wiki クライムウェイヴ(Sysop読書録 活字をめぐる冒険) 内検索 / 「ミリオンカの女」で検索した結果

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  • ミリオンカの女
    ミリオンカの女 題名:ミリオンカの女 うらじおすとく花暦 作者:高城 高 発行:寿郎社 2009.07.15 初版 2009.10.05 再版 価格:¥2,200  創元推理文庫で全4巻に渡る高城高全集が再発掘された時の衝撃はけっこう大きかった。戦後復興の時代に創始された国産ハードボイルドの嚆矢として仙台、札幌、釧路と、作家が新聞記者として渡り歩いた街の当時の独特の空気感を題材に短編作品を紡いだものだ。  その全集により高城高の名前がぼくらの世代にも知られるようになったためか、四十年以上の沈黙を破り、高城高は新しい世界の構築を始める。一つはバブルに沸くすすきのの黒服の男を描くハードボイルドで、これらはかつての短編世界を継ぐものと言っていい。しかしもう一つの函館水上警察シリーズは、開港間も無くの函館に材を取った歴史ハードボイルドと言うべき、独自でありなが...
  • 高城 高
    ...リーズ・スピンオフ ミリオンカの女 2018.03 仕切られた女 2020.02 黒服・黒頭悠介シリーズ 夜明け遠き街よ 2012.08 夜より黒きもの 2015.05 短編集 X橋付近 2006
  • 仕切られた女
    ...リーズの前編となる『ミリオンカの女 うらじおすとく花暦』ですっかり魅せられてしまったぼくは、版元を換えてますますインディーズ化した本書を見つけ出し狂喜する。このような独自性と品格と、小説としての起伏を持った面白い作品に出会うことは稀である。  本書では、ウラジオストックの街を襲う日露戦争という大掛かりな歴史の中で、敢えて歴史小説には進まず、たくましく荒々しい愛と暴力の時間を乗り越えてゆくお吟=エリス、そしてその周囲のこれまた魅力的な脇役たちの姿を活写してゆくことで、冒険小説でありハードボイルドであり続けようとする物語の方向性が明確である。  作者がこの街やこの時代に魅せられた気持ちがそのまま直接的に伝わってくる物語や題材や人物の魅力が、なんとも言えない。戦後の暴力の激しさを淡々と描きつつ、そんな多くの屍や廃墟の上を、一歩も引かず、恨み節の一つも口にせず、生きることへの...
  • ジャナ・デリオン Jana Deleon
    ジャナ・デリオン Jana Deleon フォーチュン・シリーズ ワニの町へ来たスパイ 2012 島村浩子訳 ミスコン女王が殺された 2013 島村浩子訳 生きるか死ぬかの町長選挙 2013 島村浩子訳 ハートに火をつけないで 2014 島村浩子訳 どこまでも食いついて 2014 島村浩子訳 幸運には逆らうな 2015 島村浩子訳
  • 偽装者
    偽装者 偽装者〈上〉 (Hayakawa novels) 偽装者〈下〉 (Hayakawa novels) 題名:偽装者 (上・下) 原題:ASSUMED IDENTITY (1993) 作者:DAVID MORRELL 訳者:山本光伸 発行:早川書房 1995.1.31 初版 価格:各\1,700(本体\1,650)  この作家の一方の名シリーズ、ドルーとソールの三部作は、シリーズ化して続編ができるものと期待していたのに、いっこうにその気配がなく、中程度のスリラーを書いてお茶を濁しているのがこのマレルという作家だと思う。もちろん『螢』はある意味ですごいドキュメンタル・ファンタジィなんだけど、 スリラーの方は、『螢』以前とは少し変わってきてしまったような気がする。  この作品もそういういみでは以前のような悲壮感がなく、スパイとして偽装生活を持ち味に...
  • 雪盲 SNOWBLIND
    雪盲 SNOWBLIND 題名:雪盲 SNOWBLIND 原題:Snjoblinda (2010) 著者:ラグナル・ヨナソン Ragnar Jonasson 訳者:吉田薫訳 発行:小学館文庫 2017.05.04 初版 価格:¥800  アイスランドのミステリと言えば、エーレンデュル捜査官シリーズで有名なアーナルデュル・インドリダソンだろう。『湿地』『緑衣の女』でガラスの鍵賞連続獲得という快挙を成し遂げた彼の作品は世界各国で翻訳されたため、犯罪が極度に少ないと言われるアイスランドの首都レイキャビックを舞台にした珍しい国籍のミステリーとして名を馳せた。  何故に犯罪が少ないかと言うと、アイスランドは人口は34万人と、そもそも少人間が少ない。しかも6割が首都圏に集まっている。国土面積は、北海道と九州を足したほどで、人口は旭川市とどっこい。札幌の人口の1/4...
  • おれは殺し屋
    おれは殺し屋 おれは殺し屋 おれは殺し屋 (光風社文庫) 題名:おれは殺し屋 作者:森詠 発行:光風社出版 1992.3.20 初版 価格:\1,200(本体\1,165)  この本を買って読み終えたのは、単に自分が森詠のファンなもので、森詠の本は新しいものはどんどん買って読むという主義であったからに過ぎない。といって古い本を全部読破しているわけではないから、それほど思い入れのあるファンであるとも言えない。まあ、なんとなくチェックしておきたいジャンルの作家である、くらいかな?  それにしてもこの人は短編が多くて、たまにいい短編集も出すのだけど、ほとんどは雑誌掲載の細切れ作品を体裁よく纏めたものといった、しかもそれでいて値段の高いハードカバーが多い。この本は内容は大したこともないし(そろそろぼくも飽きてきてる)、わざわざハードカバーで出さんでも……と文句を...
