wiki クライムウェイヴ(Sysop読書録 活字をめぐる冒険) 内検索 / 「黄昏にマックの店で」で検索した結果

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  • 黄昏にマックの店で
    黄昏にマックの店で 黄昏にマックの店で [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 題名:黄昏にマックの店で 原題:TWILIGHT AT MAC S PLACE ,(1990) 作者:ROSS THOMAS 訳者:藤本和子 発行:早川ミステリアス・プレス 1992.2.29 初版 価格:\1,8...
  • ロス・トーマス
    ...井正明訳 1971 黄昏にマックの店で 藤本和子訳 1990 ウー&デュラント・シリーズ 大博奕 志摩政美訳 1978 五百万ドルの迷宮 菊池 光訳 1987 獲物 菊地よしみ訳 1992 ノン・シリーズ長編 恐喝 シンガポール・ウィンク 筒井正明・近見昌三訳 1966 愚者の街 松本剛史訳 1970 ポークチョッパー 悪徳選挙屋 筒井正明訳 1973 可愛い娘 筒井正明・近見昌三訳 1973 悪魔の麦 筒井正明訳 1975 八番目の小人 藤本和子訳 1979 モルディダ・マン 山本やよい訳 1981 女刑事の死 藤本和子訳 1984 神が忘れた町 藤本和子訳 1989 欺かれた男 菊池よしみ訳 1994 オリヴァー・ブリーク名義 強盗心理学 尾坂力訳 1972
  • クラシックな殺し屋たち
    ...ゲーム』と最新邦訳『黄昏にマックの店で』の間の20年間におよぶマックの店の、これはまだ初期の頃の波乱万丈ストーリー。現在立風の扱うロス・トーマス作品はすべて絶版になっているから、こうして誰かから借りたり古本屋で運よくめぐり合えない限り、本書を手にすることはできない。ロス・トーマスのファンにすれば、そんな不合理な話がこの世に存在するのかと思いたくもなるのだが、こればかりはどうしようもない。とにかくこれを読むことができたのはまことにありがたい話。五条君、いつもながらに感謝してます。  さてマックの店シリーズと言うと同作家の作品の中でもあまり複雑でないストレートなプロット、マックとパディロのコミカルなコンビネーションもなかなか見ものだ。パディロにいつまでも張り付こうとするCIAと、その巨大なる国家背景までが滑稽でちゃちに見えるところが、彼らの存在の痛快さに即繋がっちゃって、カタルシ...
  • 冷戦交換ゲーム
    冷戦交換ゲーム 冷戦交換ゲーム (Hayakawa pocket mystery books (1044)) 冷戦交換ゲーム (1968年) (世界ミステリシリーズ) 題名:冷戦交換ゲーム 原題:THE COLD WAR SWAP 作者:ROSS THOMAS 訳者:丸本聰明 発行:ハヤカワ・ポケット・ミステリー 1985.12.15 再版 価格:\742(本体\720)  1966年、ロス・トーマス、デビュー作にして、アメリカ探偵作家クラブ最優秀新人賞受賞作品。一体どこが新人なのだと唸らされるプロット。作品全体に流れるいつもながらのたまらなくクールな男臭さ。裏切りと陰謀に満ちた東西緊張のベルリンを舞台にした亡命サスペンスである。  二人のNSA数学者が実際にモスクワに亡命したドキュメントメンタルな事件をもとに練られたプロットだのだが、本作では諜報に...
  • 可愛い娘
    可愛い娘 題名:可愛い娘 原題:IF YOU CAN T BE GOOD (1973) 作者:ROSS THOMAS 訳者:筒井正明・近見昌三 発行:立風ノベルズ 1974.3.15 初版 価格:\800  これも同じく絶版で入手しがたい本の一冊。こちらはマックの店シリーズではない、どちらかといえばこれもトーマスのお得意分野であるハードボイルド作品。上院議員が噛んだりはしているけれどいわゆる大型謀略ものではない。もちろん社会構造はあちらこちらが腐蝕していて、その一端たる贈収賄や混乱した性、破綻した家族生活などがあちらこちらに顔を出すが、そうした動物園並みのワシントンを調べ歩くのは何と歴史学の研究が本職だという調査レポーター。  この本ではシンクフィールド刑事がなんといっても抜群にいい。作中での彼の口の口のきき方も素晴らしくて、読みながら何度も吹き出してしまうほ...
  • コーマック・マッカーシー
    コーマック・マッカーシー Cormac McCarthy 長編 血と暴力の国 黒原敏行訳 2005 ザ・ロード 黒原敏行訳 2006 国境三部作 すべての美しい馬 黒原敏行訳 1992 越境 黒原敏行訳 1994 平原の町 黒原敏行訳 1998
  • その女アレックス
    その女アレックス 題名:その女アレックス 原題:Alex (2011) 作者:ピエール・ルメートル Pierre Letmaire 訳者:橘明美訳 発行:文春文庫 2014.09.10 初版 2014.10.20 3刷 価格:\860  パリ発のミステリを新作で読めるなんて一体何年ぶりだろうか。ジャン・ボートラン『グルーム』とか、セバンスチャン・ジャプリゾの『長い日曜日』以来だろうか。  近年北欧ミステリが欧米のそれを凌駕するくらい大量に翻訳されるようになり、ヨーロッパの娯楽小説が見直されてきているが、そういう潮流に、本来の文芸王国であり、フィルム・ノワール、ロマン・ノワールのお膝元であるフランスがこういう作品をきっかけに日本の書店にも並んでくれると有難い。一昨年、フランスを旅行したときに、あちこちの店で目に付いたのがダグラス・ケネディだったことを思...
