wiki クライムウェイヴ(Sysop読書録 活字をめぐる冒険) 内検索 / 「冬の獲物」で検索した結果

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  • 冬の獲物
    冬の獲物 題名:冬の獲物 原題:Winter Prey (1993) 作者:John Sandford 訳者:真崎義博 発行:早川書房 1996.6.15 初版 価格:\2,000  ルーカス・ダヴンポート・シリーズ最近では「獲物」シリーズとも呼ばれるこのシリーズだが、前作でひとまずベッカーとの闘いに終止符を打って田舎に引っ込んでみると、とりわけシリーズにする必要性を感じない。しかしせっかくシリーズ最高作との版元の謳い文句が刷り込まれた帯なのだから、それなりに味わってやろうじゃないのとのすが目でぼくは、自分の中でも最近とみに評価の下がりつつあるこのシリーズ第5作に取りかかった。  この作者の長所はシリーズとしての主人公にではなく、むしろ悪役にあると常々思ってきたのだが、この作品の悪役は例によってまたも強敵である。シリーズのサイコ・キラーはことごとく理...
  • 夜の獲物
    ...いささか飽きが来て『冬の獲物』以来三年ほどこのシリーズから遠ざかっていたが、新刊が文庫化され入手しやすくなったために、途切れていたシリーズをふたたび読み始めることにした。  この『夜の獲物』では、プロの夜盗でなおかつ異常殺人鬼という犯罪者が、異常なゆえの大胆さと無計画さと過激をきわめてゆく過程が凄まじい。それでもサイコというよりは、ハンティング小説と呼びたくなるのは、ディテールの追跡劇の面白さ、仕掛けの多さだと思う。犯人と警察の間の距離を読者だけが知っていることで劇的な緊張が盛り上がるのだが、こうした描写が連続するにつけ、全米ベストセラーというのも頷ける。  『冬の獲物』で最悪に近い結末を迎えたルーカスの復活編。ぜひ順番にお読みいただきたい傑作シリーズの一つである。 (2000.03.21)
  • 心の獲物
    心の獲物 題名:心の獲物 原題:Mind Prey (1994) 作者:John Sandford 訳者:真崎義博 発行:早川書房 1997.11.30 初版 価格:\2,200  シリーズ第7作。  サイコ犯罪者とルーカスを初めとするミネアポリス市警チームとのチェイス小説として、優れた面白さを持つ作品たちであるけれど、サイコ対市警というお定まりのパターンも何度も続けば、やっぱり飽きがくる。  そこで、シリーズの新機軸と言いたくなる本書。異常者ハンティング小説という以上に、異常者との対決小説という意味合いが強くなった。もともと第一作『サディスティック・キラー』の面白さはサイコ・キラーとルーカスとの知恵比べ合戦だったから、そのエッセンスをより追求したのが本作であるとも言える。  いつもの(?)連続猟奇殺人ではなく、今回の犯罪はなんと誘拐...
  • ジョン・サンドフォード
    ...992 真崎義博訳 冬の獲物 1993 真崎義博訳 夜の獲物 1994 真崎義博訳 心の獲物 1995 真崎義博訳 一瞬の死角 1996 真崎義博訳 餌食 1999 北沢あかね訳 他、長編 ハッカーの報酬 1989 山田久美子訳
  • 沈黙の獲物
    沈黙の獲物 題名:沈黙の獲物 原題:Silent Prey (1992) 作者:John Sandford 訳者:真崎義博 発行:早川書房 1996.1.15 初版 価格:\2,000  うーん、なんて読みにくいんだ。校正の悪さが目立つ版元も版元、翻訳も翻訳、でも一番悪いのは暗喩の多い説明不足の原文なのかもしれない。でもアメリカではベストセラーのシリーズらしいから、英語なりのリズムやユーモアがもっとネィティヴの人たちには感じられるのかもしれない。ただしぼくには感じられない。  さてここのところ低迷ぎみと言ってもいいのかもしれないこのシリーズだけど、相変わらず焦点のぼけた主人公であるなあという感覚。熱血刑事っていうんでもないし、モラルがあるっていうんでもなく、そのくせ感情を抑えられるほど人間ができてもいないばかりか、秘密なんてないとばかりにねんごろにな...
  • 神の獲物
    神の獲物 題名:神の獲物 原題:Trophy Hunt (2004) 作者:C・J・ボックス C.J.Box 訳者:野口百合子 発行:講談社文庫 2008.03.14 初版 価格:\819  ワイオミングの高地を舞台にした猟区管理官ジョー・ピケットのシリーズ最新訳である。都会派ハードボイルの多いアメリカ小説の中で、ひときわ異彩を放ちながら、しかも人気シリーズとして定着していること自体が、ひとつのエポックである。ハードボイルドの系譜を砂漠ではなく、山林に持ち込み、なお作品として評価されていること自体が、ある種の意味のある文芸史の流れと言えよう。  作者の経歴が既に異色である。もちろんワイオミング州に生まれ育つ。牧場労働者、測量技師、フィッシング・ガイド、ミニコミ誌編集者、といった、ド田舎に生きるために選びようのない職業を転々とし、ようやく水を得た魚の...
  • 獲物
    獲物 獲物 (Mysterious press) 題名:獲物 原題:Voodoo, LTD. (1992) 作者:Ross Thomas 訳者:菊池よしみ 発行:早川書房 1995.8.31 初版 価格:\1,800  二冊続けて読むだけで贅沢さを感じさせてくれる登場人物たちのこのシリーズ。『大博奕』から三作続けて読めるような人は、本当に最高の読書的幸福感に浸れるのだろうなあと思うことしきりである。  前作を引き継いだ部分のあるストーリーで物語は始まる。世界のあちこちにいる五人がウェストコーストに結集するまでの話にはにやりと笑いたくなるような懐かしさがいっぱい。ウーとデュラントの怪しげなウーデュー有限会社に「ブードゥー有限会社はここですか?」と訪ねてくる依頼人。こんなものを原題に使ってしまうロス・トーマスのおかしさが、まず、ぼくのようなファンにはたまらん...
