wiki クライムウェイヴ(Sysop読書録 活字をめぐる冒険) 内検索 / 「贖罪の街」で検索した結果

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  • 贖罪の街
    贖罪の街 題名:贖罪の街(上・下) 原題:The Crossing (2015) 著者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2018.12.14 初版 価格:各\880-  ハリー・ボッシュという史上稀に見る魅力的な刑事と出逢ってもう22年になる。  インターネットすら未だ普及していなかったその頃パソコン通信仲間であった翻訳者の古澤さんが本シリーズのヒットで一躍活躍したことから大阪で彼を囲んで仲間たちと酒を酌み交わし、本シリーズの凄さを熱く語り合った記憶ももう霧の向こうの遠い時代の一幕のようだ。  ベトナム帰還兵であるハリーも今やロス市警の退職を余儀なくされ、別シリーズ『リンカーン弁護士』の主人公でハリーの異母兄弟でもあるミッキー・ハラーと共に本書では困難な事件に立ち向かうことになる。...
  • 天使と罪の街
    天使と罪の街 題名:天使と罪の街 上/下 原題:The Narrows (2004) 作者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2006.8.11 初刷 価格:各\648  作者がシリーズ主人公に死の運命を課すのはそれなりに苦しいに違いない。場合によっては主人公ではなくても、レギュラー・キャラクターの死にだって痛みを感じることだろう。キャラクターの創造主は、あくまで作家であるからだ。  なかでも、コナリーにとって、テリー・マッケイレブの命の重さは並みのものではなかったと思う。読者にとってもそれは同じだ。かつて心臓を病み、その命を殺人事件の犠牲者の心臓の移植によって永らえた男。その命をもたらした殺人事件の闇の奥をまさぐり、真相にタッチした男。  そういう魅力的なキャラクターのかけがえのない...
  • マイクル・コナリー Michael Connelly
    ...2014 古沢嘉通 贖罪の街 2015 古沢嘉通 訣別 2016 古沢嘉通 汚名 2017 古沢嘉通 ボッシュ&バラード・シリーズ 素晴らしき世界 2018 古沢嘉通 鬼火 2019 古沢嘉通 ダーク・アワーズ 2021 古沢嘉通 正義の弧 2022 古沢嘉通 ミッキー・ハラー・シリーズ リンカーン弁護士 2005 古沢嘉通 真鍮の評決 リンカーン弁護士 2008 古沢嘉通 判決破棄 リンカーン弁護士 2010 古沢嘉通 証言拒否 リンカーン弁護士 2011 古沢嘉通 罪責の神々 リンカーン弁護士 2013 古沢嘉通 潔白の法則 リンカーン弁護士 2020 古沢嘉通 レネイ・バラード・シリーズ レイトショー 2017 古沢嘉通訳 ジャック・マカヴォイ・シリーズ ザ・ポエット 1996 古沢嘉通 スケアクロウ 2009 古沢嘉通 警告 2020 古沢嘉通 テリー...
  • 眩暈
    眩暈 題名:眩暈 作者:東 直己 発行:角川春樹事務所 2009.3.8 初版 2009.4.8 2版 価格:\1,900  札幌という地方都市だけの物語でありながら、出版一ヶ月ですぐに版を重ねる。東直己はいつの間に売れっ子作家になったのだろう。この作家の魅力は何なのだろう。  そう考える時、やはり一つの魅力は時代性だろうと思う。かつてのススキノ便利屋シリーズでは、作家の追憶の向うにあるような昔の話、それこそ1970年代のススキノあたりでシリーズを開始している。一方で本書の続ずるシリーズである私立探偵・畝原の方は等身大でリアルタイムな札幌を描く。  やがて便利屋シリーズのほうもあっという間に現代に追いついてしまったが、そこはそこで、作家から見れば利便性があったのだと思う。目的の一つは、きっとシリーズ・キャラクターを同じ時代、同じ場所に集めることで、競演を...
  • 償いの報酬
    償いの報酬 作品:償いの報酬 作者:ローレンス・ブロック 訳者:田口俊樹 発行:二見文庫 2012.10.20 初版 価格:\933  ハードボイルドの系譜が多岐に渡るなか、しっかりと野太い直列のラインで引かれた直系のシリーズが、このマシュー(マット)・スカダーのシリーズであろう。免許を持たないホテル住まいであっても、元刑事で今は探偵というアメリカン・スタンダードをしっかりと抑えつつ、卑しき街をゆく誇り高き男、という構図を崩さない。しかしながら、このシリーズは跳弾による少女の死と刺し違える格好で警察を辞め、離婚し、アル中に陥る探偵という贖罪の重さを一方で売りにしている。  名作『八百万の死にざま』は、禁酒の前後を切り分ける重要な作品となったが、マットが事件と向かい合いながらも己と闘ってゆく凄まじい姿は、今も深く読書体験の記憶に残って消えないものである。  本...
  • 贖罪
    贖罪 題名:贖罪 作者:湊かなえ 発行:東京創元社ミステリ・フロンティア 2009.06.15 初版 価格:\1,400  さすがに三冊目になり、そのどれもがある一定のレベルをキープし、さらにどれもが学園少女小説、かつミステリであるということで、相当の一貫性を印象づけている。書店でもいいコーナーを占有しているところを見ると、そこそこ世間では注目されている新進女流作家であるのだろう。  もちろんデビュー作『告白』が、第6回本屋大賞を受賞したという、いわく書店員の評価をものにしたということで、庶民派の目線からの高い評価が、高座から選別された大概の賞よりもずっと眩しく感じる。  少女たち。それはか弱き者たちである。本書では、ある一人の少女が犠牲になる。その少女がある一人の殺人者に選別され、殺害されたことに対し、当時、一緒にいた同級生たちのその後はそれ...
