wiki クライムウェイヴ(Sysop読書録 活字をめぐる冒険) 内検索 / 「ベスト・アメリカン・ミステリ アイデンティティ・クラブ」で検索した結果

検索 :
  • ベスト・アメリカン・ミステリ アイデンティティ・クラブ
    ベスト・アメリカン・ミステリ アイデンティティ・クラブ 題名 ベスト・アメリカン・ミステリ アイデンティティ・クラブ 原題:The Best American Mystery Stories 2005(2005) 作者:ジョイス・キャロル・オーツ&オットー・ペンズラー編 Joyce Carol Oates, Otto Penzler 訳者:横山啓明、他 発行:ハヤカワ・ミステリ 2006.12.15 初版 価格:\1,900  毎年、年鑑のように発行される、その都市のアメリカ短篇小説ベスト20選である。書店主、書評家、編集人、アンソロジストなど各種の顔を持つオットー・ペンズラーが、時の作家と組んで選び抜いた自信溢れる20作。アンソロジストというのは日本ではあまり耳にしない職業かもしれないが、多くを読み、テーマ別にアンソロジーを編む人のことだから、見えない部...
  • アンソロジー
    アンソロジー オットー・ペンズラーのベスト・アメリカン・ミステリ アメリカミステリ傑作選 2000 スー・グラフトン編 アメリカミステリ傑作選 2001 エド・マクベイン編 アメリカミステリ傑作選 2002 ドナルド E.ウェストレイク編 アメリカミステリ傑作選 2003 ローレンス・ブロック編 ベスト・アメリカン・ミステリ  ハーレム・ノクターン ジェイムズ・エルロイ編 2002  ベスト・アメリカン・ミステリ ジュークボックス・キング 2003 マイクル・コナリー編 ベスト・アメリカン・ミステリ スネーク・アイズ 2004 ネルソン・デミル編 ベスト・アメリカン・ミステリ アイデンティティ・クラブ 2005 J・C・オーツ編 ベスト・アメリカン・ミステリ クラック・コカイン・ダイエット 2006 スコット・トゥロー編 『ジャーロ』傑作短編アンソロジー 『ジャーロ』傑作短編アンソロ...
  • ベスト・アメリカン・ミステリ スネーク・アイズ
    ベスト・アメリカン・ミステリ スネーク・アイズ ベスト・アメリカン・ミステリスネーク・アイズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 題名 ベスト・アメリカン・ミステリ スネーク・アイズ 原題:The Best American Mystery Stories 2004(2004) 作者:ネルソン・デミル&オットー・ペンズラー編 Nelson DeMille, Otto Penzler 訳者:田村義進、他 発行:ハヤカワ・ミステリ 2005.12.15 初版 価格:\1,900  アンソロジーのバイブルみたいな名シリーズである。ハヤカワが二年遅れくらいのテンポで翻訳出版を続けてくれるので、短編ファンにとっては有難い。  50本の短編に絞る役割をペンズラーが行い、その内から20本を選び出す責任ある作業を、ゲスト作家に任せる。ゲスト作家の方は、最後の篩い分けという...
  • ロスト・アイデンティティ
    ロスト・アイデンティティ 題名:ロスト・アイデンティティ 原題:East Of Hounslow (2017) 著者:クラム・ラーマン Khurrum Rahman 訳者:能田優 発行:ハーパーBOOKS 2022.3.20 価格:¥1,300  イギリス在住の作者クラム・ラーマンはパキスタンはカラチ生まれ。一歳で英国移住、ロンドン育ちの現在はIT企業会社役員、という珍しい肩書の新人作家だ。本書は、作者お馴染みの、ロンドン西部の移民率が高い自治区にあるハウンズロウに育ったムスリムの青年たちの日常からスタートする。  主人公のジェイ・カシームは麻薬の売人だが、友人の一人は警察官、もう一人はテロリストキャンプにまで参加する民族主義者。再婚相手ができたばかりの母は冒頭からカタールに引っ越ししてしまい、父なし子のジェイは、初めての独り立ちを迎える。 ...
  • ベスト・アメリカン・ミステリ ジュークボックス・キング
    ベスト・アメリカン・ミステリ ジュークボックス・キング ベスト・アメリカン・ミステリ ジュークボックス・キング (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 題名:ベスト・アメリカン・ミステリ ジュークボックス・キング 原題:The Best American Mystery Stories 2003(2003) 編者:マイクル・コナリー&オットー・ペンズラー編 Michael Connelly, Otto Penzler 訳者:古沢嘉通、他 発行:ハヤカワ・ミステリ 2005.4.15 初版 価格:\1.800  同じアンソロジーの名シリーズをハヤカワが立て続けに出した。確かにDHCの出版は2001年で止まっていた。でも今になっていきなり二冊というのは、不思議だ。ぼくの4月は、結局この二冊を読むのに大半を費やすことになった。それだけじっくり読める二冊だったわけだ。 ...
  • ベスト・アメリカン・ミステリ ハーレム・ノクターン
    ベスト・アメリカン・ミステリ ハーレム・ノクターン ベスト・アメリカン・ミステリ ハーレム・ノクターン (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 題名:ベスト・アメリカン・ミステリ ハーレム・ノクターン 原題:The Best American Mystery Stories 2002(2002) 編者:ジェイムス・エルロイ&オットー・ペンズラー編 James Ellroy, Otto Penzler 訳者:木村二郎、古沢嘉通、他 発行:ハヤカワ・ミステリ 2005.3.15 初版 価格:\1,900  アメリカの短編小説が翻訳される機会は非常に少ないと思う。もしかしたらアメリカ人は短編小説なんて書かないんじゃないか、と錯覚を起こしそうになってしまう。  ぼくがアメリカの短編小説をとても面白いと感じたのは、近年ではローレンス・ブロックの『おかしなことを聞くね』...
