wiki クライムウェイヴ(Sysop読書録 活字をめぐる冒険) 内検索 / 「ハロルド・ジャフィ Harold Jaffe」で検索した結果

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  • ハロルド・ジャフィ Harold Jaffe
    ハロルド・ジャフィ Harold Jaffe 長編 ストレート・レザー 1995 今村楯夫訳 エロスアンチ・エロス 1997 今村楯夫訳
  • ストレート・レザー
    ...1995) 作者:ハロルド・ジャフィ Harold Jaffe 訳者:今村楯夫 発行:新潮社 2000.7.30 初版 価格:\1,400  オフ・ビートどころではない。完璧にシュールでぶっ飛んだ短編小説集。「スーパーBAD短編集」という売りなのだから仕方がないのだけれども……。新潮社はチャールズ・ブコウスキー以来、こういう冒険じみた本を出すことを躊躇わなくなって来ているのだろうか。  どちらかと言うと日本語版ハードカバーは、C・ブコウスキーの『パルプ』みたいなカバー(つまりアメリカン・コミックみたいな)なんだけど、原書はモノクロの渋い雰囲気である。作者は先鋭的文芸誌"Fiction International"の編集長も勤めているのだそうだ。なるほど。  小説破壊みたいな文体というと、だれもがブコウスキーを想起するかもしれないけ...
  • T・ジェファーソン・パーカー T. Jefferson Parker
    T・ジェファーソン・パーカー T. Jefferson Parker マーシ・レイボーン・シリーズ レッド・ライト 2000 渋谷比佐子訳 ブラック・ウォーター 2002 横山啓明訳 ブルー・アワー 2002 渋谷比佐子訳 長編 ラグナ・ヒート 1985 山本光伸訳 流れついた街 1988 染田屋茂訳 パシフィック・ビート 1991 染田屋茂訳 渇き 1996 渋谷比佐子訳 凍る夏 1993 渋谷比佐子訳 サイレント・ジョー 2001 七搦理美子訳 コールド・ロード 2003 七搦理美子訳 カリフォルニア・ガール 2004 七搦理美子訳 レッド・ボイス 2008 七搦理美子訳 嵐を走る者 2009 七搦理美子訳 共著 死者は眠らず 2011 北村あかね訳 26人の作家
  • 死者は眠らず
    死者は眠らず 題名:死者は眠らず 原題:No Rest For The Dead (2011) 作者:アンドリュー・F・ガリー Andrew F.Gulli,ジェフ・アボット Jeff Abbott, サンドラ・ブラウン Sandra Brown, トマス・H・クック Thomas H.Cook, ジェフリー・ディーヴァー Jeffery Deaver,ダイアナ・ガバルドン Diana Gabaldon, テス・ジェリッツェンTess Gerritsen,ピーター・ジェイムズ Peter James, J・A・ジャンス J.A. Jance, フェイ・ケラーマン Faye Kellerman, レイモンド・クーリー Raymond Khoury, ジョン・T・レスクワ John T.Lescroart, ジェフ・リンジー Jeff Lindsay,ゲイル・リンズ Gayl...
  • ホリー・ジャクソン Holly Jackson
    ホリー・ジャクソン Holly Jackson ピッパ・フィッツ=アモービ三部作✙α 自由研究には向かない殺人 2019 服部京子訳 優等生は探偵に向かない 2020 服部京子訳 卒業生には向かない真実 2021 服部京子訳 受験生は謎解きに向かない 2021 服部京子訳
  • ゴルファーズ・キャロル
    ゴルファーズ・キャロル 題名:ゴルファーズ・キャロル 原題:The Golfer s Carol (2020) 著者:ロバート・ベイリー Robert Bailey 訳者:吉野弘人 発行:小学館 2021.11.29 初版 価格:¥2,100  年が明け、最初に読んだのがこの本。昨年の最後に読んだのが同じ作家のトム・マクマートリー四部作シリーズ完結編。そちらはスポ根と胸アツとリーガルミステリーが一緒になったような作品だったが、こちらはスポーツ小説とホームドラマとファンタジーが一緒になったようなノンジャンル小説。まさにジャンルの垣根を飛び越えても書きたい物語が胸の中に燃え上がっているような作家なのだろう。どの作品にも作家のどうしても書きたいものとそこへの情熱が込められていて、好ましいのだ。  作家とて商売。しかしそれによって生活しなければならない人生の...
  • 村上春樹
    村上春樹 長編小説 風の歌を聴け 1979 1973年のピンボール 1980 羊をめぐる冒険 1982 世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド 1985 ノルウェイの森 1987 ダンス・ダンス・ダンス 1988 国境の南、太陽の西 1992 ねじまき鳥クロニクル 1 泥棒かささぎ編 1994 ねじまき鳥クロニクル 2 予言する鳥編 1994 ねじまき鳥クロニクル 3 鳥刺し男編 1995 スプートニクの恋人 1999 海辺のカフカ 2002 アフターダーク 2004 1Q84 Book1/Book2 2009 1Q84 Book3 2010 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 2013 街とその不確かな壁 2023 短編小説集 中国行きのスロウ・ボート 1983 カンガルー日和 1983 蛍・納屋を焼く、その他短編 1984 回転木馬のデッドヒート 1985 パン屋再...