  • マックス・アンナス Max Annas
    マックス・アンナス Max Annas 長編小説 ベルリンで追われる男 2017 北川和代訳
  • ローレンス・ブロックのベストセラー作家入門
    ローレンス・ブロックのベストセラー作家入門 題名:ローレンス・ブロックのベストセラー作家入門 原題:Telling Lies for Fun Profit (1981) 作者:ローレンス・ブロック Lawrence Block 訳者:田口俊樹・加賀山卓朗  発行:原書房 2003.01.29 初版 価格:\1,500  巨匠ブロックの小説入門ということで、役に立つかどうかはともかく、どんな内容なのだろうと最初のページを繰ってみた。するとスー・グラフトンによる序文がまずあり、これを読んだだけで、本書がとても面白そうだと感じ、読み始めたのだが、あまりの内容の面白さと読みやすさ(流石!)に脱帽しつつ、尊敬する世界レベルのエンターテインメント作家の抽斗を覗かせてもらった。  小説家をめざす本ではあるものの、むしろ活字中毒者であれば誰が読んでも楽しめる内容...
  • 快盗タナーは眠らない
    快盗タナーは眠らない 快盗タナーは眠らない (創元推理文庫) 題名:快盗タナーは眠らない 原題:The Thief Who Couldn t Sleep (1966) 作者:Lawrence Block 訳者:阿部里美 発行:創元推理文庫 2007.06.22 初版 価格:\760  奇天烈な主人公を据えたシリーズでスラップスティック・コメディ。ブラック・ユーモアに分類されるであろうパロディ小説。そういったジャンルをローレンス・ブロックの作品でまるっきり読んでいないわけではない。そうした小説は、主にブロックの短編集に多く収録されている。  もともと短編は読者のためや食べるためではなく、自由に好きなように、自分の楽しみのために書く趣味のようなもの。そんな紹介文で始まるのが、ブロックの短編集であった。長編には、それらの要素がどこか違った意味合いを帯びてくる...
  • ドンナ ビアンカ
    ドンナ ビアンカ 題名:ドンナ・ビアンカ 作者:誉田哲也 発行:新潮社 2013.02.15 初版 価格:\1,500  雑誌に書き継がれた短編のなかで、知らず生まれていた地味なヒロイン・魚住久江。42歳、独身。肩身の狭い喫煙者。犯罪は起こった後に捜査するのではなく、未然に嗅ぎつけて防ぎたいとの意図から、強行犯係に所属。短編集『ドルチェ』でブレイクアウトしたこのオトナの女刑事、初の長編デビューである。出版社は<恋愛捜査シリーズ>などと勝手なことをのたまう。なるほど、と思えないこともないが……。  青春小説と警察小説。両方の看板を掲げる誉田哲也。彼の最新作は、まさに恋愛捜査の一冊であった。ダーク&バイオレンスを前面に出したサービス満点の警察小説を信条とする誉田ワールドであるけれど、クールを看板に掲げる87分署シリーズのエド・マクベインが『灰色のためらい...
  • 明日なき二人
    明日なき二人 明日なき二人 (Hayakawa novels) 明日なき二人 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 題名:明日なき二人 原題:Bordersnakes (1996) 作者:James Crumley 訳者:小鷹信光 発行:早川書房 1998.8.31 初版 価格:\2,200  クラムリィがとことん好きである。文章の一行一行をこよなく愛読してしまう。昔、ハードボイルドというものに初めて触れたときのこの贅沢感。忘れていた読書時間。クラムリィはいつもこいつをぼくに思い出させてくれる。  ミロとシュグルー。物語の向こうではいつもこの二人は互いの存在を意識し合っているくせに、読者の前にはついぞその姿を見せることがなかった。前作『友よ闘いの果てに』で一瞬のすれ違いを見せはしたものの、それぞれに違うストーリーを生きていることには代わりはなかった。『さらば甘...
  • 探偵コナン・ドイル
    探偵コナン・ドイル 題名:探偵コナン・ドイル 原題:Knife In The Fog (2018) 著者:ブラッドリー・ハーパー Bradley Harper 訳者:府川由美恵 発行:ハヤカワ・ミステリ 2020.03.15 初版 価格:¥1,800  コナン・ドイルの『緋色の研究』によるデビューが1886年。ホームズの第二作『四つの署名』が1890年。その間の四年間、ドイルはホームズは一作書いただけの鳴かず飛ばずなので、英国内乱の歴史小説を書いている。そして本業の医師の仕事についている。プライベートには1988年に妻ルイーズが妊娠。その頃、切り裂きジャックが血まみれのナイフ片手に、霧の町ロンドンの夜を震え上がらせている。  そんな時系列を抑えておく。つまり本書の作者は、ホームズ作品の難産作品二作目を産み出すモチーフとして、四年間の空白の中間部に勃発...
  • 禍根(検屍官シリーズ)
    禍根(検屍官シリーズ) 題名:標的 上/下 原題:Flesh And Blood (2014) 作者:パトリシア・コーンウェル Patricia Cornwell 訳者:池田真紀子 発行:講談社文庫 2015.12.21 初版 価格:各\1,250-  何年も読んでいない時期があって、それを少しずつ読み始めて、やっと最新作に追いついた。読んでみれば、なるほど読み進むシリーズである。何年もブランクがありながら、シリーズ・レギュラーは、マリーノ、ベントン、ルーシーの三人くらいで、しかもヒロイン、ケイ・スカーペッタは、あまりにも個性的な彼らと非常に強固な運命共同体を作っているので、人間関係問題についてはこの四人の間だけがずっと続いていてわかりやすいシリーズなのだと言える。シリーズを中断したけれど、時間を置いてひさびさに手に取りたいという読者には安心のシリーズで...
