wiki クライムウェイヴ(Sysop読書録 活字をめぐる冒険) 内検索 / 「コンチネンタル・オプの事件簿」で検索した結果

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  • コンチネンタル・オプの事件簿
    コンチネンタル・オプの事件簿 コンチネンタル・オプの事件簿 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 題名:コンチネンタル・オプの事件簿 原題:Arson Plus and Other Stories 作者:ダシール・ハメット Dashiell Hammett 訳者:小鷹信光 発行:ハヤカワ文庫HM 1994.05.31 初刷 2003.02.15 2刷 価格:\760  映画のおかげで重版され、もしかしたら一時的にまた陽の目を浴びるかもしれないハメットの短編用主人公コンチネンタル・オプ。短編はぼくもろくすっぽ読んでいないのでこの機会を利用して手に取る。  この短編集は小鷹信光編でもあるから、大変気のきいた構成になっていて、読みやすいし、初心者でも物怖じせずに取り組めるだろうと思う。  冒頭を飾るのは『放火罪および……』目次にもちゃんと<コンチネンタル・オプ登場...
  • ダシール・ハメット
    ...郎、他訳 1979 コンチネンタル・オプの事件簿 小鷹信光 1994 中篇 闇の中から来た女 船戸与一訳 1933
  • ダン・カーニー探偵事務所
    ダン・カーニー探偵事務所 ダン・カーニー探偵事務所 (新潮文庫) 題名:ダン・カーニー探偵事務所 原題:The Mayfield Case and 10 Other stories (1967-1984) 作者:ジョー・ゴアズ Joa Gores 訳者:石田善彦 発行:新潮文庫 1990.06.25 初版 価格:\480  もはや、この一冊もハードボイルドの古典と呼ぶべきなのだろうか。ハメット風に感情描写抜きの簡潔なタッチ。タフな男たちとタフな仕事。余計な理屈抜きに生きてゆくことの重たさと、過酷さを日々繰り返してゆくだけの物語。  元来、仕事場の風景というのは、あまり小説という娯楽に適していないように思える。 「私立探偵が丸一日ひとつの事件に関わっていられるのは探偵小説のなかだけである」(「フル・ムーン・マッドネス」より)  二十四時間...
  • 影なき男
    影なき男 題名:影なき男 原題:THE THIN MAN ,1934 作者:DASHIELL HAMMETT 訳者:小鷹信光 発行:ハヤカワ文庫HM 1991.9.30 初刷 価格:\520(\505)  ハメットの筆がハードボイルドから都会派普通ミステリーへ移りかけたエポックとなる作品『影なき男』だが、悲しくもこれを最後にハメットは長編を作るのをやめてしまった。書けなくなり、懐が豊かになり、結核が進行する後半生が待っているだけだったのだ。ハヤカワ文庫の小鷹訳ハメットは現在ここまでの三作だけで、後の新訳が期待されるし、小鷹信光もじっくりと腰を落ち着けて、己れのライフワークに挑んでいることであろう。彼の三作における解説文だけでも十分ハメットの入門編のようになっているし、分量もたっぷりあるので、何なら立ち読みだけでもお薦めしておきたい。ぼくとしては、できたら...
  • 探偵くるみ嬢の事件簿
    探偵くるみ嬢の事件簿 探偵くるみ嬢の事件簿 (光文社文庫) 題名:探偵くるみ嬢の事件簿 作者:東 直己 発行:光文社文庫 2002.6.20 初版 価格:\495  これは以前廣済堂文庫から発売され、長らく絶版状態になっていた『ソープ探偵くるみ事件簿』を改題して光文社文庫より新装再版された連作短編集。時期的には、ちょうど処女作『探偵はバーにいる』の発刊された翌年の1993年『月刊小説』に連載されていたものに、1997年廣済堂文庫として纏められたときの書き下ろし二作を加えた作品集ということになる。  東直己が作家生活のスタートを切り始めた時期の、しかも大変興味深い改題前タイトルの作品集ということもあって、絶版が惜しまれていたのだが、作者が有名になれば遡って再版されても商業的には文句なしという良い例なのだろう。  すすきの探偵シリーズにおいても、あるいは...
  • 混濁の夏 デルーカの事件簿 II
    混濁の夏 デルーカの事件簿 II 題名:混濁の夏 デルーカの事件簿 II 原題:L estate torbida (1991) 作者:カルロ・ルカレッリ Carlo Lucarelli 訳者:菅谷 誠 発行:柏櫓舎 2005.3.30 初版 価格:\1,429  『白紙委任状』に続く三部作の二作目。1月、3月、5月と二カ月おきに柏櫓舎より出版予定なのは、本編が二百ページに満たない中編作品であるためなのか、あるいは疾走するような1940年代のイタリアの現代史を連続的に読んでゆくための版元・訳者らの意図なのか。いずれにせよテンポとしてちょうど良い。  前作で、連合軍によるファシスト共和国侵攻をクライマックスに迎え、逃げ出した捜査隊長デルーカは、本作では国を挙げての完全なる逆境に置かれる。前作では相当のポーカーフェイスだった我らが主人公は、戦犯として捉えら...
