wiki クライムウェイヴ(Sysop読書録 活字をめぐる冒険) 内検索 / 「最後の審判」で検索した結果

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  • 最後の審判
    最後の審判 題名:最後の審判 原題:The Final Reckoning (2019) 著者:ロバート・ベイリー Robert Bailey 訳者:吉野弘人 発行:小学館文庫 2021.12.12 初版 価格:¥1,100  胸アツ四部作の掉尾を飾る力作の登場である。前作が三作目なのにタイトルが『ラスト・トライアル』。そこまでを読んでいない方には、このレビューは前作含めてのネタばれなのでご注意。しかし……。  そもそも第一作『ザ・プロフェッサー』から癌を患ってしまった老主人公なので、第三作目で再発し、第四作目での確実な死が予告されている物語である。読み側としての覚悟はネタばれでなくてもある程度求められるのが本シリーズを通しての「時は過ぎゆく」という大テーマであるかに見えてくる。  こうした哲学的テーマの重低音の上に展開するのが今回は、血の匂...
  • ロバート・ベイリー Robert Bailey
    ...018 吉野弘人訳 最後の審判 2019 吉野弘人訳 ポーセフィス・ヘインズ・シリーズ 嘘と聖域 2020 吉野弘人訳 ザ・ロング・サイド 2021 吉野弘人訳 ノン・シリーズ ゴルファーズ・キャロル 2020 吉野弘人訳
  • 最後の旋律
    最後の旋律 最後の旋律―87分署シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1787) 題名:最後の旋律 原題:Fiddlers (2005) 作者:エド・マクベイン Ed McBain 訳者:山本 博 発行:ハヤカワ・ミステリ 2006.5.31 初版 価格:\1,100  本当に本当に、これが87分署シリーズ最後の作品なのか?  軽妙洒脱なセリフの行間を味わう。意表を突く場面展開を味わう。刑事たち一人一人の登場シーンを、本当にこれが最後の彼らの登場シーンなのか? と自問しながら、じっくりと読み進む。  キャレラの子供たちが成長し、まるでかつてのバーンズの息子みたいに薬物に手を伸ばすシーンがある。キャレラは年を取らなくても、子供たちは少しずつだが、シリーズの中で生まれ、そして成長してきたことを、今さらながら感じる。  麻薬がらみの連...
  • 殺し屋 最後の仕事
    殺し屋 最後の仕事 題名:殺し屋 最後の仕事 原題:Hit And Run (2008) 作者:ローレンス・ブロック Lawrence Block 訳者:田口俊樹   発行:二見文庫 2011.10.20 初版 価格:\876  日頃どうも恵まれないとつくづく思い残念に思うのが、海外ミステリの書店ブースにおける取り扱いのあり方である。その中でも二見文庫の扱いなどはひどいものだ。扱っていればまだいい方と言えよう。  いや、もちろんこの作品の存在を季節外れにぼくが発見しなければならなかったことの非をもちろん書店にぶつけようというものではない。冒険小説フォーラムをNifty Serve(パソコン通信)に開設していた頃は、二見書房含め、多くの新刊情報を取り寄せてメンバーの皆様に紹介していたものだが、インターネットの時代が到来してからはそうした情報発信はあまり...
  • 最後の巡礼者
    最後の巡礼者 題名:最後の巡礼者 上/下 原題:Den SIste Pilegrimen (2013) 著者:ガード・スヴェン Gard Sveen 訳者:田口俊樹 発行:竹書房文庫 2020.10.8 初版 価格:各¥1,200  ノルウェイのミステリーといえばジョー・ネスポとサムエル・ビョルクくらいしか読んでいない気がするが、本書は「ガラスの鍵賞」他、北欧ミステリーで三冠を挙げた警察小説であるらしい。それも本邦初訳となる作家。それにしてもぐいぐい読める本とは、こういう作品のことを言うのだろう。  2003年の猟奇的殺人事件を捜査するオスロ警察のトミー・バークマン刑事。1945年戦後に起こるミステリアスな殺人。1939年に始まるイギリス籍ノルウェー人女性アグネス・ガーナーによるスパイ活動の物語。これらが、場面と時代を変えて語られてゆく。最初は...
  • 最後の陪審員
    最後の陪審員 題名:最後の陪審員 上/下 原題:The Last Juror (2004) 作者:ジョン・グリシャム John Grisham 訳者:白石 朗 発行:新潮文庫 2008.01.01 初版 価格:各\667  先に『大統領特赦』が邦訳されたが、執筆順序としてはこちらが先行する。長篇小説としては、ロング・バケーション・モードに入ったかと思われたグリシャムだったが、ここ一年くらいの間に、ノンフィクション『無実』と合わせると一気に三作、いずれもが大作であり、力作であるところの、とてもグリシャム・ライクな、手を抜かぬ本ばかりが届けられている。訳者の白石朗さんは、相当のハードワークだったのではないろうか。やはりグリシャムは、白石さんの翻訳でなくてはならない。超訳なんていう原作を無視した無作法な出版物を、ぼくは絶対に読まないのだ。  さて『大...
  • ローラ・フェイとの最後の会話
    ローラ・フェイとの最後の会話 題名:ローラ・フェイとの最後の会話 原題:The Last Talk with Lola Faye (2011) 作者:トマス・H・クック Thomas H. Cook 訳者:村松潔 発行:ハヤカワ・ミステリ 2011.10.15 初版 価格:\1,700  トマス・H・クックは、私立探偵小説から昔々に卒業した。その後は、過去に材を置く独自な視点のミステリを書くというスタイルで、より高い成功を収めている。記憶シリーズ三部作と勝手に呼ばれているが、その三作だけで本当の記憶シリーズが終わったわけではなかった。  トマス・H・クックは、今も、記憶をまさぐるミステリという創作手法にこだわり続けている。過去に材を取りながら、それを一人称や三人称で、何とかナチュラルに掘削してゆくような、いわば地下記憶の発掘作業のような小説づくり...
