wiki クライムウェイヴ(Sysop読書録 活字をめぐる冒険) 内検索 / 「狙撃」で検索した結果

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  • 狙撃
    狙撃 題名:狙撃 原題:Threat Case (1991) 作者:J・C・ポロック J.C.Pollock 訳者:広瀬順弘 発行:早川書房 1993.2.28 初版 価格:\1,800(本体\1,748)  何を考えてハヤカワがこの本をいきなりハードカバーに出したかわからないのだけど、内容を読んでみると、ますますわからなる。前回『復讐戦』はポロックにしては珍しく面白かったのだけど (所詮『樹海戦線』には及びもつきませんが)、その同じキャラクターたちを持って来て、続編としたのが本書。でも前作でやや浮いたポロックという作家も、またこの作品でざぶーんと沈んでしまったのが、ぼくの印象で、本来、この本の感想はパスしたいところ (^^;)  もともとポロックという作家は『樹海戦線』が目茶苦茶面白かった。まだ冒険小説を読み始めてもいないぼくが、評判を聞いて読んで...
  • 狙撃手ミラの告白
    狙撃手ミラの告白 題名:狙撃手ミラの告白 原題:The Diamond Eye (2022) 著者:ケイト・クイン Kate Quinn 訳者:加藤洋子 発行:ハーパーBOOKS 2012.8.20 初版 価格:¥1,470  現在、現時点で、数少ない正統派冒険小説の担い手のトップ・ランナーは、間違いなくケイト・クインという女性作家である。印象的なヒロインと、緻密な考証に基づいて描かれるスケールの大きな戦争時代の冒険とロマン。かつての冒険小説のほとんどが男性作家であったことを思うと、今、この時代だからこそ、戦争の物語の渦中を駆け抜ける女性たちの存在が際立って見えてくる。  現在の女性であったかもしれない過酷な戦争の時代を生きた女性たちの日々を、この作家はいつも活き活きと力強く描き切ってくれる。そして、ぼくのような男性読者であれ、戦争という最も過酷な状...
  • 黄昏の狙撃手
    黄昏の狙撃手 題名:黄昏の狙撃手 上・下 原題:Night of Thuunder (2008) 作者:スティーヴン・ハンター Stephen Hunter 訳者:公手成幸 発行:扶桑社ミステリー 2009.10.30 初版 価格:各\800  ボブ・リー・スワガーも初老の年齢となったが、前作では、『キル・ビル』を彷彿とさせる、白羽を交えた闘いを、まさかの日本で展開してきたばかり。その死闘の古傷も癒えぬというのに、前作では荒れ地に馬を乗りこなしていた愛娘ニッキの危機を知り、ナスカー・レースの開催されるブリストルの街を訪れる。  剣に続いては車! 最近のハンター作品は、ボブ・リーの高齢化か、作者のそれか知らぬが、創作のモチーフにも趣味が混じるなど余裕の出てきた感が強い。もちろんその分だけ強引なストーリー展開に持ち込まねばならないのだが、そのあたり...
  • 狙撃 by フリーマントル
    狙撃 題名:狙撃 原題:The Run Around (1988) 作者:ブライアン・フリーマントル Brian Freemantle 訳者:稲葉明雄 発行:新潮文庫 1993.11.25 初版 価格:\680(本体\660)  フリーマントルっていうのは何とパワフルな作家なのだろう。日本では作家に対する「量産体制」という言葉が皮肉や批判でしか使われなかったけれども、フリーマントルと来たら量産体制もいいところであろう。しかしそれが決して悪い意味での量産ではなく、質量ともにプロの作家としての最高のものを、世界の読者に向けて供給している。なんだか英国小説界のすごさを見せつけられてしまうのである。  『消されかけた男』に始まるチャーリー・マフィン・シリーズも、 もう何と 8作目になるのだそうだ。 初期 2 作は、ともかくマフィンをマフィン足らしめている傑...
