wiki クライムウェイヴ(Sysop読書録 活字をめぐる冒険) 内検索 / 「アフターダーク」で検索した結果

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  • アフターダーク
    アフターダーク 題名:アフターダーク 作者:村上春樹 発行:講談社 2004.09.07 初版 価格:\1,400  村上春樹を読むときのぼくは、実は自分の読書の原点に回帰してゆくような気がしてならない。あまり普段は意識していないことなのだが、ぼくの圧倒的に好きなタイプの作家は基本的に文章がとても上手で、文体がたまらなく快い作家だということ。国産小説には特にそれを求める気持ちが強いために、どんなにテーマが斬新でアイディアが豊富でストーリーがこまやかであろうと、日本語の美しさにこだわらない作家は自分にとって駄目だということだ。  という原点に立ち返って自分の読書傾向を振り返ると、それはより明白な事実となって浮かび上がってくる。日本語の美しい作家に明らかに傾倒している自分がいるという事実。その意味で純文学からスタートしている自分の読書人生は散文的なもの...
  • アフター・ダーク
    アフター・ダーク アフター・ダーク 題名:アフター・ダーク 原題:After Dark (1955) 作者:Jim Thompson 訳者:三川基好 発行:扶桑社 2001.10.30 初版 価格:¥1,429  ジム・トンプスンはパルプ・フィクションというよう安手の三流犯罪小説の作家でありながら、その実、天才的な暗黒小説の作家としてアメリカの正統派ハードボイルドよりとしてではなくノワール生誕の国フランスで評価された作家だと言う。パルプ・ノワールという言葉が現在では適切かもしれない。  『死ぬほどいい女』や『残酷な夜』のラスト・シーンは通常の小説としてみれば、断裂があり破綻があり、あまりにも前衛的であり、読者をある意味で無視しきっているように見える。  実はトンプスンはその破綻・前衛によって、実のところB級パルプ・フィクションという位置ににとどま...
  • 村上春樹
    ...のカフカ 2002 アフターダーク 2004 1Q84 Book1/Book2 2009 1Q84 Book3 2010 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 2013 街とその不確かな壁 2023 短編小説集 中国行きのスロウ・ボート 1983 カンガルー日和 1983 蛍・納屋を焼く、その他短編 1984 回転木馬のデッドヒート 1985 パン屋再襲撃 1986 TVピープル 1990 夜のくもざる 1995 レキシントンの幽霊 1996 神のこどもたちはみな踊る 2000 象の消滅 2005 東京奇譚集 2005 一人称単数 2020 ノンフィクション アンダーグラウンド 1997 約束された場所で underground 2 1998 エッセイ ウォーク・ドント・ラン 村上龍vs村上春樹 1981 夢で会いましょう 糸井重里、村上春樹 1981 象工場のハッピ...
  • グリフターズ
    グリフターズ グリフターズ (扶桑社ミステリー) 題名:グリフターズ 原題:The Grifters (1963) 作者:ジム・トンプスン Jim Tompson 訳者:黒丸 尚 発行:扶桑社ミステリー 1991.09.27 初版 価格:\480  トンプスンの小説の基本的な構図は、まず女ありきではなかろうか。男はたいていの場合トチ狂っているが、その内燃機関を燃え上がらせているのは、たいてい女である。美醜に関わらず、男たちは女という燃料を突っ込まれて暴走を始める。あるいは踊り狂い、落とし穴に向かって死の手に招かれる。たいていはトンプスンの場合、そんな具合だ。  ただし、女はあまり前面に出て来はしない。たいていが引っ込んだままだ。それでいて強烈な印象を残すのが、トンプスンの構図なのだ。作品の重力が向いてゆく方向には、必ずといって言いほど女がいて、彼女次第で...
  • tompson
    ジム・トンプスン <ノワールの復権>  作家は金のために、生活のために書いたと言う。作家の本は使い捨ての犯罪小説として読まれ、蔑称でパルプと呼ばれたと言う。アメリカ犯罪小説の歴史の一角をなさぬうちに、作家は死んだ。彼の作品を評価したのは、セリ・ノワールのブームに沸いたフランスの読者たちであった。作家の作品はフランスに渡って高く評価され、そうしてやっと世界に注目され始める。死後に有名になった作家として知られる作家の作品は、狂気の波長、破綻する結末、作中の意想外の断裂……と、通常の作家には見られぬ大きな特徴があった。天才か、狂気か。人間の内なる暗黒を追求した半世紀前の作家が、日本でも今世紀に入って大きく評価され、翻訳は今も進んでいる。王者の復権を思わせる現象だ。 作品群 取るに足りない殺人 1949 三川基好 内なる殺人者 1952 村田勝彦 サヴェッジ・ナイト 1953 ...
  • ザ・ボーダー
    ザ・ボーダー 題名:ザ・ボーダー 上/下 原題:Tre Border (2019) 著者:ドン・ウィンズロウ Don Winslow 訳者:田口俊樹訳 発行:ハーパーBOOKS 2019.7.20 初版 価格:上¥1,296/下¥1,324  小説に圧倒されるというのはどういうことを言うのだろう。かつてドストエフスキーやトルストイの大長編作品群にぼくは確実に圧倒された。加賀乙彦の『宣告』に圧倒された。五味川純平の『戦争と人間』全9巻に圧倒された。船戸与一の『猛き箱舟』に、高村薫の『マークスの山』に、ジェイムズ・エルロイのLA三部作『ブラックダリア』『LAコンフィデンシャル』『ホワイトジャズ』に圧倒された。劇画でいえば白戸三平の『カムイ伝』に圧倒された。手塚治虫の『火の鳥』に圧倒された。そういう圧倒的なパワーに打ち倒されるような感覚を失って久しい。敢え...