  • 審判
    審判 競馬シリーズ 『審判』 ディック・フランシス/フェリックス・フランシス 題名:審判 原題:Silks (2008) 著者:ディック・フランシス/フェリックス・フランシス Dick Francis & Felix Francis 訳者:北野寿美枝 発行:ハヤカワ・ノヴェルズ 2008.12.25 初版 価格:\1,900  ディック・フランシスが一度ぺンを折った、いやさ、折りかけたのは、メアリ夫人の逝去が、ディックの心に投げかけた痛手が重すぎ大きすぎたためだろうと思われていた。それ以上に、メアリ夫人はずっとディック作品に共著とされてもおかしくないほど作品に深く関わっていたと伝えられる。  ディックの作品には、毎作毎に異なる職業の主人公が据えられるが、その職業に応じて作品世界は彩色される。いわば競馬界とミステリ界しか知らない(おっと、飛行機...
  • ジャック・ヒギンズ
    ジャック・ヒギンズ Jack Higgins リーアム・デブリン登場作 鷲は舞い降りた 1975 菊池 光訳 鷲は舞い降りた【完全版】 1975 菊池 光訳 テロリストに薔薇を 1982 菊池 光訳 黒の狙撃者 1983 菊池 光訳 鷲は飛び立った 1991 菊池 光訳 ショーン・ディロン・シリーズ 嵐の目 1992 黒原敏行訳 サンダー・ポイントの雷鳴 1993 黒原敏行訳 密約の地 1994 黒原敏行訳 悪魔と手を組め 1996 黒原敏行訳 闇の天使 1997 黒原敏行訳 大統領の娘 1997 黒原敏行訳 ホワイトハウス・コネクション 1998 黒原敏行訳 審判の日 2000 黒原敏行訳 復讐の血族 2001 黒原敏行訳 ジャック・ヒギンズ名義 復讐者の帰還 1962 槙野 香訳 地獄の群集 1962 篠原 勝訳 虎の潜む嶺 1963 伏見威蕃訳 裏切りのキロス 1963 ...
  • サンドリーヌ裁判
    サンドリーヌ裁判 題名:サンドリーヌ裁判 原題:Sandrine s Case (2013) 作者:トマス・H・クック Thomas H.Cook 訳者:村松潔 発行:ハヤカワ・ミステリ 2015.01.15 初版 価格:\2,100  泣かされる本には本当に困る。ガツンと音が出そうなくらいの痛みが、読後の充実感に変わって心の中に広がるとき、人間としての弱さを突かれたような驚きによって感動が一気に沸騰してくるようなケースだ。  時にそれは最後の一行であったり、最後の一シーンであったりする。この本に関して言えば最後の一ページだ。このページが心を銃撃する火薬量は生半可なものではなかった。  いつもながらの回想シーンの叙述と現在の状況とを交互に繰り出して、事件の全体像を抉り出す、丹念に仕上げられた木工細工のような誠実な仕事ぶりはクックそのものである。...
  • 梁 石日
    梁 石日 長編小説 族譜の果て 1989/01 夜を賭けて 1987/04 夜の河を渡れ 1990/11 子宮の中の子守歌 1992/05 断層海流 1993/10 雷鳴 1995/10 Z 1996/06 血と骨 1998/02 死は炎のごとく(「夏の炎」へ改題) 2001/01 睡魔 2001/04 裏と表 2002/02 終りなき始まり 2002/08 闇の子供たち 2002/11 異邦人の夜 2004/10 海に沈む太陽 2005/06 カオス 2005/09 ニューヨーク地下共和国 2006/09 エッセイ・評論 タクシ-ドライバ-日誌 1984/09 タクシー狂躁曲 1987/09 ドライバー・最後の叛逆―タクシードライバーならではの知恵袋 1987/10 アジア的身体 1990/04 男の性解放 なぜ男は女を愛せないのか 1992/12 タクシードライバーほろにが日記...
  • ガード・スヴェン Gard Sveen
    ガード・スヴェン Gard Sveen 長編小説 最後の巡礼者 2013 田口俊樹訳
  • 花見川のハック
    花見川のハック 遺作集 花見川のハック (角川文庫) 花見川のハック 題名:花見川のハック 作者:稲見一良 発行:角川書店 1994.7.5 初版 価格:\1,400(本体\1,359)  わずか数冊だが、忘れられぬ短編集を残してくれた故稲見一良の最後の短編集。でも、遺作を集めたというだけではなく、「前書き」から最後の詩「鳥」まで作者の<遺書>とも見えそうな、素敵なまとまり方をしている一冊で、ぼくにはまたも忘れることのできそうもない大切な本になってしまった。  7月に読み終えて、感想をなかなか書けないままに、稲見一良という作家の紡ぎ出したいく編もの物語と、子供たち、親たち……そういうものを心に止めてここまで来てしまった。ぼくはこういう物語を客観的にどうこう言えないまでのめってしまったのである。  不良少年が、できのいい小賢しい子供に較べてどれほ...
  • バースデイ
    バースデイ 題名 バースデイ 著者 鈴木光司 発行 角川書店 1999.2.5 初版 1999.2.20 4刷 価格 \1,400  『リング』三部作のエピソードでまとめられた中短編集。もちろんサイド・ストーリーに近い話だけなので、味わいは、本編に比べるとずっと薄い。中編の『レモンハート』は映画化されたばかりだけど、『リング』人気にあやかっているとは言え、恐怖の 濃度はずっと薄味だろう。  だけど『リング』三部作の読者にとっては、これらの物語はどれも興味深いものばかりだ。貞子の劇団時代の恋愛や、高野舞の屋上での体験の真相、そして杉浦礼子の後日談。どれを取っても『リング』読者には垂涎もの。  なぜこんなエピソードにまで惹かれるかと言うと、それは『リング』が世界を構築するのに成功している小説だからだと思う。その世界への興味が...