  • 北東の大地、逃亡の西
    ...ト・ウォルヴンは、『ベスト・アメリカン・ミステリ』の常連。オットー・ペンズラーが全米の短篇小説を絞りに絞り、毎年、ゲスト編集者(有名作家が多い)により最終20作をチョイスしたものがこの『ベスト・アメリカン・ミステリ』である。ゲストの作家の好みが反映される傾向が強いとぼくは感じているのだが、ここ数年、毎年のように名前が登場する作家がこのスコット・ウォルヴンである。言わばどの傾向の作家であれ、ウォルヴンという作家を最終選考で残してしまうというミラクルが継続中であるわけだ。それも5年も6年もである。凄い!  そのスコット・ウォルヴンは基本的に短編小説家であり、もともとがネットに作品を載せていたところを、着目されてしまったという変わった経歴の持ち主。また彼の書く作品の舞台は極めて限られた土地のもので、バーモント州やアイダホ州がほとんどだ。  アメリカとは巨大な田舎だ、と、アメ...
  • マーダー・ミステリ・ブッククラブ
    マーダー・ミステリ・ブッククラブ 題名:マーダー・ミステリ・ブッククラブ 原題:The Murder Mystery Book Club (2014) 著者:C・A・ラーマー C.A.Larmer 訳者:高橋恭美子 発行:創元推理文庫 2022.8.10 初版 2022.10.7 2刷 価格:¥1,040  2022/12/17。読書会を舞台にしたミステリー作品をテーマにした読書会にぼくは参加していた。立体構造や無限ループのように思えてしまう現実と小説の間。こんな体験も悪くない。ましてや翻訳を担当した高橋恭美子さんは、そもそもわが翻訳ミステリー札幌読書会のレギュラーメンバーだ。なので本書の訳者あとがきでも、われらが札幌読書会のことをちらっと宣伝してくれている。読書会と作品との立体構造。下層と現実との交錯。やはり珍しいよね。  ちなみに札幌読書会には、...
  • クライム・マシン
    ...名だが、彼の毎年の『ベスト・アメリカン・ミステリ』は、ただのミステリーというよりも、どちらかと言えば文学的志向が強いかに見える。短編にしては重く、一行一行に読み応えの感じられるものが多い。  そこへゆくと、こちらのジャック・リッチーは、日本で言えば星新一のようなテイストといったところか。短編の中にはショートショートもあるし、作品を短くすることに命を賭けているというイメージがある。星新一のショート・ストーリーがそうであるように、ジャック・リッチーの作品もまた、明るく、そして凝っている。文芸的な重さというものを捨て去った代わりに、誰も思いつかないようなネタで勝負しているという気配が強い。オットー・ペンズラーよりも、ローレンス・ブロックの方により近い。  独立した短編とショートショートで成り立つこの作品集は、アメリカで別に原版となる短編作品集があるわけではなく、日本で翻訳し...
  • クラム・ラーマン Khurrum Rahman
    クラム・ラーマン Khurrum Rahman 長編小説 ロスト・アイデンティティ 2017 能田優 テロリストとは呼ばせない 2018 能田優
  • ありふれた祈り
    ありふれた祈り 題名:ありふれた祈り 原題:Ordinary Grace (2013) 作者:ウィリアム・ケント・クルーガー William Kent Krueger 訳者:宇佐川晶子 発行:ハヤカワ・ミステリ 2014.12.15 初版 価格:\1,800  アメリカには少年の冒険小説がよく似合う。トム・ソーヤーやハックルベリー・フィンに始まった少年が冒険する物語は、少年向けの小説であったとして、スティーブン・キングの『スタンド・バイ・ミー』やロバート・マッキャモンの『少年時代』などなぜかホラー作家の正統派少年小説として、かつて少年であった大人たちに読まれ、評価された名作として知られている。  時を経て、リーガル・サスペンスの巨匠、兼売れっ子作家であるジョン・グリシャムですら、『ペインテッド・ハウス』というジャンル外の傑作をものにしている...
  • 黒と白のはざま
    黒と白のはざま 題名:黒と白のはざま 原題:Between White And Black (2016) 著者:ロバート・ベイリー Robert Bailey 訳者:吉野弘人訳 発行:小学館文庫 2020.1.12 初版 価格:¥950  アメリカ南部ミステリーは何故か一様に骨太である。  最近、アマゾン・プレミアムでドラマ化され本国で人気復活中との噂のあるジョー・R・ランズデールのハップとレナード・シリーズ。ジョン・グリシャムの『評決のとき』に代表される大型リーガル・サスペンス。  『ザ・プロフェッサー』で一躍名を馳せたロバート・ベイリーは、グリシャムよろしく、南部作家で法廷ミステリーである。グリシャムは一方でノン・ミステリーのアメフト・スポ根小説『奇跡のタッチダウン』で暑い男たちを描いているように、ベイリーの『ザ・プロフェッサー』もま...