  • 七つの丘のある街
    七つの丘のある街 題名:七つの丘のある街 原題:Early Graves (1990) 作者:トマス・H・クック Thomas H.Cook 訳者:佐藤和彦 発行:原書房 2003.11.27 初版 価格:\1,800  誰が見ても、しっとりしたタッチの書き手であるトマス・H・クックが、情感の与えようもない現実の犯罪に取材し、フィクションではないリアルを小説として書き上げる。そんなことが可能なのだろうか、最初に思わないでもなかった。少し前にノンフィクションの犯罪ルポルタージュとしては、あまりにも過激で印象に深い『ロベルト・スッコ』を読んでいるおかげで、犯罪ノンフィクションに対する構えのようなものが、きっとこちら側にできてしまっていたのだと思う。  実のところクックの選んだ犯罪には、彼らしい物語が生きていた。時系列に沿って感情を交えぬ文体を書き貫い...
  • 聖なる酒場の挽歌
    聖なる酒場の挽歌 聖なる酒場の挽歌 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション) 題名:聖なる酒場の挽歌 原題:WHEN THE SACRED GINMILL CLOSES ,1986 作者:LAWRENCE BLOCK 訳者:田口俊樹 発行:二見文庫 1986.12.30 初版 1990.10.25 4版 価格:\540(本体\524)  前作『八百万の死にざま』からまたも4年の時が経過しての作品。マット・スカダー・シリーズはシリーズにしてはなかなか途切れ途切れだ。しかし大量生産よりも質の高い作品を世にきちんと出すという意味では、このスタイルの方がよほど読者にとってはいいのかもしれない。質の高い作品を多量に出してもらう方が本当は一番いいのだけど(^^;)  前作ではスカダーは酒に関する内的葛藤をひたすら繰り返し、そのために事件に積極的に関わろうとしていた...
  • クリスマスのフロスト
    クリスマスのフロスト 題名:クリスマスのフロスト 原題:FROST AT CHRISTMAS (1984) 作者:R.D.WINGFIELD 訳者:芹澤恵 発行:創元推理文庫 1994.9.30 初版 1995.2.10 7版 価格:\850(本体\825)  ひさびさに爆笑小説を読んでしまった。主人公の会話文だけで笑いを漏らしちゃうっていう作家だと、他にはロス・ローマスくらいしか思いつかない。ましてやイギリスの警察小説にそんなものが見つかるなんて、よもや思いもしなかった。  そういう意味での強烈さを持っているけど、登場人物も事件のそれぞれもいたって平凡である。こちらが心配になるくらい普通の警察の普通の事件で、こういう主軸を黒い笑いと皮肉が回転させてゆく。いくつもの事件が起こっては終わってゆくモジュラー形式の4日間。  それは新米刑事にとっ...
  • エウスカディ
    エウスカディ 題名:エウスカディ 上/下 作者:馳 星周 発行:角川書店 2010.9.30 初版 価格:各\1,800  日本冒険小説協会ができた頃、その名の通り、日本では冒険小説の名が一躍読書会を賑わした。これまでとはスケールを異にした日本の作家による世界を舞台にした冒険小説が次々と書かれ、時代の寵児とも言われるべき作家の精鋭たちが登場したのだ。  船戸与一、逢坂剛、佐々木譲、森 詠、いずれの作家もその後日本のエンターテインメントを代表するような活躍を見せ、確かにあの時代に金字塔を掲げて今、さらに題材を求め、語り部の術に磨きをかけ冒険小説を追求する道を選ぶ者もあれば、異なるジャンルや時代のニーズにフィットして自分を変えてゆく道を選ぶ者もあったろう。  その日本冒険小説協会の会長にはハードボイルド芸人・内藤陳が会長となったわけだが、彼が...
  • 覗く銃口
    覗く銃口 題名:覗く銃口 原題:The Murder Exchange (2003) 作者:サイモン・カーニック Simon Kernick 訳者:佐藤耕士 発行:新潮文庫 2005.10.1 初版 価格:\857  『殺す警官』で鮮烈デビューした作家の翻訳第二作。英国ネオ・パルプ・アクションの潮流とも言うべき、従来のミステリーとは一線を画す動きを見せる作家の一人が、このサイモン・カーニックである。  少し荒っぽいストーリー・テリングが巻を厚くしている印象はあるものの、二人の登場人物を交互に錯綜させて描く暗黒世界の死闘は、まるでエルロイの様でもあり、それでいてレナードのユーモアを忘れず、L・ブロックの情感も入れてゆく。アメリカンな影響を多分に感じさせる作風でもある。通貨単位や地名が出てこなければ、英国作品とはわからないくらいに。  元傭...
  • 標的(検屍官シリーズ)
    標的 [429] Client error `POST https //webservices.amazon.co.jp/paapi5/getitems` resulted in a `429 Too Many Requests` response { __type com.amazon.paapi5#TooManyRequestsException , Errors [{ Code TooManyRequests , Message The request was de (truncated...) 題名:標的 上/下 原題:Flesh And Blood (2014) 作者:パトリシア・コーンウェル Patricia Cornwell 訳者:池田真紀子 発行:講談社文庫 2015.12.21 初版 価格:各\1,250-  何年も読...