  • 死神鴉 横浜狼犬 II
    死神鴉 横浜狼犬 II 題名:死神鴉 横浜狼犬 II 作者:森詠 発行:光文社カッパ・ノベルス 1999.8.25 初版 価格:\848  凄い傑作! なかなか見つからなかった本だけれど、アマゾン・コムが時間をかけて届けてくれた。ともかくも新宿鮫シリーズやら馳星周らがぶっ飛んでしまうようなアジアン・ノワールの傑作!   これは横浜狼犬/海道章のシリーズとしては、実は初作に当たる『嘆きの峠』に加筆補筆して改題した作品である。家の書棚に並んでいる『嘆きの峠』が未読だったのに、それと知らずこの手に入りにくい『死神鴉』を探し求めていた自分が今では愚かに見える。  しかし、これほどの傑作が絶版に近い状態(少なくとも『嘆きの峠』は絶版)に置いておくというのは、日本ハードボイルド&アジアン・ノワール愛読者にとって大変な不幸としか言いようがない。この作品...
  • ドンナ ビアンカ
    ドンナ ビアンカ 題名:ドンナ・ビアンカ 作者:誉田哲也 発行:新潮社 2013.02.15 初版 価格:\1,500  雑誌に書き継がれた短編のなかで、知らず生まれていた地味なヒロイン・魚住久江。42歳、独身。肩身の狭い喫煙者。犯罪は起こった後に捜査するのではなく、未然に嗅ぎつけて防ぎたいとの意図から、強行犯係に所属。短編集『ドルチェ』でブレイクアウトしたこのオトナの女刑事、初の長編デビューである。出版社は<恋愛捜査シリーズ>などと勝手なことをのたまう。なるほど、と思えないこともないが……。  青春小説と警察小説。両方の看板を掲げる誉田哲也。彼の最新作は、まさに恋愛捜査の一冊であった。ダーク&バイオレンスを前面に出したサービス満点の警察小説を信条とする誉田ワールドであるけれど、クールを看板に掲げる87分署シリーズのエド・マクベインが『灰色のためらい...
  • タ行作家
    タ行作家 アルネ・ダール フレデリック・ダール トレント・ダルトン マーク・チャイルドレス/チルドレス レイモンド・チャンドラー エリオット・チェイズ ジョセフィン・テイ デイヴィッド・C・テイラー マレール・デイ ジェフリー・ディーヴァー ウィリアム・ディール カレン・ディオンヌ ジェイムズ・ディッキー フィリップ・K・ディック ハンナ・ティンティ ボストン・テラン ジャナ・デリオン ピーター・ドイル スコット・トゥロー リチャード・ドハティ ゾラン・ドヴェンカー クレイグ・トーマス ロス・トーマス マイケル・ドブズ ルパート・トムスン ローリー・リン・ドラモンド オリヴィエ・トリュック ジェレミー・ドロンフィールド ジム・トンプスン
  • 幻の女
    幻の女 幻の女 (角川文庫) 幻の女 題名:幻の女 作者:香納諒一 発行:角川書店 1998.6.25 初版 価格:\2,000  懲りに凝ったプロット、原りょう以来の丁寧に書かれた和製ハードボイルド、男の情感、暗闇の深さ、謎の深さ、事件のスケール。どれを取っても、ははあ、これまで三冊も短編集ばかり読まされてきたのは、この作品に打ち込んでいたせいなのだなと思わせられる。それほどに優秀な作品であると思う。北上次郎も新聞で絶賛したはず。  しかし香納諒一という作家は、いつも一枚何かが足りない荒削りと言われてきた。それはテクニックだったのかもしれない。プロットでのもうひとひねりであったのかもしれない。作家はこうした疑問に真っ向から答えるようにこの作品に取り組んだのかもしれない。だからそれなりの完成度の高い作品にはなっていると、ぼくも思う。  しかし、...
  • その女アレックス
    その女アレックス 題名:その女アレックス 原題:Alex (2011) 作者:ピエール・ルメートル Pierre Letmaire 訳者:橘明美訳 発行:文春文庫 2014.09.10 初版 2014.10.20 3刷 価格:\860  パリ発のミステリを新作で読めるなんて一体何年ぶりだろうか。ジャン・ボートラン『グルーム』とか、セバンスチャン・ジャプリゾの『長い日曜日』以来だろうか。  近年北欧ミステリが欧米のそれを凌駕するくらい大量に翻訳されるようになり、ヨーロッパの娯楽小説が見直されてきているが、そういう潮流に、本来の文芸王国であり、フィルム・ノワール、ロマン・ノワールのお膝元であるフランスがこういう作品をきっかけに日本の書店にも並んでくれると有難い。一昨年、フランスを旅行したときに、あちこちの店で目に付いたのがダグラス・ケネディだったことを思...
