wiki クライムウェイヴ(Sysop読書録 活字をめぐる冒険) 内検索 / 「キス」で検索した結果

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  • キス
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  • スティール・キス
    スティール・キス 題名:スティール・キス 上/下 原題:The Steel Kiss (2016) 著者:ジェフリー・ディーヴァー Jeffery Deaver 訳者:池田真紀子 発行:文春文庫 2017.10 初版 2020.11.10 文庫初刷 価格:各¥920  リンカーン・ライム・シリーズの第12作は新機軸として、現代的過ぎる凶悪なディジタル犯罪を扱ったものである。現場に残された証拠を分析することで、犯罪者を追いつめてゆくリンカーン・ライムのアナログ的な科学捜査を特徴とする本シリーズも、ついに現代という奇妙な時代にタイム・スリップしてきたか、という印象の一作である。  もっとも、序章における驚愕のエスカレーターの事故がディジタルの存在をすぐに感じさせるわけではない。ショッピングセンターで起こったエスカレーターの誤作動と、そこに立ち会い悲惨...
  • ホレス・マッコイ Horace McCoy
    ...俊樹訳 明日に別れのキスを 1948 小林宏明訳
  • 小池真理子
    ...げる犯罪 1989 キスより優しい殺人 1989 双面の天使 1989 窓辺の蛾 1989 やさしい夜の殺意 1990 恐怖配達人 1990 会いたかった人 1991 恐怖に関する4つの短編 1993 危険な食卓 1994 贅肉 1994 記憶の隠れ家 1995 妻の女友達 1995 怪しい隣人 1995 水無月の墓 1996 うわさ 1996 倒錯の庭 1996 律子慕情 1998 蜜月 1998 薔薇船 1999 薔薇の木の下 2000 天の刻(とき) 2001 午後のロマネスク 2001 夜の寝覚め 2002 一角獣 2003 雪ひらく 2004 夜は満ちる 2004 夏の吐息 2005 玉虫と十一の掌篇小説 2006 水底の光 2007
  • ジェフリー・ディーヴァー
    ...紀子訳 スティール・キス 2016 池田真紀子訳 ブラック・スクリーム 2017 池田真紀子訳 カッティング・エッジ 2018 池田真紀子訳 真夜中の密室 2022 池田真紀子訳 キャサリン・ダンス・シリーズ スリーピング・ドール 2007 池田真紀子訳 ロードサイド・クロス 2009 池田真紀子訳 シャドウ・ストーカー 2012 池田真紀子訳 扇動者 2015 池田真紀子訳 コルター・ショウ・シリーズ ネヴァー・ゲーム 2019 池田真紀子訳 魔の山 2020 池田真紀子訳 ファイナル・ツイスト 2021 池田真紀子訳 ハンティング・タイム 2022 池田真紀子訳 ジョン・ペラム・シリーズ シャロウ・グレイブズ(「死を誘うロケ地」改題) 1992 飛田野裕子訳 ブラディ・リバー・ブルース 1993 藤田佳澄訳 ヘルズ・キッチン 2001 渋谷正子訳 ルーン・シリーズ...
  • ブライアン・フリーマントル Brian Freemantle
    ...央耿訳 クレムリン・キス 1984 池央耿訳 終わりなき復讐 1988 染田屋茂訳 裏切り 1989 飯島宏訳 嘘に抱かれた女 1992 染田屋茂訳 暗殺者オファレルの原則 1990 飯島宏訳 シャングリラ病原体 2002 松本剛史訳 知りすぎた女 2003 松本剛史訳 トリプル・クロス 2007 松本剛史訳 殺人にうってつけの日 2007 二宮馨訳 ネームドロッパー 2008 戸田裕之訳 ジャック・ウィンチェスター名義 スパイよ、さらば 1980 池央耿訳 ディーケンの戦い 1982 池央耿訳 エディ・フランクスの選択 1987 池央耿訳 ジョナサン・エバンズ名義 最後に笑った男 1980 東江一紀訳 黄金をつくる男 1981 中野圭二訳 名門ホテル乗っ取り工作 1982 宮脇孝雄訳 おとり捜査 1985 真野明裕訳 ジョン・マックスウェル名義 バウンティ号の叛乱...
