wiki クライムウェイヴ(Sysop読書録 活字をめぐる冒険) 内検索 / 「マイクル・コナリー Michael Connelly」で検索した結果

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  • マイクル・コナリー Michael Connelly
    マイクル・コナリー Michael Connelly  LA市警ハリウッド署刑事、通称ハリー・ボッシュ(本名ヒエロニムス・ボッシュ)。エルロイの暗闇に通底する過去を持つボッシュの物語では、ぼくらは事件そのものを読みながら、より深くボッシュその人の人生を読み取っている。ボッシュをいつもエネルギッシュに動かしている深い情念の底にあるものを捜す旅に、ぼくらは彼自身とともに出かけてゆく。他のシリーズには得られない屈曲点の多さが、激しく燃え上がる男ボッシュを否が応でも浮き立たせてゆく。妥協なきシリーズは今もまったく眼を離せない緊張に満ちている。 ハリー・ボッシュ・シリーズ ナイトホークス 1992 古沢嘉通 ブラック・アイス 1993 古沢嘉通 ブラック・ハート 1994 古沢嘉通 ラスト・コヨーテ 1995 古沢嘉通 トランク・ミュージック 1997 古沢嘉通 堕天使は地獄へ飛ぶ(「エ...
  • チェイシング・リリー
    ...2002) 作者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通・三角和子 発行:早川書房 2003.09.15 初版 価格:\1.900  そもそもハリー・ボッシュ以外のノン・シリーズは少ないと言える作家だ。『ポエット』『わが心臓の痛み』に続いて、これが三作目。日本の作家がシリーズだけでは食べて行けない現状に比して、アメリカの作家は、売れればシリーズだけで食べて行けるのだろう。だから日本の作品のようにレギュラー登場人物のメンツだけを揃えてシリーズと名乗るような空疎さはない。シリーズはそれなりにシリーズの個性や変化そのものを売りものにして前向きにぐいぐいと進んでゆく。それがアメリカ小説のシリーズの意味であり、ハリー・ボッシュのシリーズもまさにだからこそやめられない。  そのシリーズの世界が堅固なものであればあるほど、ノン・シリーズ作品もそ...
  • わが心臓の痛み
    ...1998) 著者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:扶桑社 2000.4.30 初版 価格:\2,095  5月の連休が明けた頃、突然ぼくは健診センターで肝機能障害を告げられ、「命に関わる障害の可能性」と促され、病院に通い検査を重ね始めた。そんな中で肉体の「試練」そのものを軸にしながらの犯罪捜査を描いたこの小説は、ぼくの肉体の不調を訴える信号に少なからず同期しながら、実にリアルに一つの優れた人間ドラマとして、その当時不安に苛まれていたぼく自身を少なからず勇気づけ、鼓舞したものだった。ぼくにとっては忘れられい作品である。  それにしてもデリケートなプロットである。心臓移植を受けた直後の元FBI捜査官が挑む犯罪。それは自分の移植された心臓の持ち主であった女性がコンビニ強盗によって射殺されたという事件である。しかし捜査を進...
  • 罪責の神々 リンカーン弁護士
    ...2013) 著者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2017.10.13 初版 価格:各\880-  マイクル・コナリーは、デビュー以来追い続けている作家の一人である。まず外れがないということもあるが、読んでいて安心感がある。ハリー・ボッシュ・シリーズもミッキー・ハラー・シリーズも、どれほどの苦難に曝されようと、それを上回る胆力と知力とで相手を打ち負かす。その知略の対決が常に凝りに凝ったプロットで固められたページターナーとしての作品力も素晴らしいが、またその主人公である刑事や弁護士の個性を構築してゆく力も凄い。決してタフで強いの一辺倒ではなく、人間味溢れる優しさ、悲しみ、慈しみ、迷い、そして生活感がいつもそこにある。  そうしたシリーズのバランスを保ちながら安定して傑作を描き続ける作家がコナリーである。そ...
  • 贖罪の街
    ...2015) 著者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2018.12.14 初版 価格:各\880-  ハリー・ボッシュという史上稀に見る魅力的な刑事と出逢ってもう22年になる。  インターネットすら未だ普及していなかったその頃パソコン通信仲間であった翻訳者の古澤さんが本シリーズのヒットで一躍活躍したことから大阪で彼を囲んで仲間たちと酒を酌み交わし、本シリーズの凄さを熱く語り合った記憶ももう霧の向こうの遠い時代の一幕のようだ。  ベトナム帰還兵であるハリーも今やロス市警の退職を余儀なくされ、別シリーズ『リンカーン弁護士』の主人公でハリーの異母兄弟でもあるミッキー・ハラーと共に本書では困難な事件に立ち向かうことになる。  ショッキングなイントロに始まり、法廷劇、ハリーの単独捜査、そして対決、法...
