wiki クライムウェイヴ(Sysop読書録 活字をめぐる冒険) 内検索 / 「騙し屋」で検索した結果

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  • 騙し屋
    騙し屋 題名:騙し屋 原題:The Dceiver "Prid and Extreme Prejudice" 作者:フレデリック・フォーサイス 訳者:篠原慎 発行:角川書店 1991年 9月20日 初版発行 定価:\1,500(本体\1,456)  フォーサイスの新作全4巻と聞いて書店へ飛ぶが、それらしき本は見当たらず。ただ『騙し屋』というハードカバーだけが見つかった。特に(1)とも何とも書いてないただの『騙し屋』。しかし帯を見ると……4部作第一弾となっている。しかも9月より毎月一冊発行とも書いてある。何やら変則的らしい出版姿勢への理解し難い思いを抱きながらレジへ行き、早速家へ持ち帰って読み始める。そこで本の正体はわかった。 主人公はまずサム・マクレディというDDPS(欺瞞、逆情報及び心理。工作部長こと「騙し屋」。彼の聴聞会がとりあ...
  • フレデリック・フォーサイス Frederick Forsyth
    ...マクレディ四部作 騙し屋 1991 篠原慎訳 売国奴の持参金 1991 篠原慎訳 戦争の犠牲者 1991 篠原慎訳 カリブの失楽園 1991 篠原慎訳
  • 殺し屋
    殺し屋 殺し屋 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) 題名:殺し屋 原題:Hitman (1998) 作者:Lawrence Block 訳者:田口俊樹 発行:二見文庫 1998.10.25 初版 価格:\790  「イージー・リスニング」という言葉があるように「イージー・リーディング」という言葉が、読書という趣味のなかにあるとしたらどうだろう。連想するのは村上春樹のエッセイや短編小説、矢作俊彦や浅田次郎の同じく短編小説、中島らもや浅田次郎のエッセイ集。そして海外ではそれはローレンス・ブロックの短編集にとどめを刺すだろう。どれをとっても、いずれ実力がなければ書けないジャンルなのだろう。  殺し屋ケラーの連作短編小説集。スタートの短編『名前はソルジャー』はハヤカワ文庫のブロック短編集『夜明けの光の中に』収録されている。  殺し屋ケラーは、まる...
  • おれは殺し屋
    おれは殺し屋 おれは殺し屋 おれは殺し屋 (光風社文庫) 題名:おれは殺し屋 作者:森詠 発行:光風社出版 1992.3.20 初版 価格:\1,200(本体\1,165)  この本を買って読み終えたのは、単に自分が森詠のファンなもので、森詠の本は新しいものはどんどん買って読むという主義であったからに過ぎない。といって古い本を全部読破しているわけではないから、それほど思い入れのあるファンであるとも言えない。まあ、なんとなくチェックしておきたいジャンルの作家である、くらいかな?  それにしてもこの人は短編が多くて、たまにいい短編集も出すのだけど、ほとんどは雑誌掲載の細切れ作品を体裁よく纏めたものといった、しかもそれでいて値段の高いハードカバーが多い。この本は内容は大したこともないし(そろそろぼくも飽きてきてる)、わざわざハードカバーで出さんでも……と文句を...
  • 殺し屋 最後の仕事
    殺し屋 最後の仕事 題名:殺し屋 最後の仕事 原題:Hit And Run (2008) 作者:ローレンス・ブロック Lawrence Block 訳者:田口俊樹   発行:二見文庫 2011.10.20 初版 価格:\876  日頃どうも恵まれないとつくづく思い残念に思うのが、海外ミステリの書店ブースにおける取り扱いのあり方である。その中でも二見文庫の扱いなどはひどいものだ。扱っていればまだいい方と言えよう。  いや、もちろんこの作品の存在を季節外れにぼくが発見しなければならなかったことの非をもちろん書店にぶつけようというものではない。冒険小説フォーラムをNifty Serve(パソコン通信)に開設していた頃は、二見書房含め、多くの新刊情報を取り寄せてメンバーの皆様に紹介していたものだが、インターネットの時代が到来してからはそうした情報発信はあまり...
  • 殺し屋ケラーの帰郷
    殺し屋ケラーの帰郷 題名:殺し屋ケラーの帰郷 原題:Hit Me (2013) 作者:ローレンス・ブロック Lawrence Block 訳者:田口俊樹   発行:二見文庫 2014.11.20 初版 価格:\952  前作『殺し屋 最後の仕事』を読んだ途端に、ああ、これほどブラックでスラップスティックな殺し屋という特異な職業のシリーズを、ここまで上手に綺麗に纏めて完結させてゆくストーリー・テリングが世の中にはきちんと存在するんだ、さすがブロックは巧いな、と感心しきりであった。おそらく前作を脱稿したときのブロックは「書き切った」印象は少なからず持ったのではないだろうか。  でもブロックは凡百の作家では決してない。本作では、あそこまで綺麗に物語を収めておきながら、さらに「もっと書ける」匠の技を見せてくれるのである。前作のぎりぎり感、ノンストップ感などは...
  • 老いた殺し屋の祈り
    老いた殺し屋の祈り 題名:老いた殺し屋の祈り 原題:Come Un Padre (2019) 著者:マルコ・マルターニ Marco Martani 訳者:飯田亮介 発行:ハーパーBOOKS 2021.02.20 初版 価格:¥1,300  どこかかつて観た記憶のある映画のシーンが、深い水の底から浮き上がってくるような感覚。それが本作のいくつかのページで感じられたものである。語り口や物語の進め方が上手いのは、この作家が初の小説デビューにも関わらず、映画の脚本家としてならした経歴の持ち主だからだろう。  作家が自分の物語として作り上げた「老いた殺し屋」オルソのキャラクター作りだけで既に小説を成功に導いているように思えるが、やはり彼の旅程を彩る派手なバイオレンス、また、彼が救い出す母子との交情の陰と陽のようなものが、この作品に、とても奥行きを与えているよう...
