wiki クライムウェイヴ(Sysop読書録 活字をめぐる冒険) 内検索 / 「ピアニストを撃て」で検索した結果

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  • ピアニストを撃て
    ピアニストを撃て 題名:ピアニストを撃て 原題:Down There (shoot The Piano Player) (1956) 作者:デイヴィッド・グーディス David Goodis 訳者:真崎義博 発行:ハヤカワ・ミステリ 2004.5.10 初版 価格:\1,000  破滅という文字にも二種類の結末がある。破滅してなお生き続ける運命と、肉体の死をも伴う破滅。  「アラン・ドロンという役者は最後に必ず死ぬよね」というのが、ぼくが高校生の頃仲間たちの間でよく交わされるセリフだったが、死ぬよりも怖い結末だなと思われたのが『暗殺者のメロディ』という映画で、リチャード・バートン演じるところのトロツキーを暗殺するためにロイ・シュナイダーに近づくアラン・ドロン。舞台は熱気と太陽の光に満ちた南米。トロツキーの脳天にピッケルを打ち込んで殺した後のドロン...
  • デビッド・グーディス
    ...る大泥棒 合田直実 ピアニストを撃て 真崎義博訳
  • リヴィエラを撃て
    リヴィエラを撃て リヴィエラを撃て(上) (新潮文庫) リヴィエラを撃て〈下〉 新潮文庫 リヴィエラを撃て (新潮ミステリー倶楽部) 題名:リヴィエラを撃て 作者:高村薫 発行:新潮ミステリー倶楽部 1992.10.20 初版 価格:\2,800(本体\1,942)  高村薫は昨年、新潮推理サスペンス大賞を『黄金を抱いて翔べ』で射止めているけれど、その選評の中に出てくるのがこの作品。その前年にノミネートされて、落選したのがこれであるようなのだ。このデビュー作に手を入れてきちんとした出版物にしたのがこの本というわけである。『黄金・・・・』や『神の火』は襲撃小説で、ぼくは文句なしにそのクライマックスを楽しんだ娯楽作品であるのだけど、その後の『我が手に拳銃を』は、なんとなくホモたちの拳銃密造、スパイ・コンゲーム小説って感じで、とりわけそのラスト・シーンがあほら...
  • 四日間の奇蹟
    四日間の奇蹟 題名:四日間の奇蹟 作者:浅倉卓弥 発行:宝島社 2003年1月22日 第1刷発行(予定) 価格:1600円(予価)  浅田次郎『椿山課長の七日間』に続いて、またしても突然死の魂の、四日間の物語を読んでしまった。浅田次郎は七日間で、こちらは四日間。しかし題材はかなり同じ。色も音もだいぶ違う作風とは言え、偶然とは何とも奇異なり。  さて、宝島社からまだ本になりきっていない前製本段階とでも言うべき姿で、発売に先行して届いたのが本書。第一回『このミステリーがすごい!』大賞、金賞受賞作品。2003年1月8日発売予定、とある。  レコード会社で洋楽系のディレクターを勤めた経験のある札幌生まれとあって、本書はピアニストと脳に障害を持った少女との、音楽に深くこだわった再生の物語。ピアノを弾けなくなったピアニストと、脳に障害を持ちながら音の天才...
  • YOUMING TRIBUTE STORIES
    YOUMING TRIBUTE STORIES 題名:YOUMING TRIBUTE STORIES 作者:小池真理子・桐野夏生・江國香織・綿矢りさ・柚木麻子・川上弘美 発行:新潮文庫 2022.7.1 初版 2022.7.15 2刷 価格:¥1,650  DUOバンドを組んでいるピアニストの女性からお借りした何冊もの原田マハの本の中に、この本が一冊入っていた。DUOに限らず、ともに所属する地元バンドも含め、ユーミンの曲はぼくらのレパートリーにいくつも入っている。彼女はユーミンが好きなのだ。  そしてこの本に作品を提供した6人の女流作家たちもユーミンが好きなのだろう。この本は、それぞれの作家が、ユーミンの曲をテーマとして書いた短編作品を集めた一冊であり、さらにこの試み自体が、ユーミンのデビュー50周年を記念したものであるという。  ぼくはユー...
  • 憂いなき街
    憂いなき街 題名:憂いなき街 作者:佐々木譲 発行:角川春樹事務所 2014.04.28 初版 価格:\1,600  作家が自らの作り出したキャラクターに愛着を覚えるのはごく当然のことだろうと思う。将棋の駒のようにキャラクターを配置したとしても、その各々の部品に命を吹き込むのが作家の描写力なのだから、命を得た人間として、他者として、独立した体温を持つ存在として、ある意味、キャラクターたちは作家の手を離れて動き出してしまう。  独立作品ですらその思いは作家の中にも読者の中にも生まれる感情であるのだから、ましてやシリーズものとなると何度も登場させてきた登場人物への愛着の強さは、推して知るべしである。そのキャラクター造詣が上手くゆけばゆくほど、彼ら(彼女ら)を深く掘り下げてみたいと腕まくりしたくなるのは作家の本願ではないだろうか。  そうして作者にも...
