wiki クライムウェイヴ(Sysop読書録 活字をめぐる冒険) 内検索 / 「ロマンティスト狂い咲き」で検索した結果

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  • ロマンティスト狂い咲き
    ロマンティスト狂い咲き 題名:ロマンティスト狂い咲き 作者:小川勝己 発行:ハヤカワ・ミステリワールド 2005.7.31 初版 価格:\1,500  『まどろむベイビー・キッス』あたりからノワールを意識し始めているように見える小川勝己。短編小説集『狗』『あなたまにあ』などで、その奇才ぶりを遺憾なく発揮し、現代そのものの狂気を描いてきたが、ついに本書ではノワールへの挑戦という形を明確に出してみせた。  あるいはそれは挑戦ではないのかもしれない。ノワールという分野に激しく憧れる作家・小川勝己の、本家ノワールへのオマージュであるのかもしれない。  ジェイムズ・M・ケイン『郵便配達夫は二度ベルを鳴らす』を基調とする使い古された設定を小川勝己流にアレンジしたのが本書である。悪女の囁き、亭主の殺害、破滅、といった、まるでノワールの定番をやってみる...
  • 小川勝己
    ...的倒錯― 2002 ロマンティスト狂い咲き 2005 イヴの夜 2006 この指とまれ GONBEN 2007 純情期 2008 短編集 ぼくらはみんな閉じている 2003 あなたまにあ 2004 狗 2004
  • ロマンス
    ロマンス ロマンス―87分署シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫) ロマンス―87分署シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 題名:ロマンス 原題:Romance (1995) 著者:エド・マクベイン Ed McBain 訳者:井上一夫 発行:ハヤカワ・ミステリ 1998.1.15 初版 価格:\1,200  87分署の恋愛シーンを一手に受け持つバート・クリング。彼がまた新たな恋をしながら、キャレラと組んで「ロマンス」という芝居に望もうとしている劇団内の殺人事件を追跡するというストーリー。  ここのところ現代的で陰惨で乾いた方向に傾斜しがちなシリーズだった。前回のデフマンにしても少し非情さが出てきて、かつてのゆとりのあるゲーム性みたいな部分が少し影をひそめているように見えた。<87分署>が時代を反映する警察捜査小説である以上、カルト教団や...
  • ジウ3
    ジウ III 新世界秩序[NWO] ジウ〈3〉新世界秩序 (C・NOVELS) 題名:ジウ III 新世界秩序[NWO] 作者:誉田哲也 発行:中央公論新社 C・NOVELS 2006.8.25 初版 価格:\1,000  通常であれば、これほど破天荒な物語をぼくは敬遠している。松岡圭祐の『千里眼』シリーズは三作くらい読んだ挙句、放り出した。使い捨てのアクション。刹那的なスリル。泡のように消え去る興味。分厚い本の骸だけが後に残り、それはCGを駆使したハリウッド映画鑑賞後の空しさにも似ていた。  この『ジウ』シリーズだって、ともすればその虚構の刹那的快楽の罠に陥りかねない。言ってしまえば巨大な法螺話の域を出ない寓話に過ぎない。どんどん膨らんでゆく陰謀のコミカルぶりを、どう料理し、現代という平和な戦場に大人たちの関心を呼び込んでみせるのか。そのあたりが、こうした...
  • パスカル・フロマン
    パスカル・フロマン Pascale Froment ノンフィクション ロベルト・スッコ 1991 仲条省平・仲条志穂訳
  • ロスト・アイデンティティ
    ロスト・アイデンティティ 題名:ロスト・アイデンティティ 原題:East Of Hounslow (2017) 著者:クラム・ラーマン Khurrum Rahman 訳者:能田優 発行:ハーパーBOOKS 2022.3.20 価格:¥1,300  イギリス在住の作者クラム・ラーマンはパキスタンはカラチ生まれ。一歳で英国移住、ロンドン育ちの現在はIT企業会社役員、という珍しい肩書の新人作家だ。本書は、作者お馴染みの、ロンドン西部の移民率が高い自治区にあるハウンズロウに育ったムスリムの青年たちの日常からスタートする。  主人公のジェイ・カシームは麻薬の売人だが、友人の一人は警察官、もう一人はテロリストキャンプにまで参加する民族主義者。再婚相手ができたばかりの母は冒頭からカタールに引っ越ししてしまい、父なし子のジェイは、初めての独り立ちを迎える。 ...
  • 凍える牙
    凍える牙 題名:凍える牙 作者:乃南アサ 発行:新潮ミステリー倶楽部 1996.4.20 初刷 価格:\1,800  主題は新らしめだけど、小説作法は古め……そんな印象で『旬の一冊』入りは却下してしまった。この作家初めて読む女流作家で、ルーキーの女性刑事が初老のベテラン刑事と組んで特殊な犯罪に挑むという筋立て。  女流作家だなあと思わせる部分が女性刑事が刑事らしくなく、すっごく背伸びして難事件に挑んでいること、またベテラン刑事とのちぐはぐな捜査ぶりなどなど。この辺好みの人にはかえって受ける素材であるのかもしれないが、どこかホームドラマじみた匂いを感じさせ、これだけの酷薄な事件でありながら、緊張感を感じさせないところが、どうもぼくには残念。  動物を使った犯罪と言えば、ポーの頃からの古い題材ながら、女主人公のバイクとのクライマックス...