  • アメリカミステリ傑作選2001
    アメリカミステリ傑作選 2001 アメリカミステリ傑作選 2001 (アメリカ文芸年間傑作選) 題名:アメリカミステリ傑作選 2001 原題:The Best American Mystery Stories 1999 (1999) 編者:オットー・ペンズラー&エド・マクベイン編 Otto Penzler 訳者:加藤郷子、他 発行:DHC 2001.06.27 初版 価格:\2,800  『ケラー最後の逃げ場』ローレンス・ブロック・田口俊樹訳/『父親の重荷』トマス・H・クック・鴻巣友季子訳/『まずいときにまずい場所に』ジェフリー・ディーヴァー・大倉貴子訳/『ルーファスを撃て』ヴィクター・ギシュラー・加藤淑子訳/『ジェイルハウス・ローヤー』フィリップ・マーゴリン・加賀山卓朗訳/他 全18作収録  アンソロジーなんて滅多に読まない。好きな作家のシリーズ短編...
  • ダーティ・ホワイト・ボーイズ
    ダーティ・ホワイト・ボーイズ ダーティホワイトボーイズ (扶桑社ミステリー) 題名:ダーティ・ホワイト・ボーイズ 原題:Dirty White Boys (1994) 作者:Stephen Hunter 訳者:公手成幸 発行:扶桑社ミステリ 1997.2.28 初版 価格:\900(本体\874)  骨太の作風で寡作。S・ハンターの印象はこれに尽きる。だからこそ作品が出ただけで胸が高鳴る名前でもある。  この作品が邦訳で春先に出ていることを、ぼくは一度知らされていながら失念していたか、全く知らなかったかのどちらかである。FADVのオフにおいてこの作品を知らされたときには、再びぼくの読書欲の対象として強力に浮上してきた。  ハンターは寡作なだけに各作品にこれと言った傾向というのが見い出しにくい。各作品はどれもこれも舞台を変え質を変えて見える。本作品...
  • ララバイ
    ララバイ ララバイ―87分署シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫) ララバイ (ハヤカワ ポケット ミステリ) 題名:ララバイ 原題:Lullaby (1989) 著者:エド・マクベイン Ed McBain 訳者:井上一夫 発行:ハヤカワ・ミステリ 1989.02.28 初版 価格:\800  この本に、ぼくはこの本には、マクベインその人から次のようなサインを戴いている。      "TO SHUN. BEST WISHES.                           ED MCBAIN" mcbain.JPG  マクベインと話したとき(もちろん通訳付きで)、ぼくはまだ<87分署>を『幽霊』までしか読み進んでいなかったので、そのことを話した。またぼくがパソコン通信のボードでシリーズの読書評を書いている...
  • アメリカン・デス・トリップ
    アメリカン・デス・トリップ 題名 アメリカン・デス・トリップ 上/下 原題 The Cold Six Thousand (2001) 著者 ジェイムズ・エルロイ James Ellroy 訳者 田村義進 発行 文藝春秋 2001.9.15 初版 価格 各\2,381  『アメリカン・タブロイド』から6年。USAアンダーワールド三部作の第二作が漸く到着した。待ちに待たれたエルロイ、久々の長編。  JFKという名の祝祭に終わった前作。ダラスの熱い一日。葬られた者。悪と秘密を抱えたまま通り過ぎて行く者たちの夏は一度幕を閉じた。  そして本作。ダラスへ向かう者の登場。若造。父の差し金。クランとマフィアとヴェガスの物語が火を噴き始める。殺人と買収と裏切りの時代が、ぎりぎりと軋み始める。前作以上の密度で。重さで。風圧で。  ジ...
  • 暴走
    暴走 暴走 (ハヤカワ・ミステリ文庫 フ 1-13 競馬シリーズ) 題名:暴走 原題:SLAY RIDE ,1973 作者:DICK FRANCIS 訳者:菊池光 発行:ハヤカワ文庫HM 1978.10.31 初版 1991.5.31 8刷 価格:\520(本体\505)  フランシスの競馬シリーズは10冊を越えた辺りから少し中弛み期に入るとかなんとか、 そんな片言の情報を聞いてしまっているせいか、近頃アクセルを踏み抜いていない感じだけど、 この作品は、なんと行けるではないの。 舞台が北海を渡った先のノルウェイにあるせいか、国境を渡っての冒険小説になっている。 かと言って国際的謀略や大スケールを求められても困っちゃうけれども (^^;)  最初から妖しい妖しい相棒、 アルネ・クリスチャンセンが、まあ主人公を食ったような存在感でなんとも気がかり。 主人公は...
  • ザ・ポエット
    ザ・ポエット 題名:ザ・ポエット 上/下 原題:The Poet (1996) 著者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:扶桑社ミステリー 1997.10.30 初版 価格:各\640  待望のコナリー作品、ノン・シリーズ初邦訳! ハリー・ボッシュという刑事のことは、ここまでコナリーを追ってきた読者なら、もうたいていのことなら、それこそ行動パターン・生い立ちなど様々な側面に対しても詳しくなってきているし、そのシリーズの高度な完成度については既に定評があるから、安心して手に取ることができると思う。しかしボッシュという強烈なキャラクター抜きで、コナリーはどんな小説を書いてくれるのだろうか? その疑問に見事に応えてくれたのがこの作品である。  人間は見た目とは全く異なる、という定理があるとすると、それを具体的に...
  • ブルーバード、ブルーバード
    ブルーバード、ブルーバード 題名:ブルーバード、ブルーバード 原題:Bluebird, Bluebird (2017) 著者:アッティカ・ロック Attica Locke 訳者:高山真由美 発行:ハヤカワ・ミステリ 2018.12.15 初版 価格:¥1,800 訳者:高山真由美 発行:ハヤカワ・ミステリ 2018.12.15 初版 価格:¥1,800 「ジョーがまずギターを取り出した。沢山の人々の--ジョーの、次いでマイケルの、そして今やランディとダレンの--運命を変えたギブソン・レスポール」  伝説のギターマン、ジョー・スウィート。彼のギターをシカゴから追いけかけてきたマイケル・ライトの遺体がバイユーで発見された。ついで白人女性の死体が同じバイユーの少し下流で。  東テキサス、シェルビー郡。人口178人の小さな田舎町。法律家になる...