  • 愛と悔恨のカーニバル
    ...プラトニックにも似たキスを続け破滅してゆく女たち。限りなく異常で悪夢的な静謐がそこかしこの空虚を埋める。 およそあり得ない動と静とでもたらされた世界が凄まじい毒を撒き散らかしているために、作品は多くの読者を寄せつけない粗雑さとも見えるし、闇に生きる魍魎たちの世界を描いて孤高、深遠を覗きこむディープ・ノワールであるようにも見える。おそらくその両方であろう。多面性の魅力。欠陥。 1948年生まれ。若い作者とはとても言えない。この荒れ狂った世界を書く作者とはどういう人なのか、興味がある。非常に孤立した世界であると思う。とにかく作品作りにこだわるあげく、破綻ぎりぎりのところで書いてゆくタイプの作家であるのかもしれない。小説的冒険心と粗雑さの狭い国境を辿るような刹那の作風。それが非常に鋭利な刃物のきらめきを見せて、魅力的であった。 遡ってシリーズを読んでみたくなった。
  • エド・マクベイン
    ...1991 井上一夫 キス 1992 井上一夫 悪戯(いたずら) 1993 井上一夫 And All Through The House 1994 未訳 ロマンス 1995 井上一夫 ノクターン 1997 高橋泰邦 ビッグ・バッド・シティ 1999 山本 博 ラスト・ダンス 2000 山本 博 マネー、マネー、マネー 2001 山本 博 でぶのオリーの原稿 2002 山本 博 歌姫 2004 山本 博 耳を傾けよ! 2004 山本 博 最後の旋律 2005 山本 博 ホープ弁護士シリーズ 金髪女 1978 黄金を紡ぐ女 1981 美女と野獣 1982 ジャックと豆の木 1984 白雪と赤いバラ 1985 シンデレラ 1986 長靴をはいた猫 1987 ジャックが建てた家 1988 三匹のねずみ 1990 メアリー、メアリー 1992 小さな娘がいた 1994 寄り目のテディ...
  • 鳳凰の船
    ...『川の名残』は、ブラキストン、エドウィン・ダン、ジョン・ミルンと言った函館と北海道開拓にゆかりのある外国人たちと、彼らに関わったり妻となったりした日本人女性たちの姿が描かれる。思い出と共に消えていった川の姿を通じて、札幌に創成川を通した『楡の墓』の大友亀次郎の姿も浮かび上がる。どの作品も同じ地平で繋がっていることがわかるのだ。  『野火』は、『楡の墓』中の短編『貸女房始末』で札幌の焼き払いを行った北海道庁初代長官・岩村通俊を描きつつ、七飯村で西洋農法モデルを試行したプロシアのR・ガルトネルによる果樹園という新しい未来が登場する。ぼくの住む町当別町でも、様々なリンゴ農法が試行錯誤されてきた歴史が記されているが、北海道の原野を新しく拓く気概を描いた印象的な一作である。  『函館札』は、またもトマス・ブラキストン。本州と蝦夷の地の間・津軽海峡に動植物の生息域を分ける境界線と...
  • 楡の墓
    ...。途中で行き会うブリキストンは、津軽海峡を挟み本州と蝦夷の生息動物が異なると唱え、ブリキストン・ラインという名で有名になった学者である。同作者の他の短編作品でも描かれているということなので、楽しみにしておく。  『貸女房始末』は、唯一書き下ろしではなく過去雑誌掲載作品。『小説推理』に掲載されたとあるが、いずれも推理小説というより、人情と歴史を絡めた骨太の歴史小説作家という風に読める。札幌居住地の焼き払いと再建を描いたものとして印象深い。  『湯壺にて』は、まだ山の中の秘湯であった定山渓温泉の湯壺を舞台にした、開拓吏・松本十郎にまつわる物語。  『七月のトリリウム』は、船の中、札幌農学校で教えのために渡ろうとしているクラーク博士の逸話を、美しい文学性とともに描く。  いずれも、自分の住んでいる、あるいは住んでいた場所、ゆかりの地。それらは本書の舞台という...
