wiki クライムウェイヴ(Sysop読書録 活字をめぐる冒険) 内検索 / 「グリズリー」で検索した結果

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  • グリズリー
    グリズリー グリズリー 題名:グリズリー 作者:笹本稜平 発行:徳間書店 2004.08.31 初版 2004.11.10 3刷 価格:\1,900  遅れてきた冒険小説作家なのだろう。時代が時代ならこうした作品は目白押しであり、読者たちはどこの書店に行っても、平積みにされた冒険小説の山に心躍らせたことだろう。  今ではむしろ映画と連動でもしない限り、書店の正面にこの手の作品が並ぶことは難しいだろう。映画にしても、かつてのようなロケ中心のものではなく、悪しきアメリカ文化の野放図な模倣のままに、CG中心の非現実的映像で擬せられた、迫力とスケールを売り物にした大仰な大作ばかりだ。  ヒギンズやマクリーンやフォーサイスの作品が、ひと頃のスクリーンを席巻した後に、本格冒険小説のブームは日本にもやってきたが、その頃はまた、いずれも映画とは連動せず、書店に、冒険...
  • 笹本稜平
    ...ーを撃て 2003 グリズリー 2004 極点飛行 2005 マングースの尻尾 2006 不正侵入 2006 許さざる者 2007 サハラ 2008 還るべき場所 2008 素行調査官 2008.10 越境捜査シリーズ 越境捜査 2007 挑発 越境捜査2 2010 破断 越境捜査3 2011 逆流 越境捜査 2014 偽装 越境捜査 2015 孤軍 越境捜査 2017 転生 越境捜査 2019 相剋 越境捜査 2020 流転 越境捜査 2022 連作短編集 駐在刑事 2006 恋する組長 2007
  • 不正侵入
    ...まず取り組んだのが「グリズリー」だった。道警に材をとり、これを海外型の大型スリラーに発展させ、娯楽小説の髄を追及したものであると思うが、続く佐々木譲の『制服捜査』に似た設定の『駐在刑事』では、短編小説の書き手としては少々物足りなさを感じるほど、対抗したいわゆる「推理小説」だったのだ。  そこで第三の警察小説としての本書に関しては、それなりに興味を持って読んだのだ。単純に面白いプロット。IT犯罪に、組織暴力団の最近の事情、例によって警察内部での覇権争い、と最近の娯楽小説ネタがてんこ盛りであり、長編作家としては並ではない力量をもともと持ち合わせている作家だけに、じっくりと味わえる一冊になっている。  中でもIT捜査課という新しい部署のメンバー、その取り合わせが楽しい。元マル暴の上司と部下が異動になった先には、ハッキングならお手のものという若い女性が着任する。警官離れした部...
  • セーフハウス
    セーフハウス セーフハウス (ハヤカワ・ミステリ文庫) 題名:セーフハウス 原題:Safe House (1998) 著者:アンドリュー・ヴァクス Andrew Vachss 訳者:菊池よしみ 発行:ハヤカワ文庫HM 2000.1.31 初版 価格:\900  なんと本作からバーク・シリーズも文庫新刊で出版。しかも翻訳も佐々田雅子から菊池よしみにバトンタッチ。新刊の文庫化はジョン・サンドフォードのシリーズも同時発生ということで、ハヤカワは、ロング・シリーズの新刊を買いやすくという、消費者には大変ありがたい戦略に出てくれたのか? 思えば、新潮・扶桑・講談社などは売れ筋の作家であるスティーヴン・ハンター、トマス・ハリス、マイクル・コナリー、パトシシア・コーンウェルなど全部、全部、文庫新刊で発売しているのだ。ディック・フランシスやロバート・B・パーカーもぜひ文庫新...
  • 赤い罠
    赤い罠 赤い罠 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 赤い罠 (Hayakawa novels) 題名:赤い罠 原題:A RED DEATH (1991) 作者:WALTER MOSLEY 訳者:坂本憲一 発行:早川書房 1994.9.30 初版 価格:\1,500(本体\1,456)  チャンドラー派の正当ハードボイルドの系譜を垂直に時代に沿って 1990 年代へ辿ると、おそらくこの人に到達するのではないか、と思わせるのが、このモズリーという黒人作家であり、このイージー・ローリングスという素人探偵のシリーズである。  前作が『ブルードレスの女』でこれだPWA/CWA賞の最優秀処女作賞をダブル受賞、おまけにクリントン大統領が絶賛、映画化も進行中という作品で、ポケミス扱いだったのが、最近妙にハードカバー化の多い早川書房で、これまた右へならえ。残念だが、これでモズ...
  • チャールズ・ウィルフォード
    チャールズ・ウィルフォード Charles Ray Willeford ノワール 拾った女 1954 浜野アキオ訳  コックファイター 1962,1972 齋藤浩太訳 危険なやつら 1993 浜野アキオ訳 炎に消えた名画 1995 浜野アキオ訳 マイアミ・ポリス/部長刑事ホウク・モウズリー・シリーズ マイアミ・ブルース 1984 沢万里子訳 マイアミ・ポリス 1985 沢万里子訳 あぶない部長刑事 1987 沢万里子訳 部長刑事奮闘す 1988 沢万里子訳
  • サクリファイス
    サクリファイス サクリファイス (ハヤカワ・ミステリ文庫) サクリファイス (Hayakawa Novels) 題名:サクリファイス 原題:SACRIFICE (1991) 作者:ANDREW VACHSS 訳者:佐々田雅子 発行:早川書房 1993.5.30 初版 価格:\1,900 (本体各\1,845)  先に原書を読まれた方とは違い、佐々田雅子さんのあとがきで、ヴァクスが一応とりあえずはバーク・シリーズに終止符を打ったらしいことを知ってから読み出したぼくは、これが最後のバークの闘いなのだということを肝に命じて読み進めた。例の如く一つの文章を二三度ずつ、貴重なほどのスローペースで、ヴァクスの、いや佐々田さんの文章を、味わい尽くした。この作品を味わい尽くした。  初めての女性名以外のタイトルであるのは、内容を見るとなるほどと思う。これまでも繰り...