  • 弱気な死人
    弱気な死人 題名:弱気な死人 原題:The Scared Stiff (2002) 作者:ドナルド・E・ウエストレイク Donald E. Westlake 訳者:越前敏弥 発行:ヴィレッジブックス 2005.7.20 初版 価格:\800  南米の架空の国ゲレラ。夫婦で巨額の借金を抱えたバリーとローラ夫妻は、夫をゲレラで事故死に見せかけ、生命保険を得た上で、別人に成りすまして高飛びをしようという、悪辣な計画を立てる。  ところが当然ウェストレイクの小説はそんなことをすんなり進捗させたりはしない。ドートマンダー・シリーズのように、次から次へと計画を破綻させようというスリリングな展開が主人公を襲う。妻はアメリカ本国に帰り、死んだことになっている夫のみが、南米の面倒な国で、たまらない苦労を背負うことになる。  別の人間に成りすました故に各方面...
  • james ellroy
    ジェイムズ・エルロイ James Ellroy <ノワールの核>  自ら母が殺害され、その犯人は今もって不明。悪の獣道を歩んできたエルロイは、天才的で破壊的な文体を駆使して、世界に暗黒のクロニクルをつきつけてみせた。今も、母の死を見つめ、闇に潜む暴力を捜し求めるエルロイの、魂の悲鳴が綴ってきたその作品群は、エルロイの生そのものであるように見える。唯一無比の圧倒。現代のドストエフスキー。これまでに出逢った世界最高峰の作家、エルロイは間違いなくその一人である、と豪語しよう。 ホプキンズ三部作 血まみれの月 1984 小林宏明 ホプキンズの夜 1984 小林宏明 自殺の丘 1986 小林宏明 1950年代、ロス暗黒史四部作 ブラック・ダリア 1987 吉野美恵子 ビッグ・ノーウェア 1988 二宮 馨 LAコンフィデンシャル 1990 小林宏明 ホワイト・ジャズ 1...
  • 緋色の記憶
    緋色の記憶 題名:緋色の記憶 原題:The Chatham School Affair (1996) 作者:Thomas H. Cook 訳者:鴻巣友季子 発行:文春文庫 1998.3.10 初版 価格:\543  ぼくのとても好きな作家の一人であるクックでありながら、読みそびれてしまった。いつも『このミス』の常連作家でありながら今回は読み逃してしまった。そして今年になってこの本を遅れ馳せながら手にとって、そしてページを開くなり瞬く間に作品の世界に引き入れられる自分を感じて、読みそびれていたことを、ぼくはとても残念に思った。クックはやはりクックのままで、この作家独自の密度の濃い時空間をそこに用意していた。  前作『闇をつかむ男』から、最近のトマスはこれまでのハードボイルド作品から離れ、時間軸を遡行するロマン的傾向に作風が展開しているとのことであった...
  • ゴルディオスの結び目
    ゴルディオスの結び目 題名:ゴルディオスの結び目 原題:Die Gordische Schleife (1988) 作者:ベルンハルト・シュリンク Bernhard Schlink 訳者:岩淵達治、他 発行:小学館 2003.08.20 初版 価格:\1,714  ワールド・カップやその他の国際試合でドイツ代表の試合を見ると、とにかく細かいテクニックではなく、気力と体力で闘志を剥き出しにした勝負強さというのが目立つ。ブラジルあたりと対戦すると、片や人間離れした技術力で魅せに魅せるというブラジルに対して、ドイツは常に無骨な力業で勝負を挑み、それでいて結構な戦績を挙げている。  ベルンハルト・シュリンクがゼルプ・シリーズのようなハードボイルドや本書のような冒険小説に挑むとき、ぼくはやはり、ははあドイツ人だなあ、って微笑んでしまいたくなることが多い。 ...
  • アメリカン・デス・トリップ
    アメリカン・デス・トリップ 題名 アメリカン・デス・トリップ 上/下 原題 The Cold Six Thousand (2001) 著者 ジェイムズ・エルロイ James Ellroy 訳者 田村義進 発行 文藝春秋 2001.9.15 初版 価格 各\2,381  『アメリカン・タブロイド』から6年。USAアンダーワールド三部作の第二作が漸く到着した。待ちに待たれたエルロイ、久々の長編。  JFKという名の祝祭に終わった前作。ダラスの熱い一日。葬られた者。悪と秘密を抱えたまま通り過ぎて行く者たちの夏は一度幕を閉じた。  そして本作。ダラスへ向かう者の登場。若造。父の差し金。クランとマフィアとヴェガスの物語が火を噴き始める。殺人と買収と裏切りの時代が、ぎりぎりと軋み始める。前作以上の密度で。重さで。風圧で。  ジ...