  • そして夜は甦える
    そして夜は甦える 題名:そして夜は甦える 作者:原 りょう 発行:早川書房 1988.04.30 初版 価格:\1,300  やっと読みました。この完全にチャンドラー志向の小説。う~ん、100%ハードボイルド小説であったなあ。  この本はぼくが前にいったあるひとつのことを実践している。それは何かというと、アイデア主体でなく、状況を変化させることで新しい味わいを持たせてしまう種類の本ということだ。もちろんアイデアもあり、プロットもある。元ジャズ・ピアニストで、射撃の名手という殺し屋の設定なんて、たまらないではないか。しかしこの本は、基本的にチャンドラーの模倣といって言いほどに、徹底して皮肉のスパイスを利かせた文体で成りたっている。しかし模倣は、舞台を東京というわれわれが見慣れ聞き慣れた土地に展開されるのであって、LAではない。この点で、私立探偵が西新宿に事務所...
  • 蒼ざめた街
    蒼ざめた街 題名:蒼ざめた街 作者:藤田宜永 発行:朝日新聞社 1996.7.1 初版 価格:\1,900  うーん、ぼくはこういう本好きである。戦前の帝都を舞台にした探偵小説。主人公の名刺に擦ってある肩書きは「私立探偵」ではなく「秘密探偵」。帝都東京の香気の中をアメリカ帰りのモダンボーイ探偵がゆく。モボやモガが徘徊する帝都の描写、なんていうだけで、もう読者はこの時代、この世界に引きずり込まれてしまう。  ニューヨークの馬車時代を背景にした『エイリアニスト』、ナチの台頭するベルリンを舞台にしたP・カーのギュンター・シリーズなど、すっごく歴史的に古くとんでもない時代に探偵という職業を配置し、事件を追わせる物語は、海外では多いけど、日本ではどうしても目明かしモノくらいに古いものしかなかなか見当たらない。  江戸川乱歩があるじゃないかと言われて...
  • 笹本稜平
    笹本稜平 長編小説 時の渚 2001 天空への回廊 2002 フォックス・ストーン 2003 太平洋の薔薇 2003 ビッグブラザーを撃て 2003 グリズリー 2004 極点飛行 2005 マングースの尻尾 2006 不正侵入 2006 許さざる者 2007 サハラ 2008 還るべき場所 2008 素行調査官 2008.10 越境捜査シリーズ 越境捜査 2007 挑発 越境捜査2 2010 破断 越境捜査3 2011 逆流 越境捜査 2014 偽装 越境捜査 2015 孤軍 越境捜査 2017 転生 越境捜査 2019 相剋 越境捜査 2020 流転 越境捜査 2022 連作短編集 駐在刑事 2006 恋する組長 2007
  • family honour
    家族の名誉 家族の名誉―サニー・ランドル・シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫) 題名:家族の名誉 原題:Family Honor (1999) 著者:ロバート・B・パーカー Robert B. Parker 訳者:奥村章子 発行:ハヤカワ文庫NV 2000.9.15 初版 価格:\780  パーカーがついに女性を主人公にして作品を書いた。過去にもチャンドラーの遺稿を引き継いで作品化したり(『プードル・スプリングス物語』)、チャンドラーの『大いなる眠り』の後日談を書いてみたり(『夢をみるかもしれない』)と、話題性には事欠かないタイプの作家であったけれど、マティズモを前面に押し出すタイプの探偵スペンサーの生みの親であり、ある意味で相当に男性主義的な作家であるこの人がフェミニストをヒロインに据えた小説というのは何よりも話題性においてビッグなものがある。  パ...
  • A・J・クィネル A. J. Quinnell
    A・J・クィネル A. J. Quinnell クリーシィ・シリーズ 燃える男 1980 大熊栄訳 パーフェクト・キル 1992 大熊栄訳 ブルー・リング 1993 大熊栄訳 ブラック・ホーン 1994 大熊栄訳 地獄からのメッセージ 1996 大熊栄訳 トレイル・オブ・ティアズ 1999 大熊栄訳 長編小説 メッカを撃て 1981 大熊栄訳 スナップ・ショット 1982 大熊栄訳 血の絆 1984 大熊栄訳 サン・カルロの対決 1986 大熊栄訳 ヴァチカンからの暗殺者 1987 大熊栄訳 イローナの四人の父親 1991 大熊栄訳 短編集 地獄の静かな夜 2001 大熊栄訳
  • 神の火-改稿
    神の火(文庫改稿版) 神の火(上) (新潮文庫) 神の火(下) (新潮文庫) 題名:神の火(文庫改稿版) 上/下 作者:高村薫 発行:新潮文庫 1995.4.1 初刷 価格:各\560(本体各\544)  本当に全面改稿でした。この人は全面改稿が好きなのかもしれない。以前の『リヴィエラを撃て』にしても、元々が新潮推理サスペンス大賞にアマチュア時代に応募した作品を「全面改稿・大幅加筆」して、新潮ミステリ倶楽部から書き下ろしているわけだから、初期作品を書き直したいっていう欲求が強い、いわば完全主義射的な一面があるのだろう。  新潮ミステリ倶楽部版の初代『神の火』を読んだ時には、『黄金を抱いて翔べ』の路線の襲撃もので行く作家なのかな、と思わせるくらいにデビュー作と似通った作品だった気がするのだけど、全面改稿版の方は、どちらかというと『リヴィエラを撃て』のよう...
  • 高村薫
    高村 薫 <日本犯罪史を綴る文学>  高村薫の登場が日本ミステリ史にとって一大エポックであったことは、間違いないと思う。情念の底に辿り着こうとする執念の文体を引っ下げて、高村薫は犯罪者の抱え込んだ溶鉱炉へと下降する。物語ではなく人間を創作する、という作家の姿勢に打たれた記憶は生半可ではない。これからの高村がどこへ行こうとしているのか、ぼくは知らない。ただ見たままをここにとどめておくことしか、ぼくにはかなわない。 合田雄一郎シリーズ マークスの山 1993 照柿 1993 レディ・ジョーカー 1994 太陽を曳く馬 2009 冷血 2012 我らが少女A 2019 福澤家サーガ 晴子情歌 2002 新リア王 2005 太陽を曳く馬 2009 ノンシリーズ 長編 黄金を抱いて翔べ 1990 神の火 1991 わが手に拳銃を 1992 リヴィエラを...