  • 砂の女
    砂の女  人間の存在基盤にある方法で具体的に迫ってゆく作品。サスペンス小説、というよりは、ホラーに近い部分がある。だれが読んでも面白いであろうと思える。娯楽小説として読めるということ。特に、ラストが衝撃的である。 (1992.07.19)
  • アフリカの蹄
    アフリカの蹄 題名:アフリカの蹄 作者:帚木蓬生 発行:講談社 1992.3.10 初版 価格:\1,400(本体\1,359)  帚木蓬生といえば、一昨年新潮推理サスペンス大賞の佳作に選ばれた『賞の柩』。推理サスペンス大賞は国産作品の賞にしてはなかなか質が高いというか、まあぼくの好みのものが多い。さて本作『アフリカの蹄』は、何と『賞の柩』と同時応募したものの落選した方の作品であるらしい。出版社が応募先ではないというのも不思議な話だが、特に手を入れずに発表されてしまっているようでもある。ま、これは未確認情報ですが(^^;)。  さて本書は壮大なテーマ……国名こそ書かれていないが南アのアパルトヘイト問題に真っ向から取り組んだ作品である。『賞の柩』でノーベル賞そのものに反旗を翻した同じ作家が、同じ時期に書いていたもう一つの作品。本書は佳作にもなれなかった...
  • 森 詠
    森 詠 燃える波濤 燃える波濤 第一部 1982 燃える波濤 第二部 1982 燃える波濤 第三部 1982 燃える波涛 明日のパルチザン 第4部 1988 燃える波涛 冬の烈日 第5部 1989 燃える波涛 烈日の朝 第6部 1990 キャサリン・シリーズ さらばアフリカの女王 1979 風の伝説 1987 陽炎の国 1989 横浜狼犬(ハウンドドッグ)シリーズ 青龍、哭く 1998 横浜狼犬(ハウンドドッグ) 1999 死神鴉 1999 警官嫌い 横浜狼犬エピソード〈1〉 2000 砂の時刻 横浜狼犬エピソード〈2〉 2001 オサム・シリーズ オサムの朝(あした) 1994 少年記―オサム14歳 2005 革命警察軍ゾル 革命警察軍ゾル〈1〉分断された日本 2006 続 七人の弁慶 七人の弁慶 2005 続 七人の弁慶 2006 長編小説 黒い龍 小説...
  • カメレオンの影
    カメレオンの影 題名:カメレオンの影 原題:The Chameleon s Shadow (2007) 作者:ミネット・ウォルターズ Minette Walters 訳者:成川裕子 発行:創元推理文庫 2020.04.10 初版 価格:¥1,400  実に5年ぶりのお目見えとなる作品。値段の割に邦訳が遅いのが気になる。この作家を思い出すのに、以下の前作『悪魔の羽』についての我がレビューを少し振り返りたい。 (以下前作レビュー) { 中編集『養鶏場の殺人・火口箱』を読んでから、少しこの作家への見方がぼくの方で変わった。≪新ミステリの女王≫と誰が呼んでいるのか知らないが、この女流作家はミステリの女王という王道をゆく作家ではなく、むしろ多彩な変化球で打者ならぬ読者を幻惑してくるタイプの語り部であるように思う。  事件そのものは『遮断地区』でも特に...
  • 緑衣の女
    緑衣の女 題名:緑衣の女 原題:Grafarþögn (2001) 作者:アーナルデュル・インドリダソン Arnaldur Indriðason 訳者:柳沢由美子 発行:東京創元社 2013.07.12 初版 価格:\1,800  北欧ミステリを読むにつれ、どんどんその魅力にはまりつつあるのが最近の私的読書傾向。独自の気候風土が持つ異郷としての魅力に加え、警察小説として修逸である作品がこれほど多いのには驚かされる。世界的に翻訳され、海外小説にはいつも分の悪い日本であれ、最近はどんどん翻訳が進められ(数少ない北欧言語の翻訳家は大変だろうと思う)、我々の手に触れるようになったことは喜ばしい限りである。  日本の書店を賑わして最近とみに注目されるようになっているのが、北欧五ヶ国で最も優秀なミステリに贈られるという『ガラスの鍵』賞ではないだろうか。本書のアーナ...
  • 幸運には逆らうな
    幸運には逆らうな 題名:幸運には逆らうな 原題:Soldiers Of Fortune (2015) 著者:ジャナ・デリオン Jana Deleon 訳者:島村浩子 発行:創元推理文庫 2023.8.31 初版 価格:¥1,100  「ワニ町」シリーズいつの間にか6作目。シリーズは3作ほどを区切りにして、その後翻訳出版打ち切りなんていうことがままある。出版社を変えて別の翻訳者で再開、なんて版権の移動もあったりするから、翻訳ミステリーのシリーズものは心配だ。しかし、本シリーズは人気があるらしく、きちんと翻訳が続いているし、打ち切りの話もまったく出てこない。ストーリーも良いが、翻訳小説とは思えないほど、日本語訳の文章も素晴らしいシリーズだと思う。  さて前作から続いて、保安官助手のカーターは未だ完全復活ならず。それもそのはず毎年一冊ずつ読ませて頂いている...
  • わらの女
    わらの女 題名:わらの女 原題:La Femme De Paille (1954) 著者:カトリーヌ・アルレイ Catherine Arley 訳者:橘明美訳 発行:創元推理文庫 2019.07.30 新訳初版 価格:\1,000  偶然にも生まれる前の小説を続けざまに読んでいる。こちらはピエール・ルメートルの訳者・橘明美による新訳がこのたび登場。古い作品ほど、新鮮に見えてくるこの感覚は何なのだろう?  1960年代にフレンチ・ノワールが日本の劇場を席巻したのも、下地としてこのように優れた原作があったからなのだろう。少年の頃に劇場や白黒テレビで触れたそれらの映画を、大人になって改めて映画、小説などでノワール三昧の一時期を送ったものだ。本書はノワールでありながら、それだけではない。言わばノワール・プラス・アルファな作品なのである。ノワールの特徴である...