  • C・J・ボックス
    C・J・ボックス C.J.Box 森林管理官ジョー・ビケット・シリーズ 沈黙の森 2001 野口百合子訳 逃亡者の峡谷  2002 野口百合子訳 凍れる森 2003 野口百合子訳 神の獲物 2004 野口百合子訳 震える山 2005 野口百合子訳 裁きの曠野 2006 野口百合子訳 フリーファイア 2007 野口百合子訳 復讐のトレイル 2008 野口百合子訳 ゼロ以下の死 2009 野口百合子訳 狼の領域 2010 野口百合子訳 冷酷な丘 2011 野口百合子訳 鷹の王 2012 野口百合子訳 発火点 2013 野口百合子訳 越境者 2014 野口百合子訳 嵐の地平 2015 野口百合子訳 熱砂の果て 2016 野口百合子訳 長篇小説 ブルー・ヘヴン 2006 真崎義博訳 さよならまでの三週間 2008 真崎義博訳
  • 冬の砦
    冬の砦 冬の砦―長編サスペンス 題名:冬の砦 作者:香納諒一 発行:祥伝社 2006.07.20 初版 価格:\2,100  香納諒一が『贄の夜会』に続いて、またもミステリらしいミステリを書いた。推理小説のサイドに立っての物語をあまりしなかった作家だけに、興味深く思っている。はっきりとしたハードボイルド作家というイメージから、もっと広い読者層に向けて作品を作る作家に変わったのは、一連の短編小説を書いてからのことだと思う。  短編小説は腕を磨く。短編小説には、長さがもたらすキャラクターへの共感や愛着が生まれにくい。だからこそ、短い文章によって読者を引きずりこむ文章の質の力は、高いレベルが要求される。そうした土俵で相撲を取ってきた作家は、ぼくの知る限り信頼し得る作家となる。あるいは信頼のおける作家が短編を書いたときには、やはりきちんと納得のゆくものを生み出して...
  • 冬の巡礼
    冬の巡礼 冬の巡礼 (角川文庫) 題名:冬の巡礼 作者:志水辰夫 発行:角川書店 1994.10.31 初版 価格:\1,400(本体\1,359)  なんて久しぶりの志水節なんだろう。この人のハードボイルドは本当に久しぶり。そして久しぶりに読むと、やはりシミタツはハードボイルドに限るなあとつくづく読後思ってしまう。この作品はそれほど大作でもないし、作品の出来栄えは『深夜ふたたび』くらいのものなのだと思うけど (ちなみに女々しすぎる『行きずりの街』はぼくはそれ以下だと評価してたりする (^^;))、それでもやはり「志水節が帰ってきた!」と言いたい。  最初に志水節に取り憑かれたのは『飢えて狼』『裂けて海峡』そして『尋ねて雪か』『背いて故郷』と本当につくづく日本冒険小説の金字塔ではないかと未だに思われるような作品群ですっかり虜になってしまったものだ。...
  • ローマで消えた女たち
    ローマで消えた女たち 題名:ローマで消えた女たち 原題:Il Tribunale Delle Anime (2011) 作者:ドナート・カッリージ Donato Carrisi 訳者:清水由貴子 発行:ハヤカワ・ミステリ 2014.6.15 初版 価格:\1,900  無国籍のエンターテインメント大作『六人目の少女』で凄まじいデビューを飾ったイタリア人作家カッリージの長編第二作である。のっけからあれほどのアイディアを詰め込んでしまった彼が、第二作をどのくらいの意欲と自負とで書き始めたのか想像もつかないが、大抵の作家であればあのデビュー作を超える二作目というだけで、恐怖に震えそうだ。  そうした周囲の期待を背負って作り上げねばならなかった本書は、作者がそうした期待にしっかりと応えるこれまた印象的な作品であり、さらに作者があとがきで書いているよ...
  • 冬の狩人
    冬の狩人 題名:冬の狩人 作者:大沢在昌 発行:幻冬舎 2020.11.20 初版 価格:¥1,800  昨年は、『新宿鮫』シリーズが8年ぶりに再登場して懐かしかった。続いての今回は、なんとあの『狩人』シリーズが6年ぶりに再登場。作者の年齢を調べたら、おお、ぼくと同級生なのか! 和製ハードボイルドの雄として名を馳せた大沢在昌も、今ではすっかりベテランの域なのだろう。一線を退いたのかと思いきや、そこそこ重厚な人気キャラのシリーズ作品で、その誠実な書きっぷりを想い出させてくれる近年ということか。  作者が年齢でいつの間にか追い抜いてしまったであろう新宿の刑事たち(鮫島と佐江)という二つのシリーズ主人公たちも、現在は円熟の極みを匂わせつつ、新宿で知らない者とてない凄腕刑事っぷりを改めて発揮してくれている。そもそも後発である佐江の方は、最初からベテラン風を吹...
  • 冬のフロスト
    冬のフロスト 題名:冬のフロスト 原題:Winter Frost (1999) 作者:R.D.ウィングフィールド R.D.Wingfield 訳者:芹澤 恵 発行:創元推理文庫 2013.6.13 初版 価格:各\1,300  フロストを読むのは実に久しぶり。何を隠そう17年ぶりにこのシリーズの中二作をすっ飛ばして最新翻訳作品に卑しくも手を伸ばしてしまったのだ。そしてこのシリーズの凄みに、まるで今初めて出会ったばかりのように、ぼくは改めて驚愕するのだ。そしてこのシリーズへの評価を新たにする。そしてその手応えの確かさに酔い痴れる。  このシリーズ、いちいち分厚い翻訳小説である。この厚みと丁寧な翻訳の手仕事こそが、フロストシリーズの翻訳を難航させているのだろうなあ。何しろ、この作品だって、イギリスで刊行されて14年目にして日本にその翻訳の成果が披露さ...