  • ファイト・クラブ
    ファイト・クラブ 題名:ファイト・クラブ 原題:Fight Club (1996) 作者:チャック・パラニューク Chack Palahnuik 訳者:池田真紀子 発行:早川書房 1999.2.15 初版 価格:\1,600  ウォルター・ヒルがまだ駆け出しで、少しばかりアナクロでシンプルな作品作りにばかりこだわっていた頃、あるいは彼自身、まだサム・ペキンパーの死を弔い切れていなかったかと思われる頃の映画『ストリートファイター』は、コバーン&ブロンソンというこれまたアナクロ空気を醸し出すにはぴったりの風貌の俳優二人を据えて、夜の影から影へと移動し繰り広げられるストリート・ファイトというアメリカの文化に焦点を当てた作品であった。都会から出てくる膿みのような貧困と不足感とがこうした夜のガレージでのファイトにカタルシスを求めてゆくのかもしれない。  そん...
  • 10ドルだって大金だ
    10ドルだって大金だ 10ドルだって大金だ (KAWADE MYSTERY) 題名:10ドルだって大金だ 原題:The Crime Machine and Other Stories (1958-1989) 作者:ジャック・リッチー Jack Ritchie 訳者:藤村裕美、好野理恵、白洲清美、谷崎由依 発行:河出書房新社 2006.10.30 初版 価格:\2,000  ちょうど『クライム・マシン』から13ヶ月。本書でも短編集が合計3冊しかない作家でありながら、350篇もの短編を書いた作家であるジャック・リッチーを本にするには、日本でだけ特別編集してゆくしかないのだろう。しかもたった一人の短編作家が日本という読書市場でモノになるためには何かで話題にならなきゃならない。  ミステリー系作品の年別序列付けとしては、「文春」「このミス」が取り上げられ、各...
  • ベルリンで追われる男
    ベルリンで追われる男 題名:ベルリンで追われる男 原題:Illegal (2017) 著者:マックス・アンナス Max Annas 訳者:北川和代 発行:創元推理文庫 2019.09.20 初版 価格:¥1,080  ベルリンを舞台にしたランニング・アクション・ミステリー。全編よく走る主人公コージョは、ガーナ出身の不法滞在者。イリーガルな世界の住人が目撃してしまった殺人。  まるでヒッチコックの裏窓のようなシチュエイション。アパートの窓に見てしまった殺人。殴り殺される女。見る側は空き家に棲みついた不法滞在者。入国許可証を持たぬ有色人種ゆえに、常に司法の眼から逃れ、ベルリンの地下で生息する若者。と言ったって三十に手が届く。家族を捨て、家族に捨てられる漂流物のような人生。ガーナに帰ることは考えられない。  とにかく警察がわけもなく移民たちを追いま...
  • ブラック・ライト
    ブラックライト ブラックライト〈上〉 (扶桑社ミステリー) ブラックライト〈下〉 (扶桑社ミステリー) 題名:ブラックライト 上/下 原題:Black Light (1996) 作者:Stephen Hunter 訳者:公手成幸 発行:扶桑社ミステリー 1998.5.30 初版 価格:各\667  前作『ダーティホワイトボーイズ』は本シリーズの言わば「外伝」だった。前作を引き継ぐ形でその係累たちがこの物語を走り出させる。アーカンソーの荒野に時間軸を前後させながら。  骨太のドラマ、現代の西部劇、男対男の一騎討ち。それが『ダーティホワイトボーイズ』だったけれど、これは全く違った物語。よりスケールアップさせた、本来のシリーズ主人公であるスナイパーの死闘を描く巨大アクション劇である。  今どき、これほど銃弾が唸る小説というのは、エルロイくらいなもの...
  • 拳銃使いの娘
    拳銃使いの娘 題名:拳銃使いの娘 原題:She Rides Shotgun (2017) 著者:ジョーダン・ハーパー Jodan Harper 訳者:鈴木恵 発行:ハヤカワ・ミステリ 2019.1.15 初版 価格:¥1,700-  アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)新人賞受賞作品。早川書房は海外作品の受賞作品を半年から一年くらいで日本語版にして出版してくれる稀有な版元である。中でもポケミスは早撃ちにかけては名の知れた叢書なので、ぼくは八割方は読んでいる。新たな作家に出会うことも多い。本書デビューとなったこのジョーダン・ハーパーみたいな活きのいい作家と。  少女が犯罪者の父親と逃亡し逆転勝利を、目指すロード・ノヴェルである。のっけから彼等の殺害指令が全米に出される。超重警監房にいる犯罪グループのボスから発される。少女は、父親と同じ拳銃使いの眼...
  • 狼は天使の匂い
    狼は天使の匂い 題名:狼は天使の匂い 原題:Black Friday (1954) 作者:デイヴィッド・グーディス David Goodis 訳者:真先義博 発行:ハヤカワ・ミステリ 2003.07.15 初版 価格:\900  二時間を越すルネ・クレマンの映画『狼は天使の匂い』が作られたのが1974年。監督のルネ・クレマンも脚本のセバスチャン・ジャプリゾも売れっ子だった。ジャン・ルイ・トランニャンも売れっ子だった。ロバート・ライアンは晩年の一つ手前ということもあり、この映画では相当に老けて見える。だが米仏の二大人気男優による共演など、密かな人気を集めるフィルム・ノワールであった。  当時フランス映画の題材として頻繁に取り上げられた原作がアメリカでさほど評価されることがなかったことは今に始まったことではない。ジム・トンプスンと同じように、本書のノ...