  • 優しいおとな
    優しいおとな 題名:優しいおとな 作者:桐野夏生 発行:中央公論新社 2010.09.25 初版 価格:\1,500  イラスト入りの本であることが珍しい。小説とイラストが完全にマッチしていることも珍しい。読売新聞土曜日版に連載されていたらしい。そのときのイラストをふんだんに使ってくれたのかな。いずれにせよ、とてもいい。  時は近未来。経済も文化もどこかで破綻してしまっているらしい日本。荒廃した渋谷エリアを舞台に、浮浪児の自分探しの旅を描いた、少し緊張感のある小説である。ちょうどオーストラリアあたりでは、マッドマックスが暴走族集団を血祭りに上げている頃なのかもしれないし、アメリカでは人工臓器を回収するレポメンたちが支払未納者の腸を抉り出している時代なのかもしれない。マンハッタン島は全体が刑務所として封鎖されている時代なのかもしれないし、北陸ではハル...
  • 静かな黄昏の国
    静かな黄昏の国 題名:静かな黄昏の国 作者:篠田節子 発行:角川文庫 2007.03.25 初刷 価格:\590  これは傑作である。2002年10月に単行本で出版された中短編集なのだが、どれもが静かでゆっくりとした終末や破滅を描いたものとして、独特の味わいを残す作品ばかりである。根にあるものは、『絹の変容』の頃と少しも変わらない篠田ホラーである。  いつも感じるのだが、一作ごとに異なる小説世界を展開しつつも、文明に対する警鐘、存在の危うさ、人間のアンバランスな特性などを浮き彫りにして、大人のホラー、いわゆるソシアル・ホラーといった奥行きを見せる辺りが流石だと思う。  本書で最も印象に残ったのは、タイトル作『静かな黄昏の国』だったが、高齢化の進む日本というだけで大騒ぎしている現状なのに、作品世界では、経済的破産によりアジア各国の属国となり、自...
  • 強襲
    強襲 題名:強襲 原題:Gamble (2011) 作者:フェリックス・フランシス Felix Francis 訳者:北野寿美枝 発行:イースト・プレス 2015.02.01 初版 価格:\1,900  ディック・フランシスは二度死んだ。そう、最初は取材源であり創作の右腕であると言われた夫人のメアリ・フランシスが逝去したとき。その失意と取材の右足としての夫人の存在を失ってから、彼が立ち直るまでに7年の時間を要している。高齢での立ち直りに手を貸したのが、ディックの成長した子息フェリックスであった。その再起作となった『祝宴』の出来栄えの見事さと、復帰を果たした競馬シリーズへのリスペクトとで胸がいっぱいになったのを今でも覚えている。  そして父子二人の共著で長篇四作を遺し、ディックは本当の自身の死を迎える。それが本当の二度目の死かと思われた。ところが、奇...
  • おかしなこと聞くね
    おかしなこと聞くね ローレンス・ブロック傑作集 1 ローレンス・ブロック傑作集〈1〉おかしなことを聞くね (ハヤカワ・ミステリ文庫) 題名:おかしなこと聞くね ローレンス・ブロック傑作集 1 原題:Sometimes They Bite (1964,1976,1977,1978,1980,1981,1983) 作者:Lawrence Block 訳者:田口俊樹・他訳 発行:ハヤカワ文庫HM 1992.12.15 初版 価格:\640(本体\621)  ぐいぐい引き込まれるように読んでしまう短編小説っていうのも、あるものなんだ。例えばこの本がそう。短編小説っていうと、日本の場合、雑誌での単発読みものをある時期が来て一冊にまとめたものというのが普通で、しかもその雑誌の数の多さというのが作家のほとんどを「寡作」ということばから遠ざけて水増しにしている印象があるのだ...
  • 八百万の死にざま
    八百万の死にざま 八百万の死にざま (ハヤカワ・ミステリ文庫) 題名:八百万の死にざま 原題:EIGHT NILLION WAYS TO DIE 作者:LAWRENCE BLOCK 訳者:田口俊樹 発行:ハヤカワ文庫HM 1988.10.15 初版 1990.12.31 2刷 定価:\680(本体\660)  マット・スカダー・シリーズのひとつのピークというか、クライマックスに当たる作品が本書なのであろう。ぼくはブロックの初期作品を読んでいるときには、スカダーを「アル中探偵」というのは出版社側の誇大広告だくらいに思っていたのだけれど、この本を見る限りスカダーはアル中探偵以外の何者でもないので、ぼくは思わずため息をついてしまった。  それに、ことブロックに関しては日本の読者はついていなかったようだ。翻訳の順番があまりにもばらばらであるために、ぼくのように...
  • 黄昏の狙撃手
    黄昏の狙撃手 題名:黄昏の狙撃手 上・下 原題:Night of Thuunder (2008) 作者:スティーヴン・ハンター Stephen Hunter 訳者:公手成幸 発行:扶桑社ミステリー 2009.10.30 初版 価格:各\800  ボブ・リー・スワガーも初老の年齢となったが、前作では、『キル・ビル』を彷彿とさせる、白羽を交えた闘いを、まさかの日本で展開してきたばかり。その死闘の古傷も癒えぬというのに、前作では荒れ地に馬を乗りこなしていた愛娘ニッキの危機を知り、ナスカー・レースの開催されるブリストルの街を訪れる。  剣に続いては車! 最近のハンター作品は、ボブ・リーの高齢化か、作者のそれか知らぬが、創作のモチーフにも趣味が混じるなど余裕の出てきた感が強い。もちろんその分だけ強引なストーリー展開に持ち込まねばならないのだが、そのあたり...