  • 潔白の法則 リンカーン弁護士
    潔白の法則 リンカーン弁護士 題名:潔白の法則 リンカーン弁護士 上/下 原題:The Low Of Innocence (2020) 著者:マイケル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2022.7.15 初版 価格:各¥900   法廷で有罪かそうでないかは証明されるけれども、無罪であることの証明はされない。有罪ではない無罪(=潔白)を証明することに法廷では使われない。タイトルの意味はそういうことだそうである。  本書はおそらくリンカーン弁護士のシリーズ中ベストの作品となるだろう。ベストでなくても最も印象深い作品であることは間違いない。Most Impressive Work!  ぼくは昼間にこの作品を読み、夜にはNetflixで日本語字幕版ドラマ『リンカーン弁護士』のシーズン1(原作では『真...
  • 魔力の女
    魔力の女 題名:魔力の女 原題:Sleep No More (2002) 作者:グレッグ・アイルズ Greg Iles 訳者:雨沢 泰 発行:講談社文庫 2005.11.15 初刷 価格:\1,086  グレッグ・アイルズの小説としては、極めて異色だとしか言いようがない。歴史に材を取ったり、精緻なサイコ・スリラーを描いたりと、どれをとっても凝りに凝った仕掛けと精密なプロットで読者を唸らせてきた作家である。その彼が、たいへん自由度の高いテーマに手を出した。どちらかと言えばスティーヴン・キング系の「あれ」である。  ミシシッピ州ナチェズで石油試掘地点を投資家に助言する仕事をしている主人公ジョン・ウォーターズの前に、突然謎の美女が現れる。ナチェズの不動産会社を営むイヴ・サムナーである。彼女は徐々に接近を迫り、挙句に、自分はジョンの死んだ恋人マロリー・...
  • 隠れ家の女
    隠れ家の女 題名:隠れ家の女 原題:Safe Houses (2018) 作者:ダン・フェスパーマン Dan Fesperman 訳者:東野さやか 発行:集英社文庫 2020.02.25 初版 価格:¥1,400  660ページ。分厚い作品である。内容も決して軽くはない。それなのに、何故かページが進む作品である。原文、訳文が読みやすいとも考えられるけれど、やはりストーリーテリングが秀逸なのだろう。耳に心地よい物語の如く、読んでいて快適な作品なのである。  王道スパイ小説×謎解きミステリーの合体といったアピールの帯が巻かれているが、その上に加わわった作品の構成とテーマと題材、などのも面白さに推進力を加えた重要な要素なのだろう。  まずは、二つの時代を交互に行き来するという構成の妙。1979年東西冷戦下のベルリンを舞台に描かれた女性情報職員ヘレン...
  • 混濁の夏 デルーカの事件簿 II
    混濁の夏 デルーカの事件簿 II 題名:混濁の夏 デルーカの事件簿 II 原題:L estate torbida (1991) 作者:カルロ・ルカレッリ Carlo Lucarelli 訳者:菅谷 誠 発行:柏櫓舎 2005.3.30 初版 価格:\1,429  『白紙委任状』に続く三部作の二作目。1月、3月、5月と二カ月おきに柏櫓舎より出版予定なのは、本編が二百ページに満たない中編作品であるためなのか、あるいは疾走するような1940年代のイタリアの現代史を連続的に読んでゆくための版元・訳者らの意図なのか。いずれにせよテンポとしてちょうど良い。  前作で、連合軍によるファシスト共和国侵攻をクライマックスに迎え、逃げ出した捜査隊長デルーカは、本作では国を挙げての完全なる逆境に置かれる。前作では相当のポーカーフェイスだった我らが主人公は、戦犯として捉えら...
  • 斜影はるかな国
    斜影はるかな国 斜影はるかな国 (朝日文芸文庫) 斜影はるかな国 斜影はるかな国 文春文庫 斜影はるかな国 (講談社文庫) 題名:斜影はるかな国 作者:逢坂剛 発行:朝日新聞社 1991.07.01 初版 定価:\1,650(本体\1,602)  さて悪評高い本書。バンディーダ(馳星周)・五条(吉野仁)・関口さん(関口苑生)という黄金トリオが口を揃えて「今度の作品はねー」というのだから、なかなか読む気が起こらなかったのも当たり前と言えば当たり前。でも600ページを越える逢坂の最新長編小説で、しかもスペインを舞台にした冒険小説とくれば、どんなに前評判が悪くても書店の軒先を見ただけで手が延びてしまう。買ってしまう。読んでしまう。これまでの逢坂剛は何といってもそれに値する作家であったからなのだ。  さて感想。まあまあ読ませる冒険小説ではあると思う。...
  • 9ミリの挽歌
    9ミリの挽歌 題名 9ミリの挽歌 原題 Nine Mil (2000) 著者 ロブ・ライアン Rob Ryan 訳者 鈴木 恵 発行 文春文庫 2001.10.10 初版 価格 \848  思わぬ拾い物と言って良い作品。パルプ・ノワールとあるけれども、ぼくとしてはむしろ全編に侠気を感じさせる人情巨編と読める。敗者たちがふたたび立ち上がるクライム・ノベル。出来の悪い主人公たちが一人ずつ結集して、ろくでもない復讐劇をもくろむ。巨悪への挑戦であり、現ナマの強奪であり、今いる日常への決別でもあるが、それぞれに負った傷は重すぎる。  挑戦すべき悪党たちは、闇の掟で縛られ、裏切り、処刑する。地下室で弾ける頭蓋に、跳ね上がる泥と血。あまりにも残酷な描写の彼方に、驚くべきクライマックスが待ち受けている。  野良犬の糞よりも安っぽく見える人の命と腐っ...