  • クリスタル
    クリスタル クリスタル (ハヤカワ・ミステリ文庫) 題名:クリスタル 原題:Choice Of Evil(1999) 著者:アンドリュー・ヴァクス Andrew Vachss 訳者:菊池よしみ 発行:ハヤカワ文庫HM 2001.6.15 初版 価格:\980  アウトロー探偵バークが珍しいことに、のっけから当局に追いつめられ、お馴染みであった隠れ家をついに捨てる。生活の糧を得るために不正に使用していたいくつかの名前をも同時に失う。年老いたナポリタンマスチフのパンジーを連れて、新しい生き場所を探すことを余儀なくされる。そして一方ではシリーズで重要と思われていた女性を、呆気なく銃撃で失う。流れ弾。あるいはそうではない何か。  そんな追いつめられた緊迫感のなかで、あの殺し屋ウェズリーが生きているかもしれない、という噂を手に周囲はバークに詰め寄るのだが、バー...
  • 遺留品
    遺留品 題名:遺留品 原題:ALL THAT REMAINS ,(1992) 作者:パトリシア・コーンウェル PATRICIA CORNWELL 訳者:相原真理子 発行:講談社文庫 1993.1.15 初版 価格:\680(本体\660)  いきなり趣きが変わった (ように思える) 第 3 作である。驚くのはこれまでの苛立たしい描写過多が影を潜め、ストーリーに関わる部分だけで連続的にエピソードが並んでいること。ゆえに、ぼくとしてもとても読みやすく、途中で投げ出せない種類の面白さを初めてこのシリーズに感じたのでした。  これまでの二作は、わりと各エピソードが、作者の日頃の主張の分身ででもあるかのようにかなりいい加減に、本筋とは無縁のところで羅列されていたように見えたのだけど、今回はそう言うもの抵抗値がぐっと低くなって、密度の濃い小説の量というものを達成...
  • グッド・パンジイ
    グッド・パンジイ [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 題名:グッド・パンジイ 原題:Dead And Gone (2000) 作者:アンドリュー・ヴァクス Andrew Vachss 訳者:菊地よしみ 発行:ハヤカワ文庫HM 2003.08.15 初版 価格:\1,000  ア...
  • ウォルター・モズリイ
    ウォルター・モズリイ Walter Mosley 黒人私立探偵イージー・ローリンズ・シリーズ ブルー・ドレスの女 1990 坂本憲一訳 赤い罠 1991 坂本憲一訳 ホワイト・バタフライ 1992 坂本憲一訳 ブラック・ベティ 1994 坂本憲一訳 イエロードッグ・ブルース 1996 坂本憲一訳 長編小説 流れは、いつか海へと 2018 田村義進訳
  • プリズンホテル春
    プリズンホテル春 [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 題名:プリズンホテル春 作者:浅田次郎 発行:徳間書店 1997.1.31 初版 価格:\1,700  これを読んだのはもう一年近く前。春まだ遠い北国生活を初めて間もなくの頃であったと思う。もともと浅田次郎はこれからも読もうとなっ...
  • プリズンホテル冬
    プリズンホテル冬 題名:プリズンホテル冬 作者:浅田次郎 発行:徳間書店 1995.9.30 初版 価格:\1,500  前作に比して物量的には小さくまとまったシリーズ第三作だが、見所は『きんぴか』で印象に強いナース・血まみれのマリアの復活と、そのど迫力。また新たなキャラクター武藤嶽男なる山男の存在と、ホテルの厨房中心に造られたアジサイ山岳会等々、楽しさの爆裂に相変わらずの一気読み。  谷川岳をモデルにした峻険な冬山を背景にした生と死、相変わらずの小説家の母と子の苦悩、愛憎の葛藤など、辛口の問題が、笑いに満ちたホテルというオブラートの中できらめいている。巧さに満ちた作家の、味わい深い文体による、一つの完成された世界とも言えるこれはそういう作品だ。  シリーズは小説家の主人公の救済をクライマックスに持って行きたいところだが、そう容易に辿り着ける...
  • プリズンホテル
    プリズンホテル 題名:プリズンホテル 作者:浅田次郎 発行:徳間書店 1993.2.28 初刷 1995.3.15 2刷 価格:\1,400  ユーモア極道小説。声を出して笑っちゃう部分が随所にありながら、あくま小説のウマミを持っているところ、この作家の代表作として、売れまくっているというのも納得。浅田次郎未経験の方にはとりあえずこの一冊がオススメだろう。  モデルになっているホテルは、谷川連峰山麓にある水上温泉あるいは湯桧曽温泉あたりであろうか。新幹線にも高速道路にも見捨てられた地味めの山懐の温泉ホテルに、様々ななしがらみを引きずった多種多様な人間たちが集まる。それだけでれだけ笑いと涙の両極を存分に行き来できる小説というのは、やはり美味しいのである。   屈折した小説家を主人公にしているものの、他の多くの浅田作品と同じように、群像小説と言っ...