  • 消された眼
    消された眼 (『獲物の眼』へ改題) 消された眼 (Hayakawa Novels) 獲物の眼 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 題名:消された眼 原題:EYES OF PREY (1991) 作者:JOHN SANDFORD 訳者:真崎義博 発行:早川書房 1994.3.31 初版 価格:\1,900(本体1,845)  一匹狼刑事ルーカス・ダヴンポート・シリーズの邦訳第三弾。一作目『サディスティック・キラー』が知能的な連続殺人犯との駆け引きでなかなか引っ張ってくれたわけで、続いて読み継いでいるわけだが、前の第二作『ブラック・ナイフ』が急激に派手なアクション物に変わってしまい、少々戸惑った。  『ランボー』シリーズに見られるようなアメリカ的なスケールアップ的変貌は、別にこうした刑事物の場合こちらは少しも望んでいないのだけど、この作者、もともとサービス過剰ぎ...
  • ロス・トーマス
    リンク名 ロス・トーマス Ross Thomas マッコークル&パディロ・シリーズ 冷戦交換ゲーム 丸本総明訳 1966 クラシックな殺し屋たち 筒井正明訳 1971 黄昏にマックの店で 藤本和子訳 1990 ウー&デュラント・シリーズ 大博奕 志摩政美訳 1978 五百万ドルの迷宮 菊池 光訳 1987 獲物 菊地よしみ訳 1992 ノン・シリーズ長編 恐喝 シンガポール・ウィンク 筒井正明・近見昌三訳 1966 愚者の街 松本剛史訳 1970 ポークチョッパー 悪徳選挙屋 筒井正明訳 1973 可愛い娘 筒井正明・近見昌三訳 1973 悪魔の麦 筒井正明訳 1975 八番目の小人 藤本和子訳 1979 モルディダ・マン 山本やよい訳 1981 女刑事の死 藤本和子訳 1984 神が忘れた町 藤本和子訳 1989 欺かれた男 菊池よしみ訳 1994 オリヴァー・ブリーク...
  • 森 詠
    森 詠 燃える波濤 燃える波濤 第一部 1982 燃える波濤 第二部 1982 燃える波濤 第三部 1982 燃える波涛 明日のパルチザン 第4部 1988 燃える波涛 冬の烈日 第5部 1989 燃える波涛 烈日の朝 第6部 1990 キャサリン・シリーズ さらばアフリカの女王 1979 風の伝説 1987 陽炎の国 1989 横浜狼犬(ハウンドドッグ)シリーズ 青龍、哭く 1998 横浜狼犬(ハウンドドッグ) 1999 死神鴉 1999 警官嫌い 横浜狼犬エピソード〈1〉 2000 砂の時刻 横浜狼犬エピソード〈2〉 2001 オサム・シリーズ オサムの朝(あした) 1994 少年記―オサム14歳 2005 革命警察軍ゾル 革命警察軍ゾル〈1〉分断された日本 2006 続 七人の弁慶 七人の弁慶 2005 続 七人の弁慶 2006 長編小説 黒い龍 小説...
  • 大沢在昌
    大沢在昌 新宿鮫シリーズ 新宿鮫 1990 毒猿 新宿鮫2 1991 屍蘭 新宿鮫3 1993 無間人形 新宿鮫4 1993 炎蛹 新宿鮫5 1995 氷舞 新宿鮫6 1997 灰夜 新宿鮫7 2001 風化水脈 新宿鮫8 2000 狼花 新宿鮫9 2006 絆回廊 新宿鮫X 2011 暗約領域 新宿鮫XI 2019 黒石(ヘイシ) 新宿鮫XII 2022 狩人シリーズ 北の狩人 1996 砂の狩人 2002 黒の狩人 2008 雨の狩人 2014 冬の狩人 2020 佐久間公シリーズ 標的走路 1980 感傷の街角 1982 漂泊の街角 1985 追跡者の血統 1986 雪蛍 1996 心では重すぎる 2000 天使の牙シリーズ 天使の牙 1995 天使の爪 2003 BDTシリーズ B・D・T 掟の街 1993 影絵の騎士 2007 いやいやクリスシリーズ(短編...
  • 灰色のためらい
    灰色のためらい 灰色のためらい (ハヤカワ・ミステリ文庫 13-22 87分署シリーズ) 灰色のためらい〈87分署シリーズ〉 (1965年) (世界ミステリシリーズ) 灰色のためらい (1980年) (ハヤカワ・ミステリ文庫) 題名:灰色のためらい 原題:He Who Hesitates (1965) 著者:エド・マクベイン Ed McBain 訳者:高橋泰邦 発行:ハヤカワ文庫HM 1980.04.15 1刷  シリーズ中、最も短い長編作品である。そして異色中の異色。シリーズの外伝と言ってしまえないこともない。まず本を開く。『空白の時』のような中篇集でもないのに、登場人物の紹介欄がどこにもない。そこで読者のぼくは眉をひそめる。  読み始める。死体も刑事部屋も出てこない。冬の寒い一日。アパートで男が目覚める。田舎から木工品を売りに都会へ出てき...