  • ブルーマーダー
    ブルーマーダー 題名:ブルーマーダー 作者:誉田哲也 発行:光文社 2012.11.20 初版 価格:\1,600  姫川玲子のシリーズが『ストロベリーナイト』のタイトルでドラマ化され、さらに今年は『インビジブルレイン』が映画化された。映画にもなった『インビジブルレイン』は、姫川の許されぬ恋と、彼女の抱える闇というテーマが大写しになった作品であったが、ほぼ原作に忠実に描かれた中で唯一、組対課の刑事・下井の存在は映画化にあたって無視されてしまっている。  しかし映画であれ、原作であれ、そのラストシーンで解散を余儀なくされる姫川班のその後については、シリーズ追っかけ読者としては極めて興味深い。  その後のことはテレビドラマでは短編集のようなドラマを組んで、特別番組として、奇しくも映画封切りの本年1月26日の夜に放映された。内容は『感染遊戯』を原作...
  • ダークライン
    ダークライン 題名:ダークライン 原題:A Fine Dark Line (2003) 作者:ジョー・R・ランズデール Joe R. Lanzdale 訳者:匝瑳玲子 発行:早川書房 2003.03.15 初版 価格:\1800  まだランズデール初心者であるのに、こんなに美味しいところからいただいてしまって本当によろしいのだろうか? 贅沢すぎて後が怖い、というのが今の読後感である。世界ミステリ界の頂点とも言えるMWA賞を受賞した『ボトムズ』に引き続き、ほぼ同じレベルで綴られてしまった最新作を読んでしまったのだから。 ちなみに巻末解説の池上氏は本書がランズデールの最高作品と断言している。ぼくはと言えば、どちらも甲乙つけがたい。しかし敢えてどちらかを選べと言われれば仕方ない、苦しみ迷いぬいた末に、やはりランズデールとの出逢いとなった『ボトムズ』に...
  • ダーク・ムーン
    ダーク・ムーン 題名:ダーク・ムーン 作者:馳星周 発行:集英社 2001.11.10 初版 価格:\1900  正直、最初に『不夜城』で登場したときは、血沸き胸躍ったものだった。でも今、これを読んでいて、ぼくはどうも醒めている。映像化して映画にしたらけっこう面白いバイオレンスものになるかもしれない。少なくともサム・ペキンパあたりが映像化したら、それをきちんとした役者がやってくれるなら、いい映画になるだろう。  日活無国籍アクションという言葉を思い出す。銃をぶっ放し放題、国籍不明。ストーリーのためなら何でもあり。さすがに小説では無国籍アクションというわけにはゆかないので、バンクーバーとかリッチモンドとか、ぼくにはちんぷんかんぷんな土地の名前を世界地図のどこかから引っ張り出してきた馳星周。刑事と黒社会であれば銃はぶっ放し放題。そしてまずは...
  • ベン・レーダー
    ベン・レーダー Ben Rehder 馬鹿★テキサス 2002 東野さやか訳
  • ボーダーライン
    ボーダーライン 題名:ボーダーライン 作者:真保裕一 発行:集英社 1999.9.10 初版 価格:\1,700  ハードボイルドと最も縁のない作家だと思っていた。どちらかというと優しさ方面ばかりが目立つそんな真保裕一が真っ向から挑んだ正統ハードボイルドの雄編。  真保らしさと言えば、舞台をアメリカに持って行った上で銃を所持するための法的条件、そして探偵ライセンスを所持するための論理的展開、このあたりのリアリスムへの周到な準備と言ったところだろうか。日本作家でも有数の準備調査作家である真保の真保たる由縁が作品のこうしたところにある。  作品へのきめ細かなそうした愛情は相変わらずで好感が持てる。何よりも舞台を真保らしからぬアメリカに持ち込んでメキシコ国境地帯のきな臭い土地に、銃をぶっぱなすことに抵抗や違和感を覚える日本人調査員を立たせたという、...
  • 7月のダークライド
    7月のダークライド 題名:7月のダークライド 原題:Dark Ride (2023) 著者:ルー・バーニー Lou Berney 訳者:加賀山卓朗 発行:ハーパーBOOKS 2024.2.20 初版 価格:¥1,230  久々のルー・バーニーという作家の名前だけで、冒険小説好きの好奇心が全面反応してしまう。ちなみに若かりし頃、冒険小説のフォーラムを主宰していたとは言え、ぼくは軍事オタクでもスパイオタクでもない。冒険小説とは日常生活の中から逸脱してあるアクションをやむを得ず選択してゆく勇気や意志を描くもの。ぼくはそう理解している。題材ではない。あくまでそこに介在する人間とその魂を描くフィクションのことを冒険小説と呼ぶのだ。  さてルー・バーニーだ。何年ぶり? 何と5年ぶり。しかも第三長編。何とも寡作である。でも書けばただじゃおかないとばかりに骨のある作...
  • 侵入者 イントルーダー
    侵入者 イントルーダー 題名:侵入者 -イントルーダー- 原題:The Intruder (1996) 作者:Peter Blauner 訳者:白石朗 発行:扶桑社 1997.7.30 初版 価格:\2,381  ストーカーものと出版社は宣伝したいみたいだけど、どちらかというと転落して行くホームレスとブルックリンから這い上がった弁護士との二つの物語を主軸に展開する立体的なサスペンスと言っていいような気がする。「ストーカー」とかタイトルの「侵入者」という面ばかりを期待すると、実際にはちょいと違う味わいになってしまうだろう。  一つ、まずはこの作者の手による人物造形に興味を持った。類型的で両極端な人物のコントラストで物語を進めていながら、どこか巻半ばくらいから陰と陽が逆転してゆくあたりは面白いと思う。手放しで喜ぶようなシーンがほとんどない一方、現実のハ...