  • 罪の轍
    罪の轍 題名:罪の轍 著者:奥田英朗 発行:新潮社 2019.08.20 初版 価格:¥1,800  鬼才・奥田英朗が、一世一代のチャレンジをやってのけた。凄みのある一冊を世に出した。  戦後最大の誘拐報道で知られる吉展ちゃん事件をモデルに、東京オリンピック前年の昭和38年の世相を背景とした重量級の社会派ミステリを仕上げたのだ。この作家独自の語り口の巧さは読者を物語の世界へぐいぐいと引きずり込む。  作家によって練り上げられた動機と現実の犯人の動機は似て異なるように思われる。現実以上に、緻密に組み立てられたのであろう追跡と逃走のシナリオ。新たに想像され、かつ創造された犯人像の重厚さ。  関係する者たちの環境を敢えて史実とは変えつつ、創作ならではの明快さで時代背景や群像の生活を活写しつつ、その頃の街や地方の匂い、人間たちの猥雑な汗と体液...
  • 検察側の罪人
    検察側の罪人 題名:検察側の罪人 作者:雫井脩介 発行:文藝春秋 2013.9.10 初版 2013.10.1 2刷 価格:\1,800  雫井脩介は筆力もあり、その作品からは全力で執筆するという気迫も感じられる。  『犯人に告ぐ』『犯罪小説家』など、ミステリ作家として注目されながら、『クローズド・ノート』という女性小説で凄腕を発揮、その後、『つばさものがたり』『銀色の絆』など、どちらかと言えばミステリよりも女性小説のような題材で味のある仕事をしてくれているこの作家は、ミステリ作家とだけでは言い切れないばかりか、ジャンルをシフトさせてかに見える。そしてそのシフトもあながち間違っていないという印象がうかがえるほどに、優良品質な作風で定着しているかに見える最近であった。  久々のミステリと言えるのかどうか、本書はタイトル通り、検事という職業の人たち...
  • 罪の壁
    罪の壁 題名:罪の壁 原題:The Little Walls (1955) 著者:ウィンストン・グレアム Winston Graham 訳者:三角和代 発行:新潮文庫 2023.1.1 初版3刷 価格:¥800  魅力的で香るような文体。ぼくの生まれる一年前に出版された古い小説。それでいて本邦発邦訳。しかし、決して古臭くて読みにくいというような小説ではない。  確かに携帯電話もパソコンも人工衛星もない。情報入手や相互連絡の手段は著しく限られ、作中では電報が多用されている。しかし、人間の罪と犯罪は、どの時代も変わらない。不穏な黒い勢力も、彼らに牛耳られた警察組織も。人々の愛情も、憎悪も。欲望も、貧富の差も。  アムステルダムの飾り窓の女。運河に落ちて死んだ兄の事件。ナポリ。アマルフィ。セレブたちのパーティ。青の洞窟。ファム・ファタール。大戦の影...
  • 最後の旋律
    最後の旋律 最後の旋律―87分署シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1787) 題名:最後の旋律 原題:Fiddlers (2005) 作者:エド・マクベイン Ed McBain 訳者:山本 博 発行:ハヤカワ・ミステリ 2006.5.31 初版 価格:\1,100  本当に本当に、これが87分署シリーズ最後の作品なのか?  軽妙洒脱なセリフの行間を味わう。意表を突く場面展開を味わう。刑事たち一人一人の登場シーンを、本当にこれが最後の彼らの登場シーンなのか? と自問しながら、じっくりと読み進む。  キャレラの子供たちが成長し、まるでかつてのバーンズの息子みたいに薬物に手を伸ばすシーンがある。キャレラは年を取らなくても、子供たちは少しずつだが、シリーズの中で生まれ、そして成長してきたことを、今さらながら感じる。  麻薬がらみの連...
  • ボストン、沈黙の街
    ボストン、沈黙の街 題名:ボストン、沈黙の街 原題:Mission Flats (2003) 作者:ウィリアム・ランデイ William Landay 訳者:東野さやか 発行:ハヤカワ文庫HM 2003.09.30 初版 価格:\1,000  装丁や広告で謳っているほどに派手な作品ではない。出版社が目論むほどの売上が期待できるかというと、その手の(ディーヴァーやグリシャムのような)メジャーに乗ってゆく作品というわけでも別にない。思いのほか地味で、静かな作品である。  ボストンという街に対して抱くわれわれの犯罪イメージがどの程度を考えた場合、やはりそれはニューヨークやマイアミといったよく知られる組織犯罪のエリアには遠く及ばない気がする。かろうじてロバート・B・パーカーがスペンサーシリーズで描いてきたボストンのイメージから、大学や芸術や品のいい街とい...
  • 禽獣の街
    禽獣の街 禽獣の街 題名:禽獣の街 作者:坂眞 発行:健友館 2000.4.10 初版 価格:\1,300  作者自ら読んで欲しいとFADV内で言われただけあって、多くの作家のデビュー作がそうであるように多くの意気込みが込められている。内なる衝動が書かせたものなのか、きちんと言いたいこと、内容、世界をしっかりと持っているいい小説なのだと思う。ただ表現する内容にこれだけの凄味を持ちながら、小説のルールのようなもの、技術的なベースのようなものに、ぼくとしては欠如感を感じる点が多々あって大変に残念。  ありがちな自己陶酔型の世界秩序や主人公の内なる規律を、どうこちらに納得させてくれるのかという方法論でもあるのだが、小説としてぼくがあまり好きではない表現方法が安易に使われ過ぎているのが気になってならないのだ。  まず表現というよりもダイレクトな説明になってし...