  • 幕末・維新 シリーズ日本近現代史 1
    ...。途中で行き会うブリキストンは、津軽海峡を挟み本州と蝦夷の生息動物が異なると唱え、ブリキストン・ラインという名で有名になった学者である。同作者の他の短編作品でも描かれているということなので、楽しみにしておく。  『貸女房始末』は、唯一書き下ろしではなく過去雑誌掲載作品。『小説推理』に掲載されたとあるが、いずれも推理小説というより、人情と歴史を絡めた骨太の歴史小説作家という風に読める。札幌居住地の焼き払いと再建を描いたものとして印象深い。  『湯壺にて』は、まだ山の中の秘湯であった定山渓温泉の湯壺を舞台にした、開拓吏・松本十郎にまつわる物語。  『七月のトリリウム』は、船の中、札幌農学校で教えのために渡ろうとしているクラーク博士の逸話を、美しい文学性とともに描く。  いずれも、自分の住んでいる、あるいは住んでいた場所、ゆかりの地。それらは本書の舞台という...
  • 裂けて海峡
    ...野でもこれといったエキスパートではなさそうだ。それでいながら『狼』の「わたし」と違って巻き込まれ型ではなく、謎を執拗に追求して意地になっている部分まである。『狼』の「わたし」は一種のエキスパートであり、巻き込まれることを徹底して嫌っていた。タフで、したたかなものがあって、体力はまだ充実していた。『海峡』の『わたし』は、尾行を巻くこともできなければ、仲間を守ることもできない(これは『狼』もいっしょか)。  文体も『狼』に比べて緊迫感が薄れている。むしろ贅肉を絞ったらいいのにと思われる部分が多々あるくらいだ。この辺は読者の趣味によりけりであると思うのだが、会話体は、子供の喧嘩のような箇所が多過ぎて、ぼくはあまり趣味ではないなと思ってしまった。会話体は、やはり矢作俊彦やレイモンド・チャンドラーのそれのほうが好きなのである、ぼくは。もっともリアルという意味では、どっちもどっちで、志...
  • 夜を賭けて
    ...や『ミッドナイト・エキスプレス』を思い起こさせるような大村収容所。この辺のノンフィクショナルな話をあなたはご存じだろうか?   ぼくは全然知らなかった。  だから大変な話であると思って読んでいるのに、作家のほうはさりげなく軽妙なまでに物語を滑り出させてしまう。人を食ったようなこの小説作法こそがいつもの梁石日なのだと言えばそれまでだが、それにしたって書く人が書けばただの告発もので終わってしまう。梁石日にしてみればこれは告発ものなのかもしれないけれど、読者にしてみれば何と言う視点から描いてくれたのだ、というのが正直なところだろう。  それほど庶民たちの飢えた視点からこの作家は書いている。貧困のどん底でのデカダンス、それでいてたくましい眼差し、こうしたローアングルな歴史をぼくらは冒険することができる。こんな作家をぼくは知らない。  なぜこの作品が直木賞候補に...
  • 横断
    ...画『カナディアン・エキスプレス』まで再鑑賞して自分を盛り上げようとしたのだが、こんなことも助けにはならなかった。  ここのところのフランシスの作品、最近登場人物が多すぎる気がする。スケール的にアップしようという気持ち、実験的な試みもわからなくはないのだが、彼はフランシスとして期待されているスタイルだけで書いてもらえればいいような気がするのは、ぼくだけであろうか?  マンネリがいやだと言いながら、いざマンネリから外に出られると当惑するという、誠にもってわがままな読者であります (1994.03.25)
  • 紳士同盟
    ...人だったそれぞれのエキスパートを集め、大胆な銀行襲撃計画を組み立ててゆく。人集め、計画作り、武器集め、そして襲撃と、ここまではよくある犯罪小説。こういった小説たちがどう枝分かれし、個性をものにしてゆくかは、大抵それ以降だ。  本書では、計画の遂行に向けて、あまりにも個性豊かなキャラクターたちがそれぞれ、一枚岩になり切れず、どこか個人の思惑、心理戦を戦いつつ、日々をある緊張のもとに送るところが独特だ。お互いにお互いをわかりあっていない中で、純粋に作戦遂行のための能力重視での登用。当然、信頼関係が薄く、裏切り者の登場も予想される展開である。  作戦立案者の主人公は、キューブリック映画『現金(なま)に手を出すな』の原作となるライオネル・ホワイトの『闘争と死と』を参考に計画を組み立てる。その上本書はアメリカ製ノワールではなく、英国小説だ。  映画版『紳士同盟』はコミカ...