  • かくも冷たき心
    かくも冷たき心 題名:かくも冷たき心 原題:Cold Cold Heart (1994) 作者:ジェイムズ・エリオット James Eriot (J・C・ポロック J.C.Pollock) 訳者:中原裕子 発行:ハヤカワ文庫NV 1999.4.15 1刷 価格:¥800  ポロックはどこへ行くのか? 一流のエンターテインメント作家というには少しだけ不足していつも二番手を走っているイメージがあるのだけれど、そこそこには作品は面白い。ポロックは初期作品だけだとの声もよく耳にする。ぼくもそう思うところがある。あの『樹海戦線』の興奮はどこへ? と思う。  ポロックが苦労して手を変え品を変えして、エンターテインメントを目指している姿はよくわかる。特殊部隊専門小説家みたいなイメージから少しだけずれたミステリーをとの方向性もよくわかる。ここ何冊もぼくは付き合ってきた...
  • ゴースト・スナイパー
    ゴースト・スナイパー [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 題名:ゴースト・スナイパー 上/下 原題:The Kill Room (2013) 著者:ジェフリー・ディーヴァー Jeffery Deaver 訳者:池田真紀子 発行:文春文庫 2017.11.10 初刷 2014/10 初版 ...
  • 死を誘うロケ地
    シャロウ・グレイブズ(「死を誘うロケ地」改題) シャロウ・グレイブズ (ハヤカワ・ミステリ文庫) 死を誘うロケ地 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 題名:死を誘うロケ地 原題:Shallow Graves (1992) 作者:Jeffery Wilds Deaver wrighting as William Jefferies 訳者:飛田野裕子 発行:ハヤカワ文庫HM 1995.7.31 初版 価格:¥680  やはり『ヘヴンズ・キッチン』の前に、こちらを先に読むべきだった。シリーズは順番に読まなくてはいけない。あとはどうであれ、少なくとも第一作は最初に読むべきだろう。ぼくも不幸だけれど、ハヤカワ文庫として最後に『シャロウ・グレイヴス』として出版されるのが本書だとしたら、多くのディーヴァー読者にしたって、当のディーヴァー本人にしたって、あまり幸せそうな顔はしな...
  • 無頼の掟
    無頼の掟 題名:無頼の掟 原題:A World Of Thieves (2002) 作者:ジェイムズ・カルロス・ブレイク James Carlos Blake 訳者:加賀山卓朗 発行:文春文庫 2005.1.10 初版 価格:\771  微熱のように残る作品である。多かれ少なかれ、現代という都市性に委ねられた我々の日常生活から、いかに遠い隔たった場所へ連れて行ってくれるかというあたりは、小説というスタイルの醍醐味であるが、それこそこの物語は1920年代、禁酒法時代のテキサス。ジャズの街、ニューオーリンズから、荒くれた無法地帯である西部油田地帯へ、ロード・ノヴェルと、過去へのフェイド・バックを交えながら、丹念な歴史絵のタペストリーの如く紡ぎ出されてゆく。  『ワイルド・バンチ』を意識させるような、冒頭の銀行強盗シーンに始まる衝撃のストーリーは、過...
  • セバスチアン・ジャプリゾ
    セバスチアン・ジャプリゾ Sèbastien Japrisot / ジャン=バティスト・ロッシ Jean Baptiste Rossi 長編小説 寝台車の殺人者 1962 シンデレラの罠 1962 新車の中の女 1966 平岡 敦訳 殺意の夏 1977 長い日曜日 1991 田部 武光訳 ジャン=バティスト・ロッシ名義 不幸な出発 1950
  • J・C・ポロック John Charles Pollock
    J・C・ポロック John Charles Pollock/ジェイムズ・エリオット James Elliott ジャック・ギャノン・シリーズ 復讐戦 1989 広瀬順弘訳 狙撃 1991 広瀬順弘訳 略奪者 1993 広瀬順弘訳 長編 デンネッカーの暗号 1982 広瀬順弘訳 ミッションMIA 1982 伏見威蕃訳 樹海戦線 1984 沢川進訳 トロイの馬 1985 沢川進訳 かくも冷たき心 1994 中原裕子訳 ジェイムズ・エリオット名義 射程圏 1997 中原裕子訳 終極の標的 2000 広瀬順弘訳 
  • 上司と娼婦を殺したぼくの場合
    上司と娼婦を殺したぼくの場合 (「あんな上司は死ねばいい」へ改題 ) 題名: 上司と娼婦を殺したぼくの場合 原題: Cold Caller (1997) 作者: Jason Starr 訳者: 大野晶子 発行: ソニー・マガジンズ 1999.9.25 初版 価格: \1,600  ダグラス・ケネディの『仕事くれ。』はいわゆる失業サスペンスだった。国内でも藤原伊織が企業転職ハードボイルドとでも言うべき『てのひらの闇』を書いており、どちらも秀逸の出来。かつての企業小説と言うと夢も何もないビジネスマンのための参考書ミステリーみたいなからっとしたものが多かったのだが、ビジネスの世界も今では十分に娯楽性を与えられて生き生きと描かれるものが多くなった。  もっともそうした傑作ビジネス冒険小説(と呼んでしまう)には悩める主人公、生きのいい上司や同僚といった...