  • 沸点の街
    沸点の街 題名 沸点の街 原題 Sacrifice (1997) 著者 ミッチェル・スミス Mitchell Smith 訳者 布施由紀子 発行 新潮文庫 1998.9.1 初版 価格 \895  どちらかと言えば『エヴァン・スコットの戦争』の流れを継ぐ死闘もの。主人公は、老アウトロー、連続殺人鬼が彼の娘を殺害する。だから復讐。実に単純明快な敵討ち小説である。やっぱり、どんどんシンプル化するアメリカ死闘小説のラインなのである。  強盗団の首領格である主人公は、初老だし引退を考えて最後のヤマを張る。まずはこのスタート・シーンで、ヒーローであるタイラー・ピアスの魅力が語られてしまう。悪党でありながら独特の倫理を己に課している男……ってアメリカ映画でも非常に多く出てきたりする。古くは『ワイルド・バンチ』のウィリアム・ホールデン、最近では映画『ヒー...
  • 刹那の街角
    刹那の街角 刹那の街角 (角川文庫) 刹那の街角 題名 刹那の街角 著者 香納諒一 発行 角川書店 1999.5.25 初版 価格 \1,700  どちらかと言えば犯罪者の世界を描くことのほうが多い著者としては、極めて珍しい警察小説という形での連作短編集。同じ捜査課の一人一人に焦点を当てた短編を一作一作読んでいるうちになんとなく捜査課全体の人間像や人間関係が明らかになってゆくという、不思議な魅力を持った作品。  考えてみれば『太陽に吠えろ』だって『特捜最前線』だって一話につき一人の刑事がピックアップされてドラマとなり、それが重なるうちに、刑事たちの群像が全体的によりイメージされて愛着が出てくる(その辺で一人殉職させるとかするわけだけど)。  この辺の手法は別にTVドラマだけのものではなくって『87分署シリーズ』『マルティン・ベック・シリーズ』な...
  • 冬の砦
    冬の砦 冬の砦―長編サスペンス 題名:冬の砦 作者:香納諒一 発行:祥伝社 2006.07.20 初版 価格:\2,100  香納諒一が『贄の夜会』に続いて、またもミステリらしいミステリを書いた。推理小説のサイドに立っての物語をあまりしなかった作家だけに、興味深く思っている。はっきりとしたハードボイルド作家というイメージから、もっと広い読者層に向けて作品を作る作家に変わったのは、一連の短編小説を書いてからのことだと思う。  短編小説は腕を磨く。短編小説には、長さがもたらすキャラクターへの共感や愛着が生まれにくい。だからこそ、短い文章によって読者を引きずりこむ文章の質の力は、高いレベルが要求される。そうした土俵で相撲を取ってきた作家は、ぼくの知る限り信頼し得る作家となる。あるいは信頼のおける作家が短編を書いたときには、やはりきちんと納得のゆくものを生み出して...
  • 欲望の街
    欲望の街 [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __ty...
  • 偽りの街
    偽りの街 偽りの街 (新潮文庫) 題名:偽りの街 原題:MARCH VIOLETS ,1989 作者:PHILIP KERR 訳者:東江一紀 発行:新潮文庫 1992.6.25 初版 1992.12.25 第2刷 価格:\560(本体\544)  昨年のベスト・ミステリーに必ずと言っていいほど名を連ねているのでとても気になっていた作品。ナチの独裁 1936 年ドイツを舞台に据えた私立探偵ものというだけで、不思議な反骨の魅力に満ちたハードボイルドに仕上がっている。ぼくと同年齢のイギリス人作家が書いた作品でもある。イギリス人でハードボイルド作家となれば言わずと知れたチャンドラー。言ってみればこの作品はヒットラー独裁政権の下で不自由ながらも生き抜いてゆくフィリップ・マーローものと言っていいかもしれない (だからマーローものとは酷くかけ離れているということである、事実は...
  • 償いの雪が降る
    償いの雪が降る 題名:償いの雪が降る 原題:The Life We Bury (2014) 著者:アレン・エスケンス Allen Eskens 訳者:務台夏子訳 発行:創元推理文庫 2018.12.21 初版 価格:¥1,180  後悔のない人生なんてない。もう二度取り戻すことのできない失敗の記憶は誰にだってある。そしてそれは、時には、誰にも告げられぬ心の奥の真実である。魂の重荷として人生に付き纏う、影みたいな存在である。本書は、逆境としか見えない家族……アル中で性悪な母と、自閉症の弟、父はそもそも誰であるか知らない……から離れて、完全自立を目指す大学生のジョーが、学業の一端として取り組む課題を通しての、人生の激しい(激し過ぎる?)転機となる事件を、ジョー自身の眼を通して一人称で語る物語である。  彼が取り組もうと決めた課題とは、老人ホームで末期癌に...
  • 神の街の殺人
    神の街の殺人 題名:神の街の殺人 原題:Tabernacle (1983) 作者:Thomas H. Cook 訳者:村松 潔 発行:文春文庫 2002.4.10 初版 価格:\638  トマス・H・クックと言えば、最近ではすっかり<あの記憶シリーズの作家>として定着している観がある。ぼくはこの人の比較的旧い作品も好きなので、三作目にあたる本書はデビュー作『鹿の死んだ夜』に続いての今になって翻訳された作品であり、クック・ファンとしてはそれなりに垂涎ものといったところに位置する作品でもある。  ユタ州ソルトレイクシティと言えば、まず想起するのがモルモン教の街である。死刑囚ゲイリー・ギルモアの恐るべきあのドキュメント『心臓を貫かれて』の街でもある。多くの戒律に縛られた街で生じる連続殺人事件。  主人公であるトム・ジャクソンは、フランク・クレモン...