  • 石を放つとき
    石を放つとき 題名:石を放つとき 原題:The Night And The Music (2011)  A Time To Scatter Stones (2018) 著者:ローレンス・ブロック Lawrence Block 訳者:田口俊樹 発行:二見書房 2020.12.25 初版 価格:¥2,500  マット・スカダーはその後どうしているんだろう、と思ったことは一度や二度ではない。本書はそうした古いハードボイルド・シリーズのファンに応える今のマットと今に至るニューヨークを描いた、アフター・ザ・ハードボイルドといった趣の洒落た作品集である。  最初の数作は、ブロックの短編集などでお目にかかった再録作品であるが、この際想い出すためにもすべてを読み返した。『窓から外へ』『夜明けの光の中に』『バックレディの死』今更ながら秀逸だ。美味なカクテルのようにパン...
  • 死への祈り
    死への祈り 題名:死への祈り 原題:Hope To Die (2001) 作者:Lawrence Block 訳者:田口俊樹 発行:二見書房 2002.11.25 初版 価格:\2,200  前作『皆殺し』ではミック・バルーを主役に配したかのような世紀末的クライマックスを展開し、その後のスカダー・シリーズは一体どうなるのかというスリリングな決意の後、ようやく待望の新作が出た。  本作ではブロックは冒険をしている。一人称単数のハードボイルドのシリーズに三人称単数の別章を同時進行させるということは、ロバート・B・パーカーも『真紅の歓び』でのみ許した手法だが、どちらも原題を代表するハードボイルドのシリーズであるだけに作家としては相当の冒険なのではあるまいか。  そして両作に共通する問題なのだが、三人称視点をとりわけ殺人者の側に沿って取り入れ...
  • キャサリン・カーの終わりなき旅
    キャサリン・カーの終わりなき旅 題名:キャサリン・カーの終わりなき旅 原題:The Fare of Kathrine Carr (2009) 作者:トマス・H・クック Thomas H. Cook 訳者:駒月雅子 発行:ハヤカワ・ミステリ 2013.02.15 初版 価格:\1,700  『ローラ・フェイとの最後の会話』の前に書かれた作品にも関わらず、翻訳が四年も遅れたわけが何となくわかるような気がする。名クック訳者の村松潔さんが、これではなく『ローラ・フェイ……』の方を取り上げ、この作品を他の翻訳家に回した理由はなんだろうか? 訳しにくい? 作品に対して否定感がある? あるいは訳者としての作品評価が低い? 何であれ、あまり訳したいと思わなかった作品なのではないだろうか。この本を読んでぼくが最初に感じたのが(もしかしたら穿ち過ぎの見解なのかもしれないが)...
  • つけ狙う者
    つけ狙う者 題名:つけ狙う者 上/下 原題:Stalker (2014) 著者:ラーシュ・ケプレル Lars Kepler 訳者:染田屋茂・下倉亮一 発行:扶桑社ミステリー 2021.01。10 初版 価格:各¥1,000  普通小説の作家二人が別名義で書いているこのシリーズは、毎回、そうとはとても思えぬほど、娯楽味に溢れている。キワモノすれすれの残酷さ。展開の奇抜さ。登場人物たちの個性の強さ。何もかもが通常のミステリー以上に過激なのは、彼らが普通小説作家だからなのかもしれない。ブレーキのないスポーツカーのようにこのシリーズは、よく走る。  現在スウェーデンで最も売れているクライム作家なんだそうである。これだけページターナー作品が連続するところ見れば、それも当然という気がする。このヨーナ・リンナ刑事のシリーズは8作完結らしいが、『催眠』『契約...
  • スプートニクの恋人
    スプートニクの恋人 スプートニクの恋人 (講談社文庫) スプートニクの恋人 題名:スプートニクの恋人 作者:村上春樹 発行:講談社 1999.4.20 初版 価格:\1,600  出版された途端に本書はベストセラー・トップに躍り出てしまっている(トーハン調べ)。何がこれほど大衆にアピールしてしまうのか。一応純文学作家の名で通っている芥川賞受賞作家の村上春樹は、一方でいま最も売れる大衆小説作家なのである。こうなると彼の作品も純文学の皮を被ったエンターテインメントと呼ぶ他ないような気もするけど。  ぼくは今は純文学は基本的に読まないので、ぼくが読む純文学小説(と文壇では分けているジャンル)は、ぼくの中では立派なエンターテインメントであり、それはときに冒険小説であり、ハードボイルドでさえあったりする。  ちなみにこの本は奇妙な恋愛小説と(表層的には)言...
  • 悪党パーカー/怒りの追跡
    悪党パーカー/怒りの追跡 悪党パーカー 怒りの追跡 (ハヤカワ ポケット ミステリ) 題名:悪党パーカー/怒りの追跡 原題:The Sour Lemion Score (1968) 作者:リチャード・スターク Richard Stark 訳者:池上冬樹 発行:ハヤカワ・ミステリ 1986.11.15 初刷 価格:\580  エルモア・レナードの『ラム・パンチ』が作中の解説によると違法マネー搬送の行為の隠語であるように、本書の原題は、解説者でもあり本書の訳者でもある池上冬樹によれば「徒労に終わった苦々しい仕事(ヤマ)」の隠語であるらしい。この手のクライム・ノベルでは、仕事がまっとうに終わりスムースに運ぶことなんて、むしろゼロに等しいわけで、そうでなければ退屈きわまりない話が、空しく山となって積みあがるだけである。  確かにドナルド・E・ペンドルトンのマッ...
