26 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 23:20:03 ID:???
「いや、【おやすみなさい】とかぐらいで良いんじゃないか?」
「ワイもケンスケの意見に賛成やな」
眼鏡を掛けた少年はきょとんとした顔で、さも当然なように言う。
普段着がジャージ、と一風変わったセンスを持っている関西弁の少年もその言葉に同意見。
けれども、そんな友人等から頂いた有難い意見も、問題を抱えているひ弱そうな少年にとっては「んー」と唸るばかりで納得がいくものではないらしい。
「おいおい、何もそんなに真剣に悩むことないだろ?」
「かぁ~、ほんっま難儀なやっちゃなぁ~」
その態度に2人は大きな溜め息を吐いてしまう。
2人が溜め息を吐く理由も判らないでもない。けれど、自分からしてみればどうしても簡単な問題ではすまされないのだ。
まだまだ「んー」と唸り続ける少年。
そんな少年が不器用だということを良く知っている2人。
やれやれ、と困った表情を出しながらも、共通の親友である少年に更なるアドバイスを授ける。
「だったら―――――」
「だったら、【今、何しているの?】って聞いてみれば?」
ピンク色の可愛らしいパジャマを着込んだ少女が、何時ものお下げから髪を下ろし丁寧にブラッシングしながら更なるアドバイス。
確かにもう一声欲しいとは思うのだが、それではあまりにも他人行儀過ぎるのではないか、と問題を抱えている紅髪の少女は
大きな猿の人形を抱えながら「んー」と唸るばかりで納得がいかないらしい。
「それも駄目?」
駄目ってわけじゃあない。でも良いって訳でもないらしい。
「OK」サインを出せる唯一の存在、己の心が「OK」と言わないのだからそういうことなのだ。
「んー、困ったなぁ……」
27 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 23:20:46 ID:???
ことり、と机の上にブラシを置いて紅髪の少女が腰掛けているベッドの隣に座る。
「んー」と猿の人形を抱えながら悩み続ける少女。
そんな少女が不器用だということを良くしっている元・お下げの少女。
ふふっ、と柔らかく優しい笑みを零しながら、親友である少女に更なるアドバイスを授ける。
「それじゃあ――――」
「それじゃあ、素直な気持ちを伝えれば? 【大好き】だとか」
マグカップに入ったコーヒーを飲み下しながら、何時も白衣を着ている女性が更なるアドバイス。ちなみに今は、猫がプリントされたパジャマを着用。
それが一番ベストなのだろうが、それではあまりにも直球ストレート過ぎてのはないか、と問題を抱えているビール好きの女性は
机に突っ伏したまま「んー」と唸るばかりで納得がいかないらしい。
「それも違うの?」
突っ伏したまま頭だけを上下に振り肯定の合図。
良い年齢だと言うのに何時までもびきようだということを良く知っている猫好きな女性。
はぁ、と小さく溜め息を吐き、呆れ顔ながらも更なるアドバイスを授ける。
「―――とは思うものの、これ以上良い案が思い浮かばないよなぁ」
「あったとしてもシンジが納得する答えが出るとは思えんしのぉ。それに―――」
「それにね、アスカ。別にそんなに難しく考える必要ないんじゃない?
何時も通りの会話をするみたいな感じの内容で良いと思うよ。だから―――」
「だから、ここは素直にさっさと送っちゃいなさい」
28 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 23:21:17 ID:???
「んー」と同時刻に唸り続ける3人。
そんな困った様子を見せられたそれぞれの友人等は、更なる溜め息を吐いたり、苦笑したり、更なる呆れ顔になったり三者三様。
しかし、次に発せられる内容はどこも一緒だった。
「「「「何でメール送るだけでそんなに困るわけ?(何でメール送るだけでそない困るねん?)」」」」
そんな疑問に対する回答はたった1つ。
「「「だって照れ臭いし、何だか恥ずかしいもん……」」」
それぞれの友人宅でお泊り会。
そんな日の葛城家の面々。
「ほんっと今更ながらの発言ね」
「あによぉ、リツコだってレイにメール送ることになれば判るわよ」
「貴女と違うんだから、そうならないわよ」
「じゃあ、今送ってみなさいよ」
「はいはい……」
「おっ、最近素直よねぇ、リツコって」
「…………」
「どったの? 打たないの?」
「ミサト」
「ん?」
「何て送れば良いの?」
「ほれ、みたことか」
プラス愉快な仲間達。
最終更新:2011年01月26日 18:08