  • ハンティング・タイム
    ハンティング・タイム 題名:ハンティング・タイム 原題:Hunting Time (2022) 著者:ジェフリー・ディーヴァー Jeffery Deaver 訳者:池田真紀子 発行:文春文庫 2023.9.30 初版 価格:¥2,800  ディーヴァーの主力シリーズのリンカーン・ライムが、全身麻痺で動けないヒーロー(現代版アームチェア・ディテクティヴ)であるのに対し、近年になって登場したコルター・ショウはひとところに落ち着くことのない動く探偵である。初期シリーズであるジョン・ペラムに似ているが、そちらはロケ・ハンターという職業で、本シリーズ同様、米国内のあちこちに活躍の舞台を移していた。作者としてはペラムの進化型として、コルター・ショウのようなひとところに定住しない放浪型主人公を新たに生み出したのではないだろうか。  当初三部完結と言われた本シリーズ...
  • 墓標なき墓場  高城 高全集 1
    墓標なき墓場  高城 高全集 1 題名:墓標なき墓場  高城 高全集 1 作者:高城 高 発行:創元推理文庫 2008.02.29 初版 価格:\580  霧の街・釧路がハードボイルドの舞台として格好であった時代。太平洋炭鉱が海底から石炭を掘削し、サンマ漁で港湾は賑わい、街のいくつもの映画館で裕次郎がかかり、繁華街は現在の歌舞伎町のように賑わっていたという。  夜の闇の中で船員同士の喧嘩がマキリによる殺傷事件に変わっても、日常茶飯のこととして警察もろくすっぽ調べもしなかったという。流れ者やヤクザ者が巷に溢れ返っていた昭和33年という時代。  著者は北海道新聞釧路支局に勤務しており、本書の主人公は網走支局に追われた支局長・江口が、釧路での連続殺人事件を探りに、3年前の事件を掘り起こそうと旅に出るところから始まる。  根室や花崎といった...
  • 雪よ 荒野よ
    雪よ 荒野よ 題名:雪よ 荒野よ 作者:佐々木譲 発行:集英社 1994.10.30 初版 価格:\1,800(本体\1,748)  佐々木譲という人は実にいろいろな種類の作品ジャンルに果敢に挑んで、飽くなき面白さを追求しようと言ういい姿勢の作家だと常々思っているが、この本で試みられていることもその一つ。すなわち『五稜郭残党伝』の流れを汲む日本版西部劇路線だ。  日本版西部劇と言うと小林旭に代表されるような日活無国籍アクション映画路線などを思い出さざるを得ないけど、小説の世界、そして今この時点で試みるには、当時の荒唐無稽なのんびりした雰囲気は全くそぐわないだろう。そういう意味では、西部開拓史の世界を蝦夷開拓史の中に求めてリアリズムからも極端に離脱しない世界を描くという本書のような試みは、ぼくはやはりいい姿勢ではないのかと思う。ましてや日本で本当の意味...
  • 容疑者Xの献身
    容疑者Xの献身 題名:容疑者Xの献身 作者:東野圭吾 発行:文藝春秋 2005.8.30 初版 2005.9.15 2版 価格:\1,600  関口苑生氏の書評を北海道新聞にて読むことがなければ、この作品の存在に気づかず通り過ぎていたろう。本書の帯には「作家生活20年・記念碑的傑作」の文字があり、さらに「運命の数式。命がけの純愛が生んだ犯罪」とある。  純愛小説というには、無骨で地味な登場人物ばかりが絡む、冴えない舞台の、東京下町景色に消え行きそうな、いかにも小さな話ではあるが、先の書評家の絶賛の通り、本書の最後の一行まで凝縮される、主人公の思いの深さには、胸を突かれる思いがする。  読み終えた瞬間に思い出したのが、ジャン・ルイ・トランテニャンとロミー・シュナイダー主演の純愛映画『離愁』(ジョルジュ・シムノン原作)のラストシーンだ。心を引き...
  • 最も遠い銀河
    最も遠い銀河 題名:最も遠い銀河 上/下 作者:白川 道 発行:幻冬舎 2009.07.07 初版 価格:各\1,700  ある男の人生を大河ロマンのように叙述する。その男が、地獄も栄光も経験する宿命のもとに生まれ、その生き様が波乱万丈であり、その上、友情と恋愛のドラマをも抱え込んだ大変魅力的な主人公である場合に。  いまどき、古臭いタイプの小説であるのだと思う。演歌のように、流行とは縁がない。それでいて読めば忘れ難い。そういう小説を、この作家はひたすら書き続けている。意図してかどうかはわからない。きっとロマンを描くという一念で、小説を書き進めているだけに違いない。  それにしても人間観察眼の鋭さは、この作者が人生の途上において作家への転身を図った人とはとても思えないほどである。株とバブルで頂点を知り、失墜を知った体験を書いたデビュー作『流...