  • モンス・カッレントフト Mons Kallentoft
    モンス・カッレントフト Mons Kallentofti 女性刑事モーリン・フォシュ・シリーズ 冬の生贄 久山葉子訳 天使の死んだ夏 久山葉子訳 秋の城に死す 久山葉子訳 刑事ザック・シリーズ (マルクス・ルッテマンMarkus Luttemanとの共著) 刑事ザック 夜の顎(あぎと) 2014 荷見明子
  • マイクル・クライトン Michael Crichton
    マイクル・クライトン Michael Crichton 長編 アンドロメダ病原体 1969 浅倉久志訳 五人のカルテ 1970 林克巳訳 ターミナル・マン 1972 浅倉久志訳 大列車強盗 1975 乾信一郎訳 北人伝説 197 乾信一郎訳 失われた黄金都市 1980 平井イサク訳 スフィア -球体- 1987 中野圭二訳 ジュラシック・パーク 1990 酒井昭伸訳 ライジング・サン 1992 酒井昭伸訳 ディスクロージャー 1993 酒井昭伸訳 ジュラシック・パーク2 -ロスト・ワールド 1995 酒井昭伸訳 エアフレーム -機体- 1996 酒井昭伸訳 ツイスター 1996 酒井昭伸訳 タイムライン 1999 酒井昭伸訳 プレイ -獲物- 2002 酒井昭伸訳 恐怖の存在 2004 酒井昭伸訳 Next 2007 酒井昭伸訳 パイレーツ -強奪海域 2009 酒井昭伸訳 マイクロワ...
  • R・D・ウィングフィールド
    R・D・ウィングフィールド R. D. Wingfield ジャック・フロスト警部シリーズ クリスマスのフロスト 1984 芹澤恵訳 フロスト日和 1987 芹澤恵訳 夜のフロスト 1992 芹澤恵訳 フロスト気質 冬のフロスト 1999 芹澤恵訳 アンソロジー収録 夜明けのフロスト クリスマス・ストーリー 『ジャーロ』傑作短編アンソロジー3
  • 記念日
    記念日 題名:記念日 作者:香納諒一 発行:光文社 2008.05.25 初版 価格:\2,000  香納諒一という作家を知らない人がこれを読んだとしよう、あるいは前作『ステップ』、あるいは『贄の夜会』、『第四の闇』を。きっとその読者は、香納諒一という作家は、プロットが複雑で錯綜していて、アイディアが豊富で、奇想と仕掛け満ちた作風の持ち主だと。  『贄の夜会』以降、香納諒一の作風はがらりと変わった。 しかしそれに先んじて数年間の沈黙があった。何しろ2,000年に『炎の影』を上梓して以来、2004年に『夜空の、向こう』という連作短編集、『あの夏、風の街に消えた』という長篇を書いたっきり、2006年まで、香納諒一という作家はその後の変身を全く予期させなかった。少なくとも、ぼくは予期しなかった。  『贄の夜会』と『冬の砦』は、作家として新...
  • 北村 薫
    北村 薫 時と人 三部作 スキップ 1995 ターン 1997 リセット 2001 円紫シリーズ 空飛ぶ馬 1989 夜の蝉 1990 秋の花 1991 六の宮の姫君 1992 朝霧 1998 覆面作家シリーズ 覆面作家は二人いる 1991 覆面作家の愛の歌 1995 覆面作家の夢の家 1997 長篇、その他 冬のオペラ 1993 水に眠る 1994 月の砂漠をさばさばと 1999 盤上の敵 1999 街の灯 2003 語り女たち 2004 ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件 2005 紙魚家崩壊 九つの謎 2006 ひとがた流し 2006 玻璃の天 2007
  • 防風林
    防風林 防風林 (講談社文庫) 防風林 題名:防風林 作者:永井するみ 発行:講談社 2002.1.16 初版 価格:\1800  いったい世の中のどれだけの人が防風林の近くに住んでいるだろう。防風林は風を弱めるために人為的に植樹された地形であり、そこには何らかの形で恩恵を受けた住人の生活が存在するはずだ。普段考えることのない防風林という存在だが、実はぼくの家のすぐ近所に何キロにも渡って防風林はまっすぐに木々を繁らせている。石狩湾からダイレクトにやってくる冬の風雪を防ぎ、ポプラの綿毛を舞わせることで春の到来を知らせ、真夏には蝉の声と深い緑と濃い日陰を演出し、秋に落ち葉の絨毯を踏んで歩く。防風林はぼくもぼくの息子もいつも見つめ、歩き場所である。  タイトルが思い切り『防風林』であるこの小説は、ぼくの住むそんな札幌の新興住宅地を舞台に(地名は架空だけれども)...
  • 凍夜
    凍夜 (「卒業一九七七」改題) 凍夜 (集英社文庫) 題名:凍夜 作者:鳴海 章 発行:集英社文庫 2001.09.25 初刷 1998.1 初版(勁文社) 価格:\571  『輓馬』というこの作家の小説を読まなかったら、かくも地味な作品を手に取りはしなかった。『雪に願うこと』の無料チケットを帯広で手にしなかったら、この作家に辿り着くこともなかった。しかし、ぼくは『輓馬』を読み、『雪に願うこと』という映画を見ることになった。つまり鳴海章という、極めて稀有な作家に出くわしてしまった。  帯広在住の北海道作家。主として航空冒険小説を書くらしいが、北海道を舞台にした小説も時に書く。スケールの大きな謀略小説を書く傍らで、帯広という地方都市の青春の物語を実は相当の思い入れて書く作家なのである。航空冒険小説の方に興味はないが、少なくとも北海道を舞台に腰を据えて書く作家と...
