wiki クライムウェイヴ(Sysop読書録 活字をめぐる冒険) 内検索 / 「殺意のコイン」で検索した結果

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  • 殺意のコイン
    殺意のコイン 題名:殺意のコイン 原題:Spare Charge (2007) 作者:ロバート・B・パーカー Robert B. Parker 訳者:奥村章子 発行:ハヤカワミステリ文庫 2008.04.15 初版 価格:\820  ジェッシー・ストーン・シリーズとのクロス・ストーリーは、彼らの別離によって終わりを告げたのだが、彼らのその後に関する作品がどちらも今年邦訳された。別離というにはさほど重たくもなかった、とは思う。それぞれに分かれたパートナーへの未練が断ち難く(奇妙なことにそれぞれのお相手も同様である)、互いの別居&プラトニック・ラヴの孤独生活が始まるわけである。  もちろん本書が出版された2008年春の時点では、ジェッシーの方の物語は未知である。シリーズだというのに読む順序がある。コアな読者へのサービスとしては気が利いた展開であったが、ど...
  • 殺意の楔
    殺意の楔 殺意の楔 (ハヤカワ・ミステリ文庫 13-9) 殺意の楔 (1960年) (世界ミステリシリーズ) 殺意の楔 (1977年) (ハヤカワ・ミステリ文庫) 題名:殺意の楔 原題:Killer s Wedge (1958) 著者:エド・マクベイン Ed McBain 訳者:井上一夫 発行:ハヤカワ文庫HM 1980.05.15 1刷  前作に続いての、濃縮された時間が流れる短期決戦型ストーリーである。やはり丸一日のできごとである。おまけに二つのストーリーが並行して描かれている。この作品に限って言えば、一冊だけ単独で取り出しても相当のレベルにあるサスペンス小説だと思う。それほど面白い。ちなみにぼくは夜更かしして一日で読んでしまった。 刑事部屋に銃とニトロを持ち込んで女が立て籠る一日。亭主が刑務所で死んだ恨みを、検挙者のキャレラ刑事に向けて...
  • 殺意の教壇
    殺意の教壇 題名:殺意の教壇 原題:The Last King Of Texas (2000) 作者:リック・リオーダン Rick Riordan 訳者:林 雅代 発行:小学館文庫 2005.5.01 初版 価格:\752  『ビッグ・レッド・テキーラ』『ホンキートンク・ガール』に続く「見習い探偵トレス・ナヴァー」シリーズの第三弾。ドン・ウィンズロウの『ウォータースライドをのぼれ』がドタバタ調で、完成度という意味ではイマイチの出来だったあたりと比較して、同じ見習い探偵でも今回は、ニール・ケアリーより、トレス・ナヴァーに軍配が上がったという気がする。  トレスは無表情でユーモラスな一人称の探偵だが、何よりも酒の飲み方や、台詞への懲り方など、若いながらもミロ・ドラゴビッチを意識したようなデカダンスが感じられる部分、さすがテキサス育ちといったタフガイ...
  • ロバート・B・パーカー
    ...2006 奥村章子 殺意のコイン 2007 奥村章子 コール&ヒッチ・シリーズ アパルーサの決闘 2006 山本 博 レゾリューションの対決 2007 山本 博 ブリムストーンの激突 2008 山本 博 フィリップ・マーロー・シリーズ プードル・スプリングス物語 1989 菊池 光 夢を見るかもしれない(文庫化に際し『おそらくは夢を』に改題) 1991 石田善彦 その他 銃撃の森 1979 菊池 光 愛と名誉のために 1983 菊池 光 過ぎ去りし日々 1994 菊池 光 ガンマンの伝説 2001 菊池 光 ダブルプレー 2004 菊池 光 われらがアウルズ 2007 光野多恵子
  • リック・リオーダン
    リック・リオーダン Rick Riordan 素人探偵トレス・ナヴァー・シリーズ ビッグ・レッド・テキーラ 伏見威蕃訳 1997 ホンキートンク・ガール 伏見威蕃訳 1998 殺意の教壇 林雅代訳 2000 殺人鬼オーストゥンに帰る 伏見威蕃訳 2001
  • セバスチアン・ジャプリゾ
    セバスチアン・ジャプリゾ Sèbastien Japrisot / ジャン=バティスト・ロッシ Jean Baptiste Rossi 長編小説 寝台車の殺人者 1962 シンデレラの罠 1962 新車の中の女 1966 平岡 敦訳 殺意の夏 1977 長い日曜日 1991 田部 武光訳 ジャン=バティスト・ロッシ名義 不幸な出発 1950
  • 小池真理子
    小池真理子 長篇小説 彼女が愛した男 1986 蠍のいる森 1987 仮面のマドンナ 1987 彼方の悪魔 1987 墓地を見おろす家 1988 プワゾンの匂う女 1988 間違われた女 1988 殺意の爪―比呂子に何が起きたか? 1989 死者はまどろむ 1989 闇のカルテット 1989 無伴奏 1990 柩の中の猫 1990 唐沢家の四本の百合 1991 懐かしい骨 1992 夜ごとの闇の奥底で 1993 ナルキッソスの鏡 1993 死に向かうアダージョ 1994 懐かしい骨 1994 恋 1995 欲望 1997 美神(ミューズ) 1997 水の翼 1998 ひるの幻よるの夢 1999 冬の伽藍 1999 INNOCENT 1999 ノスタルジア 2000 月狂ひ 2000 蔵の中 2000 薔薇いろのメランコリヤ 2001 狂王の庭 2002 虚無のオペラ 2003 浪漫的恋...