  • クラシックな殺し屋たち
    クラシックな殺し屋たち 題名:クラシックな殺し屋たち 原題:THE BACKUP MEN (1971) 作者:ROSS THOMAS 訳者:筒井正明 発行:立風ミステリー 1976.2.5 初版 価格:\800  デビュー作『冷戦交換ゲーム』と最新邦訳『黄昏にマックの店で』の間の20年間におよぶマックの店の、これはまだ初期の頃の波乱万丈ストーリー。現在立風の扱うロス・トーマス作品はすべて絶版になっているから、こうして誰かから借りたり古本屋で運よくめぐり合えない限り、本書を手にすることはできない。ロス・トーマスのファンにすれば、そんな不合理な話がこの世に存在するのかと思いたくもなるのだが、こればかりはどうしようもない。とにかくこれを読むことができたのはまことにありがたい話。五条君、いつもながらに感謝してます。  さてマックの店シリーズと言うと同作家の作品の中でも...
  • 007 白紙委任状
    007 白紙委任状 題名:007 白紙委任状 原題:Carte Blanche (2011) 著者:ジェフリー・ディーヴァー Jeffery Deaver 訳者:池田真紀子 発行:文藝春秋 2011.10.15 初版 2011.11.25 3刷 価格:¥2,380  最近、新しいキャラクター、コルター・ショーのシリーズを楽しんできたのに、本書は全然楽しめなかった。この作品が出た時代、ディーヴァーは売れっ子の頂点にあって、多作であることはもちろん、シリーズのポイントである警察捜査小説のシリーズも登場当初は大人気だったのが、徐々にワンパターン化し中弛みの時期を迎え始めた頃だったのだと思う。  そんな時期に、一応は鳴り物入りで売り出されたのが、原作者イアン・フレミングと数々の映画シリーズによって世界的スパイ・ヒーローとなった007ジェイムズ・ボンドに、ディ...
  • 眠りなき狙撃者
    眠りなき狙撃者 題名:眠りなき狙撃者 原題:La Position Du Tireur Couche (1981) 作者:ジャン=パトリック・マンシェット Jean-Patrick Manchette 訳者:中条省平 発行:学習研究社 1997.03.31 初版 価格:\2,000  引退を決意した殺し屋というのは、いかにもありきたりの題材だ。冒険小説の世界では特に。しかし、本書は冒険小説として読み解くには少々危険過ぎるきらいのある、マンシェットの作品だ。いかに多くの読者を引き込む活劇と死闘のシーンに満ち溢れていようとも、殺し屋も脇役の一人一人も、そうでない堅気の日常を営む男や女も、誰もが少しだけ狂っている。狂気が物語をあらぬ方向に紡いでゆく。それがマンシェット的暗さ、だと言える。  引退を決意した殺し屋とは言え、三十を過ぎたばかりだ。のっけから殺しの...
  • ハンティング・タイム
    ハンティング・タイム 題名:ハンティング・タイム 原題:Hunting Time (2022) 著者:ジェフリー・ディーヴァー Jeffery Deaver 訳者:池田真紀子 発行:文春文庫 2023.9.30 初版 価格:¥2,800  ディーヴァーの主力シリーズのリンカーン・ライムが、全身麻痺で動けないヒーロー(現代版アームチェア・ディテクティヴ)であるのに対し、近年になって登場したコルター・ショウはひとところに落ち着くことのない動く探偵である。初期シリーズであるジョン・ペラムに似ているが、そちらはロケ・ハンターという職業で、本シリーズ同様、米国内のあちこちに活躍の舞台を移していた。作者としてはペラムの進化型として、コルター・ショウのようなひとところに定住しない放浪型主人公を新たに生み出したのではないだろうか。  当初三部完結と言われた本シリーズ...
  • アイアン・ハウス
    アイアン・ハウス 題名:アイアン・ハウス 原題:Iron House (2011) 作者:ジョン・ハート John Heart 訳者:東野さやか 発行:ハヤカワ文庫HM 2012.1.25 初版 価格:各\850  ジョン・ハートの『ラスト・チャイルド』での第一印象は、ずばり、読みやすい、面白いの二点であった。『アイアン・ハウス』を手に取って、読み始めたら止まらないそのページターナーぶりに、改めてそのときの感触を思い出した。三年弱ほどこの作家の本を手にとっていなかったのだということに、改めて気づく。  この物語の主人公は、殺し屋である。しかも引退しようとしている殺し屋である。しかも組織専属の殺し屋。彼を拾ってくれた親父さんの逝去、彼の愛した女性に子供ができたこと、これにてやばい殺し屋稼業から引退。まあ、わからないではない話である。しかし親父さんの...