  • 光る牙
    光る牙 題名:光る牙 作者:吉村龍一 発行:講談社 2013.3.6 初版 価格:\1,500  デビュー作『焔火』のある意味でセンセーショナルと言うばかりの舞台設定、時代設定を試み、東北の山岳地帯に神話的世界を構築してみせた、吉村龍一の第二弾。いい意味で裏切られた感じはするが、現代社会を舞台にした山岳小説である。  もちろんこの作家特有の異色さは全面に出ているけれども、むしろ巨大羆との死闘というシンプルな物語こそが、透徹した文体を武器に持つ吉村龍一という作家にはとてもフィットした感があって、前作ほど異形の者たちが多数出現することもなく、よってデビュー作の空気中に漂っていた毒気の類は、むしろ凛とするばかりの冬山の自然の透明さの中で、濾過され浄化され、神の領域に一歩近づいた気配さえ醸し出される。  一方でとても人間の領域に近づいた部分もある。主人...
  • 志水辰夫
    志水辰夫 長編小説 飢えて狼 1981 裂けて海峡 1983 あっちが上海 1984 散る花もあり 1984 尋ねて雪か 1984 背いて故郷 1985 狼でもなく 1986 オンリィ・イエスタデイ 1987 こっちは渤海 1988 深夜ふたたび 1989 帰りなん、いざ 1990 行きずりの街 1990 花ならアザミ 1991 夜の分水嶺 1991 滅びし者へ 1992 冬の巡礼 1994 あした蜻蛉の旅 1996 情事 1997 暗夜 2000 ラスト ドリーム 2004 約束の地 2004 負けくらべ 2023 時代小説 青に候 2007 みのたけの春 2008.11 つばくろ越え 2009 引かれ者でござい 蓬莱屋帳外控 2010.8 夜去り川 2011 待ち伏せ街道 蓬莱屋帳外控 2011 疾れ、新蔵 2016 新蔵唐行き(とうゆき)2019 短編集 カサブランカ物...
  • 白銀ジャック
    白銀ジャック 題名:白銀ジャック 作者:東野圭吾 発行:光文社 2010.10.15 初版 2010.10.25 3刷 価格:\648  東野圭吾『白銀ジャック』読了。文庫で新刊だそうな。実業之日本社文庫の創刊に伴う目玉作品なのだろう。80万部を突破する勢いだというので、わざわざハードカバーでワンステップ置かなくても、こういう売れっ子作家の本に関しては、作者にとっても読者にとっても、どんどん文庫新刊の動きが出てくれると財布の紐的には嬉しい。でも本の装丁、堅い表紙を書棚に並べたい、といういわゆる蔵書マニアにとっては文庫は安っぽくって駄目、っていう意見もあるのだろうな。  ともかく、珍しいことに、今、すっかり冬の娯楽としては廃れた感のあるスキーを使ったミステリーである。全編これスキー場が舞台。そう言えば、今年の初めにもこの作者は『カッコウの卵は誰のもの...
  • 小池真理子
    小池真理子 長篇小説 彼女が愛した男 1986 蠍のいる森 1987 仮面のマドンナ 1987 彼方の悪魔 1987 墓地を見おろす家 1988 プワゾンの匂う女 1988 間違われた女 1988 殺意の爪―比呂子に何が起きたか? 1989 死者はまどろむ 1989 闇のカルテット 1989 無伴奏 1990 柩の中の猫 1990 唐沢家の四本の百合 1991 懐かしい骨 1992 夜ごとの闇の奥底で 1993 ナルキッソスの鏡 1993 死に向かうアダージョ 1994 懐かしい骨 1994 恋 1995 欲望 1997 美神(ミューズ) 1997 水の翼 1998 ひるの幻よるの夢 1999 冬の伽藍 1999 INNOCENT 1999 ノスタルジア 2000 月狂ひ 2000 蔵の中 2000 薔薇いろのメランコリヤ 2001 狂王の庭 2002 虚無のオペラ 2003 浪漫的恋...
  • 大地の牙 満州国演義6
    大地の牙 満州国演義6 題名:大地の牙 満州国演義6 作者:船戸与一 発行:新潮社 2011.04.30 初版 価格:\2,000  三、四年の間、すっかり無沙汰にしていた満州国演義シリーズを久々に手に取る。冬場でオフシーズンで仕事が暇なんだからちょうどいいや。冬の北海道旅のあいだも、このお弁当箱みたいに重たい本を持って歩いたけれど、外は吹雪いていることも多く、電車であれバスであれホテルの窓辺であれ、ガラス越しに感じられるのは零下の真冬。モノトーンの昼と真っ暗な夜ばかりだ。だからこの本の舞台背景になっている満州は、とても身近に感じられる。嘘だと思うのなら、船戸ファンよ、このシリーズを読むに最適なる白い北海道へお越し頂きたい。そしてこの重量級の作品を、冬の泣き叫ぶような風の音に耳を傾けながら、活字を追ってもらいたい。正統派船戸満州読書術です。  満州国...
  • 雪盲 SNOWBLIND
    雪盲 SNOWBLIND 題名:雪盲 SNOWBLIND 原題:Snjoblinda (2010) 著者:ラグナル・ヨナソン Ragnar Jonasson 訳者:吉田薫訳 発行:小学館文庫 2017.05.04 初版 価格:¥800  アイスランドのミステリと言えば、エーレンデュル捜査官シリーズで有名なアーナルデュル・インドリダソンだろう。『湿地』『緑衣の女』でガラスの鍵賞連続獲得という快挙を成し遂げた彼の作品は世界各国で翻訳されたため、犯罪が極度に少ないと言われるアイスランドの首都レイキャビックを舞台にした珍しい国籍のミステリーとして名を馳せた。  何故に犯罪が少ないかと言うと、アイスランドは人口は34万人と、そもそも少人間が少ない。しかも6割が首都圏に集まっている。国土面積は、北海道と九州を足したほどで、人口は旭川市とどっこい。札幌の人口の1/4...