  • エド・マクベイン
    エド・マクベイン Ed McBain / エヴァン・ハンター Evan Hunter / カート・キャノン Curt Cannon 《87分署シリーズ》は1956年生まれだ。ぼくの誕生年がちょうど同じその年である。それからぼくがずっと生きてきた間じゅうずっと、このシリーズは続いてきている。ひとりの作家が成し遂げた仕事としてみれば、これは驚くベき偉業であるように思われる。  このシリーズは、今、その最初の作品から読み始めたとしても、面白さが時間の経過により損なわれるということはあまりないだろう。確かにその時代、時代の特色というのは背景として伺うことができるものの、人がやらかすこと、ましてそれが犯罪であったり男と女の愛憎のもつれであったりする場合には、時代がどんなに移って文明が進歩したとしても、それほど大きな変化はないものである。 とりわけそれが大都市のことであればなおさらだ。...
  • 伴野 朗
    伴野 朗 長篇冒険小説 五十万年の死角 1976 殺意の複合 陳展望探偵譚 1977 Kファイル38 1978 33時間 1978 蒋介石の黄金 1980 陽はメコンに沈む 1980 六人目の裏切者 1980 ゾルゲの遺言 1981 野獣の罠 新聞記者稼業 1981 ハリマオ 1982 復讐の鎮魂歌 1982 密室球場 1982 傷ついた野獣 1983 香港から来た男 1983 大航海 1984 通り魔 1984 九頭の龍 1984 謀略回廊 1984 上海スクランブル 1984 さらば、黄河 1985 マッカ-サ-の陰謀 1985 さまよえる湖の伝説 1985 落陽曠野に燃ゆ 1989 北京の星 1989 大遠征 1990 暴露(スクープ)  1991 上海遙かなり 1992 上海発 奪回指令 1992 白い殺人者 1992 白公館の少女 1992 士は己を知る者のために死す 199...
  • richard stark
    リチャード・スターク Richard Stark 悪党パーカー・シリーズ 長い長い中断を終えて、メル・ギブスンによる『ペイバック』の映画化を皮切りに復活を遂げた悪党パーカー・シリーズ。ドナルド・E・ウェストレイクがタッチを変えた別名義で贈るプロ犯罪者の世界。悪玉の側から描かれたタフでタイトでクール極まりない名シリーズ。過去の作品は絶版だらけでなかなか入手しがたいけれど、それだけにこだわりたい本物の味わいがある。 悪党パーカー/人狩り 1962 小鷹信光 悪党パーカー/逃亡の顔 1963 青木秀夫 悪党パーカー/犯罪組織 1963 片岡義男 悪党パーカー/弔いの像 1963 片岡義男 悪党パーカー/襲撃 1964 小鷹信光 悪党パーカー/死者の遺産 1965 笹村光史 悪党パーカー/汚れた7人 1966 小菅正夫 悪党パーカー/カジノ島壊滅作戦 1966 小鷹信光 ...
  • 小杉健治
    小杉健治 長編小説 陰の判決 1985.05 弁護側の秘密 1985.12 二重裁判 1986.06 死者の威嚇 1986.06 月村弁護士逆転法廷 1986.07 法廷の疑惑 1986.11 夏井冬子の先端犯罪 1987.04 絆 1987.06 裁かれる判事  越後出雲崎の女 1987.08 東京‐岐阜Σ(シグマ)0秒の罠 1987.10 影の核心 1988.04 疑惑 1988.06 汚名 1988.10 崖 1989.02 土俵を走る殺意 1989.05 最終鑑定 1990.01 虚飾の自画像 1990.06 飛べない鴉 1990.09 下へのぼる街 1991.05 検察者 1992.12 裁きの扉 1993.05 特許裁判 1994.01 宿敵 1994.08 沈黙の土俵 1995.02 帰還 1995.04 花の堤 新・向島物語 1995.09 荒城の蒼き殺意 1995.1...
  • 魔術
    魔術 魔術 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 魔術 (ハヤカワ ポケット ミステリ―87分署シリーズ) 題名:魔術 原題:Tricks (1988) 著者:エド・マクベイン Ed McBain 訳者:井上一夫 発行:ハヤカワ・ミステリ 1989.02.28 初版 価格:\800  久々に緊迫感あふれる一冊。ポイントはまたしても濃縮された時間。ハロウィンの夜の始まりとともに本書は幕を開け、万聖節が明ける深夜のアイソラへと疾走を始める。手に汗握り、不眠の朝を生み出す本とはこういうもののことをいうのだ。もし<87分署>シリーズになにか他の作品で触れてどうしても気に入らなかった人には、本書、あるいは『殺意の楔』をお薦めしたい。なぜならこれらは短い時間に閉じ込められたとても濃密な物語だからだ。  まず冒頭でいきなりいくつもの事件が勃発し始める。バーンズ警部はハロ...
  • ショットガン
    ショットガン ショットガン (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 13-26)) ショットガン (1980年) (ハヤカワ・ミステリ文庫) 題名:ショットガン 原題:Shotgun (1969) 著者:エド・マクベイン Ed McBain 訳者:井上一夫 発行:ハヤカワ文庫HM 1980.04.30 1刷  ショットガンというと、ぼくはサム・ペキンパーの映画を思い出す。とりわけ凄まじい破壊力と轟音を秘めた『わらの犬』におけるショットガンは、途方もなく狂暴な武器に見えた。また大江健三郎が初期のバイオレンス小説で車とともによく使っていた小道具がショットガンであった。『万延元年のフットボール』を締めくくったのも、ショットガンから飛び出す無数の散弾であった。そういえばイザベル・アジャーニの主演した『殺意の夏』も散弾銃の炸烈シーンのスロー&ストップ・モーションで、幕を閉...
