは驚くほど的確に気持ちを読み取ってくれた。 そうしているうちに、聖自身も、自分が何をそんなに悩んでいたのか その全貌を見出し始めていた。 「そう、ですね…。そうなんだと思います」 聖の言葉に香音も肯いた。 目覚めているうちに香音と意思を確かめ合うことが出来ていない。 だから、隣で肯いてくれることに聖はほっとしていた。 同じ思いでいてくれたことに。 「やっぱりその…因子ってやつのせいなんですかね…。道重さんたちが…」 香音が言葉を発する。 戸惑いがあるのだろう、言葉の歯切れが悪い。 「そうやろな。 せやけ...
  • 本編30 『激突』
    ▼   見知らぬベッドの上で、聖は目を覚ました。 見知らぬ部屋。聖の部屋じゃない。 すぐに状況を理解した。 さくらに触れられ、眠りに落ち、ついさっきまで夢の中でつんくに会っていた。 ここは多分、つんくの家なのだろう。 理解出来たのに、不安になった。 決して汚れているわけでも、おかしなわけでもない部屋だけれど 自分の部屋じゃない。 日常とは違う部屋に、足を踏み入れているのだ。 窓の無い部屋で今の時間は分からないけれど、多分夜なのだろう。とても静か。 両親の顔が思い浮かぶ。 はじめて親に無断で外泊してしまった。 さゆみの家にいて、流れで泊まることはよくあった。 だけどその時は都度連絡をいれていた。 多分両親は、今日もさゆみの家に泊まっていると思っているだろう。 夏休みももう終わりのこの時期にみんなで遊んだあとだし、台風も迫っていたし。 だけど聖は、さゆみの家を出てしまった。 さゆみを信じる...
  • 本編23 『少女たちの選択肢』
    ▼ 定食屋さんを出ても相変わらず行く宛ての無かった9人は いよいよ強さを増した風を避ける為にもと、街で一番大きなショッピングモールに入ることにした。 建物内には外の暴風を感じさせない穏やかな音楽が流れていて 賑やかな装飾の店が並んでいる。 特にこの街独特というわけでもない、どこにでもありそうなショッピングモールだけれど 年若い女の子達にとってウインドウショッピングはやっぱり心躍った。 衣梨奈達と緩く会話をしながら さくらは定食屋さんで思いついたことをずっと考えていた。 自分が街を離れなければならない時間。 大魔女がどれくらい、自分の事、『先生』のことを察知しているのか。 そして二人の気持ち。 障害が多い。 何度も考えて、確実と言える方法は無いことを改めて確認する。 一番の問題は、聖と香音の気持ち。 二人に事情を説明して、納得した上で一緒に来てもらう。 それが理想だけれど、もうきちんと説得す...
  • 本編21 『不思議な女の子』
    ▼ 夏の暮れ。 煌々たる月光に照らされ静かにうねる海面の上空を薄雲を縫ってそれは飛んでいた。 巨大な漆黒の翼をゆっくりとはためかせ、風を巻き起こしながら竜が飛ぶ。 その羽音は独特の音色で、波音に混ざって遥か遠くまで響いていた。 「ふわぁ。お前本当に速いね」 飛竜の首に少女が跨っている。 少女の名前は、小田さくらという。 キラキラとした水面や、満天の星空、次々に後ろに流れていく雲の欠片に目を輝かせていたさくらは、 遥か遠くに海岸の灯りを見つけて言った。 話しかけられた飛竜は特に反応もせずただ前だけを見て一定の速度で羽を動かしている。 さくらはそんな無愛想を気にもせず嬉しそうに微笑んだ。 「私のことば、分かるのかな?でも先生の言葉が分かるんだから、きっと分かるんだよね」 さくらがその大きな首を撫でると、飛竜は一度瞬きをした。 さくらはもう一度楽しそうに笑って、視線を前に戻した。 「すごい。...
  • 本編 26 『接触』
    ▼  月光の下、仄かな秋風の舞う空を切り裂いて飛ぶさゆみの眼前に異様な光景が広がった。  海上に無数に浮かぶ岩。大きなもの、小さなもの。  それらは何の意味も持っていないというように、西の大魔道士の魔力でただ浮かんでいた。  速度を落とし、岩の間を縫うように飛ぶと  目的の島が見えて来た。  どこか不穏な、だけど美しく月明かりを照り返す黒い島。  そこかしこに漂う魔力の残滓は、記憶の中にあるつんくのそれに間違いは無かった。  と、さゆみの行く手にある岩の一つに人影が見える。  つんくの物とは違う、だけど強い魔力を纏って。  さゆみは、構うかすり抜けるか少しだけ逡巡し  その人影がどうやら女の子であることを確認して、羽ばたきを止めた。  キラキラと輝く水面の上空にさゆみが留まりふわふわと浮いている。  その、十数メートル先の岩の上にりえは立っていた。  「道重さゆみさんですね?」  りえの...
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