  • トランク・ミュージック
    ...1997) 著者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:扶桑社ミステリー 1998.6.30 初版 価格:各\629  『ラスト・コヨーテ』で終わったほうが良かった……という声が幻聴のように聞こえてきそうなボッシュ・シリーズ。かつて『八百万の死にざま』で終われば……と言われたスカダー。『ブルーベル』で終わればと言われたバーク。シリーズにつきものの終わり所退け所。その論議をまたも呼びそうなのが、おそらく本書。  逆に言えば、それだけ前作までのシリーズ構成を評価されていたのがボッシュ・シリーズなのだと言えるのかもしれない。でも、小説が決して巧いとは言えないアンドリュー・ヴァクスは別にして、ローレンス・ブロックや、このマイクル・コナリーははっきり言って、構成を含めて、小説というテクニックが非常に巧い作家であるとぼくは思ってい...
  • ザ・ポエット
    ...1996) 著者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:扶桑社ミステリー 1997.10.30 初版 価格:各\640  待望のコナリー作品、ノン・シリーズ初邦訳! ハリー・ボッシュという刑事のことは、ここまでコナリーを追ってきた読者なら、もうたいていのことなら、それこそ行動パターン・生い立ちなど様々な側面に対しても詳しくなってきているし、そのシリーズの高度な完成度については既に定評があるから、安心して手に取ることができると思う。しかしボッシュという強烈なキャラクター抜きで、コナリーはどんな小説を書いてくれるのだろうか? その疑問に見事に応えてくれたのがこの作品である。  人間は見た目とは全く異なる、という定理があるとすると、それを具体的に様々な形で表現し、プレスして詰め物にしたような作品……と言ってもいいかもしれない。...
  • 死角 オーバールック
    ...2008) 作者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2010.12.15 初刷 価格:\790  ボッシュ・シリーズなのだが上下巻に分かれるわけでもなく、一冊だなんて珍しいなと思ったら、ニューズウィークのウィークリーマガジンに字数制限で連載された、いわゆる書き下ろしではないものだそうである。それでも改訂を重ね、ラストシーンは4版とも異なるなどの諸事情は訳者解説に詳しい。  国内では雑誌連載の作品が主流であり、書き下ろしはやや貴重な傾向があるのだが、海外では作家たちは十分に時間をかけて一作一作に集中した執筆活動を続けているのだろうと思うと、ちと羨ましくなる。  されマガジン連載用だからというわけではなかろうが、本作品は、いつものボッシュ・シリーズには見られないスケールで、テロが題材とされている。無論...
  • 夜より暗き闇
    ...001) 作者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2003.07.15 初版 価格:各\952  扶桑社ミステリーから『シティ・オブ・ボーンズ』は早川書房のハードカバーへ、本書『夜より暗き闇』は講談社で文庫でと、いわゆる版権争奪戦を強いられ、ついに翻訳・出版の順序まで前後してしまうという、読者にとってはあまり有り難いとはいえない混乱を見せつけられることになってしまった本シリーズ。ボッシュ・シリーズの根強さに加えて『わが心臓の痛み』で登場したテリー・マッケイレブをクリント・イーストウッドが主演映画化したことなども版権争いに拍車をかけたのかもしれない。  途中参加するにはとっつきの悪いボッシュ・シリーズに比してマッケイレブについては元々がシリーズ・キャラという性格ではないため、謎解きとしてのミステリー、あ...
  • レイトショー
    ...2017) 著者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:ハヤカワ文庫HM 2020.02.14 初版 価格:各¥880  楽しみにしていたコナリーのニュー・ヒロイン、レネイ・バラード初登場作品。コナリーのメイン・シリーズを背負う我らがヒーロー、ハリー・ボッシュがかつて在籍したハリウッド署、しかもそのナイトシフトの刑事たち(タイトルの通りレイトショーと呼ばれている)を舞台に展開する独特の警察小説ワールド。  コナリー作品の特色を余さず継続している。バラードの勤務先として描かれる警察署内の凌ぎ合い・暗闘・友情など従来のコナリーの描写にプラスして女性ヒロインならではのセクハラという材料などもじっくりと取り入れている。  さらにヒロインであるバラードを、彼女自身につかず離れずの視点で密着して描いている。新刑事ヒロインの公私...
  • 堕天使は地獄へ飛ぶ
    ...1999) 著者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:扶桑社 2001.9.30 初版 価格:\2095  本書がボッシュ・シリーズであったことにほっとする。ボッシュ・シリーズは二年ぶりだろうか。だからボッシュに関する大抵のことはぼくは忘れている。でもボッシュの本質的なところはあまり忘れていないと思える。だからボッシュとの再会は、ぼくの中で眠っていた彼の世界の再構築に始まる。でもそれにしてはあまりにも重く暗い作業であった。でもそれこそが、この本の中の真実の部分。  ボッシュは闘う。警察官を監査する警官たちと闘う。人種差別主義者たちが巣食う警察という組織の息苦しさと闘う。表面に浮き出て来ないが、正義をかざした仮面の向こうで黒人を殴っている奴らと闘う。密かに銃口を掃除している人殺しと闘う。別の価値観でのみ食いつないでいる...