  • 黒石(ヘイシ) 新宿鮫XII
    黒石(ヘイシ) 新宿鮫XII 題名:黒石(ヘイシ) 新宿鮫XII 作者:大沢在昌 発行:光文社 2022.11.30 初版 価格:¥1,800  『絆回廊』が前作から5年ぶり、さらに8年空けて『暗躍領域』、今度は3年空けて本書であり、『暗躍領域』とは、主人公鮫島の環境、捜査仲間、上司なども含めて姉妹作と言ってもよく、シームレスで繋がる雰囲気の新作。  本作では、中国と日本の混血であるアナーキーな多重国籍者たちで成り立つ秘密結社「八石」の暗躍を舞台に、そのメンバーの統一を図る暗号名<徐福>なる正体不明の人物と、彼の手足として冷血で残忍な殺しを請け負う「黒石」なる謎の人物を中心とした連続殺人を、鮫島、公安からの出向者・矢崎が追う。二人の背後を守るのは、前作から桃井に代わって登場した女性上司・阿坂、シリーズで一貫して活躍する鑑識の藪も健在である。 ...
  • ローレンス・ブロック
    ローレンス・ブロック Lawrence Block マット・スカダー・シリーズ 過去からの弔鐘 1976 田口俊樹 冬を怖れた女 1976 田口俊樹 一ドル銀貨の遺言 1977 田口俊樹 暗闇にひと突き 1981 田口俊樹 八百万の死にざま 1982 田口俊樹 聖なる酒場の挽歌 1986 田口俊樹 慈悲深い死 1989 田口俊樹 墓場への切符 1990 田口俊樹 倒錯の舞踏 1991 田口俊樹 獣たちの墓 1992 田口俊樹 死者との誓い 1993 田口俊樹 死者の長い列 1994 田口俊樹 処刑宣告 1996 田口俊樹 皆殺し 1998 田口俊樹 死への祈り 2001 田口俊樹 すべては死にゆく 2006 田口俊樹 償いの報酬 2011 田口俊樹 石を放つとき 2018 田口俊樹 泥棒バーニー・シリーズ 泥棒は選べない 1977 田口俊樹 泥棒はクロゼットの中 1978...
  • 抹殺
    抹殺 題名:抹殺 作者:東 直己 発行:光文社 2007.5.25 初版 価格:\1,600  私の通いの居酒屋には、出版社の編集者も顔を出すし、居酒屋の主はもともと大の国産ミステリ好きだ。そんなこんなで地場で産まれた作家・東直己についてはそれでなくてもうるさい方だ。主の主張の一つに、札幌だけでシリーズ展開するものを二本持っていることへの限界説というのがある。数ある作家は舞台を変え、品を変え、さまざまなアイディアを考え出すことができるのに、東君(主はそう呼ぶ)は、札幌だけでいろいろな事件を考えようとするから、アイディアが枯渇しかかっているんだ、と。  本書は、そういう意味では、具体的には明かそうとしない地方都市(少なくとも内地である)に材を取った連作短編集である。主人公の職業は表向きは画家、というより絵の先生といった極めて地味な存在でありながら、...
  • ディープサウス・ブルース
    ディープサウス・ブルース 題名:ディープサウス・ブルース 原題:Dark End Of The Street (2002) 作者:エース・アトキンス Ace Atkins 訳者:小林宏明 発行:小学館文庫 2004.04.01 初版 価格:\695  いわゆるミュージック・ミステリとでも言おうか。同じ南部の音楽ミステリシリーズとしてはカントリー・ミュージックに材を取ったリック・リオーダン『ホンキートンク・ガール』(カントリー・ミュージック)が記憶に新しいが、こちらのほうは、よりディープに南部音楽へのこだわりを見せ、ストーリーの核に黒人音楽が息づいていることを感じさせる。  何しろ主役はミシシッピの大学で南部音楽史の教鞭を取る元プロフットボーラー。このニック・トラヴァースのシリーズは第一作『クロスロード・ブルース』(1998年、角川文庫)が邦訳されて...
  • ダイアルAを回せ
    ダイアルAを回せ 題名:ダイアルAを回せ 原題:Dial an Alibi (1958-1983) 作者:ジャック・リッチー Jack Ritchie 訳者:駒月雅子、他 発行:河出書房新社 2007.09.30 初版 価格:\2,000  ジャック・リッチーも三冊目の短編集となる。どれも日本オリジナルの作品集だが、向うでは雑誌中心に活躍してきた上に、短篇しか書かない作家であるため(長編は死後に一作発表しているが)、ハードカバーとしても2冊くらいしか残されていないようだ。今、日本で毎年一冊ずつ短編集が編まれ、それらがそこそこの読者に受け入れられているなんていうことは、墓の下に眠る作者自身も全く想像していなかったことに違いない。  本書でもすっかり馴染みになった、おふざけキャラであるドラキュラ探偵カーデュラのシリーズが3本、勝手な想像力でずれてゆく...
  • 雨の影
    雨の影 題名:雨の影 原題:Hard Rain (2003) 作者:バリー・アイスラー Barry Eisler 訳者:池田真紀子 発行:ヴィレッジブックス 2004.01.20 初版 価格:\800  前作『雨の牙』に続く日米ハーフの殺し屋ジョン・レインのシリーズ第二作。前作に引き続き東京を舞台にして、CIAや政治の黒幕に追われながら、新たな陰謀の火種に巻き込まれるサバイバル戦を繰り広げる。大沢在昌あたりが書いてくれると、もっときりっとしてくれると思うのだが、そこがハードボイルド作家とアイスラーの違い。アイスラーの作品は、ハードボイルドは対極にあるほどにウェットで書かれているのだ。叙情に流される一人称文体というのが、どうもナルシスティックで、嵌まり切れない部分である。  根が真面目な作者なのだろう。三年しか日本に駐在していなかった人にしては、あ...