  • 黒い瞳のブロンド
    黒い瞳のブロンド 題名:黒い瞳のブロンド 原題:The Black-eyed Blonde (2014) 作者:ベンジャミン・ブラック Benjamin Black 訳者:小鷹信光 発行:ハヤカワ・ミステリ 2014.10.15 初版 価格:\1900  熱心なチャンドリアンではないまでも、フィリップ・マーロー・シリーズの後日談と言われて食指が動かないわけもない。この世の文学の中で最も信奉するハードボイルドの根っこの一つみたいな存在であるチャンドラーを、現代に蘇らせようという人がいるならば、せっせとその火事場に駆けつけたいという野次馬根性もしっかり持ち合わせている限り。  チャンドラーはハードボイルドと言われるが、ハメットやヘミングウェイに比べるとやはり饒舌と言われる。もっともハメットのサム・スペードやコンチネンタル・オプに比べ、マーローは明らかに...
  • 白紙委任状 デルーカの事件簿 I
    白紙委任状 デルーカの事件簿 I 題名:白紙委任状 デルーカの事件簿 I 原題:Carta Bianca (1990) 作者:カルロ・ルカレッリ Carlo Lucarelli 訳者:菅谷 誠 発行:柏櫓舎 2005.1.26 初版 価格:\1,429  札幌で翻訳家・山本光伸氏が起こした小さな出版社・柏櫓舎の存在意義の一つに、新人翻訳家を掘り出すというものがある。本書・菅谷誠氏は柏櫓舎によりデビューした翻訳者であり、本書に先立って数冊の訳書を同社より出版済み。経済学部卒のカメラマンという経歴で、翻訳家としては遅咲きではあるが、イタリアン・ミステリという独自の視点でこのような翻訳が日本に紹介される機会は、このような版元がいて、このような訳者がいなければ存在しないのだと思うと、それなりに貴重である。  本書はデルーカという捜査官の三部作。何と時代背景が...
  • オーケ通り デルーカの事件簿 III
    オーケ通り デルーカの事件簿 III 題名:オーケ通り デルーカの事件簿 III 原題:Via Delle Oche (1996) 作者:カルロ・ルカレッリ Carlo Lucarelli 訳者:菅谷 誠 発行:柏櫓舎 2005.5.30 初刷 価格:\1,524  『白紙委任状』『混濁の夏』に続くシリーズ第3作。本シリーズに接するとき、いつも思うのは、フィリップ・カーの三部作『偽りの街』『砕かれた夜』『ベルリン・レクイエム』の三部作。あるいはアゴタ・クリストフの『悪道日記』『ふたりの証拠』『第三の嘘』の三部作。  それぞれの舞台となる国家は違えども、同じく第二次世界大戦を軸に回転する、ヨーロッパの個人史がドラマを築き上げ、その中で厳然と存在する謎解きへの引力が読者を、未知の状況へと引き寄せてゆく。  言わば、書き手にとっては現代史の検証であ...
  • 路上の事件
    路上の事件 題名:路上の事件 原題:Cases (1999) 作者:ジョー・ゴアズ Joa Gores 訳者:坂本憲一 発行:扶桑社ミステリー 2007.07.30 初版 価格:\1,000  ジョー・ゴアズの本が翻訳されて販売されるというだけで、ビッグ・ニュースである。ハードボイルドの直系と言われる人は多いが、この作家くらいになると、ハードボイルドの系譜を継ぐ人というイメージよりも、むしろ古典と言った方がお似合いである。  ぼくがジョー・ゴアズに夢中になったのは、三十歳前後、仕事でも道楽でも、まだまだ血気盛んで、なおかつそれに体力が着いていけたという時代だ。同じ年頃の主人公たちが、多くは探偵という職業によって、普通の人々の目の届かない世界で、まさに意地のために死闘を繰り広げてゆく物語は、正直国産ハードボイルドの比ではなく、リアリズムと鋭さに満ち...
  • 松岡圭祐
    松岡圭祐 催眠シリーズ 催眠 1997 催眠 特別篇 2000 後催眠 2000 カウンセラー 2003 ブラッドタイプ 2006 千里眼シリーズ(ハードカバー) 千里眼 1999 千里眼 ミドリの猿 2000 千里眼 運命の暗示 2000 千里眼 洗脳試験 2001 千里眼の瞳 2001 千里眼のマジシャン 2003 千里眼の死角 2003 ヘーメラーの千里眼 2004 千里眼 トランス・オブ・ウォー 2004 ブラッドタイプ 2006 千里眼シリーズ(文庫化改訂版) 千里眼 メフィストの逆襲 (「千里眼の瞳・上半部」改訂) 2002 千里眼 岬美由紀 (「千里眼の瞳・下半部」改訂) 2002 千里眼 マジシャンの少女 (「千里眼のマジシャン」改訂) 2002 千里眼とニュアージュ  2005 千里眼 背徳のシンデレラ 2006 千里眼 ブラッドタイプ (「ブラッドタイプ」...