  • 真鍮の評決 リンカーン弁護士
    ...008) 作者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2012.1.17 初版 価格:各\898  コナリーのメイン・シリーズは、ロス市警のハリー・ボッシュと決まっているようなものだが、時にノンシリーズと思われるキャラクターであれ、メイン・シリーズに登場したり、続編が出たりすることも数多くあるので、『リンカーン弁護士』のミッキー・ハラーが再び登場して、シリーズ化の勢いを見せ、さらにハリー・ボッシュが共演することになろうことも予測の範囲でなければならないのだろう。それにしてもいつもいい意味で裏を欠かれ、ツイストを見せられてしまうのが、コナリーの作法であり、手腕であるのだ。全く侮れない作家である。  前作のラストシーンを受けて長い休養から復帰することになったミッキーは、のっけから、殺された友人弁護士の仕事を引き...
  • 素晴らしき世界
    ...2018) 著者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2020.11.13 初版 価格:各¥900  『レイトショー』のレネイ・バラード・シリーズと、『汚名』のハリー・ボッシュ・シリーズが、どちらもそれぞれの前作の続編という形で合流する。これ以上ない読者サービス。しかも素晴らしいリーダビリティをどちらも前作から受け継いだままのリズムで。離れ業。  コナリーは、そもそもシリーズ主人公たちを一つの事件で引き合わせて、話を展開させることが上手い。新主人公をすぐ次のボッシュ・シリーズで合流させ、主流に持ってゆくというサービス精神に富んだ作家なのである。  C・イーストウッド主演監督で映画化された『わが心臓の痛み』のテリー・マッケイレブも、マシュー・マコノヒーを起用した『リンカーン弁護士』のミッキー・ハーランも...
  • リンカーン弁護士
    ...2005) 作者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2009.6.12 初刷 価格:各\790  リーガル・サスペンスは法曹界に身を置く人により副業として書かれ、それが成功に結び付けば作家業として転身、というパターンが多いように思う。だからこそ、業界に身を置かぬが既にプロである犯罪小説作家が、このジャンルに手を付けるというのは、対本職という意味でのハンディを負っており、それゆえに相応の決意と準備とが必要とされるものだと思う。  アメリカン・クライム・ノヴェルの現役頂点に立つ作家と言って過言ではないコナリーでさえ、本書の執筆に5年を費やしたそうである(ボッシュものだと通常執筆にかける時間は2年)。法曹界もののスリラーが、作家にとっての新ジャンルとは言え、質の高い創作が常に求められる頂点の作家であればこそ、かく...
  • ラスト・コヨーテ
    ...1995) 著者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:扶桑社ミステリー 1996.6.30 初版 価格:上\560/下¥540  元々ぼくがこのシリーズを読み始めたきっかけは、ハリー・ボッシュという主人公の粗暴な荒々しさとストレートな意志、そしてベトナムという過去、そしてアクションとサスペンス、全体の面白さといった娯楽小説としての魅力が満載されていたからだ。ハリー・ボッシュに惚れたし、ストーリーに酔った。それがすべてと言って構わなかった。  二作目『ブラック・アイス』では、さらにその感を強めたし、三作目の『ブラック・ハート』で、このシリーズはミステリ界のベストをずっと走り続ける素晴らしく完成度の高いシリーズであることが確信された。そして今や多くの読書人がコナリーというブランドに信頼を置いて新作を手にするようになったと...
  • ブラック・ハート
    ...1994) 著者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:扶桑社ミステリー 1995.9.30 初版 価格:上\560/下¥540  この作家のエネルギーというのは何なのだろう。ロサンジェルス・タイムズ紙でジャーナリストとしてのキャリアを積んでいるが、年齢は、まさにぼくと同じである。欧米の作家としては若手に属してしまうだろう。それだけにエネルギッシュなものがあり、ハリー・ボッシュというひとりの刑事に注ぐ情念は相当のものである。技巧に走っているわけでもないが、ボッシュの独白は常に先鋭的で、今にもはみ出しそうで、この刑事のモチベーションは何なのだろう、この作家のモチベーションは何なのだろうと、首をひねらされること頻りであった。  そして一作、二作と、骨太のプロットにしっかりと振り回されて読んできた今度の作品は、これまでの作中...
  • ブラック・アイス
    ...1993) 著者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:扶桑社ミステリー 1994.5.30 初版 価格:\720(本体\699)  こういう小説はアメリカではかなり受けるだろうなあと、ぼくは心底思うのだ。一匹狼刑事というのは現代の刑事ものならけっこうあると思う。しかしそれでも良き理解者である刑事仲間などに恵まれていることが多いのではないか? ダーティ・ハリーだっていつも信頼できるパートナーを得ているじゃないか。しかし、このシリーズほど徹底して信頼できる仲間に恵まれない主人公も、かなり珍しいと思う。  だからこそ、これまでのパターンを踏襲しているようなベトナム後遺症の刑事でありながら、この主人公エネルギッシュぶりたるや、世の一匹狼ものを足元にも寄せ付けぬほど破天荒であり、ビッグ・スケールであると思う。  前...