  • グレート・ギャツビーを追え
    グレート・ギャツビーを追え [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 題名:グレート・ギャツビーを追え 原題:Camino Island (2017) 著者:ジョン・グリシャム John Grisham 訳者:村上春樹 発行:中央公論新社 2020.10.10 初版 価格:¥1,800  ...
  • 男の争い
    男の争い 題名:男の争い 原題:Du Rififi Chez Les Hommes (1953) 作者:オーギュスト・ル・ブルトン Augusute Le Breton 訳者:野口雄司 発行:ハヤカワ・ミステリ 2003.12.10 初版 価格:\1,000  ノワールには血腥い裏切りや、暴力がある程度欠かせない部分があると思う。この作品は、それら暗い争いの部分に照準を当てた、破壊的なノワールである。ハードボイルドやアメリカン・スリラーに見られるような死闘小説というべきジャンルを、パリの暗黒街のに持ち込んだ、古いがスタンダードな仁義なき闘いの物語である。  ムショ帰りのトニーと、親友のジョーを中心とした犯罪者チームは、フランスでは名の知れたプロフェッショナルたちらしく、あっさりと宝石強盗を実行し、地下に潜る。この情報をふとしたきっかでアラブ人三兄弟が...
  • 弁護士ダニエル・ローリンズ
    弁護士ダニエル・ローリンズ 題名:弁護士ダニエル・ローリンズ 原題:A Gambler s Jury (2018) 著者:ヴィクター・メソス Victor Methos 訳者:関麻衣子 発行:早川文庫HM 2020.04.15 初版 価格:¥1,060  なんて素敵な小説なんだ? これは読み終わったときの感想でもあり、読んでいる途中の感覚でもある。そう、ミステリーのプロットのみならず、読んでいる時間が充実している小説なのだ。  軽妙な一人称文体による、ぱっとしない女性刑事弁護士の日常を活写しながら、重厚で手強いテーマへのチャレンジング精神豊かな、骨のある小説なのである。弁護士ヒロインの名前を邦題タイトルにしているので地味な印象を受けるが、映画されても素敵だろうなと思うくらい、ヒロイン以外にも忘れ難く味のある個性派キャラクターが脇を固める。  ...
  • ロマンス
    ロマンス ロマンス―87分署シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫) ロマンス―87分署シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 題名:ロマンス 原題:Romance (1995) 著者:エド・マクベイン Ed McBain 訳者:井上一夫 発行:ハヤカワ・ミステリ 1998.1.15 初版 価格:\1,200  87分署の恋愛シーンを一手に受け持つバート・クリング。彼がまた新たな恋をしながら、キャレラと組んで「ロマンス」という芝居に望もうとしている劇団内の殺人事件を追跡するというストーリー。  ここのところ現代的で陰惨で乾いた方向に傾斜しがちなシリーズだった。前回のデフマンにしても少し非情さが出てきて、かつてのゆとりのあるゲーム性みたいな部分が少し影をひそめているように見えた。<87分署>が時代を反映する警察捜査小説である以上、カルト教団や...
  • 野外上映会の殺人
    野外上映会の殺人 題名:野外上映会の殺人 原題:Death Under The Stars (2021) 著者:C・A・ラーマー C.A.Larmer 訳者:高橋恭美子 発行:創元推理文庫 2023.10.20 初版 価格:¥1,360  野外上映会という言葉からは幼児の頃の記憶が沢山蘇る。ぼくは小学生の途中から開発の進みつつある埼玉の団地で暮らしていて、その団地の中には公園があった。かなり広大なイメージがあるがそれは子供の眼を通してであったから、今そこにゆくとえっと思うほど狭く感じられるだろう。そもそも昭和30年代の建物群がそのまま残っているかどうか。  そんな団地住まいでとても楽しいイベントの一つがこの野外上映会だった。無料で映画を一本楽しめる夜のイベントである。見た記憶があるのは、『大竜巻』という時代映画だが、正式名称は今調べると『士魂魔道 大...
  • 奇跡のタッチダウン
    奇跡のタッチダウン 題名:奇跡のタッチダウン 報酬はピッツァとワインで 上/下 原題:Playing For Pizza (2007) 作者:ジョン・グリシャム John Grisham 訳者:白石 朗 発行:ゴマブックス 2008.10.10 初版 価格:各\1,800  グリシャムの旺盛な執筆活動がすっかり復活した観がある。ここのところ立て続けに、翻訳も進んでおり、翻訳者の白石朗氏の旺盛かつ質の高い仕事ぶりにも本当に感心させられるばかり。  本来リーガル・サスペンスの巨匠として売れっ子ぶりが注目されたこの作家、頂点を極めたとの印象が強いところで、ぐっと急ブレーキを踏み込んだ。翻訳小説としてしばらく読者の目の前から姿を消していた。ぼくの場合、訳者未詳の超訳といういい加減な仕事に関してははカウントしないので、悪しからず。  頂点を極めた...