  • 夜と霧の盟約
    夜と霧の盟約 夜と霧の盟約 (Hayakawa Novels) 夜と霧の盟約〈上〉 (ハヤカワ文庫NV) 夜と霧の盟約〈下〉 (ハヤカワ文庫NV) 題名:夜と霧の盟約 原題:The League of Night and Fog (1987) 著者:デイヴィッド・マレル David Morrell 訳者:山本光伸 発行:光文社 1988.05 初版  「石の結社」これと「ブラック・プリンス」(以上、早川)の主人公が、二人で活躍するのが、次作「夜と霧の盟約」(角川)なのですね。  訳は、ラドラム作品でおなじみの山本光伸さんです。  で、おそらくこれのまた続編も出るであろうといわれている。 「どの一冊をとっても自信を持って勧められるという、このシリーズ。ぼくは、相当入れこんでいます。ほんと、趣味なのです。  彼の主人公たちは、非...
  • 雨の牙
    雨の牙 題名:雨の牙 原題:Rain Fall (2002) 作者:バリー・アイスラー Barry Eisler 訳者:池田真紀子 発行:ヴィレッジブックス 2002.01.20 初版 価格:\760  本国アメリカのペーパーバックでは今春4月と7月にそれぞれ別の版元から出版されるが、海外に先がけて日本では一年前にお目見えしているという珍しい本。作者は、日本企業アメリカ支店の弁護士で、日本滞在3年、いまだに東京が好きで行き来しているというまあ東京好きの外人さんである。  舞台は東京。良くも悪くも海外作家が書いたというよりも、日本のハードサスペンスというイメージを受ける。翻訳家の名前がなければ、まるで日本人の書いたもののようでもある。そのくらい正しく今の東京が描かれていることにはまず驚き。しかし……。  主人公は単独で仕事を請け負っている殺...
  • 殺しのリスト
    殺しのリスト 題名:殺しのリスト 原題:Hit List (2000) 作者:Lawrence Block 訳者:田口俊樹 発行:二見文庫 2002.6.25 初版 価格:\952  ブロックは長編と短篇の書き方がまるで違う。新潮文庫から短編集が三作出されたときに、短篇作家ブロックとしての味わいを発見しぼくは彼の稀有なもう一つの才能に喝采を送ったものだ。シリアスな長編作家とばかり思っていたブロックは一方で非常に軽妙で悪戯好きな短篇の名手でもあったのだから。  その短篇を連作の形で積み重ねた本が同じ二見文庫から出た『殺し屋』であった。とっても普通の人であるケラーがたまたま職業的に殺し屋であるばかりに、普通ではない旅程を辿る、いわゆる奇妙な味わいの連作である。殺し屋の非情さをどこか懐深くに隠し持っていながら、その短篇ゆえの軽妙な文体と、ケラーの日常性...
  • マルコ・マルターニ Marco Martani
    マルコ・マルターニ Marco Martani 長編小説 老いた殺し屋の祈り 2019 飯田亮介訳
  • 石の猿
    石の猿 石の猿 題名:石の猿 原題:The Stone Monkey (2001) 作者:ジェフリー・ディーヴァー Jeffery Deaver 訳者:池田真紀子発行:文藝春秋 2003.05.30 初版価格:\1,900  蛇頭はアメリカにも難民を送り出すのか。蛇頭は陸続きのロシアに船を用意したりするのか。蛇頭は大西洋にも乗り出すのか。そうやって蛇頭はマンハッタンのチャイナタウンにまで難民を送り込むのか。そういうことは全然知らなかった。蛇頭は、アジアに老朽船を送り込んで、荒波に沈めたりしているものだとばかり思っていた。  さてそうした蛇頭に送り込まれる難民船という設定がまずはリンカーン・ライム・シリーズとしては実に意外だった。ましてやその難民船に謎の殺し屋が潜伏していて、嵐の中で船を爆破するなどとは、もしかしてこれは英国冒険小説? などとの疑惑が首をもたげた...
  • バリー・アイスラー
    バリー・アイスラー Barry Eisler 日米ハーフの殺し屋ジョン・レイン・シリーズ 雨の牙 2002 池田真紀子訳 雨の影 2003 池田真紀子訳 雨の罠 2004 池田真紀子訳
  • 修道女の薔薇
    修道女の薔薇 題名:修道女の薔薇 原題:Blind Sight (2016) 著者:キャロル・オコンネル Carol O Connell 訳者:務台夏子 発行:創元推理文庫 2020.03.13 初版 価格:¥1,480  550頁。いつもなら二日ほどあれば読めるペースなのだが、6日かかった。これがキャロル・オコンネルに取り組むときのきっとぼくの平均的ペースである。スピーディに読み進めない。きっと作者もスピーディには書いていない。すごく丹念に凝りに凝ったレトリックを駆使して、本シリーズのヒロイン、キャシー・マロリーを描こうとする。木彫りに入れられる丹念な彫刻刀のような筆致で、肌理細かく。  それほどこだわりぬいた作風。この作家の個性。マロリーのさらにスーパーな個性。拾い親である亡き刑事ルイ・マーコヴィッツに育てられた孤独な孤児。天性のハッカーで、目的...
  • フィルム・ノワール 黒色影片
    フィルム・ノワール 黒色影片 題名:フィルム・ノワール 黒色影片 作者:矢作俊彦 発行:新潮社 2014.11.25 初版 価格:\2,300  決して齢を取らない刑事、二村永爾の十年ぶりのシリーズ作品。『リンゴオ・キッドの休日』が、永爾の休暇中の物語であったことを思えば、本作では既に退職した刑事で現在は嘱託の犯罪被害者相談員という奇妙で無責任な設定とも思える立場であることも今更不思議なことでもあるまい。そもそも刑事のようで刑事ではないフリーな気ままぶりを発揮するからこそこの矢作小説の中でしか生きてゆけそうにない二村永爾なのだろう。  この極めて特異なるキャラクターは、本書ではなんと元上司の県警捜査一課長のお墨付きをもらいながら、その課長の紹介で訪問した元女優の依頼を受ける。香港での人探しの命を受けた途端に、相模原南署管内のプロの殺し屋による銃撃事件を...