  • 暗く聖なる夜
    ...2003) 作者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2005.9.15 初版 価格:各\800  ハリー・ボッシュはどこへ行くのか? これが前作『シティ・オブ・ボーンズ』のラストシーンから受けた衝撃と疑問。もちろんそれはボッシュ自身の自らへの答えなき問いかけであるだろうし、そのような選択肢=「引退」を採択した彼の心の奥深い闇については、シリーズのこれまで辿ってきた微細に目を向ける以外に知りようもない。  ただわかっているもののいくつかは指し示す事ができる。ボッシュの母が未解決事件の被害者であるというジェイムズ・エルロイを思わせる血の運命(さだめ)。ヴェトナムではトンネルネズミとして敵中深いところまで地下を掘り進んだ禍々しい記憶が深いこと。そしてサンフランシスコ市警刑事として、これまで華々しい実績を残しながら...
  • 汚名
    ...2017) 著者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2020.08.12 初版 価格:各¥880  この一作でボッシュは、三つ、いや四つの事件に絡む。そうボッシュ大多忙の巻である。邦題の『汚名』は、ボッシュが巻き込まれる過去の事件での捜査ミス及びこれに関するマスコミ・スキャンダルから取られたものと思われるが、作中では次のように語られている。  <この世には、二種類の真実がある、とボッシュは知っていた(上巻 P202)>絶対の真実と、ペテン師たちによって創作される偽の真実が。  一方で、薬局の父と子が無慈悲に殺害された事件を機に、薬物密売組織に囮として潜入するボッシュの活劇ぶりが描かれる。この部分はAMAZON PRIMEで既にドラマ化されたため、ぼくは視聴しており、設定その他に異なる部分はあるものの...
  • ナイン・ドラゴンズ
    ...009) 作者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古澤嘉通 発行:講談社文庫 2014.3.14 初版 価格:各\850  ヒエロニムス・ボッシュ、通称ハリー・ボッシュの警察小説シリーズは、常にボッシュの内面と行動とを交互に描きつつ、そのたぐいまれなる刑事ボッシュの行動の原理・理由・動機・目的・性格などをおろそかにはせず丹念にいくつもの事件という表現を使いつつ描き続けているシリーズである。  一作一作に外れがない、それぞれに常にツイストの利いた作品でありながら、長いスパンで見るとボッシュという苦難に満ちた道を辿る人生の孤独な魂と、その内に蹲る愛や友情の物語でもあり続けた。  そのボッシュにあるとき娘がいるとわかる。しかもその娘が香港に別れた妻と一緒に生活していることを知ったのは、『暗く聖なる夜』の作中である。その娘が脅迫の...
  • スケアクロウ
    ...2009) 作者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2013.2.15 初版 価格:各\830  敏腕記者ジャック・マカヴォイ。そう、『ザ・ポエット』以来、13年ぶりの登場である。パートナーとして組んでゆくヒロインは、他シリーズも含め、すっかりお馴染みになった感のある美貌のFBI捜査官レイチェル・ウォリング。これも『ザ・ポエット』のオリジナル・コンビそのままである。『ザ・ポエット』当時は、コナリーもハリー・ボッシュシリーズを4作書き上げたばかりで、ノンシリーズでは、これが初の作品となった。強烈な個性と一匹狼ぶりを発揮する正統派ヒーロー刑事(デカ)のボッシュこそがコナリーとのイメージが強かった中で、純然たるノン・シリーズの単発ものとして、『ザ・ポエット』はびっくりするほど面白く、コナリーとしては珍しく、サイコパ...
  • 訣別
    ...016) 著者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通訳 発行:講談社文庫 2019.7.12 初版 価格:上¥880/下¥900  『ナイトホークス』で始まったハリー・ボッシュ・シリーズも、主人公が60代後半に差し掛かった今、終盤を迎えつつある感がある。LA警察を退職し、サンフェルナンド市警の非常勤職員として細々と警官業を続ける一方、私立探偵の免許を再取得し、警察の事件と探偵の事件の二つを抱え込む。警察の事件は連続レイプ事件、探偵の事件は遺産相続のための古い血縁者の捜査依頼。  探偵の一件では、長らく追想されることのなかったヴェトナムでのトンネルネズミ時代が、事件とのかかわりによってボッシュの心に帰ってくる。ヴェトナムで心身共に傷を負ったボッシュは、初期作品では戦場の暗い影をひきずった刑事でもあった。そのことが書かれなくなって...