  • ゼルプの殺人
    ゼルプの殺人 題名:ゼルプの殺人 原題:Selbs Mord (2001) 作者:ベルンハルト・シュリンク Bernhard Schlink 訳者:岩淵達治、他 発行:小学館 2003.04.20 初版 価格:\1,714  作者自らがインタビューで言うには、このシリーズはドイツ戦後史三部作にするつもりであった。1987年『ゼルプの裁き』、1992年『ゼルプの欺瞞』。「そろそろ第三部を出す潮時だ。舞台は統一ドイツだ」  ゲーアハート・ゼルプ、私立探偵。既に七十歳を越えて久しい。今ではほとんど依頼も稀である。これが自分の最後の事件だと覚悟してゆく。老いそのものが重要なテーマになっている。  ベルリンの壁の向こうから元シュタジィだったと言ってゼルプの息子を名乗る若者が現われる。一方では個人銀行を使ったマネー・ロンダリングとロシアン・マフィアの流...
  • 午後の行商人
    午後の行商人 午後の行商人 午後の行商人 (講談社文庫) 題名:午後の行商人 作者:船戸与一 発行:講談社 1997.10.15 初版 価格:\2,100  鮮度が落ちた頃に読んだのだけど、何と、この物語の時期はツパクアマルによるペルーの日本大使館占拠事件の前後。旧い話どころか記憶に新しい事件ではないか。船戸の得意とする南米より少し北にずれた中米はメキシコが舞台。ペルーとは政治的な意味でも陸続きの中米、メキシコ南部のゲリラ地帯は、アウトローや政治分子の暗躍する血と硝煙の土地であったのだ。  船戸の辺境ルポルタージュものと言える『国家と犯罪』に多くのページを裂かれているメキシコの暗部を、物語の形で紡ぎ出したその力量は相変わらずだし、彼の一貫性のある作家的姿勢を見つめ続けてきた読者には、裏切られる事のないひさびさの大作であろう。  タランチュラと言わ...
  • 迷子の王様 君たちに明日はない 5
    迷子の王様 君たちに明日はない 5 題名:迷子の王様 君たちに明日はない 5 著者:垣根涼介 発行:新潮文庫 2016.11.01 初刷 2014.05 初版 価格:¥550-  2000年から12年間にわたり書き継がれてきたリストラ請負会社・村上真介シリ-ズ『君たちに明日はない』の最後の一冊である。12年の間、沢山の企業から依頼され、数多くのリストラ対象の人々との面談を果たし、あまりにも多くの人生を見聞きし、かつ多くの人を人生の岐路に立たせてきた職業。その当事者たちとの間には、良い出会いも、悔いの残る出会いもあったろう。しかし多くの場合、良い出会い、印象に残る出会いが村上真介にはあった。それが多くの場合良い作品となっている。それがなければ、バブル崩壊後の日本経済を背景にした、人切りというネガティブな仕事を、小説として昇華させることなんて、とても考えられない。...
  • 黄昏の狙撃手
    黄昏の狙撃手 題名:黄昏の狙撃手 上・下 原題:Night of Thuunder (2008) 作者:スティーヴン・ハンター Stephen Hunter 訳者:公手成幸 発行:扶桑社ミステリー 2009.10.30 初版 価格:各\800  ボブ・リー・スワガーも初老の年齢となったが、前作では、『キル・ビル』を彷彿とさせる、白羽を交えた闘いを、まさかの日本で展開してきたばかり。その死闘の古傷も癒えぬというのに、前作では荒れ地に馬を乗りこなしていた愛娘ニッキの危機を知り、ナスカー・レースの開催されるブリストルの街を訪れる。  剣に続いては車! 最近のハンター作品は、ボブ・リーの高齢化か、作者のそれか知らぬが、創作のモチーフにも趣味が混じるなど余裕の出てきた感が強い。もちろんその分だけ強引なストーリー展開に持ち込まねばならないのだが、そのあたり...
  • 北村 薫
    北村 薫 時と人 三部作 スキップ 1995 ターン 1997 リセット 2001 円紫シリーズ 空飛ぶ馬 1989 夜の蝉 1990 秋の花 1991 六の宮の姫君 1992 朝霧 1998 覆面作家シリーズ 覆面作家は二人いる 1991 覆面作家の愛の歌 1995 覆面作家の夢の家 1997 長篇、その他 冬のオペラ 1993 水に眠る 1994 月の砂漠をさばさばと 1999 盤上の敵 1999 街の灯 2003 語り女たち 2004 ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件 2005 紙魚家崩壊 九つの謎 2006 ひとがた流し 2006 玻璃の天 2007
  • 無実
    無実 題名:無実 上/下 原題:The Innocent Man (2006) 作者:ジョン・グリシャム John Grisham 訳者:白石 朗 発行:ゴマ文庫 2008.03.10 初版 価格:各\762  グリシャムによる最初で最後のノンフィクションらしい。最後の、というのは、グリシャム自信がこれからはフィクションしか書かないとあとがきで書いているからだ。  グリシャムがノンフィクションを書こうと思い立ったきっかけは、ある犯罪裁判のニュースに触れたことがきっかけである。何が作家をして膨大な調査作業に駆り立てたのかわからない。彼は、数時間のうちに主だった関係者に連絡を取り、その後、関係する場所に飛び、多くの事件関係者にインタビューを試みる。とにかく小説とは違った種類の労力を惜しげもなく駆使して、彼は一本のノンフィクション大作に仕上げた。そし...