  • 消された眼
    消された眼 (『獲物の眼』へ改題) 消された眼 (Hayakawa Novels) 獲物の眼 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 題名:消された眼 原題:EYES OF PREY (1991) 作者:JOHN SANDFORD 訳者:真崎義博 発行:早川書房 1994.3.31 初版 価格:\1,900(本体1,845)  一匹狼刑事ルーカス・ダヴンポート・シリーズの邦訳第三弾。一作目『サディスティック・キラー』が知能的な連続殺人犯との駆け引きでなかなか引っ張ってくれたわけで、続いて読み継いでいるわけだが、前の第二作『ブラック・ナイフ』が急激に派手なアクション物に変わってしまい、少々戸惑った。  『ランボー』シリーズに見られるようなアメリカ的なスケールアップ的変貌は、別にこうした刑事物の場合こちらは少しも望んでいないのだけど、この作者、もともとサービス過剰ぎ...
  • トランク・ミュージック
    トランク・ミュージック 題名:トランク・ミュージック 上/下 原題:Trunk Music (1997) 著者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:扶桑社ミステリー 1998.6.30 初版 価格:各\629  『ラスト・コヨーテ』で終わったほうが良かった……という声が幻聴のように聞こえてきそうなボッシュ・シリーズ。かつて『八百万の死にざま』で終われば……と言われたスカダー。『ブルーベル』で終わればと言われたバーク。シリーズにつきものの終わり所退け所。その論議をまたも呼びそうなのが、おそらく本書。  逆に言えば、それだけ前作までのシリーズ構成を評価されていたのがボッシュ・シリーズなのだと言えるのかもしれない。でも、小説が決して巧いとは言えないアンドリュー・ヴァクスは別にして、ローレンス・ブロックや、こ...
  • クライ・マッチョ
    クライ・マッチョ 題名:クライ・マッチョ 原題:Cry Macho (1975) 著者:N.リチャード・ナッシュ N.Richard Nash 訳者:古賀紅美 発行:扶桑社ミステリー 2022.1.14 初版 価格:¥1,300  クリント・イーストウッドという生涯の憧れだった映画俳優が、91歳になるというのに、新作映画で主演も監督も請け負っていることにまず驚愕した。原作ノヴェルとして新たに翻訳され発掘されたこの作品は1975年の作品だ。ぼくがに三日に一回というペース(深夜の5本立てなども含む)で映画館という映画館のスクリーンに噛り付いていたアメリカン・ニューシネマの時代に映画人の誰からも振り向かれることなく、映画化もされなかった本作が、今、この時期に翻訳されるとは! まさにイーストウッド映画のお裾分けのように、映画を未だ観ていないぼくが原作に出会えた。しか...
  • 破滅への舞踏
    破滅への舞踏 題名:破滅への舞踏 原題:The Last Tango Of Dolores Delgado (1992) 作者:マレール・デイ Marele Day 訳者:沢 万里子 発行:文春文庫 2002.12.10 初版 価格:\667  日本ではほとんど無名の作家、と思いきや、文春オーストリア・ミステリ・コレクションの中では唯一既に邦訳作品のある作家なのであった。昨年、『神の子羊』という修道院エンターテインメントが邦訳されているようで、そちらのストーリーから言えば、今のマレール・デイはもうハードボイルドから足を洗ってしまっているのかもしれない。  その意味ではこの作品はマレール・デイの古いシリーズ。1988~1994年までに4作品出ている女探偵クラウディア・バレンタインのシリーズのうちアメリカ私立探偵作家協会ペーパーバック賞を射止めているのが...
  • ブラック・アイス
    ブラック・アイス 題名:ブラック・アイス 原題:The Black Ice (1993) 著者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:扶桑社ミステリー 1994.5.30 初版 価格:\720(本体\699)  こういう小説はアメリカではかなり受けるだろうなあと、ぼくは心底思うのだ。一匹狼刑事というのは現代の刑事ものならけっこうあると思う。しかしそれでも良き理解者である刑事仲間などに恵まれていることが多いのではないか? ダーティ・ハリーだっていつも信頼できるパートナーを得ているじゃないか。しかし、このシリーズほど徹底して信頼できる仲間に恵まれない主人公も、かなり珍しいと思う。  だからこそ、これまでのパターンを踏襲しているようなベトナム後遺症の刑事でありながら、この主人公エネルギッシュぶりたるや、世の一匹狼...
  • カジノ・ムーン
    カジノ・ムーン カジノ・ムーン (扶桑社ミステリー) 題名:カジノ・ムーン 原題:Casino Moon (1994) 作者:Peter Blauner 訳者:岡田葉子 発行:扶桑社ミステリー 1997.9.30 初版 価格:\686  アトランティック・シティ、燦然たるカジノの夜、シチリア出のけちなマフィアたちとバイオレンス……そんな中であがきにあがき、アメリカン・ドリームと堅気の生活を夢見る若者が、ボクシングのマネージメントという一大事業に身を乗り出す。  地味ながらもこれだけの素材の良さと、純文学的とも言えそうな凝った文体、描写の魅力等で、引っ張らってゆく力技の一作。マフィアが大物でなくどこか「一家」を匂わせる雰囲気で、ボスよりもその右腕たちの義理人情の世界が日本の侠客を思わせたりもするが、やはり暗黒街は「非情」の二文字で綴られている。いいムードの...
  • ストーン・シティ
    ストーン・シティ 題名:ストーン・シティ (上・下) 原題:Stone City (1989) 作者:ミッチェル・スミス Mitchell Smith 訳者:東江一紀 発行:新潮文庫 1993.8.25 初版 価格:上/\560(本体\544) 下/\600(本体\583)  全編、巨大な重警備刑務所を舞台にしている、っていうだけで何となく飛びつきたくなる本だった。何とまあ、こんなところに大学教授が抛り込まれていて、彼が刑務所内の連続殺人を捜査する羽目になる、というまあ途方もないエンターテインメントなのである。  アメリカの刑務所というのが、現在どんなものなのかは知らない。サンフランシスコ・ベイに浮かぶアルカトラズやサンクエンティンはそれぞれ『アルカトラズの脱出』『大脱獄』などで囓ったことはあるけれど、悪名高い『パピヨン』のフランス領悪魔島と同...