  • 警告
    警告 題名:警告 原題:Black Notice (1999) 作者:Patricia D. Cornwell 訳者:相原真理子 発行:講談社文庫 1999.12.15 初版 価格:\933  いつの間にやらシリーズも10作目。バークのシリーズとシンクロしたかな(但し日本では)。そう言えば「ウェズリーは死んだのか?」問題もバークとシンクロしちゃった。すごい奇遇です。ネタバレに片足かかっているので詳しくは書きませんが。  ぼくはマリーノが好きでこの本を読んでいるようなものなのだけど、シリーズというのは大抵の場合、ある意味でキャラクター中毒みたいなもの。ここまで冊数を重ねてくると、ぼくのような読者に取ってはミステリとしての骨組みなんかどうでもよくなって、むしろキャラたちのその後の運命とか、交わされる会話の中に伺える微妙な人間的ニュアンスという方に興味の...
  • 接触
    接触 題名:接触 原題:Unnatural Exposure (1996) 作者:Patricia D. Cornwell 訳者:相原真理子 発行:講談社文庫 1997.12.15 初版 価格:\762  シリーズ当初は大胆に環境を変えていた本シリーズも、最近では少しずつ変化のペースがスロー・ダウンし始めている。今頃になってロンドンでのマークの死にようやく視線を向けるケイの姿を見るなんて、まさか予想もしなかった。まあ、とにかくこの手のサイド・ストーリーに付き合っているうちに、欠かせなくなったシリーズではある。  この作家の最大の欠点ではないかと思うのだが、この作品もまた、導入と展開に力を注いでいるものの、解決部分がまるで手抜きのようにあっけない。キャラクターたちの出世に伴い、事件は巻を追うごとに大掛かりになってきたのだが、収束の仕方にこの頃ぼくは不足...
  • マ行作家
    マ行作家 フィリップ・マーゴリン マイケル・マーシャル デイヴィッド・マーティン アレックス・マイクリーディーズ コーマック・マッカーシー エイドリアン・マッキンティ クレア・マッキントッシュ ロス・マクドナルド クイーム・マクドネル コーディ・マクファディン エド・マクベイン ジェイムズ・A・マクラフリン アリステア・マクリーン ホレス・マッコイ グスタボ・マラホビッチ マルコ・マルターニ エルザ・マルポ デイヴィッド・マレル シェイン・マローニー ヘニング・マンケル ジャン=パトリック・マンシェット ジグムント・ミウォシェフスキ ギョーム・ミッソ ベルナール・ミニエ レックス・ミラー リズ・ムーア レミギウシュ・ムルス アンドリュー・メイン ヴィクター・メソス ウォルター・モズリイ カルメン・モラ ピエテル・モリーン
  • 路上の事件
    路上の事件 題名:路上の事件 原題:Cases (1999) 作者:ジョー・ゴアズ Joa Gores 訳者:坂本憲一 発行:扶桑社ミステリー 2007.07.30 初版 価格:\1,000  ジョー・ゴアズの本が翻訳されて販売されるというだけで、ビッグ・ニュースである。ハードボイルドの直系と言われる人は多いが、この作家くらいになると、ハードボイルドの系譜を継ぐ人というイメージよりも、むしろ古典と言った方がお似合いである。  ぼくがジョー・ゴアズに夢中になったのは、三十歳前後、仕事でも道楽でも、まだまだ血気盛んで、なおかつそれに体力が着いていけたという時代だ。同じ年頃の主人公たちが、多くは探偵という職業によって、普通の人々の目の届かない世界で、まさに意地のために死闘を繰り広げてゆく物語は、正直国産ハードボイルドの比ではなく、リアリズムと鋭さに満ち...
  • 鷹の王
    鷹の王 題名:鷹の王 原題:Force Of Nature (2012) 著者:C・J・ボックス C.J.Box 訳者:野口百合子 発行:講談社文庫 2018.11.15 初版 価格:¥1,100  猟区管理官ジョー・ピケットシリーズにこれまで濃い陰影で奥行きと謎深さをもたらしてきたもう一人の魅力的なキャラクターネイト・ロマノウスキが、とうとうこの作品でベールを脱いだ。  ウォルター・モズリーのイージー・ローリンズシリーズにはマウス、アンドリュー・ヴァクスのバークシリーズには音無しマックス、ロバート・B・パーカーのスペンサーシリーズにはホーク。いつだって探偵のシリーズには、バイオレンスのサイドに生きる影のような存在が付きまわる。ヒーローのやれない力を悪の側から行使して、主人公の存在をより複雑にしてみせる。  本シリーズでは、まさにネイトロ...