  • 象牙色の嘲笑
    象牙色の嘲笑 題名:象牙色の嘲笑 原題:The Ivory Grin (1952) 作者:ロス・マクドナルド Ross Macdonald 訳者:小鷹信光・松下祥子 発行:ハヤカワ文庫HM 2016.4.15 初版 価格:\1,000-  ロスマクは読んでいなんだ、と言うと驚かれる。チャンドラーのマーロウものとハメットのスペードものは網羅しているのに、ロスマクまで歴史を追えないうちに、早くもジェイムズ・クラムリィ、ジョー・ゴアズ、ロバート・B・パーカー、アンドリュー・ヴァクス、ウォルター・モズリィなど、自分にとってのリアルタイム・ハードボイルドを追うことで忙しくなってしまったのだと思う。  なのでここに来て恥ずかしながら初のロスマク。これもきっと小鷹信光さんの最後の仕事と知らなかったら、そしてハヤカワがハードボイルド翻訳家の旗手である小鷹さんをしっか...
  • イアン・ランキン Ian Rankin
    イアン・ランキン Ian Rankin ジョン・リーバス警部シリーズ 紐と十字架 1987 延原康子訳 影と陰 1991 延原康子訳 血の流れるままに 1996 延原康子訳 黒と青 1997 延原康子訳 首吊りの庭 1998 延原康子訳 死せる魂 1999 延原康子訳 蹲る骨 2000 延原康子訳 滝 2001 延原康子訳 蘇る男 2002 延原康子訳 貧者の晩餐会(短編集) 2002 延原康子訳 血に問えば 2003 延原康子訳 獣と肉 2004 延原康子訳 死者の名を読み上げよ 2006 延原康子訳 最後の音楽 2007 延原康子訳 他人の墓の中に立ち 2012 延原康子訳 寝た犬を起こすな 2013 延原康子訳 警部補マルコム・フォックス 監視対象 2010 熊谷千寿訳  偽りの果実 2011 熊谷千寿訳
  • この密やかな森の奥で
    この密やかな森の奥で 題名:この密やかな森の奥で 原題:These Silent Woods (2021) 著者:キミ・カニンガム・グラント Kimi Cunningham Grant 訳者:山崎美紀 発行:二見文庫 2023.11.20 初版 価格:¥1,300  本書は、わけあって森で隠遁生活を送っている父と娘の物語。前半はほぼ森の生活の描写に費やすが、父と七歳になろうとする幼い娘との森の中の隠遁生活はメルヘンのようだ。不思議な独り暮らしをする森の隣人以外、誰もいない世界で父は娘を育てている。  それにはもちろんわけがあって、主人公は特殊部隊の兵士という過去を持ちその経験は誰にも言えない。当時の部隊仲間だった友人ジェイクだけが年に一度膨大な食糧や生活必需品を携えて彼らのキャビンを訪れる以外、人に会うことはない。7歳になろうとする娘の生きるパワーと...
  • プロフェッショナル
    プロフェッショナル 題名:プロフェッショナル 原題:The Professional (2009) 作者:ロバート・B・パーカー Robert B. Parker 訳者:加賀山卓朗 発行:早川書房 2009.11.15 初版 価格:\1,900  ついにロバート・B・パーカーがこの世を去ってしまった。近年、四つのシリーズ作品を書き継ぎ、そればかりではなくティーンエイジャー向けの小説や、独立した物語も意欲的に執筆していただけに、急な逝去が何とも残念でならない。  パーカー作品は、翻訳が早いので、残された未訳の作品はあまり多く残されていないかもしれない。本書はスペンサーの最後の作品になるのか、という想いで、こちらは手にとったのだが、もちろん本書は多くのパーカー作品と同じように、さほど力の入った作品とは言えない。中くらいのドラマに収まっているあたりが、パーカ...
  • 真夜中のデッド・リミット
    真夜中のデッド・リミット 題名:真夜中のデッド・リミット(上・下) 原題:THE DAY BEFORE MIDNIGHT 作者:STEPHEN HUNTER 訳者:染田屋茂 発行:新潮文庫 1989年4月25日 初版 定価:各\480(本体\466)  『クルドの暗殺者』の出来が良かったので前作も読むことにしたのだが、これは翻訳は先んじたものの『クルド』よりずっと後の作品。実にシンプルに核ミサイル基地占領というドラマが始まり、真夜中に向けてすべての登場人物たちが熾烈な攻防を展開する。特定の主人公はなく、事件全体を通しての群像ドラマだ。感想というのは実にいろいろな書き方があるのだと思うが、この作品は一言ですべてを言い表したいところがある。「面白い」という有無を言わさぬ一言で……。  まず、なかなか寝られなくなるテンポのいい展開。決してゆるみを見せな...
  • 壊れた世界の者たちよ
    壊れた世界の者たちよ 題名:壊れた世界の者たちよ 原題:Broken (2020) 作者:ドン・ウィンズロウ Don Winslow 訳者:田口俊樹 発行:ハーパーBOOKS 2020.07.20 初版 価格:¥1,291  分厚い熱気の塊のような長編小説を書き続ける日々の合間に、作家の中から零れ落ちそうになった別の物語たちを、この機会にきちんとした形で作品化させ、出版させるということになり、本書は登場したという。どこかで零れ落ちそうになっていたこれらの物語を今、6つの中編小説というかたちで読める幸せをぼくは感じる。  それとともに本書はウィンズロウのこれまでの作品の総括であり集大成ででもあるように見受けられる。かつてのシリーズや単発作品の懐かしくも印象深い人物たちがそこかしこで、しかも今の年齢なりに成長したり歳を重ねたりして登場してくれるからだ。読者...