  • 燃えよ!刑務所
    ...はすべてチョイ役やエキストラに過ぎず、主人公は経営主とその周辺。刑務所モノと言うよりはブラック経営モノと言ってもらった方が有り難いし、ダマサレ感もこれほど強くはなかったと思う。  商品価値が高まり、利用される頻度、扱いカテゴリーも躊躇なく広がっていった観のある戸梶圭太というブランド。自由奔放で、文学や品の良さなどという言葉とは縁のないお気楽作風が、気安く乗りの良い、コミカルでグロい人気をかもし出しているわけだが、その多作ぶり(まあ時間などかからないだろうよという作品が多いのでこれも首肯ける)がもたらす弊害も大きいかもしれない。残念ながらそんなことを痛烈に感じさせる一冊となってしまった。  短編小説にはこの人の奇抜さが生きているように思われるだけに、だらだらと書きなぐられるイメージの、この種の長編にはくれぐれもご注意あれ、と言っておきたい。 (2003.08.1...
  • 凍原
    ...であり、冒険小説のエキスもたっぷり滴り落ちているこの一冊。短い文章ながら、その稠密さに呼吸さえ苦しさを覚えるほどの圧倒的ストーリーテリングとその仕掛けの巧みさに、この作家のスケール感を修正 せねばならなかったほどの、これまた桜木紫乃ならではの渾身の力作である。 (2016.03.01)
  • 悪党パーカー/人狩り
    ...は。しかも一匹狼のテキストのような境遇で、自分の運命を自分で切り拓いてゆく種類の、タフで強靭なキャラクターであるからには。  主役に会わせて文体も冷徹極まりない。アップテンポのストーリー展開。有無を言わせぬバイオレンス。三人称複数の章立ては、とにかくサービス精神にのっとっているかのようで、読者を引きつけてやまない。中毒になってしまいそうなのに、品薄なところは、シリーズの薄幸さを思い知らせる。巻末で作品リストを紹介するくらいならシリーズ全作、再版してもらいたいところである。 (1999.08.30)
  • D.O.D.ダイス・オア・ダイ
    ...というではないか。パキスタンで軍隊の検問を何個も突破したぼくの友人二人のようではないか(まったく!)  そんなわけで今回は場所を移してフィリピン。そして拘留はないけれど、前作の主人公がすべて巻き上げられて第二の冒険に踏み込んだという荒技。後半には最早船戸与一ばりの冒険小説としてハチャメチャな活劇アクションあり、ロマンありとやりたい放題の作品なのだが、何より、ぼくはこの作者のこのバイタリティと、行間から紛々と匂ってくるエネルギッシュな活力を何よりも愛してしまうのである。多くのぼくの友人たちのおかげと言ってもいいかもしれない。 (2002.11.12)
  • チョーク!
    ...18世紀を演技するエキストラであり、同時にセックス中毒の強制治療グループに通っている。友人のデニーはセックス中毒を抜け出すために、町中から石をかき集め始める。ヴィクターは金を掻き集めるために、あらゆるレストランで窒息の演技を続ける。喉を抑えて(国際的なサインランゲージ)チョーク!  あらゆる意味で風変わりで狂気じみているストーリーを、なぜか楽しく読めるのがパラニュークの凄さである。本に接している間中、てんでばらばらに見えるパラグラフ、いくつもの偶像、カラフルな風景、限りないフレーズのリフレインなどが、幻覚に近い効果を上げるが、読み終えたときにはすべてがうまく嵌っている。  おろそかにされることのないイメージの破片たち。だからこそ読了まではわからない物語。すべての行程を歩き終えたときに、すっとつかえが取れて、呼吸が戻る。その間ずっとチョーク! と叫びっぱなしの読者を、き...
  • 血と夢
    ...。まあ、同じようにパキスタンからソ連侵攻下のアフガンへと潜入する作戦を扱った小説としては、本作の方が遥かに出来がいいと思う。たまには日本小説だって誇れるときがあるのだ。  アフガン事情というか、そのあたりの描写は『怒りのアフガン』でもある程度なされていたような気がするが、この小説ではそのあたりがむしろ大テーマになっていて、作品全体に一本、きりっとした筋が通っている。ううむ、しかし同時にマイナスもあるのだ。なんというか、それはサービス精神が旺盛過ぎることかも知れない。船戸にしては小数派である三人称による他面性文体なので、性格描写をドラマティクに書き過ぎるきらいがある船戸の文体では、小テーマが多すぎるかもしれないのだ。  アフガンのムジャヒディン(戦士)、ソ連の愛国的武器開発者、CIA、DIA、G-2、KGB、そして主人公の非合法員(イリーガル)。彼らのすべての心情と状況...