  • アメリカミステリ傑作選2001
    アメリカミステリ傑作選 2001 アメリカミステリ傑作選 2001 (アメリカ文芸年間傑作選) 題名:アメリカミステリ傑作選 2001 原題:The Best American Mystery Stories 1999 (1999) 編者:オットー・ペンズラー&エド・マクベイン編 Otto Penzler 訳者:加藤郷子、他 発行:DHC 2001.06.27 初版 価格:\2,800  『ケラー最後の逃げ場』ローレンス・ブロック・田口俊樹訳/『父親の重荷』トマス・H・クック・鴻巣友季子訳/『まずいときにまずい場所に』ジェフリー・ディーヴァー・大倉貴子訳/『ルーファスを撃て』ヴィクター・ギシュラー・加藤淑子訳/『ジェイルハウス・ローヤー』フィリップ・マーゴリン・加賀山卓朗訳/他 全18作収録  アンソロジーなんて滅多に読まない。好きな作家のシリーズ短編...
  • 音に向かって撃て
    音に向かって撃て 音に向かって撃て (新潮文庫) 題名:音に向かって撃て 原題:BLIND MAN S BLUFF (1992) 作者:JOHN SANDFORD 訳者:平田敬 発行:新潮文庫 1994.7.1 初版 価格:\760(本体438)  映画だったらどう見てもB級の乗りのタイトルでいささか苦笑ものだが、まあ1ページ目から、タイトル通りの描写に始まり、その後の展開を予感させて、物語は始まる。『音の手がかり』はそのアイディアの斬新さがよくて、ぼくはけっこう評価したんだけど、この二作目は、一瞬肩透かしかと思わせられる。  というのは脱獄囚の復讐ものと一言で済ませられる類いの、何とも類型化した話がベースで、 その脱獄囚がまた SEALS 出身とかでいろいろな技術を身に付けているわけだ。ほとんどジャッカルかランボォかというスピードで標的に迫る。一方標的...
  • 鳴海章
    鳴海 章 長編小説 俺は鰯 1996.07 長官狙撃 1997.07 凍夜 (「卒業一九七七」改題) 1998.01 真夜中のダリア 1998.03 パラダイス・ビーチ 1998.06 鹹湖 彼女が殺された街  1998.12 風花 1999.06 狼の血 1999.09 輓馬 2000.02 棘 2000.09 もう一度、逢いたい 2000.11 死者の森 2000.12 冬の狙撃手 2001.05 痩蛙 2002.05 ニューナンブ 2002.06 夏日 2002.07 月のない夜 2003.08 街角の犬 2003.10 雨の暗殺者 2004.06 えれじい 2005.09 ナイフ・エッジ 剃刀舞踏会 2006.06 薩摩組幕末秘録 2006.09 いのちに抱かれて楓子と大地の物語 2007.02 総理を撃て 2007.03 微熱の街 2007.05 航空・軍事冒険小説 ナイ...
  • 李歐
    李歐/「わが手に拳銃を」改題改稿版 李歐 (講談社文庫) 題名:李歐/「わが手に拳銃を」改題改稿版 作者:高村薫 発行:講談社文庫 1999.2.15 初版 価格:\714  今頃『李歐』の感想。  勿論『わが手に拳銃を』のリメイクなんだけど、高村薫という作家、ぼくの知るだけでも三作をリメイクしている。そしてそのすべてにおいて、部分改定なんて生易しいものではなくって、とにかく最初から一切合財書き直してしまう、とでも言うような荒技を見せる。文筆を生業とする経済生活自体に相当な余裕がなければこんな贅沢な作家業はできないと思うけれど、高村薫のベストセラーぶりを見ていれば、こうしたことも納得できる。  『黄金を抱いて翔べ』で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞して作家デビューを果たす前年に、『リヴィエラ』で入選を逃し佳作。彼女はこれを書き直し、何と直木賞を同作のリメ...
  • perish twice
    二度目の破滅 二度目の破滅―サニー・ランドル・シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫) 題名:二度目の破滅 原題:Perish Twice (2000) 著者:ロバート・B・パーカー Robert B. Parker 訳者:奥村章子 発行:ハヤカワ文庫HM 2001.9.15 初版 価格:\760  ロバート・B・パーカーという作家がアメリカでベストセラーだということはわかる。しかしその読者層はどういったところなのだろうか? アメリカでどういう人たちにこの作家は人気があるのだろうか。  そんなことを思うのも、いつもスペンサーがスーザンを相手に、男女の自立の問題、恋愛の問題、セックスの問題などに取り組みつつ、スペンサーはむしろマチズモ、レイチェル・ウォーレスはフェミニズムといった、かなりの男女間の理解の距離を埋める作業に、パーカー作品の主人公らは苦労している...