  • ボストン、沈黙の街
    ボストン、沈黙の街 題名:ボストン、沈黙の街 原題:Mission Flats (2003) 作者:ウィリアム・ランデイ William Landay 訳者:東野さやか 発行:ハヤカワ文庫HM 2003.09.30 初版 価格:\1,000  装丁や広告で謳っているほどに派手な作品ではない。出版社が目論むほどの売上が期待できるかというと、その手の(ディーヴァーやグリシャムのような)メジャーに乗ってゆく作品というわけでも別にない。思いのほか地味で、静かな作品である。  ボストンという街に対して抱くわれわれの犯罪イメージがどの程度を考えた場合、やはりそれはニューヨークやマイアミといったよく知られる組織犯罪のエリアには遠く及ばない気がする。かろうじてロバート・B・パーカーがスペンサーシリーズで描いてきたボストンのイメージから、大学や芸術や品のいい街とい...
  • 刑事群像
    刑事群像 題名:刑事群像 作者:香納諒一 発行:講談社 2015.02.18 初版 価格:\1,600  最終頁を閉じると同時に思わずうーんと唸ってしまった。唸りにも二通りある。不満のうーんと、満足のうーんである。今回は後者の唸りで、うーんの後にすごいな、と付け加えた。繊細に積み上げた造形物のように、まるでマクロなスケールを持った定規で計算され描かれた設計図のように、思われるが、おそらくそうではあるまい。  現在に起こった事件そのものが二年前の未解決事件と関連付けられてゆき、二年前の事件に関わった刑事たちと、現在の刑事たちが存在する。物語の奥行が、時間的にも距離的にも持つことになった二重構造のために、さらに合わせ鏡のように響き合い、時間の差が生じ、過去の死者と現在の死者が物言わぬ言葉を証拠や死に様によって語り始める。すごいな、と思う。  物語は...
  • 夜空のむこう
    夜空のむこう 夜空のむこう 題名:夜空のむこう 作者:香納諒一 発行:集英社 2004.05.10 初版 価格:\2,200  「夜空ノムコウ」という曲が川村結花やSMAPによってヒットしたのは1998年頃のこと。本書は長編大河小説みたいでもあるが、基本的には連作短編集と言ってしまったほうがいいように思える。1999年の秋から雑誌に半年、あるいは三ヶ月おきくらいに掲載されて2003年の3月に最後の章が書かれている。掲載時には『エディターズ・ライターズ』というタイトルだったこの最後の作品が、単行本に纏められた2004年の時点では『夜空の向こう』と改められ、そのまま表題作となった。ヒットした漢字+カタカナの歌とは何の関係もないだろうが、『エディターズ・ライターズ』よりはよほど庶民受けすることだろう。  本来ハードボイルドや冒険小説作家である香納諒一が、短編小...
  • ジョン・グリシャム
    ジョン・グリシャム John Grisham ブルース・ケーブル・シリーズ グレート・ギャツビーを追え 2017 村上春樹訳 狙われた楽園 2020 星野真里訳 長編小説 評決のとき 1989 白石朗訳 法律事務所 1991 白石朗訳 ペリカン文書 1992 白石朗訳 依頼人 1993 白石朗訳 処刑室 1995 白石朗訳 原告側弁護人 1995 白石朗訳 陪審評決 1996 白石朗訳 パートナー 1997 白石朗訳 路上の弁護士 1998 白石朗訳 テスタメント 1999 白石朗訳 スキッピング・クリスマス 2001 白石朗訳 ペインテッド・ハウス 2001 白石朗訳 最後の陪審員 2004 白石朗訳 大統領特赦 2007 白石朗訳 奇跡のタッチダウン 報酬はピッツァとワインで2007 白石朗訳 謀略法廷 2008 白石朗訳 アソシエイト 2009 白石朗訳 自白 2010 白...
  • 希望荘
    希望荘 題名:希望荘 著者:宮部みゆき 発行:文春文庫 2018.11.10 初刷 価格:\900-  中編四作を合わせた、ご存じ杉村三郎シリーズ三長編(『誰か Somebody』『名もなき毒』『ペテロの葬列』)のその後を描く連作中編集である。この一冊の本に副題があるとしたら、それはきっと<誠実>だろう。  何しろ杉村三郎という新米探偵自体が「誠実」の塊みたいな存在である。作者自身の誠実さの分身とも言える。  そして作品そのものがとても誠実に見えるということでもある。小説作法に。そして作品が向かい合う現実との折り合いということに関して。杉村三郎探偵事務所を流れる時間と、連作中編集ならではの各作品を接続してゆくメインプロット外の様々な様相(人々・土地・場所・いきさつ)の描写において。  とりわけ小説の背景となる時間軸が実に正確である。おそら...
  • light goodbye
    ライト・グッドバイ 作者:東 直己 発行:ハヤカワ・ミステリワールド 2005.12.15 初版 価格:\1,700  すすきの便利屋シリーズについては、かつては古い時代を回想するようなノスタルジックな文体でスタートしたものだったが、『探偵は吹雪の果てに』以降、時制は現在になり、便利屋は一気に歳をとった。  本書では、五十歳を迎えようとしている四十代最後の日々を、足掻く便利屋。酒もめっきり弱くなったと嘯く姿が何となく切ない感が強いのも、四十代最後の一日を控えて本書を読むというぼくの側の時制と、偶然とはいえ、あまりにシンクロしているからか。  かつてはスーパーニッカのボトルをぐいぐい空けていた主人公は、今やサウダージというオリジナル・レシピによる陣ベースのカクテルをすすきのでヒットさせる個人的活動に励んでいる。それでいて、生活の糧は、キャバクラ嬢の猫...