  • 証言拒否 リンカーン弁護士
    ...2011) 作者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2016.2.13 初版 価格:各\910-  素晴らしい。読了直後の感想である。称賛の想いが溜息となって洩れる。いや、読後の感想ではない。この「素晴らしい」は、読書中どのページにおいても通奏低音のようにぼくの心の中に鳴り響いていた気がする。今年のベストミステリー海外部門は、この作品で決定。もし覆るとするならコナリーのもう一つのシリーズ新作"The Drop"が年内に登場した場合だろう。この作家は、自分の作品を次作で凌駕し得る才能とおそらくは努力の塊のような人だから。  もともとがジャーナリストであったコナリーは、『リンカーン弁護士』で本来は畑違いであるはずのリーガル・サスペンスに初めて挑み、見事な出来栄えで映画化されるほどのヒットを...
  • 天使と罪の街
    ...2004) 作者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2006.8.11 初刷 価格:各\648  作者がシリーズ主人公に死の運命を課すのはそれなりに苦しいに違いない。場合によっては主人公ではなくても、レギュラー・キャラクターの死にだって痛みを感じることだろう。キャラクターの創造主は、あくまで作家であるからだ。  なかでも、コナリーにとって、テリー・マッケイレブの命の重さは並みのものではなかったと思う。読者にとってもそれは同じだ。かつて心臓を病み、その命を殺人事件の犠牲者の心臓の移植によって永らえた男。その命をもたらした殺人事件の闇の奥をまさぐり、真相にタッチした男。  そういう魅力的なキャラクターのかけがえのない命だったからこそ、作者がライフワークとして描き出している主人公ハリー・ボッシュと相まみえ...
  • エコー・パーク
    ...2006) 作者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2010.4.15 初刷 価格:各\714  単純にハリー・ボッシュというシリーズ刑事が、凝りに凝った犯罪に挑み、少しずつ絡みをほぐして真相を解いてゆくだけの物語なのに、そこにボッシュの過去を遡行する運命や、それをあえて弄ぶように見える悪意の存在などが加わることによって、作品に奥行きが生まれる。  シリーズならではの過去の登場人物への電話連絡、そしてかつて一度寄り添い駄目になった女性との再会、過去を共有する犯罪者との会話などなど。一作だけでは到底描ききれない世界の広がりと深淵とを、シリーズはその全体の読者に向けて表現してゆく。  シリーズを知らないものでも単発作品としても十分に面白いだろう。それほどに策をめぐらせた犯罪の動機がある。思いも寄らぬ真相...
  • ナイトホークス
    ...1992) 著者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:扶桑社ミステリー 1992.10.30 初版 価格:各\540(本体各524) 1994年のぼくは、ずっとフランシスとベック・シリーズに明け暮れていたので、傑作の噂高い『ブラック・アイス』を読みたくなった。シリーズは順を追って読まないと気が済まないぼくは、この一作目をまずは手に取ってみたんだけど、なぜにこの作品が FADV で話題にならなかったのか不思議なほど、素晴らしい大作かつデビュー作だった。 FADVでは Gan.さんの捉え方は否定的。よくあるパターンで水準以下というのがGan.さんの評価だけど、ぼくは全く逆の感想です。なんのなんの、この作品、自分の読書歴に加えておいて本当に高レベルに位置するほどの傑作。絶対に追跡して行かねばならない作家が一人確実に増えたの...
  • 終決者たち
    ...2005) 作者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2007.9.14 初刷 価格:各\714  ボッシュがかつての同僚キズミン・ライダーの奔走によってロス市警に復職することになるのは、前作『天使と罪の街』のラストで暗示されていたが、本作はこれを受けて復帰初日のボッシュからスタートする。  それでも軽快で陽気なカムバックのおめでたさとはどことなく無縁である気配が漂うあたりもボッシュらしい。本人は復職により、本来のハンターとしての機能性を取り戻す喜びに溢れているし、同僚たちも信頼ある仲間の復帰をそれとなく喜んでいるかに見える。しかし彼が復帰した部署は、未解決事件班という極めて特殊な部署である。  現在の事件ではなく、過去に一度捜査されたものの、いわゆる現在はお宮入りとなっている事件に、現在の捜査技術と...
  • マイクル・クライトン Michael Crichton
    マイクル・クライトン Michael Crichton 長編 アンドロメダ病原体 1969 浅倉久志訳 五人のカルテ 1970 林克巳訳 ターミナル・マン 1972 浅倉久志訳 大列車強盗 1975 乾信一郎訳 北人伝説 197 乾信一郎訳 失われた黄金都市 1980 平井イサク訳 スフィア -球体- 1987 中野圭二訳 ジュラシック・パーク 1990 酒井昭伸訳 ライジング・サン 1992 酒井昭伸訳 ディスクロージャー 1993 酒井昭伸訳 ジュラシック・パーク2 -ロスト・ワールド 1995 酒井昭伸訳 エアフレーム -機体- 1996 酒井昭伸訳 ツイスター 1996 酒井昭伸訳 タイムライン 1999 酒井昭伸訳 プレイ -獲物- 2002 酒井昭伸訳 恐怖の存在 2004 酒井昭伸訳 Next 2007 酒井昭伸訳 パイレーツ -強奪海域 2009 酒井昭伸訳 マイクロワ...