  • 厳寒の街
    厳寒の街 題名:厳寒の街 原題:Vetrarborgin (2018) 著者:アーナルデュル・インドリダソン Arnaldur Indridason 訳者:柳沢由美子 発行:東京創元社 2019.08.23 初版 価格:¥2,100  アイスランドを舞台にした小説は少ない。アイスランドは北海道に毛が生えたくらいの国土で、北極に近く、それゆえ人口が30万と旭川市の人口ほどしかない。レイキャビクに多くの人口が集中しているのも北海道と同じ現象か。札幌が200万に手が届くほどの大都市であることを思えば、アイスランドが如何に小さな国かがわかろうかと思う。  今年はラグナル・ヨナソンのアリ=ソウルのシリーズにも魅力を感じたがそちらは同じアイスランド小説でも北極海に面したシグルフィヨルズルという港町、インドリダソンの本シリーズは、アイスランド一の街レイキャビクが舞台...
  • 愚者の街
    愚者の街 題名:愚者の街 上/下 原題:The Fools In Town Are On Our Side (1970) 著者:ロス・トーマス Ross Thomas 訳者:松本剛史 発行:新潮文庫 2023.6.1 初版 価格:上/¥710 下/¥750  ロス・トーマス新訳! そう聞いただけで小躍りしたくなるほど嬉しい。ロス・トーマスは、実はぼくのミステリー読書史の中では間違いなく五指に入る作家である。しかしもう長いこと新訳を読む機会がなく、歴史の一部として化石化してしまった名前でもあった。最近、新潮文庫での旧作をサルベージして邦訳してくれる<海外名作発掘>シリーズを有難く読ませて頂いているのだが、まさかロス・トーマスを、それも初期時代の大作を読めるとは予想だにしていなかった。  生きててよかった! そう思えるようなあの懐かしきロス・トマ節が...
  • 行きずりの街
    行きずりの街 行きずりの街 (新潮文庫) 題名:行きずりの街 作者:志水辰夫 発行:新潮ミステリー倶楽部 1990.12.01 初版 価格:¥,1400  今年最後の感想は相変わらずの志水節で締めくくろう。本年の国産冒険小説ではナンバー1を谷甲州『遥かなり神々の座』と争うであろうとの内藤陳会長下馬評付きの本書であったが、まあやはり基本的にはぼくは『遥かなり・・・』のほうが遥かに上を行っている、この『行きずりの街』にあの作品を覆す力はまずなさそう、というのが正直なところなのだ。  まずその最大の原因はストーリーのスケールの問題である。本書で最も物足りなく思われるのは、主人公が捲き込まれる謀略そのもののスケールがまるで小さいことだろう。故に主人公が挑戦する状況はかなり切羽詰まったものであるには違いないのだが、相手が小さいということ。このへんが志水作品のい...
  • モンキーズ・レインコート
    モンキーズ・レインコート 題名:モンキーズ・レインコート 原題:The Monkey s Raincoat (1987) 作者:ロバート・クレイス Robert Crais 訳者:田村義進 発行:新潮文庫 1989.2.25 初版 価格:¥480  『ロスの探偵エルヴィス・コール』との副題が付いている。今では副題は不要なくらい有名なシリーズとなってしまったが、一時は日本の出版社があまり熱心に版権への触手を伸ばさなかったことから未訳作品も残念ながら目立つ当シリーズ。  この作家を日本で改めて紹介し、人気をかつてより増して引き寄せたのが、2019年以降翻訳出版を遂げた警察犬マギーのシリーズ『容疑者』と『約束』だった。後者はエルヴィス・コールを再び翻訳ミステリーの壇上に、見事、呼び戻した。  ぼくも警察犬マギー・ザ・ドッグを経由して、エルヴィス・コ...
  • 終決者たち
    終決者たち 題名:終決者たち 上/下 原題:The Closers (2005) 作者:マイクル・コナリー Michael Connelly 訳者:古沢嘉通 発行:講談社文庫 2007.9.14 初刷 価格:各\714  ボッシュがかつての同僚キズミン・ライダーの奔走によってロス市警に復職することになるのは、前作『天使と罪の街』のラストで暗示されていたが、本作はこれを受けて復帰初日のボッシュからスタートする。  それでも軽快で陽気なカムバックのおめでたさとはどことなく無縁である気配が漂うあたりもボッシュらしい。本人は復職により、本来のハンターとしての機能性を取り戻す喜びに溢れているし、同僚たちも信頼ある仲間の復帰をそれとなく喜んでいるかに見える。しかし彼が復帰した部署は、未解決事件班という極めて特殊な部署である。  現在の事件ではなく、過...
  • 獣どもの街
    獣(けだもの)どもの街 獣どもの街 (文春文庫) 題名:獣(けだもの)どもの街 原題:HurrywoodFuck Pad, Hot-Prowl Rape-O, Jungletown Jihad (2004) 作者:ジェイムズ・エルロイ James Ellroy 訳者:田村義進 発行:文春文庫 2006.10.10 初版 価格:\781  あのエルロイが、すっかり鳴りを潜めていた。ヴァクスは相変わらず鳴りを潜めている。死人であるトンプスンの方がまだしも、現代という名の汚れきった空気を肺に充満させて満足しているかに見える。いずれ、読者の錯覚に過ぎないのが重々わかっているのだが……。  そのエルロイ、まさに5年ぶりの復活! と祝いたいほどに、ともかく懐かしい。リック&ドナのシリーズ。本書はその中篇が三つ収録された連作小説集なのだが、込み入ったいきさつがあるらし...