  • 眠りなき狙撃者
    眠りなき狙撃者 題名:眠りなき狙撃者 原題:La Position Du Tireur Couche (1981) 作者:ジャン=パトリック・マンシェット Jean-Patrick Manchette 訳者:中条省平 発行:学習研究社 1997.03.31 初版 価格:\2,000  引退を決意した殺し屋というのは、いかにもありきたりの題材だ。冒険小説の世界では特に。しかし、本書は冒険小説として読み解くには少々危険過ぎるきらいのある、マンシェットの作品だ。いかに多くの読者を引き込む活劇と死闘のシーンに満ち溢れていようとも、殺し屋も脇役の一人一人も、そうでない堅気の日常を営む男や女も、誰もが少しだけ狂っている。狂気が物語をあらぬ方向に紡いでゆく。それがマンシェット的暗さ、だと言える。  引退を決意した殺し屋とは言え、三十を過ぎたばかりだ。のっけから殺しの...
  • 狙撃手のゲーム
    狙撃手のゲーム 題名:スナイパーの誇り 上/下 原題:Sniper s Honor (2014) 作者:スティーヴン・ハンター Stephen Hunter 訳者:公手成幸 発行:扶桑社ミステリ 2015.01.10 初版 価格:各\880  前作『第三の銃弾』でダラスを舞台にJFK暗殺の可能性としての新説を試みたハンターという作家。狩猟を趣味とし銃器に造詣が深い作家ということでオリジナルな道を歩んでいる昨今であるが、そもそもが傑作『真夜中のデッド・リミット』に代表されるような本質的には冒険小説作家である。強い権力に反発し、弱く、庶民の側であり、無名のヒーローに、命がけの活躍物語を与えることを得意とするのがハンターの神髄であると、ぼくは見ている。  ボブ・リー・スワガーが名うての射撃手としてベトナム戦争を闘ったが、今では作者の分身のように6...
  • 魔弾
    ...ターは今ではすっかり狙撃小説の第一人者といった感があるけれど、本書は最近のハンター作品の復活ブームにあやかって何とか日の目を見るに至ったのだと思う。処女作なので、さすがに作りは少し粗めで、贅肉もあり過ぎる。ナチの時代に材を据えるなど、二作目『さらばカタロニヤ戦線』にも見える作者なりの力瘤が何となく見えて、ある種若く初々しい作品。  何と言っても後にボブ・リー・スワガーによる数々の銃撃数え歌、その元歌とも言えるシーンがこの小説ではしっかりと登場する。残念ながら狙撃手が冷血な悪の側に立っており、読者としては気持ちがその分入りにくい点などは、後の作品『クルドの暗殺者』なみなのだけれど、作者の方は随分この敵射手の狙撃技術面に気持ちを入れているような気!がする。  後の大きな開花を予感させると言う意味では、二作目とセットで、銃撃の二つのエチュードとでも呼んでおくべきなのかもしれ...
  • 鳴海章
    鳴海 章 長編小説 俺は鰯 1996.07 長官狙撃 1997.07 凍夜 (「卒業一九七七」改題) 1998.01 真夜中のダリア 1998.03 パラダイス・ビーチ 1998.06 鹹湖 彼女が殺された街  1998.12 風花 1999.06 狼の血 1999.09 輓馬 2000.02 棘 2000.09 もう一度、逢いたい 2000.11 死者の森 2000.12 冬の狙撃手 2001.05 痩蛙 2002.05 ニューナンブ 2002.06 夏日 2002.07 月のない夜 2003.08 街角の犬 2003.10 雨の暗殺者 2004.06 えれじい 2005.09 ナイフ・エッジ 剃刀舞踏会 2006.06 薩摩組幕末秘録 2006.09 いのちに抱かれて楓子と大地の物語 2007.02 総理を撃て 2007.03 微熱の街 2007.05 航空・軍事冒険小説 ナイ...