  • tabiwo
    たびを 作者:花村萬月 発行:実業之日本社 2005.12.20 初版 価格:\2,800  まるで弁当箱。1000ページの著者最大長編作品が登場した。執筆は中断を挟んで9年半、編集担当者は四人を数えるという小説作成としては相当のスケールを持つ作品である。  一言で言うならロード・ノベル。著者が小説デビューに前旅専門誌に紀行文を寄せるライターであり、かつバイク乗りであることはよく知られているが、その著者の生身の原点に迫った作品としての渾身の書きっぷりからすると、本書はある意味でこの作家の金字塔であり、なおかつ亜流でもあるのかと思われる。  著者はバイオレンスとセックスの描写でエキセントリックな人であり、それを展開する土壌としてミステリ畑やノワールな風土に、著者の本意ではなくても結果的に顔が知られた人である。そうした過激さが売りである著者が、自分の体験...
  • 長い日曜日
    長い日曜日 第名:長い日曜日 原題:Un Long Dimanche De Fiancaille (1995) 作者:セバスチアン・ジャプリゾ Sebastian Japrisot 訳者:田部 武光 発行:創元推理文庫 2005.3.11 初刷 価格:\940  図書館で、ハードカバーを手に取ったことがある。1994年に発刊されたハードカバーだった。いずれ時間の取れたときに読もうと思っているうちに、文庫化されてしまった。文庫化の理由としてはよくあるパターンで、映画化を機にというものだ。映画のタイトルは『ロング・エンゲージメント』。  小説を6作しか書いていないにも関わらず、フランスを代表するミステリー作家として筆頭に立つセバスチアン・ジャプリゾは、出す作品がヒットを飛ばしたり映画になったりするので有名だ。映画のシナリオも手がけているから、ぼく...
  • ダン・カーニー探偵事務所
    ダン・カーニー探偵事務所 ダン・カーニー探偵事務所 (新潮文庫) 題名:ダン・カーニー探偵事務所 原題:The Mayfield Case and 10 Other stories (1967-1984) 作者:ジョー・ゴアズ Joa Gores 訳者:石田善彦 発行:新潮文庫 1990.06.25 初版 価格:\480  もはや、この一冊もハードボイルドの古典と呼ぶべきなのだろうか。ハメット風に感情描写抜きの簡潔なタッチ。タフな男たちとタフな仕事。余計な理屈抜きに生きてゆくことの重たさと、過酷さを日々繰り返してゆくだけの物語。  元来、仕事場の風景というのは、あまり小説という娯楽に適していないように思える。 「私立探偵が丸一日ひとつの事件に関わっていられるのは探偵小説のなかだけである」(「フル・ムーン・マッドネス」より)  二十四時間...
  • ホレス・マッコイ Horace McCoy
    ホレス・マッコイ Horace McCoy 長編小説 彼らは廃馬を撃つ 1935 常盤新平訳 屍衣にポケットはない 1937 田口俊樹訳 明日に別れのキスを 1948 小林宏明訳
  • 藤田宜永
    藤田宜永 私立探偵・相良治郎シリーズ(連作短編) 理由はいらない 1996 動機は問わない 1996 モダン東京シリーズ 蒼ざめた街(「モダン東京物語」改題) 1988 美しき屍(「モダン東京小夜曲(セレナ-デ)」改題) 1988 哀しき偶然 1996 堕ちたイカロス 1989 私立探偵・竹花シリーズ 探偵・竹花とボディ・ピアスの少女 1992 失踪調査 1994 私立探偵・鈴切信吾シリ-ズ 野望のラビリンス 1986 標的の向こう側 1987 長編小説 ラブ・ソングの記号学 1985 瞑れ、優しき獣たち 1987 影の探偵 1988 ダブル・スチール 1988 怨霊症候群(シンドロ-ム) 1988 タイホされたし度胸なし 1988 還らざるサハラ 1990 奇妙な果実殺人事件 1990 過去を殺せ 1990 遠い殺人者(「明日なんて知らない ノ-ノ-ボ-イ’69」改題...
  • 乃南アサ
    乃南アサ 女刑事・音無貴子シリーズ 凍える牙 1996 花散る頃の殺人(連作短編集) 1999 鎖 2000 未練(連作短編集) 2001 嗤う闇(連作短編集) 2004 風の墓碑銘(エピタフ) 2006 風紋シリーズ 風紋 1994 晩鐘 2003 長編小説 幸福な朝食 1988 パソコン通信殺人事件(「ライン」へ改題 1990 今夜もベルが鳴る 1990 6月19日の花嫁 1991 微笑みがえし 1991 ヴァンサンカンまでに 1991 鍵 1992 紫蘭の花嫁 1992 5年目の魔女 1992 水の中のふたつの月 1992 パラダイス・サーティー 1992 暗鬼 1993 再生の朝 1994 死んでも忘れない 1995 殺意 1996 ドラマチックチルドレン 1996 幸せになりたい 1996 結婚詐欺師 1996 鬼哭 1996 窓 1996 引金の履歴(『冷たい誘惑』...
  • エコー・パーク
    エコー・パーク 題名:エコー・パーク 上/下 原題:Echo Park (2006) 作者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2010.4.15 初刷 価格:各\714  単純にハリー・ボッシュというシリーズ刑事が、凝りに凝った犯罪に挑み、少しずつ絡みをほぐして真相を解いてゆくだけの物語なのに、そこにボッシュの過去を遡行する運命や、それをあえて弄ぶように見える悪意の存在などが加わることによって、作品に奥行きが生まれる。  シリーズならではの過去の登場人物への電話連絡、そしてかつて一度寄り添い駄目になった女性との再会、過去を共有する犯罪者との会話などなど。一作だけでは到底描ききれない世界の広がりと深淵とを、シリーズはその全体の読者に向けて表現してゆく。  シリーズを知らないものでも単発作...
