wiki クライムウェイヴ(Sysop読書録 活字をめぐる冒険) 内検索 / 「回廊封鎖」で検索した結果

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  • 回廊封鎖
    回廊封鎖 題名:回廊封鎖 作者:佐々木譲 発行:集英社 2012.08.10 初版 価格:\1,600  人生においてサラ金から金を借りたことはないのだが、それは運がいいのか、貧乏でも頑張ったからなのか、どちらなの? と聞かれるとよくわからない。ただ大手金貸しの竹○○が倒産したとき、何かあるなと思ったのは確かである。この小説ではそうした企業倒産の裏側で逃げ出した経営者への不当相続などの途轍もなくグレーな背景を浮き彫りにし、なおかつ警察キャリアの天下り先としての機能が、不当利益の経営者たち個人への流出を許したのではないかという疑惑に眼を向けた鋭い題材を取り扱っている。  いかにも佐々木譲らしい正義感溢れる一作である。道警裏金問題を背景にした『うたう警官(文庫化の際「笑う警官」に改題)』に始まる道警シリーズにも見られる、社会悪に対する個人の正義を、まさにペ...
  • 佐々木譲
    ... 密売人 2011 回廊封鎖 2012 犬の掟 2015 抵抗都市 2019 ホラー小説 そばにはいつもエンジェル 1984 死の色の封印 1984 白い殺戮者 1986 ハロウィンに消えた 1991 牙のある時間 1998 企業小説 屈折率 1999 疾駆する夢 2002-ユニット 2003 連作短編集 廃墟に乞う 2009 短編集 鉄騎兵、跳んだ 1980 きみの素敵なサクセス 1987 いつか風が見ていた(「タイム・アタック」へ改題) 1985 マンハッタンの美徳 1989 サンクスギビング・ママ 1992 きょうも舗道にすれちがう 1994 飛ぶ想い 1995 ノンフィクション 冒険者カストロ 2002 幕臣たちと技術立国―江川英龍・中島三郎助・榎本武揚が追った夢 2006
  • 天空への回廊
    天空への回廊 天空への回廊 (光文社文庫) 天空への回廊 題名:天空への回廊 作者:笹本稜平 発行:光文社 2002.3.5 初版 価格:\2,000  何年か前のぼくであれば、文句なしにこの作品を一位に選んでいただろうなと思う。  何よりスケールが大きい。冷戦時代の宇宙兵器まで巻き込んだテロ絡みの国際謀略小説であり、舞台は世界最高峰という申し分なさ。エベレストの頂上近辺ばかりがほとんどのこの作品の舞台であり、それだけ山岳アクションとして特化した部分が評価されても不思議ではない。  主人公は日本人クライマー。世界の諜報員とゲリラと軍隊に囲まれて孤立無援のダイハードを演じる我らがヒーローは軽く『ホワイトアウト』あたりを凌駕する。何年か前なら、少なくとも『ホワイトアウト』以前であれば、あるいは『神々の山嶺』以前であれば、あるいは『遥かなり神々の座』以...
  • 絆回廊 新宿鮫
    絆回廊 新宿鮫X 題名:絆回廊 新宿鮫 著者:大沢在昌 発行:光文社 2011.6.10 発行 価格:¥1,600  10作目にして、鮫島シリーズは何を刻み込もうとしたのだろうか? そんな思いを胸に、長いシリーズの最新作を、一年遅れという体たらくながら、ようやく手に取る。  本作のトピックスは、出所したある男が警察官を付け狙うという復讐の構図である。とても深いわけがあって、どうしても射殺したいという復讐の思いが強く、しかし残忍な殺し屋ということではどうやらないらしい。古い任侠の文化を背負って、浦島太郎のように娑婆に出てきた初老の悲哀を身にまとっている。  一方、鮫島は、晶のバンドが薬がらみでマスコミに騒がれている状況を気にかける。群がるマスコミと晶にまで迫ってゆく疑惑の雲。  公私に渡り、じわじわと迫ってゆく、のっぴきならない状況が、ド...