  • ハリウッド警察25時
    ハリウッド警察25時 題名:ハリウッド警察25時 原題:Cases (1999) 作者:ジョゼフ・ウォンボー Joseph Wambaugh 訳者:小林宏明 発行:ハヤカワ・ミステリ 2007.08.10 初版 価格:\1,500  この作家をこれまで読んでいなかったことを激しく後悔! マクベインを初め警察小説に眼がない、と豪語していた自分が恥ずかしい。警察小説という小さなジャンルに、よもやこんな巨匠がいたとは。  いや、全然知らなかったというわけではないんだ。冒険小説&ハードボイルドの書評の中ではたまに鉄人読者のような方からの渋い感想が上がっていた。でも書評は単発で、読んでいるという人は、他の人気作家に比べ、圧倒的に少なかったろうと思う。2007年『このミステリがすごい!』では、久々の邦訳というばかりではなく、この作品が凄まじく充実しているせい...
  • 眠れぬイヴのために
    眠れぬイヴのために 眠れぬイヴのために〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 眠れぬイヴのために〈下〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 題名 眠れぬイヴのために 原題 Praying for Sleep (1994) 著者 Jeffrey Deaver 訳者 飛田野裕子 発行 早川書房 1996.5.31 初版 価格 \2,700  精神病院を脱走した男の目的は何か? これがこの物語の大きなテーマであり、謎の確信である。彼に不利な証言をしたリズとその家族は、奇しくも訪れる大嵐に備えている。男を追跡するのはリズの夫、主治医、賞金稼ぎの元警察官の三人。すべては夜に始まり夜明け前に、決着が着く。迫りくる狂人、迫りくる嵐。  これだけ書くとそれなりに緊迫感のある設定であることはわかっていただけると思う。しかしそれを抑制するかのように、ペンのほうは...
  • 10プラス1
    10プラス1 10プラス1 (ハヤカワ・ミステリ文庫 13-18) 10プラス1 (1979年) (ハヤカワ・ミステリ文庫) 10プラス1〈87分署シリーズ〉 (1963年) (世界ミステリシリーズ) 10プラス1 (1966年) (世界ミステリシリーズ) 題名:10プラス1 原題:Ten Plus One (1963) 著者:エド・マクベイン Ed McBain 訳者:久良岐基一 発行:ハヤカワ文庫HM 1979.11.15 1刷  ちょっとひさびさの<87分署>。本書はジャン・ルイ・トランティニヤン主演で映画化された作品である。映画のタイトルは『刑事キャレラ 10+1の追撃』であった。ぼくはTVで何度かこれを見たはずだが、その古い記憶はほとんどが今は剥離している。好きな女優のドミニク・サンダが出ていたことさえうろ覚えだ。  その頃は<...
  • カッコウの呼び声
    カッコウの呼び声 題名:カッコウの呼び声 私立探偵コーモラン・ストライク 上/下 原題:The Cuckoo s Calling(2013) 作者:ロバート・ガルブレイス Robert Galbraith 訳者:池田真紀子 発行:講談社 2014.6.26 初版 価格:\2,014  読者モニターに応募した作品がプルーフ本でやってきた。上下合本の分厚くて腕の鍛錬になりそうな弁当箱サイズの一冊だった。しっかりした完成本ではないので、登場人物の一覧がない。一気に読めればいいのだけれど、ぶつ切りで読むしかない生活スタイルのぼくには、これが一番困った。何とも多くの登場人物が出てくるし、名前がイギリス式で難しい。  これがアメリカで、また作者が故ロバート・B・パーカーだったなら、登場人物もスペンサーとかホークとか、とても簡単な名前だし、そもそも登場人物が片...
  • ロマンティスト狂い咲き
    ロマンティスト狂い咲き 題名:ロマンティスト狂い咲き 作者:小川勝己 発行:ハヤカワ・ミステリワールド 2005.7.31 初版 価格:\1,500  『まどろむベイビー・キッス』あたりからノワールを意識し始めているように見える小川勝己。短編小説集『狗』『あなたまにあ』などで、その奇才ぶりを遺憾なく発揮し、現代そのものの狂気を描いてきたが、ついに本書ではノワールへの挑戦という形を明確に出してみせた。  あるいはそれは挑戦ではないのかもしれない。ノワールという分野に激しく憧れる作家・小川勝己の、本家ノワールへのオマージュであるのかもしれない。  ジェイムズ・M・ケイン『郵便配達夫は二度ベルを鳴らす』を基調とする使い古された設定を小川勝己流にアレンジしたのが本書である。悪女の囁き、亭主の殺害、破滅、といった、まるでノワールの定番をやってみる...
  • 悪党パーカー/弔いの像
    悪党パーカー/弔いの像 [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 悪党パーカーノ弔いの像 (ハヤカワ・ミステリ文庫 23-3) 題名:悪党パーカー/弔いの像 原題:The Mourner (1963) 作者:リチャード・スターク Richard Stark 訳者:片岡義男 発行:ハヤカワ文庫HM...