  • 彼らは廃馬を撃つ
    彼らは廃馬を撃つ 題名:彼らは廃馬を撃つ 原題:They Shoot Horses, Don't They (1935) 著者:ホレス・マッコイ Horace McCoy 訳者:常盤新平 発行:白水社 2015.5.20 初版 価格:¥1,000  1935年に書かれ、1970年と1988年に出版されてはいずれも廃版となっては、三度の光を浴びて復刊したのが本書である。しかしこれもまた再版とはならず現在は廃版の状態である。「廃版」とタイトルにある「廃馬」に重なるイメージがあるのだが、本も馬も人もいつかは廃棄される運命にあり、撃たれる運命にあるのかもしれない。  先日読んだばかりの『屍衣にポケットはない』で独特な感性とタフでぶれない軸を持った作家ホレス・マッコイの名を知り、二つの世界大戦の合間に展開するアメリカという社会の、大戦間ならではの独特な...
  • 沖縄を撃つ!
    沖縄を撃つ! 題名:沖縄を撃つ! 作者:花村萬月 発行:集英社新書 2007.11.21 初版 価格:\720  花村萬月の小説は全部読んでいるのだが、新書、エッセイの方はすべてと言うまでには読破していない。いわゆる気が向いた時に、読むことにしている。だけど何故『沖縄を撃つ!』を読んでいるのか自分ではわからない。  一つには『たびを』からの触発なのだろうか。この人の書く旅情は、実に素晴らしいのだ。 あるいはそれ以前に、ずっと初期作品の頃から、バイクを駆って飛び出してゆく主人公の物語を多く読んでいたせいなのかもしれない。花村萬月という作家の具体像をほとんど知らなかった頃から、この人が知床やサロベツの辺境みたいなところに詳しいということは、同じように偏屈な旅行者であったぼくには、小説の行間に実に具体的に透けて見えるのだった。  その後実際にお会...
  • マークスの山
    マークスの山 マークスの山(上) (講談社文庫) マークスの山(下) (講談社文庫) [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 題名:マークスの山 作者:高村薫 発行:早川書房 1993.3.31 初版 価格:\1800(本体\1748)  読後も衝撃が強く長引き過ぎて、なかなか感想...
  • ルパンの消息
    ルパンの消息 [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 題名:ルパンの消息 作者:横山秀夫 発行:光文社カッパ・ノべルス 2005.5.25 初版 価格:\876  売れっ子・横山秀夫でいきなりノベルスとは珍しい。と、思ったら、この作品、サントリーミステリー大賞を逃したデビュー前の佳作に手...
  • 父を撃った12の銃弾
    父を撃った12の銃弾 題名:父を撃った12の銃弾 原題:The Twelve Lives Of Samuel Hawley (2018) 著者:ハンナ・ティンティ Hannah Tinti 訳者:松本剛史 発行:文藝春秋 2021.02.25 初版 価格:¥2,200  犯罪を生業とする者がいるとする。それでは彼は何故、犯罪者として生きることになったのか? そして、そうした人生を彼自身はどう解釈してみせるのだろうか? 紡ぎ糸のように犯罪や銃撃を繋いでゆく綱渡り人生を生きる者は、終わりのない危険な日々からどうしたら脱け出すことができるのだろうか?  本書の主人公は二人。  一人は、十代の頃から犯罪に手を染め銃器に取り囲まれ裏社会に生きるサミュエル・ホーリー。彼の犯罪の暦は、人生において彼の肉体に撃ち込まれる12の銃弾の弾痕となって、短編小説のよ...
  • 幸福と報復
    幸福と報復 題名:幸福と報復(上・下) 原題:The Pursuit Of Happiness (2001) 著者:ダグラス・ケネディ Douglas Kennedy 訳者:中川聖 発行:新潮文庫 2002.07.1 初版 価格:上¥857-/下¥819  かれこれ17年前くらいの作品だが、この本に限ってはいくら年月が経とうとあまり古くならない。戦後すぐのアメリカに吹き荒れたマッカーシーの赤狩りの時代を背景とした恋愛小説であるからだ。赤狩りの時代はそのままアメリカのゲシュタポ時代として歴史に刻まれてしまった汚点のままだし、時代がどうあれ恋愛小説は恋愛小説でしかないからだ。  ぼくは恋愛小説に偏見を持ち過ぎていたかもしれない。この本を読みながらずっと思っていたことだ。恋愛小説には真犯人を突き止めたり、トリックを見破ったりする楽しみはないのだが、そ...
  • おれの眼を撃った男は死んだ
    おれの眼を撃った男は死んだ 題名:おれの眼を撃った男は死んだ 原題:The Man Who Shot Out My Eye Is Dead (2017) 著者:シャネル・ベンツ Chanelle Benz 訳者:高山真由美 発行:東京創元社 2020.05.22 初版 価格:¥2,200  久々に衝撃的、かつ唯一無二の短編小説集に出くわした。本書は作者のデビュー作でありながら、独自の才気を匂わせつつ、危険と謎の香気に満ちた10種の濃厚熟成作品集である。時代や趣向をそれぞれ異としつつ、多種多様な味わいを作品毎に見せてくれる。切断面はどれも個性的で、凡百の分析を退ける独自性を持ち、誇らかに屹立しているかに見える。  最初の短編『よくある西部の物語』は、文字通り西部劇題材。そしてO・ヘンリー賞受賞作品。「冒頭の一編はあなたの息の根を止める」と帯に込められ...
  • ジェフリー・ディーヴァー
    ジェフリー・ディーヴァー Jeffery Deaver リンカーン・ライム・シリーズ ボーン・コレクター 1997 池田真紀子訳 コフィン・ダンサー 1998 池田真紀子訳 エンプティー・チェア 2000 池田真紀子訳 石の猿 2002 池田真紀子訳 魔術師(イリュージョニスト) 2003 池田真紀子訳 12番目のカード 2005 池田真紀子訳 ウォッチメーカー 2007 池田真紀子訳 ソウル・コレクター 2008 池田真紀子訳 バーニング・ワイヤー 2010 池田真紀子訳 ゴースト・スナイパー 2013 池田真紀子訳 スキン・コレクター 2014 池田真紀子訳 スティール・キス 2016 池田真紀子訳 ブラック・スクリーム 2017 池田真紀子訳 カッティング・エッジ 2018 池田真紀子訳 真夜中の密室 2022 池田真紀子訳 キャサリン・ダンス・シリーズ スリーピング・ドール...