  • プリズンホテル秋
    プリズンホテル秋 題名:プリズンホテル秋 作者:浅田次郎 発行:徳間書店 1994.8.31 初刷 1995.4.20 5刷 価格:\1,700  前作の雰囲気をそのままにさらに、極道ホテルに警察一行がご宿泊という、またもクレイジーな大設定に笑わせられる。二作目にしてこれは一作目を凌駕しているかもしれない。  前作で突っ込みの足りなかった部分、小説家の屈折具合いと、プリズンホテルのその後の人間模様が、本作ではさらに劇的に影響しあってゆく。  様々な世代の様々な純情や、ストレスがこのホテルに来て爆発し、日頃隠されている大小の葛藤がまな板に乗せられてしまう。そうか、こういう方法もあるな、と改めて思わせられる小説手法と、その表現力にただただ脱帽である。 (1996.07.07)
  • グリフターズ
    グリフターズ グリフターズ (扶桑社ミステリー) 題名:グリフターズ 原題:The Grifters (1963) 作者:ジム・トンプスン Jim Tompson 訳者:黒丸 尚 発行:扶桑社ミステリー 1991.09.27 初版 価格:\480  トンプスンの小説の基本的な構図は、まず女ありきではなかろうか。男はたいていの場合トチ狂っているが、その内燃機関を燃え上がらせているのは、たいてい女である。美醜に関わらず、男たちは女という燃料を突っ込まれて暴走を始める。あるいは踊り狂い、落とし穴に向かって死の手に招かれる。たいていはトンプスンの場合、そんな具合だ。  ただし、女はあまり前面に出て来はしない。たいていが引っ込んだままだ。それでいて強烈な印象を残すのが、トンプスンの構図なのだ。作品の重力が向いてゆく方向には、必ずといって言いほど女がいて、彼女次第で...
  • 黒蠅
    黒蠅 題名:黒蠅 上/下 原題:Blow Fly (2003) 作者:パトリシア・コーンウェル Patricia D.Cornwell 訳者:相原真理子 発行:講談社文庫 2002.12.15 初版 価格:各\695  シリーズ前作の『審問』のラストでは、衝撃的な展開を迎えた。主人公のケイ・スカーペッタを中心に、ピート・マリーノ、姪のルーシー、ベントン・ウェズリーらが、ここまで闘ってきた相手は、目の前のサイコパスばかりではなかったというもの。真の敵は、実はパリを拠点に展開する犯罪者一族シャンドン・ファミリーであった。  まさにそれまでのシリーズ展開を根底から覆すような荒技と、あまりのスケールアップに、この作家、この先を書き続けることができるのだろうか、と危惧すら感じた。その後、やはりその展開の強引さに作家も足踏みをしたのか、三年の間、シリーズが...
  • 評決のとき
    評決のとき 評決のとき〈上〉 (新潮文庫) 評決のとき〈下〉 (新潮文庫) 題名:評決のとき (上・下) 原題:A TIME TO KILL (1989) 作者:JOHN GRISHAM 訳者:白石朗 発行:新潮文庫 1993.7.25 初版 価格:各\640(本体各\621)  グリシャムの最初は売れなかったデビュー作であるという。だからと言うわけではないのだろうが、ぼくには、これを読むとグリシャムの長所も短所もよく見えて来る、という本であるような気がした。  長所というのは、リズムに乗ったときのストーリーの急展開であり、その淡々とした描写の妙。読み始めるとなかなか本を手放せなくなるというのは、今やアメリカでベストセラーになるための必須条件であると思うが、この作家は間違いなくその部類であると思う。  ただし短所ということで挙げておきたいの...
  • リズ・ムーア Liz Moore
    リズ・ムーア Liz Moore 長編小説 果てしなき輝きの果てに 2019 竹内要江訳
  • ジョン・グリシャム
    ジョン・グリシャム John Grisham ブルース・ケーブル・シリーズ グレート・ギャツビーを追え 2017 村上春樹訳 狙われた楽園 2020 星野真里訳 長編小説 評決のとき 1989 白石朗訳 法律事務所 1991 白石朗訳 ペリカン文書 1992 白石朗訳 依頼人 1993 白石朗訳 処刑室 1995 白石朗訳 原告側弁護人 1995 白石朗訳 陪審評決 1996 白石朗訳 パートナー 1997 白石朗訳 路上の弁護士 1998 白石朗訳 テスタメント 1999 白石朗訳 スキッピング・クリスマス 2001 白石朗訳 ペインテッド・ハウス 2001 白石朗訳 最後の陪審員 2004 白石朗訳 大統領特赦 2007 白石朗訳 奇跡のタッチダウン 報酬はピッツァとワインで2007 白石朗訳 謀略法廷 2008 白石朗訳 アソシエイト 2009 白石朗訳 自白 2010 白...
  • トゥルー・グリット
    トゥルー・グリット 題名:トゥルー・グリット 原題:True Grit (1968) 作者:チャールズ・ポーティス Charles Portis 訳者:漆原敦子 発行:ハヤカワ文庫HM 2011.02.15 初版 価格:\720  ぼくは少女小説もウエスタンも両方好きだが、少女を主人公にしたウエスタンがあるとはついぞ知らなかった。  映画のいいところは、埋もれた作品が映画化され上映されるということになると、その原作小説などもしっかり書店に改めて並べてもらえることである。例え古臭い絶版本であろうとも。とりわけ、今をときめくコーエン兄弟などにより映画化されたりすれば、同じ復刊小説であっても、特等席に平積みされるようになる。なんとも有難い話だ。  この映画は3月中旬に上映されたばかりなので、合わせて映画も見ればよかったのだが、いつもののんびりさが...