  • 十一番目の戒律
    ...冒険小説の中でなぜか狙撃ものが続いている。多くの小説の中で銃器が扱われ、そして死闘小説の色が濃くなってきている。そういう風潮の中で、やや年長の作家と言えるアーチャーが、言わば古いタイプのポリティカル・ミステリーをひねり出したのがこれ。  主人公は狙撃屋であり、ベトナムのヒーローでる。定番。ただ惜しむらくは50歳を越え現役最後の仕事に向かうばかりの、家族思いの良き父、良き夫なのである。少しなごみすぎと思えるほどの狙撃者の生活臭と、米露大統領を軸にした超ポリティカルな過激話がすごくバランスを欠いて見える。思えばこの年代のベストセラー作家って、この種の強引さがあったし、そうでなければ今あるエンターテインメント小説黄金期などは作り出せなかったのかもしれない。  ともかく大半は主人公を度外視して、過激でポリティカルな闘争劇が進行する。かつての米ソ冷戦を思わせるようなパワー・...
  • スティーヴン・ハンター
    ...男 2008 黄昏の狙撃手 2008 蘇るスナイパー デッド・ゼロ 一撃必殺 ソフト・ターゲット 第三の銃弾 2013 スナイパーの誇り 2014 狙撃手のゲーム 2015 アール・スワガー・シリーズ 悪徳の都 2000 最も危険な場所 2001 ハバナの男たち 2003 スワガー・サーガ外伝 ダーティ・ホワイト・ボーイズ 1994 長編小説 魔弾 1980 クルドの暗殺者 1982 さらば、カタロニア戦線 1985 真夜中のデッド・リミット 1989 我が名は切り裂きジャック 2015 公手成幸訳 ベイジルの戦争 2021 公手成幸訳
  • 10プラス1
    ...て残ったのは、単純に狙撃犯を追う刑事たちの物語であったということだけだった。記憶というものは、得てしてひどい単純化を行なってしまう。  かくして歳月は過ぎ、ぼくは映画の原作である本書を手に取った。そしてやはり映画とはとても遠い位置にある作品であることを実感したのである。この本は、やはりこれまで読み継いできたシリーズの連鎖のなかの一環であり、独立したトランティニヤンのキャレラは、作品のどこを捜してもいなかった。  狙撃。それも無差別の(あるいは無差別に見える)狙撃を扱った物語としてはドン。シーゲルの『ダーティ・ハリー』が第一に思い起こされる。そしてこの作品も、最初はほとんど『ダーティ・ハリー』のように幕を開ける。一見無関連に思われる複数の狙撃に、刑事たちの聞き込みが徐々に意味を与えてゆくという本書のストーリーはなかなかのものである。ラストが意外に呆気ない。しかし、シリー...
  • ケイト・クイン Kate Quinn
    ...021 加藤洋子訳 狙撃手ミラの告白 2022 加藤洋子訳
  • ウィリアム・ケント・クルーガー William Kent Krueger
    ...丘 2001 月下の狙撃者 2003 二度死んだ少女 2004 闇の記憶 2005 希望の記憶 2006 血の咆哮 2007 長編小説 ありふれた祈り 2013 宇田川晶子訳
  • ジャン・パトリック・マンシェット
    ... 1979 眠りなき狙撃者 1981
  • J・C・ポロック John Charles Pollock
    ...989 広瀬順弘訳 狙撃 1991 広瀬順弘訳 略奪者 1993 広瀬順弘訳 長編 デンネッカーの暗号 1982 広瀬順弘訳 ミッションMIA 1982 伏見威蕃訳 樹海戦線 1984 沢川進訳 トロイの馬 1985 沢川進訳 かくも冷たき心 1994 中原裕子訳 ジェイムズ・エリオット名義 射程圏 1997 中原裕子訳 終極の標的 2000 広瀬順弘訳 
  • どこまでも食いついて
    ...するさ中、カーターを狙撃した真犯人を炙り出す、という難題に挑むハチャメチャ・トリオ。相変わらず、少し外れて何かとミスをしながらも勇猛果敢なアクション派のガーティ婆ちゃん、参謀役みたいに落ち着き払いながら平然と無謀な捜査活動を楽しんでしまうアイダ・ベルという二人の力を借りながら(というより強引にそそのかされながら?)、フォーチュンはカーター狙撃の犯人を探し求め、一路復讐の道をゆくのである。ふふふ。  フォーチュン家に同居、というか避難しているアリー、雑貨店店主のウォルターなど、地味めなレギュラーメンバーたちも健在でトリオを影ながら?支える。猛犬も健在。小さな町ってよいな。  シリアスな本に取り組むことが多いぼくにとって、暗い話や残虐で手厳しい話の合間に、本書のような、愛と友情と笑いに満ちたドタバタ活劇を楽しむことはとても大切な時間であったりする。面白さと、キャラクターの...