  • 地下組織ナーダ
    地下組織ナーダ 題名:地下組織ナーダ 原題:Nada (1972) 作者:ジャン=パトリック・マンシェット Jean-Patrick Manchette 訳者:岡村孝一 発行:ハヤカワ・ミステリ 1975.04.30 初版 価格:\470  四半世紀前の本をインターネットで現在手に入れることのできる文化というのは、大変に有り難いものだ。本を探してまで読まないという人と、何としてでも読めるだけ読みたいというぼくのような人種と、同じ本との出逢いでも様々だとは思う。どうにもならないのは、自分の中にある熱である。読みたい本は、かつて自分が志向していたどうにも登りたい山と同レベルで、欲望の焦点が絞り込まれてしまう。年齢とともに、山やスポーツの技術と言った肉体的なものから、徐々に気持ちという部分に欲望もスライドしているのがわかる。だからこうした入手し難い本を手に入れたときの喜び...
  • 地中の記憶
    地中の記憶 題名:地中の記憶 原題:Let Me Die In His Footsteps (2015) 著者:ローリー・ロイ Lori Roy 訳者:佐々田雅子 発行:ハヤカワ・ミステリ 2017.3.15 初版 価格:\1,800-  1936年テキサスにおけるアメリカ最後の絞首刑。実際に起きたその題材をもとに、作者は全く別の絞首刑を中心とする南部ミステリーを作り上げる。南部と言えば、ジョー・R・ランズデール、ジョン・グリシャムなどの印象が強いが、このローリー・ロイはまさにテキサスの農地に根付いた家族たちの物語を、土地に纏わる土俗的で濃密な時間や空気を書き綴る独特な筆力の持ち主である。  ミステリとしては、衝撃度や明らかな犯罪や犯人といったわかりやすさをむしろ放棄し、物語ることの中で、敵対する隣家との緊張した空気、その中で犠牲となった少年、そして...
  • ワニの町へ来たスパイ
    ワニの町へ来たスパイ ASINが有効ではありません。 題名:ワニの町へ来たスパイ 原題:Louidiana Longshot (2012) 著者:ジャナ・デリオン Jana Deleon 訳者:島村浩子 発行:創元推理文庫 2017.12.15 初版 価格:¥940  CIAの女スパイの一人称で描かれた少しブラックなユーモアで綴られたミステリー。明るく、タフで、ディープ・サウスのワニの町に展開するテンポの良い冒険譚が何とも味わい深いシリーズ開幕作である。  ヒロインのフォーチュンは、CIA腕利きスパイとしての職務中、中東の砂漠で、ついある大物を殺してしまったことから、敵組織のボスから手配状を出されてしまう。直ちに帰国を命じられたフォーチュンは上司の計らいでルイジアナの湿地帯にある小さな集落のようなところに身をひそめることになる。  亡くなった老女...
  • 無法の二人
    無法の二人 無法の二人 (ミステリアス・プレス文庫) 題名:無法の二人 原題:BUD GUYS ,(1988) 作者:EUGENE IZZI 訳者:朝倉隆男 発行:ハヤカワ・ミステリアス・プレス文庫 1991.9.30 初刷 価格:\540(本体\524)  二作目の "ENGLISH VICTIM" が訳出される前に、この作品が出て、そのまた次の作品がこれまた好評を喫しているんだけど、これだけ水準の高いシリーズでは、歯抜けは絶対に許されてはならないのだ。まあ、今のところペーパーバック・クラブに入会する自信のないぼくとしては、なんとも抵抗のしようがないのだけど。  本書は、刑事に捕まったしつこい犯人の刑事逆恨み復讐サスペンスということで、ああ、ブロックの『墓場への切符』とかマクベインの『熱波』みたいなものだな、と勝手に解釈。古臭いスト...
  • shrink rap
    束縛 束縛―サニー・ランドル・シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫) 題名:束縛 原題:Shrink Rap (2002) 作者:ロバート・B・パーカー Robert B. Parker 訳者:奥村章子 発行:ハヤカワ文庫HM 2003.4.15 初版 価格:\760  パーカーが女の生き方を描くことへの違和感はまだ解けないのだけれど、そうした理屈とは裏腹にこのシリーズをぼくは意外に面白く読んでいる。ある意味とてもアメリカ的で、女性は探偵という男勝りの職業であることを意識しつつ、エディプス・コンプレックスを自らに疑いつつ、家族、ダイエット、ファッションというすべてにこだわりをちゃんと持ちながら普通に営む。もちろん全編を貫いてサニー・ランドルが最も心を注ぐのは目下、宙吊り状態の離婚した相手との恋愛生活であり、新しい恋人への期待や懐疑でもある。  とにかくそ...
  • たとえ傾いた世界でも
    密猟者たち 題名:たとえ傾いた世界でも 原題:The Tilted World (2013) 著者:トム・フランクリン & べス・アン・フェンリイ Tom Franklin Beth Ann Fennelly 訳者:伏見威蕃 発行:ハヤカワ・ミステリ 2014.08.15 初版 価格:\1,800  1927年にミシシッピ川流域でアメリカ史上最大の洪水が起こったことはとても有名な史実であるにも関わらず、米国民の大方からは忘れられているという。その時代、その災害のさなかで密造酒作りを稼業に選んだ夫を持ったディキシー・クレイは、幼い子を洪水で失い、今では自ら密造酒作りの日々を送っている。  そこに一家惨殺の生存者である赤ん坊をひょんなことから連れ歩いていた密造酒取締官インガソルが現れ、ディキシー・クレイのもとに神の子を授ける。それが皮肉な運命の...
  • @wiki全体から「ベスト・アメリカン・ミステリ アイデンティティ・クラブ」で調べる

更新順にページ一覧表示 | 作成順にページ一覧表示 | ページ名順にページ一覧表示 | wiki内検索