wiki クライムウェイヴ(Sysop読書録 活字をめぐる冒険) 内検索 / 「ヒトリシズカ」で検索した結果

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  • ヒトリシズカ
    ヒトリシズカ 題名:ヒトリシズカ 作者:誉田哲也 発行:双葉社 2008.10.26 初版 価格:\1,500  誉田哲也は、まだあまり短篇小説を書いていない。『シンメトリー』という短篇小説集は、女刑事・姫川玲子をヒロインとした連作短篇小説集だし、本書もまた静香という謎めいた少女をヒロインとした連作短篇小説集であり、さらに全短篇を読み終えたところですべてが繋がり、全体が長篇小説のような起承転結を持っているという点をみれば、厳密な意味での短篇小説ではなく、少し途中まで解体してしまった長篇小説、という風に見える。  悪女、という概念は、従来のハードボイルド小説によく出てくる「宿命の女」(ファム・ファタール)のイメージが強いが、最近現代日本小説においては、そのイメージはひたすら変容を遂げているように見える。  最近ことに悪女小説の分野を切り拓き続け...
  • 誉田哲也
    ...9 連作短編集 ヒトリシズカ 2008.10 短編集 あなたの本 2012.02 その他 誉田哲也 All Works 2012.03
  • ドルチェ
    ...唯一の連作短編集が『ヒトリシズカ』だが、あれは全部合わせての長編作品みたいなものだ。最近『あなたの本』という短編集がようやく出たものの、こうしたしっかりした短編設定のシリーズというのが、今回、とても心憎い方式のように思われる。  だって、海外の作家みたいだからだ。海外の有名どころのミステリ作家は、長編用主人公のほかに、短編用の主人公をよく作り出す。長編とは分けて、短編ならではの味わいをその主人公に持たせるのだ。無論、短編小説は難しい。わずかなページ数で読者をうならせる何かがなければ、そう簡単に用意できるものではない。  誉田哲也という、最近になって映像化が目立ってきた作家にして、今、小説の作法としての基本を問われる短編集をこうして生み出してゆくことこそ、この作家の里程標(マイルストーン)になるのだろう。そんな重要な作品としてぼくは捉えたし、作品集はしっかりその重要性に...
  • パトリシア・コーンウェル
    パトリシア・コーンウェル Patricia Daniels Cornwell 検屍官ケイ・スカーペッタ シリーズ 検屍官 1990 相原真理子訳 証拠死体 1991 相原真理子訳 遺留品 1992 相原真理子訳 真犯人 1993 相原真理子訳 死体農場 1994 相原真理子訳 私刑 1995 相原真理子訳 死因 1996 相原真理子訳 接触 1997 相原真理子訳 業火 1997 相原真理子訳 警告 1999 相原真理子訳 審問 2000 相原真理子訳 黒蝿 2003 相原真理子訳 痕跡 2004 相原真理子訳 神の手 2005 相原真理子訳 異邦人 2007 相原真理子訳 スカーペッタ 2008 池田真紀子訳 スカーペッタ 核心 2009 池田真紀子訳 変死体 2010 池田真紀子訳 血霧 2011 池田真紀子訳 死層 2012 池田真紀子訳 儀式 2013 池田真紀子訳 標的 20...
  • パトリシア・ハイスミス
    パトリシア・ハイスミス Patricia Highsmith 長編小説 水の墓碑銘 1957 柿沼瑛子訳
  • 臓器農場
    臓器農場 題名:臓器農場 作者:帚木蓬生 発行:新潮ミステリー倶楽部 1993.5.20 初版 価格:\1,600  題名がすべてを表わしている医学サスペンスなので、ドンデン返しがないといやだなあ、という向きには薦められないけど、小説的経緯を楽しめる向きには、かなりできがいい作品であると思う。少なくとも、ここのところ帚木蓬生が失っていたスピード感のある筆運びが、この作品においては帰ってきていると言える。もともとスピード感のある作風じゃあないのだが、読ませる力量は十分にある作家なので、これが物語性としてきちんと積み上げられているとなかなか読み応えというものはあるように思うのである。  そして今回の作品は登場人物がいろいろ取りそろえられていることが最大の魅力であると思う。主人公が新米看護婦で彼女は病院にケーブルカーで通勤するのだけど、こういう設定が、舞台...
  • 夏草の記憶
    夏草の記憶 題名:夏草の記憶 原題:Breakheart Hill (1995) 作者:Thomas H. Cook 訳者:芹澤恵 発行:文春文庫 1999.9.10 初版 価格:\667  翻訳の順番が少しずつずれているが、これは『死の記憶』と『緋色の記憶』の間に挟まれた「記憶」三部作の二番目の作品。作者のプロフィルが敢えてあまり紹介されていない以上、「記憶」三部作というのが作者の意図しているところなのか、周囲や日本語タイトルにおいて便宜的に付けられたものなのかはよくわからない。  ただ三作の間に共通するものはいくつもある。遠い過去の事件。掘り返さないとあらわにならない記憶の深み。遠い少年期への悔恨。取り戻すことのできない時間。そして生きていた頃には美しかった死者たち。そして既に一度は投げ出された、あるいは解決したかに見られた事件。そこに隠された...