  • マリオ・プーヅォ Mario Puzo
    マリオ・プーヅォ Mario Puzo 長編小説 ゴッドファーザー 1969 一ノ瀬直二訳 愚者は死す 1978 平尾圭吾訳 ザ・シシリアン 1984 真野明裕訳 四番目のK 1990 真崎義博訳 ラスト・ドン 1996 後藤安彦訳 オメルタ -沈黙の掟 2000 加賀山卓朗訳 ザ・ファミリー 2001 加賀山卓朗訳
  • ライオンを夢見る
    ライオンを夢見る ライオンを夢見る 題名:ライオンを夢見る 作者:矢作俊彦 写真:安珠 発行:東京書籍 2005.12.15 初版 価格:\1,905  矢作俊彦は、多くのハードボイルド作家同様に、意味のない子供じみた道具、モノにこだわる。ブランドであったり、地名であったり(ヨコハマでありトウキョウではない)、水兵たちの持ち物であったり、カクテルであったりするかもしれない。銃であったり、長嶋茂雄であったり、日活無国籍アクションシネマであったり……。  子供時代から作家は、多くのモノに対し夢を込めて育ててきたに違いない。作家の想像力を育む、異常なまでのこだわりは、ある意味、その後の作品作りに必要なある種の準備だったろう。  本書は作家・矢作が、作家・ヘミングウェイを追跡するドキュメンタリーだ。はるかに時代も国も遠いところで生きたヘミングウェイというあ...
  • ミスコン女王が殺された
    ミスコン女王が殺された 題名:ミスコン女王が殺された 原題:Lethal Bayou Beauty (2013) 著者:ジャナ・デリオン Jana Deleon 訳者:島村浩子 発行:創元推理文庫 2018.9.21 初版 価格:¥1,000  アメリカ南部ルイジアナ州。バイユーにワニの生息する人口300のシアフルという小さな町。こんな静かで平和なはずである町に、CIAでへまをやらかした女スパイ、フォーチュンが身を潜めてからいきなり事件が連続するようになった。わけありのおばあちゃん二人アイダ・ベルとガーティとのトリオでの活躍シリーズ第二弾。  先日の翻訳ミステリー札幌支部のZOOMによるリモート読書会では、このシリーズ翻訳は三作目までなされたけれど、この後の続巻は売れ行き次第とのこと。たいていの翻訳シリーズ物は三作までの版権を得て、その売れ行き次第で...
  • Qrosの女
    Qros(キュロス)の女 [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 題名:Qros(キュロス)の女 作者:誉田哲也 発行:講談社 2013.12.12 初版 価格:\1,500  10月にプルーフ本の形で読み終わったのだが、どうも今ひとつ乗り気になれない小説だった。誉田哲也はいわゆるあざと...
  • 新車のなかの女
    新車のなかの女 [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 題名:新車のなかの女 原題:La Dame Avec Des Lunettes Un Fusil (1966) 作者:セバスチャン・ジャプリゾ Sébastien Japrisot 訳者:平岡 敦 発行:創元推理文庫 2015/7/31 初版 ...
  • 生きるか死ぬかの町長選挙
    生きるか死ぬかの町長選挙 題名:生きるか死ぬかの町長選挙 原題:Swamp Sniper (2013) 著者:ジャナ・デリオン Jana Deleon 訳者:島村浩子 発行:創元推理文庫 2019.11.29 初版 価格:¥1,080  ワニの町に来たスパイ・シリーズ第三弾。国際武器商人の暗殺リストに載ってしまった女スパイ・フォーチュンが、罪深き町シンフルに身を潜めるようになってから二週間しか経過していないが、早くも三つ目の事件。第一作の事件は、潜入先の飼い犬が白骨死体を掘り起こしてしまったことに勃発したものの、その後の二つの事件はフォーチュン潜伏開始以来、まるでフォーチュンを目立たせようとでもいうかのような運命の悪戯により、彼女が来る前何十年も平和であった田舎町が、火薬庫をひっくり返したかのような大騒ぎに見舞われる。  一作一作がしっかり接続し...
  • ワニの町へ来たスパイ
    ワニの町へ来たスパイ ASINが有効ではありません。 題名:ワニの町へ来たスパイ 原題:Louidiana Longshot (2012) 著者:ジャナ・デリオン Jana Deleon 訳者:島村浩子 発行:創元推理文庫 2017.12.15 初版 価格:¥940  CIAの女スパイの一人称で描かれた少しブラックなユーモアで綴られたミステリー。明るく、タフで、ディープ・サウスのワニの町に展開するテンポの良い冒険譚が何とも味わい深いシリーズ開幕作である。  ヒロインのフォーチュンは、CIA腕利きスパイとしての職務中、中東の砂漠で、ついある大物を殺してしまったことから、敵組織のボスから手配状を出されてしまう。直ちに帰国を命じられたフォーチュンは上司の計らいでルイジアナの湿地帯にある小さな集落のようなところに身をひそめることになる。  亡くなった老女...