  • 病棟封鎖72時間
    病棟封鎖72時間 題名:病棟封鎖72時間 原題:The Patient (2000) 作者:マイケル・パーマー Michael Palmer 訳者:川副智子 発行:ソニー・マガジンズ ビレッジブックス(文庫) 2002.10.20 初版 価格:\880  他でも書いたけれど、出版社がぼく宛に送ってくる本というのはまずこれは是非売り出したいのだという意欲作・自信作が多い。全米ベストセラーに挙げられながら日本ではなかなか取り上げられない不運な作家であるマイケル・パーマー。医師と作家の二足の草鞋を履いている作家と言えばロビン・クックだけれど、その数年後輩に当たるこの作家によるついに決定的となった作品が本書である、とは巻末解説から。  さて、ぼくの印象だが、間違いなくこれは決定打。どんなレベルかというとディーヴァーのリンカーン・ライム・シリーズや、ジョン・グリ...
  • 炎の回廊 満州国演義IV
    炎の回廊 満州国演義IV 題名:炎の回廊 満州国演義 IV 作者:船戸与一 発行:新潮社 2008.06.20 初版 価格:\2,000  満州国建国後、なお拡大し行く抗日運動。蒋介石を中心とする国民党、彼らに追われての敗走を長征と言い換え民衆の心を捉えてゆく天才・毛沢東指揮する中国共産党、彼らを背後からコントロールしようとするスターリンの赤化活動。入植した朝鮮農民らの非政治的抗日活動。ますます見えざる敵による包囲網に曝さた在満州の特務機関は、さらに過激で汚い策略を、秋枯れてゆく大地に展開する。寒風吹きすさぶ荒野で、敷島四兄弟の日々は、まだまだ国家的運命に翻弄され、風雪の中を転がってゆく。  そうした過酷さを描く視点は、常に四人の兄弟の目線であり、生活の中からのものである。登場する無数の民族たち。殺傷される無数の人間たち。裏切りと策略の大地。すべて...
  • 時の渚
    時の渚 時の渚 (文春文庫) 時の渚 題名:時の渚 作者:笹本稜平 発行:文藝春秋 2001.5.15 初版 価格:\1,524  通常なら見逃した作品だったろう。昨年のサントリーミステリー大賞受賞作なんてなかなか読まない。一つには行きつけの店のマスターに最後が泣けるいい作品だと進められたこと。一つには最近では珍しい本格的な山岳冒険小説『天空への回廊』が読みたいので、その下準備的に、新人作家のデビュー作しかも受賞作を読んでおこうと思ったこと。  正直読後三ヶ月経った今、既に内容を忘れてしまっており、あちこち斜め読みして、複雑な事件の謎にもう一度挑戦しなければならなかった。だからと言って読後に放り出した本というわけでもなかった。むしろ良質の捜査小説であった。  印象はいい作品だった、ということ。何十年も昔に遡らねばならない宿命という風土の上で、砂の...
  • 笹本稜平
    笹本稜平 長編小説 時の渚 2001 天空への回廊 2002 フォックス・ストーン 2003 太平洋の薔薇 2003 ビッグブラザーを撃て 2003 グリズリー 2004 極点飛行 2005 マングースの尻尾 2006 不正侵入 2006 許さざる者 2007 サハラ 2008 還るべき場所 2008 素行調査官 2008.10 越境捜査シリーズ 越境捜査 2007 挑発 越境捜査2 2010 破断 越境捜査3 2011 逆流 越境捜査 2014 偽装 越境捜査 2015 孤軍 越境捜査 2017 転生 越境捜査 2019 相剋 越境捜査 2020 流転 越境捜査 2022 連作短編集 駐在刑事 2006 恋する組長 2007
  • 東野圭吾
    東野圭吾 加賀恭一郎シリーズ 卒業 雪月花殺人ゲーム 1986 眠りの森 1989 どちらかが彼女を殺した 1996 悪意 1996 私が彼を殺した 1999 嘘をもうひとつだけ(連作短編集)  2000 赤い指 2006 新参者 2009 麒麟の翼 2011 祈りの幕が下りる時 2013 探偵ガリレオ・シリーズ 探偵ガリレオ(連作短編集) 1998 予知夢(連作短編集) 2000 容疑者Xの献身 2005 ガリレオの苦悩(連作短編集) 2009 聖女の救済 2009 真夏の方程式 2011 虚像の道化師 ガリレオ7(連作短編集) 2012.08 禁断の魔術 ガリレオ8(連作短編集) 2012.10 沈黙のパレード 2018 透明な螺旋 2021 長編小説 放課後 1985 白馬山荘殺人事件 1986 学生街の殺人 1987 11文字の殺人 1987 魔球 1988 香子の夢 ...