  • 心の砕ける音
    心の砕ける音 題名:心の砕ける音 原題:Places In The Dark (2000) 作者:Thomas H. Cook 訳者:村松 潔 発行:文春文庫 2001.9.10 初版 価格:\581  記憶シリーズというものが一応終わって後の新しい作品でありながら、記憶シリーズとは明らかに一線を画した作品。ノスタルジックな時間軸の向こう側に見え隠れする血の惨劇を、記憶の中から啄ばむ地方検察官のキャル。人の思いの中で時間は自由にひずみ、ゆきつ戻りつ、変幻する。クックが本作でも時間という道具の魅力に取り付かれていることは確かである。記憶シリーズのように現在と、遠い遠い過去の物語というのではなく、時間軸のあちこちを往来しながら、時折り立ち止まって、目を細めてどこかに焦点を合わせる。本書はそういう形式の小説である。  1930年代の田舎の村の事件。すべて...
  • ドライビング・レッスン
    ドライビング・レッスン ドライビング・レッスン (ヴィレッジブックス) 題名:ドライビング・レッスン 原題:Driving Lessons (2000) 作者:エド・マクベイン Ed McBain 訳者:永井 淳 発行:ヴィレッジブックス 2002.01.20 初版 価格:\500  オットー・ペンズラー・ブックスの売りの一つである巨匠によるノヴェラというものらしい。軽い書き下ろしなのだが、もともとは朗読向けのオーディオ・ブックスとして出版されたものを、ペンズラー氏(大物ミステリー・プロデューサーなんだそうです)が依頼し、本にしたもの。  オーディオ向け作品というと、軽い、短い、というのは基本になるのかもしれないけれど、それ以上に、文章力のある作家の手になる完成度の高い作品でなければいけない。これは矢作俊彦の「マンハッタン・オプ」シリーズでインプ...
  • ダブル・オー・バック
    ダブルオー・バック ダブルオー・バック (新潮文庫) ダブルオー・バック 題名:ダブルオー・バック 作者:稲見一良 発行:大陸書房 1989.5.18 初版 価格:\1,250(本体\1,214)  一挺の銃をめぐる4つの物語……って、これ聞いたことある。昔テレビでやっていた『魔法の拳銃』という人形劇もそうだった。これは確か中村メイ子が一人ですべての声優をやってしまうものであった。その後『ウインチェスターM70』とかいうのがなかったっけ。映画だったか、大薮春彦の小説だったか……これも一挺の銃の辿る連作物語ではなかったか。  とにかく稲見一良氏は、こうした連作短編が巧い。第一冊目のハードカバーなのだけど、4つの物語を劇的にまとめてくれている。ハンティング小説という意味では第一人者になるのだろうか。これまでも吉村昭によるマタギの話、熊撃ちの話はあったがこ...
  • 防風林
    防風林 防風林 (講談社文庫) 防風林 題名:防風林 作者:永井するみ 発行:講談社 2002.1.16 初版 価格:\1800  いったい世の中のどれだけの人が防風林の近くに住んでいるだろう。防風林は風を弱めるために人為的に植樹された地形であり、そこには何らかの形で恩恵を受けた住人の生活が存在するはずだ。普段考えることのない防風林という存在だが、実はぼくの家のすぐ近所に何キロにも渡って防風林はまっすぐに木々を繁らせている。石狩湾からダイレクトにやってくる冬の風雪を防ぎ、ポプラの綿毛を舞わせることで春の到来を知らせ、真夏には蝉の声と深い緑と濃い日陰を演出し、秋に落ち葉の絨毯を踏んで歩く。防風林はぼくもぼくの息子もいつも見つめ、歩き場所である。  タイトルが思い切り『防風林』であるこの小説は、ぼくの住むそんな札幌の新興住宅地を舞台に(地名は架空だけれども)...
  • 聖なる酒場の挽歌
    聖なる酒場の挽歌 聖なる酒場の挽歌 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) 題名:聖なる酒場の挽歌 原題:WHEN THE SACRED GINMILL CLOSES ,1986 作者:LAWRENCE BLOCK 訳者:田口俊樹 発行:二見文庫 1986.12.30 初版 1990.10.25 4版 価格:\540(本体\524)  前作『八百万の死にざま』からまたも4年の時が経過しての作品。マット・スカダー・シリーズはシリーズにしてはなかなか途切れ途切れだ。しかし大量生産よりも質の高い作品を世にきちんと出すという意味では、このスタイルの方がよほど読者にとってはいいのかもしれない。質の高い作品を多量に出してもらう方が本当は一番いいのだけど(^^;)  前作ではスカダーは酒に関する内的葛藤をひたすら繰り返し、そのために事件に積極的に関わろうとしていた...
  • キッドナップ
    キッドナップ /「子宮の記憶―ここにあなたがいる」へ改題 題名:キッドナップ 作者:藤田宜永 発行:講談社 2003.08.25 初版 価格:\1,900  嬰児誘拐をされた過去のある少年。ぎくしゃくした家族との現実に爆発した彼が求めたのは、かつて自分を誘拐した女の現在だった。舞鶴の小さな海辺に食堂を営む女のもとに素性を隠して乗り込んだ彼の出会いとは? 他人と言い切れぬ仮想の母子の物語が一夏をめぐる。何とも切なく、狂おしさに満ちた逸品。この作家でなければ決して書けぬ情感が全編を覆う。北野武あたりにメガフォンを取ってもらい映画にして欲しいなと思える、少しアナクロなリリシズム。ぼくはこういう小説をずっと好きであり続けたいと思う。  最近はとりわけ恋愛小説の書き手として直木賞までかっさらった藤田宜永。この作家は、本当にいろいろな物語を書き綴る。『鋼鉄の騎...