  • 流れは、いつか海へと
    流れは、いつか海へと 題名:流れは、いつか海へと 原題:Down The Riveer Unto The See (2018) 著者:ウォルター・モズリイ Walter Mosley 訳者:田村義進 発行:ハヤカワ・ミステリー 2019.12.15 初版 価格:¥1,900  国産ミステリーの犯罪のほとんどが、極めて個人的な犯罪を扱うのに比して、世界の賞を獲るような作品は必ずと言っていいほど、国家レベルの犯罪、あるいは政府機関の犯罪、もしくは制度の生み出す社会悪が生み出す犯罪を描くものが多い。単なる謎解き小説にとどまらず、犯罪を小説の題材として描くことで、何らかの社会的メッセージを描くもの、そうではなくても高位なレベルで行われる犯罪に、個人として立ち向かわねばならない状況を小説の背骨に据えているものが多いと思う。  国産小説にそれが皆無とは言えないけ...
  • 主よ、永遠の休息を
    主よ、永遠の休息を 題名:主よ、永遠の休息を 作者:誉田哲也 発行:実業之日本社 2010.3.25 初版 価格:\1,600  休むひまもなく作品を書き続ける人気作家の本音? と思わせるような、あまりピンと来ないタイトルだが、内容は、人気作家ならではの現代的犯罪ネタを基調とし、よくこなれたクライム・ノヴェルである。  一方で警察詰めの若手記者の視点から、もう一方で都会のコンビニに働く地味目な若い女性の視点から、どちらも得意の一人称を駆使して物語を綴ってゆく。  深夜のコンビニ強盗捕獲事件をきっかけに、この作品の重要な登場人物たちは一同に出会う。もちろんその偶然を理解するのは、本人たちも、読者の側も、ずっと後になってからのことなのだけれど。  次第に明らかにされるのは、過去に起こった幼女殺害事件の真実である。その際の容疑者(山ほどのビデオを...
  • まりえの客
    まりえの客 まりえの客 (講談社文庫) 題名:まりえの客 作者:逢坂剛 発行:講談社 1993.10.15 初版 価格:\1,400(\1,359)  逢坂剛というのは短編の名手というイメージがある。というのは初期短編集が傑作ぞろいだったからだ。未だに短編ぎらいの人には、ぼくは逢坂剛の初期短編を薦めたい気がする。スペインを題材にしたサスペンスやアクションものも面白いし、国内を舞台にした心理サスペンスものも、それぞれ短編にしては密度が濃くって面白い作品が多い。作者得意のドンデン返しが必ずや盛り込まれていて、短編と言えども侮れないのだ。  前長編『幻の祭典』で絶妙のクライマックスを描いて見せてくれたのだけど、短編の方は最近、現代調査研究所の岡坂神策もの一辺倒という印象があった。もっともぼくは岡坂シリーズには、作者の入れこみ度合が感じられて全幅の信頼を置い...
  • カリン・スローター Karin Slaughter
    カリン・スローター Karin Slaughter グラント郡シリーズ 開かれた瞳孔 大槻寿美枝訳 2001 ざわめく傷痕 田辺千幸訳 2002 凍てついた痣 田辺千幸訳 2012 ウィル・トレント・シリーズ 三連の殺意 多田桃子訳 2006 砕かれた少女 多田桃子訳 2008 ハンティング 鈴木美朋訳 2009 サイレント 田辺千幸訳 2010 血のペナルティ 鈴木美朋訳 2011 罪人のカルマ 田辺千幸訳 2012 ブラック&ホワイト 鈴木美朋訳 2013 贖いのリミット 田辺千幸訳 2016 破滅のループ 鈴木美朋訳 2019 スクリーム 鈴木美朋訳 2020 長編 警官の街 出水純訳 2014 彼女が消えた日 堤朝子訳 2015 プリティ・ガールズ 堤朝子訳 2015 グッド・ドーター 田辺千幸 2017 彼女のかけら 鈴木美朋訳 2018
  • ダイアルAを回せ
    ダイアルAを回せ 題名:ダイアルAを回せ 原題:Dial an Alibi (1958-1983) 作者:ジャック・リッチー Jack Ritchie 訳者:駒月雅子、他 発行:河出書房新社 2007.09.30 初版 価格:\2,000  ジャック・リッチーも三冊目の短編集となる。どれも日本オリジナルの作品集だが、向うでは雑誌中心に活躍してきた上に、短篇しか書かない作家であるため(長編は死後に一作発表しているが)、ハードカバーとしても2冊くらいしか残されていないようだ。今、日本で毎年一冊ずつ短編集が編まれ、それらがそこそこの読者に受け入れられているなんていうことは、墓の下に眠る作者自身も全く想像していなかったことに違いない。  本書でもすっかり馴染みになった、おふざけキャラであるドラキュラ探偵カーデュラのシリーズが3本、勝手な想像力でずれてゆく...
  • 沙高樓綺譚
    沙高樓綺譚 題名:沙高樓綺譚 作者:浅田次郎 発行:徳間書店 2002年5月31日 第1刷 価格:1600円  いくら大正やら昭和初期やら、古き良き時代の東京が好きだからって、やはり怪盗団ばかり書いていては息切れがするので、手法を変えての連作短編を今度は作ってみました、いかがなお味ですか? っていうような、得意の口語体浅田節を駆使した次なる作品集がこれだろう。  こんな文体でものを書くというのはいかにも難儀だと思うけれど、完全に言葉を楽しんで使っていると思われるのがいつもの浅田次郎。小説家というよりは講談師の才気か。小説家ほどには長い息が吐けないので、基本が短編集にあって、しかも口語体。浅田の限界でもあり、浅田の面目躍如でもある。どう取るかはこちらの気分次第。  一、二話読んでしくじったかなと思った。落ちも劇的なシーンもなく、浅田があまり得...