  • マイクル・パーマー Michael Palmer
    マイクル・パーマー Michael Palmer 長編 沈黙の病棟 1995 川副智子訳 有毒地帯 1996 川副智子訳 致死量 1991 林克己訳 D.I.C. -血液内凝固症候群 1994 吉澤康子訳 心優しき殺人 1983 林克己 病棟封鎖72時間 2002 川副智子訳 復讐病棟 2006 川副智子訳 共著 死者は眠らず 2011 北村あかね訳 26人の作家
  • 伴野 朗
    伴野 朗 長篇冒険小説 五十万年の死角 1976 殺意の複合 陳展望探偵譚 1977 Kファイル38 1978 33時間 1978 蒋介石の黄金 1980 陽はメコンに沈む 1980 六人目の裏切者 1980 ゾルゲの遺言 1981 野獣の罠 新聞記者稼業 1981 ハリマオ 1982 復讐の鎮魂歌 1982 密室球場 1982 傷ついた野獣 1983 香港から来た男 1983 大航海 1984 通り魔 1984 九頭の龍 1984 謀略回廊 1984 上海スクランブル 1984 さらば、黄河 1985 マッカ-サ-の陰謀 1985 さまよえる湖の伝説 1985 落陽曠野に燃ゆ 1989 北京の星 1989 大遠征 1990 暴露(スクープ)  1991 上海遙かなり 1992 上海発 奪回指令 1992 白い殺人者 1992 白公館の少女 1992 士は己を知る者のために死す 199...
  • 森 詠
    森 詠 燃える波濤 燃える波濤 第一部 1982 燃える波濤 第二部 1982 燃える波濤 第三部 1982 燃える波涛 明日のパルチザン 第4部 1988 燃える波涛 冬の烈日 第5部 1989 燃える波涛 烈日の朝 第6部 1990 キャサリン・シリーズ さらばアフリカの女王 1979 風の伝説 1987 陽炎の国 1989 横浜狼犬(ハウンドドッグ)シリーズ 青龍、哭く 1998 横浜狼犬(ハウンドドッグ) 1999 死神鴉 1999 警官嫌い 横浜狼犬エピソード〈1〉 2000 砂の時刻 横浜狼犬エピソード〈2〉 2001 オサム・シリーズ オサムの朝(あした) 1994 少年記―オサム14歳 2005 革命警察軍ゾル 革命警察軍ゾル〈1〉分断された日本 2006 続 七人の弁慶 七人の弁慶 2005 続 七人の弁慶 2006 長編小説 黒い龍 小説...
  • 大沢在昌
    大沢在昌 新宿鮫シリーズ 新宿鮫 1990 毒猿 新宿鮫2 1991 屍蘭 新宿鮫3 1993 無間人形 新宿鮫4 1993 炎蛹 新宿鮫5 1995 氷舞 新宿鮫6 1997 灰夜 新宿鮫7 2001 風化水脈 新宿鮫8 2000 狼花 新宿鮫9 2006 絆回廊 新宿鮫X 2011 暗約領域 新宿鮫XI 2019 黒石(ヘイシ) 新宿鮫XII 2022 狩人シリーズ 北の狩人 1996 砂の狩人 2002 黒の狩人 2008 雨の狩人 2014 冬の狩人 2020 佐久間公シリーズ 標的走路 1980 感傷の街角 1982 漂泊の街角 1985 追跡者の血統 1986 雪蛍 1996 心では重すぎる 2000 天使の牙シリーズ 天使の牙 1995 天使の爪 2003 BDTシリーズ B・D・T 掟の街 1993 影絵の騎士 2007 いやいやクリスシリーズ(短編...
  • グリズリー
    グリズリー グリズリー 題名:グリズリー 作者:笹本稜平 発行:徳間書店 2004.08.31 初版 2004.11.10 3刷 価格:\1,900  遅れてきた冒険小説作家なのだろう。時代が時代ならこうした作品は目白押しであり、読者たちはどこの書店に行っても、平積みにされた冒険小説の山に心躍らせたことだろう。  今ではむしろ映画と連動でもしない限り、書店の正面にこの手の作品が並ぶことは難しいだろう。映画にしても、かつてのようなロケ中心のものではなく、悪しきアメリカ文化の野放図な模倣のままに、CG中心の非現実的映像で擬せられた、迫力とスケールを売り物にした大仰な大作ばかりだ。  ヒギンズやマクリーンやフォーサイスの作品が、ひと頃のスクリーンを席巻した後に、本格冒険小説のブームは日本にもやってきたが、その頃はまた、いずれも映画とは連動せず、書店に、冒険...