  • ジョー・ゴアズ
    ...986 小鷹信光訳 狙撃の理由 1988 藤本和子訳 脅える暗殺者 1994 三川基好訳 路上の事件 1999 坂本憲一訳
  • 略奪者
    ...ハードカバー第一作『狙撃』は、狙撃のシミュレーションを読んでいるようで、また、どうも柘植久慶もののようでいまいちストーリー性に粗さを感じた。  そういう意味ではこの本書はひさびさにポロックの上の部類の作品ではないだろうか。やや諜報戦の説明・解説に鬱陶しさを感じないではないものの、それ自体ポロックの持つ、特有の無骨さと解釈して上げたくなるような、いい作品だとぼくは思ってしまった。  この作家のナチ関連と言えばデビュー作の『デンネッカーの暗号』なんだけど、あれはまた習作って感じでいまいちであったから、この人が第二次大戦を引きずってこれだけの話を書いたっていうのは久々のような気がする。最近個人的に『幻の標的』『27』『赤い罠』と続けざまに読んでいる本がたまたまナチにどこかで関連しているものばかりなので、ポスト東西対立はナチなのかなあ (^^;)、などと興味深く拝見している次...
  • ジャック・ヒギンズ
    ...2 菊池 光訳 黒の狙撃者 1983 菊池 光訳 鷲は飛び立った 1991 菊池 光訳 ショーン・ディロン・シリーズ 嵐の目 1992 黒原敏行訳 サンダー・ポイントの雷鳴 1993 黒原敏行訳 密約の地 1994 黒原敏行訳 悪魔と手を組め 1996 黒原敏行訳 闇の天使 1997 黒原敏行訳 大統領の娘 1997 黒原敏行訳 ホワイトハウス・コネクション 1998 黒原敏行訳 審判の日 2000 黒原敏行訳 復讐の血族 2001 黒原敏行訳 ジャック・ヒギンズ名義 復讐者の帰還 1962 槙野 香訳 地獄の群集 1962 篠原 勝訳 虎の潜む嶺 1963 伏見威蕃訳 裏切りのキロス 1963 伏見威蕃訳 獅子の怒り 1964 池 央耿訳 闇の航路 1964 竹内泰之訳 地獄の鍵 1965 佐宗鈴夫訳 鋼の虎 1966 鎌田三平訳 雨の襲撃者 1966 伏見威蕃訳 廃墟の東...
  • 祖国よ友よ
    ...こと。ニューヨークで狙撃の腕を買われた主人公が、意志にかかわりなくマフィアの先棒を担ぐことになってしまう設定で、祖国を失った根無し草の宿運の悲しさを感じさせる。  短編『どしゃぶり航路』ハイジャックされてオランダの空港に留まるDC-10の機内ストーリー。全編緊迫に包まれた、いかにも読ませる物語だ。主人公のアナーキーな性格が如何にも船戸的だ。  中編『北溟の宿』脱獄犯たちの逃亡譚。互いに疑心暗記なばかりか、隙さえあればあいてを殺そうという憎悪に満ちた三人組。破滅しか待っていないことを容易に予感させるバイオレンス・ストーリーだ。  以上四編。これでぼくの知る限りの船戸作品は読破である。船戸作品に外れはほとんどないので、長編が苦手という方には、この手の短編集をオススメしたい。  なおこの本の解説はお馴染み関口苑生氏でありました。 (1991/05/0...
