オイラー数の計算を完全に理解しなくとも ゲームを楽しむことは可能であるが、 Euler Getter をより深く楽しむために、 オイラー数の計算を身に付けておくことは重要だ。 以下では、終局図のオイラー数の計算方法と 終盤のオイラー数の読み方を説明する。 **終局図のオイラー数 ---- オイラー数とは、連結した土地の数から ループの数を引いたもののことである。 (より厳密には[[数学的な説明]]を参照のこと。) 「点対称な位置にある縁のマスは同じマスと見なす」 という盤面の取り決めが少しややこしいが、 これは以下の例のように計算する。 **例 ---- 下の終局図で青のオイラー数を計算してみる。 まず太い線が1本のループになっている。 枝が付いているのは気にしない。 全ての土地が繋がっているので、連結した土地は1つ。 オイラー数は1-1=0であり青の負けである。 #image(euler1.png,width=280,height=200) 次の終局図ではどうだろうか。 2本のループがクロスしているが、 黒丸は孤立した土地なので連結した土地も2つある。 結局オイラー数はやはり2-2=0で青の負けである。 #image(euler2.png,width=280,height=200) 同じ終局図を赤について見てみよう。 黒丸が孤立した土地で連結した土地は2つ。 太線が1本のループで枝が付いてるのは気にしない。 したがってオイラー数は2-1=1で確かに赤の勝ちである。 #image(euler3.png,width=280,height=200) **終盤のオイラー数 ---- 終盤のオイラー数は勝敗を占う鍵である。 特にこれを使うことで、盤面が埋まるかなり手前から 終局時のオイラー数を読むことが出来る。 まず、1つ石を置くごとに生じる 自陣のオイラー数の変化は -2 から +1 まであり得ることに注意する。 オイラー数が1加わるのは飛び地を作る場合であり、 オイラー数が維持されるのは、連結な土地を延ばす場合である。 オイラー数が1減るのは離れた土地同士を繋いだりループを作る場合であり、 オイラー数が2減るのは、竦みに打ち込んだ場合である。 一般にその場所に打ち込むとオイラー数の変化が 非負になるようなマスを&bold(){安息地}と呼ぶことにする。 ゲームの最中、安息地は次第に減っていく。 さて、赤青どちらか一方の安息地が無くなった時、実質的にゲームは終わる。 なぜなら、「安息地が2つ以上増えるような手」というのは滅多にないからである。 安息地が1つ増えても、相手に取られてしまえば自分は休めない。 すなわち、結局大抵の場合、 その時点でのオイラー数 - 残りの手数 - 竦みに打ち込む回数 が終局時のオイラー数に一致するのである。 **例 ---- 赤の安息地。 #image(haven1.png,width=280,height=200) 同じ局面における青の安息地。 #image(haven2.png,width=280,height=200) 現時点での青のオイラー数は2である。 一方、青の残りの手数も2である。 竦みが生じる可能性はどこにもない。 したがって、赤は青の唯一の安息地を押さえることで、 1-0 の勝ちを確定させることができる。 下の図は滅多にない 「安息地が2つ以上増えるような手」が存在する状況である。 #image(counterexample.png,width=320,height=200) 赤の安息地が無いため負けが確定しているようにも見えるが、 次のように打つことで逆転出来る。 #image(counterexample2.png,width=320,height=200) このような状況が実戦で起きにくいことは明白である。 実際、安息地かどうかというのは局所的な条件で決まり、 安息地が2つ以上増えるような手が存在するためには、 最低限以下の3種類の配置のいずれかが残っている必要がある。 しかも青が入りこんでいてはいけない。 #image(2haven.png,width=100,height=100) #image(2haven2.png,width=100,height=100) #image(2haven3.png,width=100,height=100) ただし、少し分かりにくいが、[[セミ鋭点>初手鋭点打ち]]まわりでは 次の4種類目の配置もありうる。 #image(2haven4.png,width=180,height=150)