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*ブルー・ゴールド #amazon(402250787X) 題名:ブルー・ゴールド 作者:真保裕一 発行:朝日新聞出版 2010.09.30 初版 価格:\1,600 今日は昨秋に買ってあったのに読まずにいた真保裕一『ブルー・ゴールド』読了。こんなに時間を空けるのなら七里図書館で予約すればいいのだ。近くにもっと図書館がいくらでもあるのだろうけれど、札幌でも麻生あたりの図書館にゆかず、石狩図書館に車を走らせていたぼくは、ひっそりとした郊外にいきなりにょきっと生えてきてしまったような図書館が好きなのかもしれず、だからこちらでは七里図書館のカードを作ったのである。  そんな風に田園環境下で育ったぼくは自然大好き、都会大嫌いの性格なのだが、環境小説のような顔をしているけれども、実際には少しもエコでもなんでもなく、どんでん返しのプロットばかりを見せつけるような本書のような小説は、あんまり身が入らないのだった。  水をまき散らす文化と、汚れた水しか手に入らない環境下の子供たちの映像を交互に見せるプロモーション映像から導入してゆくこの小説は、あたかも水資源ということにこだわりを見せる路線なのかなと思っていたのだが、残念ながら企業小説に毛が生えた、水や自然環境というところには冷やかし程度の関心しか見えやしない作者の本心が透けて見えるような、偽善小説であると言ったら、言い過ぎだろうか?  『アマルフィ』以来、外交官・黒田康作シリーズを手がけるようになって、若干国際関係にジャンルが開けたのか、商社の活動の一環などもプロットの一部に組み込まれている点などスケール的には広がってきた要素がある真保裕一であるが、だからといって小説の肝である部分として最終的に水ではなく他の社会問題を取り上げると決めているのなら、こんなど引っかけはやめてほしいなと、タイトルを含めて思ってしまった。  むしろマスコミの報道による風評被害を受ける知られざる人々というところの記述で、ダイオキシン汚染されたのが実際は茶葉なのに、食物である生鮮野菜のように言われてしまった農家のことが書かれてある埼玉県日高町のダイオキシン報道など、福島原発汚染の風評被害を被っている現在の多くの農家の実情が、半年前に出版されていた小説で予見されていることのほうが印象深い。連日の報道から、こちらの記述価値の方にリアルな重さを感じてしまった次第である。  それにしても、なんだか、ページを繰りながら、小説との間に距離感を感じてしまったのは、小説の王道である個人の生き様以上に、社会問題を語ろうとする少し説教じみた解説部分が多いせいだろう。『ホワイトアウト』の頃のように、どーんと一発直球勝負を見せてくれる日を期待しています。 (2011.05.29)
*ブルー・ゴールド #amazon(right,402250787X) 題名:ブルー・ゴールド 作者:真保裕一 発行:朝日新聞出版 2010.09.30 初版 価格:\1,600 今日は昨秋に買ってあったのに読まずにいた真保裕一『ブルー・ゴールド』読了。こんなに時間を空けるのなら七里図書館で予約すればいいのだ。近くにもっと図書館がいくらでもあるのだろうけれど、札幌でも麻生あたりの図書館にゆかず、石狩図書館に車を走らせていたぼくは、ひっそりとした郊外にいきなりにょきっと生えてきてしまったような図書館が好きなのかもしれず、だからこちらでは七里図書館のカードを作ったのである。  そんな風に田園環境下で育ったぼくは自然大好き、都会大嫌いの性格なのだが、環境小説のような顔をしているけれども、実際には少しもエコでもなんでもなく、どんでん返しのプロットばかりを見せつけるような本書のような小説は、あんまり身が入らないのだった。  水をまき散らす文化と、汚れた水しか手に入らない環境下の子供たちの映像を交互に見せるプロモーション映像から導入してゆくこの小説は、あたかも水資源ということにこだわりを見せる路線なのかなと思っていたのだが、残念ながら企業小説に毛が生えた、水や自然環境というところには冷やかし程度の関心しか見えやしない作者の本心が透けて見えるような、偽善小説であると言ったら、言い過ぎだろうか?  『アマルフィ』以来、外交官・黒田康作シリーズを手がけるようになって、若干国際関係にジャンルが開けたのか、商社の活動の一環などもプロットの一部に組み込まれている点などスケール的には広がってきた要素がある真保裕一であるが、だからといって小説の肝である部分として最終的に水ではなく他の社会問題を取り上げると決めているのなら、こんなど引っかけはやめてほしいなと、タイトルを含めて思ってしまった。  むしろマスコミの報道による風評被害を受ける知られざる人々というところの記述で、ダイオキシン汚染されたのが実際は茶葉なのに、食物である生鮮野菜のように言われてしまった農家のことが書かれてある埼玉県日高町のダイオキシン報道など、福島原発汚染の風評被害を被っている現在の多くの農家の実情が、半年前に出版されていた小説で予見されていることのほうが印象深い。連日の報道から、こちらの記述価値の方にリアルな重さを感じてしまった次第である。  それにしても、なんだか、ページを繰りながら、小説との間に距離感を感じてしまったのは、小説の王道である個人の生き様以上に、社会問題を語ろうとする少し説教じみた解説部分が多いせいだろう。『ホワイトアウト』の頃のように、どーんと一発直球勝負を見せてくれる日を期待しています。 (2011.05.29)

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