  • ホワイト・バタフライ
    ホワイト・バタフライ ホワイト・バタフライ (Hayakawa Novels) 題名:ホワイト・バタフライ 原題:WHITE BUTTERFLY (1992) 作者:Walter Mosley 訳者:坂本憲一 発行:早川書房 1995.4.30 初版 価格:\1,800(本体\1,748)  今…… 最近という意味ではなく本当に今日現在の話で……、ハードボイルドの直系の子孫にあたる作家は? と聞かれた場合、ぼくが第一に思い浮かべる作家は日本では原りょう、そしてアメリカではこのウォルター・モズリイである。  直系と言うには、モズリイは黒人作家であり、前作では赤狩り、本作では黒人差別をけっこう前面に出しているではないか、という意見もあるかもしれない。おまけに本作ではのっけから読者を出し抜くような形で、結婚、育児に追われている主人公は、どこが直系か、という異論...
  • ラスト・ドリーム
    ラスト・ドリーム ラストドリーム 題名:ラスト・ドリーム 作者:志水辰夫 発行:毎日新聞社 2004.09.30 初版 価格:\1,700  志水辰夫は自分に制限をかけなくなったな、と本書を読んでつくづく思った。その分だけ書きたいという方向性が主体的にになった。読者におもねるのではなく、自分が小説を書くことで創り出しつつ、思念を紡いでゆく方向。面白い小説を書く作家から、最近では花村萬月に近いわがままさが出てきた。これを歓迎すべきか否かは、読者次第だということだろう。  本書からは、新聞小説ならではのゆったり感もあるだろうがそればかりではなく、作者の側でのリズム、つまり思念の空気のようなものを嗅ぎ取ることができる。無理に形に収めようというのではなく、ある程度自由な時間の流れを人の通常の思念のように行き来し、全体像は終わったときに見えてくるという形である...
  • スリーピング・ドール
    スリーピング・ドール 題名:スリーピング・ドール 原題:The Sleeping Doll (2007) 作者:ジェフリー・ディーヴァー Jeffery Deaver 訳者:池田真紀子 発行:文藝春秋 2008.10.10 初版 価格:\2,381  近頃、ディーヴァーがすっかり好きじゃなくなったのに、なぜぼくはディーヴァーを読むのだろうと、自分に問いかけてしまう。まあディーヴァーはそこそこ面白いと言うことだけは言えるからな、と自分に肯く。ただ、マンネリに陥っているところがあるし、何よりもご都合主義の目立つプロットが鼻につくんだよな。じゃあ、読まなければいいのだが、本当に好きになりきれない作家の場合は、図書館で借りることができるし、何も散在するわけじゃない。ディーヴァーのハードカバーはとても高いし、ちょうどそんな具合に無料(ただ)だと思って読めばいい。 ...
  • 狙撃 by フリーマントル
    狙撃 題名:狙撃 原題:The Run Around (1988) 作者:ブライアン・フリーマントル Brian Freemantle 訳者:稲葉明雄 発行:新潮文庫 1993.11.25 初版 価格:\680(本体\660)  フリーマントルっていうのは何とパワフルな作家なのだろう。日本では作家に対する「量産体制」という言葉が皮肉や批判でしか使われなかったけれども、フリーマントルと来たら量産体制もいいところであろう。しかしそれが決して悪い意味での量産ではなく、質量ともにプロの作家としての最高のものを、世界の読者に向けて供給している。なんだか英国小説界のすごさを見せつけられてしまうのである。  『消されかけた男』に始まるチャーリー・マフィン・シリーズも、 もう何と 8作目になるのだそうだ。 初期 2 作は、ともかくマフィンをマフィン足らしめている傑...
  • P.I.P. プリズナー・イン・プノンペン
    P.I.P. プリズナー・イン・プノンペン 題名 P.I.P. プリズナー・イン・プノンペン 作者 沢井鯨 発行 小学館 2000.7.10 初版 価格 \1,200  感動した。とんでもない新人作家の出現とその作品の独自なパワフルさに感激した。日本小説にもこんな世界があるのだ!  アフター・ザ・キリング・フィールドとも言うべきポスト・ポルポトのカンボジア。『地球の歩き方』片手に国境を越えた青年の30歳前の大放浪。札幌での教職生活を捨て、日本を捨て、ふとしたきっかけで辿り着いたカンボジアは、ポルポト大虐殺の血生臭さがまだ残る、欲望と裏切りに満ち溢れた最低な国家だった。急転直下、最悪の罠にはめられた青年は出口なしの牢獄を如何に抜け出すのか?  作者自らがカンボジアで6ヶ月の獄中生活を送ったという経歴の持ち主であるそうだ。札幌の教職生活にしても、...
  • ファイナル・カントリー
    ファイナル・カントリー ファイナル・カントリー (ハヤカワ・ノヴェルズ) 題名:ファイナル・カントリー 原題:The Final Country (2001) 作者:ジェイムズ・クラムリー James Crumley 訳者:小鷹信光 発行:早川書房 2004.07.31 初版 価格:\2,300  忘れていた頃に出版される寡作家クラムリーゆえ、出るたびにその貴重さを感じながら大切に読みたくなる。遅読を容認する凝った文章のみで成り立った実に丹念なハードボイルド。王道、というやつである。小鷹信光氏の翻訳も気合が入って、クラムリー節を美しくワイルドな文体で歌い上げてくれている。ずっしりと詰まった重たい本の中に、ミロ・ミロドラゴビッチの人生の終わりに近い生き様が、北米大陸をうがつ皺のように刻み込まれたたまらない作品だ。  前作『明日なき二人』の結末で、カネをたん...