  • グレイヴディッガー
    グレイヴディッガー 題名 グレイヴディッガー 作者 高野和明 発行 講談社 2002.7.31 初版 価格 \1,700  最初からジェットコースター・サスペンスなので、読んでいてこれほど心地の良い乗り物はなく、スピードも快適だし、謎も楽しいのだけれど、着地点が悪過ぎた。  無責任に謎を広げ過ぎてしまいついに収拾のつかなくなってしまう小説というのは今に始まったことではないけれど、この程度の長さの小説なら、きちんと謎には落とし前をつけないとと思う。  タイトルからして、墓場から甦った死者による復讐。そういうホラーめいた伝説と、遺体が盗み出される現実の話とは別次元の話のはず。科学的領域にプロットを進み入れるくらいなら、ジグソーパズルはきちんと最後まで嵌め残さないで欲しい。  せっかくのジェットコースター・アクションがこういう一点でお茶を...
  • 逃亡
    逃亡 題名:逃亡 作者:帚木蓬生 発行:新潮社 1997.8.15 第4版 1997.5.30 初版 価格:\2,300  ----後半のみ【ネタバレ警報】  重い題材というのは、簡単に言ってしまうとドストエフスキィ的なものとトルストイ的なものとに大別される。ぼくの一つの判別法である。そして帚木蓬生という作家のめざすものは常にトルストイ的なヒューマニズムであるように見える。ぼくの趣味から言えば、この作者の作家的感性に少し古臭さを感じる。またぼくには、正義感というものに対するある種の反抗的な精神があって、いつも素直には肯定できない類いの重さを感じるのである。  この本で書かれていることは、教科書や一般書ではなかなか見つけられない歴史の襞の奥の真実であると思う。この一時代への興味と関心というすべてでもって、この本をぼくは手に取る。五味川純平...
  • テキサスは眠れない
    テキサスは眠れない 題名:テキサスは眠れない 原題:Love Her Madly (2002) 作者:Mary-Ann Tirone Smith 訳者:匝瑳玲子 発行:ヴィレッジブックス 2002.12.20 初版 価格:\840  ソニーマガジンズのこの叢書は当たりが多いかもしれない。本書も相当の手応えを感じる一冊だ。  帯に「クラリス・スターリングをしのぐ女性FBI捜査官」。クラリスを引き合いに出したのは、この小説のヒロインが睡眠障害に陥っていて3時間以上眠れないという部分だろうか?   周囲の環境。フェミニズム。アルコール・タバコ・火器局の捜査員という恋人。精神分析医の友人。局内各部署の関係者など取り巻く環境などは、むしろクラリスよりはスカーぺッタのものに似ており、最近作品を切らしているコーンウェルの代用としてまずは読めそうだ、なん...
  • 長い日曜日
    長い日曜日 第名:長い日曜日 原題:Un Long Dimanche De Fiancaille (1995) 作者:セバスチアン・ジャプリゾ Sebastian Japrisot 訳者:田部 武光 発行:創元推理文庫 2005.3.11 初刷 価格:\940  図書館で、ハードカバーを手に取ったことがある。1994年に発刊されたハードカバーだった。いずれ時間の取れたときに読もうと思っているうちに、文庫化されてしまった。文庫化の理由としてはよくあるパターンで、映画化を機にというものだ。映画のタイトルは『ロング・エンゲージメント』。  小説を6作しか書いていないにも関わらず、フランスを代表するミステリー作家として筆頭に立つセバスチアン・ジャプリゾは、出す作品がヒットを飛ばしたり映画になったりするので有名だ。映画のシナリオも手がけているから、ぼく...
  • 流砂
    流砂 題名:流砂 原題:Kvicksand (2014) 著者:ヘニング・マンケル Henning Mankell 訳者:柳沢由美子 発行:東京創元社 2016.10.28 初版 価格:¥2,400  昨年、十代の頃親友であった友の一人が亡くなった。癌との闘病生活から緩和ケアと順を追って治療に専念しながら、夫人に看取られての逝去であった。本書の著者ヘニング・マンケルは、2015年に、癌により亡くなっている。ぼくはヘニング・マンケルの良い読者ではなく、この作家の作品を初めて読んだのが彼の死後4年である。  本書は、実はこの作家を知らぬ人にも読んで頂きたい内容の、彼の遺作である。劇作家であり劇場支配人でもあった彼は、多忙で充実した人生を送ったスウェーデンを代表するミステリー作家である。刑事ヴァランダー・シリーズは何作もドラマ化されていて、本でもドラマでもその...
  • ジェフリー・アーチャー Jeffrey Howard Archer
    ジェフリー・アーチャー Jeffrey Howard Archer ウィリアム・ウォーウィック・シリーズ レンブラントを取り返せ 2019 戸田裕之訳 まだ見ぬ敵はそこにいる 2020 戸田裕之訳 長編小説 百万ドルをとり返せ! 1976 永井純訳 大統領に知らせますか? 1977 永井純訳 ケインとアベル 1979 永井純訳 ロマノフスキ家の娘 1982 永井純訳 めざせダウニング街10番地 1984 永井純訳 ロシア皇帝の密約 1986 永井純訳 チェルシー・テラスへの道 1991 永井純訳 盗まれた独立宣言 1993 永井純訳 メディア買収の野望 1996 永井純訳 十一番目の戒律 1998 永井純訳 運命の息子 2003 永井純訳 獄中記 -地獄篇 2002 田口俊樹訳 ゴッホは欺く 2006 永井純訳 誇りと復讐 2009 永井純訳 遥かなる未踏峰 2011 戸田裕之訳 ...