  • ランナウェイ
    ランナウェイ 題名:ランナウェイ 原題:Runaway (2019) 著者:ハーラン・コーベン Harlan Coben 訳者:田口俊樹+大谷瑠璃子 発行:小学館文庫 2020.12.13 初版 価格:¥1,280  家族、親子、夫婦、ドラッグ、暴力、ネット、メディア、拡散、殺人、失踪、新興宗教、携帯、遺伝子、etc. etc。現代のミステリーは、犯罪の内容も、手段も、情報も、捜査方法も、過去のそれとは大きく異なってきている。そのことを嫌というほど感じさせる作品。  ハーラン・コーベンを読むのは実は初めてなのだが、本書を読む限り、本物の香りを芬々とさせる、濃厚なテイストの、誠実で間違いのない作家、と言うに尽きる。  グリーン家という家族で構成されるユニットを、さらに父、母、兄弟、姉妹、という具合に、それぞれの関係を多角的に描きつつ、あくまでも...
  • 硝煙のトランザム
    硝煙のトランザム 題名:硝煙のトランザム 原題:Transam (2001) 作者:ロブ・ライアン Rob Ryan 訳者:鈴木 恵 発行:文春文庫 2003.08.10 初版 価格:\933  前作は『9ミリの挽歌』であり、<文春パルプ・ノワール>のシリーズであったが、本作は、ぐっと冒険小説の方面に傾いた。スティーヴン・ハンターに近い元兵士たちによる、ハンターほどストレートではない物語。ハンターほどヒーローに恵まれない話。元々、ロブ・ライアンという作家は、アンチ・ヒーローに傾斜しているのかもしれない。  のっけから食いつき難いほどに多種多様な物語が併走する。赤ん坊の夜泣きに苦しむ夫婦。少年野球に熱を入れた結果、地獄を見ることになる夫婦。東欧からやってきたらしい謎の隣人。トレーラーパークのシングル・マザー。ソマリアで<ブラックホーク・ダウン>を経験し...
  • 稲妻
    稲妻 稲妻 (ハヤカワ・ミステリ文庫―87分署シリーズ) 稲妻 (ハヤカワ ポケット ミステリ) 題名:稲妻 原題:Lightning (1984) 著者:エド・マクベイン Ed McBain 訳者:井上一夫 発行:ハヤカワ・ミステリ 1986.02.28 初版  女性への暴行傷害と殺人が、街を一息にモノクロに染めてしまう。季節は『カリプソ』と似た時期だが、あの年の秋ほど雨ばかり降っているわけではない。でもやはり秋雨前線がアイソラの上空を通過するという点で似たような頃の空模様なのだ、きっと。前作でも登場した囮捜査官アイリーン・バークが最も過酷な雨の一日を迎える。  殺しは非常に風変わりなかたちで刑事たちの眼を射る。街頭にロープで吊るされた、いくつもの女の死体。それぞれの犯行の描写がきわめつけで、虎視眈眈と獲物を狙うようすは読者に嫌悪をもよわせるし、...
  • 犬の力
    犬の力 題名:犬の力 上/下 原題:The Power Of The Dog (2005) 作者:ドン・ウィンズロウ Don Winslow 訳者:東江一紀 発行:角川文庫 2009.08.25 初版 価格:\952  ドン・ウィンズロウ!  なんて、久しぶりなんだ。  ニール・ケアリー・シリーズがなんだか呆気なく幕切れとなってしまった(らしい)シリーズ最終作『砂漠で溺れるわけにはいかない』以来の日本お眼見えだったか。それが1996年の作品。本作は2005年の作品。ウィンズロウの上にその間9年の時間が経過していたのか。なんと!  だからというのじゃないだろうけれど、ニール・ケアリーのシリーズとはまた違った空気。違いすぎるくらいに。作者名を伏せたらすぐに回答が出ないくらいに。その代わり全部読み終えたら、何となくわかりそうな気もす...
  • sekisyun
    惜春 作者:花村萬月 発行:講談社 2003.04.24 初版 価格:\1,600  熟成度満点の萬月ワールドがまた一つ。短いが中身の詰まった裏世界小説である。作家になった頃からいつか書いてやろうと思っていたという雄琴のトルコ風呂のボーイの物語だそうである。元になるのは友人Xの実話だと言う。動機となったのは『ちろりん村顛末記』(広岡敬一・朝日新聞社刊)であったと言う。  連作短編とも言える四章からなる長編作品。どの章もなまなかなものではない。性と暴力が売り物の萬月としては、この本は暴力は少し影を潜めている。おとなしいと言ってもいいかもしれない。とぼけた会話のユーモラスな味わいだってある。  それなのに圧倒的な生への迫力がある。また一方で圧倒的な虚無感がある。世界の猥雑と世界の過疎地帯がひとつところに息づいているような土地、琵琶湖のさざ波の音がちゃぷち...
  • 香納諒一
    香納諒一 川崎警察シリーズ 川崎警察 下流域 2023/01 川崎警察 真夏闇 2024/01 K・S・Pシリーズ K・S・P 孤独なき地 2007/03 K・S・P II 毒のある街 2008/09 K・S・P 噛む犬 2011/01 K・S・P 女警察署長 2012/07 K・S・Pアナザー 約束 2015/09 警視庁捜査一課シリーズ 刹那の街角 1999/05 贄の夜会 2006/05 無縁旅人 2014/03 刑事群像 2015/02 砂時計 警視庁強行犯係捜査日誌 2023/10 辰巳翔一シリーズ 無限遠/「春になれば君は」改題1993/12 蒼ざめた眠り/「虚国」改題  2010/03 さすらいのキャンパー探偵 降らなきゃ晴れ 2019/08 さすらいのキャンパー探偵 水平線がきらっきらっ 2019-09 さすらいのキャンパー探偵 見知らぬ町で 2019-10...