  • ムーチョ・モージョ
    ムーチョ・モージョ 題名:ムーチョ・モージョ 原題:Mucho Mojo (1994) 作者:ジョー・R・ランズデール Joe R. Lansdale 訳者:鎌田三平 発行:角川文庫 1998.10.25 初刷 価格:\840  ランズデール初心者であるぼくは『ボトムズ』から彼の世界に入り込んだわけで、そのラインである『アイスマン』『ダークライン』といわゆる深南部三部作(別にそう言われてないか……)を読み進んだために、現時点での一番新しい作品である『サンセット・ヒート』を読んで初めて、この作家のミステリ色の強い作品にようやく触れたのだ。主人公は急遽保安官に任命された未亡人というあたりがふざけた設定でありながら、何でもありのディープサウスの混沌を思えば、物語の自由度の高さはまあいくらでも許容できてしまうし、むしろその破天荒さがランズデールという作風なのだと...
  • 大博奕
    大博奕 大博奕 (1982年) 題名:大博奕 原題:CHINAMAN S CHANCE 作者:ROSS THOMAS 訳者:志摩政美 発行:立風ミステリー 1982年7月 初版 価格:¥1,200  カリフォルニアの海岸から汚れた指のように突き出たペリカン・ベイ。物語はここに奇妙な二人の男が住みついたことから始まる。中国王位継承者を名乗るアーティ・ウーと傷だらけの背中を持つ相棒、クインシー・デュラント。物語の発端は、ある下院議員謀殺と、その愛人であった女性歌手の失踪から始まる。そしてその向こうには、当然のことのように、ベトナムが見え、カンボジアが匂う。CIAとマフィアが影のようにちらつき、その背後には何と、硝煙のダラスのあの熱い日が・・・。  ロス・トーマスお得意の錯綜したストーリーと、錯綜した人脈。これをユーモア溢れる文体と、サスペンス溢れる筆致とで上...
  • ロードサイド・クロス
    ロードサイド・クロス 題名:ロードサイド・クロス 原題:Roadside Crosses (2009) 作者:ジェフリー・ディーヴァー Jeffery Deaver 訳者:池田真紀子 発行:文藝春秋 2010.10.30 初版 価格:\2,381  リンカーン・ライム・シリーズからのスピンオフ・シリーズ、人間嘘発見器キャサリン・ダンスのシリーズ第二作である。  こちらでもまた、デジタル犯罪である。ここのところこの作者のみならず、犯罪に関する小説も映画もコンピューターやネットを駆使したネタが増えてきた。ある程度出尽くしたのじゃないかと思われるものでも、まだまだネタは尽きないとばかりに、さまざまな作者たちがアイディアを見せている現状を見る限り、ネットやコンピュータの領域というのは、エンターテインメントの一大マーケットとなっているありさまである。 ...
  • 男殺しのロニー
    男殺しのロニー 題名:男殺しのロニー 原題:Man Eater (2003) 作者:レイ・シャノン Ray Shannon 訳者:鈴木 恵 発行:ヴィレッジブックス 2005.9.20 初版 価格:\850  LAを舞台に、わけありの男や女が複雑に絡み合い、サバイバルを繰り広げる展開は、まさにエルモア・レナードを髣髴とさせる作品である。レナードに少し湿り気を与えて、よりバイオレンスを強調した世界と言ってもいいかもしれない。  女性映画プロデューサーのロニーは、とあるバーで、凶暴な殺し屋ニオン叩きのめしてしまった。一方で、仮釈放中のエリスは、メキシコ人ギャングのアヤラ兄弟に立ち向かい、二人を病院送りにしてしまう。復讐と殺意に燃える二組の悪漢と、わけありの過去を持て余す女と男。  さらに多くの人間たちを巻き込んで、LAに血の嵐が吹き荒れる。...
  • 樹縛
    樹縛 樹縛 (新潮文庫) 樹縛 (新潮ミステリー倶楽部) 題名:樹縛 作者:永井するみ 発行:新潮ミステリー倶楽部 1998.4.20 初版 価格:\1,700  12年前の白骨死体が2体。杉の樹木の根元。秋田、東京新木場を結ぶ製材業界。環境汚染であるシックハウス症候群。そして情念。  巧い作家である。一作目『枯れ蔵』でもその力量をいかんなく発揮した作者が二作目では樹木を題材に、またも大きなテーマに挑んだ。  快いのは、描写の落ち着き、生硬で歯切れのいいテンポと、誠実な作風。そして意気込み。  二つの自殺死体に『ゼロの焦点』を想起させられたのも、松本清張の正当な後継者の香気があるからだ。主題は地味かもしれない。でも、心に傷を負う二人の主人公の中で優しさも殺意も、とても人間らしく生き生きと息吹いて見える。これだけ大人の感覚で描いてくれる作家...