  • 寄り道ビアホール
    寄り道ビアホール 寄り道ビアホール (講談社文庫) 寄り道ビアホール 題名:寄り道ビアホール 作者:篠田節子 発行:朝日新聞社 1999.11.1 初版 価格: \1,300  朝日新聞家庭欄でのコラムを中心とした篠田節子の第二エッセイ集。他に旅のエッセイ、エッセイ自体について論じ合う重松清との対談などがあり、それなりに篠田節子の作家的スタンスが明らかになって興味深い。  対談の中で「この際カミングアウトしてしまうと、私、エコロのフェミなんです」という下りがある。エコロジストでありフェミニストなんだそうだ。ぼくは彼女の作品に触れるときいつも彼女独特の「文明観」といったものを思い描いていたものだ。その「文明観」の現実への着地点が「エコロでフェミ」であったのかもしれない。  多くの事象を新聞コラムという形でエッセイにするとき、彼女の見つめる姿勢は、前...
  • 幻の祭典
    幻の祭典 幻の祭典 (文春文庫) 幻の祭典 (新潮文庫) 題名:幻の祭典 作者:逢坂剛 発行:新潮社 1993.5.25 初版 価格:\1,600(本体\1,553)  いったい週刊誌に連載する小説というのは、あれは一気に書いたものを分納して掲載してもらうのだろうか? それともやっぱりその場その場でしのいでゆくものなのだろうか? 大抵の連載ものは、あとでハードカバーになる時に、「大幅に加筆訂正したもの」である旨最後に注意書きしてあるから、やっぱし連載というのはぶつ切りに書いたもので、だからこそ、後で一つに合わせてみた時に、どうしてもなおしたいところが生じるんだろうと思う。言わばプラモデル組み立て段階、みたいなものが連載小説には必要なんだろうなあ、と思う。特に新聞小説などでは大変なのだろうなあ、と思う。  そんなことも読後に感じられるのがこの本なのである。...
  • アライズ・アンド・ウォーク
    アライズ・アンド・ウォーク 題名:アライズ・アンド・ウォーク 原題:Arise And Walk (1994) 作者:Barry Gifford 訳者:真先義博 発行:文春文庫 2001.2.10 初版 価格:\571  ギフォードのディープ・サウス三部作のうち二冊目。前作『ナイト・ピープル』を引き継ぐ人物は若干名出てくるが、例によって例による無造作な扱い方は、あまりにも皮肉たっぷりのダークぶり。無常観に満ちた混沌のなかへとすべてが叩き込まれてゆく。  ある程度、地理的に絞られた場所に展開する多くのエピソードをストロボのように連写してみせる構成については前作そのまま。厳密には、一冊ごとにまとまった話ではありながら、登場人物が再登場するなど、互いに繋がりの深い関係にあるために、やはり三作とも一気に、しかも順番に読んでしまうのがベストかと思われる。 ...
  • レイン・ドッグズ
    レイン・ドッグズ 題名:レイン・ドッグズ 原題:Rain Dogs (2015) 作者:エイドリアン・マッキンティ Adrian Mckinty 訳者:武藤陽生 発行:ハヤカワ文庫HM 2021.12.25 初版 価格:¥1,520  ノワールの系譜を正当に継ぐのが、このエイドリアン・マッキンティだとぼくは固く信じている。リズミカルに並べられる名詞の山。体言止めで綴られる小気味よい文体。舞台は、ジャック・ヒギンズの作品でもおなじみのテロの嵐吹き荒れる80年代の北アイルランド、ベルファストとその近郊。  主人公は、すっかりお馴染みになったいい味の一匹狼、汚れた街をゆくショーン・ダフィ。頑固で、タフで、それでいて弱くて、心優しい詩人で、デカダンスな酒呑みで、頭が切れる上に、ピアノも上手い、古いレコードのマニアである。シリーズ作品のタイトルはすべて、酔いどれ...
  • 許さざる者
    許さざる者 題名:許さざる者 作者:笹本稜平 発行:幻冬舎 2007.12.05 初版 価格:\1,600  この作家にとって原点回帰と言える作品なのかもしれない。江戸川乱歩賞に較べるとだいぶ知名度が低いかもしれないサントリー・ミステリー大賞・読者賞をダブル受賞した『時の渚』を彷彿とさせる作品である。『時の渚』はデビュー二作目とは言え、笹本稜平名義としては、初となる。処女作は阿由葉稜名義での『暗号―BACK‐DOOR』である。こちらは、後に『ビッグ・ブラザーを撃て』と改題、改めて笹本稜平名義で文庫化されている。  いずれも名義に稜線の「稜」の字を使っている。ぼく自身、山をやっていた経緯から小説を書いてペンネームをつけるならば「稜」の字は外せない、などと長年思っていたという恥ずかしい経緯などもあり、何となく自分的には素直にこの作家が好きになり切れない...