  • 泥棒はクロゼットのなか
    泥棒はクロゼットのなか 題名:泥棒はクロゼットのなか 原題:The Burglar in The Closet (1978) 作者:ローレンス・ブロック Lawrence Block 訳者:田口俊樹 発行:ハヤカワ・ミステリ 1989.10.01 初版価格:\700  なぜか読み逃してきてしまったこのシリーズ。何かの折に読もうと思いつつも、新刊にばかり先に手が伸びるため、古いシリーズの追いかけの時間をなかなか作れないでいる。だから、こういう本を読むことができる時間というのは、実は貴重で贅沢なものだ。  泥棒が、もっと凶悪な犯罪に巻き込まれて四苦八苦するようなこの手の巻き込まれ型作品だけで、よくシリーズが成立するものだと思う。だからこそ、書き手の持つ才能が目立つということも言えるわけだが、今回は泥棒に入った場所で、クローゼットに隠れている間に、殺人が起こ...
  • 黒い河
    黒い河 題名:黒い河 原題:Black River (2002) 作者:G・M・フォード G. M. Ford 訳者:三川基好 発行:新潮文庫 2004.05.01 初版 価格:\781  『憤怒』に続く、やさぐれライター、フランク・コーソのシリーズ第二弾。ノンフィクションの取材にかこつけながら事件にどっぷりと突っ込んでゆくコーソの魅力的なキャラクターがこのシリーズを当分の間引っ張ってゆく気配が感じられる。外見はポニーテールの巨漢であり、まるでスティーヴン・セーガル。その想起しやすいキャラクターに軽妙な話術を与え、どこにも組しない一匹狼の頑固を副えるとコーソの出来上がり。  さらに導入部の迫力。快テンポ。一筋縄では行きそうにない殺し屋たちを最初に登場させておいて、読者側にだけ明らかとされるサスペンスを盛り上げ、一方でじっくりとコーソの人生観を描いて...
  • 殺しのパレード
    殺しのパレード 題名:殺しのパレード 原題:Hit Parade (2006) 作者:Lawrence Block 訳者:田口俊樹 発行:二見文庫 2007.12.25 初版 価格:\829  高校時代か大学時代のどこかで、アメリカの小説を読み漁ったことがある。ユダヤ人や黒人の作家ばかりで、WASPの作家はどこにも見つからなかった。70年代のことだからわからないでもない。思えば、70年代のWASPには執筆の動機がなかったのかもしれない。  中でも『ニューヨーカー短編集』を読んだことがある。今、紐解いてみると、バーナード・マラムッド、ソール・べロウ、ジョン・アップダイク、フィリップ・ロスなんて面々が並んでいて、ミステリーでもなんでもない。サリンジャーなんてとても好きだったが、ミステリアスではあってもミステリーではなかったと思う。シーモア・グラー...
  • 青龍、哭く
    青龍、哭く 題名:青龍、哭く 作者:森詠 発行:角川書店 1998.5.10 初版 価格:\1,900  「横浜狼犬」というシリーズ名が冠される以前の海道章シリーズ前作品。実は、時系列的設定は『死神鴉』の後になる話。  しかし問題は、この作品は『死神鴉』に瓜二つのストーリーだということだ。二作の間の類似点があまりに多すぎて、初期アイディアや初期パターンがそのまま移行した感じである。せっかくの海道シリーズなのにがっかり。  もし『死神鴉』がなければ、この作品自体は非常に面白く読めていたと思う。『死神鴉』の殺し屋の出自が韓国ではなく、この作品では中国黒社会に変ってはいる。題材や出自国は変ったが、ストーリーはそのままパターンを踏襲したということか。手抜きとまでは言わないけれど、もう少し一工夫欲しかったのは確か。確かに韓国と中国では殺し屋の背負うべ...
  • セメントの女
    セメントの女 題名:セメントの女 原題:The Lady In Cement (1961) 作者:マーヴィン・アルバート Marvin Albert 訳者:横山啓明 発行:ハヤカワ・ミステリ 2004.04.15 初版 価格:\1,000  博打でまきあげたクルーザーに暮らし、ダイビングを楽しむ私立探偵トニー・ローム。舞台はマイアミ、きちんと事務所も用意しているのに、とてもラフな遊び人探偵。そんな陽気な明るい雰囲気のシリーズは、現代でも通用しそうなくらい、テンポのいい軽ハードボイルドの傑作だった。  事務所で大人しくしているタイプではなく、本当にじっとしていられないたちの探偵だということがわかる。負けず嫌いで、へそ曲がりであり、へらず口を叩くよりも手が出ているタイプなのだろう。若いし、体力もあり、よく走り、よく泳ぎ、よく殴られる。満身創痍の体を引きず...