  • 警官殺し
    警官殺し 警官殺し (角川文庫 赤 520-9) 警官殺し (1983年) (角川文庫) 警官殺し (海外ベストセラー・シリーズ 84) 題名:警官殺し 原題:Cop Killer (1974) 著者:マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー Maj Sjowall and Per wahloo 訳者:高見浩 発行:角川文庫 1983.3.25 初版 1993.11.10 3刷 価格:\720(本体\699)  前作『密室』では、事件を小説の素材として生かし切れていなかったように思うし、小説背景がストーリーの前面に出てきてしまって、それがもはや背景とは言い難いほどで、ぼくはとてもアンバランスな作品だと感じたのだけど、本作『警官殺し』ではその轍を踏まずに、事件そのものをあくまで刑事たちに追跡させ、もう一方で「警官殺し」事件を添えるという具体的な方法が取ら...
  • 鎮魂歌は歌わない
    鎮魂歌は歌わない 題名:鎮魂歌は歌わない 原題:Wiley s Lament (2003) 作者:ロノ・ウェイウェイオール Lono Waiwaiole 訳者:高橋恭美子 発行:文春文庫 2008.7.10 初版 価格:\743  人の最大限の悲しみは、愛する者を失うことだろう。心が引き裂かれ、この世の地獄を生きながら味わうことでもある。家族を失ったことのある人ならばその痛みの激しさを知っているに違いない。  愛する者を失う時、人は、その理不尽な事実をしばらくは信じることができないに違いない。とりわけ自分の子供が自分より先に死んだ場合に、その悲痛はさらに強烈であるはずだ。息子を失って号泣する父の姿をぼくは見た。兄弟が不意の自己で死んだ時だった。あんな姿は生涯忘れることなんてできやしない。父が死んだ今になっても。  そうした悲痛の思いをわずか...
  • ゴルディオスの結び目
    ゴルディオスの結び目 題名:ゴルディオスの結び目 原題:Die Gordische Schleife (1988) 作者:ベルンハルト・シュリンク Bernhard Schlink 訳者:岩淵達治、他 発行:小学館 2003.08.20 初版 価格:\1,714  ワールド・カップやその他の国際試合でドイツ代表の試合を見ると、とにかく細かいテクニックではなく、気力と体力で闘志を剥き出しにした勝負強さというのが目立つ。ブラジルあたりと対戦すると、片や人間離れした技術力で魅せに魅せるというブラジルに対して、ドイツは常に無骨な力業で勝負を挑み、それでいて結構な戦績を挙げている。  ベルンハルト・シュリンクがゼルプ・シリーズのようなハードボイルドや本書のような冒険小説に挑むとき、ぼくはやはり、ははあドイツ人だなあ、って微笑んでしまいたくなることが多い。 ...
  • 青い虚空
    青い虚空 青い虚空 (文春文庫) 題名:青い虚空 原題:The Blue Nowhere (2001) 作者:ジェフリー・ディーヴァー Jeffery Deaver 訳者:土屋 晃 発行:文春文庫 2002.11.10 初版 価格:¥829  文春文庫では、リンカーン・ライム外シリーズを拾ってゆくのだろうか。文庫でシリーズと同レベルの良品本を読めるのはお買い得。なぜなら本書も、文春文庫での前作『悪魔の涙』もハードカバーであっても問題なく売れるだろうという作品であるからだ。「売り」ということだけに絞るなら、商品価値は高いと思う。  『静寂の叫び』がディーヴァーのブレイクだとすれば、それ以降の作品は実にエンターテインメントに徹していて、それ以前の作品のように作者的主張がなく(むしろ殺しているように見える)、ほとんどがジェットコースター型ノンストップ・サスペ...
  • 鳴海章
    鳴海 章 長編小説 俺は鰯 1996.07 長官狙撃 1997.07 凍夜 (「卒業一九七七」改題) 1998.01 真夜中のダリア 1998.03 パラダイス・ビーチ 1998.06 鹹湖 彼女が殺された街  1998.12 風花 1999.06 狼の血 1999.09 輓馬 2000.02 棘 2000.09 もう一度、逢いたい 2000.11 死者の森 2000.12 冬の狙撃手 2001.05 痩蛙 2002.05 ニューナンブ 2002.06 夏日 2002.07 月のない夜 2003.08 街角の犬 2003.10 雨の暗殺者 2004.06 えれじい 2005.09 ナイフ・エッジ 剃刀舞踏会 2006.06 薩摩組幕末秘録 2006.09 いのちに抱かれて楓子と大地の物語 2007.02 総理を撃て 2007.03 微熱の街 2007.05 航空・軍事冒険小説 ナイ...
  • 七つの丘のある街
    七つの丘のある街 題名:七つの丘のある街 原題:Early Graves (1990) 作者:トマス・H・クック Thomas H.Cook 訳者:佐藤和彦 発行:原書房 2003.11.27 初版 価格:\1,800  誰が見ても、しっとりしたタッチの書き手であるトマス・H・クックが、情感の与えようもない現実の犯罪に取材し、フィクションではないリアルを小説として書き上げる。そんなことが可能なのだろうか、最初に思わないでもなかった。少し前にノンフィクションの犯罪ルポルタージュとしては、あまりにも過激で印象に深い『ロベルト・スッコ』を読んでいるおかげで、犯罪ノンフィクションに対する構えのようなものが、きっとこちら側にできてしまっていたのだと思う。  実のところクックの選んだ犯罪には、彼らしい物語が生きていた。時系列に沿って感情を交えぬ文体を書き貫い...