  • 脅える暗殺者
    ...ゴアズの新作。前作『狙撃の理由』から何とも7年半ぶんりの再会で、とにかくそれだけでぼくは嬉しい。手にとって大切に読みたい作家の一人なのである。  そして読んでみて幸福感にとらわれ、それが読書中ずっと続き、最終ページを閉じてまたも充実。うーん、やはり最後までゴアズであった。こう書いていながら特にぼくはゴアズの良い読者ではなないのである。良い読者というのは全作読んで良い読者だと思っているので、ダン・カーニィ・シリーズも『ハメット』も蔵書していながら読んでいないぼくは、罪悪感を感じてすらいる。  それでもゴアズは必読作家である。機会を見つけて全作必ず読んでしまいたい作家なのである。  さてそれにしても奇妙なミステリが届いたものである。というのも、三つのピースの寄り合わせでこの作品は構成されている。第一に暗殺者の独白、継いで暗殺者に狙われる人類学者の講演、そして捜査描...
  • small vices
    ...。ジョー・ゴアズの『狙撃の理由』というのものっけから銃撃されるシーンが凄かった。銃撃よりも銃撃を受けたことによるダメージをいかに描くか、というところなのである。フランシスの『標的』は銃撃ではないけれど壮絶なダメージを受けた主人公がどう攻勢に転じるかという点にすべての価値があった。  だからスペンサーも同じである。非情なダメージから、いつもの攻撃的なスペンサーにどのように復帰するのか。どのように敵を追跡するのか。それが本書の醍醐味。  かくして、銃撃(される)小説の歴史に新たなる一ページが加わったわけである。読むべし。
  • ブライアン・フリーマントル Brian Freemantle
    ...987 稲葉明雄訳 狙撃 1989 稲葉明雄訳 報復 1993 稲葉明雄訳 流出 1996 稲葉明雄訳 待たれていた男 2000 稲葉明雄訳 城壁に手をかけた男 2001 稲葉明雄訳 片腕をなくした男 2009 戸田裕之訳 顔をなくした男 2012 戸田裕之訳 カウリー&ダニーロフ・シリーズ 猟鬼 1993 松本剛史訳 英雄 1994 松本剛史訳 爆魔 2002 松本剛史訳 プロファイリング・シリーズ 屍泥棒 1996 真野明裕訳 死体配達人 1997 真野明裕訳 虐待者 1998 幾野宏訳 シャーロック・ホームズの息子シリーズ シャーロック・ホームズの息子 2004 日暮雅通訳 ホームズ二世のロシア秘録 2005 日暮雅通訳 長編小説 別れを告げにきた男(『亡命者』改題)  1973 中村能三訳 収容所から出された男 飯島宏訳 明日を望んだ男 1975 稲葉明雄訳 ...
  • 復讐のトレイル
    ...も出てしまい、前半は狙撃という暗い側面ばかりが目立つ感が強い。しかし、ピケットは上司や州知事との駆け引きでネイト・ロマノフスキーを監獄から出すよう要請、狩猟者には狩猟者をぶつけるという危険な作戦に出る。ネイトとジョーは信頼関係で結ばれているものの、無法性の高い友人にはヒヤヒヤさせられるし、ハンターばかりが狙われて処刑されるという陰惨な事件の裏側に潜む真実を突き止める一連の流れについては、やはりサスペンスに満ちたボックスという作家の語り口の巧さが目立ってくる。全編に流れる緊迫感もまた然り。  フーダニットの犯人像は二転三転するし、上司たちとのトラブルや駆け引き、家族との距離感、特に娘たちの成長に伴う実生活の悩み等々、アメリカ版ディック・フランシスと呼ばれる決めの細かさはボックスならではのものである。どの作品も一定レベルの高みで提供してくれる確かさこそが、ワイオミングの大自然を舞...