  • トマス・H・クック
    トマス・H・クック フランク・クレモンズ・シリーズ だれも知らない女 1988 丸本聰明訳 過去を失くした女 1989 染田屋茂訳 夜訪ねてきた女 1990 染田屋茂訳 記憶三部作 死の記憶 1993 佐藤和彦訳 夏草の記憶 1995 芹澤恵訳 緋色の記憶 1996 鴻巣友季子訳 その他、長編 鹿の死んだ夜 1980 染田屋茂訳 神の街の殺人 1983 染田屋茂訳 熱い街で死んだ少女 1989 田中靖訳 闇をつかむ男 1991 佐藤和彦訳 夜の記憶 1998 村松潔訳 心の砕ける音 2000 村松潔訳 闇に問いかける男 2002 村松潔訳 テイクン 2002 富永和子訳 レスリー・ボーエム原案 孤独な鳥がうたうとき 村松潔訳 2004 蜘蛛の巣のなかへ 2004 村松潔訳 緋色の迷宮 2005 村松潔訳 石のささやき 2006 村松潔訳 沼地の記憶 2008 村松潔訳 ローラ・...
  • 僕が死んだあの森
    僕が死んだあの森 題名:僕が死んだあの森 原題:Trois Jours Et Une Vie (2016) 著者:ピエール・ルメートル Pierre Lemaitre 訳者:橘明美 発行:文藝春秋 2021.5.25 初版 価格:¥1,900  原題は『三日間、そして一つの人生』という意味である。このスリリングで圧倒的な物語を読み終わった時点で、敢えて意訳すると『三日間が決めてしまった人生』あるいは『あの三日間から逃げられないでいる人生』『人生のすべてはあの三日間だった』などなど。  少年の物語は夢多くあれ、と思うのだが、本書は少年の物語でありながら作者がピエール・ルメートルだから、スリリングでミステリアスで皮肉に満ちた物語にしかなり得ないだろう。そんな想像力で、淡々と書き綴られるこの少年の物語を読んでゆくと、まさにスリリングでミステリアスで皮肉に満...
  • アイム ソーリー ママ
    アイム ソーリー ママ 題名:アイム ソーリー ママ 作者:桐野夏生 発行:集英社 2004.11.30 初版 価格:\1,400  すっかりノワール系に染まってしまった桐野夏生だが、最近はその針も極端に振られるようになってきている。エロとグロと狂気に囚われた醜い女たちを描いて『グロテスク』『残酷記』の救いのなさは、過激極まりないものだったが、その延長上にあるこの作品は、は女性版シリアル・キラーの血と炎で綾なされた一生の物語。  アメリカンなシリアル・キラーのようにクライムの匂いが格段するわけでもなく、日常の狭間にふと口をあけた狂気の洞のような存在として描かれる、悪のヒロインでもなんでもないただの醜い中年女だからこそ、桐野の殺人者は怖い。  孤児とて娼館で育ち、娼婦たちに虐待される幼年期。施設に住み込みながら学校へ通う少女時代。そこを一息に...
  • アリステア・マクリーン Alistair Maclean
    アリステア・マクリーン Alistair Maclean 長編小説 女王陛下のユリシーズ号 1955 村上博基訳 ナヴァロンの要塞 1957 平井イサク訳 シンガポール脱出 1958 伊藤哲訳 最後の国境線 1959 矢野徹訳 北極戦線 1959 森崎潤一郎訳 恐怖の関門 1961 伊藤哲訳 黒い十字軍 1961 平井イサク訳 イアン・スチュアート名義 黄金のランデヴー 1962 伊藤哲訳 悪魔の兵器 1962 平井イサク訳 原子力潜水艦ドルフィン 1963 高橋泰邦訳 八点鐘が鳴る時 1966 矢野徹訳 荒鷲の要塞 1967 平井イサク訳 ナヴァロンの嵐 1968 平井イサク訳 麻薬運河 1969 矢野徹訳 巡礼のキャラバン隊 1970 高橋豊訳 北海の墓場 1971 平井イサク訳 歪んだサーキット 1973 平井イサク訳 軍用列車 1974 矢野徹訳 地獄の綱渡り 1975 矢野徹...
  • 陽炎の市
    陽炎の市 題名:陽炎の市 原題:City Of Dreams (2022) 著者:ドン・ウィンズロウ Don Winslow 訳者:田口俊樹 発行:ハーパーBOOKS 2023.06.20 初版 価格:¥1,440  ウィンズロウが最後の作品として世界にプレゼントしてくれる三部作は第二作。第三作は執筆中とのことなので、一年に一作、書いては出版するというけっこうリアルタイムかつ歴史的作業なのかと想像する。翻訳者も出版社スタッフも綱渡りな作業だろうが、内容的にも、作家ウインズロウのラストワークとしても、あまりに重要な歴史的三部作に携わる多くの方のGood Jobに敬意を表しつつ、大切に本書を手に取る。  旅行業をしていると本に費やす時間が実は途切れ途切れで得られにくいのだが、8月に入ってようやく連続休暇が得られたので、二日くらいで一気に読ませて頂いた本作。...
  • レイモンド・チャンドラー Raymond Thornton Chandler
    マイケル・ドブズ Michael Dobbs フィリップ・マーロー・シリーズ 大いなる眠り 1939 双葉十三郎訳 さらば愛しき女よ 1940 清水俊二訳 高い窓 1942 田中小実昌訳 湖中の女 1943 田中小実昌訳 かわいい女 1949 清水俊二訳 長いお別れ 1953 清水俊二訳 【新訳】ロング・グッドバイ 1953 村上春樹訳 【新々訳】長い別れ 1953 田口俊樹訳 プレイバック 1958 清水俊二訳 プードル・スプリングス物語 1989 短編集 ヌーン街で拾ったもの 1960 清水俊二訳 チャンドラー短編全集1 赤い風 1963 稲葉明雄訳 チャンドラー短編全集2 事件屋稼業 1965 稲葉明雄訳 チャンドラー短編全集3 待っている 1968 稲葉明雄訳 チャンドラー短編全集4 雨の殺人者 1970 稲葉明雄訳 ベイ・シティ・ブルース アメリカン・ハードボイル...