  • 獣たちの庭園
    獣たちの庭園 獣たちの庭園 (文春文庫) 題名:獣たちの庭園 原題:Garden Of Beasts (2004) 作者:ジェフリー・ディーヴァー Jeffery Deaver 訳者:土屋 晃 発行:文春文庫 2005.09.10 初版 価格:\905  逢坂剛が得意なのは、トリックを煮詰めることではなく、描写によって読者の眼を欺くことである。『百舌の叫ぶ夜』の帯には「トリックからプロットへ」という表現がなされていて、それがどういう意味なのか、何が斬新なのかと考え悩んでしまったことがあるが、その作品がエンターテインメントとして実に成功した作品で、本当に読者としてころりと騙されてしまった記憶がある。  しかし後になって考えてみるとプロットをしっかり練って、あとは描写によってある部分を隠すことが読者を欺くという、この技法は、難しいトリックに頼るよりもずっと...
  • 紳士の黙約
    夜紳士の黙約 [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 題名:紳士の黙約 原題:The Gentlemen s Hour (2009) 作者:ドン・ウィンズロウ Don Winslow 訳者:中山宥 発行:角川文庫 2012.09.25 初版 価格:\952  サーフィンとミステリは同居でき...
  • 泥棒はスプーンを数える
    泥棒はスプーンを数える 題名:泥棒はスプーンを数える 原題:The Burglar who Counted The Spoos (2013) 作者:ローレンス・ブロック Lawrence Block 訳者:田口俊樹   発行:集英社文庫 2018.9.25 初版 価格:¥1,100  物凄く久しぶりのブロック。マット・スカダーのシリーズでハードボイルドの真髄を描き、殺し屋ケラーのシリーズではブラックユーモアの味を存分に出し、短編集ではニューヨーカーならではのお洒落な短編やスラップスティックで遊んだり、そして小説の書き方を出版したり、真の意味での巨匠。  そしてマットとケラーの中間地点(少しケラー寄り?)に位置しそうなのが、この泥棒バーニーのシリーズ。ユーモア・ミステリというと良いだろう。そしてお洒落なニューヨーカー・ノヴェルとしての味わいもたっぷり...
  • 泥棒は選べない
    泥棒は選べない 泥棒は選べない (ハヤカワ・ミステリ文庫) 泥棒は選べない (ハヤカワ・ミステリ 1348) 泥棒は選べない (1980年) (世界ミステリシリーズ) 題名:泥棒は選べない 原題:Burglars Can t Be Choosers (1977) 作者:ローレンス・ブロック Lawrence Block 訳者:田口俊樹 発行:ハヤカワ・ミステリ 1980.04.15 初版 1988.10.31 3版価格:\780  まずは、私がこのシリーズに関しては、すっかり遅れてきた読者であるということから告白しなければなるまい。一方でマット・スカダーのシリーズや短編集、他のノンシリーズ長編など、この作家の作品は大好きで次から次へと手にとってきた一方で、なぜこのシリーズに食指が伸びなかったのか、我ながら不思議でならない。  スカダーものが陰であれ...
  • ロス・トーマス
    リンク名 ロス・トーマス Ross Thomas マッコークル&パディロ・シリーズ 冷戦交換ゲーム 丸本総明訳 1966 クラシックな殺し屋たち 筒井正明訳 1971 黄昏にマックの店で 藤本和子訳 1990 ウー&デュラント・シリーズ 大博奕 志摩政美訳 1978 五百万ドルの迷宮 菊池 光訳 1987 獲物 菊地よしみ訳 1992 ノン・シリーズ長編 恐喝 シンガポール・ウィンク 筒井正明・近見昌三訳 1966 愚者の街 松本剛史訳 1970 ポークチョッパー 悪徳選挙屋 筒井正明訳 1973 可愛い娘 筒井正明・近見昌三訳 1973 悪魔の麦 筒井正明訳 1975 八番目の小人 藤本和子訳 1979 モルディダ・マン 山本やよい訳 1981 女刑事の死 藤本和子訳 1984 神が忘れた町 藤本和子訳 1989 欺かれた男 菊池よしみ訳 1994 オリヴァー・ブリーク...
  • 幻の祭典
    幻の祭典 幻の祭典 (文春文庫) 幻の祭典 (新潮文庫) 題名:幻の祭典 作者:逢坂剛 発行:新潮社 1993.5.25 初版 価格:\1,600(本体\1,553)  いったい週刊誌に連載する小説というのは、あれは一気に書いたものを分納して掲載してもらうのだろうか? それともやっぱりその場その場でしのいでゆくものなのだろうか? 大抵の連載ものは、あとでハードカバーになる時に、「大幅に加筆訂正したもの」である旨最後に注意書きしてあるから、やっぱし連載というのはぶつ切りに書いたもので、だからこそ、後で一つに合わせてみた時に、どうしてもなおしたいところが生じるんだろうと思う。言わばプラモデル組み立て段階、みたいなものが連載小説には必要なんだろうなあ、と思う。特に新聞小説などでは大変なのだろうなあ、と思う。  そんなことも読後に感じられるのがこの本なのである。...
  • 殺す警官
    殺す警官 題名:殺す警官 原題:The Business Of Daying (2002) 作者:サイモン・カーニック Simon Kernick 訳者:佐藤耕士 発行:新潮文庫 2003.9.1 初版 価格:\781   こういう作品を読むと、英国のミステリが非常に多様化してきたことを痛感させられる。英国ミステリと言えば、シャーロック・ホームズからアガサ・クリスティと、古典的で謎解きを謳歌した手法から始まったが、一方では多の冒険小説の書き手を生み、ジャンルはとりわけはっきりしていたイメージがある。その中で謎解きをしながらも冒険小説的エッセンスを持つディック・フランシスというロングラン向けの人気作家もこつこつと作品を世に送り出してきた。あるいは諜報部員の屈折と勝利のための戦いを書き込んできたC・トーマスや、フリーマントルのチャーリー・マフィンシリーズ。 ...