  • ららら科学の子
    ...あり、かつてはアナーキストであった。極度な個人主義であり、趣味人であり、田中康夫の『何となくクリスタル』よりずっと先行したブランド主義者であった。そうした無責任で野放図な矢作が憎たらしくてとても好きだった。少なくともあの過度なまでのレトリックと、キザな文章にいかれていた。  今や矢作はそんなすべてから変わって大人になった。本書での主人公は団塊の世代であり、かつての全共闘世代。機動隊への暴力行為から中国へ逃げ出し、30年後の日本へ戻ってきた今浦島である。その間の情報が完全な空白である彼の目を通して60年代日本と今とのギャップを描いてゆくおかしみが全編を彩る。かつてのオヤジの文化が、今の日本をどう捉えるかというエッセイ風の小説は、やはり雑文の粋を出ず、娯楽小説書きであることをやめてしまった矢作の、その後の別人作家である。残されたものはあの頃そのままの文章の精緻と、脆いまでの感性の...
  • 六人目の少女
    ...表は、失踪人搜索のエキスパートであるミーラ・ヴァスケスという過去のある美人刑事である。警察組織外から犯罪学者であるゴラン・ガヴィラという個性的な専門家が呼ばれる。ステルン、クラウス・ボリス、サラ・ローザと、一癖も二癖もある捜査官たちがチームを成す。  事件は一人一人被害者が明らかになってゆくが、六本目の腕の持ち主が判明しない。まだ生きているかもしれない被害者を探す時間的制約のある捜索の中で、いくつもの真相にたどり着くのだが、そこには別の犯罪者ばかりが残され、真の犯人は見えてこない。一つ一つの被害者を探すことで、次々と、意外な犯罪者の存在が浮き彫りになるという複雑な構造の中で、真犯人は警察を引きずり回してゆく。  どこを切っても面白さの切り口しか見えてこない、弛緩のないジェットコースター小説であり、それとともに謎解きの面白さ、人間同士のぶつかり合い、騙し合いなどが豊穣な...
  • 触発
    ...、爆弾魔対爆発物のエキスパートの対決。『テロリストのパラソル』よりワンランク若い世代による爆発事件は、オウムの地下鉄サリン事件を思わせながら、さらにむごたらしいものであり、ノンストップ・サスペンスのプロットが全編読者を引っ張り続ける。ラストはまるで『ジャガーノート』。こういう面白い作品を今野敏さんは書けるのだ。ぼくはそのことを知っているから求めている。無理矢理娯楽と時代とを結び付けなくてもぼくは面白ければ一向にかまわない。逆に言えば面白いならどんな壮大な難しいテーマで小説を組み立てても、ぜひ読みたいということなのである。  そういう期待度は非常に高い作家だとぼくは常々思っている。アクションは読んで面白い、だけどだから何なの? という問いが聞こえてきそうな気がする。そういうもののわかったような批評に動じず、あくまで面白さを今後とも追求していって欲しい作家、それが今野敏である。ち...
  • 配当
    ...でありながら、銃のエキスパートであるあたり、そして教室に銃を持ち込んで生徒たちにさわらせてあげるといういささか興奮的な授業でこの小説を導入する辺り、フランシスの中の子供っぽさ、男っぽさが透かし見えるようで、なかなか楽しいサービスぶりでありました。  後半最後の物語の引きずり方のしつこさとあっけなさにはちょっと食傷したきらいがある。エンターテインメントとしてはまずまず。とりわけいつもの主人公に対抗するが如き、二部の積極的・攻撃的な主人公像は、アンチ・フランシス読者に伺いを立ててみたいところでした。 (1994.01.29)
  • 死んだレモン
    ...ろと重ね合わせてホチキスで止めたような結末。読み始めたら最終シーンまで収まりのつかないこの一冊に、是非とも翻弄されて頂きたい。  しかし、これがこの作者、小説デビューだって? うーむ、俄かに信じ難いのだ。次が楽しみである。 (2020.08.23)
  • 彼らは廃馬を撃つ
    ...でもないが、映画のエキストラをお払い箱になり、千ドルの賞金がかかったマラソン・ダンス大会に出場する。一時間五十分踊って十分間の休憩を取るという無期限のダンス競技に勝てば千ドルの賞金を手にすることができる、というほとんど狂気と言っていいような酔狂な金持ち主催の過酷なイベントなのである。  日々の休みなきダンス・レースの中で一日一日と多くの男女が脱落してゆく姿をマスコミが食いつき、見物客も絶えない。金持ちのスポンサーがそれぞれのカップルにつくこともあるらしく、一体この狂騒のダンス大会は何なのだろうと首を傾げているうちに、作品のなかの日々は少しずつだが過ぎてゆく。  ラストの衝撃がちと応えるのだが、そこで改めて本書の風変わりなタイトルのイメージが銃弾のように読者の感性を抉る。本作は1969年代に『ひとりぼっちの青春』という邦題で映画化されている。マイケル・サラザンとジェーン...