  • 捜査官ポアンカレ 叫びのカオス
    捜査官ポアンカレ 叫びのカオス 題名:捜査官ポアンカレ 叫びのカオス 原題:All Cry Chaos (2013) 作者:レナード・ローゼン Leonard Rosen 訳者:田口俊樹 発行:ハヤカワ・ミステリ 2013.8.10 初版 価格:\1,900  小説を読むとは大なり小なり痛みを伴うものだ。もちろんどの小説もというわけではないだろうけれど、ミステリ読みのぼくにとっては、殺人や暴力が扱われることにより犠牲者の痛みを洞察せざるを得ない機会が少なくない。痛みを余儀なくされるという意味では、この作品ほど痛切な鋭さを持って読者に挑戦してくる小説は他に類がないような気がする。  インターポールの捜査官という主人公設定は珍しいのでないだろうか。アメリカ小説でありながら、独特のヨーロッパの深みを与えた世界を描き切っている作者の腕が見事である。捜査官ポ...
  • 透明な螺旋
    透明な螺旋 題名:透明な螺旋 作者:東野圭吾 発行:幻冬舎 2021.9.10 初版 価格:¥1,650  東野圭吾の最近の作品の傾向は、現在と過去の捩じれた関係の中に謎解きの要素をまぶし込み、こねてこねて、最後に何枚もの皮相に包まれた真実のありかを見せる、といった傾向が強いのかな? 本書はガリレオ・シリーズ最新刊でありながら、主人公・湯川学をも事件の軸に巻き込んでゆくことで、一種の転機を見せる作品となる。  本書には、今年の新作『白鳥とコウモリ』との間に、ちょっとした共通項が見られる。過去に蒔かれた種が、捩じれた成長を遂げて、思わぬ皮相を見せてゆくという展開がそれだ。事件は見られた通りではなく、時間の層を何度となく掘り下げないと見えてこない。捜査はそれを露にするために進んでゆくのである。  このような作品を読むと、人間と人間の関係には少なか...
  • 血塗られた一月
    血塗られた一月 題名:血塗られた一月 原題:Bloody January (2017) 著者:アラン・パークス Alan Parks 訳者:吉野弘人 発行:ハヤカワ文庫HM 2023.06.25 初版 価格:¥1,420  訳者で本を選ぶ。ぼくにとっては珍しくないことだ。翻訳家の方は依頼されて訳す仕事もあれば、翻訳者自らが押しの作品を出版社に提案することで自分の仕事を作ることもあるらしい。本書の訳者である吉野弘人氏と言えば、ロバート・ベイリーの胸アツ作品群で知られる方なので、遅まきながら気になった本書を手に取る。  本書はグラスゴーを舞台にしたスコットランド・ミステリー。背カバーには<タータン・ノワール>とあるが、タータンとはタータンチェックのことなのだね、なるほど。舞台も1973年と半世紀前なのである。アイルランドを舞台にしたエイドリアン・マッキン...
  • マ行作家
    マ行作家 フィリップ・マーゴリン マイケル・マーシャル デイヴィッド・マーティン アレックス・マイクリーディーズ コーマック・マッカーシー エイドリアン・マッキンティ クレア・マッキントッシュ ロス・マクドナルド クイーム・マクドネル コーディ・マクファディン エド・マクベイン ジェイムズ・A・マクラフリン アリステア・マクリーン ホレス・マッコイ グスタボ・マラホビッチ マルコ・マルターニ エルザ・マルポ デイヴィッド・マレル シェイン・マローニー ヘニング・マンケル ジャン=パトリック・マンシェット ジグムント・ミウォシェフスキ ギョーム・ミッソ ベルナール・ミニエ レックス・ミラー リズ・ムーア レミギウシュ・ムルス アンドリュー・メイン ヴィクター・メソス ウォルター・モズリイ カルメン・モラ ピエテル・モリーン
  • 天切り松闇がたり 第三巻 初湯千両
    天切り松闇がたり 第三巻 初湯千両 題名:天切り松闇がたり 第三巻 初湯千両 作者:浅田次郎 発行:集英社 2002年2月28日 第1刷発行 価格:\1500  版元を変えてまで出した二冊にまだ足らずと三冊目まで出してしまった天切り松。浅田の好きな対象ロマンを、獄中の語りのプロの名を借りて得意の口語体駆使した短編集なのだが、さすがに三冊目ともなると、作者はともかくこちら受ける読者の側が、同じパターンの仕掛けに少々食傷気味であり、腹ごなしが悪い。  連作シリーズでも本作のように一話一話、鋭いキャラクターとしての役割をヒーロー、ヒロインに振りつつ、彼らの際だった技と、優れた精神性を表現してゆく手法は最初のうちこそ驚きも確かにあり、ぼくはこのシリーズが好きだったのだ。だが、さすがにもう新しい人物ではなく、同じキャラクターの使い回しで話をこしらえているところ...
  • 密送航路
    密送航路 題名:密送航路 原題:A Five Year Plan (1997) 作者:Philip Kerr 訳者:後藤由季子 発行:新潮文庫 1999.4.1 初版 価格:\781  毎作毎作読者の予想をいかに外すかというポイントに大変こだわっているかに見えるフィリップ・カーの、これも見事に予想を外してくれた作品。グンター三部作においても、ハードボイルドからスパイ小説までという広い振幅を見せてくれたカーなのだが、その後はさらに読者側の作家イメージを次々と塗り替え続けている。  『殺人摩天楼』『エサウ』では、すっかりミステリの範疇から離れ、もはやファンタジックな冒険作家として、ハリウッドに認められ始めている。本作もトム・クルーズ主演の海洋冒険映画になることが既に約束されているそうで、やがては日本でも多くの人々の目に触れてゆくに違いない。しかし、トム・...