  • 石を放つとき
    石を放つとき 題名:石を放つとき 原題:The Night And The Music (2011)  A Time To Scatter Stones (2018) 著者:ローレンス・ブロック Lawrence Block 訳者:田口俊樹 発行:二見書房 2020.12.25 初版 価格:¥2,500  マット・スカダーはその後どうしているんだろう、と思ったことは一度や二度ではない。本書はそうした古いハードボイルド・シリーズのファンに応える今のマットと今に至るニューヨークを描いた、アフター・ザ・ハードボイルドといった趣の洒落た作品集である。  最初の数作は、ブロックの短編集などでお目にかかった再録作品であるが、この際想い出すためにもすべてを読み返した。『窓から外へ』『夜明けの光の中に』『バックレディの死』今更ながら秀逸だ。美味なカクテルのようにパン...
  • ダーク・アワーズ
    ダーク・アワーズ 題名:ダーク・アワーズ 上/下 原題:The Dark Hours (2021) 著者:マイケル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2022.12.15 初版 価格:各¥900  ジャック・マカボイ、ミッキー・ハラーと続いていたコナリー・ワールドだが、久々にハリーボッシュ&レネイ・バラードの登場でぼくは新年を美味い酒とともに迎えさせて頂いた。美味い酒というのは銘柄とか酒の種類のことではなく、良い物語が美味しくさせてくれる酒のこと。  今回はタイトルの通り、夜の事件なので主人公役はほぼレネイ・バラードと見て良い作品であった。そもそもハワイからやって来たバラードは、その後の展開で愛犬を失い、ビーチのテント生活から現在は普通のマンションに居を移している。いろいろ初期設定から変化を遂げている。...
  • 沙林 偽りの王国
    沙林 偽りの王国 題名:沙林 偽りの王国 著者:帚木蓬生 発行:新潮社 2021.3.20 初版 価格:¥2,100  一人の神経内科医の眼を通してオウム真理教による前代未聞な犯罪を、今この時代に、改めて展望するドキュメントである。地下鉄サリンを知らない人にも伝えたいという作家の想いが伝わる力作。  敢えて帚木蓬生が、自分の医師として作家としての所見を、モデルとなる医師の研究(巻末の参考文献リストが圧巻!)に重ね合わせ、現代史に黒い爪痕を残したオウム真理教の様々な事件を纏めたものである。  全体に記録としての執筆の意図か感じられるため、小説というエンターテインメント性からは遠のいたイメージで、かつ医学者・科学者としての分析が加えられたページは普通の小説読者としては腰が引ける。難解な記述は飛ばし読みしても構わないと思う。他に、当時の新聞報道や、...
  • ウインター・ホーク
    ウインター・ホーク 題名:ウインター・ホーク (上・下) 原題:Winter hawk (1987) 作者:クレイグ・トーマス Craig Thomas 訳者:矢島京子 発行 扶桑社ミステリー 1990.2.23 初版 1991.4.25 上/第5刷 下/第4刷 価格 上\660(\641)下\600(\583)  さてこの作品の方はすごく口込みの評価は低いのだが、 果たしてこの主人公が 『ファイアフォックス』シリーズのミッチェル・ガントでなかったら、どうであったろうか? ぼく個人としてはこの小説だって文句無しに優れものだと思う。中でもソ連の中でガントと同じ目的に向かう運命にあるドミトリー・プリャービンという男のこの小説での活躍ぶりは素晴らしかった。ミサイル・サイロでのラスト・シーンはぼくには忘れられなくなりそうな名シーンでもある。なぜこういう名シーン...
  • マーダー・ミステリ・ブッククラブ
    マーダー・ミステリ・ブッククラブ 題名:マーダー・ミステリ・ブッククラブ 原題:The Murder Mystery Book Club (2014) 著者:C・A・ラーマー C.A.Larmer 訳者:高橋恭美子 発行:創元推理文庫 2022.8.10 初版 2022.10.7 2刷 価格:¥1,040  2022/12/17。読書会を舞台にしたミステリー作品をテーマにした読書会にぼくは参加していた。立体構造や無限ループのように思えてしまう現実と小説の間。こんな体験も悪くない。ましてや翻訳を担当した高橋恭美子さんは、そもそもわが翻訳ミステリー札幌読書会のレギュラーメンバーだ。なので本書の訳者あとがきでも、われらが札幌読書会のことをちらっと宣伝してくれている。読書会と作品との立体構造。下層と現実との交錯。やはり珍しいよね。  ちなみに札幌読書会には、...
  • P.I.P. プリズナー・イン・プノンペン
    P.I.P. プリズナー・イン・プノンペン 題名 P.I.P. プリズナー・イン・プノンペン 作者 沢井鯨 発行 小学館 2000.7.10 初版 価格 \1,200  感動した。とんでもない新人作家の出現とその作品の独自なパワフルさに感激した。日本小説にもこんな世界があるのだ!  アフター・ザ・キリング・フィールドとも言うべきポスト・ポルポトのカンボジア。『地球の歩き方』片手に国境を越えた青年の30歳前の大放浪。札幌での教職生活を捨て、日本を捨て、ふとしたきっかけで辿り着いたカンボジアは、ポルポト大虐殺の血生臭さがまだ残る、欲望と裏切りに満ち溢れた最低な国家だった。急転直下、最悪の罠にはめられた青年は出口なしの牢獄を如何に抜け出すのか?  作者自らがカンボジアで6ヶ月の獄中生活を送ったという経歴の持ち主であるそうだ。札幌の教職生活にしても、...