  • キャロル・オコンネル
    キャロル・オコンネル Carol O Connell キャッシー・マロリー・シリーズ 氷の天使(『マロリーの信託』改題) 務台夏子訳 1994 アマンダの影(『二つの影』改題) 務台夏子訳 1995 死のオブジェ 務台夏子訳 1996 天使の帰郷 務台夏子訳 1997 魔術師の夜 務台夏子訳 1999 吊るされた女 務台夏子訳 2002 陪審員に死を 務台夏子訳 2003 ウィンター家の少女 務台夏子訳 2004 ルート66 務台夏子訳 2007 生贄の木 務台夏子訳 2011 ゴーストライター 務台夏子訳 2013 修道女の薔薇 務台夏子訳 2016 ノン・シリーズ長編 クリスマスに少女は還る 1998 愛おしい骨 2008
  • カルロ・ルカレッリ Carlo Lucarelli
    カルロ・ルカレッリ Carlo Lucarelli デルーカの事件簿 白紙委任状 デルーカの事件簿I 1990 菅谷誠訳 混濁の夏 デルーカの事件簿II 1991 菅谷誠訳 オーケ通り デルーカの事件簿III 1996 菅谷誠訳
  • カルロ・ルカレッリ
    カルロ・ルカレッリ Carlo Lucarelli デルーカの事件簿 白紙委任状 菅谷 誠訳 1990 混濁の夏 菅谷 誠訳 1991 オーケ通り 菅谷 誠訳 1996
  • 翔田 寛
    翔田 寛 長篇小説 影踏み鬼 2001.11 消えた山高帽子 チャ-ルズ・ワ-グマンの事件簿 2004.06 参議怪死ス ― 明治四年、広沢真臣暗殺異聞 2004.12 眠り猫 ― 奥絵師・狩野探信なぞ解き絵筆 2007.02 誘拐児 2008.07
  • 混濁の夏
    混濁の夏 デルーカの事件簿 2 題名:混濁の夏 デルーカの事件簿 II 原題:L estate torbida (1991) 作者:カルロ・ルカレッリ Carlo Lucarelli 訳者:菅谷 誠 発行:柏櫓舎 2005.3.30 初版 価格:\1,429  『白紙委任状』に続く三部作の二作目。1月、3月、5月と二カ月おきに柏櫓舎より出版予定なのは、本編が二百ページに満たない中編作品であるためなのか、あるいは疾走するような1940年代のイタリアの現代史を連続的に読んでゆくための版元・訳者らの意図なのか。いずれにせよテンポとしてちょうど良い。  前作で、連合軍によるファシスト共和国侵攻をクライマックスに迎え、逃げ出した捜査隊長デルーカは、本作では国を挙げての完全なる逆境に置かれる。前作では相当のポーカーフェイスだった我らが主人公は、戦犯として捉えら...
  • 白紙委任状
    白紙委任状 デルーカの事件簿1 題名:白紙委任状 デルーカの事件簿 I 原題:Carta Bianca (1990) 作者:カルロ・ルカレッリ Carlo Lucarelli 訳者:菅谷 誠 発行:柏櫓舎 2005.1.26 初版 価格:\1,429  札幌で翻訳家・山本光伸氏が起こした小さな出版社・柏櫓舎の存在意義の一つに、新人翻訳家を掘り出すというものがある。本書・菅谷誠氏は柏櫓舎によりデビューした翻訳者であり、本書に先立って数冊の訳書を同社より出版済み。経済学部卒のカメラマンという経歴で、翻訳家としては遅咲きではあるが、イタリアン・ミステリという独自の視点でこのような翻訳が日本に紹介される機会は、このような版元がいて、このような訳者がいなければ存在しないのだと思うと、それなりに貴重である。  本書はデルーカという捜査官の三部作。何と時代背景が...
  • 死のオブジェ
    死のオブジェ 題名:死のオブジェ 原題:Killing Critics (1996) 作者:キャロル・オコンネル Carol O Connell 訳者:務台夏子 発行:創元推理文庫 2001.08.31 初刷 価格:\980  本シリーズの最大の魅力は、もちろんヒロイン、マロリーの強烈な個性である。マイクル・コナリーのシリーズ・ヒーローであるハリー・ボッシュがなかなか自分の出自を明かさなかったように、マロリーもまた、その正体が掴みきれない。謎に満ちたマロリーの少女時代は、作品を重ねるごとに徐々にそのベールを剥がされてゆく。  本書ではストリート・チルドレンとして拾われる以前のマロリーに関する記述がなされている。奇想に満ちた錯綜のプロットの担い手であるキャロル・オコンネルは、大仰な表現による意味深げな語り口で読者を釣り出そうとする傾向が顕著である。...
  • オーケ通り
    オーケ通り デルーカの事件簿 3 題名:オーケ通り デルーカの事件簿 III 原題:Via Delle Oche (1996) 作者:カルロ・ルカレッリ Carlo Lucarelli 訳者:菅谷 誠 発行:柏櫓舎 2005.5.30 初刷 価格:\1,524  『白紙委任状』『混濁の夏』に続くシリーズ第3作。本シリーズに接するとき、いつも思うのは、フィリップ・カーの三部作『偽りの街』『砕かれた夜』『ベルリン・レクイエム』の三部作。あるいはアゴタ・クリストフの『悪道日記』『ふたりの証拠』『第三の嘘』の三部作。  それぞれの舞台となる国家は違えども、同じく第二次世界大戦を軸に回転する、ヨーロッパの個人史がドラマを築き上げ、その中で厳然と存在する謎解きへの引力が読者を、未知の状況へと引き寄せてゆく。  言わば、書き手にとっては現代史の検証であり...
  • 昨日がなければ明日もない
    昨日がなければ明日もない 題名:昨日がなければ明日もない 著者:宮部みゆき 発行:文藝春秋 2018.11.30 初刷 価格:¥1,650-  人の個性を有機的に配置するだけで、何かが起こる。本シリーズはそういうところに生まれるトラブルや、助けが必要な状況、必要とされる謎の解明といった物事への対処を仕事とする杉村三郎という登場人物の、言わば事件簿である。  前作『希望荘』中の中編『二重身』で発生した東日本大震災の後の一年間を背景にした杉村三郎の三つの事件を綴った中編作品集が本書である。東京下町の庶民の日常や世相を活写した、いわゆる現実世界に誠実な対応をする小説集なので、ぼくは安心してこの作者の本と向かい合うことができる。過剰ということがぼくはあまり好きではない。作品『模倣犯』は素晴らしいのに、映画『模倣犯』はまるで怪獣映画の過剰であった。この人の作品は小...