  • 武士道セブンティーン
    武士道セブンティーン 題名:武士道セブンティーン 作者:誉田哲也 発行:文芸春秋 2008.07.10 初版 価格:\1,476  『武士道シックスティーン』で再発見することになった著者の意外な才能が、またその続編となる本書で思い切り開花してしまった。  この作家がなぜ女性主人公を描くのか、ぼくはよくわからない。女流作家は大抵の場合女性を主人公に小説を書き、男性作家はほとんどの場合、やはり男性主人公を軸に小説を書く。花村萬月は、『ゴッドブレイス物語』でいきなり女性主人公の一人称小説でデビューしたのだけれど、最近はやはり男小説が多い。  女流作家も最近は男性を主人公にすることが多いけれど、やはり常にどこか限界を感じる。女は女を描いた方が、ぼくにはピンと来る気がする。作家の性別と読者の性別とのコンビネーションによって、少しずつフィット感というもの...
  • ハ行作家
    ハ行作家 T・ジェファーソン・パーカー J・D・バーカー ロバート・B・パーカー アラン・パークス ジョン・ハート ルー・バーニー W・R・バーネット ジェーン・ハーパー ジョーダン・ハーパー ブラッドリー・ハーパー マイクル・パーマー パトリシア・ハイスミス イヴリン・パイパー クリス・パヴォーネ ダシール・ハメット チャック・パラニューク トマス・ハリス ビル・S・バリンジャー ケント・ハリントン エドワード・バンカー エヴァン・ハンター スティーヴン・ハンター ジェン・バンブリィ ジャック・ヒギンズ ドロレス・ヒッチェンズ ドロシイ・B・ヒューズ デイヴィッド・ピース フランシス・ビーディング サムエル・ビョルク コリーン・フーヴァー アラン・ファースト テレンス・ファハティ マイケル・フィーゲル セバスチャン・フィツェック マリオ・プーヅォ ダン・フェスパーマン ロバート・フェリ...
  • ハンナ・ティンティ Hannah Tinti
    ハンナ・ティンティ Hannah Tinti 長編 父を撃った12の銃弾 2018 松本剛史
  • クライ・マッチョ
    クライ・マッチョ 題名:クライ・マッチョ 原題:Cry Macho (1975) 著者:N.リチャード・ナッシュ N.Richard Nash 訳者:古賀紅美 発行:扶桑社ミステリー 2022.1.14 初版 価格:¥1,300  クリント・イーストウッドという生涯の憧れだった映画俳優が、91歳になるというのに、新作映画で主演も監督も請け負っていることにまず驚愕した。原作ノヴェルとして新たに翻訳され発掘されたこの作品は1975年の作品だ。ぼくがに三日に一回というペース(深夜の5本立てなども含む)で映画館という映画館のスクリーンに噛り付いていたアメリカン・ニューシネマの時代に映画人の誰からも振り向かれることなく、映画化もされなかった本作が、今、この時期に翻訳されるとは! まさにイーストウッド映画のお裾分けのように、映画を未だ観ていないぼくが原作に出会えた。しか...
  • ベスト・アメリカン・ミステリ アイデンティティ・クラブ
    ベスト・アメリカン・ミステリ アイデンティティ・クラブ 題名 ベスト・アメリカン・ミステリ アイデンティティ・クラブ 原題:The Best American Mystery Stories 2005(2005) 作者:ジョイス・キャロル・オーツ&オットー・ペンズラー編 Joyce Carol Oates, Otto Penzler 訳者:横山啓明、他 発行:ハヤカワ・ミステリ 2006.12.15 初版 価格:\1,900  毎年、年鑑のように発行される、その都市のアメリカ短篇小説ベスト20選である。書店主、書評家、編集人、アンソロジストなど各種の顔を持つオットー・ペンズラーが、時の作家と組んで選び抜いた自信溢れる20作。アンソロジストというのは日本ではあまり耳にしない職業かもしれないが、多くを読み、テーマ別にアンソロジーを編む人のことだから、見えない部...
  • エイドリアン・マッキンティ  Adian McKinty
    エイドリアン・マッキンティ  Adian McKinty ショーン・ダフィ・シリーズ コールド・コールド・グラウンド 武藤陽生訳 2012 サイレンズ・イン・ザ・ストリート 2013 武藤陽生訳 アイル・ビー・ゴーン 2014 武藤陽生訳 ガン・ストリート・ガール 2015 武藤陽生訳 レイン・ドッグズ 2015 武藤陽生訳 ポリス・アット・ザ・ステーション 2017 武藤陽生訳 長編小説 ザ・チェーン 連鎖誘拐 2019 鈴木恵訳
  • 白の海へ
    白の海へ 題名:白の海へ 原題:To The White Sea (1993) 作者:James Dickey 訳者:高山恵 発行:アーティストハウス 2000.10.31 初版 価格:\1,000  ジェイムズ・ディッキーという名前をぼくは知らなかった。しかしその名前を、映画関連データベース・サイトで検索すると、ジョン・ブアマン監督、ジョン・ボイト&バート・レイノルズ主演『脱出』の原作者であり、かつ脚本家でもあるということがわかる。ネイチャー派の作家でありながら、タフなアクションを描く、しかしそれでいてどこまでも純文学系の作家、と言ったところだろうか。  本書は、けっこう凄まじい。  東京大空襲のさなか、撃墜された機銃手が、ひたすら北海道を目差して本州を北へと逃走する物語なのである。なぜ北を目差すかと言うと、アラスカ育ちでハンティングを生...