  • 凍った街
    凍った街 凍った街 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 凍った街―87分署シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1444) 題名:凍った街 原題:Ice (1983) 著者:エド・マクベイン Ed McBain 訳者:井上一夫 発行:ハヤカワ・ミステリ 1989.01.31 初版  さて<87分署>シリーズもようやく文庫を読破し、いよいよハヤカワ・ポケミスに突入。1983年作品。内容は大変地味である。つながりの見出せない三個の死体に関わる刑事は今回は四人。キャレラ&マイヤー、クリング&ブラウンだ。前作で地獄を見たクリングの心理描写や行動が気にかかる。それと同時に囮捜査のときに決まって呼び出される女刑事アイリーン・バークが、今まで以上にフューチャーされているのが意味ありげの一冊だ。  季節は冬。しばらくのあいだ秋の作品が続いていたかと思うと、初期のころの...
  • アイスマン
    アイスマン 題名:アイスマン 原題:Freezer Burn (1999) 作者:ジョー・R・ランズデール Joe R. Lansdale 訳者:七搦理美子 発行:早川書房 2002.2.15 初版 価格:\1,600  驚いた。ランズデールがこんな真っ黒な作品も書いてしまう作家だったなんて、全然知らなかった。確かにぼくは『ボトムズ』と『ダークライン』しか読んでいないので、ランズデールが本来どんな作家なのか知っているわけではないけれども。  それにしたって『ボトムズ』と『ダークライン』には共通したリリシズムがあった。南部に育つ少年たちの目を通して見つめる大人の世界。成長をしてゆく子どもたちの無邪気な心に映る南部の自然や気候。ミステリアスなものへの尽きない好奇心。そうしたダイナミズムのなかで、恐怖や期待に満ちた事件が起きてゆく。思い出が心の中で膨らん...
  • 淡雪記
    淡雪記 題名:淡雪記 作者:馳 星周 発行:集英社 2012.2.28 初版 価格:各\1,800  前半は、馳の作品と知らなければ気づかないほど、抒情的でオーソドックスな純愛小説のようであった。世間から隔絶した感のある真冬の道南は大沼にある別荘地。もちろん人がほとんどいない別荘地から、見上げる蝦夷駒ヶ岳。大沼のハクチョウたち。四季、道南でも仕事をしていたぼくは、この地域にも土地勘がふんだんにあって、今でもその土地の風のにおい、雪のきらめき、星の冷たい輝きなどなどを、懐かしむことができる。  不思議な符号だな、と思ったのが、この正月アナログにとうとう見切りをつけてデジタル一眼レフを買い込んだこと。カメラを持ち歩いて北海道を写し込んでゆく楽しみに心を奪われていた正月休みであったこと。そして本書の主人公がデジタル一眼レフにすべてを注ぎ込んで、大沼の...
  • 生き残った者の掟
    生き残った者の掟 生き残った者の掟 (Hayakawa novels) 生き残った者の掟 (1971年) (ハヤカワ・ノヴェルズ) 生き残った者の掟 (河出文庫) 題名:生き残った者の掟 原題:Les Aventuriers (1960) 作者:Jose Giovanni 訳者:岡村孝一 発行:河出文庫 1986.04.04 初版 価格:\500  この作品が一体ジョバンニ作品の他の部分と、どう関連しているのかという興味のほうに引かれて行ってしまう。  ロベール・エンリコの映画『冒険者たち』にジョバンニは関っていたのだろうか? その有名な映画をぼくは果たして観ているか? 観ていると思うのだが、きちんと観ていない。男女3人。なんとなく記憶にある。しかしジョバンニ版『冒険者たち』(日本未公開版フィルム?)が、この本の物語で、あの映画とは別であるとは...
  • 危険がいっぱい
    危険がいっぱい 題名:危険がいっぱい 原題:Joy House (1954) 作者:デイ・キーン Day Keene 訳者:松本依子 発行:ハヤカワ・ミステリ 2005.7.15 初版 価格:\1,000  ポケミス名画座の企画は、まだなお続いているようである。ジム・トンプスンの『鬼警部アイアンサイド』をTVドラマにも関わらず名画座のひとつにカウントしたあたりは、さすがにハヤカワも苦しいかと思われたのだが、まだこの企画がこうして続いているところは、素直に喜ぶべきことだと思う。  何よりもこうした企画でもなければ世に出ないであろう古い作品の和訳が、今改めてこうして手に入るというのは、読書家にとって至福である。ぼくがこのシリーズをこだわって読んでいるのは、古い時代の作品、はたまた日本で翻訳されたことのない古い作家との新たな出会いに、ぼくなりの大きな意味を...
  • ガリレオの小部屋
    ガリレオの小部屋 ガリレオの小部屋 題名:ガリレオの小部屋 作者:香納諒一 発行:実業之日本社 2007.01.15 初版 価格:\1,600  香納諒一の短編小説集は、鉄板である。信頼できるのだ。だからいつも大雪に味わうようにしている。ぼくにとって短編の鬼と呼べる現存作家は、横山秀夫、藤原伊織、篠田節子、そしてこの香納諒一である。それにも関わらず、この人の短編集を開くのは、『タンポポの雪が降ってた』を2001年に読んで以来のこと。『タンポポ……』と『アウトロー』に関しては、読んでいるはずなのに感想を書いていないので、どんな作品集だったかを、今、記憶の底にまさぐることができない。  本書を読んで改めて確認できたことは、やはり香納諒一の短編集は格段の味わいがあるという事実だった。多様性、アイディアそういったものの他に、読後感の確かさというものが必ずあるのだ。...