  • ブルーバード、ブルーバード
    ブルーバード、ブルーバード 題名:ブルーバード、ブルーバード 原題:Bluebird, Bluebird (2017) 著者:アッティカ・ロック Attica Locke 訳者:高山真由美 発行:ハヤカワ・ミステリ 2018.12.15 初版 価格:¥1,800 訳者:高山真由美 発行:ハヤカワ・ミステリ 2018.12.15 初版 価格:¥1,800 「ジョーがまずギターを取り出した。沢山の人々の--ジョーの、次いでマイケルの、そして今やランディとダレンの--運命を変えたギブソン・レスポール」  伝説のギターマン、ジョー・スウィート。彼のギターをシカゴから追いけかけてきたマイケル・ライトの遺体がバイユーで発見された。ついで白人女性の死体が同じバイユーの少し下流で。  東テキサス、シェルビー郡。人口178人の小さな田舎町。法律家になる...
  • 鏡の男
    鏡の男 題名:鏡の男 上/下 原題:Spegelmannen(2020) 著者:ラーシュ・ケプレル Lars Kepler 訳者:品川亮 発行:扶桑社ミステリー 2023.02.10 初版 価格:各¥1,210  スプラッタ・ホラー? サイコ・スリラー? 警察小説? 否、それらのジャンルをブレンドさせ、娯楽作品に徹したツイストを仕掛けに仕掛けた、びっくり箱のような作品である。前作までで、連続殺人犯ユレック・ヴァルテルとの対決構造は終焉を迎えたはずなのだが、はてさて。  いつも仕掛けと残酷さと怖さとでこのシリーズに着いてゆけなくなる一歩前まで行くのだが、本作は久々のアイディアにやられてしまったかもしれない。夫婦作家共作のシリーズ向けペンネームで書かれたスウェーデン・ミステリーでありながら、甘いところは一切見られない、どぎついまでの暴力とサイコな駆け...
  • ローレンス・ブロック
    ローレンス・ブロック Lawrence Block マット・スカダー・シリーズ 過去からの弔鐘 1976 田口俊樹 冬を怖れた女 1976 田口俊樹 一ドル銀貨の遺言 1977 田口俊樹 暗闇にひと突き 1981 田口俊樹 八百万の死にざま 1982 田口俊樹 聖なる酒場の挽歌 1986 田口俊樹 慈悲深い死 1989 田口俊樹 墓場への切符 1990 田口俊樹 倒錯の舞踏 1991 田口俊樹 獣たちの墓 1992 田口俊樹 死者との誓い 1993 田口俊樹 死者の長い列 1994 田口俊樹 処刑宣告 1996 田口俊樹 皆殺し 1998 田口俊樹 死への祈り 2001 田口俊樹 すべては死にゆく 2006 田口俊樹 償いの報酬 2011 田口俊樹 石を放つとき 2018 田口俊樹 泥棒バーニー・シリーズ 泥棒は選べない 1977 田口俊樹 泥棒はクロゼットの中 1978...
  • 傷痕
    傷痕 傷痕(きずあと)〈上〉 (ヴィレッジブックス) 傷痕(きずあと)〈下〉 (ヴィレッジブックス) 題名:傷痕 上/下 原題:Shadow Man (2006) 作者:コーディ・マクファディン Cody Mcfadyen 訳者:長島水際 発行:ヴィレッジ・ブックス 2006.11.20 初刷 価格:上\680/下\720  これまでのサイコ・サスペンスを凌駕しようという作者の意気込みが、かなり直裁に感じられるサービス満載のスリラーである。少し前に読んだ『ダーティ・サリー』も『ブラック・ダリア』の映画化などで再燃する猟奇犯罪のニュー・ウェイブに敢えて乗って行こうというようなタイムリーな雰囲気が感じられたが、本作はそれに輪をかけたような超ニューウェイヴと言おうか。  一言で言うなら、ノンストップ・サスペンスという以外にない。ジェットコースター小説のカ...
  • かくも冷たき心
    かくも冷たき心 題名:かくも冷たき心 原題:Cold Cold Heart (1994) 作者:ジェイムズ・エリオット James Eriot (J・C・ポロック J.C.Pollock) 訳者:中原裕子 発行:ハヤカワ文庫NV 1999.4.15 1刷 価格:¥800  ポロックはどこへ行くのか? 一流のエンターテインメント作家というには少しだけ不足していつも二番手を走っているイメージがあるのだけれど、そこそこには作品は面白い。ポロックは初期作品だけだとの声もよく耳にする。ぼくもそう思うところがある。あの『樹海戦線』の興奮はどこへ? と思う。  ポロックが苦労して手を変え品を変えして、エンターテインメントを目指している姿はよくわかる。特殊部隊専門小説家みたいなイメージから少しだけずれたミステリーをとの方向性もよくわかる。ここ何冊もぼくは付き合ってきた...
  • レイジ
    レイジ 題名:レイジ 作者:誉田哲也 発行:文芸春秋 2011.07.15 初版 価格:\1,476  青春バンド小説、である。  そもそもこの作者に出会ったのは、2005年の『疾風ガール』。中ノ森文子をカバー写真に据えた、ガールズ・バンドの青春ミステリー小説であった。  原点回帰か? それとも『武士道シックスティーン』の乗りの荒手の青春小説か、とそれなりに楽しみに読み始めると、いい意味でそれらすべてが裏切られてゆく快感がある、やはり作者ならではのこだわりロック・バンド青春小説は、独自なカラーに終始しているのであった。  まず時代設定が古いというのが嬉しい。今を背景にしているのではなく、あのロック黄金時代を背景にしているのである。そんなバンドの中でいきなり主役の二人が仲間割れする。リーダーのワタルはロックの歴史にのめり込むようにコピ...