  • チャールズ・ポーティス Charles Portis
    チャールズ・ポーティス Charles Portis トゥルー・グリット 漆原敦子訳 1968
  • 警部ヴィスティング 鍵穴
    警部ヴィスティング 鍵穴 題名:警部ヴィスティング 鍵穴 原題:Det Innerste Rommet (2018) 著者:ヨルン・リーエル・ホルスト Jorn Lier Horst 訳者:中谷友妃子 発行:小学館文庫 2021.3.10 初版 価格:¥1,000  『猟犬』『カタリーナ・コード』といい作品を連打しているのに、昨年のこの作品を見逃してしまっていた。今春、新作が出たのを機会に順番に読まねば、との反省読書。とりわけ前作から版元を変えて翻訳出版となった本シリーズは続けての未解決事件四部作である。『猟犬』からは、ヴィスティングの娘リーネの立ち位置、職業、家族環境等が変わっているので、四部作まとめて邦訳とは小学館さん、グッドジョブ!   また『刑事ヴィスティング』(ドラマタイトルは警部ではない)の旧作二作(『猟犬』含む)を取りまとめたドラマ・シ...
  • ダリオ・コッレンティ Dario Correnti
    ダリオ・コッレンティ Dario Correnti マルコ&イレリア・シリーズ 血の郷愁 2017 安野亜矢子訳
  • 気狂いピエロ
    気狂いピエロ 題名:気狂いピエロ 原題:Obsesion (1962) 著者:ライオネル・ホワイト Lionel White 訳者:矢口誠 発行:新潮文庫 2022.5.1 初版 価格:¥630  ファム・ファタール(運命の女)と言うには、あまりに少女過ぎるが、本質的には奔放な魅力で男たちを操るエゴイストなヒロイン。彼女に対する原題通りのObsession(妄執・執着)を抱えて、破滅への道をまっしぐらに進む主人公を、かの映画作品では、ジャン・ポール・ベルモンドが演じた。30代。酔いどれ。性と悪の暴走まっしぐらの、青春と言うには幼すぎたり遅すぎたりする女と男の、ホンキートンクな愛の道行き。  罪を恐れず暗黒界の大物までをも翻弄しようとする怖さ知らずの自由なヒロインと、大人としての人生をしくじり破天荒な道を辿ろうとしている語り手の主人公。この二人があるこ...
  • 帰らざる荒野
    帰らざる荒野 帰らざる荒野 (集英社文庫) 帰らざる荒野 題名:帰らざる荒野 作者:佐々木 譲 発行:集英社 2003.04.30 初版 価格:\1,500  すっかりこの作家の書く一つのジャンルとして定着した観のある北海道開拓ウェスタン。五稜郭戦争に端を発して、敗走した侍のその後から始まり、昨年は怪傑黒頭巾伝説に新解釈を持ち込んでの、蝦夷を舞台にした時代劇ヒーローまで創り上げた。  本書は、より開拓史に根ざそうという意図があったものか、五稜郭戦争から明治大正にかけての三代に渡る牧場主一家の物語を、年代記風にではなく、連作短編活劇という形で編み合わせた一冊である。  馬を使った商売を生業として函館から徐々に蝦夷の奥地へと移動してゆく牧場主の次男。旅は当時馬によるものが多く、鉄道も一部開通する。砂金取りや、流れ者が、あまり機能しているとは...
  • 夢は荒地を
    夢は荒れ地を 夢は荒れ地を (文春文庫) 夢は荒れ地を 題名:夢は荒れ地を 作者:船戸与一 発行:文芸春秋 2003.06.15 初版 価格:\1,905  船戸版『地獄の黙示録』カンボジア・バージョン。かつての『キリング・フィールド』は全く清算を済ませていなかった。梁石日の書いた『闇の子どもたち』が、アジアの幼児売買の実体だとすれば、その構造悪に迫って、そこに戦いの芽を産みつけるような物語を切り拓くのが船戸の方法だ。梁石日には梁石日の凄味があり、船戸には船戸のロマン溢れるスケール感に満ちた世界がある。  ここ最近の本のなかでも圧倒的な分厚さを誇るこの一冊。カンボジアの今と、地雷の上に生きる国民、そして国際ボランティアたちのその後。すべてが今の時代では少し報道素材としては古臭いものであるだけに、船戸はその影の部分にいっそう厳格な視線を注いでゆく。<カンボ...