  • 矢作俊彦
    矢作俊彦 二村永璽シリーズ リンゴォ・キッドの休日 1978.07 真夜中へもう一歩 1985.11 ロング・グッドバイ THE WRONG GOODBYE 2004.11 フィルム・ノワール 黒色影片 2014.11 マンハッタン・オプ・シリーズ マンハッタン・オプ I 1981.11 マンハッタン・オプ II 1982.01 凝った死に顔 マンハッタン・オプ 1 笑う銃口 マンハッタン・オプ 2 1985.02 はやらない殺意 マンハッタン・オプ 3 1985.03 長編小説 マイクハマーへ伝言 1978.01 暗闇にノーサイド 共著/司城志朗 1983.08 ブロードウエイの戦車 共著/司城志朗 1984.08 海から来たサムライ 共著/司城志朗 1984.11 コルテスの収穫 上/中(未完) 1987.01 ヨーコに好きだと言ってくれ 1987.04 スズキさんの休...
  • 宮部みゆき
    宮部みゆき 前畑滋子シリーズ 模倣犯 2001 楽園 2007 杉村三郎シリーズ 誰か Somebody  2003 名もなき毒 2006 ペテロの葬列 2014 希望荘 2016 昨日がなければ明日もない 2019 長編小説 魔術はささやく 1989 東京殺人暮色 1990 レベル7 1990 龍は眠る 1991 スナーク狩り 1992 火車 1992 長い長い殺人 1992 蒲生邸事件 1996 理由 1998 クロスファイア 1998 模倣犯 2001 R.P.G. 2001 ブレイブ・ストーリー 2003 ICO ~霧の城 2004 英雄の書 2009 小暮写眞館 2010 ソロモンの偽証 2012 悲嘆の門 2015 過ぎ去りし王国の城 2015 連作短編集 ステップファザー・ステップ 1993 淋しい狩人 1993 短編集 我らが隣人の犯罪 1990 返事は...
  • ゼルプの殺人
    ゼルプの殺人 題名:ゼルプの殺人 原題:Selbs Mord (2001) 作者:ベルンハルト・シュリンク Bernhard Schlink 訳者:岩淵達治、他 発行:小学館 2003.04.20 初版 価格:\1,714  作者自らがインタビューで言うには、このシリーズはドイツ戦後史三部作にするつもりであった。1987年『ゼルプの裁き』、1992年『ゼルプの欺瞞』。「そろそろ第三部を出す潮時だ。舞台は統一ドイツだ」  ゲーアハート・ゼルプ、私立探偵。既に七十歳を越えて久しい。今ではほとんど依頼も稀である。これが自分の最後の事件だと覚悟してゆく。老いそのものが重要なテーマになっている。  ベルリンの壁の向こうから元シュタジィだったと言ってゼルプの息子を名乗る若者が現われる。一方では個人銀行を使ったマネー・ロンダリングとロシアン・マフィアの流...
  • 三浦和義事件
    三浦和義事件 題名:三浦和義事件 作者:島田荘司 発行:角川書店 1997.11.10 初版 価格:\2,800  実は先週読み終えたばかりのこの本、結構なパンチを食らってぐらりと揺れたような衝撃があった。三浦和義と言えば、ぼくはあのロス疑惑における真犯人と確信して、憎悪を覚えたり、逮捕時には快哉を叫んだ口だった。おそらく他のどの日本人もそうであったように。だからこそこの本は衝撃的であったし、マスコミの暴力というものが戦後ここまで人心を操り得たことに今更ながら穏やかならざるものを覚えた。  そして真実の行方は『薮の中』にあり、多くの真実に至る路が在るのにも関らずただひたすら一本の路をのみ選んできた一億の国民というものは、いかに真実から隔たった場所から薮の中に向けて眼をこらしていたものか。  島田荘司の『秋好事件』はとても衝撃的であった。もはや...
  • 姉妹殺し
    姉妹殺し [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 題名:姉妹殺し 原題:Sœurs (2018) 著者:ベルナール・ミニエ Bernard Minier 訳者:坂田雪子 発行:ハーパーBOOKS 2022.4.20 初版 価格:¥1,440  セルヴァズ警部、と呼び掛けられると、前作で降...
  • スティール・キス
    スティール・キス 題名:スティール・キス 上/下 原題:The Steel Kiss (2016) 著者:ジェフリー・ディーヴァー Jeffery Deaver 訳者:池田真紀子 発行:文春文庫 2017.10 初版 2020.11.10 文庫初刷 価格:各¥920  リンカーン・ライム・シリーズの第12作は新機軸として、現代的過ぎる凶悪なディジタル犯罪を扱ったものである。現場に残された証拠を分析することで、犯罪者を追いつめてゆくリンカーン・ライムのアナログ的な科学捜査を特徴とする本シリーズも、ついに現代という奇妙な時代にタイム・スリップしてきたか、という印象の一作である。  もっとも、序章における驚愕のエスカレーターの事故がディジタルの存在をすぐに感じさせるわけではない。ショッピングセンターで起こったエスカレーターの誤作動と、そこに立ち会い悲惨...
  • ゴーストライター
    ゴーストライター 題名:ゴーストライター 原題:It Happens In The Dark (2013) 著者:キャロル・オコンネル Carol O Connelle 訳者:務台夏子訳 発行:創元推理文庫 2019.3.15 初版 価格:¥1,480  氷の天使キャシー・マロリーのシリーズ最新作。実は、前々作『ルート66』感動の最終章を境に、確実に我らが美しきソシオパス刑事マロリーは、変化を遂げたように思う。  機械の如く無感情に見える彼女の中で何かが少しだけ変わった。ほんの片鱗に過ぎないかもしれないが、ある種の愛情に近いもの、優しさ、女性らしさのようなものが加わってきたように、ぼくには思えてならない。  そんなものはおくびにも出さないという不愛想さは、無論かつてのままである。どう見ても、常時、鋼鉄の鎧で武装しているように見える。ホルスター...