  • 白紙委任状 デルーカの事件簿 I
    白紙委任状 デルーカの事件簿 I 題名:白紙委任状 デルーカの事件簿 I 原題:Carta Bianca (1990) 作者:カルロ・ルカレッリ Carlo Lucarelli 訳者:菅谷 誠 発行:柏櫓舎 2005.1.26 初版 価格:\1,429  札幌で翻訳家・山本光伸氏が起こした小さな出版社・柏櫓舎の存在意義の一つに、新人翻訳家を掘り出すというものがある。本書・菅谷誠氏は柏櫓舎によりデビューした翻訳者であり、本書に先立って数冊の訳書を同社より出版済み。経済学部卒のカメラマンという経歴で、翻訳家としては遅咲きではあるが、イタリアン・ミステリという独自の視点でこのような翻訳が日本に紹介される機会は、このような版元がいて、このような訳者がいなければ存在しないのだと思うと、それなりに貴重である。  本書はデルーカという捜査官の三部作。何と時代背景が...
  • 活動寫眞の女
    活動寫眞の女 題名:活動寫眞の女 作者:浅田次郎 発行:双葉社 1997.7.25 初版 価格:\1,700  ページを開いた途端に現実からがたりと乖離できるような、こうした読書感覚を覚えさせてくれる本が、いったい今の世の中にどれくらいあるだろう。ぼくの方の感性が鈍り始めているかもしれないことをこの際差し引いても、今の書店には、ぼくが青春時代よく足を運んだ図書館や書店のような、本たちの向こう側にある奥行きというようなものが、あまり深くは感じられなくなっているような気がする。  かつて国内産ミステリーというものがそんなに多くなかった時期、ぼくらは数は少ないながら、もっと多くの浪漫性のある作品に触れていたような気がする。我々の日常生活とはかなり隔たった時空の物語たちであるゆえに、我々の日常にまで深く深く侵入してくるような何ものかを孕んでいた物語たち...
  • セメントの女
    セメントの女 題名:セメントの女 原題:The Lady In Cement (1961) 作者:マーヴィン・アルバート Marvin Albert 訳者:横山啓明 発行:ハヤカワ・ミステリ 2004.04.15 初版 価格:\1,000  博打でまきあげたクルーザーに暮らし、ダイビングを楽しむ私立探偵トニー・ローム。舞台はマイアミ、きちんと事務所も用意しているのに、とてもラフな遊び人探偵。そんな陽気な明るい雰囲気のシリーズは、現代でも通用しそうなくらい、テンポのいい軽ハードボイルドの傑作だった。  事務所で大人しくしているタイプではなく、本当にじっとしていられないたちの探偵だということがわかる。負けず嫌いで、へそ曲がりであり、へらず口を叩くよりも手が出ているタイプなのだろう。若いし、体力もあり、よく走り、よく泳ぎ、よく殴られる。満身創痍の体を引きず...
  • オーケ通り デルーカの事件簿 III
    オーケ通り デルーカの事件簿 III 題名:オーケ通り デルーカの事件簿 III 原題:Via Delle Oche (1996) 作者:カルロ・ルカレッリ Carlo Lucarelli 訳者:菅谷 誠 発行:柏櫓舎 2005.5.30 初刷 価格:\1,524  『白紙委任状』『混濁の夏』に続くシリーズ第3作。本シリーズに接するとき、いつも思うのは、フィリップ・カーの三部作『偽りの街』『砕かれた夜』『ベルリン・レクイエム』の三部作。あるいはアゴタ・クリストフの『悪道日記』『ふたりの証拠』『第三の嘘』の三部作。  それぞれの舞台となる国家は違えども、同じく第二次世界大戦を軸に回転する、ヨーロッパの個人史がドラマを築き上げ、その中で厳然と存在する謎解きへの引力が読者を、未知の状況へと引き寄せてゆく。  言わば、書き手にとっては現代史の検証であ...
  • リオ
    リオ 題名:リオ 作者:今野敏 発行:幻冬社 1996.7.4 初版 定価:¥1,600  『イコン』と同じ感想である。『イコン』がパソコン・ネットワーカー、『リオ』がコギャルを主役に持ってきている違いこそあれ、ブーム本の域を出ていない気がするのは、やはり読みやすさ、そこそこの面白さがあるゆえの副作用とも言うべきか。  ぼくとしてはこの作家、格闘技とかサバイバルとかを前面に出したシリーズのほうが、なぜか好きである。逆にこういうブーム本のほうがハードカバーになっているのが出版社の安易な姿勢を感じさせて逆にどうもいやだ。ウチワ誉めしている評論家の、世間に少しも通用しないような帯のセールス・トークなど、出版界の饐えが匂ってさらに虫酸が走る。   世のそういう動向からもう一度離れて、今野敏しか持ち得ないものを強力な武器にして、彼の本来面白いと言ってい...
  • ハートに火をつけないで
    ハートに火をつけないで 題名:ハートに火をつけないで 原題:Swamp Team 3 (2014) 著者:ジャナ・デリオン Jana Deleon 訳者:島村浩子 発行:創元推理文庫 2021.9.30 初版 価格:¥1,100  二年近くご無沙汰していたワニ町シリーズ。それにしても無事続編が翻訳されて嬉しいのなんのって。何しろ、シリーズものの版権は、出版社が版元と三作ずつ契約し、売れ行きを窺って、次の三作の契約判断をするらしい。その判断は、もちろん作品の売れ行きにかかっているらしいのだ。時には、他の出版社が続編からの版権を獲得したりする。四作目から版元が変わるシリーズが見受けられるのはそういう裏事情があるからなのだ。  マイケル・コナリーのハリー・ボッシュも、ラーシュ・ケプレルのヨーナ・リンナも、アンデシュ・ルースルンド&ステファン・トゥンベリのピ...