  • デニス・レヘイン(ルヘイン)
    デニス・レヘイン(ルヘイン)  Dennis Lehane 長編 ミスティック・リバー 加賀山卓朗訳 2001 シャッター・アイランド 加賀山卓朗訳  2003 ザ・ドロップ 加賀山卓朗訳 2014 コグリン家三部作 運命の日 加賀山卓朗訳 2008 夜に生きる 加賀山卓朗訳 2012 過ぎ去りし世界 加賀山卓朗訳 2015 私立探偵パトリック・ケンジー・シリーズ スコッチに涙を託して 鎌田三平訳 1994 闇よ、我が手を取りたまえ鎌田三平訳  1996 穢れしものに祝福を鎌田三平訳  1997 愛しき者はすべて去りゆく鎌田三平訳  1998 雨に祈りを鎌田三平訳  1999 ムーンライト・マイル 鎌田三平訳 2010
  • 血の葬送曲
    血の葬送曲 題名:血の葬送曲 原題:City Of Ghosts (2020) 著者:ベン・クリード Ben Creed 訳者:村山美雪 発行:角川文庫 2021.04.25 初版 価格:¥1,000  「1951年、レニングラード」「線路に並べられた5つの死体」という帯の言葉が眼を引く。大戦後、スターリン支配下の共産国家の恐怖政治下の警察小説ということで、かなりの変わり玉だと思いつつ読んだのだが、期待通りの突然変異的な作品。どこにもないこの個性的作品に出会えたことはまさに収穫だった。  物語に未だ尾を引くナチスドイツとのレニングラード攻防戦について、作品では少なからず触れているが、兵糧攻めに合ったレニングラードは、長期に渡る攻防の下、圧倒的な飢餓に襲われ、その後遺症は物理的にも精神的にも戦後復興に向かおうとするこの都市には、まだまだ存分に吹き荒れて...
  • 冬のフロスト
    冬のフロスト 題名:冬のフロスト 原題:Winter Frost (1999) 作者:R.D.ウィングフィールド R.D.Wingfield 訳者:芹澤 恵 発行:創元推理文庫 2013.6.13 初版 価格:各\1,300  フロストを読むのは実に久しぶり。何を隠そう17年ぶりにこのシリーズの中二作をすっ飛ばして最新翻訳作品に卑しくも手を伸ばしてしまったのだ。そしてこのシリーズの凄みに、まるで今初めて出会ったばかりのように、ぼくは改めて驚愕するのだ。そしてこのシリーズへの評価を新たにする。そしてその手応えの確かさに酔い痴れる。  このシリーズ、いちいち分厚い翻訳小説である。この厚みと丁寧な翻訳の手仕事こそが、フロストシリーズの翻訳を難航させているのだろうなあ。何しろ、この作品だって、イギリスで刊行されて14年目にして日本にその翻訳の成果が披露さ...
  • 愛こそすべて、と愚か者は言った
    愛こそすべて、と愚か者は言った 愛こそすべて、と愚か者は言った (新潮ミステリー倶楽部) 題名:愛こそすべて、と愚か者は言った 作者:沢木冬吾 発行:新潮ミステリー倶楽部 1999.1.30 初版 価格:\1,900  本書は『償いの椅子』であまりにも強烈な印象を植えつけてくれた沢木冬吾のデビュー作。と言ってもまだニ作しか完成させていないのか。思えば、本書が新潮ミステリー大賞高見浩特別賞を取った同年の大賞が戸梶圭太『闇のカーニバル』(応募時のタイトルは『ぶつかる夢ふたつ』)、また島田荘司特別賞を響堂新が取っている。他の二人は次々と作品を出しており、とりわけ戸梶圭太の多作&人気ぶりは一種のムーブメントにまで近い印象があり、しっかり戸梶イズムを定着させた感もあるくらいだ。  そこへゆくとこの沢木冬吾の頑固さはある意味際だっているかもしれない。職業ペースでは四、...
  • ラスト・コヨーテ
    ラスト・コヨーテ 題名:ラスト・コヨーテ 上/下 原題:The Last Coyote (1995) 著者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:扶桑社ミステリー 1996.6.30 初版 価格:上\560/下¥540  元々ぼくがこのシリーズを読み始めたきっかけは、ハリー・ボッシュという主人公の粗暴な荒々しさとストレートな意志、そしてベトナムという過去、そしてアクションとサスペンス、全体の面白さといった娯楽小説としての魅力が満載されていたからだ。ハリー・ボッシュに惚れたし、ストーリーに酔った。それがすべてと言って構わなかった。  二作目『ブラック・アイス』では、さらにその感を強めたし、三作目の『ブラック・ハート』で、このシリーズはミステリ界のベストをずっと走り続ける素晴らしく完成度の高いシリーズである...
  • アニマル・ファクトリー
    アニマル・ファクトリー 題名:アニマル・ファクトリー 原題:The Animal Factory (1977) 作者:Edward Bunker 訳者:小林宏明 発行:ソニーマガジンズ 2000.10.20 初版 価格:\1,800  エドワード・バンカーという人は、長編小説を通して、作家としてはかなり希有なタイプである自分の実人生を切り取り、その意味を問い糾しているのではないだろうかと思われる側面がある。  『リトルボーイ・ブルー』では刑務所人生を余儀なくされるに至る子供時代の出口なき不幸に焦点を当てている。『ストレート・タイム』では刑務所を出ても、実社会にまともな人生を送るべき場所のない前科者の救いなき疎外を、社会のひずみへの強烈な反発とともに描いている。  そしてついにこの作品。本書では、彼の人生の最も多くの時間を費やさざるを得なかっ...