  • 石のささやき
    石のささやき 題名:石のささやき 原題:The Clooud Of Unknowing (2007) 作者:トマス・H・クック Thomas H. Cook 訳者:村松 潔 発行:文春文庫 2007.09.10 初版 価格:\733  『アルタード・ステイツ』という映画をご存知だろうか。ウィリアム・ハートがマッド・サイエンティストを演じていて、自らのDNAの集団記憶と呼べるようなもののなかから古代祖先の記憶を引き出そうとする実験に満ちた危険な作品である。ユングの心理学の凄いところは、心には民族的記憶が刷り込まれており、それをシンボルというかたちで人間は歴史に刻んでいるといった、連鎖的共有記憶に関する部分だと、常々思っているのだが、DNAの研究が進むにつれ、科学の分野でも古代の記憶が刷り込まれている可能性について否定的ではなくなったいった。そうしたところを...
  • 矢作俊彦
    矢作俊彦 二村永璽シリーズ リンゴォ・キッドの休日 1978.07 真夜中へもう一歩 1985.11 ロング・グッドバイ THE WRONG GOODBYE 2004.11 フィルム・ノワール 黒色影片 2014.11 マンハッタン・オプ・シリーズ マンハッタン・オプ I 1981.11 マンハッタン・オプ II 1982.01 凝った死に顔 マンハッタン・オプ 1 笑う銃口 マンハッタン・オプ 2 1985.02 はやらない殺意 マンハッタン・オプ 3 1985.03 長編小説 マイクハマーへ伝言 1978.01 暗闇にノーサイド 共著/司城志朗 1983.08 ブロードウエイの戦車 共著/司城志朗 1984.08 海から来たサムライ 共著/司城志朗 1984.11 コルテスの収穫 上/中(未完) 1987.01 ヨーコに好きだと言ってくれ 1987.04 スズキさんの休...
  • 黒と白のはざま
    黒と白のはざま 題名:黒と白のはざま 原題:Between White And Black (2016) 著者:ロバート・ベイリー Robert Bailey 訳者:吉野弘人訳 発行:小学館文庫 2020.1.12 初版 価格:¥950  アメリカ南部ミステリーは何故か一様に骨太である。  最近、アマゾン・プレミアムでドラマ化され本国で人気復活中との噂のあるジョー・R・ランズデールのハップとレナード・シリーズ。ジョン・グリシャムの『評決のとき』に代表される大型リーガル・サスペンス。  『ザ・プロフェッサー』で一躍名を馳せたロバート・ベイリーは、グリシャムよろしく、南部作家で法廷ミステリーである。グリシャムは一方でノン・ミステリーのアメフト・スポ根小説『奇跡のタッチダウン』で暑い男たちを描いているように、ベイリーの『ザ・プロフェッサー』もま...
  • ブラック&ホワイト
    ブラック&ホワイト 題名:ブラック&ホワイト 原題:Unseen (2013) 著者:カリン・スローター Karin Slaughter 訳者:鈴木美朋訳 発行:ハーパーBOOKS 2019.6.20 初版 価格:¥1,167  いきなりのバイオレンス・シーンに始まる一冊。襲われるは女性刑事レナ・アダムスとその恋人の白バイ警官ジャレド・ロング。殺し屋たちとの肉弾戦と直後に登場したのがウィル・トレント。ややこしいことに彼は潜入捜査中。地方都市メイコン。ジャレドは重症。レナはジャレドの命の危険にショック状態。  修羅場から一転してジョージアの州都アトランタ。噂ではジョージア州にまで市場を拡大してきた姿なき大物犯罪者ビッグ・ホワイティを炙り出すために広域の捜査が展開している。送り込まれるウィル。ウィルの恋人で医師のサラ・リントン。ウィルのパートナーのフェ...
  • ラスト・ダンス
    ラスト・ダンス ラスト・ダンス―87分署シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫) ラスト・ダンス―87分署シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 題名 ラスト・ダンス 原題 The Last Dance (2000) 著者 エド・マクベイン Ed McBain 訳者 山本 博 発行 ハヤカワ・ミステリ 2000.11.15 初版 価格 \1,100  警察小説シリーズ/87分署シリーズ、その第50作。ここのところ少し作品自体に以前の軽妙さが戻って来たようになってきた気がする。昔のようにライトな感覚で読めるペーパーバックらしき87分署が復活して来た感がある。  出版ペースも年に3作というのはやはり売れっ子の作家にしては多い。シリーズがスタートした1950年代には年間3作のペースで書かれていたようなのだが、近年では年間1作のペースが守られ...
  • タナ・フレンチ Tana French
    タナ・フレンチ Tana French 刑事キャシー・シリーズ 悪意の森 安藤由紀子訳 2007 道化の館 安藤由紀子訳 2008 葬送の庭 安藤由紀子訳 2010 長編小説 捜索者 北野寿美枝訳 2020
  • ベスト・アメリカン・ミステリ スネーク・アイズ
    ベスト・アメリカン・ミステリ スネーク・アイズ ベスト・アメリカン・ミステリスネーク・アイズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 題名 ベスト・アメリカン・ミステリ スネーク・アイズ 原題:The Best American Mystery Stories 2004(2004) 作者:ネルソン・デミル&オットー・ペンズラー編 Nelson DeMille, Otto Penzler 訳者:田村義進、他 発行:ハヤカワ・ミステリ 2005.12.15 初版 価格:\1,900  アンソロジーのバイブルみたいな名シリーズである。ハヤカワが二年遅れくらいのテンポで翻訳出版を続けてくれるので、短編ファンにとっては有難い。  50本の短編に絞る役割をペンズラーが行い、その内から20本を選び出す責任ある作業を、ゲスト作家に任せる。ゲスト作家の方は、最後の篩い分けという...