  • ベイビィ・キャット-フェイス
    ベイビィ・キャット-フェイス 題名:ベイビィ・キャット-フェイス 原題:Baby Cat-Face (1995) 作者:Barry Gifford 訳者:真先義博 発行:文春文庫 2001.4.10 初版 価格:\590  「南部の夜」三部作の完結編。と言ってもそれぞれにつながりがあるとは言え、何かが完結したとはとても思えないけれど。主人公がどんどん入れ代わるストーリー。  親が死ねばその息子や娘の物語へ。あるいは主人公が死ねばバスに乗り合わせた女の子の物語へ。あるいは酒場でカウンターごしに居合わせた男の方の物語へ。物語は無限リンク的に語り継がれ、ときにはどこか昔に関係のある人々が、そうと知らずにその子孫同士がある場所で行き違うこともある。  そういう永い永い歴史をユーモアとバイオレンスを交互に出し入れしながら積み上げてゆく。奇怪なレゴ・...
  • 続・用心棒
    続・用心棒 題名:続・用心棒 原題:The Hard Stuff(2019) 作者:デイヴィッド・ゴードン David Gordon 訳者:青木千鶴 発行:ハヤカワ・ミステリ 2021.4.15日 初版 価格:¥1,900  『用心棒』というだけで怪しげな邦題のジョー・ブロディ・シリーズ第二作。『続・用心棒』とは、何だか昔の時代劇映画みたいだ。マカロニ・ウェスタンの『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』が「続」とか「新」とか、まるで別の作品なのに、タイトルで売れっ子俳優クリント・イーストウッドの二番煎じ三番煎じを狙ったという当時の映画界事情が思い浮かぶ。  いかがわしさ満載のこの作品は、あの毒々しい当時の映画看板を思い出させ、何だか汗臭く、昭和っぽく、やたらと懐かしい。ぼくは仕方なく、C・イーストウッドのイメージでジョーを思い描くことにしています。 ...
  • ロードサイド・クロス
    ロードサイド・クロス 題名:ロードサイド・クロス 原題:Roadside Crosses (2009) 作者:ジェフリー・ディーヴァー Jeffery Deaver 訳者:池田真紀子 発行:文藝春秋 2010.10.30 初版 価格:\2,381  リンカーン・ライム・シリーズからのスピンオフ・シリーズ、人間嘘発見器キャサリン・ダンスのシリーズ第二作である。  こちらでもまた、デジタル犯罪である。ここのところこの作者のみならず、犯罪に関する小説も映画もコンピューターやネットを駆使したネタが増えてきた。ある程度出尽くしたのじゃないかと思われるものでも、まだまだネタは尽きないとばかりに、さまざまな作者たちがアイディアを見せている現状を見る限り、ネットやコンピュータの領域というのは、エンターテインメントの一大マーケットとなっているありさまである。 ...
  • 悪党たちのジャムセッション
    悪党たちのジャムセッション 悪党たちのジャムセッション (角川文庫) 題名:悪党たちのジャムセッション 原題:Nobody s Perfect (1977) 作者:ドナルド・E・ウエストレイク Donald E. Westlake 訳者:沢川 進 発行:角川文庫 1983.5.10 初版 1998.5.25 改版初版 価格:\880  ドートマンダー・シリーズ第4作。これは1977年の作品だが、別名義で続けているもう一つのシリーズ『悪党パーカー』のように永い中断期間もなく、未だに新作が発表され続けていることがある意味奇跡的でもある。  というのは、ドートマンダーにしても、パーカーにしても、非常にシンプルな設定で、しかもその設定には決定的なほどに縛りが多いからだ。よくぞここまで連続してこの縛りの中で手を変え品を変え、新作を書いてゆけるものだと、そのアイデ...
  • 生か死か
    生か死か 題名:生か死か 原題:Life Or Death (2014) 作者:マイケル・ロボサム Michael Robotham 訳者:越前敏弥 発行:ハヤカワ・ミステリ 2016.9.15 初版 価格:\2,000-  ニュージーランドの作家ベン・サンダースが地元ニュージーランドのシリーズから離れ、アメリカを舞台にした作品『アメリカン・ブラッド』でブレイクしたと同様に、オーストラリア生まれの作家マイケル・ロボサムは、永く住んだイギリスを舞台にしたシリーズから離れ、アメリカを舞台にしたこの作品で何ともはや、ゴールド・ダガー賞(英国推理作家協会賞)を勝ち得てしまった。  二冊の外国人によるアメリカの小説を立て続けに読んでしまったために、ぼくの中で混乱が起きているのは、どちらも三人の目線を主として書かれた小説であり、その一人は女性刑事、どちらも正悪...
  • 明日なき二人
    明日なき二人 明日なき二人 (Hayakawa novels) 明日なき二人 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 題名:明日なき二人 原題:Bordersnakes (1996) 作者:James Crumley 訳者:小鷹信光 発行:早川書房 1998.8.31 初版 価格:\2,200  クラムリィがとことん好きである。文章の一行一行をこよなく愛読してしまう。昔、ハードボイルドというものに初めて触れたときのこの贅沢感。忘れていた読書時間。クラムリィはいつもこいつをぼくに思い出させてくれる。  ミロとシュグルー。物語の向こうではいつもこの二人は互いの存在を意識し合っているくせに、読者の前にはついぞその姿を見せることがなかった。前作『友よ闘いの果てに』で一瞬のすれ違いを見せはしたものの、それぞれに違うストーリーを生きていることには代わりはなかった。『さらば甘...