  • 夜明けの街で
    夜明けの街で 題名:夜明けの街で 作者:東野圭吾 発行:角川書店 2007.06.30 初版 2007.7.25 2刷 価格:\1,600  ちょうど一年前には『赤い指』で、介護を軸にしたホームドラマのとっても歪んだ物語を読ませてもらった。『容疑者Xの献身』同様に、ラストシーンにとても感動があった。最近の東野圭吾は、『白夜行』のような少しノワール系のものよりも、庶民的などこにでもありそうな感情を扱いながら、感動のピークに読者を運んでしまうという引き潮のような威力の小説を書いている気がする。その意味では本書も『赤い指』のようなソフトカバー、手ごろな価格、軽く手に取れる触感、といった意味でつい手に入れたくなる種類のそれだった。  そしてページターナーとしての能力はこの本においても遺憾なく発揮される。今回は、結婚と浮気ということが一つのネタになっている...
  • あの夏、風の街に消えた
    あの夏、風の街に消えた あの夏、風の街に消えた 題名:あの夏、風の街に消えた 作者:香納諒一 発行:角川書店 2004.09.30 初版 価格:\2,200  大して年の違わないぼくが言うのもなんだが、香納諒一は若くしてデビューし、その頃には背伸びして作者自身より年上の大人の男の世界を描こうともがいているように見えた。れっきとした大人たちの世界を紙の上に作り上げた印象と、そこに見える書こうとしているテーマの頑なさに、過たず方向を見極めて船出しようとする作家的姿勢を見て、やけに興奮を覚えたものだった。  その作者も四十の壁を越える前辺りから、もともと多作ではなかった筆に慎重さをいや増し、新作から遠のいていた。今では四十の壁を後ろに追い越してぐいぐいと漕ぎ出してゆく海はさらに広さを増して見えるようになった。  ハードボイルドや冒険小説といったものから、...
  • スカーペッタ 核心
    スカーペッタ 核心 題名:スカーペッタ 核心 上/下 原題:The Scarpetta Factor (2008) 作者:パトリシア・コーンウェル Patricia Cornwell 訳者:池田真紀子 発行:講談社文庫 2010.12.15 初版 価格:各\857  このシリーズに4年ほどの不在期間を置いてしまった。そのおかげでシリーズというものが呼び起こすインタレスティングの多くを自ら損なわせてしまったように思う。シリーズの際立った特徴や、独特の、陰性の空気感などは忘れ難いものの、細かい心理描写に重きを置くこの小説シリーズのデリケートな側面については、過去の流れを取り戻すのに時間がかかった。ただでさえ手こずることの多い精緻な作品シリーズであるのに、自ら、検屍官ケイ・スカーペッタ宇宙への浸透の難しさを増やしてしまった。シリーズは5作ほどこの後に行列...
  • 香納諒一
    香納諒一 川崎警察シリーズ 川崎警察 下流域 2023/01 川崎警察 真夏闇 2024/01 K・S・Pシリーズ K・S・P 孤独なき地 2007/03 K・S・P II 毒のある街 2008/09 K・S・P 噛む犬 2011/01 K・S・P 女警察署長 2012/07 K・S・Pアナザー 約束 2015/09 警視庁捜査一課シリーズ 刹那の街角 1999/05 贄の夜会 2006/05 無縁旅人 2014/03 刑事群像 2015/02 砂時計 警視庁強行犯係捜査日誌 2023/10 辰巳翔一シリーズ 無限遠/「春になれば君は」改題1993/12 蒼ざめた眠り/「虚国」改題  2010/03 さすらいのキャンパー探偵 降らなきゃ晴れ 2019/08 さすらいのキャンパー探偵 水平線がきらっきらっ 2019-09 さすらいのキャンパー探偵 見知らぬ町で 2019-10...
  • 電話魔
    電話魔 電話魔 (ハヤカワ・ミステリ文庫 13-13) 題名:電話魔 原題:The Heckler (1960) 著者:エド・マクベイン Ed McBain 訳者:高橋泰邦 発行:ハヤカワ文庫HM 1977.10.31 1刷  シリーズ、ようやく1ダース目である。四年で1ダースだから年間3作も書いている勘定になる。ペーパーバックには違いないが、それにしても、なぜこれほど続けざまに執筆していながら、ある一定の水準を保っていられるんだろう。  ひとつには刑事たちの個性だろう。そして事件の斬新さだろう。この作品においてもその二つの魅力はいかんなく発揮されている。とりわけこの作品を特徴づけるのは、犯人が数学の確率論で計画を練っていること、警察全体を手玉に取っていることだろう。そしてアイソラの街がいっぺんにこれほど被害を受けたことはかつてなかったろう。犯罪の規...
  • 熱愛
    熱愛 題名:熱愛 著者:香納諒一 発行:PHP研究所 2018.9.28 初版 価格:¥1,800-  オープニングはタランティーノ、クライマックスはジョン・ウー。映画監督の演出で例えた場合のぼくの印象。まさに『パルプフィクション』の有名なシーンそのままのショッキングな幕開けでスタートする本書。何たる登場人物たちだと心配になるほどのキャラクターたち。とても懐かしく、香納諒一初期長編作品二作『時よ夜の海に瞑れ』『石(チップ)の狩人』の安元兄弟を想い出す。やはりこの作者、主役のみならず脇役キャラを作るのが相変わらず上手い。  香納作品としては、相当活劇性の高い作品である。アクション、ノワール、ハードボイルド、とサービス満点のダイナミックなストーリー展開で見せる、非常に娯楽的作品である。しかし、同時に主人公である一匹狼・鬼束啓一郎の人物造形のために、本書まるま...