  • ドライビング・レッスン
    ドライビング・レッスン ドライビング・レッスン (ヴィレッジブックス) 題名:ドライビング・レッスン 原題:Driving Lessons (2000) 作者:エド・マクベイン Ed McBain 訳者:永井 淳 発行:ヴィレッジブックス 2002.01.20 初版 価格:\500  オットー・ペンズラー・ブックスの売りの一つである巨匠によるノヴェラというものらしい。軽い書き下ろしなのだが、もともとは朗読向けのオーディオ・ブックスとして出版されたものを、ペンズラー氏(大物ミステリー・プロデューサーなんだそうです)が依頼し、本にしたもの。  オーディオ向け作品というと、軽い、短い、というのは基本になるのかもしれないけれど、それ以上に、文章力のある作家の手になる完成度の高い作品でなければいけない。これは矢作俊彦の「マンハッタン・オプ」シリーズでインプ...
  • ススキノ ハーフボイルド
    ススキノ、ハーフボイルド ススキノ、ハーフボイルド (双葉文庫) 題名:ススキノ、ハーフボイルド 作者:東 直己 発行:双葉社 2003.07.25 初版 価格:\1,700  『探偵くるみ嬢の事件簿』を思わせる、リラックスした雰囲気のススキノに、例の太った男、通称<便利屋>が絡んで、東直己ならではの夜中のススキノに、人間たちの欲望や哀しみのドラマが展開する。  通常のススキノ便利屋シリーズであれば、それなりの人間的でハートウォーミングなハードボイルドになるところを、今回は敢えて、便利屋シリーズの外伝風に、しかも本来脇役でしかないはずの高校生の視点で捉えてゆく。高校生ならではの一人称の軽いタッチな文体。十代ならではの大人の世界へのドキドキ感が、何となく大人が読み返す自分の若かりし頃のようで、懐かしくもあり、切なくもある。  通常の高校生よりは少しだけ...
  • 天使の帰郷
    天使の帰郷 題名:天使の帰郷 原題:Flight Of The Stone Angel (1997) 作者:キャロル・オコンネル Carol O Connell 訳者:務台夏子 発行:創元推理文庫 2003.02.28 初刷 価格:\1,100  新聞広告でこの本の出版を知った日、広告のよくある例に洩れず、作中のあるパラグラフが引用されていた。天使=マロリーを見つめる誰かが、彼女の帰還をじっと見つめる下りで、これがとてもインパクトに満ちていた。  ぼくはその瞬間から、この本が女刑事マロリーのハードボイルド・シリーズであることを知り、一作目から順に読んでゆこうと誓った。この本の引用されていたあの一文に辿り着くために。  FADVの過去の感想を振り返ると、ある一部の読者たちから熱狂的な賛辞を受けているシリーズであることを改めて認識した。まるで...
  • 修道女の薔薇
    修道女の薔薇 題名:修道女の薔薇 原題:Blind Sight (2016) 著者:キャロル・オコンネル Carol O Connell 訳者:務台夏子 発行:創元推理文庫 2020.03.13 初版 価格:¥1,480  550頁。いつもなら二日ほどあれば読めるペースなのだが、6日かかった。これがキャロル・オコンネルに取り組むときのきっとぼくの平均的ペースである。スピーディに読み進めない。きっと作者もスピーディには書いていない。すごく丹念に凝りに凝ったレトリックを駆使して、本シリーズのヒロイン、キャシー・マロリーを描こうとする。木彫りに入れられる丹念な彫刻刀のような筆致で、肌理細かく。  それほどこだわりぬいた作風。この作家の個性。マロリーのさらにスーパーな個性。拾い親である亡き刑事ルイ・マーコヴィッツに育てられた孤独な孤児。天性のハッカーで、目的...
  • 蒲生亭事件
    蒲生亭事件 題名:蒲生亭事件 著者:宮部みゆき 発行:毎日新聞社 1996.10.10 初版 価格:¥1,700-  二・二六事件が、テーマだ。二・二六事件と言えば、大宮白鳥座の大画面で観た映画『動乱』が印象に強い。その映画では、高倉健が青年将校を、吉永小百合がその恋人を演じたが、憲兵という複雑な立場を演じる米倉斉加年、永田鉄山を斬撃する相沢三郎中佐を演じる田村高廣の存在感も強烈であった。その二・二六事件が本書の物語の時代背景となり、舞台となる、当時のミステリと完全に思い込んでいたぼくは、ページを開いて間もなく呆気に取られることになる。  何と、この作品は、タイムトラベラーものなのであった。現代に生きる18歳男子の主人公が、あることがきっかけで二・二六事件の起こる夜に時間移動してしまう、という反則技もいいところの小説。そう、主人公がどこにでもいる平均的で...
  • 訣別
    訣別 題名:訣別 上/下 原題:Tre Wrong Side of Goodbye (2016) 著者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通訳 発行:講談社文庫 2019.7.12 初版 価格:上¥880/下¥900  『ナイトホークス』で始まったハリー・ボッシュ・シリーズも、主人公が60代後半に差し掛かった今、終盤を迎えつつある感がある。LA警察を退職し、サンフェルナンド市警の非常勤職員として細々と警官業を続ける一方、私立探偵の免許を再取得し、警察の事件と探偵の事件の二つを抱え込む。警察の事件は連続レイプ事件、探偵の事件は遺産相続のための古い血縁者の捜査依頼。  探偵の一件では、長らく追想されることのなかったヴェトナムでのトンネルネズミ時代が、事件とのかかわりによってボッシュの心に帰ってくる。ヴェトナムで心身共...