  • 燃える波濤
    燃える波濤 「燃える波涛1」 「燃える波涛2」 「燃える波涛3」 「燃える波涛 第4部 明日のパルチザン」 「燃える波涛 第5部 冬の烈日」     (以上徳間書店)  とぶっ続けに読んでみた。  いつも森詠を読んで、感じるのはこの作家の良心ということだ。 「振り返れば、風」に顕著だが、ジャーナリスト時代からのの批評精神をうちに秘めており、そこには強烈な社会風刺精神が見え隠れしている。  1-3巻に関しては、相当練り上げた構想なのだろう、日本が2.26事件まがいの軍事クーデーターによって急速右旋回するまでの、巨大なスケールの話である。主役級のキャラクターが、ここで3人出てくる。  そのひとり枚方俊次が、フランス外人部隊の傭兵上がり。ひたすら家族の仇を追って行動する。天城徹は、新設情報局のエリート。その親友風戸大介は、もっか記憶喪失中の一匹狼パイロット...
  • 黄金を抱いて翔べ
    黄金を抱いて翔べ 黄金を抱いて翔べ (新潮文庫) 黄金を抱いて翔べ 題名:黄金を抱いて翔べ 作者:高村薫 発行:新潮社 1990.12.10 初版 価格:\1,350(本体\1,311)  これは今年の日本冒険小説ベストワン間違いないだろう。うーむ、少なくとも好みの文体。ぼくの好みのストーリー。ぼくの好みのキャラクターたち。  国産小説もここまでレヴェル・アップしているのか? ともかく凄玉冒険作家の登場である。しかもなんとまあ昭和29年生まれのキャリア・ウーマン。驚いたことに女流作家なのだ。女流作家の作品がぼくの心をこうまでも捉えたのは、はっきり言って初めてだ。  メイン・ストーリーは銀行の地下三階に眠る百億円の金塊強奪。舞台は大阪。  ううむ、この作品に限っては大阪を知らない自分が悔やまれる。それほどまでに大阪という街特有の混沌感を、...
  • 淡雪記
    淡雪記 題名:淡雪記 作者:馳 星周 発行:集英社 2012.2.28 初版 価格:各\1,800  前半は、馳の作品と知らなければ気づかないほど、抒情的でオーソドックスな純愛小説のようであった。世間から隔絶した感のある真冬の道南は大沼にある別荘地。もちろん人がほとんどいない別荘地から、見上げる蝦夷駒ヶ岳。大沼のハクチョウたち。四季、道南でも仕事をしていたぼくは、この地域にも土地勘がふんだんにあって、今でもその土地の風のにおい、雪のきらめき、星の冷たい輝きなどなどを、懐かしむことができる。  不思議な符号だな、と思ったのが、この正月アナログにとうとう見切りをつけてデジタル一眼レフを買い込んだこと。カメラを持ち歩いて北海道を写し込んでゆく楽しみに心を奪われていた正月休みであったこと。そして本書の主人公がデジタル一眼レフにすべてを注ぎ込んで、大沼の...
  • 背いて故郷
    背いて故郷 背いて故郷 (新潮文庫) 背いて故郷 (講談社文庫) 題名:背いて故郷 作者:志水辰夫 発行:講談社文庫 1988.08 初刷 価格:\560  冬の北海道を旅しながらかつて『飢えて狼』を読んだぼくは、やはり本書も旅のさなかで読みたかった。そのためにこれまで取っておいたのだが、当分旅にも出られそうになく、こらえきれずに読んでしまった。下馬評も聞いていたし、予想もしていたのだが、これまでのあらゆる賛辞を裏切ることのない秀逸な長篇作品であった。 日本推理作家協会賞授賞作品。 むむむ。志水辰夫は推理作家か?  苦しい賞ではないのか? 本書を読めば明らかになる。志水辰夫は日本の誇る本格冒険小説作家なのだ。  昨年5月、ぼくはこの本の舞台の一部となる築別炭坑町跡地を訪れている。もう何度となく訪ねている羽幌の海岸線から、20キロ弱も内陸に入ったところ、...
  • 凍れる森
    凍れる森 [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 題名:凍れる森 原題:Winter Kill (2003) 作者:C・J・ボックス C.J.Box 訳者:野口百合子 発行:講談社文庫 2005.10.15 初版 価格:\781  素晴らしい! の一言に尽きる一篇。たとえ『このミス...
  • 風花
    風花 風花 風花 (講談社文庫) 題名:風花 作者:鳴海 章 発行:講談社文庫 2000.12.15 初刷 2001.10.30 5刷 価格:\667  穂高岳西面山麓を歩きながら、ふと雪が舞い降ちていることに気づく。よく晴れた冬の飛騨。陽射しが雪面に跳ねている。それでも蒼穹のどこかから雪が舞ってくる。雲ひとつない紺青の天球のどこかから……。  「かざはな」先輩のK氏がぼくに呟く。  「え?」ぼくは聞き返す。  「風で山の木に降り積もった雪が飛ぶんだ。そいつが山麓に舞ってくる。本当の降雪じゃないが、こいつを風花と呼ぶんだよ」  K氏とはその山行を最後に、山に事故で死に別れてしまった。風花という言葉への思いはだからこそ強い。それと同時に、美しい言葉でもある。多くの後輩に、ぼくは同じ知識を伝授してきたつもりだ。後に、後輩たちの誰かがこの本を手に...
  • 燃える波涛 第六部 烈日の朝
    燃える波涛 第六部 烈日の朝 [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 題名:燃える波涛 第六部 烈日の朝 作者:森詠 発行:徳間書店 1990年9月 初版 価格:¥1200(本体¥1165)  森詠入魂のポリティカル・アクション巨編第六弾。タイトルに第六部とあるが、実際に内容を整理してみる...
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