  • セバスチアン・ジャプリゾ
    セバスチアン・ジャプリゾ Sèbastien Japrisot / ジャン=バティスト・ロッシ Jean Baptiste Rossi 長編小説 寝台車の殺人者 1962 シンデレラの罠 1962 新車の中の女 1966 平岡 敦訳 殺意の夏 1977 長い日曜日 1991 田部 武光訳 ジャン=バティスト・ロッシ名義 不幸な出発 1950
  • 罪の壁
    罪の壁 題名:罪の壁 原題:The Little Walls (1955) 著者:ウィンストン・グレアム Winston Graham 訳者:三角和代 発行:新潮文庫 2023.1.1 初版3刷 価格:¥800  魅力的で香るような文体。ぼくの生まれる一年前に出版された古い小説。それでいて本邦発邦訳。しかし、決して古臭くて読みにくいというような小説ではない。  確かに携帯電話もパソコンも人工衛星もない。情報入手や相互連絡の手段は著しく限られ、作中では電報が多用されている。しかし、人間の罪と犯罪は、どの時代も変わらない。不穏な黒い勢力も、彼らに牛耳られた警察組織も。人々の愛情も、憎悪も。欲望も、貧富の差も。  アムステルダムの飾り窓の女。運河に落ちて死んだ兄の事件。ナポリ。アマルフィ。セレブたちのパーティ。青の洞窟。ファム・ファタール。大戦の影...
  • サディスティック・キラー
    サディスティック・キラー サディスティック・キラー (新潮文庫) 題名:サディスティック・キラー 原題:RULES OF PREY ,1989 作者:JOHN SANDFORD 訳者:山田久美子 発行:新潮文庫 価格:\680(本体\660)  この本は、連続殺人魔と個性的刑事との対決小説。お互いを意識し合いながら、いかに相手の上をゆくかという知略の攻防が魅力的な犯罪捜査小説である。新潮文庫は先月の『音の手がかり』といい、本書といい、食傷ぎみのサイコ・スリラーものにどうだと言わんばかりに、いい意味での挑戦をしてくれている。そして今月もこの挑戦は結果よし、見通しよしであり、ぼくの必読リストにはまたも新しくダヴェンポート・シリーズが加わってしまったのである。  これはもう主人公の魅力でぐいぐいと引っ張ってゆく、キャラクター牽引力の強い小説である。少しオタクっ...
  • ラ行作家
    ラ行作家 C・A・ラーマー C.A.Larmer クラム・ラーマン ロブ・ライアン ギャビン・ライアル ロバート・ラドラム イアン・ランキン ジョー・R・ランズデール ウィリアム・ランディ ジェイムズ・リーズナー アレックス・リーヴ リック・リオーダン ジャック・リッチー ジョン・リドリー デイヴィッド・リンジー ジェフ・リンジー アンデシュ・ルースルンド カルロ・ルカレッリ ピエール・ルメートル べン・レーダー ドロレス・レドンド エルモア・レナード デニス・レヘイン(ルヘイン) ローリー・ロイ アッティカ・ロック ジャン=バティスト・ロッシ レナード・ローゼン デイヴィッド・ローン マイケル・ロボサム J・D・ロブ
  • クラム・ラーマン Khurrum Rahman
    クラム・ラーマン Khurrum Rahman 長編小説 ロスト・アイデンティティ 2017 能田優 テロリストとは呼ばせない 2018 能田優
  • 警部ヴィスティング 悪意
    警部ヴィスティング 悪意 題名:警部ヴィスティング 悪意 原題:Illvilje (2019) 著者:ヨルン・リーエル・ホルスト Jorn Lier Horst 訳者:吉田薫 発行:小学館文庫 2022.3.9 初版 価格:¥1,000  本書は、連続少女強姦殺人の凶悪犯の逃走という、まるで大団円のようなシーンで最初の100ページが費やされる。最初から手に汗握る設定である。凶悪犯に付き添い、割りを食う役が、我らが主人公ヴィスティングであり、撮影役を請け負うフリーランスの記者であり娘でもあるリーネが、共に冒頭の一大アクションに巻き込まれるという仕掛けである。  何者かにより、予め計画されたこの逃走劇には、スタン・トルネード弾までが使用され、複数の警察官の重症者も出る。責任問題と事件の収束と、どちらも双肩に背負うことになったヴィスティングは、世間の耳目を...
  • 警部ヴィスティング 疑念
    警部ヴィスティング 悪意 題名:警部ヴィスティング 疑念 原題:Sak 1569 (2021) 著者:ヨルン・リーエル・ホルスト Jorn Lier Horst 訳者:中谷友妃子 発行:小学館文庫 2023.3.12 初版 価格:¥1,080  前作はこのシリーズにしては、ダイナミックなアクションでスタートする動的な物語であったが、本書は静かな世界の中で終始する物語との印象が強い。本来、この作者はこうした静かな作品が得意なのではないか。文章の洗練に洗われるが如き心地の中で、美しい文章に魅かれるように読んでゆく小説。そう思える。  その大きな理由が、ヴィスティングが休暇中である中で進む物語だから、なのかもしれない。これはコールドケース四部作の最終作品であるそうである。ハヤカワ・ミステリ『猟犬』でこの作者とこの主人公に引き寄せられてしまったのをきっかけに...