  • そして夜は甦える
    ...愛好する点で、探偵と狙撃者が意志を通わせたりするという空気が、ぼくは好きだ。男の微妙な心情の綾を捉えてくれるこういう作品がぼくは好きだ。 (1990.03.23)
  • ゴースト・スナイパー
    ...2,000mの長距離狙撃で暗殺される。しかも同席した記者とボディガードは砕け散ったガラスの破片で切り裂かれて共に犠牲となる。と、相変わらずど派手な現場づくりだ。  暗殺したのは政府の秘密組織なのか? いつにも増して阻害要因の多いバハマの地でリンカーンとサックスの捜査は困難を極めるし、またまた複雑な人間関係や組織間、国家間の利害関係が難解で、読書疲労度が半端ではない。  さらにいつものディーヴァーのお遊びがあって、モレノ殺害を実行したエージェントのコードネームはドン・ブランズ。 「ドン・ブランズってシンガー・ソングライターがいるでしょう。フォークやカントリーのジャンルで活躍してる人。なかなかいい曲を書くのよ」とは、アメリア・サックス。彼女もカントリー・ミュージックのファンだったのか。  また本書を最も盛り立てるのが、料理と刃物が大好きな殺し屋ジェイコブ・...
  • 神が忘れた町
    ...の死』やらゴアズの『狙撃の理由』が同訳者だが、読みにくいと感じるとしたら、 それは訳者のせいではなく、 トーマスのひねた文体のせいだと思う(苦笑)。そしてぼくはそのひねた文体を、成熟したそれとして捉えてしまうのである。要するにハードボイルド派にお勧めの文体だ。  トーマス最大の特徴ともいえるが、本書でも、扱われているのは二人組の主人公。どちらがヒーローとも言えず、もう二組、考えようによっては三組のグループが、それぞれに面子をかけて田舎町に暗躍する。いつだって彼の作品は、こうしたいくつかの二人組コンビによって成立してゆくのだ。そして今度の二人組も、あまりお互いに干渉し合い過ぎない程度の大人の友情によって結び付いた極めて、魅力的なそれである。そしてさらりとだが描かれ切った個性。トーマスならではのうま味があるのだ。  主役の二人組の運命と境遇たるや、凄じく悲惨で救いのないも...
  • 四十七人目の男
    ...ーはこの後、『黄昏の狙撃手』という新作でテネシー州で無事銃撃戦を繰りげるのだと知って、それを読みたいあまり、仕方なくその間に立ちはだかる『四十七番目の男』を手に取ることになった。  ハンターはどうもアメリカ映画に愛想を尽かしてしばらくの間日本の剣戟映画ばかりを見てしたらしい。確かに日本映画の殺陣は世界に誇るものがある。冒頭にいきなり日本映画の監督俳優たちがずらずらと並べられているのを見ると大体何の映画を見たのかがわかる。古くは黒澤映画から、何と『アズミ』まで見ているではないか。でもこの長いリストのなかに緒方拳や勝新太郎の名前がないのは日本映画ファンとしては捨て置けないぞ。  とはいうものの、剣に対するこだわりは、この作家が銃器にこだわるのと同様に凄まじく、そのこだわりこそがガイジンの書いた日本のアクションなのかなと思われる。剣で闘う雪の夜の一団はタイトルが示す如く、作...
  • 第三の銃弾
    ...家が、まるで『黄昏の狙撃手』そのままに車で轢き殺されるところから始まる。彼が調べていたのは、実はJFK事件の真相だった。彼の死を調査すべく依頼されたボブ・リーは、依頼以上に銃器のプロフェッショナルとしての観点から、ダラスのJFK暗殺事件の真相に多くの疑問を感じる。  リー・ハーベイ・オズワルドの犯行説を最も疑問視させた魔法の銃弾の解析が、銃弾のブロの視点から見ると意外なものであり、オリバー・ストーンの映画とは全然別視点からハンターの作品は発射された弾丸の謎に迫る。第三の銃弾とは本作品のオリジナリティを高らかに掲げたロマンであり、タイトルである。  その向こうに見え隠れする車椅子のスナイパー、極大射程の残党たち。そしてあのダラスではなく、現代の対決と復讐劇へと誘うプロットの見事さ。事実とフィクションによって糾われる縄のごとく、ボブ・リーの運命は、世界最大レベルの暗殺劇の...