  • ダークライン
    ダークライン 題名:ダークライン 原題:A Fine Dark Line (2003) 作者:ジョー・R・ランズデール Joe R. Lanzdale 訳者:匝瑳玲子 発行:早川書房 2003.03.15 初版 価格:\1800  まだランズデール初心者であるのに、こんなに美味しいところからいただいてしまって本当によろしいのだろうか? 贅沢すぎて後が怖い、というのが今の読後感である。世界ミステリ界の頂点とも言えるMWA賞を受賞した『ボトムズ』に引き続き、ほぼ同じレベルで綴られてしまった最新作を読んでしまったのだから。 ちなみに巻末解説の池上氏は本書がランズデールの最高作品と断言している。ぼくはと言えば、どちらも甲乙つけがたい。しかし敢えてどちらかを選べと言われれば仕方ない、苦しみ迷いぬいた末に、やはりランズデールとの出逢いとなった『ボトムズ』に...
  • 石のささやき
    石のささやき 題名:石のささやき 原題:The Clooud Of Unknowing (2007) 作者:トマス・H・クック Thomas H. Cook 訳者:村松 潔 発行:文春文庫 2007.09.10 初版 価格:\733  『アルタード・ステイツ』という映画をご存知だろうか。ウィリアム・ハートがマッド・サイエンティストを演じていて、自らのDNAの集団記憶と呼べるようなもののなかから古代祖先の記憶を引き出そうとする実験に満ちた危険な作品である。ユングの心理学の凄いところは、心には民族的記憶が刷り込まれており、それをシンボルというかたちで人間は歴史に刻んでいるといった、連鎖的共有記憶に関する部分だと、常々思っているのだが、DNAの研究が進むにつれ、科学の分野でも古代の記憶が刷り込まれている可能性について否定的ではなくなったいった。そうしたところを...
  • WIN(ウィン)
    WIN(ウィン) 題名:WIN(ウィン) 原題:WIN (2021) 著者:ハーラン・コーベン Harlan Coben 訳者:田口俊樹 発行:小学館文庫 2022.11.9 初版 価格:¥1,200  『カムバック・ヒーロー』を読んで間もなく『WIN』を読む幸せ。もちろん偶然。それも、なぜか神がかり的な偶然! 何と25年の時を経て刊行されたのは、スポーツ・エージェントのマイロン・ボライターを主人公にしたシリーズのスピンオフ作品。マイロン・シリーズに欠かせない相棒のウィンザーホーン・ロックウッド三世にしっかりと齢を重ねさせ現在形の主人公として起用あいなったのである。Wao!!  ウィンはマイロンのシリーズでも相当魅力的な主人公であるばかりでなく、とても重要でインパクトのある仕事を果たす。知のマイロン。力のウィン。よくある私立探偵ハードボイルド・シリー...
  • 死層
    死層 題名:死層 原題:The Bone Bed (2012) 作者:パトリシア・コーンウェル Patricia Cornwell 訳者:池田真紀子 発行:講談社文庫 2013/12/20 初版 価格:各\1210  カナダの化石現場の動画。耳の断片の写真。二つのファイルがメールに添付されてスカーペッタのもとに送られて来た。古生物学者が行方不明になっている。妻殺しの容疑をかけられた夫がスカーペッタの出頭を要請している。ボストンの海で巨大なウミガメが引き揚げられる。そのロープに女性の死体が絡まっている。一気に様々なことが起こるなか、マリーノが疑いをかけられFBIに引っ張られてしまう。  こうして同時多発的に発生したすべての出来事が何らかの形で一冊の本に集約してしまうのが、パトリシア・コーンウェルという作家の特徴だと言っていい。謎の風呂敷を広げに広げ...
  • カ行作家
    カ行作家 フィリップ・カー フィリップ・カーター サイモン・カーニック ドナート・カッリージ モンス・カッレントフト シーナ・カマル エリック・ガルシア デイ・キーン ヴィクター・ギシュラー バリー・ギフォード カート・キャノン ローリー・R・キング A・J・クィネル ケイト・クイン デイヴィッド・グーディス ダニヤ・クカフカ クリストファー・クック トマス・H・クック ジュリー・クラーク マイクル・クライトン ブレイク・クラウチ ジェイムズ・クラムリー ベン・クリード ジャン=クリストフ・グランジェ キミ・カニンガム・グラント ジョン・グリシャム アゴタ・クリストフ ウィリアム・ケント・クルーガー デイヴィッド・クレイ ロバート・クレイス マシュー・クワーク アリソン・ゲイリン ポール・ケイン ジャック・ケッチャム ダグラス・ケネディ ラーシュ・ケプレル ジョー・ゴアズ マイクル・コナ...
  • 冬の砦
    冬の砦 冬の砦―長編サスペンス 題名:冬の砦 作者:香納諒一 発行:祥伝社 2006.07.20 初版 価格:\2,100  香納諒一が『贄の夜会』に続いて、またもミステリらしいミステリを書いた。推理小説のサイドに立っての物語をあまりしなかった作家だけに、興味深く思っている。はっきりとしたハードボイルド作家というイメージから、もっと広い読者層に向けて作品を作る作家に変わったのは、一連の短編小説を書いてからのことだと思う。  短編小説は腕を磨く。短編小説には、長さがもたらすキャラクターへの共感や愛着が生まれにくい。だからこそ、短い文章によって読者を引きずりこむ文章の質の力は、高いレベルが要求される。そうした土俵で相撲を取ってきた作家は、ぼくの知る限り信頼し得る作家となる。あるいは信頼のおける作家が短編を書いたときには、やはりきちんと納得のゆくものを生み出して...