  • 容赦なき牙
    容赦なき牙 題名:容赦なき牙 原題:Stranger_in_Paradise (2007) 作者:ロバート・B・パーカー Robert B. Parker 訳者:山本 博 発行:早川書房 2008.09.15 初版 価格:\1,900  最近パーカーが書いているウエスタン小説との最短距離にいるシリーズは、ジェッシイ・ストーンの本シリーズだろう。スペンサー・シリーズとの相似点を常に感じながら、やはり、事件に対する捜査官としてよりも、ガンマンとしての空気を身に纏っているのがジェッシイという名のパラダイス署警察署長であるのだ。寡黙性、マッチョそうしたものが伺わせる気配のようなものも含めて、すべて。  そんなジェッシイですら、カウンセリングを受けているのだから、根本的に情け容赦のないウエスタンとはやはり根本的に時代が違う、ということか。悩みの大部分が、離婚し...
  • アライズ・アンド・ウォーク
    アライズ・アンド・ウォーク 題名:アライズ・アンド・ウォーク 原題:Arise And Walk (1994) 作者:Barry Gifford 訳者:真先義博 発行:文春文庫 2001.2.10 初版 価格:\571  ギフォードのディープ・サウス三部作のうち二冊目。前作『ナイト・ピープル』を引き継ぐ人物は若干名出てくるが、例によって例による無造作な扱い方は、あまりにも皮肉たっぷりのダークぶり。無常観に満ちた混沌のなかへとすべてが叩き込まれてゆく。  ある程度、地理的に絞られた場所に展開する多くのエピソードをストロボのように連写してみせる構成については前作そのまま。厳密には、一冊ごとにまとまった話ではありながら、登場人物が再登場するなど、互いに繋がりの深い関係にあるために、やはり三作とも一気に、しかも順番に読んでしまうのがベストかと思われる。 ...
  • 水鏡推理 V ニュークリアフュージョン
    水鏡推理 V ニュークリアフュージョン 題名:水鏡推理 V ニュークリアフュージョン 著者:松岡圭祐 発行:講談社文庫 2016.12.15 初版 価格:\680-  核融合研究を題材にミステリを作るなんて想像もできないが、文部科学省の末席一般職のヒロイン水鏡瑞希のシリーズは、早くも5作目。一年で5作も書かれすべて文庫オリジナルで新作出版される裏事情はいったい何なのかわからないが、誰も挑んだことのない分野にシリーズ化して多面的に挑んできた松岡ワールドの実験的側面には感嘆するしかない。  思えばこの一年、ドラマでも有名になった人気のシリーズ『探偵の探偵』『万能鑑定士Q』などを春に完結させ、ほぼ同時期に本シリーズに取り組んだ松岡劇場。三シリーズをブレンドさせてのバトンタッチも見事だったが、どこに蓄えられているのかわからない不可思議なエネルギーと活力は健在...
  • 夜のエレベーター
    夜のエレベーター 題名:夜のエレベーター 原題:Le Monte-Charge (1961) 著者:フレデリック・ダール Frédéric Dard 訳者:長島良三 発行:扶桑社ミステリー 2022.8.25 初版 価格:¥968  これは不思議な本だ! というのが第一印象。読み始めると引きずり込まれてしまい、二時間ほどで読み終えてしまった。登場人物も少ないし、物語もさして複雑ではない。ただ、やたら謎めいて先が見えないだけだ。  一人称文体による主人公の怪しげな帰宅で、物語は始まる。どうやら主人公の「ぼく」は、生前の母親が暮らしていたという実家に数年ぶりに戻ってきた孤らしい。「ぼく」は空っぽの家の中で、ひとしきり母親の想い出に浸って、それから、光に満ちた街へと足を踏み出す。謎だらけの「ぼく」は、ビアホールで子連れの見知らぬ女性と出会う。  そ...
  • ネルーダ事件
    ネルーダ事件 題名:ネルーダ事件 原題:El Caso Neruda(2008) 作者:ロベルト・アンプエロ Roberto Ampuero 訳者:宮崎真紀 発行:ハヤカワ・ミステリ 2014.5.15 初版 価格:\1,700  南米チリについて、正直な話、ぼくは何一つ知らない。  ぼくの勤めていた医療機器メーカーが、チリで大地震が起こるたびに医療物資の援助を行う日本赤十字社から特別オーダーを受けた特需景気にボーナスが加算された。太平洋の向う岸で惨事が起こると喜ぶこの会社なんてまるで死の商人だね、と同僚と皮肉を交わした覚えがあるくらいだ。  そのチリに、1973年には、軍事クーデターの嵐が吹き抜けたのだそうだ。ニクソンの支援を受けたピノチェト将軍による軍事独裁政権は17年の長きに渡って続くことになる。そんなことすら知らない日本人のぼくは平均...