  • スキン・コレクター
    スキン・コレクター 題名:スキン・コレクター 原題:The Skin Collector (2014) 著者:ジェフリー・ディーヴァー Jeffery Deaver 訳者:池田真紀子 発行:文藝春秋 2015.10.15 初版 価格:¥2,350  リンカーン・ライム・シリーズもこれで11作。『ボーン・コレクター』に続く<コレクター>というタイトルなので、気になっていたのだが、やはり初代リンカーン・ライム登場篇となった『ボーン・コレクター』に誘拐され救出された少女パム・ウィロビーが成長して再登場するという点で、やはり関連付けはあった。そればかりか『ウォッチメイカー』の悪役を務めたリチャード・ローガンもまたこの作品のメインストーリーを縫うようにして存在感を見せてくれるので、シリーズ作品のサービスも充実した十字路的作品に仕上がっているように思う。  本書...
  • ホワイト・ジャズ
    ホワイト・ジャズ 題名 ホワイト・ジャズ 原題 White Jazz (1992) 著者 James Ellroy 訳者 佐々田雅子 発行 文藝春秋 1996.04.01 初版 価格 \2,600(本体\2,524)  やっと辿り着いた。思えば壮大な物語であったこのLA四部作。作者がどの種のエネルギーを持ち合わせていれば書けるのかと思わせるほどの世界一パワフルな小説。それがLA四部作だと思う。悪を描くことにかけてはこれ以上の作家はいない。エルロイは、もはや現代のドストエフスキーと呼んでいいだろう。  前二作の解決のつかないロス警察内の軋轢がまだるっこしくて待っていた読者だろうが、これを笑い飛ばすかのように、エルロイはテンポを一気に変えた。新しい主人公の視点でこれまでと同じロス警察内外の暗闘を描いたのだ。それも徹底的に破壊された文体で...
  • 汚れた街のシンデレラ
    汚れた街のシンデレラ 汚れた街のシンデレラ (ハヤカワ・ミステリ文庫) 題名:汚れた街のシンデレラ 原題:Manhattan Is My Beat (1989) 作者:Jeffery Wilds Deaver 訳者:飛田野裕子 発行:ハヤカワ文庫HM 1994.8.31 初版 価格:¥620  いわゆるサイコ・シリーズともジョン・ぺラムのハードボイルド路線のシリーズとも若干趣きを異にしたニューヨークのパンク娘ルーンを主役にしたシリーズ第1作(残り2作は未訳)。  パンク娘といえば、ジェン・バンブリー『ガール・クレイジー』という、『このミス』でぼく以外は誰も推さなかったというポップ・ハードボイルドが思い起こされ、本書もどことなく似た雰囲気でスタートする。どちらもただの店員。あちらは本屋だったが、こちらはレンタルビデオ・ショップ。こんなポップ・ミステリをディ...
  • 扇動者
    扇動者 題名:扇動者 上/下 原題:Solitude Creak (2015) 著者:ジェフリー・ディーヴァー Jeffery Deaver 訳者:池田真紀子 発行:文春文庫 2019.11.10 初刷 2016/10 初版 価格:各¥820  前作を引き継ぐかのように音楽テーマでスタートする本作だが、なんとコンサート会場が火災を装ったパニック騒動となり、死傷者が出る騒ぎに。それを仕掛けて喜ぶ陰湿な犯罪者というのが幕開けの単純な構図。  もちろんかと言ってディーヴァー作品がそんな単純構造であるわけがない。その裏には、人種間のヘイトクライム、またはそれを装った犯罪組織の影、またはそれを利用して殺しを楽しむゲーマーの世界。単独犯なのか、組織犯罪なのか? 視点が入れ替わることで、次々と見え方が変わってくる第一の事件に続いて、第二第三の仕掛けが重なっ...
  • パリ警視庁迷宮捜査班 魅惑の南仏殺人ツアー
    パリ警視庁迷宮捜査班 魅惑の南仏殺人ツアー 題名:パリ警視庁迷宮捜査班 魅惑の南仏殺人ツアー 原題:Rester groupés (2016) 著者:ソフィー・エナフ Sophie Hénaff 訳者:山本知子・山田文 発行:ハヤカワ・ミステリ 2020.10.10 初版 価格:¥1,800  昨年の第一作『パリ警視庁迷宮捜査班』には度肝を抜かれた。個性豊かな困りもの警察官たちがひとところに集められ、世間の眼から隠されるというパリ警視庁の目論見と、それに反して活躍し団結してしまうへんてこなメンバーたちという構図が、ある種典型的でありながら、やはり嬉しいシリーズの登場作であった。  本作は期待のシリーズ第二作。本書では前作登場のメンバー9人に加え、2人のメンバーが順次加わってゆく。さらに前作登場の犬に加えネズミ君も登場して、しっかりコミカル面を演出して...