  • 夜に生きる
    夜に生きる 題名:夜に生きる 原題:Live By Night (2012) 作者:デニス・ルヘイン Dennis Lehane 訳者:加賀山卓朗 発行:ハヤカワ・ミステリ 2013.03.10 初版 価格:\1,800  例えば『ミスティック・リバー』、『シャッター・アイランド』、そして本書と、時代に沿ってこの作家の代表作を読んでみて欲しい。あるいは、作者名を伏せて、この三作を誰かに読ませてもらいたい。この三作に、果たして共通項があるだろうか? 同じ作者の作品であると、誰もが目をつぶって当てることができるだろうか?   少なくとも、ぼくはできないだろう。上記のような覆面作家ごっこをさせられ、作家当てクイズを出された場合、ぼくはどの作家も違う作家だと答えてしまうような気がする。  『ミスティック・リバー』は、悲劇に向かう運命、人の抗えない定め...
  • ブライアン・フリーマントル Brian Freemantle
    czzzzz*ブライアン・フリーマントル Brian Freemantle チャーリー・マフィン・シリーズ 消されかけた男 1977 稲葉明雄訳 再び消されかけた男 1978 稲葉明雄訳 呼び出された男 1979 稲葉明雄訳 罠にかけられた男 1980 稲葉明雄訳 追いつめられた男 1981 稲葉明雄訳 亡命者はモスクワをめざす 1985 稲葉明雄訳 暗殺者を愛した女 1987 稲葉明雄訳 狙撃 1989 稲葉明雄訳 報復 1993 稲葉明雄訳 流出 1996 稲葉明雄訳 待たれていた男 2000 稲葉明雄訳 城壁に手をかけた男 2001 稲葉明雄訳 片腕をなくした男 2009 戸田裕之訳 顔をなくした男 2012 戸田裕之訳 カウリー&ダニーロフ・シリーズ 猟鬼 1993 松本剛史訳 英雄 1994 松本剛史訳 爆魔 2002 松本剛史訳 プロファイリング・シリーズ 屍泥...
  • ストーン・シティ
    ストーン・シティ 題名:ストーン・シティ (上・下) 原題:Stone City (1989) 作者:ミッチェル・スミス Mitchell Smith 訳者:東江一紀 発行:新潮文庫 1993.8.25 初版 価格:上/\560(本体\544) 下/\600(本体\583)  全編、巨大な重警備刑務所を舞台にしている、っていうだけで何となく飛びつきたくなる本だった。何とまあ、こんなところに大学教授が抛り込まれていて、彼が刑務所内の連続殺人を捜査する羽目になる、というまあ途方もないエンターテインメントなのである。  アメリカの刑務所というのが、現在どんなものなのかは知らない。サンフランシスコ・ベイに浮かぶアルカトラズやサンクエンティンはそれぞれ『アルカトラズの脱出』『大脱獄』などで囓ったことはあるけれど、悪名高い『パピヨン』のフランス領悪魔島と同...
  • ギャングスタードライブ
    ギャングスタードライブ 題名 ギャングスタードライブ 作者 戸梶圭太 発行 幻冬舎 2000.5.10 初版 価格 \1500  戸梶圭太が『レイミ』を書いたことで一瞬ホラー路線への転向を図ったのかと危ぶまれたのが、つい最近、4月のこと。ホラー路線への転向が悪いというのではなく、初のホラー『レイミ』が脱線に過ぎたのだ。ホラーやSFといった現実からの脱線が容易なジャンルでは、ただでさえ破天荒で脱線の得意なこの作家の面白み逆に生きてこないという気がしていたからだ。  だからこそ再び犯罪ものに戻ってくれたこと、正直かなりほっとしている。ましてや『溺れる魚』に続いてまたも誘拐テーマ。いいじゃないですか。  簡単にこの本を表現すると、ドライブ感溢れる理屈抜きのB級アクション、とでも言ったところか。ぼくはこういうのは割りと好きなほうなのである。 ...
  • 燃える地の果てに
    燃える地の果てに [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 題名 燃える地の果てに 著者 逢坂 剛 発行 文藝春秋 1998.8.10 初版 価格 \2,095  冒険小説と言うジャンルは廃れているのだろうか? あるいはエンターテインメントと言うジャンルは? 結論から言うと...
  • 駿女
    駿女 駿女 題名:駿女 作者:佐々木 譲 発行:中央公論社 2005.11.25 初版 価格:\1,900  北海道を舞台に馬に乗って現れては虐政に苦しむ農民を助け、颯爽と去ってゆく黒頭巾の活躍を描いた『黒頭巾旋風録』を描いたそのペンが、今度はみちのくを舞台に、義経ご落胤伝説を描いてくれた。  『五稜郭残党伝』『北辰群盗録』に始まった佐々木譲の武勇小説系譜に関しては、そもそも太平洋戦争三部作まで遡るのかもしれない。零戦をヨーロッパまで飛ばそうという闇雲だがこれ以上ないほどロマンチックな小説『ベルリン飛行指令』などは、そもそも佐々木譲ならではの世界であるのかもしれない。  本書は、東北地方に流れる義経ご落胤伝説を材に、佐々木譲が途方もないロマンを描いたもの。義経を姦計で討たれた一党が、ご落胤を旗印に鎌倉・源頼朝を討つストーリーである。本書の主...