  • ぬきさしならない依頼
    ぬきさしならない依頼 題名:ぬきさしならない依頼 原題:Free Fall (1993) (1999) 著者:ロバート・クレイス Robert Crais 訳者:高橋恭美子 発行:扶桑社ミステリー 1996.10.30 初版 価格:¥600  ハードボイルド探偵の代表格の一人であるエルヴィス・コールのシリーズを未だ全部読み切っていないので、折を見て旧作に取り組むように心がけているが、いつかしらだいぶ間が空いてしまった。翻訳者が翻訳ミステリー札幌支部のおひとりということもあり、とても近しく感じられるシリーズながら、四半世紀ほども前の作品なので改めてトライしないとなかなかこうした大切な読書時間を捻出することができない。それほど忙しい日常か? と自分に問い質しつつ、ともあれ本作に取り掛かった。  最初はいつもながらお洒落でユーモラスでひねりの利いた会話など...
  • ベルリンで追われる男
    ベルリンで追われる男 題名:ベルリンで追われる男 原題:Illegal (2017) 著者:マックス・アンナス Max Annas 訳者:北川和代 発行:創元推理文庫 2019.09.20 初版 価格:¥1,080  ベルリンを舞台にしたランニング・アクション・ミステリー。全編よく走る主人公コージョは、ガーナ出身の不法滞在者。イリーガルな世界の住人が目撃してしまった殺人。  まるでヒッチコックの裏窓のようなシチュエイション。アパートの窓に見てしまった殺人。殴り殺される女。見る側は空き家に棲みついた不法滞在者。入国許可証を持たぬ有色人種ゆえに、常に司法の眼から逃れ、ベルリンの地下で生息する若者。と言ったって三十に手が届く。家族を捨て、家族に捨てられる漂流物のような人生。ガーナに帰ることは考えられない。  とにかく警察がわけもなく移民たちを追いま...
  • レパードを取り戻せ
    レパードを取り戻せ 題名:レパードを取り戻せ 原題:Sea Leopard (1981) 作者:クレイグ・トーマス Craig Thomas 訳者:菊池光 発行:早川書房 1983.10.15 再版 価格:\1,600  80年代初頭の作品。しかもクレイグ・トーマス作品は一年ぶり。立て続けに読もうと思っていたのが、案外読みにくいコッテリ味の本格冒険小説なので、そう簡単には手が伸びず、ハードボイルド系の読みやすい小説に浮気ばっかりしてしまっていた。そうこうしているうちに上下二巻に分かれた文庫本なども出版されてしまったが、ここにはけっこう長大な、C・トーマス・ファンなら必見の関口苑生氏による基本的な解説が掲載されている。あいにくぼくはこれを書店で立ち読みしかしていないが、今回これを読んでみて案外に楽しめたことなどもあるから、ぜひとも解説だけでも買って取っておこう...
  • 殺し屋 最後の仕事
    殺し屋 最後の仕事 題名:殺し屋 最後の仕事 原題:Hit And Run (2008) 作者:ローレンス・ブロック Lawrence Block 訳者:田口俊樹   発行:二見文庫 2011.10.20 初版 価格:\876  日頃どうも恵まれないとつくづく思い残念に思うのが、海外ミステリの書店ブースにおける取り扱いのあり方である。その中でも二見文庫の扱いなどはひどいものだ。扱っていればまだいい方と言えよう。  いや、もちろんこの作品の存在を季節外れにぼくが発見しなければならなかったことの非をもちろん書店にぶつけようというものではない。冒険小説フォーラムをNifty Serve(パソコン通信)に開設していた頃は、二見書房含め、多くの新刊情報を取り寄せてメンバーの皆様に紹介していたものだが、インターネットの時代が到来してからはそうした情報発信はあまり...
  • 贖いの椅子
    償いの椅子 償いの椅子 (角川文庫) 償いの椅子 題名:償いの椅子 作者:沢木冬吾 発行:角川書店 2003.04.25 初版 価格:\1,900  骨のあるクライム・ノヴェルである。この新鋭の作品は『愛こそすべて、と愚か者は言った』(新潮ミステリー倶楽部)に続く長編第二作。1970年生まれの若手作家であることが信じられないほどに内容が濃くて太い。導入部の文章では若書きの印象が強いのだが、書き進むうちにどんどんこなれてゆくばかりか、読者を唸らせるような言葉が頻出して来る。書き進むうちにも作家的進化が窺えるほどに、今後の成熟が楽しみな作家だと思う。  五年ぶりに車椅子に乗って姿を現わした能見亮司。五年前に彼とともに死んだ秋葉は実は生きているのか? 五年前のつけを清算しに戻ってきたのか? 警察内にある特殊チームと民間から徴用されたメンバーたち。能見を中心に...
  • catskill
    キャッツキルの鷲 キャッツキルの鷲 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ) (↑アマゾンで注文) 原題:A Catskill Eagle (1985) 著者:ロバート・B・パーカー Robert B. Parker 訳者:菊池 光 発行:ハヤカワ文庫HM 1992.12.15 初刷 1993.2.15 2刷 価格:\580  さてこれがスーザンとの危機三部作(とでも呼びたくなる)の完結編である。西海岸に飛んでホーク共々大暴れするという、いかにもシリーズのバランスを一気に破壊してしまった感のある巨編。今読んでもけっこう驚くくらいなので、発刊当時はさぞかし物議を醸しただろうと思われる。そのくらい意外性に満ちた一冊だ。  とにかく探偵小説としての骨格を壊し、サイド・ストーリーを主軸に持ってきてしまっったために、主人公はもはやこれでは探偵ではない(...