  • 白鳥とコウモリ
    白鳥とコウモリ 題名:白鳥とコウモリ 作者:東野圭吾 発行:幻冬舎 2021.4.5 初版 価格:¥2,000  作者自ら『今後の目標はこの作品を超えることです』との直筆広告。帯には『新たなる最高傑作』。でもアマゾンの評価を見ると、満場一致で迎え入れられている観はむしろない。それだけ評価が難しい作品、と言えるかもしれない。  東野作品を全部読んでいるわけではないが、『白夜行』のノワール度、『容疑者Xの献身』の情念度が最高数値だとすると、本作はそこに及ぶものでは決してないだろう。むしろ特定の主人公を持たぬ、地味で等身大の登場人物たちによる群像悲喜劇ではないだろうか。人と人がいればそこにあるのは罪と罰なのだとでも言うかのような。  腕のよい探偵や鼻の利く刑事による切れ味のよい推理によってではなく、もつれた時間、離れた場所、見えない人間関係が、複数...
  • joya
    浄夜 作者:花村萬月 発行:双葉社 2005.09.30 初版 価格:\1,800  本書カバー帯に「純」文学と書かれているが、恐れることはない。花村作品は、何文学でもない花村文学なのであり、他の何者でもない。本書も、例によって、純文学と呼ぶにはあまりにもおちゃらけた会話、つまり数多くの駄洒落や、軽妙トークに満ちており、このあたりは花村作品すべてにおける共通項のようなもの。彼の書く軽いエッセイなどに通じる諧謔と遊び心がリズミカルに展開してゆくのも、いつもどおり。  作品がどこに向かってゆくか想像しにくいのも、もちろんいつも通り。最初は乗りが悪い感があるが、それも一見無縁とも見える、男女二人の主人公が交互に、勝手に自分の世界に没し切っているからだ。そのあたりだけ見ると、萬月史の中で中だるみに近い時期の作品を想起させ、やや心配になる。  だが、『欝』以降...
  • 悪魔が唾棄する街
    悪魔が唾棄する街 題名:悪魔が唾棄する街 原題:Bobby March Will Live Forever (2020) 著者:アラン・パークス Alan Parks 訳者:吉野弘人 発行:ハヤカワ文庫HM 2024.3.25 初版 価格:¥1,680  1970年代のスコットランド、グラスゴーを舞台にした警察小説シリーズ第三作。本シリーズはノミネートされながらも受賞を逃してきたようだが、本作でついにエドガー賞優秀ペーパーバック賞を射止めたとのこと。シリーズのファンとしてはかなり気に入って読んでいるだけに嬉しいことこの上ない。また素晴らしいスピードで翻訳を進めてくれている吉野弘人氏にも感謝しかない。  70年代中期のグラスゴーの混乱、その中で起きる捜査のでたらめさ、犯罪の暗黒っぷり、など小説の舞台としては文句なしのシチュエーションを切り抜いて見せてく...
  • 犬の掟
    犬の掟 題名:犬の掟 著者:佐々木譲 発行:新潮社 2015.9.20 初版 価格:\1,800-  作者得意の警察小説、かつノンシリーズ作品。最近は道警シリーズも少し軽めの作品が多くなり、シリーズとしての魅力も、作中人物の間でさしたる軋轢もないままに薄れつつある中、ここのところ『地層捜査』以来の快作が途切れている印象があったが、本書は久々の作者真骨頂での娯楽小説ぶりを発揮してくれた感があり、少しほっとする。  最初に時計を巻き戻した時制での少々刺激的なプロローグシーンがあり、それがとても重大なのだろうと、とても気になりながら、その後現在時制に追いついての通常の刑事捜査小説といった構成となる。ただ事件を捜査する二組の刑事たちが、あのプロローグに繋がる関係者たちであることだけが、気になる。  少なくとも彼ら二組、四人の刑事たちの捜査シーンにより、...
  • asakusahen
    私の庭 浅草篇 作者:花村萬月 発行:光文社 2004.03.30 初版 価格:\2,200  この作者にして初の時代劇長編。時代は、幕末。士農工商のどこにも俗さず、人別帖に記されることのない浮浪の子として小屋掛けに暮らす権助を中心とした、浅草・吉原界隈の青春図譜。萬月という作者の生い立ちをそのまま幕末にスライドさせたが如く、フリーター人生の主役であり、社会の外に生きるアウトローである故に、既にして時代小説という枠組みを破戒しているかもしれない試みであり、だからこそ萬月という作家にしか書き得ない幕末の気配でもある。  元来、血と暴力と切ないまでの愛情を描かせて右に出るもののいない筆致。こいつを、世界が揺らぐ時代、価値観がすべて壊れてゆく時代のために用いようとする作家の気構えが、ずしりと肚にこたえてくる。浮浪人が剣を手にすることのできる世。経済の覆りが見え、吉...
  • ディープサウス・ブルース
    ディープサウス・ブルース 題名:ディープサウス・ブルース 原題:Dark End Of The Street (2002) 作者:エース・アトキンス Ace Atkins 訳者:小林宏明 発行:小学館文庫 2004.04.01 初版 価格:\695  いわゆるミュージック・ミステリとでも言おうか。同じ南部の音楽ミステリシリーズとしてはカントリー・ミュージックに材を取ったリック・リオーダン『ホンキートンク・ガール』(カントリー・ミュージック)が記憶に新しいが、こちらのほうは、よりディープに南部音楽へのこだわりを見せ、ストーリーの核に黒人音楽が息づいていることを感じさせる。  何しろ主役はミシシッピの大学で南部音楽史の教鞭を取る元プロフットボーラー。このニック・トラヴァースのシリーズは第一作『クロスロード・ブルース』(1998年、角川文庫)が邦訳されて...
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