  • ピエテル・モリーン、ピエテル・ニィストレーム Peter Mohlin & Peter Nystom
    ピエテル・モリーン、ピエテル・ニィストレーム Peter Mohlin Peter Nystom 長編小説 死ぬまでにしたい3つのこと 2019 加賀山卓朗訳
  • カ行作家
    カ行作家 フィリップ・カー フィリップ・カーター サイモン・カーニック ドナート・カッリージ モンス・カッレントフト シーナ・カマル エリック・ガルシア デイ・キーン ヴィクター・ギシュラー バリー・ギフォード カート・キャノン ローリー・R・キング A・J・クィネル ケイト・クイン デイヴィッド・グーディス ダニヤ・クカフカ クリストファー・クック トマス・H・クック ジュリー・クラーク マイクル・クライトン ブレイク・クラウチ ジェイムズ・クラムリー ベン・クリード ジャン=クリストフ・グランジェ キミ・カニンガム・グラント ジョン・グリシャム アゴタ・クリストフ ウィリアム・ケント・クルーガー デイヴィッド・クレイ ロバート・クレイス マシュー・クワーク アリソン・ゲイリン ポール・ケイン ジャック・ケッチャム ダグラス・ケネディ ラーシュ・ケプレル ジョー・ゴアズ マイクル・コナ...
  • アナン、
    アナン、 題名:アナン、 上/下 作者:飯田譲治/梓 河人 発行:講談社文庫 2006.02.15 初版 価格:各\695  北上次郎という読書の鉄人が、本書の巻末解説を担当している。彼はこの作品を読むまでは、飯田譲治という人について全然知らなかったのだそうだ。映画やTVドラマに興味があればまだしも、『アナザヘヴン』、『ナイトヘッド』などで、飯田譲治がそれなりに印象的な映像作家であることを知ることはあっただろう。  また飯田譲治の原案を文章に焼き付けている梓河人という豊かな表現者に関しては、飯田譲治という人を介してしか、なかなか接することができない。梓氏は縁の下の力持ちでありながら、プロの仕事を確実にこなしている。映像化されたものと小説として書かれたものの感動の重さが同質である辺りにも、彼の役割の重要性は、充分に垣間見られる。  ホラーとも...
  • 年に一度、の二人
    年に一度、の二人 題名:年に一度、の二人 作者:永井するみ 発行:講談社 2007.03.06 初版 価格:\1,500  永井するみに関しては、これまでミステリー作品限定で読んでいるのだが、殺人とも犯罪とも一線を画したこうした恋愛小説も書いている、とは、読んでみるまでは想像の内でしかなかった。もっともこの作家のミステリーは、ほとんどが恋愛小説としても読み解けるし、他の女流ミステリ作家と並び、女性小説という側面も強いと思う。恋愛小説も女性小説も、等しく時代を映し、世相を表すという意味で、同義に近い部分を感じるのだが、永井するみという作家の場合、特にその傾向は強い。  本書は、三つの中短編連作作品集。雑誌発表のものを集めたというよくある形式ではなく、書き下ろしであるために、最初から一冊の本を目指して書かれたものであるというところに、作者の思いの強さ...
  • 警部ヴィスティング カタリーナ・コード
    警部ヴィスティング カタリーナ・コード 題名:警部ヴィスティング カタリーナ・コード 原題:Katharina-Koden (2017) 著者:ヨルン・リーエル・ホルスト Jorn Lier Horst 訳者:中谷友妃子訳 発行:小学館文庫 2020.2.11 初版 価格:¥1,000  人間に寄り添った小説、と巻末解説でミステリ評論家杉江松恋が書いている。ミステリ―国籍では珍しいノルウェイ。人口2万3千の地方都市ラルヴィクは著者の住む町でもある。ヒーローは初老の警部ヴィスティング警部。ジャーナリストの娘リーナは、組織的に対立に近い立場でありながら、作品の一方のヒロインでもある。  この地方都市にやって来たのは、出世頭であり冷血ぎみの手段を択ばぬ実績主義者の捜査官スティレル。鑑識技術の進歩により、27年前の未解決失踪事件の新たな証拠が出たという。ヴィ...
  • 翼をください
    翼をください 題名:翼をください 上/下 著者:原田マハ 発行:角川文庫 2009/9初版 2005/1/25 文庫化 2022/6/10 30刷   価格:各¥600  フランス語では小説をRomanと言う。壮大な夢を見させてくれるロマン。それは小説という表現形態が持つエネルギーのことであり、作者から読者へと伝わる広大な夢の世界でもあると思う。例え現実を基にした作品と言えども、作者がそれを夢やロマンという形で言葉にし、文章にするとき、完成されたものとしての小説=ロマンを読む人の心は、その作品に呼応した心の化学反応のようなものを少なからず見せるものなのだろう。  小説の持つ力をあなどるべきではない。そんなことを感じさせるのが最近ぼくが集中して向き合っている原田マハの作品である。この作家、実は彼女のどの作品からも、何故か心に共鳴する言葉たちが感じ取られ...