  • マイクル・パーマー Michael Palmer
    マイクル・パーマー Michael Palmer 長編 沈黙の病棟 1995 川副智子訳 有毒地帯 1996 川副智子訳 致死量 1991 林克己訳 D.I.C. -血液内凝固症候群 1994 吉澤康子訳 心優しき殺人 1983 林克己 病棟封鎖72時間 2002 川副智子訳 復讐病棟 2006 川副智子訳 共著 死者は眠らず 2011 北村あかね訳 26人の作家
  • ベスト・アメリカン・ミステリ ジュークボックス・キング
    ...2003) 編者:マイクル・コナリー&オットー・ペンズラー編 Michael Connelly, Otto Penzler 訳者:古沢嘉通、他 発行:ハヤカワ・ミステリ 2005.4.15 初版 価格:\1.800  同じアンソロジーの名シリーズをハヤカワが立て続けに出した。確かにDHCの出版は2001年で止まっていた。でも今になっていきなり二冊というのは、不思議だ。ぼくの4月は、結局この二冊を読むのに大半を費やすことになった。それだけじっくり読める二冊だったわけだ。  サービス精神が特に働いているわけではないと思うが、2002年版とは著名作家の名前がずらり入れ替わっている。これは立て続けに二冊読む側にとって有難い。多くの好きな作家がより多く名を連ねいるというのが、アンソロジーの最良の楽しみではないか。  今回は大御所としては、ジェイムズ・クラムリーと...
  • 判決破棄 リンカーン弁護士
    ...010) 作者:マイクル・コナリー Michaeel Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2014.11.14 初版 価格:各\830  リンカーン弁護士も第三作目。一作目が時を経ず映画化されたことで、ミッキー・ハラーについては、売れっ子男優マシュー・マコノヒーの顔がイメージされるようになってしまった。ちなみに、ハリー・ボッシュの方は今春ようやくドラマ化が決定とのことで、映画には一本もなっていないのが不思議であるが、ぼくはボッシュの顔は最初からマイケル・ダグラスでイメージしている。ボッシュ第一作『ナイトホークス』の刊行が1992年だったから、おそらく1989年の映画『ブラック・レイン』あたりの印象がぼくの中でマッチしたのである。  それにしてもリーガル・サスペンスは大変だというコナリーの一作目でのあとがきが嘘のように、次々とハラーものも、...
  • 警告 ジャック・マカヴォイ・シリーズ
    警告 ジャック・マカヴォイ・シリーズ 題名:警告 上/下 原題:Fair Warning (2020) 著者:マイケル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2021.12.15 初版 価格:各¥900  邦題は御覧のとおり『警告』なのだけれど、本書の主人公ジャック・マカヴォイが今、所属している消費者問題専門ニュースサイトの会社名が、実は原題の"Fair Warining"。本書でもジャックの所属会社名は「フェアウォーニング」とカナ訳されている。実はこのタイトルの仕掛けに気づいたのは、実は読書半ばのこと。原書読者は最初からそんな時差感はなしに読んでいるだろうから、老婆心ながら最初にここで触れておく。  さてマカヴォイ主演作としては『ザ・ポエット』『スケアクロウ』に続く三作目。前作から何...
  • 正義の弧
    正義の弧 題名:正義の弧 上/下 原題:Desert Star (2022) 著者:マイケル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2023.07.14 初版 価格:各¥920  時は過ぎゆく。その感を作品毎に強くしてゆくのが、本シリーズのこのところの読後感である。若いベトナム帰りの辣腕刑事であったハリー・ボッシュは、今や警察を退官し老いた私立探偵となっている。その後も何作もシリーズを続けていること自体奇跡的なのだが、本書ではナイトシフトの警察官であったレネイ・バラードが未解決事件専門の新部門の責任者となった構図がシリーズに新しい風を与える。  さらにレネイ・バラードは、チームに退職者であるボッシュを迎え入れる。現役を退いてなお未解決事件に挑んできたボッシュの最新のヒストリーに、若き女性捜査官レネイ・バラー...
  • 潔白の法則 リンカーン弁護士
    潔白の法則 リンカーン弁護士 題名:潔白の法則 リンカーン弁護士 上/下 原題:The Low Of Innocence (2020) 著者:マイケル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2022.7.15 初版 価格:各¥900   法廷で有罪かそうでないかは証明されるけれども、無罪であることの証明はされない。有罪ではない無罪(=潔白)を証明することに法廷では使われない。タイトルの意味はそういうことだそうである。  本書はおそらくリンカーン弁護士のシリーズ中ベストの作品となるだろう。ベストでなくても最も印象深い作品であることは間違いない。Most Impressive Work!  ぼくは昼間にこの作品を読み、夜にはNetflixで日本語字幕版ドラマ『リンカーン弁護士』のシーズン1(原作では『真...