  • 喪失のブルース
    喪失のブルース 題名:喪失のブルース 原題:The Lost Ones (2017) 著者:シーナ・カマル Sheena Kamal 訳者:森嶋マリ訳 発行:ハーパーBOOKS 2018.4.15 初版 価格:¥991  アンチ・ヒーローならぬアンチ・ヒロイン。十代後半でこの世の悲劇がすべて襲いかかってきたような女性ノラ・ワッツ、ネイティブ・アメリカンとのハーフでもである彼女の三部作の幕開け第一作である。さてその悲劇。レイプと暴力と遺棄。ジャーナリストに救出されたものの、長い昏睡期間を経て出産の大量出血のさなかで目覚める。レイプ犯の子を妊娠していたのだ。精神を病んだままのノラ。生まれた娘は里子に出され、ノラはブルース・シンガーとしての才能を活かし歌手を志したもののアルコール依存症となる。  アル中からどうやら脱け出せたという段階で、探偵事務所の調...
  • 獣どもの街
    獣(けだもの)どもの街 獣どもの街 (文春文庫) 題名:獣(けだもの)どもの街 原題:HurrywoodFuck Pad, Hot-Prowl Rape-O, Jungletown Jihad (2004) 作者:ジェイムズ・エルロイ James Ellroy 訳者:田村義進 発行:文春文庫 2006.10.10 初版 価格:\781  あのエルロイが、すっかり鳴りを潜めていた。ヴァクスは相変わらず鳴りを潜めている。死人であるトンプスンの方がまだしも、現代という名の汚れきった空気を肺に充満させて満足しているかに見える。いずれ、読者の錯覚に過ぎないのが重々わかっているのだが……。  そのエルロイ、まさに5年ぶりの復活! と祝いたいほどに、ともかく懐かしい。リック&ドナのシリーズ。本書はその中篇が三つ収録された連作小説集なのだが、込み入ったいきさつがあるらし...
  • 危険なやつら
    危険なやつら 危険なやつら (扶桑社ミステリー) 題名:危険なやつら 原題:The Shark-infested Custard (1993) 作者:Charls Willeford 訳者:浜野アキオ 発行:扶桑社ミステリ 1996.02.29 初版 価格:\600  あんまり巡ってこない2月29日という日にわざわざ発行日を持っていったのは、日常とか常識とか言ったレールから敢えてはみ出してゆくようなズレた感覚を持った本書のような作品にまつわる洒落の一種なのだろうか? そう、うがちたくもなるほどにオフビートという言葉が似つかわしい一冊。ある種デカダンで刹那的な男たちの奇妙な物語だ。  タランティーノが自分の映画はウィルフォード似だと豪語するように、確かにこの小説の感覚はメインストーリーからの脱線感覚が全編を貫いている。その倦怠に彩られた全体像を、時折り何...
  • 酔いどれの誇り
    酔いどれの誇り 酔いどれの誇り (ハヤカワ・ミステリ文庫) 酔いどれの誇り (1984年) (Hayakawa novels) 題名:酔いどれの誇り 原題:THE WRONG CASE ,(1975) 作者:JAMES CRUMLEY 訳者:小鷹信光 発行:新潮文庫 1992.4.30 初刷 価格:\660(本体\641)  帯に<極上のハードボイルド>とあり、ほんとかよ、と疑いながら読んでみたが正真正銘<極上のハードボイルド>だった。クラムリーを読まずしてハードボイルドを語る資格はない。  さて<ハードボイルドとは何ぞや>なんてさんざん語り合ったとこころで、読書遍歴はそれぞれ様々だし、なかなか文学史の教授なども友達にいないせいか、まとまりはつかない。いつだって結論は出ず、ハードボイルドとは、それぞれの勝手な思い込みだ、とまで開き直りたくもなってくる...
  • ザ・プロフェッサー
    ザ・プロフェッサー 題名:ザ・プロフェッサー 原題:The Professor (2015) 著者:ロバート・ベイリー Robert Bailey 訳者:吉野弘人訳 発行:小学館文庫 2019.3.11 初版 価格:¥970  骨のある小説かどうかは、どういうわけか最初のページからわかってしまう。その期待はたいてい裏切られない。ストーリーではなく、作家が書こうとしているものが、文体の後ろからにじみ出てくるような、そう、気配のようなもの、小説の持つ気品のようなものだ。  そうなるとストーリー展開も楽しくなる。なかなかタフな物語になることは、書き出しで摑めているからだ。  南部出身の法律家出身の作家は誰? 大抵の読書子ならば、ジョン・グリシャムと答えると思う。この新手の作家ロバート・ベイリーも実は南部出身の法律家なのである。先人グリシャムの権威を...
  • 新車のなかの女
    新車のなかの女 [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 題名:新車のなかの女 原題:La Dame Avec Des Lunettes Un Fusil (1966) 作者:セバスチャン・ジャプリゾ Sébastien Japrisot 訳者:平岡 敦 発行:創元推理文庫 2015/7/31 初版 ...
  • アメリカン・タブロイド
    アメリカン・タブロイド 題名 アメリカン・タブロイド 上/下 原題 American Tabloid (1995) 著者 James Ellroy 訳者 James Ellroy 発行 文芸春秋 1998.2.1 初版 価格 各\2,381  エルロイはやはり人を食っている。次々と視点を変え、文体を変え、作風を変えるんは今に始まったことはではない。しかし『ホワイト・ジャズ』から、のこのテンポの変化はやはり、これまでの読者を手玉に取ったものとしか言いようがない。  たいていは同じ主題、個のバイオレンスを低調音とした悪のアメリカ史を書いていながら、一作一作の作品のトーンを変えてしまうのは、見事としか言いようがない。この作品では、進行する物語をいくつもの【挿入文書】でサンドイッチしながら、読者の側を素晴らしいテンポで引き込んでゆ...