  • ダック・コール
    ダック・コール ダック・コール (上) (大活字本シリーズ) ダック・コール (下) (大活字本シリーズ) ダック・コール (ハヤカワ文庫JA) ダック・コール 題名:ダック・コール 作者:稲見一良 発行:早川書房 1991年2月15日 初版 定価:\1,400(本体1,359)  新しい作家を短編小説から読み始めるのはあまり良くないな。まずこれが第一の感想である。しかもこれは鳥を主題にした短編集、ある種のレイアウトも施され、一応統一性のある短編集。『ダック・コール』と題された作品はないし、ダック・コール(鴨笛)は登場しない。そして作者はレイ・ブラッドべリの『刺青の男』にヒントを得ての一冊の短編集としての構成を狙ったという。短編集はプロローグ、モノローグ、エピローグというひとつのエピソードに囲まれている。この囲い枠の役を果たすのは、現実に幻滅し迷い...
  • 終着駅
    終着駅 題名:終着駅 作者:白川 道 発行:新潮社 2004.10.20 初版 価格:\1,900  演歌の世界を思わせるウェット極まりない中年ヤクザの登場シーン。鼻につくほどの哀愁。一頃の日本映画を見ているかのようなペシミズムに、過去へのやるせない思い。やってきた罪の重さと、自己否定に引きずられたデカダンス。ヤクザ者のかっこよさとか薄っぺらさではなく、本来生きるべき世界から滑り落ちてしまった者としての、転落の履歴が悲しい。なるほど、白川道の世界が幕を開けてゆく。  ジョニー・デップが主役を演じた『デッドマン』というジャームッシュのカルトっぽい映画がある。もともと好きなニール・ヤングが全編ギターをかき鳴らしてくれるということで見てしまった映画ではある。その映画では、のっけからデップは撃たれてしまう。死に行く主人公の道行に費やされる全編の描写でこの映画...
  • ガン・ストリート・ガール
    ガン・ストリート・ガール 名:ガン・ストリート・ガール 原題:Gun Street Girl (2015) 著者:エイドリアン・マッキンティ Adian McKinty 訳者:武藤陽生 発行:ハヤカワ文庫HM 2020.10.25 初版 価格:¥1,300  今年初に出版された『ザ・チェーン 連鎖誘拐』には驚いた。この素晴らしい現代のハードボイルドのショーン・ダフィ・シリーズ三作を味わった後では、まるで異なる作家によって書かれたとしか思えないさサービス満点のハリウッド映画みたいなスーパー・エンターテインメントに度肝を抜かれた形だったのだ。それもそのはず、作品が売れず生活に困窮し、作家という仕事を放り出してウーパーの運転手に身を落とそうとしていたマッキンティが、新たに売れ、そして稼げるための創作に鞍替えして、完全イメチェンを図った上の作品が、当該作品であったのだ...
  • 捜査官ガラーノ
    捜査官ガラーノ 題名:捜査官ガラーノ 原題:At Risk (2006) 作者:パトリシア・コーンウェル Patricia Cornwell 訳者:相原真理子 発行:講談社文庫 2007.08.10 初版 価格:\619  パトリシア・コーンウェルの小説にしては薄い本だ、という第一印象。巻末の訳者解説によれば、ニューヨーク・タイムズ・マガジン(という雑誌がタイムズ日曜版別冊として存在するのだそうだ)への3ヶ月ほど短期連載されたそうだ。同じ文芸欄にはマイクル・コナリーや、スコット・トゥローなどの重鎮も名を連ねているとのことで、同じコンパクト・サイズの作品を、これらいずれも長編作家たちが珍しく書いているのだと思えば、どれも読んでみたい、という好奇心が疼く。  さて、どちらかと言えば、サブ・ストーリーとしてのホーム・ドラマやラブ・ロマンスにも力を入れ、...
  • 野蛮なやつら
    野蛮なやつら [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 題名:野蛮なやつら 原題:Savages (2010) 作者:ドン・ウィンズロウ Don Winslow 訳者:東江一紀 発行:角川文庫 2012.02.25 初版 価格:\952  あれ? と思う。また、マフィアの話か。若手主...
  • オロマップ
    オロマップ 題名:オロマップ 森林保護官 樋口孝也 作者:吉村龍一  発行:講談社 2014.06.19 初版 価格:\1,500  『焔火』『光る牙』の長編二作で、引き締まった文体と骨太なストーリーを見せつけてくれた新人作家吉村龍一は、自衛隊出身の硬派な作家として今後も期待される。山形県生まれということで東北や北海道の厳しい自然を好んで舞台にしてゆく傾向もあり、北方至高のぼくのような読者には嬉しい限り。  本書はその吉村龍一初の連作短編集となる。初のシリーズ・キャラクター造形でもあり、今後長編かも期待されるどっしりした筋構えの一冊だ。六編の長編から成るが、半分は『小説現代』掲載、半分は書き下ろしと、意欲作であることが見て取れる。  主人公の樋口孝也は日高の森林保護官として、先輩職員の山崎とふたり、この広大な山岳に起こる様々な事件と取り組んでゆ...
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