  • 聖なる酒場の挽歌
    聖なる酒場の挽歌 聖なる酒場の挽歌 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) 題名:聖なる酒場の挽歌 原題:WHEN THE SACRED GINMILL CLOSES ,1986 作者:LAWRENCE BLOCK 訳者:田口俊樹 発行:二見文庫 1986.12.30 初版 1990.10.25 4版 価格:\540(本体\524)  前作『八百万の死にざま』からまたも4年の時が経過しての作品。マット・スカダー・シリーズはシリーズにしてはなかなか途切れ途切れだ。しかし大量生産よりも質の高い作品を世にきちんと出すという意味では、このスタイルの方がよほど読者にとってはいいのかもしれない。質の高い作品を多量に出してもらう方が本当は一番いいのだけど(^^;)  前作ではスカダーは酒に関する内的葛藤をひたすら繰り返し、そのために事件に積極的に関わろうとしていた...
  • 東 直己
    東 直己  すすきの便利屋、あるいはすすきの探偵、何でも屋、<おれ>という一人称でしか自分を語らないくせに、主義主張だけは頑固に貫き、卑しき街を闊歩する。海外小説の読者を軽く引っ張り込む、日本離れしたハードボイルドのコアにこだわる立脚点。日本の端っこの街札幌すすきのから発信する、探偵のへらず口。豪華で忘れがたい脇役陣を抱えて、素晴らしくピュアな落ちこぼれ探偵の生きざまを描く、国産小説ぴか一の痛快とペーソスとがここにある。  大人の職業探偵・畝原シリーズ、ヒットマン榊原のシリーズと、すべて札幌を舞台にして、東直己世界は裾野を広げている。決して有名な作家ではないかもしれない。しかし強固でかたくなな読者を掴み、離さないでいるのだと思う。深く、濃い、ファンの、ぼくもその一人である。 すすきの便利屋シリーズ 探偵はバーにいる 1992/05 バーにかかってきた電話 1993/01 消...
  • ファイナル・カントリー
    ファイナル・カントリー ファイナル・カントリー (ハヤカワ・ノヴェルズ) 題名:ファイナル・カントリー 原題:The Final Country (2001) 作者:ジェイムズ・クラムリー James Crumley 訳者:小鷹信光 発行:早川書房 2004.07.31 初版 価格:\2,300  忘れていた頃に出版される寡作家クラムリーゆえ、出るたびにその貴重さを感じながら大切に読みたくなる。遅読を容認する凝った文章のみで成り立った実に丹念なハードボイルド。王道、というやつである。小鷹信光氏の翻訳も気合が入って、クラムリー節を美しくワイルドな文体で歌い上げてくれている。ずっしりと詰まった重たい本の中に、ミロ・ミロドラゴビッチの人生の終わりに近い生き様が、北米大陸をうがつ皺のように刻み込まれたたまらない作品だ。  前作『明日なき二人』の結末で、カネをたん...
  • 歓喜の島
    歓喜の島 題名: 歓喜の島 原題: Isle of Joy (1997) 作者: Don Winslow 訳者: 後藤由季子 発行: 角川文庫 1999.9.25 初版 価格: \952  クリスマスは過ぎ去ってしまったけれども、クリスマスに読みたい本というのが確かにある。たとえばこの作品。クリスマスを軸にストーリーが展開する話でありながら、クリスマス前後の描写がひたすら美しいこと。それがぼくのクリスマス小説の条件。こういうのを満たすのは、ぼくは今まではエド・マクベインの『ダウンタウン』だったのだけれどこれを機会に、宗旨替えをしようと思ったくらいだ。 (ちなみに装丁にごまかされて村上春樹の『ノルウェイの森』を読んではいけない、あれは暗い小説なのだ)、  でも、『87分署』でバート・クリングがクレアとデートしたシーンのように、街中でウォルター...
  • クライ・マッチョ
    クライ・マッチョ 題名:クライ・マッチョ 原題:Cry Macho (1975) 著者:N.リチャード・ナッシュ N.Richard Nash 訳者:古賀紅美 発行:扶桑社ミステリー 2022.1.14 初版 価格:¥1,300  クリント・イーストウッドという生涯の憧れだった映画俳優が、91歳になるというのに、新作映画で主演も監督も請け負っていることにまず驚愕した。原作ノヴェルとして新たに翻訳され発掘されたこの作品は1975年の作品だ。ぼくがに三日に一回というペース(深夜の5本立てなども含む)で映画館という映画館のスクリーンに噛り付いていたアメリカン・ニューシネマの時代に映画人の誰からも振り向かれることなく、映画化もされなかった本作が、今、この時期に翻訳されるとは! まさにイーストウッド映画のお裾分けのように、映画を未だ観ていないぼくが原作に出会えた。しか...