  • 氷結の森
    ...はふたたび銃を取り、狙撃の腕を買われるようになる。内地と遠く離れた厳寒の地で、世界を覆う暗い運命の序曲に弄ばれながらも、マタギで生まれた己の生き様を決して捨てられない苦しみを背負って、駆け抜けてゆく半生は、波乱に満ちたものである。  過去は次第に露わになるとは言え、謎だらけの主人公の生き様にはぐいぐい惹かれてしまう。彼を取り巻く北方の地に流れ着く男たち、女たちのわけありでありながら逞しい姿も活き活きとしている。主観を交えず淡々と描くその筆致は前作である『邂逅の森』そのままだ。  山本周五郎作を受賞し、意気軒昂となる作家・熊谷達也のこの独自の作風が生み出したのはさらにスケールアップした魅力的な小説だった。今、日本では失われた冒険小説の核の部分が、確実に込められたヒューマンな活劇作品として、純粋な気持ちで読んでみてもいいだろう。開化後ニッポンの裏面史として独特の興味を持っ...
  • 抹殺
    ...仕事人であることだ。狙撃主としても優秀だし、車椅子のパイプの中に刃物を忍ばせてのミッションにも長けている。いわゆる非常に理想的で、正体のばれにく殺し屋であるということだ。  さらに主人公を劇画的存在にしているのはアシスタントが絶世の美女であり、殺し屋は彼女を月150万という非常に具体的な金額までもをも露わにした雇用関係であり、なおかつセクハラ・フリーという条件を伴い、自由にその体を、めで、かつ触れることができるあたりか。特命係長只野仁みたいなものだな、こうなると。  さてそこまでコミカルな設定をしておきながら、各短編の題材は現実にマスコミで取り上げられているような具体的事件をモデルにしたものがほとんどなのである。東直己という人がどこかで生真面目に現実とのしがらみから逃れきることができぬ作風を頑なに死守していることばかりが伝わり、どこかで痛々しいまでの執念を感じないでも...
  • ファイナル・カントリー
    ...ラストの思いがけない狙撃者たち。ミロの足跡に深く刻み込まれてゆく存在感のある男や女たちだ。  前作に引き続いて元相棒が、これと言ったシーンではきちんと出てくる。彼らの冷ややかでなおかつ熱い血のつながりが、どこにも書いていないだけに、かえって気になってならない。  本書は5年、6年に渡って書き綴られた遅筆作家の貴重な一作品である。クラムリーは娯楽小説ばかりではなくアメリカ文学として扱われる存在であるそうだ。確かに文章のシャープさは並大抵ではない。一つ一つの文章に味わいがあり、それはチャンドラーどころではない。  都会に比べると事件の少ないはずのアメリカ南西部の荒野を舞台にいつも書き綴られているシリーズだが、それだけに治安の悪さは天下一品で、闇から闇へと葬り去られる事実も多いように見受けられる。それでいてクラムリーの自然描写は彼のハードボイルドに最も個性を与えてい...
  • 禍根(検屍官シリーズ)
    ...  本書では狙撃が主題となる事件に幕を開ける。まるでスティーブン・ハンターばりの分析が見られる点で、より男性的な小説イメージが強い。さらに思いもよらぬ犯人像に、またかとシリーズを股にかけるツイストの存在に驚愕。男性的な科学捜査とハードウェアの描写が、ケイがイタリア料理を作る女性的シーンと混交して不思議な魅力を作り出す。  微細な描写と、濃密な時間の流れ(たいていが一日か二日の事件で一作が終わる)、そして最近は、二作連続で、レギュラー陣総出演でのエンディングが用意されるあたり、作者にもずいぶん余裕が見られるようになったと、ぼくはほっとして巻を閉じることができるのである。 (2016.3.11)
  • 耳を傾けよ!