  • ナイト・ピープル
    ナイト・ピープル [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 題名:ナイト・ピープル 原題:Night People (1992) 作者:Barry Gifford 訳者:真先義博 発行:文春文庫 2000.12.10 初版 価格:\600  200ページ弱と薄いのをいいことにさっと読ん...
  • 007 白紙委任状
    007 白紙委任状 題名:007 白紙委任状 原題:Carte Blanche (2011) 著者:ジェフリー・ディーヴァー Jeffery Deaver 訳者:池田真紀子 発行:文藝春秋 2011.10.15 初版 2011.11.25 3刷 価格:¥2,380  最近、新しいキャラクター、コルター・ショーのシリーズを楽しんできたのに、本書は全然楽しめなかった。この作品が出た時代、ディーヴァーは売れっ子の頂点にあって、多作であることはもちろん、シリーズのポイントである警察捜査小説のシリーズも登場当初は大人気だったのが、徐々にワンパターン化し中弛みの時期を迎え始めた頃だったのだと思う。  そんな時期に、一応は鳴り物入りで売り出されたのが、原作者イアン・フレミングと数々の映画シリーズによって世界的スパイ・ヒーローとなった007ジェイムズ・ボンドに、ディ...
  • 自由研究には向かない殺人
    自由研究には向かない殺人 題名:自由研究には向かない殺人 原題:A Good Girl s Guide To Murder (2019) 著者:ホリー・ジャクソン Holly Jackson 訳者:服部京子 発行:創元推理文庫 2021.8.27 初版 2021.12.3 5刷 価格:¥1,400  ヤングアダルトを読むことになるとは思わなかったけれど、これだけ話題となっていれば、60代の読者であれ、半年遅れであれ、読んでみなければ気が済まないという気にもなるのだ。  ミステリーには変化球がいろいろあると思うけれど、これはタイトルから類推できる通り、斬新なアイディア。自由研究というと夏休みの小学生を思い浮かべるが、この物語の主人公であるピップ(ピッパ)はグラマースクールの最上級生とされている。ネットで検索しても、「グラマースクールの最上級生」という年...
  • 探偵コナン・ドイル
    探偵コナン・ドイル 題名:探偵コナン・ドイル 原題:Knife In The Fog (2018) 著者:ブラッドリー・ハーパー Bradley Harper 訳者:府川由美恵 発行:ハヤカワ・ミステリ 2020.03.15 初版 価格:¥1,800  コナン・ドイルの『緋色の研究』によるデビューが1886年。ホームズの第二作『四つの署名』が1890年。その間の四年間、ドイルはホームズは一作書いただけの鳴かず飛ばずなので、英国内乱の歴史小説を書いている。そして本業の医師の仕事についている。プライベートには1988年に妻ルイーズが妊娠。その頃、切り裂きジャックが血まみれのナイフ片手に、霧の町ロンドンの夜を震え上がらせている。  そんな時系列を抑えておく。つまり本書の作者は、ホームズ作品の難産作品二作目を産み出すモチーフとして、四年間の空白の中間部に勃発...
  • バリー・ギフォード
    バリー・ギフォード Barry Gifford サザン・ナイツ・トリロジー ナイト・ピープル 1992 アライズ・アンド・ウォーク 1994 ベイビィ・キャット-フェイス 1995 長編小説 ワイルド・アット・ハート 1990 セイラーズ・ホリデイ 1991 ロスト・ハイウェイ 1997 評論 ケルアック ローレンス・リー共著 1978 ケルアックズタウン 1977 サローヤン伝説 ローレンス・リー共著 1984
  • 幸運には逆らうな
    幸運には逆らうな 題名:幸運には逆らうな 原題:Soldiers Of Fortune (2015) 著者:ジャナ・デリオン Jana Deleon 訳者:島村浩子 発行:創元推理文庫 2023.8.31 初版 価格:¥1,100  「ワニ町」シリーズいつの間にか6作目。シリーズは3作ほどを区切りにして、その後翻訳出版打ち切りなんていうことがままある。出版社を変えて別の翻訳者で再開、なんて版権の移動もあったりするから、翻訳ミステリーのシリーズものは心配だ。しかし、本シリーズは人気があるらしく、きちんと翻訳が続いているし、打ち切りの話もまったく出てこない。ストーリーも良いが、翻訳小説とは思えないほど、日本語訳の文章も素晴らしいシリーズだと思う。  さて前作から続いて、保安官助手のカーターは未だ完全復活ならず。それもそのはず毎年一冊ずつ読ませて頂いている...