  • 探偵、暁に走る
    探偵、暁に走る 題名:探偵、暁に走る 作者:東 直己 発行:ハヤカワ・ミステリワールド 2007.11.15 初版 価格:\2,000  『ライト・グッドバイ』で、もしかしこれにて、ほぼ終わっちまったのか、と思えたのが、本シリーズへの不安だった。三つのシリーズを交錯させて終焉を迎えさせた感のあるサイコ事件、そして道警腐敗神話。もうすべて終わっちまったんだな、という印象が。  しかし畝原シリーズも本シリーズも、この2007年という同年に、新たな形で世に出してしまった東直己。かつての一作産むのに苦労していた時代とは違うのか。誰がどう見てもペースの速まっているように見える彼の創作態度に、著しい昨今の変化を感じないものはいないだろう。  娯楽小説としての手抜きのあり方を覚えたというのもあるのかもしれない。手抜きというと語弊があるが、ある程度、別ジ...
  • 死んだ耳の男
    死んだ耳の男 死んだ耳の男 (ハヤカワ・ミステリ文庫―87分署シリーズ) 死んだ耳の男 (Hayakawa pocket mystery books―87分署シリーズ (1238)) 題名:死んだ耳の男 原題:Let s Hear It for the Deaf Man (1973) 著者:エド・マクベイン Ed McBain 訳者:井上一夫 発行:ハヤカワ文庫HM 1986.11.15 1刷 価格:\400  作品の時代背景にあるベトナムの戦火の影響が色濃く感じられる。長髪のヒッピーたちが街に新たな世界を作り出している。アイソラの街にも、同じ翳が落ちている。ヘルス・エンジェルスまがいの暴走族が出現し、ビートルズは既に解散している。日本では「三無主義」という言葉が産声をあげ、ぼくらの世代はその名で大人からの攻撃対象になっていた。ぼくらが必至の抵抗を試みよ...
  • ホプキンズの夜
    ホプキンズの夜 ホプキンズの夜 (扶桑社ミステリー) ホプキンズの夜 (サンケイ文庫―海外ノベルス・シリーズ) 題名 ホプキンズの夜 原題 Because The Night (1984) 著者 ジェイムズ・エルロイ James Ellroy 訳者 小林宏明 発行 扶桑社ミステリー 1990.07.25 1刷 1990.10.1 2刷 価格 \600(本体\583)  凄いなと思うのは、この作品がシリーズ前作『血まみれの月』とほとんど間髪を置かずに発表されていること。作者が続け様に仕上げたのだとすると、よほどこのロイド・ホプキンズという特異なキャラクターが、作者の中でざわめいていたに違いない。  まともな学校教育をほとんど受けていないエルロイというこれまた特異なキャラクターにペンを執らせるものは何なのだろうと考えると、なにかしら背筋の...
  • 七つの裏切り
    七つの裏切り 題名:七つの裏切り 原題:Seven Slayers (1946) 著者:ポール・ケイン Paul Cain 訳者:木村二郎 発行:扶桑社ミステリー 2022.12.30 初版 価格:¥900  『ブラック・マスク』という雑誌が、今の時代に、日本にあったら楽しいだろうなあ、とは、ハードボイルド・ファンにとって人生を通して心に浮かんできてやまない一つの叶わぬ夢である。かのハメットが、このパルプ・マガジンを足掛かりにサム・スペイドというキャラクターを作り出したのは有名な話。ハードボイルドの探偵役は、かくて汚れた街をゆく騎士と呼ばれるようになった。  歓ぶべきことに、その『ブラックマスク』を抜け出して現代に蘇らせる邦訳が、ここに登場。本書のポール・ケインは、その文体でも内容でも、史上最もハードボイルドな作家として名を馳せている方であるらしい。...
  • 流れは、いつか海へと
    流れは、いつか海へと 題名:流れは、いつか海へと 原題:Down The Riveer Unto The See (2018) 著者:ウォルター・モズリイ Walter Mosley 訳者:田村義進 発行:ハヤカワ・ミステリー 2019.12.15 初版 価格:¥1,900  国産ミステリーの犯罪のほとんどが、極めて個人的な犯罪を扱うのに比して、世界の賞を獲るような作品は必ずと言っていいほど、国家レベルの犯罪、あるいは政府機関の犯罪、もしくは制度の生み出す社会悪が生み出す犯罪を描くものが多い。単なる謎解き小説にとどまらず、犯罪を小説の題材として描くことで、何らかの社会的メッセージを描くもの、そうではなくても高位なレベルで行われる犯罪に、個人として立ち向かわねばならない状況を小説の背骨に据えているものが多いと思う。  国産小説にそれが皆無とは言えないけ...
  • 死者の雨
    死者の雨 題名:死者の雨 上/下 原題:Le Cercle (2012) 著者:ベルナール・ミニエ Bernard Minier 訳者:坂田雪子 発行:ハーパーBOOKS 2017.09.20 初版 価格:各¥991  前作はピレネー山脈との国境の街を風雪の季節を背景に描いたものだが、本書ではトゥールーズの近くの架空の町マルサックを背景にし、全編よく降る雨の季節と、前作とは雰囲気を変えている。タイトルとは全く無関係な邦題が選ばれたのも、本書中で絶え間ないほどに降り続く雨と、その奥で起こった犯罪の姿を想起させるべく、訳者と版元とで決められたものに違いない。  原題はフランス語で「ル・セルクル」、英語に直せば『ザ・サークル』で、作中、いつこのタイトルが姿を現わすのかとやきもきさせられるが、読み進むにつれ、そのタイトルの意味は明らかになる。前作同様...