  • ジェイコブを守るため
    ジェイコブを守るため 題名:ジェイコブを守るため 原題:Defending Jacob (2012) 作者:ウィリアム・ランデイ Wiliam Landay 訳者:東野さやか 発行:ハヤカワ・ミステリ 2013.7.15 初版 価格:\1,900  2003年、『ボストン、沈黙の街』。2007年、『ボストン・シャドウ』。そして2012年、本作。元地区検事補であるランディの本は10年間でたったの3作である。いずれも邦訳され、いずれも好評を期してきた作家であるが、法律家でありながら、そのことを匂わせる作家ではなかったランディのこれまでの二作は、純粋なミステリであり、警察小説であった。と同時に家族の愛情や葛藤を題材にしたヒューマンな小説であったように思う。  本書は、ようやく作家の本来の職業であった法律家の側面を前面に出したリーガル・サスペンスである...
  • 小暮写眞館
    小暮写眞館 題名:小暮写眞館 作者:宮部みゆき 発行:講談社 2010.05.15 初版 価格:\1,900  宮部みゆきはいろいろなジャンルの本を書くとは思ったけれど、これは完全な新機軸。もともとどんなジャンルであれ、人の心のふれあい、優しさといったものを描くと、うまみを発揮するタイプなのだが、これは作家のお姉さん的人柄なのだろう。  一度、推理作家クラブの**周年記念パーティで紹介していただき、挨拶だけしたことがあるが、とても小さくて、笑顔の可愛い人だった。この小説に出てくる垣本順子という忘れ難いキャラクターの女性とは正反対みたいな人なので、ああいう女性がこういう女性を創作することができるのか、と考えると、小説の力というのは、本当に凄いものだと感心する。  さらに人の心のきずなを描くのも得意であれば、時には厳しい現実にも眼をそむけずに、そ...
  • 業火の市
    業火の市 題名:業火の市 原題:City On Fire (2021) 著者:ドン・ウィンズロウ Don Winslow 訳者:田口俊樹 発行:ハーパーBOOKS 2022.05.20 初版 価格:¥1,309  読後の興奮冷めやらず、すぐにレビューが書けないほど、この本のカオスにやられた。そしていつもながら、ウィンズロウの文章にやられた。ともかくキックの強い作品なのだ。いつも。キャラクターたちの運命が神の視点で書かれてゆく悲喜こもごもの人間絵図。愚かで、強欲で、弱くて、それでも必死に生きてゆき、時に美しく、明るく、悲しく、それぞれの生を楽しんでいながら、運命の残酷に翻弄されざるを得ない男たち、女たち。  この初夏、この本の出る少し前の頃、大画面TVに新調した我が家で、ぼくはコーエン兄弟のTVドラマ『ファーゴ/FARGO』シリーズ4作に、遅まきながらは...
  • 苦悩する男
    苦悩する男 題名:苦悩する男 上/下 原題:Den Orolige Mannen (2009) 著者:ヘニング・マンケル Henning Mankell 訳者:柳沢由美子 発行:創元推理文庫 2020.08.28 初版 価格:各¥1,200  恥ずかしながら、ヴァランダー・シリーズを読むのは初である。終わってしまうシリーズの最後の一作と知れているところから手をつけるというのもどうだろうと思われたが、それもまた一興、と運を天に任せて読み始める。そもそもこのシリーズはドラマ化されたものをWOWOWで見ており、心惹かれる印象があった。いつか読まねばならないシリーズの一つとして常に宿題となっていたのだ。現在ではAMAZON PRIMEでの視聴もできるので、シリーズ全作の読書に取り組んだ後、ドラマで追体験してみるのもよいかと思う。この一作を読み終えた今、その思いは...
  • ICON
    イコン ICON 題名:イコン 作者:今野敏 発行:講談社 1995.10.10 初版 定価:¥1,800  著者の自信作という感じがするのだけど、『蓬莱』ほどの興味をとうとう最後まで持てずに読了してしまったのは、ブーム本の匂いがぷんぷんするせいかもしれない。確かにネットワーカーやっていてミステリーが好きでそこそこ楽しい筋書きで……本当に乗りのいい本だし、一気読みはしました。  しかしそれでもやはり昨今の情報小説ともいうべき部分の匂いは、ぼくはどうも好きになることができない。海外で言えばマイクル・クライトンの『ライジング・サン』や『ディスクロージャー』などはまさにこの手のもので、そこそこ面白いけど情報小説と言えばそれまでのもの。  逆に同じパソコン世界、オタク世代との断絶を感じさせていながら、これを主題にしない、あくまでも主筋は主人公の葛藤...
  • 孤独の歌声
    孤独の歌声 題名:孤独の歌声 作者:天童荒太 発行:新潮社 1994.1.15 初版 1994.3.25 2刷 価格:\1,500  『永遠の仔』でひさびさに作品が話題になっているこの作家の、天童荒太というミステリー作家としてのデビュー作が本書であり、第26回日本推理サスペンス大賞優秀作を受賞している。  その後の『家族狩り』に続くサイコ・サスペンスであり、幼児体験をテーマとしてもいるのだけれど、より健康的な(あくまで、この作者にとってだけれども)捜査小説として楽しめるミステリーとなっている。  この作家は日本では珍しいほどのページターナーであり、まずどの作品をとっても面白く一気に引き込まれる。どの作品と言ってもたったの3作だけれども。とりわけ天童荒太入門篇としては本書がいいのだと思う。  日本ではあまりお目にかかることのない本格的な...
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