  • 鬼火
    鬼火 題名:鬼火 上/下 原題:The Night Fire (2019) 著者:マイケル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2021.07.15 初版 価格:各¥900  巻頭、コナリーからタイタス・ウェリヴァーに献辞が送られている事実に注目。Amazon Prime Video での"Bosh"シリーズが先般終了したのが、ドラマにはいつも原作者コナリーの名がテロップでアドヴァイザーとして見られることから、ドラマ化に伴い現代風にアレンジした設定の異なる中でも、ハリー・ボッシュという人間像や作品を貫くイメージは作者の想いの通り守られたのであろう。  ボッシュは原作ではヴェトナム戦争帰還兵の年齢だが、ドラマではアフガン帰還兵となっているので、ほぼリアルに動いてきた作品年齢よりは、相当...
  • バッドラック・ムーン
    バッドラック・ムーン 題名:バッドラック・ムーン 上/下 原題:Void Moon (2000) 作者:Michael Connelly 訳者:木村二郎 発行:講談社文庫 2001.8.15 初版 価格:上\876/下\857  コナリーというと重い作品というイメージがまずある。物語運びが巧いのでその重さが気にならないのだが、その緻密な展開はストーリーを必ずしもスピーディには展開しない。ピンを抜いてすぐに爆発する手榴弾ではなく、長い導火線を辿った末に発火点の存在がわかるダイナマイトのような物語。  そのイメージを初めて破壊したのがこの作品ではないだろうか? 女泥棒はキャッツアイみたいだし、カジノでの化かし合いも、復讐も、ラブ・ロマンスも、どちらかと言えば、導火線なしの派手な手投げ弾のように見える。舞台はゴージャス、色彩はカラフル。物語はシンプル。...
  • ダーク・アワーズ
    ダーク・アワーズ 題名:ダーク・アワーズ 上/下 原題:The Dark Hours (2021) 著者:マイケル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2022.12.15 初版 価格:各¥900  ジャック・マカボイ、ミッキー・ハラーと続いていたコナリー・ワールドだが、久々にハリーボッシュ&レネイ・バラードの登場でぼくは新年を美味い酒とともに迎えさせて頂いた。美味い酒というのは銘柄とか酒の種類のことではなく、良い物語が美味しくさせてくれる酒のこと。  今回はタイトルの通り、夜の事件なので主人公役はほぼレネイ・バラードと見て良い作品であった。そもそもハワイからやって来たバラードは、その後の展開で愛犬を失い、ビーチのテント生活から現在は普通のマンションに居を移している。いろいろ初期設定から変化を遂げている。...
  • マイケル・ドブズ Michael Dobbs
    マイケル・ドブズ Michael Dobbs 長編 ハウス・オブ・カード 1989 伏見威蕃訳 ウォール・ゲーム 1990 野本征史訳 最後に死すべき男 1991 伏見威蕃訳 危険な選択 1994 布施由紀子訳
  • アレックス・マイクリーディーズ Alex Michaelides
    アレックス・マイクリーディーズ Alex Michaelides 長編小説 サイコセラピスト 2019 坂本あおい訳
  • マイケル・フィーゲル Michael Fiegel
    マイケル・フィーゲル Michael Fiegel 長編小説 ブラックバード 2017 高橋恭美子訳
  • マイケル・ロボサム Michael Robotham
    マイケル・ロボサム Michael Robotham ジョン・オローリン・シリーズ 容疑者 2004 越前敏弥訳 長編小説 生か死か 2014 越前敏弥訳 誠実な嘘 2017 田辺千幸訳 サイラス&イーヴィ・シリーズ 天使と嘘 2019 越前敏弥訳 天使の傷 2020 越前敏弥訳
  • dirty_sally
    ...ではないか。例えば、マイクル・コナリーを初めて読んだときのヒット感に共通するものがあるのだ。  一向に事件の全容が見えてこない謎の奥深さが、例えようもなく魅力だ。被害者たちのあまりに惨たらしい死に様は驚愕のインパクト。バスに轢かれてに切り離されてしまう死体。その事故を捜査している間に、もう一つのブラック・ダリアとも言うべきダーティ・サリーを発見してしまう主役刑事ダン・レリス。そして物語の進行に応じてあまりにも増え続ける死体の数々。主人公の感情は、量産される複数の死から死へと揺れ動き、振幅はとどまるところを知らない。  主人公ダン・レリスの行動の部分だけを「おれ」の一人称で描きつつ、その他の部分では三人称と描き分ける。二種類の章を交互に進行させるため、死に行く者の孤独な行動について知らされるのは、ダンではなく読者の側である。  そうした読者にとって黒幕らしき人間...
  • 死のオブジェ
    ...の強烈な個性である。マイクル・コナリーのシリーズ・ヒーローであるハリー・ボッシュがなかなか自分の出自を明かさなかったように、マロリーもまた、その正体が掴みきれない。謎に満ちたマロリーの少女時代は、作品を重ねるごとに徐々にそのベールを剥がされてゆく。  本書ではストリート・チルドレンとして拾われる以前のマロリーに関する記述がなされている。奇想に満ちた錯綜のプロットの担い手であるキャロル・オコンネルは、大仰な表現による意味深げな語り口で読者を釣り出そうとする傾向が顕著である。時には読者を苛立たせるほどにテンポを緩めたり、あるいは話の途中で場を大きく変えてしまい、読者の興味の視線を逸らしてほくそ笑む。  そんな作家が、マロリーにおける過去の重要事実を語るに際しては、その種の大仰な表現を一切使わず、さらりと何気なしに描写し、その後何事もなかったかのように、物語の続きを進めてし...