  • 鷲は舞いおりた
    鷲は舞いおりた 鷲は舞い降りた (1976年) (Hayakawa novels) 題名:鷲は舞いおりた 原題:THE EAGLE HAS LANDED 作者:JACK HIGGINS 訳者:菊池光 発行:ハヤカワ文庫NV 1987年12月 16刷 価格:¥620  さて『鷲は舞いおりた』はジョン・スタージェス(『大脱走』の監督ですね)の手によって映画化されていることでもあるし、今更改めて紹介するまでもないほどに傑作の名をほしいままにした、言わば冒険小説の金字塔である。もし新作を追い求めることばかりにプライベートな時間のほとんどを費やしていて、しかもこういう傑作をまだ読んでいないという方には、ぼくは言いたい。すぐにこの本を書店の隅っこの方(もちろん優れた本というのは書店の翳の部分に眠っていることが多いのである)から掘り出して来て読みなさい。あなたの時間の一部分...
  • おとしまえをつけろ
    おとしまえをつけろ [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response {...
  • 獣たちの庭園
    獣たちの庭園 獣たちの庭園 (文春文庫) 題名:獣たちの庭園 原題:Garden Of Beasts (2004) 作者:ジェフリー・ディーヴァー Jeffery Deaver 訳者:土屋 晃 発行:文春文庫 2005.09.10 初版 価格:\905  逢坂剛が得意なのは、トリックを煮詰めることではなく、描写によって読者の眼を欺くことである。『百舌の叫ぶ夜』の帯には「トリックからプロットへ」という表現がなされていて、それがどういう意味なのか、何が斬新なのかと考え悩んでしまったことがあるが、その作品がエンターテインメントとして実に成功した作品で、本当に読者としてころりと騙されてしまった記憶がある。  しかし後になって考えてみるとプロットをしっかり練って、あとは描写によってある部分を隠すことが読者を欺くという、この技法は、難しいトリックに頼るよりもずっと...
  • 卒業生には向かない真実
    卒業生には向かない真実 題名:卒業生には向かない真実 原題:As Good As Dead (2021) 著者:ホリー・ジャクソン Holly Jackson 訳者:服部京子 発行:創元推理文庫 2022.7.14 初版 価格:¥1,500  二作目を読むのに一作目を前もって読んでおく必要があると強く感じたのと同様に、本作を楽しむには一二作目をどちらも読んでおかないと、まず人間関係がわからない。ぼくはどちらも読んでいたけれど一年に一作ずつという発刊ペースでは、もちろん前作までの人間関係は記憶から消去される。この三部完結シリーズを真に娯しむためには、三作を続けて一気に読むほうが良いだろう。  これから『自由研究には向かない殺人』『優等生は探偵に向かない』を読んで、本作に取り組む方は幸せな読者である。何故なら一作一作がどれも面白いから。そして一作が次の一...
  • 優等生は探偵に向かない
    優等生は探偵に向かない 題名:優等生は探偵に向かない 原題:Good Girl, Bad Blood (2020) 著者:ホリー・ジャクソン Holly Jackson 訳者:服部京子 発行:創元推理文庫 2022.7.22 初版 価格:¥1,300  前作で新鮮な面白さを披露した作者。過去の二つの死をめぐって元気溌溂な少女探偵ピップが大活躍を見せたが、第二作ではっきりしたのは、それぞれが独立した作品と言うより、三作で完結する連続シリーズと考えた方がよさそう、ということだ。前作『自由研究には向かない殺人』から直結したプロローグとなるので、のっけから前作のネタバレが念入りというほどにされている。いきなり本作から読もうとする方はストップ! 本シリーズを100%楽しみたい方は、まずは前作と言うスタート地点へどうぞ。  本作は前作の容疑者の法廷裁判中、新たに...
  • 受験生は謎解きに向かない
    受験生は謎解きに向かない 題名:受験生は謎解きに向かない 原題:Kill Joy (2021) 著者:ホリー・ジャクソン Holly Jackson 訳者:服部京子 発行:創元推理文庫 2024.1.12 初版 価格:¥800  昨年読んだピッパ三部作の後に、すべての前日譚とも言える本書が書かれるとは、さすがに想像外である。解決していない事件を夏休みの自由研究課題の題材として選んでしまったところから始まる三部作と、そのヒロインである推理能力に抜群のセンスを発揮する若きヒロインの女子高生ピッパの物語は、始まったところから話題性に富む外連味たっぷりの小説であったように思う。  その後の三部作はいずれも連続して読むべき物語であり、途中参加はあまりオススメできない。それぞれの作品を通して人間関係がいろいろ変化を遂げたり、その間のやりとりが前後の関係性をけっこ...
  • 血塗られた一月
    血塗られた一月 題名:血塗られた一月 原題:Bloody January (2017) 著者:アラン・パークス Alan Parks 訳者:吉野弘人 発行:ハヤカワ文庫HM 2023.06.25 初版 価格:¥1,420  訳者で本を選ぶ。ぼくにとっては珍しくないことだ。翻訳家の方は依頼されて訳す仕事もあれば、翻訳者自らが押しの作品を出版社に提案することで自分の仕事を作ることもあるらしい。本書の訳者である吉野弘人氏と言えば、ロバート・ベイリーの胸アツ作品群で知られる方なので、遅まきながら気になった本書を手に取る。  本書はグラスゴーを舞台にしたスコットランド・ミステリー。背カバーには<タータン・ノワール>とあるが、タータンとはタータンチェックのことなのだね、なるほど。舞台も1973年と半世紀前なのである。アイルランドを舞台にしたエイドリアン・マッキン...
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