  • 白夜の警官 BLACKOUT
    白夜の警官 BLACKOUT 題名:白夜の警官 BLACKOUT 原題:Myrknaetti (2012) 著者:ラグナル・ヨナソン Ragnar Jonasson 訳者:吉田薫訳 発行:小学館文庫 2019.03.11 初版 価格:¥770   読み始めたら止まらないというのも、北欧ミステリの特徴なのかもしれない。本シリーズはアイスランド語から英語に訳されたものを日本語に訳した後、ようやく、ぼくら日本人の手に渡るという経路を辿るが、英訳化した出版社が、何とも頼りないことに、キンドル首位として有名になった作品から英語訳してしまったために、第一作→第五作→第二作と順番を前後させてしまい、シリーズとしての面白さを著しく損ねている。アイスランド語翻訳者が日本では希少なため、英語版からの邦訳となるから、英語圏出版社の通りの順番で書店に出回っているのが現状。作者...
  • 湊かなえ
    湊かなえ 長篇小説 告白 2008.08 少女 2009.01 贖罪 2009.06 Nのために 2010.01 夜行観覧車 2010.06 花の鎖 2011.03 境遇 2011.10 サファイア 白雪姫殺人事件 2012.07 母性 2012.10 望郷 2013.01 高校入試 2013.06 豆の上で眠る 2014.03 山女日記 2014.07 物語のおわり 2014.10 絶唱 2015.01 リバース 2015.05 ユートピア 2015.11 ポイズンドーター・ホーリーマザー 2016.05 未来 2018.05 ブロードキャスト 2018.08 中短編集 往復書簡 2010.09
  • 赤い指
    赤い指 題名:赤い指 作者:東野圭吾 発行:講談社 2006.07.25 初版 2006.8.10 2刷 価格:\1,500  自分の息子が、もし幼い少女を扼殺して、その上、自宅の庭に遺棄して知らぬ顔を決め込んだとしたら、親としての自分は、そして妻は果たしてどういう態度を採るだろう。そう考えるだけでも、果てしなく地獄に近い状況なのに、おまけに家の中には、認知症のボケ老母が徘徊している。  安部公房の戯曲の中に『無関係な死』(原作は短編)という状況喜劇がある。ある朝、起きてみると自分の家の中に、全然知らない人の死体が転がっている。異常なるその状況をめぐって、主人公が右往左往する話であるのだが、犯人探しであるとか、死体の正体を判明させるであるとか、そういったものとは一切切り離された世界である。無関係な死体の唐突な出現によって、それまでの日常が破壊され...
  • わが名はレッド
    わが名はレッド わが名はレッド (ハヤカワ・ミステリ文庫) 題名:わが名はレッド 原題:Red Dock (2002) 作者:Seamus Smyth 訳者:鈴木 恵 発行:ハヤカワ文庫HM 2002.09.2815 初版 価格:\680  前作『Mr.クイン』に対しては、世間の評価に背く形でぼくは批判的立場を取ったものだ。本書のカバー・デザインは、2作目もきっと同じようなものかという印象を購買者に抱かせる。  しかし性懲りもなく今回も『このミス』上位を射止めたとあって、さて本当はどんなものかと手に取ってみる。ページを開くなり、がっかりした。レッドとクインは一体どこか違うのかと思ったのだ。またも完全犯罪を狙ってブレーンをやる男の話ではないか。騙された気がした。  ところが、2作目は前作よりずっと薄手であるにも関らず、前作よりずっと中身の詰まっ...
  • ウィンストン・グレアム Winston Graham
    ウィンストン・グレアム Winston Graham 長編 夜の戦いの旅 1941 大庭忠男訳 罪の壁 1955 三角和代訳 マーニィ 1961 田中西二郎訳 幕が下りてから 1965 隅田たけ子訳 盗まれた夜 1967 岡本浜江訳
  • 大沢在昌
    大沢在昌 新宿鮫シリーズ 新宿鮫 1990 毒猿 新宿鮫2 1991 屍蘭 新宿鮫3 1993 無間人形 新宿鮫4 1993 炎蛹 新宿鮫5 1995 氷舞 新宿鮫6 1997 灰夜 新宿鮫7 2001 風化水脈 新宿鮫8 2000 狼花 新宿鮫9 2006 絆回廊 新宿鮫X 2011 暗約領域 新宿鮫XI 2019 黒石(ヘイシ) 新宿鮫XII 2022 狩人シリーズ 北の狩人 1996 砂の狩人 2002 黒の狩人 2008 雨の狩人 2014 冬の狩人 2020 佐久間公シリーズ 標的走路 1980 感傷の街角 1982 漂泊の街角 1985 追跡者の血統 1986 雪蛍 1996 心では重すぎる 2000 天使の牙シリーズ 天使の牙 1995 天使の爪 2003 BDTシリーズ B・D・T 掟の街 1993 影絵の騎士 2007 いやいやクリスシリーズ(短編...