  • 船戸与一
    船戸与一 <血と硝煙の世界……国境の向うの叙事詩>  船戸与一は、異色だ。早稲田大学探検部出身の彼が、モスクワ経由でソ連入りして国後島のチャチャヌプリを登ったという記事を読んで、彼は小説を書くために、現地踏査を厭わない人だと実感した。未だソ連邦崩壊前夜のことである。彼はその探検行を元に後に『蝦夷地別件』を創り上げた。  豊浦志朗の名義で『叛アメリカ史』を書いた彼は、先住民族とそれを虐げてきた略奪者たちの構図、その上に成り立った現代史の上に皺ぶく闘争と不条理の歴史に、小説という弾薬をもって風穴をあけようと試みてやまない。恩讐と欲望の果てに沸き起こる血と硝煙の宴を、彼のペンは日本冒険小説の名の下になぞってゆく。他の誰もが決してやろうとはしない世界の果てを自ら旅し、取材し、調査し、彼なりの咀嚼を施す。  われわれが目撃するのは小説作品というかたちに昇華された彼なりの叙...
  • フォックスストーン
    フォックス・ストーン フォックス・ストーン (文春文庫) 題名:フォックス・ストーン 作者:笹本稜平 発行:文藝春秋 2003.05.15 初版 価格:\1,905  年間一作というペースがいい。雑なところがまったく見られない、練りに練られた文章だけで構成された小説作りがもののみごとに結果として反映されている。実力を見せつけるがごとき文章力によって鎧われたプロットがこれまた凝りに凝っている。一ページあたりの密度がそこらの小説に見習って欲しいほどで、どこもかしこも濃厚である。  主人公が日本人でありながらフランス外人部隊上がりの元傭兵、現セキュリティ・コンサルタントが、傭兵時代のパートナーの不審な死の謎を追って、アフリカ小国の虐殺の落とし物を拾って歩く物語。傭兵と聞いただけで、柘植久義あたりを思い出してぼくはうんざりする口なのだが、作品ごとに毛色を変えてくる...
  • 我が名は切り裂きジャック
    我が名は切り裂きジャック 題名:我が名は切り裂きジャック 上/下 原題:I, Ripper (2015) 作者:スティーヴン・ハンター Stephen Hunter 訳者:公手成幸 発行:扶桑社ミステリー 2016.5.10 初版 価格:各\900-  あまりにも有名な殺人鬼<切り裂きジャック>について書かれた本をぼくはこれまで読んだことがない。特に読まなかったことの理由はない。ほとんどの作品を読んでいるはずのパトリシア・コーンウェルが『切り裂きジャック』を書いた時にもなぜか食指が動かなかった。  ほとんどの作品を読んでいるこの作家スティーヴン・ハンターの本書にしても買ってすぐに手に取ったわけではない。半年以上経った頃になってようやく、それもどちらかと言えば気が向かぬままに手に取った。  古いロンドンの街を脅かした切り裂きジャックが有名...
  • 黒石(ヘイシ) 新宿鮫XII
    黒石(ヘイシ) 新宿鮫XII 題名:黒石(ヘイシ) 新宿鮫XII 作者:大沢在昌 発行:光文社 2022.11.30 初版 価格:¥1,800  『絆回廊』が前作から5年ぶり、さらに8年空けて『暗躍領域』、今度は3年空けて本書であり、『暗躍領域』とは、主人公鮫島の環境、捜査仲間、上司なども含めて姉妹作と言ってもよく、シームレスで繋がる雰囲気の新作。  本作では、中国と日本の混血であるアナーキーな多重国籍者たちで成り立つ秘密結社「八石」の暗躍を舞台に、そのメンバーの統一を図る暗号名<徐福>なる正体不明の人物と、彼の手足として冷血で残忍な殺しを請け負う「黒石」なる謎の人物を中心とした連続殺人を、鮫島、公安からの出向者・矢崎が追う。二人の背後を守るのは、前作から桃井に代わって登場した女性上司・阿坂、シリーズで一貫して活躍する鑑識の藪も健在である。 ...