  • ピーター・ブローナー
    ピーター・ブローナー Peter Blauner 長編小説 欲望の街 1991 白石 朗訳 カジノ・ムーン 1994 岡田葉子訳 侵入者 イントルーダー 1996 白石 朗訳 一瞬の英雄 1999 服部清美訳
  • 誉田哲也
    誉田哲也 刑事・姫川玲子シリーズ ストロベリーナイト2006 ソウルケイジ 2007 シンメトリー(連作短編集) 2008 インビジブル・レイン 2009.11 感染遊戯(連作中短編集) 2011.03 ブルーマーダー 2012.11 インデックス 2014.11 硝子の太陽 R -ルージュ 2015.5 強行犯係・魚住久江シリーズ ドルチェ 2011.10 ドンナ ビアンカ 2013.02 別収録短編 女の敵(『誉田哲也 All Works』収録) 2012.03 ジウ・シリーズ ジウ I 警視庁特殊犯捜査係[SIT] 2006 ジウ II 警視庁特殊急襲部隊[SAT] 2006 ジウ III 新世界秩序[NWO] 2006 スピン・オフ作品 国境事変 2007 歌舞伎町セブン 2010.11 歌舞伎町ダムド 2014.09 硝子の太陽 N -ノワール 2015.5 ...
  • ファイアフォックス
    ファイアフォックス 題名:ファイアフォックス 原題:Firefox (1977) 著者:クレイグ・トーマス Craig Thomas 訳者:広瀬順弘 発行:ハヤカワ文庫NV 1986.12.31 初版 1991.2.28 7刷 価格:\600(本体\583)  年内のクレイグ・トーマス全読破を内心決意し、ちょうどまた『ファイアフォックス・ダウン』の文庫化がなされたばかりということもあり、『ラット・トラップ』に続く二作目に取りかかった。ちなみにぼくは文芸座で『ブレード・ランナー』との二本立てで映画化作品を先に観ているので、大方のあらすじは前もって知っている。要するにネタバレ状態で、読み始めたというハンディつきの本なのである。しかし大方の名作と呼ばれる本がそうであるようにこの作品もネタバレとは関係なく小説そのものが楽しめたことは言うまでもない。  最初...
  • kokuu
    虚空 虚空―スペンサー・シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫) (↑アマゾンで注文) 原題:Thin Air (1995) 著者:ロバート・B・パーカー Robert B. Parker 訳者:菊池 光 発行:早川書房 1995.12.15 初版 価格:\1,748  フランク・ベルソン部長刑事が撃たれて重傷を負い、その妻リーサが消える。それだけで既に緊迫感のある状況である。  『真紅の歓び』以来の三人称視点の章が、スペンサーのモノローグの合間にサンドイッチされた構成。スペンサーのリズムの合間を、リーサの側の窮状が語られるために、読者の側では危機感が常に張り詰めている。『真紅の歓び』の感想でも書いたように、警察小説やサイコ・サスペンスでは大変に効果的な書き方でありながら、ハードボイルドでは見られることのない手法であるように思う。  パーカーはい...
  • アフリカの蹄
    アフリカの蹄 題名:アフリカの蹄 作者:帚木蓬生 発行:講談社 1992.3.10 初版 価格:\1,400(本体\1,359)  帚木蓬生といえば、一昨年新潮推理サスペンス大賞の佳作に選ばれた『賞の柩』。推理サスペンス大賞は国産作品の賞にしてはなかなか質が高いというか、まあぼくの好みのものが多い。さて本作『アフリカの蹄』は、何と『賞の柩』と同時応募したものの落選した方の作品であるらしい。出版社が応募先ではないというのも不思議な話だが、特に手を入れずに発表されてしまっているようでもある。ま、これは未確認情報ですが(^^;)。  さて本書は壮大なテーマ……国名こそ書かれていないが南アのアパルトヘイト問題に真っ向から取り組んだ作品である。『賞の柩』でノーベル賞そのものに反旗を翻した同じ作家が、同じ時期に書いていたもう一つの作品。本書は佳作にもなれなかった...
  • サヴェッジ・ナイト
    サヴェッジ・ナイト サヴェッジ・ナイト (Shoeisha・mystery) 残酷な夜 (別訳) 題名:サヴェッジ・ナイト 原題:Savage Night (1953) 著者:ジム・トンプスン Jim Thompson 訳者:門倉洸太郎 発行:翔泳社 1999.6.25 初版 価格:\1,900  凄い作品に出くわしてしまった。何とぼくが生まれる前に書かれた作品が今頃翻訳されて、しかもこれがパルプ・ノワールの巨匠と言われた作家の手になるものであると言う。なんだか心底惚れ抜いているような馳星周の解説も熱気走っていて、まさにぼくもこの作家、一気に取り憑かれた。  ハメット的な簡潔極まりない文体。病的なまでに狭い視野から描かれたモノクロームのイメージ。恐怖と暴力が席巻する小さな田舎町に現われる年齢不詳の暗殺者の物語。  どこかで...
  • ノー・セカンドチャンス
    唇を閉ざせ 題名:唇を閉ざせ 原題:Tell No One (2001) 著者:ハーラン・コーベン Harlan Coben 訳者:佐藤耕士 発行:講談社文庫 2002.10.15 初版 価格:上下各¥990 コーベンのノン・シリーズ翻訳作品第一作は、軽ハードボイルド・タッチのマイロン・ボライター・シリーズとは趣きを変えた、重厚なノンストップ・バイオレンス・スリラー。  山と湖の自然とギャングの横行するストリートのどちらもが舞台となる、ニューヨークの隣町ニュージャージーは、作者の生まれ育った土地らしく、生き生きと活写されている。人も街も生命感たっぷりで、お洒落だったり猥雑だったりの変化に富んでいる辺りは物語を豊かにしているように思われる。  本書は8年前の殺人事件で犠牲なっていたはずの愛妻が、主人公である小児科医師の周辺に現れるという奇妙...