  • 最も遠い銀河
    最も遠い銀河 題名:最も遠い銀河 上/下 作者:白川 道 発行:幻冬舎 2009.07.07 初版 価格:各\1,700  ある男の人生を大河ロマンのように叙述する。その男が、地獄も栄光も経験する宿命のもとに生まれ、その生き様が波乱万丈であり、その上、友情と恋愛のドラマをも抱え込んだ大変魅力的な主人公である場合に。  いまどき、古臭いタイプの小説であるのだと思う。演歌のように、流行とは縁がない。それでいて読めば忘れ難い。そういう小説を、この作家はひたすら書き続けている。意図してかどうかはわからない。きっとロマンを描くという一念で、小説を書き進めているだけに違いない。  それにしても人間観察眼の鋭さは、この作者が人生の途上において作家への転身を図った人とはとても思えないほどである。株とバブルで頂点を知り、失墜を知った体験を書いたデビュー作『流...
  • honmei
    本命 原題:Dead Cert (1962) 著者:ディック・フランシス Dick Francis 訳者:菊池 光 発行:ハヤカワ文庫HM 1976.6.30 初版 1989.12.15 9刷 価格:\480(本体\466)  ぼくはマクリーンもバグリィも一冊も読んでいないし、山好きでありながらボブ・ラングレーもトレヴェニアンも読んでいない。考えてみればそれにも理由があって、冒険小説を読み始めたのが三十代に入ってからということが一つ。もう一つは、このどうにもおさまりのつかない一点集中型読書傾向にあると思う。一人の作家に狙いを定めると徹底してその作家に懲る、という実に偏執的な読書傾向であると自覚している。いよいよその偏執的な視線がようやくフランシスに向けられることになったので、新刊の嵐にでも見舞われない限り当分の間は<競馬シリーズ>を読み続けることにする。 ...
  • 刑事ザック 夜の顎(あぎと)
    ホット・キッド 題名:刑事ザック 夜の顎(あぎと) (上・下) 原題:Zac (2014) 著者:モンス・カッレントフト&マルクス・ルッテマン Mons Kallentoft Markus Lutteman 訳者:荷見明子 発行:ハヤカワ文庫HM 2018.01.15 初版 価格:各\760-  日本の刑事小説やアクション小説は、ハードボイルドからバイオレンスにいつしか変ってきたようにうっすら思っている。ハードボイルドの流れは断ち切れてしまい、小説が劇画的傾向を強めているような小説読者としての危機感を感じている。  海外小説はどうなのか。世界にも、日本と同様の傾向はもともとなかったわけではない。むしろ銃器を合法化している国や兵隊上がりの作家などは、装弾した銃を身に着けて歩く文化が当たり前のことのようで、それらを非合法に用いる主人公像だって特...
  • 真夜中の予言者
    真夜中の予言者 題名:真夜中の予言者 原題:Random Walk (1989) 作者:Lawrence Block 訳者:田口俊樹 発行:二見書房 1998.2.25 初版 価格:\2,100  ブロックの小説ならたいていのものはたいていの人にお勧めなんだけど、これはあまりお勧めとは言えない。マット・スカダーものがいいので、と言って手に取るとまずその傾向の違いというギャップにがっくり来ると思う。  まずはハードボイルドとは縁遠い。それどころか、SFファンタジィの世界といっていいかもしれない。帯に「大人の童話」とある。あるいは「寓話」なのかもしれない。とにかくそういう風にあり得ない話であり、奇跡の話だ。宗教がかっているようにも見えるし、説教じみた会話に彩られてもいる。  ブロックがとっても力を抜いてリラックスして書いた、どちらかといえば軽めの作品だと...
  • 撃つ薔薇 AD2023涼子
    撃つ薔薇 AD2023涼子 題名 撃つ薔薇 AD2023涼子 作者 大沢在昌 発行 カッパノベルス 2000.1.25 初刷 価格 \848  なぜこんなに早くハードカバー発刊後わずか一年にも満たずにノベルズ化再発売されたのか、という疑問にはちゃんと答えが用意されてある。セガサターン用のゲーム"UnderCover"が発売になったのでプレ・ゲーム用としてゲーマーが楽しむためにノベルズとして早々とお目見えすることになったらしいのだ。ゲーマーがハードカバーを読まないかどうか、ゲーマーはノベルズにより惹かれるのかどうかということになると、ぼくには少し判断のつかない部分があるのだけれども。  そんな事情は全く知らずに書店で、ただの値下げ感で買ってきてぼくは読んだ。なぜか劇画的なのは大沢ならではのいつものこと、と我慢して読んで...
  • コックファイター
    コックファイター 題名:コックファイター 原題:Cockfighter (1962,1972Renewal) 著者:チャールズ・ウィルフォード Charles Willeford 訳者:齋藤浩太 発行:扶桑社ミステリー 2020.05.10 初版 価格:¥1,050  ここのところ、ぼくの読書傾向に何故かアメリカ南部小説が急浮上し続ける。独特の熱気と湿度、人種差別と粗暴と貧しさ。そんなイメージに、汗をぬぐう主人公の野望と苦労が混じる。それにしてもチャールズ・ウィルフォードという作家は、相変わらず大した凄玉である。1988年に亡くなった天才的作家の墓石を前にして、ぼくらは彼の死後に生前の作品を読むということしかできないでいる。しかし今もなお翻訳され、彼の古い(原版は1962年なのだから!ワオ)作品は現在に蘇り続けては世界を掻き回そうとしている。前世紀のノワール...
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