  • 愛こそすべて、と愚か者は言った
    愛こそすべて、と愚か者は言った 愛こそすべて、と愚か者は言った (新潮ミステリー倶楽部) 題名:愛こそすべて、と愚か者は言った 作者:沢木冬吾 発行:新潮ミステリー倶楽部 1999.1.30 初版 価格:\1,900  本書は『償いの椅子』であまりにも強烈な印象を植えつけてくれた沢木冬吾のデビュー作。と言ってもまだニ作しか完成させていないのか。思えば、本書が新潮ミステリー大賞高見浩特別賞を取った同年の大賞が戸梶圭太『闇のカーニバル』(応募時のタイトルは『ぶつかる夢ふたつ』)、また島田荘司特別賞を響堂新が取っている。他の二人は次々と作品を出しており、とりわけ戸梶圭太の多作&人気ぶりは一種のムーブメントにまで近い印象があり、しっかり戸梶イズムを定着させた感もあるくらいだ。  そこへゆくとこの沢木冬吾の頑固さはある意味際だっているかもしれない。職業ペースでは四、...
  • 夜明けの光の中に
    夜明けの光の中に ローレンス・ブロック傑作選 3 ローレンス・ブロック傑作集〈3〉夜明けの光の中に (ハヤカワ・ミステリ文庫) 題名:夜明けの光の中に ローレンス・ブロック傑作選 3 原題:SOME DAYS YOU GET THE BEAR(1963,1966-67,1982,1984-86,1989-93) 作者:LAWRENCE BLOCK 訳者:田口俊樹、宮脇孝雄、嵯峨静江、芹澤恵、佐藤耕士、高見浩 発行:ハヤカワ文庫HM 1994.1.31 初版 価格:\720(本体\699)  スカダー・ファン必読の短編集。というのはスカダーの短編が三篇も収められているからだ。いずれもいろいろな時代のスカダーといったところで、『聖なる酒場の挽歌』を想起させる表題作から、酒をやめた後のスカダーまで短編なりにまとまっているものの興味深いところ。短編でもマットはやはり...
  • 夜のエレベーター
    夜のエレベーター 題名:夜のエレベーター 原題:Le Monte-Charge (1961) 著者:フレデリック・ダール Frédéric Dard 訳者:長島良三 発行:扶桑社ミステリー 2022.8.25 初版 価格:¥968  これは不思議な本だ! というのが第一印象。読み始めると引きずり込まれてしまい、二時間ほどで読み終えてしまった。登場人物も少ないし、物語もさして複雑ではない。ただ、やたら謎めいて先が見えないだけだ。  一人称文体による主人公の怪しげな帰宅で、物語は始まる。どうやら主人公の「ぼく」は、生前の母親が暮らしていたという実家に数年ぶりに戻ってきた孤らしい。「ぼく」は空っぽの家の中で、ひとしきり母親の想い出に浸って、それから、光に満ちた街へと足を踏み出す。謎だらけの「ぼく」は、ビアホールで子連れの見知らぬ女性と出会う。  そ...
  • その雪と血を
    その雪と血を 題名:その雪と血を 原題:Blood On Snow (2014) 作者:ジョー・ネスボ Jo Nesbø 訳者:鈴木恵 発行:ハヤカワ・ミステリ 2016.10.15 初版 価格:\1,400-  翻訳ミステリの多国籍化がすっかり歓迎ムードになっている昨今。英米の小説よりももしかしたら売れ行きがいいのではないか、とさえ思わせる北欧ミステリの世界的な台頭はやはり目立つ。  その中でも異色の作家ジョー・ネスボ。主人公の個性を大切にする傾向が強い北欧作家の中でも、強烈なオリジナリティを持たせるジョー・ネスボ。本作はネスボらしからぬ薄い一冊で、中編と呼んでも過言ではないほどの<ポケミス>ぶりだ。  そして数多くのパルプノワールが傑作を生み出してきたように、作品の長さではなく、詩のように語られ、詩のように生き、詩のように死んでゆく薄手...
  • 容赦なき牙
    容赦なき牙 題名:容赦なき牙 原題:Stranger_in_Paradise (2007) 作者:ロバート・B・パーカー Robert B. Parker 訳者:山本 博 発行:早川書房 2008.09.15 初版 価格:\1,900  最近パーカーが書いているウエスタン小説との最短距離にいるシリーズは、ジェッシイ・ストーンの本シリーズだろう。スペンサー・シリーズとの相似点を常に感じながら、やはり、事件に対する捜査官としてよりも、ガンマンとしての空気を身に纏っているのがジェッシイという名のパラダイス署警察署長であるのだ。寡黙性、マッチョそうしたものが伺わせる気配のようなものも含めて、すべて。  そんなジェッシイですら、カウンセリングを受けているのだから、根本的に情け容赦のないウエスタンとはやはり根本的に時代が違う、ということか。悩みの大部分が、離婚し...
  • 荒ぶる血
    荒ぶる血 題名:荒ぶる血 原題:Under The Skin (2003) 作者:ジェイムズ・カルロス・ブレイク James Carlos Blake 訳者:加賀山卓朗 発行:文春文庫 2006.4.10 初版 価格:\762  どうやらこの作者の作品は、互いに同じ時代、同じ地平で繋がっているらしい。もちろん一作一作は別の物語だが、1920年代の禁酒法時代、メキシコ国境に近いアメリカ西部、延々と広がるタンブリグ・ウィードとメスキートの荒野、広大なまだ野生多き土地を舞台に、荒ぶる魂たちが、未だ硝煙の香り漂う銃を握り締め、乾いた砂に血を沁み込ませている光景こそが、ジェイムズ・カルロス・ブレイクの確固たる世界のようだ。  前作でも登場したという、ガルベストンを支配するマセオ兄弟。そのトップガンである殺し屋、ジミー・ヤングブラッドは、一方でメキシコ人と...