  • ゼルプの欺瞞
    ゼルプの欺瞞 題名:ゼルプの欺瞞 原題:Selbs Betrug (1992) 作者:ベルンハルト・シュリンク Bernhard Schlink 訳者:平野卿子 発行:小学館 2002.10.10 初版 価格:\1900  『ゼルプの裁き』に続くゲーアハルト・ゼルプ三部作シリーズの第二弾。時期的には、あの大ヒット作『朗読者』に先立つ1992年の作品だが、本書はドイツ・ミステリ大賞受賞作でもある。なんといってもアメリカン・ハードボイルドのスタンダードな流れを汲みつつ、第二次大戦を含めての戦後処理問題を引きずる現代史を生きてきた頑固老人の私立探偵という設定があまりにも深く、重厚で、それでいて抑制をきかせながらも随所にユーモアのセンスを忘れない、文体のうまみ。老探偵は一徹であり、ベテランの切れ味を見せる捜査に、思わず心奪われる好シリーズなのである。  も...
  • 蟹喰い猿フーガ
    蟹喰い猿フーガ 蟹喰い猿フーガ (徳間文庫) 題名:蟹喰い猿フーガ 著者:船戸与一 発行:徳間書店 1996.1.31 初版 価格:\2,200  船戸与一には怖ろしく生真面目な作品の一方で、『山猫の夏』に代表されるような、娯楽作品としか言いようのない西部劇調の作品群がある。どちらかと言うと各国の先住民族にほんとうの人民史を見つめてきたような船戸の視線と表現への欲求は、こういう作品になるとかなり薄まり、別の娯楽小説作家としての明るく埃っぽい一面が浮き出てくる。  その娯楽作品群の中でもとりわけ多いのがロード・ムーヴィーならぬロード・ノヴェル。いわゆる複数のいわくありげな人間たちの「道行き」の物語なのだ。『緑の底の底』『黄色い蜃気楼』『炎 流れる彼方』などがそうした作品群だが、とりわけ本作は、そうした娯楽作の中でもスラップスティックな面で際立っていた『...
  • 悲劇週間
    悲劇週間 悲劇週間 題名:悲劇週間 作者:矢作俊彦 発行:文芸春秋 2005.12.15 初版 価格:\1,905  矢作俊彦は明らかに変化を遂げている。それも毎年、徐々にではなく、大きく、いかがわしく。  もともとは変化の少ない若手作家だった。ハードボイルドの旗手であり、アメリカにかぶれ、ヨコハマをステイタスにした嫌味なレトリックで、ある時代をカリスマとして日本のエンターテインメント小説界に風穴を開けた作家であった。人間としてのあまりの気障、嫌味っぷりに、毒を沢山盛られながらも、一握りの読者だけがこの作家に心酔した。  矢作俊彦は、FM放送で『マンハッタン・オプ』のシリーズを朗読用に書き、売れっ子劇画家である大友克弘に原案を提供した『気分はもう戦争』で時代を切り裂く超メディア的作家となった。  矢作の作品の多くのカバー画を飾ったのは、やはり...
  • 沈黙の橋
    沈黙の橋(サイレント・ブリッジ) 沈黙の橋(サイレント・ブリッジ) (ハルキ文庫) 題名:沈黙の橋(サイレント・ブリッジ) 作者:東 直己 発行:ハルキ文庫 2000.2.18 初版 価格:\619  『探偵くるみ嬢の事件簿』では、実はまるで砂漠に突如現れたラスベガスのように、旭川のちょっと北に突如風俗の街<来内別市>というものを出現させてしまう。全住民の70%が18から35歳の女性だという娯楽の市であり、全国から引きも切らずこの街に男共は遊行に来るのだ。  そういう突拍子もない設定を当たり前に書いてしまうところが既に東直己しているのだけれども、この作品は、のっけから日本が、日本民主主義人民共和国(北日本)と日本共和国(南日本)という二つの国家に分断している。そればかりか、札幌が南北陣営に分かれており、二つの国境としての壁がある。そう、あの冷戦時のベルリンを...
  • ブラック・ハート
    ブラック・ハート 題名:ブラック・ハート 上/下 原題:The Convrete Blonde (1994) 著者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:扶桑社ミステリー 1995.9.30 初版 価格:上\560/下¥540  この作家のエネルギーというのは何なのだろう。ロサンジェルス・タイムズ紙でジャーナリストとしてのキャリアを積んでいるが、年齢は、まさにぼくと同じである。欧米の作家としては若手に属してしまうだろう。それだけにエネルギッシュなものがあり、ハリー・ボッシュというひとりの刑事に注ぐ情念は相当のものである。技巧に走っているわけでもないが、ボッシュの独白は常に先鋭的で、今にもはみ出しそうで、この刑事のモチベーションは何なのだろう、この作家のモチベーションは何なのだろうと、首をひねらされること頻りであ...
  • 藤田宜永
    藤田宜永 私立探偵・相良治郎シリーズ(連作短編) 理由はいらない 1996 動機は問わない 1996 モダン東京シリーズ 蒼ざめた街(「モダン東京物語」改題) 1988 美しき屍(「モダン東京小夜曲(セレナ-デ)」改題) 1988 哀しき偶然 1996 堕ちたイカロス 1989 私立探偵・竹花シリーズ 探偵・竹花とボディ・ピアスの少女 1992 失踪調査 1994 私立探偵・鈴切信吾シリ-ズ 野望のラビリンス 1986 標的の向こう側 1987 長編小説 ラブ・ソングの記号学 1985 瞑れ、優しき獣たち 1987 影の探偵 1988 ダブル・スチール 1988 怨霊症候群(シンドロ-ム) 1988 タイホされたし度胸なし 1988 還らざるサハラ 1990 奇妙な果実殺人事件 1990 過去を殺せ 1990 遠い殺人者(「明日なんて知らない ノ-ノ-ボ-イ’69」改題...