  • ブルー・ドレスの女
    ブルー・ドレスの女 ブルー・ドレスの女 (ハヤカワ・ミステリ文庫) ブルー・ドレスの女 (ハヤカワ ポケット ミステリ) 題名:ブルー・ドレスの女 原題:DAVIL IN A BLUE DRESS (1990) 作者:WALTER MOSLEY 訳者:坂本憲一 発行:ハヤカワ・ミステリ 1993.9.30 初版 価格:\950(本体\922)  原題は『ブルー・ドレスの悪魔』なんだけど、まあそれほど悪女ものという印象はなかった。むしろ 1948 年という、ぼくの生まれる以前の、いわゆる大戦後に時代を設定した点が珍しい。また作者のモズレイは自分と同じ黒人を主人公に据えているばかりか、舞台となるほとんどの場所が、プロレタリアートの黒人街であるから、それなりの特殊な凄味というものが全編を覆っていることになる。  CWA、 PWA 処女長編作...
  • スカーペッタ 核心
    スカーペッタ 核心 題名:スカーペッタ 核心 上/下 原題:The Scarpetta Factor (2008) 作者:パトリシア・コーンウェル Patricia Cornwell 訳者:池田真紀子 発行:講談社文庫 2010.12.15 初版 価格:各\857  このシリーズに4年ほどの不在期間を置いてしまった。そのおかげでシリーズというものが呼び起こすインタレスティングの多くを自ら損なわせてしまったように思う。シリーズの際立った特徴や、独特の、陰性の空気感などは忘れ難いものの、細かい心理描写に重きを置くこの小説シリーズのデリケートな側面については、過去の流れを取り戻すのに時間がかかった。ただでさえ手こずることの多い精緻な作品シリーズであるのに、自ら、検屍官ケイ・スカーペッタ宇宙への浸透の難しさを増やしてしまった。シリーズは5作ほどこの後に行列...
  • リンカーン弁護士
    リンカーン弁護士 題名:リンカーン弁護士 上/下 原題:Lincorn Lawyer(2005) 作者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2009.6.12 初刷 価格:各\790  リーガル・サスペンスは法曹界に身を置く人により副業として書かれ、それが成功に結び付けば作家業として転身、というパターンが多いように思う。だからこそ、業界に身を置かぬが既にプロである犯罪小説作家が、このジャンルに手を付けるというのは、対本職という意味でのハンディを負っており、それゆえに相応の決意と準備とが必要とされるものだと思う。  アメリカン・クライム・ノヴェルの現役頂点に立つ作家と言って過言ではないコナリーでさえ、本書の執筆に5年を費やしたそうである(ボッシュものだと通常執筆にかける時間は2年)。法曹界もののス...
  • エドワード・バンカー
    エドワード・バンカー Edward Bunker 長編小説 ストレートタイム 1973 沢川 進訳 アニマル・ファクトリー 1977 小林宏明訳 リトル・ボーイ・ブルー 1981 村井智之訳 ドッグ・イート・ドッグ 1996 黒原敏行訳 ノンフィクション エドワード・バンカー自伝 2000 池田真紀子訳
  • どこまでも食いついて
    どこまでも食いついて 題名:どこまでも食いついて 原題:Gator Bait (2014) 著者:ジャナ・デリオン Jana Deleon 訳者:島村浩子 発行:創元推理文庫 2022.10.7 初版 価格:¥1,100  「ワニ町」シリーズ4作目は、前作から一年ぶり。ワニの住む南部の田舎町に身を隠している凄腕女スパイのフォーチュンと、最強おばあちゃん二人のアシスト?によるずっこけ大活躍トリオに再会するとほっとするとともに豪快に笑いたくなる。そう、何と言っても多幸感満点のシリーズなのである。  しかし、本作は、フォーチュンとのラブラブ・モードがスタートした感のある保安官助手カーターが、何と湖で殺されかけるというピンチなシーンで始まる! フォーチュンが命がけで救いあげて、なお、カーターは作中のほとんどを病院のベッドで過ごすという、これまでの探偵団トリ...
  • ウエンカムイの爪
    ウエンカムイの爪 題名 ウエンカムイの爪 著者 熊谷達也 発行 集英社 1998.1.10 初版 価格 \1,400  小説すばる新人賞受賞作。  北海道渡島地方を舞台にしたヒグマの物語。語り手は、都会を逃げ出した雑誌カメラマンなのだが、実のところ自然の化身であるヒグマが主役であろう。  新人らしく、書きなれた感じがないのだが、主題が個人的に嬉しい。山、ヒグマ、北海道、自然……。  ぼくの場合、吉村昭『羆嵐』を読んで以来、世界三大獣害史に残る苫前六線沢の人食い羆に非常に取り憑かれた。『エゾヒグマ百科』を初め、この作者の文献リストにさえ出てこないヒグマの本を読み漁ったし、実際に苫前から被害の現場でも出かけた。もちろん北海道に移住してくる前、埼玉から出かけてきたのだ。  さらにさかのぼると、山のクラブをやっていた時代に北海道の...