  • 流れは、いつか海へと
    流れは、いつか海へと 題名:流れは、いつか海へと 原題:Down The Riveer Unto The See (2018) 著者:ウォルター・モズリイ Walter Mosley 訳者:田村義進 発行:ハヤカワ・ミステリー 2019.12.15 初版 価格:¥1,900  国産ミステリーの犯罪のほとんどが、極めて個人的な犯罪を扱うのに比して、世界の賞を獲るような作品は必ずと言っていいほど、国家レベルの犯罪、あるいは政府機関の犯罪、もしくは制度の生み出す社会悪が生み出す犯罪を描くものが多い。単なる謎解き小説にとどまらず、犯罪を小説の題材として描くことで、何らかの社会的メッセージを描くもの、そうではなくても高位なレベルで行われる犯罪に、個人として立ち向かわねばならない状況を小説の背骨に据えているものが多いと思う。  国産小説にそれが皆無とは言えないけ...
  • 病棟封鎖72時間
    病棟封鎖72時間 題名:病棟封鎖72時間 原題:The Patient (2000) 作者:マイケル・パーマー Michael Palmer 訳者:川副智子 発行:ソニー・マガジンズ ビレッジブックス(文庫) 2002.10.20 初版 価格:\880  他でも書いたけれど、出版社がぼく宛に送ってくる本というのはまずこれは是非売り出したいのだという意欲作・自信作が多い。全米ベストセラーに挙げられながら日本ではなかなか取り上げられない不運な作家であるマイケル・パーマー。医師と作家の二足の草鞋を履いている作家と言えばロビン・クックだけれど、その数年後輩に当たるこの作家によるついに決定的となった作品が本書である、とは巻末解説から。  さて、ぼくの印象だが、間違いなくこれは決定打。どんなレベルかというとディーヴァーのリンカーン・ライム・シリーズや、ジョン・グリ...
  • ブラック・ベティ
    ブラック・ベティ 題名:ブラック・ベティ 原題:Black Betty (1994) 作者:Walter Mosley 訳者:坂本憲一 発行:早川書房 1996.1.31 初版 価格:\2,000  本シリーズの主人公イージー・ローリンズとのつきあいもそろそろ長くなるかなと思いきや、この作品でまだ4作目とは、意外に短い。そういう気がするのも、作中の時間経過ばかりがいやに早く、新作を手に取るたびに、イージーや彼を取り巻く環境が大きく変貌しているからなのかもしれない。  本作の冒頭も、いきなり五年も前の、親友マウスの殺人を目撃する悪夢に、幕を切る。この悪夢が、この作品の最後までイージーにつきまとうのだが、これとメイン・ストーリーの「ベティ探し」が絡んで、相変わらず一級品のハードボイルドの香り。上質で、人間臭く、そしてモズリィならではのオリジナリティが健在...
  • アニマル・ファクトリー
    アニマル・ファクトリー 題名:アニマル・ファクトリー 原題:The Animal Factory (1977) 作者:Edward Bunker 訳者:小林宏明 発行:ソニーマガジンズ 2000.10.20 初版 価格:\1,800  エドワード・バンカーという人は、長編小説を通して、作家としてはかなり希有なタイプである自分の実人生を切り取り、その意味を問い糾しているのではないだろうかと思われる側面がある。  『リトルボーイ・ブルー』では刑務所人生を余儀なくされるに至る子供時代の出口なき不幸に焦点を当てている。『ストレート・タイム』では刑務所を出ても、実社会にまともな人生を送るべき場所のない前科者の救いなき疎外を、社会のひずみへの強烈な反発とともに描いている。  そしてついにこの作品。本書では、彼の人生の最も多くの時間を費やさざるを得なかっ...
  • 森から来た少年
    森から来た少年 題名:森から来た少年 原題:The Boy From The Woods (2020) 著者:ハーラン・コーベン Harlan Coben 訳者:田口俊樹 発行:小学館文庫 2022.1.12 初版 価格:¥1,260  前作『ランナウェイ』の主人公サイモン・グリーン、またこちらも前作に登場した女性弁護士ヘスターのTV番組収録シーンが序盤に展開する。ヘスターおばあちゃんは、本作では何と、そのままダブル主人公の一翼を担ってしまう。サイモン・グリーンの事件『ランナウェイ』と、本書は時期的にかぶっているらしい。  連作ではないのだろうが、ファンサービスか、作者の遊び心なのだろう。ちなみにハーラン・コーベンのノン・シリーズ2001年作品『唇を閉ざせ』では50代のへスターが登場するらしい。へスター・ファンとしては、件の作品は早速取り寄せねばなら...
  • きんぴか
    きんぴか 題名:きんぴか 作者:浅田次郎 発行:光文社 1996.2.5 初刷 価格:\2,000  かつてノベルズでシリーズものとして出ていた「きんぴか」のシリーズ3冊を一冊のハードカバーにまとめたものであるらしい。とにかくぼくにとっては初の浅田次郎である。  噂には聞くし、書店ではよく見かけるようになったにも関わらず、あまり機会がなかった作家だが、開いてみておどろいたのは、ユーモア人情小説に辛口の味をつけた作品であるのね、これ。後になって読んだ『プリズンホテル』シリーズの前身とでも言うべき、辛口のスパイスが効いた味わい深いシリーズなのである。  『プリズンホテル』シリーズと違うのは、あちらのほうは果てしもなき長編物語に近いのに比して、こちらは連作短篇集とでも言ったような構成。三人の反社会者と定年を迎えた元名物刑事の、毒で持って毒を制する...