  • 笑う警官
    ...ズのひとつの重要なエキスであると思うので。  しかし、この時代は真剣に病んでいた。冬、夜の長いストックホルムにまでその潮流がしっかりと押し寄せていた。そういう時代背景もよくわかる本である。時代の緊迫をも背負った一冊なのだ。 (1994.05.22)
  • レゾリューションの対決
    ...  麻袋のようなテキスチャーに、破れ、焦げかけ、脱色した古いフォトグラフ。二頭の馬に乗ったガンマンが、低く垂れ込めた雲の下、地平線目指す写真。彼らの行手に何があるのかを期待とともに匂わせる印象的なブックカバーは、『アパルーサの決闘』を引き継ぐデザインで、この本が前作の続編であることを如実に示している。  ウエスタンは映画で見るもので本で読むものではないと、半世紀近く思っていた。40年ほど前に盛んに見ていた銀幕の幌馬車やインディアンの襲撃シーンを、まさか活字で読むとは思いもしなかった。逢坂剛が今になってウエスタンを書いているというのも不思議だが、ハードボイルドの売れっ子作家であるパーカーが、何を今さらウエスタンなのかということも、やはり興味廃れぬ話題である。  昔、アメリカの作家たちの多くは、生活のためにスリラーを書いたと言う。エド・マクベイン、ジム・トンプスン、ミッ...
  • ロスト・アイデンティティ
    ...クラム・ラーマンはパキスタンはカラチ生まれ。一歳で英国移住、ロンドン育ちの現在はIT企業会社役員、という珍しい肩書の新人作家だ。本書は、作者お馴染みの、ロンドン西部の移民率が高い自治区にあるハウンズロウに育ったムスリムの青年たちの日常からスタートする。  主人公のジェイ・カシームは麻薬の売人だが、友人の一人は警察官、もう一人はテロリストキャンプにまで参加する民族主義者。再婚相手ができたばかりの母は冒頭からカタールに引っ越ししてしまい、父なし子のジェイは、初めての独り立ちを迎える。  本書はそうした環境下で、青春小説、成長小説としての基盤を持ちながら、大枠ではイスラム・テロを主題として扱ってゆく。ジェイは独りになった途端、麻薬の元締めに追われ危機を迎え、MI5のテロ対策室メンバーから唐突なスカウトを受ける。  そう。これは青春小説であると同時に、スパイ小説でもあ...
  • 風よ遥かに叫べ
    ...ンパレードである。パキスタン人社会を裏で纏めているモズリム、ヤクザに食い物にされエイズで死んでゆくタイ娘のアチャリーや、彼女を助けようとして強奪事件に巻き込まれるパティ、裏社会における抗争の黒幕である康達寿などの存在は、現在の和製ノワール作品の台頭を予告するかのように当時の社会状況的リアリティと、都市に潜む闇深い部分への奥行きを窺わせるものがある。  リアリティという意味では、この作家は地理的背景をも丹念に物語中に組み込んでゆく。舞台設定とは、そのまま時代描写に繋がるハードボイルドの命とも言える。刻々と移り変わる場所の設定をもリアリズムとして楽しめることは、こうした物語の重要な要素であろう。  『時よ夜の海に瞑れ』では兵庫周辺から淡路島への旅程を、『さらば狩人』では秋田のマタギの里にクライマックスを用意した香納諒一。本書ではアクションのほとんどを何とも地味な埼玉県を舞...
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