  • 特捜部Q -檻の中の女-
    特捜部Q -檻の中の女- 題名:特捜部Q -檻の中の女- 原題:Kvinden I Buret (2008) 著者:ユッシ・エーズラ・オールスン Jussi Adler-Olsen 訳者:吉田奈保子訳 発行:ハヤカワ文庫HM 2013.02.25 2刷 2012.10.15 初刷 2011.6 初版 価格:\1,000  週刊ブック・レビューに参加していた中江有里が、児玉清『ひたすら面白い小説が読みたくて』の紹介をしている番組を、先週見た。紹介された本は児玉清の文庫解説を集めて編纂した本なのだが、中江有里は、本は解説から読むという。解説を読んで買ったり読んだりするかどうかを決めることは多い、と言っていた。ぼくも実は同じ傾向があり、決め打ちの作家は別として、書店で手にとった本の巻末解説などには必ずと言っていいほど眼をやり、それによって読む本を選択することは多い。...
  • オンブレ
    オンブレ 題名:オンブレ 原題:Hombre (1961) / Three Ten To Yuma (1953) 著者:エルモア・レナード Elmore Leonard 訳者:村上春樹 発行:新潮文庫 2018.02.01 初版 価格:\550-  正直、エルモア・レナードの良い読者ではないものの、数作品は読んでおり、それらのいずれをもぼくは気に入っている。老後の楽しみとして、彼の未読作品はとっておこうと思っている。いわゆる、信頼のおける名うての作家だ。  次に訳者のこと。村上春樹の小説はほぼすべて読んでいるけど、翻訳はほとんど手にしていない。唯一読んでいた村上翻訳は、もうだいぶ昔、1996年のことになるけれど、衝撃的で今も忘れることのできないマイケル・ギルモア著『心臓を貫かれて』という死刑囚の現実に迫ったノンフィクション作品である。なので、超有名な...
  • ファミリー・ポートレイト
    ファミリー・ポートレイト 題名:ファミリー・ポートレイト 作者:桜庭一樹 発行:講談社 2008.11.20 初版 価格:\1,700  出た! って、感じの、銃口桜庭ワールド。「重厚」って書こうと思ったところ誤変換してしまったのだが、むしろこのままでいいような……。  まさに読者に向けられた銃口を覗いているような作品……だから。  まずはこの1000枚の大作が書き下ろしであることが嬉しい。この本を出すために書いたのだという小説は、雑誌刊行の都度、途中発表を余儀なくされる長篇小説が多い中で、とても読者のために誠実であるように感じられるからだ。そしてこの手の集中力を要する作品は、作品そのものの創作過程のためにこのような書き下ろしという形態が最良である。  それゆえに生まれるアンバランスさ、作者の側の自由度というものが何よりも嬉しい。自...
  • 捜査官ポアンカレ 叫びのカオス
    捜査官ポアンカレ 叫びのカオス 題名:捜査官ポアンカレ 叫びのカオス 原題:All Cry Chaos (2013) 作者:レナード・ローゼン Leonard Rosen 訳者:田口俊樹 発行:ハヤカワ・ミステリ 2013.8.10 初版 価格:\1,900  小説を読むとは大なり小なり痛みを伴うものだ。もちろんどの小説もというわけではないだろうけれど、ミステリ読みのぼくにとっては、殺人や暴力が扱われることにより犠牲者の痛みを洞察せざるを得ない機会が少なくない。痛みを余儀なくされるという意味では、この作品ほど痛切な鋭さを持って読者に挑戦してくる小説は他に類がないような気がする。  インターポールの捜査官という主人公設定は珍しいのでないだろうか。アメリカ小説でありながら、独特のヨーロッパの深みを与えた世界を描き切っている作者の腕が見事である。捜査官ポ...
  • 判決破棄 リンカーン弁護士
    判決破棄 リンカーン弁護士 題名:判決破棄 リンカーン弁護士 上/下 原題:The Reversal (2010) 作者:マイクル・コナリー Michaeel Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2014.11.14 初版 価格:各\830  リンカーン弁護士も第三作目。一作目が時を経ず映画化されたことで、ミッキー・ハラーについては、売れっ子男優マシュー・マコノヒーの顔がイメージされるようになってしまった。ちなみに、ハリー・ボッシュの方は今春ようやくドラマ化が決定とのことで、映画には一本もなっていないのが不思議であるが、ぼくはボッシュの顔は最初からマイケル・ダグラスでイメージしている。ボッシュ第一作『ナイトホークス』の刊行が1992年だったから、おそらく1989年の映画『ブラック・レイン』あたりの印象がぼくの中でマッチしたのである。...
  • ミステリガール
    ミステリガール 題名:ミステリガール 原題:Mystery Girl (2013) 作者:デイヴィッド・ゴードン David Gordon 訳者:青木千鶴 発行:ハヤカワ・ミステリ 2013.6.15 初版 価格:\1,900  『二流小説家』はちなみに面白かったのか? とあなたはぼくに問われるかもしれない。でもぼくはあなたにきっと答えることができない。あるいはぼくはこう答えるかもしれない。ミステリとしてはどうかと思う。謎解き部分はあるけれどもそう秀逸な流れでページを繰る手が止まらないというスピード感覚があるわけでは全くない。むしろ忍耐を強いられると思うので、よほど本の好きな人、活字中毒者たちに対してしかぼくは正直なところ薦めたくないんだ。  『ミステリガール』はどうだったのか? とあなたはぼくに問われるかもしれない。ぼくはきっとこう答えるしかな...
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