  • スキッピング・クリスマス
    スキッピング・クリスマス 題名:スキッピング・クリスマス 原題:Skipping Cristmas (2001) 作者:ジョン・グリシャム John Grisham 訳者:白石 朗 発行:小学館文庫 2005.12.1 初刷 2002/12 初版 価格:\571  そういえば、最近見ない。ジョン・グリシャムという作家の名前を。毎年のようにリーガル・サスペンスの逸品を世に送り出し、映画化作品もまた常に話題になってきたのに。  日本では「超訳」とされる作品も二、三見られたけれど、そういうものには、なんだか活字文化を馬鹿にされているようで、どうも腰が引けてしまう。なのでぼくは『ペインテッド・ハウス』(ノン・ミステリーの素晴らしい作品だった)を最後にグリシャム作品にしばらくお会いしていない。  本書はそうしたグリシャム・リストの山の中、思わぬ...
  • ブライアン・フリーマントル Brian Freemantle
    czzzzz*ブライアン・フリーマントル Brian Freemantle チャーリー・マフィン・シリーズ 消されかけた男 1977 稲葉明雄訳 再び消されかけた男 1978 稲葉明雄訳 呼び出された男 1979 稲葉明雄訳 罠にかけられた男 1980 稲葉明雄訳 追いつめられた男 1981 稲葉明雄訳 亡命者はモスクワをめざす 1985 稲葉明雄訳 暗殺者を愛した女 1987 稲葉明雄訳 狙撃 1989 稲葉明雄訳 報復 1993 稲葉明雄訳 流出 1996 稲葉明雄訳 待たれていた男 2000 稲葉明雄訳 城壁に手をかけた男 2001 稲葉明雄訳 片腕をなくした男 2009 戸田裕之訳 顔をなくした男 2012 戸田裕之訳 カウリー&ダニーロフ・シリーズ 猟鬼 1993 松本剛史訳 英雄 1994 松本剛史訳 爆魔 2002 松本剛史訳 プロファイリング・シリーズ 屍泥...
  • 密輸
    密輸 密輸―競馬シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫) 密輸 (Hayakawa Novels―競馬シリーズ) 題名:密輸 原題:Driving Force (1992) 作者:Dick Francis 訳者:菊池 光 発行:早川書房 1993.11.15 初版 価格:\2,000(本体\1,942)  長く果てしなく思われたフランシス街道もついに最新作まで追いついてしまった。そうなるとけっこう最後の作品と愛着が強く湧きあがり、ばか丁寧に一行一行を読んでしまった。それでなくてもフランシスの小説ってばか丁寧に読んでしまう。流麗な邦訳文ではないものなあ。別に連帯どめでもなんでもないんだけど、なぜか基本構文によるとても固い生真面目な文章を追ってゆくという感覚。  これがフランシス作品に対するぼくの際立った遅読の原因だったのかもしれない。87分署シリーズの...
  • 浅田次郎
    浅田次郎 中国歴史ロマン 蒼穹の昴 1996 珍妃の井戸 1997 中原の虹 2006-2007 マンチュリアン・リポート 2010 きんぴか きんぴか(「三人の悪党」へ改題) 1992 気分はピカレスク キンピカ2(「血まみれのマリア」へ改題) 1993 ピカレスク英雄伝(「真夜中の喝采」へ改題) 1994 きんぴか(全作総集) 1996 プリズン・ホテル プリズンホテル 1993 プリズンホテル秋 1994 プリズンホテル冬 1995 プリズンホテル春 1997 天切り松闇がたり 天切り松闇がたり 闇の花道  第1巻 1996 天切り松闇がたり 残侠 第2巻 1999 天切り松 闇がたり 初湯千両 第2巻 2002 天切り松 闇がたり 昭和侠盗伝 第4巻 2005 長編小説 日輪の遺産 1993 地下鉄(メトロ)に乗って 1994 活動写真の女 1997 天国までの...
  • 危険な弁護士
    危険な弁護士 題名:危険な弁護士 上/下 原題:Rogue Lawyer (2015) 著者:ジョン・グリシャム John Grisham 訳者:白石朗訳 発行:新潮文庫 2019.7.1 初版 価格:各¥710  作者の名を何度も確かめずにいられないくらい、グリシャムとしては異端の作品である。逆に言えば、この小説を読んでグリシャムの印象を決めないことを望む。グリシャムはリーガル・サスペンスの王道をゆくような正統派作家である。しかし、そうこの作品は、異端と言ってもよいだろう。  そもそもグリシャムとしては珍しく、本書は連作中編小説のような構成である。長編作家として知られるグリシャムが、一話完結的な中編物語を紡いでゆく上巻。まずは異端の弁護士の一人称と、その悪ぶった語り口に違和感を覚える読者は多いだろう。これ、グリシャム? ブラックでは? ノワ...
  • レイン・ドッグズ
    レイン・ドッグズ 題名:レイン・ドッグズ 原題:Rain Dogs (2015) 作者:エイドリアン・マッキンティ Adrian Mckinty 訳者:武藤陽生 発行:ハヤカワ文庫HM 2021.12.25 初版 価格:¥1,520  ノワールの系譜を正当に継ぐのが、このエイドリアン・マッキンティだとぼくは固く信じている。リズミカルに並べられる名詞の山。体言止めで綴られる小気味よい文体。舞台は、ジャック・ヒギンズの作品でもおなじみのテロの嵐吹き荒れる80年代の北アイルランド、ベルファストとその近郊。  主人公は、すっかりお馴染みになったいい味の一匹狼、汚れた街をゆくショーン・ダフィ。頑固で、タフで、それでいて弱くて、心優しい詩人で、デカダンスな酒呑みで、頭が切れる上に、ピアノも上手い、古いレコードのマニアである。シリーズ作品のタイトルはすべて、酔いどれ...