  • ドロップス
    ドロップス 題名:ドロップス 作者:永井するみ 発行:講談社 2007.07.25 初版 価格:\1,500  やはりこの作家は、短編作家ではないのかな、と思う。もともと『枯れ蔵』で農業ミステリなんて分野が始まるのかとデビュー当時騒がれた作家。その後、ミステリ作家として秋田白神山地を材に取った『樹縛』、札幌の北のはずれの『防風林』と、なかなかに渋く、そして非都会的なミステリ新感覚により、どんどん小説の腕が上がってゆく印象があった。  自然のことなのだろうが、いつの間にか、女性作家ならではの、女性らしさを作品の中でアピールするようになり、そうした流れミステリとは別のところで永井するみのもう一つの作風として世の中に定着を始める。ここ数年は、とりわけその傾向のジャンル開拓を意識している気配が作品造りの中に顕著になり、いい意味でミステリ・ジャンルからの脱...
  • 捜査官ガラーノ
    捜査官ガラーノ 題名:捜査官ガラーノ 原題:At Risk (2006) 作者:パトリシア・コーンウェル Patricia Cornwell 訳者:相原真理子 発行:講談社文庫 2007.08.10 初版 価格:\619  パトリシア・コーンウェルの小説にしては薄い本だ、という第一印象。巻末の訳者解説によれば、ニューヨーク・タイムズ・マガジン(という雑誌がタイムズ日曜版別冊として存在するのだそうだ)への3ヶ月ほど短期連載されたそうだ。同じ文芸欄にはマイクル・コナリーや、スコット・トゥローなどの重鎮も名を連ねているとのことで、同じコンパクト・サイズの作品を、これらいずれも長編作家たちが珍しく書いているのだと思えば、どれも読んでみたい、という好奇心が疼く。  さて、どちらかと言えば、サブ・ストーリーとしてのホーム・ドラマやラブ・ロマンスにも力を入れ、...
  • 開かれた瞳孔
    開かれた瞳孔 題名:開かれた瞳孔 原題:Blindsighted (2001) 著者:カリン・スローター Karin Slaughter 訳者:北野寿美枝 発行:ハーパーBOOKS 2020.02.20 初版 価格:¥1,000  凄い書き手であるなとは思いつつ、順不同でここ一年で三冊を読み終えたばかりの、まだまだスローター・ワールド初心者で、正直言えば、怖々読んでいる感覚が否めない。  カリン・スローターのブームを日本で作っているのは、ハーパー・コリンズ・ジャパンという現在翻訳ミステリの救世主的存在の出版社である。今世紀になってからの新顔でありながら、今やMWA賞受賞のベストセラー作家として、邦訳新作が年間2~3作ペースで書店に並ぶというビッグネームとなっているのは注目に値する。  『検屍官』シリーズでミステリ門外にまで新たな読者層を産み...
  • 禍根(検屍官シリーズ)
    禍根(検屍官シリーズ) 題名:標的 上/下 原題:Flesh And Blood (2014) 作者:パトリシア・コーンウェル Patricia Cornwell 訳者:池田真紀子 発行:講談社文庫 2015.12.21 初版 価格:各\1,250-  何年も読んでいない時期があって、それを少しずつ読み始めて、やっと最新作に追いついた。読んでみれば、なるほど読み進むシリーズである。何年もブランクがありながら、シリーズ・レギュラーは、マリーノ、ベントン、ルーシーの三人くらいで、しかもヒロイン、ケイ・スカーペッタは、あまりにも個性的な彼らと非常に強固な運命共同体を作っているので、人間関係問題についてはこの四人の間だけがずっと続いていてわかりやすいシリーズなのだと言える。シリーズを中断したけれど、時間を置いてひさびさに手に取りたいという読者には安心のシリーズで...
  • 標的(検屍官シリーズ)
    標的 [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 題名:標的 上/下 原題:Flesh And Blood (2014) 作者:パトリシア・コーンウェル Patricia Cornwell 訳者:池田真紀子 発行:講談社文庫 2015.12.21 初版 価格:各\1,250-  何年も読...
  • ハ行作家
    ハ行作家 T・ジェファーソン・パーカー J・D・バーカー ロバート・B・パーカー アラン・パークス ジョン・ハート ルー・バーニー W・R・バーネット ジェーン・ハーパー ジョーダン・ハーパー ブラッドリー・ハーパー マイクル・パーマー パトリシア・ハイスミス イヴリン・パイパー クリス・パヴォーネ ダシール・ハメット チャック・パラニューク トマス・ハリス ビル・S・バリンジャー ケント・ハリントン エドワード・バンカー エヴァン・ハンター スティーヴン・ハンター ジェン・バンブリィ ジャック・ヒギンズ ドロレス・ヒッチェンズ ドロシイ・B・ヒューズ デイヴィッド・ピース フランシス・ビーディング サムエル・ビョルク コリーン・フーヴァー アラン・ファースト テレンス・ファハティ マイケル・フィーゲル セバスチャン・フィツェック マリオ・プーヅォ ダン・フェスパーマン ロバート・フェリ...