  • 奥田英朗
    奥田英朗 長編小説 ウランバーナの森 1997 最悪 1999 邪魔 2001 野球の国 2003 真夜中のマーチ 2003 サウスバウンド 2005 ララピポ 2005 オリンピックの身代金 2008 無理 2009 純平、考え直せ 2011 噂の女 2012 沈黙の町で 2013 ナオミとカナコ 2014 罪の轍 2019 リバー 2022 精神科医伊良部シリーズ(連作短編) イン・ザ・プール 2002 空中ブランコ 2004 町長選挙 2006 短編集 東京物語 2001 マドンナ 2002 ガール 2006 家日和 2007 我が家の問題 2011 エッセイ B型陳情団 1990 おれに訊くんじゃない近そうで遠い男と女のハナシ 1992 延長戦に入りました 2002 泳いで帰れ 2004 港町食堂 2005 用もないのに 2009 どちらとも言えません 2011
  • 傷痕
    傷痕 傷痕(きずあと)〈上〉 (ヴィレッジブックス) 傷痕(きずあと)〈下〉 (ヴィレッジブックス) 題名:傷痕 上/下 原題:Shadow Man (2006) 作者:コーディ・マクファディン Cody Mcfadyen 訳者:長島水際 発行:ヴィレッジ・ブックス 2006.11.20 初刷 価格:上\680/下\720  これまでのサイコ・サスペンスを凌駕しようという作者の意気込みが、かなり直裁に感じられるサービス満載のスリラーである。少し前に読んだ『ダーティ・サリー』も『ブラック・ダリア』の映画化などで再燃する猟奇犯罪のニュー・ウェイブに敢えて乗って行こうというようなタイムリーな雰囲気が感じられたが、本作はそれに輪をかけたような超ニューウェイヴと言おうか。  一言で言うなら、ノンストップ・サスペンスという以外にない。ジェットコースター小説のカ...
  • カメレオンの影
    カメレオンの影 題名:カメレオンの影 原題:The Chameleon s Shadow (2007) 作者:ミネット・ウォルターズ Minette Walters 訳者:成川裕子 発行:創元推理文庫 2020.04.10 初版 価格:¥1,400  実に5年ぶりのお目見えとなる作品。値段の割に邦訳が遅いのが気になる。この作家を思い出すのに、以下の前作『悪魔の羽』についての我がレビューを少し振り返りたい。 (以下前作レビュー) { 中編集『養鶏場の殺人・火口箱』を読んでから、少しこの作家への見方がぼくの方で変わった。≪新ミステリの女王≫と誰が呼んでいるのか知らないが、この女流作家はミステリの女王という王道をゆく作家ではなく、むしろ多彩な変化球で打者ならぬ読者を幻惑してくるタイプの語り部であるように思う。  事件そのものは『遮断地区』でも特に...
  • 花ならアザミ
    花ならアザミ 花ならアザミ (講談社文庫) 題名:花ならアザミ 作者:志水辰夫 発行:講談社 1991.04.26 初版 価格:\1.300  『行きずりの街』に続く長編新作。まず興味を惹くのは主人公が女性であること。それも見た目にはとても地味で真面目でおとなしい感じのこれが本当に主役なのかと思われるような若い女性。勤め先は潰れかかった古本屋。早稲田の裏通りから目白にかけての地形描写などは、またも志水独特の執拗なリアリズムによって親近感を感じさせられる。いったいどんな事件が起こるのかと疑う間に、どうやら新しく起こるできごとが問題なのではなく、状況そのものが伏魔殿であることに気づいてしまう。  志水の作風はいつも文体の巧さで読者を強引に引っ張ってゆくものだけど、今回は割りとその辺りがおとなしく抑制されているように思われた。その代わり最近富に描かれること...
  • 夜明け遠き街よ
    夜明け遠き街よ 題名:夜明け遠き街よ 作者:高城 高 発行:東京創元社 2012.08.20 初版 価格:\1,700  すすきのという北の不夜城は、ハードボイルドを展開させるのに決して向いていない街じゃない。常々ぼくはそう思ってきたし、東直己という作家も頑張ってそのことにこだわった作品作りを重ねてきてくれた。最近は同氏の『探偵はバーにいる』はシリーズとして二本も映画化されるに至り、このままシリーズ化されても当たるのではないかとの期待が入るくらい、フィルム・コミッションでも優れた価値を見出されているすすきのである。  でありながら、本格ハードボイルドの息づくすすきの小説としての決定打はなかなかなかったように思う。だからこそ、本書の価値はすすきのを舞台として信じてきたぼくのようなこだわり読者にはこの手の作品の価値がたまらなく高く感じられるのである。 ...
  • 坂 眞
    坂(ばん) 眞 長編小説 禽獣の街 2000 研究 韓国が世界に誇る ノ・ムヒョン大統領の狂乱発言録 2006
  • 完全なる首長竜の日
    完全なる首長竜の日 題名:完全なる首長竜の日 作者:乾 緑郎 発行:宝島社文庫 2013.05.03 8刷 2012.01.27 初刷 2011.01初版 価格:\562  2009年に『このミステリーがすごい!』大賞を受賞したと聞いて、え? と思った。先にこの本を読んでいる妻に、確認する。----この本って、ミステリなのか? ----ミステリ? えーと何をもってミステリって言うの? ----えーと犯罪の有無かな。すくなくともアメリカのミステリを毎年選んでいる超有名なアンソロジストであるオットー・ペンズラーはそう言っている。  正確にはこうだ。「犯罪か犯罪の脅威がテーマかプロットの核をなす作品」。その唯一の条件さえクリアしていれば、どんなに広義の解釈であろうと構わない。仮に時代物だってSFだっていいんだろうな、多分。それなのに、妻はこう答えた。--...
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