  • 優しいおとな
    優しいおとな 題名:優しいおとな 作者:桐野夏生 発行:中央公論新社 2010.09.25 初版 価格:\1,500  イラスト入りの本であることが珍しい。小説とイラストが完全にマッチしていることも珍しい。読売新聞土曜日版に連載されていたらしい。そのときのイラストをふんだんに使ってくれたのかな。いずれにせよ、とてもいい。  時は近未来。経済も文化もどこかで破綻してしまっているらしい日本。荒廃した渋谷エリアを舞台に、浮浪児の自分探しの旅を描いた、少し緊張感のある小説である。ちょうどオーストラリアあたりでは、マッドマックスが暴走族集団を血祭りに上げている頃なのかもしれないし、アメリカでは人工臓器を回収するレポメンたちが支払未納者の腸を抉り出している時代なのかもしれない。マンハッタン島は全体が刑務所として封鎖されている時代なのかもしれないし、北陸ではハル...
  • 硝子の太陽 R -ルージュ
    硝子の太陽 R -ルージュ 題名:硝子の太陽 R -ルージュ 著者:誉田哲也 発行:中央公論新社 2016.5.15 初版 価格:\1,500-  『ジウ』のシリーズ自体が、現実性に乏しい歌舞伎町封鎖という事態まで風呂敷を広げてしまったものなので、その続編がその影響を受けて軽めになってしまうのも仕方ないと思うが、事実続編として次々と作品を上梓してゆかなければならいのも、作者、あるいは版元の方向性によるものだろう。一旦完結したかに見えた『ジウ』シリーズの続編として『歌舞伎町セブン』が書かれた時点で、何もシリーズに無理やり繋げることはなかったように思うし、『国境事変』その他でこのシリーズに着き居続けた東刑事が、ここで姫川玲子のシリーズに交わることで、『ジウ』シリーズ生き残りの主要キャラクターが、同じ地平に立つことになった。  『ジウ』シリーズは大がかりな事...
  • 硝子の太陽 N -ノワール
    硝子の太陽 N -ノワール 題名:硝子の太陽 N -ノワール 著者:誉田哲也 発行:中央公論新社 2016.5.15 初版 価格:\1,500-  『ジウ』のシリーズ自体が、現実性に乏しい歌舞伎町封鎖という事態まで風呂敷を広げてしまったものなので、その続編がその影響を受けて軽めになってしまうのも仕方ないと思うが、事実続編として次々と作品を上梓してゆかなければならいのも、作者、あるいは版元の方向性によるものだろう。一旦完結したかに見えた『ジウ』シリーズの続編として『歌舞伎町セブン』が書かれた時点で、何もシリーズに無理やり繋げることはなかったように思うが、『歌舞伎町セブン』が、単発であるかに思えた『ハング』と、シリーズ『ジウ』のそれぞれの生き残りの主要キャラクターがメンバーにいるという点でのみ、『ジウ』でも『セブン』でもない『歌舞伎町』シリーズが継続されることにな...
  • 許さざる者
    許さざる者 題名:許さざる者 作者:笹本稜平 発行:幻冬舎 2007.12.05 初版 価格:\1,600  この作家にとって原点回帰と言える作品なのかもしれない。江戸川乱歩賞に較べるとだいぶ知名度が低いかもしれないサントリー・ミステリー大賞・読者賞をダブル受賞した『時の渚』を彷彿とさせる作品である。『時の渚』はデビュー二作目とは言え、笹本稜平名義としては、初となる。処女作は阿由葉稜名義での『暗号―BACK‐DOOR』である。こちらは、後に『ビッグ・ブラザーを撃て』と改題、改めて笹本稜平名義で文庫化されている。  いずれも名義に稜線の「稜」の字を使っている。ぼく自身、山をやっていた経緯から小説を書いてペンネームをつけるならば「稜」の字は外せない、などと長年思っていたという恥ずかしい経緯などもあり、何となく自分的には素直にこの作家が好きになり切れない...
  • 越境捜査
    越境捜査 題名:越境捜査 作者:笹本稜平 発行:双葉社 2007.08.25 初版 価格:\1,500  笹本稜平は、とにかくプロットで勝負したがる作家である。一作目『時の渚』で抱いた印象では、情緒型ハードボイルド作家というイメージだったのだが、第二作『天空への回廊』は、フレデリック・フォーサイスのような海外型の大スケール冒険小説であったから、先の印象を一掃せざるを得なくなった。その後、どちらかと言えばハードボイルド作家というよりも、スケール型冒険小説作家として、緻密な謀略、絡み合った力関係、といった組織優先型の大型ストーリーを売り物にしているようだった。一方でキャラクターが立っていないなどの批判の声も強く、ある意味、時代のニーズに対する弱さを露呈してもいた。 同じようなことを海外リーガル・サスペンス作家、フィリップ・マーゴリンが言われている。法廷...
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