  • キネマの神様
    キネマの神様 題名:キネマの神様 著者:原田マハ 発行:文春文庫 2008/12 初版 2021/4/25 39刷   価格:¥680  良い映画は何度も観ても良い。良い映画は、原作小説で振り返ってみても良い。なので映画を観てストーリーを知っているとしても、映画を二度も三度も観なおすように、小説と言う形で映画やその原作となった物語という名の小径を、もう一度辿ってみてもいい。  そんな想いで、映画館で先に映画化された作品として観てしまった『キネマの神様』の原作小説を読み始める。最初は、沢田研二の名演を思い出しながら、映画と酒と博打が好きなダメオヤジを追いかける。彼のイメージは小説でも映画そのままだ。しかしストーリーは映画とはやがて袂を分かつ。  本作映画版は、映画らしくやはり相当にアレンジと再構成を積み上げた物語であった。原作小説にはない過去と...
  • 水の墓碑銘
    水の墓碑銘 題名:水の墓碑銘 原題:Deep Water (1957) 著者:パトリシア・ハイスミス Patricia Highsmith 訳者:柿沼瑛子 発行:河出文庫 1991.10 初版 2022.03.20 改訳版 価格:¥1,100 『パワー・オブ・ザ・ドッグ』『クライ・マッチョ』『気狂いピエロ』。この半年間、自分の読んだものだけでも、古い作品が映画化を機に、次々と翻訳され出版されてきた。  さらには本書である。映画では『底知れぬ愛の闇』との邦題だが、原作本もしっかりと改訳復活を遂げた。それ も『フラッシュダンス』『危険な情事』など1980年代のスクリーンを席捲したエイドリアン・ライン監督に、今をときめくベン・アフレック主演起用で! これを書いている現在、僕は諸事情により未だ映画は観ていないが、読了した今は必ずチェックしようと思う。 ...
  • 評決のとき
    評決のとき 評決のとき〈上〉 (新潮文庫) 評決のとき〈下〉 (新潮文庫) 題名:評決のとき (上・下) 原題:A TIME TO KILL (1989) 作者:JOHN GRISHAM 訳者:白石朗 発行:新潮文庫 1993.7.25 初版 価格:各\640(本体各\621)  グリシャムの最初は売れなかったデビュー作であるという。だからと言うわけではないのだろうが、ぼくには、これを読むとグリシャムの長所も短所もよく見えて来る、という本であるような気がした。  長所というのは、リズムに乗ったときのストーリーの急展開であり、その淡々とした描写の妙。読み始めるとなかなか本を手放せなくなるというのは、今やアメリカでベストセラーになるための必須条件であると思うが、この作家は間違いなくその部類であると思う。  ただし短所ということで挙げておきたいの...
  • 異邦人
    異邦人 題名:異邦人 上/下 原題:Book Of The Dead (2007) 作者:パトリシア・コーンウェル Patricia Cornwell 訳者:相原真理子 発行:講談社文庫 2007.12.26 初刷 価格:各\762  現在のところ、ケイ・スカーペッタは、サウスカロライナ州チャールストンに新居を構え、民間型の研究施設を運営している。ケイの物語もここのところダイナミックために、変化が激しく、新作を手にするたびに、彼女の所属する組織や役職がわからなくなっている自分に気づく。  ここのところ、ベントンやルーシーやマリーノと、昔のキャストをそのままに皆で私企業を立ち上げ、それぞれが得意な分野で、公的警察組織の外注仕事を請け負ったりしているようである。元公務員たちが集まって、元の職場に恨まれることなく、そんな事業が経営できるのかどうか、ア...
  • 証拠死体
    証拠死体 題名:証拠死体 原題:BODY OF EVIDENCE ,(1991) 作者:パトリシア・コーンウェル PATRICIA CORNWELL 訳者:相原真理子 発行:講談社文庫 1992.7.15 初版 1992.9.10 第4刷 価格:\680(本体\660)  『検屍官』シリーズは相変わらず売れ行き好調だし、 講談社の文庫情報誌「IN★POCKET」1 月号では、新刊『遺留品』の発売に合わせて、「P・コーンウェルの世界」というのを特集していたりする。大抵の書店で平積みされている辺り、販売戦略大成功と誉めてあげたいところだが、正直言ってここまでは「それほどのシリーズかぁ?」というのが正直な読後感。 この前に D・ローンの『音の手がかり』を読んだせいもあるけど、異常に読み進まない作品、というのが、このシリーズへの印象である。  では、そ...
  • スカーペッタ 核心
    スカーペッタ 核心 題名:スカーペッタ 核心 上/下 原題:The Scarpetta Factor (2008) 作者:パトリシア・コーンウェル Patricia Cornwell 訳者:池田真紀子 発行:講談社文庫 2010.12.15 初版 価格:各\857  このシリーズに4年ほどの不在期間を置いてしまった。そのおかげでシリーズというものが呼び起こすインタレスティングの多くを自ら損なわせてしまったように思う。シリーズの際立った特徴や、独特の、陰性の空気感などは忘れ難いものの、細かい心理描写に重きを置くこの小説シリーズのデリケートな側面については、過去の流れを取り戻すのに時間がかかった。ただでさえ手こずることの多い精緻な作品シリーズであるのに、自ら、検屍官ケイ・スカーペッタ宇宙への浸透の難しさを増やしてしまった。シリーズは5作ほどこの後に行列...