  • 王妃の館
    王妃の館 題名 王妃の館 上/下 作者 浅田次郎 発行 集英社 2001.7.30 初版 価格 各\1600  『プリズンホテル』の原点に戻ったようなホテルもの、と言って言えないことはないが、プリズンホテルと違って今度の宿泊先は、フランスはパリ、ルイ14世あやかりの地であるシャトー・ドゥ・ラ・レーヌ。光と影のツアー一行がこの由緒ある歴史的な王妃の館に宿泊ツアーに赴く話とて、舞台はずっとあちらで進行する。プリズンホテルが純和式の最底辺ホテルであるなら、こちらは美と歴史の超ゴージャスホテル。  まずはツアー自体が一種の詐欺で仕掛けがたっぷりでこれからのストーリー展開が期待されるのだが、そこに参加するキャラクターたちが、『プリズンホテル』時代の浅田次郎の復活かと思わせるばかりに、誇張された寓話的な存在で、ある意味、極度の類型パターン。登場人物た...
  • 大統領特赦
    大統領特赦 題名:大統領特赦 上/下 原題:The Broker (2006) 作者:ジョン・グリシャム John Grisham 訳者:白石 朗 発行:新潮文庫 2007.03.01 初版 価格:各\667  ジョン・グリシャムの長編作品をちゃんと読むのは何年ぶりだろう。かつては一年一作ペースで出るハードカバー作品を、次々と楽しんだものだ。リーガル・サスペンスという枠の中に納まりきらない、はち切れんばかりのエネルギーを詰め込んだスリラーを、ストーリー・テリングの巧さとヒューマンな内容とで、とにかく「読ませる」作家であった。  日本ではシドニー・シェルダンで当てた無名な出版社が、超訳という訳者不詳、原作文章を変質させても日本人向けに強引に訳してしまうという乱暴な所業で、グリシャム作品の何作かを持って行ってしまい、それらは当然ぼくの読書タスク・リ...
  • 警官嫌い
    警官嫌い 警官嫌い (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 13‐1)) 題名:警官嫌い 原題:Cop Hater (1956) 著者:エド・マクベイン Ed McBain 訳者:井上一夫 発行:ハヤカワ文庫HM  <87分署>シリーズ。なぜ、今までこうしたシリーズがあることに思い至らなかったのだろうか。ファンの方々のやり取りを拝見させていただきながら、いつか自分も読んでみようとは思っていたのだけど、ここまで縁がなかった。しかし一作目に手をつける。なるほど。まさに、これはぼくの趣味ではないか。  まず一つ。マクベインの描写技術がたいへんに巧いのだ。  それはどういったことかというと、ニ種(あるいは三種、あるいはそれ以上)の異なる文体を使い分けて、ある柔かなリズムを生じさせることができる。それがメリハリとなって、読者を引き寄せる流れのようなものを作...
  • 大いなる手がかり
    大いなる手がかり 大いなる手がかり (ハヤカワ・ミステリ文庫 13-12) 大いなる手がかり (1960年) (世界ミステリシリーズ) 大いなる手がかり (1977年) (ハヤカワ・ミステリ文庫) 題名:大いなる手がかり 原題:Give the Boys a Great Big Hand (1960) 著者:エド・マクベイン Ed McBain 訳者:加島祥造 発行:ハヤカワ文庫HM 1977.10.31 1刷 シリーズ、11冊目。前作『キングの身代金』に較べるとたいへん軽く感じられる一編。死体なき事件。一種のバラバラ殺人みたいなものである。両手の手首から上の部分だけが発見され、指紋は削り取られている。非常にヒントの少ない事件のために捜査は難行し、アイソラの街には雨ばかりが降りつづける。三月。日本の梅雨みたいな鬱陶しさ。雨は一週間も降りつづける。 ...
  • ベスト・アメリカン・ミステリ ジュークボックス・キング
    ベスト・アメリカン・ミステリ ジュークボックス・キング ベスト・アメリカン・ミステリ ジュークボックス・キング (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 題名:ベスト・アメリカン・ミステリ ジュークボックス・キング 原題:The Best American Mystery Stories 2003(2003) 編者:マイクル・コナリー&オットー・ペンズラー編 Michael Connelly, Otto Penzler 訳者:古沢嘉通、他 発行:ハヤカワ・ミステリ 2005.4.15 初版 価格:\1.800  同じアンソロジーの名シリーズをハヤカワが立て続けに出した。確かにDHCの出版は2001年で止まっていた。でも今になっていきなり二冊というのは、不思議だ。ぼくの4月は、結局この二冊を読むのに大半を費やすことになった。それだけじっくり読める二冊だったわけだ。 ...
  • グレート・ギャツビーを追え
    グレート・ギャツビーを追え [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 題名:グレート・ギャツビーを追え 原題:Camino Island (2017) 著者:ジョン・グリシャム John Grisham 訳者:村上春樹 発行:中央公論新社 2020.10.10 初版 価格:¥1,800  ...
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