  • 唇を閉ざせ
    唇を閉ざせ 題名:唇を閉ざせ 上/下 原題:Tell No One (2001) 著者:ハーラン・コーベン Harlan Coben 訳者:加藤耕士 発行:講談社文庫 2002.10.15 初版 価格:各¥990  コーベンのノン・シリーズ翻訳作品第一作は、軽ハードボイルド・タッチのマイロン・ボライター・シリーズとは趣きを変えた、重厚なノンストップ・バイオレンス・スリラー。  山と湖の自然とギャングの横行するストリートのどちらもが舞台となる、ニューヨークの隣町ニュージャージーは、作者の生まれ育った土地らしく、生き生きと活写されている。人も街も生命感たっぷりで、お洒落だったり猥雑だったりの変化に富んでいる辺りは物語を豊かにしているように思われる。  本書は8年前の殺人事件で犠牲なっていたはずの愛妻が、主人公である小児科医師の周辺に現れるとい...
  • paperdoll
    ペイパー・ドール ペイパー・ドール―スペンサー・シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫) (↑アマゾンで注文) 原題:Paper Doll (1993) 著者:ロバート・B・パーカー Robert B. Parker 訳者:菊池 光 発行:早川書房 1994.1.15 初版 価格:\1,650  なんと言ってもこの結末はぼくは気に入らない。ハードボイルドということの定義の一つとして「決着のつけ方」というものがあるとぼくは思う。その上で苦い結末を味わわねばならないことだってあると思う。むしろその苦みこそがハードボイルドの旨味であったりするとも思う。だからこそ、そうした苦みから逃げてしまう曖昧な決着というのは、この場合どうしたものだろうか。  かつて『ダーティ・ハリー4』でソンドラ・ロック演じる復讐者の娘に対しての刑事ハリー・キャラハンの態度を、おすぎとピー...
  • 喪われた少女
    喪われた少女 THE ISLAND 題名:喪われた少女 THE ISLAND 原題:Drungi (2016) 作者:ラグナル・ヨナソン Ragnal Jonasson 訳者:吉田薫 発行:小学館文庫 2020.08.10 初版 価格:¥800  どんどんダーク化が進んでいるラグナル・ヨナソン。その中でもあまりにダークすぎるスタートを切った女性警部フルダ・シリーズ第二作。第一作で読者側の概念をまず思い切りひっくり返すところから始めたヨナソンという作家は、本書でもフルダというダーク・キャラな中年女性警部をヒロインとして、彼女の出生の秘密に迫りながら、複雑に絡み合った人間関係のもたらす二つの事件を描く。  一方で孤立した別荘での殺人事件、さらにフルダが十年後に偶然担当することになった孤島での女性の謎めいた死のあまりに強い関連性に読者は、あっという間に引き...
  • ファイアフォックス・ダウン
    ファイアフォックス・ダウン 題名:ファイアフォックス・ダウン (上/下) 原題:Firefox Down (1983) 著者:クレイグ・トーマスCraig Thomas 訳者:山本光伸 発行:ハヤカワ文庫NV 1991.6.30 初版 1991.7.15 2刷 価格:各\520(本体\505)  前作の爽快感を全否定してしまうかのような書き出しで本書で始まる。無理のない続編で、しかも驚いたことに前作の面白さがそのまま繋がってゆく。トーマス作品を作品発表順に読んでゆこうかと思ったが、どうしてもファイアフォックス事件はまだ終わってはいなかった、というフレーズに載せられて続けて読んでしまった。続けて読むと不思議なことに前作との切れ目がなくなってしまう。ストーリーそのものが長くなり、主人公ミッチェル・ガントの冒険行がさらに奥深いものになってしまうということ...
  • stardust
    スターダスト スターダスト (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 110-20)) (↑アマゾンで注文) 原題:Stardust (1990) 著者:ロバート・B・パーカー Robert B. Parker 訳者:菊池 光 発行:ハヤカワ文庫HM 1997.10.15 初刷 価格:\640  スペンサーが教条的ではなくある意味でその心底の優しさから行動するとき、つまり左脳の理屈っぽい行動ではなく、衝動あるいは右脳での原初的直感で動くとき、ぼくはとりあえず手放しで賞賛したくなる。別にスペンサーに限ったことではないのだけれど、やはりスペンサーのようなクールな思想家が、唐突に不条理な感情に捉えられた時はその落差が人間的に感じられ、ぼくはとても嬉しい。  『海馬を馴らす』において薄幸の売春婦ジンジャーの不幸を怒りに変えて背負った時がそうだった。本書ではウィルフレ...