  • 孤影
    孤影 孤影 (ヴィレッジブックス) 題名:孤影 原題:The Upright Man (2002) 作者:マイケル・マーシャル Michael Marshall 訳者:嶋田洋一 発行:ヴィレッジブックス 2007.1.20 初版 価格:\940  何と言っても前作『死影』のインパクトの強さが忘れられない。熾火のように灼熱をたくわえ残しながら、一年半というもの、このシリーズを待ち続けた。三人の主人公、一人の狂った殺戮者。この追走と逃走のゲームは、三部作を手にするまで、終わることがない。  前作では、ウォード・ホプキンス(CIA)とジョン・ザント(刑事)の二つの違ったストーリーが、殺戮のクロスファイアの中で合流するまでのミステリアスな緊張が、何と言っても印象に残る。二つの流れに絡んでゆく女性捜査官ニーナの存在がクールで魅力的である。  本作でも、三...
  • 音の手がかり
    音の手がかり 音の手がかり (新潮文庫) 題名:音の手がかり 原題:SIGHT UNSEEN ,(1990) 作者:DAVID LORNE 訳者:平田敬 発行:新潮文庫 1990.1.25 初版 価格:\680(\660)  最近、警察・FBI ものといえばサイコ・サスペンスだけど、これに対して科学捜査を柱にしたパトリシア・コーンウェルの検屍官ケイ・シリーズなどが、犯人はそのままサイコ・サスペンス、しかし解決へのアプローチは化学的で論理的な方法を見せてくれている。思えば検屍官シリーズはサイコ系に食傷した読者を呼び寄せるに格好のタイミングであったのかもしれない。  さて本書はその検屍官シリーズでさえ真っ青の新しいヒーロー譚。 18 ヶ月前に映画撮影中の事故で視覚を失った元音響技術者が、誘拐された姪をその洗練された聴覚で救おうという物語であり、このアイディア...
  • かくも冷たき心
    かくも冷たき心 題名:かくも冷たき心 原題:Cold Cold Heart (1994) 作者:ジェイムズ・エリオット James Eriot (J・C・ポロック J.C.Pollock) 訳者:中原裕子 発行:ハヤカワ文庫NV 1999.4.15 1刷 価格:¥800  ポロックはどこへ行くのか? 一流のエンターテインメント作家というには少しだけ不足していつも二番手を走っているイメージがあるのだけれど、そこそこには作品は面白い。ポロックは初期作品だけだとの声もよく耳にする。ぼくもそう思うところがある。あの『樹海戦線』の興奮はどこへ? と思う。  ポロックが苦労して手を変え品を変えして、エンターテインメントを目指している姿はよくわかる。特殊部隊専門小説家みたいなイメージから少しだけずれたミステリーをとの方向性もよくわかる。ここ何冊もぼくは付き合ってきた...
  • 遺留品
    遺留品 題名:遺留品 原題:ALL THAT REMAINS ,(1992) 作者:パトリシア・コーンウェル PATRICIA CORNWELL 訳者:相原真理子 発行:講談社文庫 1993.1.15 初版 価格:\680(本体\660)  いきなり趣きが変わった (ように思える) 第 3 作である。驚くのはこれまでの苛立たしい描写過多が影を潜め、ストーリーに関わる部分だけで連続的にエピソードが並んでいること。ゆえに、ぼくとしてもとても読みやすく、途中で投げ出せない種類の面白さを初めてこのシリーズに感じたのでした。  これまでの二作は、わりと各エピソードが、作者の日頃の主張の分身ででもあるかのようにかなりいい加減に、本筋とは無縁のところで羅列されていたように見えたのだけど、今回はそう言うもの抵抗値がぐっと低くなって、密度の濃い小説の量というものを達成...
  • 贖いのリミット
    贖いのリミット 題名:贖いのリミット 原題:The Kept Woman (2016) 著者:カリン・スローター Karin Slaughter 訳者:田辺千幸訳 発行:ハーパーBOOKS 2019.12.20 初版 価格:¥1,234  さて自分としては珍しく順不同で最新作だけ齧っている捜査官ウィル・トレント・シリーズ。『ブラック&ホワイト』に継ぐシリーズ第8作は、ウィルの行方不明の妻であり過酷な過去をウィルが共有してきたらしいアンジーの事件。  男性捜査官ウィルのシリーズとは言え、実際は彼を取り巻く個性派女性たちが持ち回り主役となるこのシリーズ。女性らしい感性と容赦のなさで惨憺たる殺人現場を軸に捜査と葛藤と闘いが始まる。心理戦と、暗躍する女たちと、ウィルを獲り合うサラとアンジーというデリケートな恋愛模様にも深みというだけではない捻じれのようなも...
  • 我が名は切り裂きジャック
    我が名は切り裂きジャック 題名:我が名は切り裂きジャック 上/下 原題:I, Ripper (2015) 作者:スティーヴン・ハンター Stephen Hunter 訳者:公手成幸 発行:扶桑社ミステリー 2016.5.10 初版 価格:各\900-  あまりにも有名な殺人鬼<切り裂きジャック>について書かれた本をぼくはこれまで読んだことがない。特に読まなかったことの理由はない。ほとんどの作品を読んでいるはずのパトリシア・コーンウェルが『切り裂きジャック』を書いた時にもなぜか食指が動かなかった。  ほとんどの作品を読んでいるこの作家スティーヴン・ハンターの本書にしても買ってすぐに手に取ったわけではない。半年以上経った頃になってようやく、それもどちらかと言えば気が向かぬままに手に取った。  古いロンドンの街を脅かした切り裂きジャックが有名...