    ...  ホースは狙撃され、オリーは盗まれた原稿をまだなお探し続ける。このシリーズでは、多くの事件が同時に進行してゆくのが、当たり前のようになっている。  そうしたすべての物語たちが継続してこれたのも、作者が決して書くのをやめなかったからである。ぼくらは作者が書き続ける限り、一定レベルで面白さをキープしてきたこのシリーズを延々と読み続けてきたわけである。その作者が、終に亡くなってしまった。多くの物語がこれで否応なく終わをを迎えてしまう。もう少しで二度と彼ら刑事たちに会うことができない時がやってくる。何でも87分署は、この作品ともう一作しか遺されてはいないようである。  次作は、原題だけを見ると、どうやら本書のダイレクトな続編になりそうな気配だ。生き生きと日々を送るレギュラーメンバーの最後の表情がどんなになるのか、ぼくは想像する。そして何よりも、もうこの世にいなくなっ...
  • 標的(検屍官シリーズ)
    ...  本書では狙撃が主題となる事件に幕を開ける。まるでスティーブン・ハンターばりの分析が見られる点で、より男性的な小説イメージが強い。さらに思いもよらぬ犯人像に、またかとシリーズを股にかけるツイストの存在に驚愕。男性的な科学捜査とハードウェアの描写が、ケイがイタリア料理を作る女性的シーンと混交して不思議な魅力を作り出す。  微細な描写と、濃密な時間の流れ(たいていが一日か二日の事件で一作が終わる)、そして最近は、二作連続で、レギュラー陣総出演でのエンディングが用意されるあたり、作者にもずいぶん余裕が見られるようになったと、ぼくはほっとして巻を閉じることができるのである。 (2016.3.11)
  • 沙林 偽りの王国
    ...解決の国松警察庁長官狙撃事件を含め、ほとんどの教団関係者の死刑を急いでしまったことで、事件の一部が意図的に闇に葬られた疑いも強く残る。政治や日本の構図に現在も眠る闇、という地点にまで繋がる何ものかにすら、今、この時、このコロナ禍の時代にも、疑心を懐かざるを得なくなる。  あの地下鉄サリン事件当日の朝、かく言うぼく自身も、身近にこの事件に接していた。当時ぼくは39歳。所属していた医療機器会社の最寄駅は、サリン被害者を出した本郷三丁目駅であった。そもそも本郷は、東大病院の御用達の医療機器会社でひしめく界隈なのである。  地下鉄駅が騒然としているぞとの噂が朝から社内に流れる。仕事そっちのけで社員たちは会議室のTVを囲んで同時多発テロの臨時ニュースを眼にした途端、仕事どころではなくなった。本郷三丁目駅で下車して出勤した同僚の一人が、何だか朝から体調が悪いとその前からこぼしてい...
  • 荒ぶる血
    ...、一つの殺しの才能、狙撃者の天分として、ジミーという青年に引き継がれる。ジミーは悪の手先であり、ガルベストンの秩序の執行者である。同時に、燃え上がる恋情を抑えきれず、仲間たちとは家族づきあいを欠かさず、酒を飲んでは心を通わせ合えるよき友として、あるべき青春を謳歌する純心をも抱え込んでいる。  稀代の悪党として命のやり取りを日常的にこなしながら、その非情にも関わらず読者の側の静かな共感を得てゆくこの小説の存在が、実は不思議である。どんな種類のサイコ殺人者をも憎んでゆくことができるのに、非情の殺し屋を大抵はどうして憎めないのか? 書き手次第で、人間は、異常な論理や稀有な感性に抵抗なく溶け込んでしまうことができるということなのだろうか。  エピソードの積み重ねで構築してゆく壮大な叙事詩的ストーリーは、重く、長く、そして丹念この上なく、生き生きと描写されてゆく。前作でも見られ...
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