  • ジョー・R・ランズデール
    ジョー・R・ランズデール Joe R. Lansdale ハップとレナード・シリーズ ムーチョモージョ 鎌田三平訳 1994 罪深き誘惑のマンボ 鎌田三平訳 1995 バッド・チリ 1997 人にはススメられない仕事 1998 テキサスの懲りない面々 2001 その他、長編作品 テキサス・ナイトランナーズ 1987 モンスター・ドライヴイン 1988 凍てついた七月 1989 バットマン -サンダーバードの恐怖 1991 ボトムズ 大槻寿美枝訳 2000 アイスマン 七搦理美子訳 1999 ダークライン 匝瑳玲子訳  2003 サンセット・ヒート 北野寿美枝訳 2004 ロスト・エコー 北野寿美枝訳 2007
  • ツーダン満塁
    ツーダン満塁 ツーダン満塁 題名:ツーダン満塁 作者:矢作俊彦 発行:東京書籍 2002.02.01 初版 価格:\1,600  ちょうど一年前にも矢作のエッセイを読み終えていた。なぜか二月の雪の振り込める休日には矢作の文章が読みたくなるものなのかもしれない。どこにも出かけられない閉塞感を吹っ切りたい気持ちに、言霊のような矢作の文章は翼を与えてくれるのかもしれない。  第一エッセイ集『複雑な彼女と単純な場所』は主に、雑誌「プレイボーイ」などに書かれたもの、第二エッセイ集くらいからは「NAVI」や男性総合週刊誌などのエッセイが混じる。第三エッセイ集である本書は、主に「NAVI」「OP」、それ以上に目立つのがTBSのホームページへのコラム掲載の文章が多いということだ。対談も含めると、実際の神ベースの原稿以上に、インターネットを通じて回線を辿って集められた文章が多...
  • C・A・ラーマー C.A.Larmer
    C・A・ラーマー C.A.Larmer マーダー・ミステリ・シリーズ マーダー・ミステリ・ブッククラブ 2014 高橋恭美子訳 危険な蒸気船オリエント号 2016  高橋恭美子訳 野外上映会の殺人 2021  高橋恭美子訳
  • アイスマン
    アイスマン 題名:アイスマン 原題:Freezer Burn (1999) 作者:ジョー・R・ランズデール Joe R. Lansdale 訳者:七搦理美子 発行:早川書房 2002.2.15 初版 価格:\1,600  驚いた。ランズデールがこんな真っ黒な作品も書いてしまう作家だったなんて、全然知らなかった。確かにぼくは『ボトムズ』と『ダークライン』しか読んでいないので、ランズデールが本来どんな作家なのか知っているわけではないけれども。  それにしたって『ボトムズ』と『ダークライン』には共通したリリシズムがあった。南部に育つ少年たちの目を通して見つめる大人の世界。成長をしてゆく子どもたちの無邪気な心に映る南部の自然や気候。ミステリアスなものへの尽きない好奇心。そうしたダイナミズムのなかで、恐怖や期待に満ちた事件が起きてゆく。思い出が心の中で膨らん...
  • 危険な蒸気船オリエント号
    危険な蒸気船オリエント号 題名:危険な蒸気船オリエント号 原題:Danger On The SS Orient (2016) 著者:C・A・ラーマー C.A.Larmer 訳者:高橋恭美子 発行:創元推理文庫 2022.12.9 初版 価格:¥1,100  先月の翻訳ミステリー札幌読書会で取り上げられた『マーダー・ミステリ・ブッククラブ』の続編は、何と、全編、豪華客船オリエント号内での物語。偶然とはいえ、数日前に、妻から世界一周の豪華客船での100日クルーズなる提案資料を受け取ったばかりのぼくは、偶然とはいえ、豪華客船の旅を読書体験で味わうことになってしまったのである。  但し、本書でのクルーズはオーストラリアのシドニー~ニュージーランドのオークランドまでの5日間。そこに集まるはわれらがブッククラブの面々。今回はアンダースが本業の医師の仕事としてクル...
  • レイジ
    レイジ 題名:レイジ 作者:誉田哲也 発行:文芸春秋 2011.07.15 初版 価格:\1,476  青春バンド小説、である。  そもそもこの作者に出会ったのは、2005年の『疾風ガール』。中ノ森文子をカバー写真に据えた、ガールズ・バンドの青春ミステリー小説であった。  原点回帰か? それとも『武士道シックスティーン』の乗りの荒手の青春小説か、とそれなりに楽しみに読み始めると、いい意味でそれらすべてが裏切られてゆく快感がある、やはり作者ならではのこだわりロック・バンド青春小説は、独自なカラーに終始しているのであった。  まず時代設定が古いというのが嬉しい。今を背景にしているのではなく、あのロック黄金時代を背景にしているのである。そんなバンドの中でいきなり主役の二人が仲間割れする。リーダーのワタルはロックの歴史にのめり込むようにコピ...
  • 辻村深月
    辻村深月 長篇小説 冷たい校舎の時は止まる 2004.07 子供たちは夜と遊ぶ 2005.05 凍りのくじら 2005.11 ぼくのメジャースプーン 2006.04 スロウハイツの神様 2007.01 名前探しの放課後 2007.12 ロードムービー 2008.10 太陽の座る場所 2008.12 ふちなしのかがみ 2009.06 ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 2009.09 V.T.R. 2010.02 ツナグ 2010.10 本日は大安なり 2011.02 オーダーメイド殺人クラブ 2011.05 水底フェスタ 2011.08 サクラ咲く 2012.03 島はぼくらと2013.06 盲目的な恋と友情 2014.05 ハケンアニメ! 2014.08 家族シアター 2014.10 短編小説集 ロードムービー 2008.10 ふちなしのかがみ 2009.06 光待つ場所へ 2010.0...
  • 垣根涼介
    垣根涼介 長編小説 午前三時のルースター 2000/04 ワイルド・ソウル 2003/08 クレイジーヘヴン 2004/12 ゆりかごで眠れ 2006/04 真夏の島に咲く花は 2006/10 月は怒らない 2011/06 人生教習所 2011/09 狛犬ジョンの軌跡 2011.09 ヒート・アイランド・シリーズ ヒート・アイランド 2001/07 ギャングスター・レッスン(連作短編集) 2004 サウダ-ジ 2004/08 ボーダー リストラ請負人・村上真介シリーズ(連作短編集) 君たちに明日はない 2005/03 借金取りの王子 2007/09 張り込み姫 君たちに明日はない 3 2010/01 張り込み姫 君たちに明日はない 3 2010/01(再読) 勝ち逃げの女王 君たちに明日はない 4 2012/05(後に『永遠のディーバ 君たちに明日はない 4』へ改題) 迷子の王様...