  • 運命の日
    運命の日 題名:運命の日 上/下 原題:The Given Day (2008) 作者:デニス・ルヘイン Dennis Lehane 訳者:加賀山卓朗 発行:早川書房 2008.08.25 初版 価格:各\1,800  これまでのどのルヘイン作品とも異なるのは間違いない。そして随所で行われる年度ベスト・チョイス作品リストに名を連ねるであろうことも間違いない。ルヘインの五年ぶりの長編作品は、長い時間を投入しただけあって、大変な力作であり大作として、そしてその物語性の深さ、取り上げられた題材の意外さという面において、あまりに衝撃的であり過ぎる。  第一次大戦末期のアメリカ、1919年に巻き起こったボストン市警のストライキとそれに触発された暴動が、この小説の材料である。時は、ロシア共産革命(1917年)に遅れること二年、そして禁酒法成立の一年前、とい...
  • 正当なる狂気
    正当なる狂気 題名:正当なる狂気 原題:The Right Madness (2005) 作者:ジェイムズ・クラムリー James Crumley 訳者:小鷹信光 発行:早川書房 2007.11.15 初版 価格:\2,000  C・W・シュグルーも、元相棒のミロ・ミロドラゴビッチや、本シリーズの作者ジェイムズ・クラムリーご同様、大変歳をとってしまっていた。大きな事件を扱うような探偵仕事からは足を洗って、引退という二文字を口にするざまは、『ファイナル・カントリー』のミロと同じようなもので、どちらもドランカーぶり、ドラッグ漬けぶりは、相変わらずだ。  どちらも少しずつ作者の分身であるのだろう。立派な探偵といった印象は二人ともになく、ただひたすらに闘ってゆこうという姿勢と、それを守るためにいろいろな弱さを曝け出し、嘘をつけないゆえの衝突や気苦労を背...
  • スリーピング・ドール
    スリーピング・ドール 題名:スリーピング・ドール 原題:The Sleeping Doll (2007) 作者:ジェフリー・ディーヴァー Jeffery Deaver 訳者:池田真紀子 発行:文藝春秋 2008.10.10 初版 価格:\2,381  近頃、ディーヴァーがすっかり好きじゃなくなったのに、なぜぼくはディーヴァーを読むのだろうと、自分に問いかけてしまう。まあディーヴァーはそこそこ面白いと言うことだけは言えるからな、と自分に肯く。ただ、マンネリに陥っているところがあるし、何よりもご都合主義の目立つプロットが鼻につくんだよな。じゃあ、読まなければいいのだが、本当に好きになりきれない作家の場合は、図書館で借りることができるし、何も散在するわけじゃない。ディーヴァーのハードカバーはとても高いし、ちょうどそんな具合に無料(ただ)だと思って読めばいい。 ...
  • ザ・ドロップ
    ザ・ドロップ 題名:ザ・ドロップ 原題:The Drop (2014) 作者:デニス・ルヘイン Dennis Lehane 訳者:加賀山卓朗 発行:ハヤカワ・ミステリ 2015.03.15 初版 価格:\1,300  一軒の酒場を舞台に、孤独な青年バーテンダー・ボブの周辺に巻き起こる、突風のようなできごと。始まりは、捨て犬との出逢いだった。  アイルランド系移民の集まるボストンの下町は、そのまま社会というボトルの底に沈んでしまったみたいな街であり、夢や救いに見放されたような淀んだ時間に、誰もが人生を弄ばれているかのような土地である。  そこに生きる印象深い人々と目立たぬ主人公ボブを巻き込むトラブル。読む進むうちに、これはスクリーンで観る映画のような物語だな、と思っていたら、なんと本書は、短編『アニマル・レスキュー』(2012年『ミステリ・マ...
  • ザ・ロード
    ザ・ロード 題名:ザ・ロード 原題:The Road (2005) 作者:コーマック・マッカーシー Cormac McCarthy 訳者:黒原敏行 発行:早川書房 2008.06.25 初版 価格:\1,800   この作家の本は『血と暴力の国』しか読んでいないので、本書が二冊目である。前作もロード・ノヴェルであったが、本書はまさにタイトルの通りのロード・ノヴェル。それも究極のロード・ノヴェルである。しかし巻末の訳者解説により、この作家はすべての小説がロード・ノヴェルなのであることがわかる。  こちとら70年代アメリカン・ニュー・シネマの世代である。ということは、ロード・ムーヴィーの世代ということでもあるのだ。だから、今でもロード・ノヴェルには魅せられる。例を挙げれば『イージー・ライダー』『バニシング・ポイント』『スケア・クロー』等々。 ...
  • キューバ・リブレ
    キューバ・リブレ 題名:キューバ・リブレ 原題:Cuba Libre (1998) 作者:エルモア・レナード Elmore Leonard 訳者:高見 浩 発行:小学館文庫 2007.11.11 初版 価格:\781  クライム・ノヴェルの名手と言われるエルモア・レナードが初めて挑戦した時代活劇小説が本書。もともと少しレトロ風味がかったレナードの世界に、さらにセピアのフィルターをかけて、時間軸を巻き戻してあげたような、それはそれは味わいのあるビターなドリンクに仕上がっている。もともとクーバリブレというカクテルが、本書のタイトルだ。ぐっと一息に飲み干すがいい。  米西戦争として知られる1898年のエポックを背景に、例によって一筋縄では行かないパーソナリティの数々が、騙し合い、化かし合い、殺し合い……といったレナードならではの本領を発揮し合う。史実に即...
