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*レクイエム 題名:レクイエム 作者:篠田節子 発行:文藝春秋 1999.1.30 初版 価格:\1,619  6作の短編に敢えて独特の編集を施し、一冊の本としての価値を新たに持たせた幻想小説集、とでも言おうか。全体的に幻想的とかSF的とかいう言葉を冠したいような種類の作品群を集めたもので、数ある篠田節の中では、少し奇妙な味わいが勝っている印象がある。  現実と超現実の間を行き来しているような作品がほとんどで、それらの作品群の中ではこの世とあの世の境界すら定かではない。夢の中。とりわけ奇妙な悪夢の中に、篠田の文明観やいやに覚めたレアリスムが見え隠れしている。  後半に差しかかると、短編集『死神』の福祉シリーズを思わせるような少女虐待ものを一篇挟んで、とりわけ衣食住の文化についての女性ならではの視点での鋭い文明批評的なアイロニカルな小説が二篇。昭和史を遡る老人たちの独白が、不思議な味わいを持って現代と繋がっている。  全体的に、短編という自由度の高い表現方法で書かれた、篠田エッセンスといったところであった。 (1999.04.12)
*レクイエム #amazon(4167605058,text,image) #amazon(4163181903,text,image) 題名:レクイエム 作者:篠田節子 発行:文藝春秋 1999.1.30 初版 価格:\1,619  6作の短編に敢えて独特の編集を施し、一冊の本としての価値を新たに持たせた幻想小説集、とでも言おうか。全体的に幻想的とかSF的とかいう言葉を冠したいような種類の作品群を集めたもので、数ある篠田節の中では、少し奇妙な味わいが勝っている印象がある。  現実と超現実の間を行き来しているような作品がほとんどで、それらの作品群の中ではこの世とあの世の境界すら定かではない。夢の中。とりわけ奇妙な悪夢の中に、篠田の文明観やいやに覚めたレアリスムが見え隠れしている。  後半に差しかかると、短編集『死神』の福祉シリーズを思わせるような少女虐待ものを一篇挟んで、とりわけ衣食住の文化についての女性ならではの視点での鋭い文明批評的なアイロニカルな小説が二篇。昭和史を遡る老人たちの独白が、不思議な味わいを持って現代と繋がっている。  全体的に、短編という自由度の高い表現方法で書かれた、篠田エッセンスといったところであった。 (1999.04.12)

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