  • パリ警視庁迷宮捜査班
    パリ警視庁迷宮捜査班 題名:パリ警視庁迷宮捜査班 原題:Poulets grillés (2015) 著者:ソフィー・エナフ Sophie Hénaff 訳者:山本知子・川口明百美訳 発行:ハヤカワ・ミステリ 2019.05.15 初版 価格:¥1,800  まさに手作りの警察チームがパリに誕生する。セーヌ川中州シテ島の司法警察局ではなく、古びたアパルトマンの最上階に。ヒロインは、発砲事件で進退を危ぶまれた挙句、半年間の停職処分と離婚の後、警察署の掃き溜めの任命されたリーダーのアンヌ・カペスタン。パリ警察の問題児ばかりをここに集めて世界から隠したい。それがパリ警察の狙い。カペスタンは明確にそう言われる。取り組むのは迷宮入り事件のみだ、とも。未解決事件の段ボール箱が積まれた古く黴臭い部屋。  対象警官は40名だが、ほとんどの者は停職中だから、勝手に...
  • 地下組織ナーダ
    地下組織ナーダ 題名:地下組織ナーダ 原題:Nada (1972) 作者:ジャン=パトリック・マンシェット Jean-Patrick Manchette 訳者:岡村孝一 発行:ハヤカワ・ミステリ 1975.04.30 初版 価格:\470  四半世紀前の本をインターネットで現在手に入れることのできる文化というのは、大変に有り難いものだ。本を探してまで読まないという人と、何としてでも読めるだけ読みたいというぼくのような人種と、同じ本との出逢いでも様々だとは思う。どうにもならないのは、自分の中にある熱である。読みたい本は、かつて自分が志向していたどうにも登りたい山と同レベルで、欲望の焦点が絞り込まれてしまう。年齢とともに、山やスポーツの技術と言った肉体的なものから、徐々に気持ちという部分に欲望もスライドしているのがわかる。だからこうした入手し難い本を手に入れたときの喜び...
  • 砂に埋もれる犬
    砂に埋もれる犬 題名:砂に埋もれる犬 著者:桐野夏生 発行:朝日新聞出版 2021/10/30 初版 価格:¥2,000  桐野夏生の作品を久々に手に取った。なぜかこの作品は読みたいと思った。桐野夏生を久々に読みたいと思った。その後、どのように変化したのか、今はどんな作品を書いているのか。  腹をすかしているらしい男の子に気づくコンビニ店主の描写から物語が始まる。汚れた服。匂い。痩せた男の子。  そう。これは心の痛みを伴う物語である。一言でいうとネグレクトをテーマにしたストーリー。主人公は男の子だ。彼を取りまく環境は最悪なもので、再婚、再々婚、何人もの男を当てにしては転がり込んでゆくという生活が当たり前になっている若い女が母親である。  主人公の男の子優真には父を異にする幼い弟がいる。彼ら兄弟は、母とその男に放置されて飢えている。必死...
  • ドン・ウィンズロウ
    ドン・ウィンズロウ Don Winslow ダニー・ライアン三部作 業火の市 2021 田口俊樹訳 陽炎の市 2022 田口俊樹訳 中編集 壊れた世界の者たちよ 2020 田口俊樹訳 アート・ケラー・シリーズ 犬の力 2005 東江一紀訳 ザ・カルテル 2015 峯村利哉訳 ザ・ボーダー 2019 田口俊樹訳 ニール・ケアリー・シリーズ ストリート・キッズ 1991 東江一紀訳 仏陀の鏡への道 1992 東江一紀訳 高く孤独な道を行け 1993 東江一紀訳 ウォータースライドをのぼれ 1994 東江一紀訳 砂漠で溺れるわけにはいかない 1996 東江一紀訳 ブーン・ダニエルズ・シリーズ 夜明けのパトロール 2008 中山宥訳 紳士の黙約 2009 中山宥訳 ベン&チョン&O・シリーズ 野蛮なやつら 2010 東江一紀訳 キング・オブ・クール 2012 東江一紀...
  • サウダージ
    サウダージ サウダージ 題名:サウダージ 作者:垣根涼介 発行:文藝春秋 2004.08.10 初版 価格:\1,619  『ヒートアイランド』のシリーズ二作『ギャングスター・レッスン』は連作短編集の形で、シリーズ主人公アキのいわば修行篇だった。短編という表現形式上、ぶつ切れの印象は否めないし、その分薄味で物足りなさが残った。次の作品への橋渡し的役目を負っていたと言ってもいい。あるいは作者として薄味であることを覚悟した上での連作短編集であったのかもしれない。  『サウダージ』はそれらの負い目を引き受けて描かれたそれなりに作者の真髄を見せるべき勝負どころの作品でなくてはならない。そうしたハンディとプレッシャーの中でこの作家がどう勝負してくれるのか。『ギャングスター・レッスン』出版の時点でこの作品の上梓は既にアナウンスされていたから、シリーズ読者としては最初から...
  • ルー・バーニー Loo Berney
    ルー・バーニー Loo Berney 長編小説 ガットショット・ストレート 2014 細見瑤子訳 11月に去りし者 2018 加賀山卓郎訳 7月のダークライド 2023 加賀山卓郎訳
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