  • 殺しの接吻
    殺しの接吻 題名:殺しの接吻 原題:No Way To Treat A Lady (1964) 作者:ウィリアム・ゴールドマン William Goldman 訳者:酒井武志 発行:ハヤカワ・ミステリ 2004.06.15 初版 価格:\1,000  【ポケミス名画座】とは未翻訳の映画原作に対する翻訳希望ランキングであるから、ここでランキング入りした作品は、映画作品そのものもそこそこ素晴らしいという想定は容易にできるのだけど、映画はさておいてこいつの原作を読みたいと言う欲求があっても不思議ではないだろう。本作品はサイコ系スリラー映画として売り出したそうだが、原作の方の展開はというと、そもそものゴールドマンが書きたいと思った作品モチーフのところから違っているらしい。  本書はちょうどマクベインの87分署シリーズスタート後8年と、ペーパーバックにおける警...
  • 夜の分水嶺
    夜の分水嶺 [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 夜の分水嶺  G君(現・吉野仁)情報では、志水さんの無自信作だそうなのだが、何の、面白いではないの。ここのところ鳴りを潜めていた大がかりなアクション・シーンが復活して、志水作品にしては初期の頃を思わせるサービス振り。だから最近の心理サスペンス的なものを...
  • 司法取引
    司法取引 題名:司法取引 / 上・下 原題:The Racketeer (2012) 作者:ジョン・グリシャム John Grisham 訳者:白石 朗 発行:新潮文庫 2015.3.1 初版 価格:各\670  無実の罪で投獄されている弁護士バニスターの独白に始まる本書。ある殺人事件が起こったことを知ったバニスターは、犯人を知っているという情報をもとに釈放および承認保護プログラムの取引を司法当局とFBIに対し持ちかける。おお、のっけからグリシャム節炸裂である。ページターナーぶりも健在。  ところがいつものグリシャム節は、なんと前半だけだった。刑務所から出て名前や顔を変えたバニスターは、ある時点で唐突な行動に走ってゆく。司法当局やFBIの前からすっかり姿を消し、ある出獄した同房者にドキュメント映画のプロデューサーに成りすまして映画出演の話を持...
  • 死のドレスを花婿に 
    死のドレスを花婿に 題名:死のドレスを花婿に 原題:Robe de marié (2009) 作者:ピエール・ルメートル Pierre Lemaitre 訳者:吉田恒雄 発行:文春文庫 2015/4/10 初刷 2015/4/20 3刷 価格:\790  今年は昨年の『その女アレックス』の大ヒットを受けて、フランス小説としては異例の翻訳化の嵐が吹き荒れている。年間3作品も翻訳出版されるスピードは、海外小説ということからしても奇異な現象である。何かの受賞作品一作だけで翻訳を見切られる作家も、海外小説という不況市場では珍しくない状況下、このような空前のヒットは歓迎すべきことである。これを機に北欧ミステリに続いてのフランスのミステリ、ひいては海外ミステリの翻訳に順風が吹いてくれることを期待したい。  そのためには一発屋的ヒットではなく、次々と翻訳紹介される作品...
  • 女彫刻家
    女彫刻家 題名:女彫刻家 原題:The Sculptress (1993) 作者:Minette Walters 訳者:成川裕子 発行:東京創元社 1995.7.20 初版 価格:\2,600  面白い! 去年のベストを席捲したミステリーだけにちと気になっていた未読本だったけど、こんなことならきちんと出版時に読んでおいて「このミス」アンケートの上位に入れておくのだった。  何より主人公になる女彫刻家の異常な外観・異常な言動・パワーと知性がいい。まさにレクター以来の刑務所の恐怖役ではないだろうか。こういう人なら「ストーン・シティ」や「グリーンリバー・ライジング」の極悪刑務所の中でも十分異彩を放つんだろうけど、残念ながら女性なんだよなあ。女性と聞いて頭に描くのはFBI心理分析官が言っていた女性の無動機連続殺人鬼のケースは一件もないということ。無動機の...
  • 殺す警官
    殺す警官 題名:殺す警官 原題:The Business Of Daying (2002) 作者:サイモン・カーニック Simon Kernick 訳者:佐藤耕士 発行:新潮文庫 2003.9.1 初版 価格:\781   こういう作品を読むと、英国のミステリが非常に多様化してきたことを痛感させられる。英国ミステリと言えば、シャーロック・ホームズからアガサ・クリスティと、古典的で謎解きを謳歌した手法から始まったが、一方では多の冒険小説の書き手を生み、ジャンルはとりわけはっきりしていたイメージがある。その中で謎解きをしながらも冒険小説的エッセンスを持つディック・フランシスというロングラン向けの人気作家もこつこつと作品を世に送り出してきた。あるいは諜報部員の屈折と勝利のための戦いを書き込んできたC・トーマスや、フリーマントルのチャーリー・マフィンシリーズ。 ...
  • 長い長い殺人
    長い長い殺人 題名:長い長い殺人 作者:宮部みゆき 発行:光文社 1992.09.15 初版 価格:\1,400  ある時期に買った本なのだが、しまい込んでしまったまま忘れ去り、それを15年も経ってから取り出して突然読み始める、というようなことをあなたはするだろうか。ぼくは滅多にそんなことはしないで、そのまま読まずに終わってしまうか、そのまま忘れ続けるままか、ということが多いように思う。いずれにせよ、我が家には読まずに置かれている本が山のように眠っている。もしかしたらもう一生本を買わなくても、これらの本だけで足りてしまうのかもしれない。年金生活に備えて、これはこれで持っていても悪いことではないのかもしれない。  さて、そんな眠れる本の一冊が、珍しいことに書棚の奥から取り出されることになった。きっかけは、WOWOWが自社製作で作るドラマWでこの作品...
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