  • ベスト・アメリカン・ミステリ ハーレム・ノクターン
    ...き』、そしてもちろんマイクル・コナリー『二塁打』である。 (2005.04.21)
  • 捜査官ガラーノ
    ...うだ。同じ文芸欄にはマイクル・コナリーや、スコット・トゥローなどの重鎮も名を連ねているとのことで、同じコンパクト・サイズの作品を、これらいずれも長編作家たちが珍しく書いているのだと思えば、どれも読んでみたい、という好奇心が疼く。  さて、どちらかと言えば、サブ・ストーリーとしてのホーム・ドラマやラブ・ロマンスにも力を入れ、メインストーリ-を食ってしまう傾向が、検視官シリーズにはあるのだが、本書は、さすがコンパクト・ミステリーだけに、そういった背景描写はキャラクターの個性を浮き立たせる素材としての描写にとどめ、ヒーローである捜査官ガラーノと、癖のある脇役たちとのラブ・ロマンスを思わせる駆け引きについても、ほんのおさわりだけ、というように見える。  つまり、これは事件を追いかけるガラーノのシリーズ小説というよりも、事件そのものの複雑な背景と意外性のある黒幕を暴いてゆく純然...
  • ベスト・アメリカン・ミステリ スネーク・アイズ
    ...いていたが、その後、マイクル・コナリー、ネルソン・デミルとどちらかと言えば短編のイメージからはほど遠い作家をゲストに招いているあたり、オットー・ペンズラーの胸襟の広さを窺わせるものがある。  本作は、ネルソン・デミルのカラーなのか、短編そのものが客観的に秀逸だというクールな理由なのか、有名どころ作家を抑えに抑えて、新人作家や短編専門作家の名前がずらりと並んでいる。つまり素人の翻訳小説読みである我々が手にとって馴染みの感じられる作家が少なく、売り上げに影響ありかと心配されるほどのラインナップなのである。  登場す大御所としてはスティーヴン・キングくらいか。翻訳され活躍してきた作家というあたりでは、ジェフ・アボット、ジャック・オコネル、ディック・ロクティなどの名が 並んでいる。  また、有名どころというのでなくても、連続してこのアンソロジーに登場している短編作家と...
  • ビッグ・ノーウェア
    ビッグ・ノーウェア 題名 ビッグ・ノーウェア 上/下 原題 The Big Nowhere (1988) 著者 ジェイムズ・エルロイ James Ellroy 訳者 二宮 馨 発行 文藝春秋 1993.11.25 初版 価格 各\2,200(本体各\2,136)  『ブラック・ダリア』に続くロス暗黒史4部作の二作目。一作目があまりに濃密でしっかりしたプロットをどーんと描き切った大作であったために、これがきちんと四作も同じ水準で続くものかと心配になるほどの凄味のあるシリーズであるが、この心配をあっさりと霧散させてしまうだけのパワフルさを湛えたこれも凄まじい物語であった。  うーん、この歓び・・・・好きな作家を見つけたときのこの歓びってなにものにも代えがたいものがあるんだけど、ぼくにとってはジェイムズ・クラムリィやマイクル・コナリィ以来...
  • シャネル・ベンツ Chanelle Benz
    シャネル・ベンツ Chanelle Benz 短編小説集 おれの眼を撃った男は死んだ 2017 高山真由美訳㍘
  • ロバート・ラドラム Robert Ludlum
    ロバート・ラドラム Robert Ludlum/ジョナサン・ライダー Jonathan Ryder/マイケル・シェパード Michael Shepherd ジェイソン・ボーン・シリーズ 暗殺者 1980 山本光伸訳 殺戮のオデッセイ 1986 山本光伸訳 最後の暗殺者 1990 山本光伸訳 マタレーズ暗殺集団シリーズ マタレーズ暗殺集団 1979 篠原慎訳 マタレーズ最終戦争 1997 篠原慎訳 マッケンジー・ホーキンス/サム・デヴェロー ・シリーズ 四億ドルの身代金 1975 山本光伸訳 マイケル・シェパード名義 白き鷹の荒野 1992 篠原慎訳 秘密組織カヴァート・ワン・シリーズ 冥界からの暗殺者 秘密組織カヴァート・ワン(Covert-One)1  2002 峯村利哉訳 ゲイル・リンズ共著 破滅の予言 秘密組織カヴァート・ワン(Covert-One)2  2002 峯...
  • michael_simon
    マイケル・サイモン Michael Simon 長編小説 ダーティ・サリー
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