  • 天使と嘘
    天使と嘘 題名:天使と嘘 上/下 原題:Good Girl, Bad Girl (2019) 著者:マイケル・ロボサム Michael Robotham 訳者:越前敏弥 発行:ハヤカワ文庫HM 2021.06.25 初版 2021.08.25 2刷 価格:各¥1,100  実力派作家にも拘わらず日本での翻訳は不遇をかこつ実力派作家、マイケル・ロボサムの新訳が、魅力的なキャラクター・コンビを引き連れて登場した。  嘘を見抜く能力を持つ少女、イーヴィ・コーマック。拷問を受けて殺された謎の人物テリーの死体とともに発見された少女、新聞ではエンジェル・フェイスの呼び名で知られた少女。  本書では、少女スケーターが殺害された事件がメイン・ストーリーである。証拠を遺した性犯罪者がすぐに容疑者として逮捕されるが、家族や親族間という狭い世界で未成年の男女...
  • 警部ヴィスティング 疑念
    警部ヴィスティング 悪意 題名:警部ヴィスティング 疑念 原題:Sak 1569 (2021) 著者:ヨルン・リーエル・ホルスト Jorn Lier Horst 訳者:中谷友妃子 発行:小学館文庫 2023.3.12 初版 価格:¥1,080  前作はこのシリーズにしては、ダイナミックなアクションでスタートする動的な物語であったが、本書は静かな世界の中で終始する物語との印象が強い。本来、この作者はこうした静かな作品が得意なのではないか。文章の洗練に洗われるが如き心地の中で、美しい文章に魅かれるように読んでゆく小説。そう思える。  その大きな理由が、ヴィスティングが休暇中である中で進む物語だから、なのかもしれない。これはコールドケース四部作の最終作品であるそうである。ハヤカワ・ミステリ『猟犬』でこの作者とこの主人公に引き寄せられてしまったのをきっかけに...
  • 魔術師の夜
    魔術師の夜 題名:魔術師の夜 上/下 原題:Shell Game (1999) 作者:キャロル・オコンネル Carol O Connell 訳者:務台夏子 発行:創元推理文庫 2005.12.28 初刷 価格:各\800  キャロル・オコンネルの作風はリアリティとはおよそ縁がない。むしろ現実世界から、どこまで遠くに飛ぶことができるかを、いつも実験しているように見えるところがある。  二作前でいきなり姿をくらました現職刑事のマロリーは、前作では故郷で一つの町を文字通り壊滅に追い込み、今また本作で都市の元の部署に帰ってきている。公務員とは思えぬ自由奔放振りが羨ましいが、元ストリート・チルドレンであり、善悪の彼岸に立つというヒロインの魅力は、そもそもそこにある。  これまでのどの作品も多くの点で、魔術・奇術・トリック・仕掛け・装置といったもの...
  • 特捜部Q アサドの祈り
    特捜部Q アサドの祈り 名:特捜部Q アサドの祈り 原題:Offer 2117 (2019) 著者:ユッシ・エーズラ・オールスン Jussi Adler Olsen 訳者:吉田奈保子 発行:ハヤカワ・ミステリ 2020.07.15 初版 価格:¥2,100  デンマーク発特捜部Qのシリーズは、いずれも長いく入り組んだ助走路と凝った人間描写による前半の仕掛けを、後半で一気に畳みかけてくる圧倒感が特徴だと言えるが、本書も例外ではない……どころか、従来にない手に汗握るアクションの畳みかけとそのスケールがシリーズ屈指と言ってよさそう。ましてやシリーズ当初のころから謎めいていて気になって気になって仕方のなかったアサドの過去を物語る重要な一冊となる。シリーズファンとしてはこれは読み逃すわけにはゆかないだろう。  暗い題材を扱う特捜部Qのシリーズは、カール・マー...
  • 逆襲
    逆襲 逆襲 (光文社文庫) (↑アマゾンで購入) 題名:逆襲 作者:東 直己 発行:光文社文庫 2001.6.20 初版 価格:\619  文庫オリジナルのノン・シリーズ短編集。東直己と言えば、思えばシリーズものしかすぐには頭に浮かばないわけで、少なくとも長編では『沈黙の橋』一作以外すべてシリーズ内作品ということになる。『フリージア』は出版当初はシリーズにない作品だったとは思うけれども、実際にはススキノ探偵シリーズと合体させてしまうことにより、それはそれで榊原のシリーズとなった。あれはもうこれ以上続くことはないだろうけれども。  本書は、1994年の『安売り王を狙え』以外の7作に関しては1997年から1999年と、つまり探偵シリーズに一段落を置いた時期に書かれていることが興味深い。ほとんど畝原シリーズの立ち上げに全力投球していたものと思われるが、その合...
  • 廃墟に乞う
    廃墟に乞う 題名:廃墟に乞う 作者:佐々木 譲 発行:文藝春秋 2009.07.15 初版 価格:\1,600  この作家はこの頃、連作短編集というかたちをとても効率よく使っている。『制服捜査』は、道警の裏金不祥事への対策アピールで余儀なくされた大異動の犠牲となり、札幌で有能な刑事だった川久保が十勝の片田舎の駐在警官として単身、赴任する設定であった。そこで十勝という広漠とした農村、いわゆるこれ以上ないくらいの田舎ならではの事件にその有能ぶりを発揮するのだった。この設定は十勝の冬景色を知る者にとっては痛快無比ですらあった。道産作家でなければこれほどの事情は書けまい、というところに拠って立つ作品集は、北海道民にとってまさに快挙である。  北海道の魅力を余すところなく作品に生かしている作家として、佐々木譲はまさに道産作家の旗手である。その作家がまた、連作短編集で...
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