  • 凍てついた痣
    凍てついた痣 題名:凍てついた痣 原題:A Faint Cold Fear (2003) 著者:カリン・スローター Karin Slaughter 訳者:田辺千幸 発行:パーカーBOOKS 2021.12.20 初版 価格:¥1,360  カリン・スローター作品群は、第一期のグラント郡、第二期の捜査官ウィル・トレントの二本のシリーズとそれ以外の独立作品に分類される。本書は第一期の過去シリーズのグラント郡第三作の本邦初翻訳作品である。  昨年一二期を合体させたミステリー大作『スクリーム』によって、現在のウィルシリーズと過去のグラント郡シリーズが一つになった。二つの時代を股にかける連続殺人事件の存在が明らかとなり、現在と過去が交互に語られる合体作が奇跡のように実現したのである。日本の読者はそれを体験した後で、またゆったりと過去シリーズにお目にかかることに...
  • 破滅のループ
    破滅のループ 題名:破滅のループ 原題:The Last Widow (2019) 著者:カリン・スローター Karin Slaughter 訳者:鈴木美朋 発行:ハーパーBOOKS 2020.06.20 初版 価格:¥1,236  カリン・スローターの作品はぐつぐつと煮詰めたシチューのようだ。濃縮された様々な食材が、混在し、溶けて、一体となった混合物。作品中でいう食材は、主に人間である。様々な毛色の人間たちが、煮え滾るスープの中で、煮詰まって、ぶつかり合う鍋の底のような世界だ。  ウィル・トレント・シリーズ。そのコアなヒーロー&ヒロイン=ウィルとサラとが主役を務める、実に王道の作品。本シリーズの未だ初心者のぼくにとって、ウィル・シリーズなのに、毎度、他のキャラクターが主役を務める感の強いのがこの作家の特徴。つまり、キャラの立った人物像が、予め考え抜...
  • ジョン・グリシャム
    ジョン・グリシャム John Grisham ブルース・ケーブル・シリーズ グレート・ギャツビーを追え 2017 村上春樹訳 狙われた楽園 2020 星野真里訳 長編小説 評決のとき 1989 白石朗訳 法律事務所 1991 白石朗訳 ペリカン文書 1992 白石朗訳 依頼人 1993 白石朗訳 処刑室 1995 白石朗訳 原告側弁護人 1995 白石朗訳 陪審評決 1996 白石朗訳 パートナー 1997 白石朗訳 路上の弁護士 1998 白石朗訳 テスタメント 1999 白石朗訳 スキッピング・クリスマス 2001 白石朗訳 ペインテッド・ハウス 2001 白石朗訳 最後の陪審員 2004 白石朗訳 大統領特赦 2007 白石朗訳 奇跡のタッチダウン 報酬はピッツァとワインで2007 白石朗訳 謀略法廷 2008 白石朗訳 アソシエイト 2009 白石朗訳 自白 2010 白...
  • 真犯人
    真犯人 題名:真犯人 原題:CRUEL AND UNUSUAL (1993) 作者:PATRICIA CORNWELL 訳者:相原真理子 発行:講談社文庫 1993.12.15 初版  シリーズって作家にとって書きやすいものなのだろうか、それとも前作の荷物を確実に引きずって行かねばならないだけにつらいところのものなのだろうか? ぼくが勝手に類推するには、初作が一番産みの苦しみを味わっているのではないか、と思う。もちろん作家によってはシリーズ第一作が一番無責任にフリーに書けるよ、とでも応えるかもしれない。ましてや、それがシリーズになんかなる予定がなかった作品であれば、なおさらであると思う。  例えばパトリシア・コーンウェルの場合は、シリーズを書こうと意図したにせよしないにせよ、第一作がデビュー作であるのだから、これの売れ行き次第で二作目が誕生すべきか否か...
  • perish twice
    二度目の破滅 二度目の破滅―サニー・ランドル・シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫) 題名:二度目の破滅 原題:Perish Twice (2000) 著者:ロバート・B・パーカー Robert B. Parker 訳者:奥村章子 発行:ハヤカワ文庫HM 2001.9.15 初版 価格:\760  ロバート・B・パーカーという作家がアメリカでベストセラーだということはわかる。しかしその読者層はどういったところなのだろうか? アメリカでどういう人たちにこの作家は人気があるのだろうか。  そんなことを思うのも、いつもスペンサーがスーザンを相手に、男女の自立の問題、恋愛の問題、セックスの問題などに取り組みつつ、スペンサーはむしろマチズモ、レイチェル・ウォーレスはフェミニズムといった、かなりの男女間の理解の距離を埋める作業に、パーカー作品の主人公らは苦労している...
  • 神の手
    神の手 題名:神の手 上/下 原題:Predator (2005) 作者:パトリシア・コーンウェル Patricia Cornwell 訳者:相原真理子 発行:講談社文庫 2005.12.15 初刷 価格:各\714  前作『痕跡』ではシリーズの原点に戻ったという感触があった。それなりに犯罪そのものを科学捜査によりシンプルに追い詰めてゆく、作品骨子の面白さが感じられた。その調子で走るという予感すら得た。  本書はそれに比べるとずっと複雑さを取り戻したようなイメージがある。その最たるものは、レギュラー・キャラクターながらヒロインを食う勢いで作品を牽引してきたピート・マリーノの読者との距離感だ。  このシリーズがいつかしら一人称をやめ、三人称複数の視点で、多くのキャラの動向を同時並行的に追うようになったのはごく最近のことだが、それとともに、...
  • 女王陛下のユリシーズ号
    女王陛下のユリシーズ号 [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 題名:女王陛下のユリシーズ号 原題:H.M.S.Ulysses 著者:アリステア・マクリーン Alistair MacLean 訳者:村上博基 発行:ハヤカワ文庫(NV7 92.7.31 第20刷) 価格:\680  ぼくは8月...
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