  • チェシャ・ムーン
    チェシャ・ムーン 題名:チェシャ・ムーン 原題:Cheshire Moon (1993) 作者:Robert Ferrigno 訳者:深井裕美子 発行:講談社文庫 1995.7.15 初版 価格:\820  『ハートブレイカー』のイメージとはちと違う。何が違うと言って、あそこまで暴力が弾けていない。ヒーローもおとなしめの記者という役割。でもこの人の作品はやはり凄い!  キャラクターが魅力的で人間描写をおろそかにしなければ、こんなにシンプルな展開のストーリーであっても、迫力、魅力、印象の強さすべてにおいて他を圧倒するということができることを証明してしまうような作品である。  火気や爆薬や鮮血や死体の多さだけでは計れないものが、小説というものには確実にあるのだ。こういう作品を読むとぼくはなぜかほっとします。ほっとするような内容とは程遠いバイオレ...
  • 沈黙の森 馳星周
    沈黙の森 [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 題名:沈黙の森 作者:馳 星周 発行:徳間書店 2009.10.31 初版 価格:\1,900  馳星周は、ノワールの作家なのだけれど、mixiでは、犬の散歩風景を写真に撮って公開していたりする。彼の犬への愛情は、昔からどうもとっても強くて、...
  • 夜来香海峡
    夜来香海峡 題名:夜来香(イエライシャン)海峡 作者:船戸与一 発行:講談社 2009.05.28 初版 価格:\1,800  船戸にしては世紀の凡作といったところの作品。作者名を伏せられて読んでいたら、船戸の文体を模倣した新人かと思えるような愚作ではないか。  東北の寒村にアジアの花嫁を斡旋する仕事についている蔵田雄介が、花嫁の失踪事件を追いかける。おまけに花嫁は、曰くつきの金二億円を持って遁走した。山形から北へ北へと追跡劇が始まり、物語は津軽海峡を渡って夕張に立ち寄り、稚内で終結を迎える。  その間、暴力団、中国黒社会、ロシアン・マフィアと次々に魑魅魍魎が現われて、一方で死体が増えてゆく。大体こういう設定に出現しがちな陰惨な印象のあるナイフ使いが、最後の最後までしつこく血の印象をもたらす。神話の果ての殺し屋は凄かったな、とピーク時の船戸と較べ...
  • 絆回廊 新宿鮫
    絆回廊 新宿鮫X 題名:絆回廊 新宿鮫 著者:大沢在昌 発行:光文社 2011.6.10 発行 価格:¥1,600  10作目にして、鮫島シリーズは何を刻み込もうとしたのだろうか? そんな思いを胸に、長いシリーズの最新作を、一年遅れという体たらくながら、ようやく手に取る。  本作のトピックスは、出所したある男が警察官を付け狙うという復讐の構図である。とても深いわけがあって、どうしても射殺したいという復讐の思いが強く、しかし残忍な殺し屋ということではどうやらないらしい。古い任侠の文化を背負って、浦島太郎のように娑婆に出てきた初老の悲哀を身にまとっている。  一方、鮫島は、晶のバンドが薬がらみでマスコミに騒がれている状況を気にかける。群がるマスコミと晶にまで迫ってゆく疑惑の雲。  公私に渡り、じわじわと迫ってゆく、のっぴきならない状況が、ド...
  • スペイン灼熱の午後
    スペイン灼熱の午後 スペイン灼熱の午後 (講談社文庫) 題名:スペイン灼熱の午後 作者:逢坂剛 発行:講談社文庫 1987.6.15 初刷 価格:\520(本体\505)  S・ハンターの『さらば、カタロニア戦線』の影響でスペインものをどんどん読もうかという気持ちが沸き上がったのと、逢坂作品の読破にはあとこれだけなのだったな、ということに気づいたのとで、読み残し本を手に取った。作者がこれを発表した時期、まだ『カディスの赤い星』は、直木賞どころか発表もされていなかった。長過ぎるというので出版社側が拒絶していたのである。そんな時代があったのである。ううむ、そんな時代は断じて許せんのだ。  そんな時代に『山猫の夏』の船戸与一がいて、なんだ長い作品でも行けるじゃないかとの出版社のポリシーのない転身に載せられて出した作品が『カディス・・・・』であり、こいつがな...
  • 友はもういない
    友はもういない 友はもういない (ミステリアス・プレス文庫) 題名:友はもういない 原題:THE TAKE ,(1987) 作者:EUGENE IZZI 訳者:安倍昭至 発行:ハヤカワ・ミステリアス・プレス文庫 1991.4.30 初刷 価格:\560  おお、風変わりな作風であるけど、なんて正当な主人公なんだ! ということですげえ作家見っけ!  もともとが新聞広告を拾っているうちに、『地上九〇階の強奪』が眼に入り、どれどれなかなか面白そうな話じゃないの、というんで書店からそいつを仕入れてきたのだが、なんだか同じシカゴを舞台にずっと話は繋がっているような気配なので、一作目から読むことに決めた。 この本はしかしなかなか見つからないで、 結局BOOKS 深夜+1で仕入れた次第。  そんないきさつで3作いっぺんに読みつづけてしまうつもりだけど、間の...
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