「ゼロの予報図-3」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

ゼロの予報図-3」(2007/07/03 (火) 23:19:23) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

「で…だけど、本当にアンタ、何も思い出せないわけ?」 「ああ、本当だ」 ここは、ルイズの部屋だ。ここが『トリステイン』の『魔法学院』ということは教えてもらった。 さっぱり意味がわからん。ルイズの話のことじゃない。 俺はどこにいて、何をしていて、なぜここに来たのか? ルイズの話では、『召喚』というのはこの世界のどこかから『使い魔』というのを連れてくるらしい。 困った事に、オレの故郷はさっぱり思い出せない。 故郷なら知り合いもいるだろう。そうすればきっと名前だってわかるのに……。 そこで、先ほどのルイズの質問と相成ったわけだ。 「でも困ったわね…アンタを『使い魔』とするのに『下僕』とか『犬』じゃあ呼びにくいし…  人前ではカッコがつかないわ……」 「じゃあ…そうね、喜びなさい!  このルイズ・ド・ラ・ヴァリエール様が名付け親になってあげるわ!」 「名付け親?」 「そうよ! フフン! わたしのネーミングセンスの見せ所ってワケね!」 ルイズはそう言ってちょっとの間考え込んだ。 「そうね…『トリステインに吹く熱風』と言う意味の! …う~ん、イマイチ、今の忘れて」 ルイズはベッドから立ち上がって窓の側に行く。空は底抜けの碧さだった。 「いい天気ね……」 「ああ…」 「よし、決めた、決めたわ。アンタの名前は『ウェザー』…ウェザーよ」 ウェザー……『天気』か…。 「けど貴族の使い魔になるんだから苗字も必要ね……。ヴァリエールの名はあげられないけど…」 そう言って窓の外を見つめるルイズ。空の蒼と薄桃の髪が対照的だ。 「ウェザー…ウェザー・ブルースカイ……」 今度はこっちを見てきた。けどまた窓のほうに顔を向ける。 「いえ、違うわ……そう、これよ、『ブルーマリン』……アンタの名前よ」 「ウェザー……ブルーマリン?」 「そうよ、ウェザー…『ウェザー・ブルーマリン』、わたしの使い魔」 ウェザー…ウェザーか……いい名前だ。 「ありがとうルイズ。いい名前だ。気に入った」 俺は心から礼を言った。嘘偽りは無い。が、ルイズにはそれが気に入らなかったみたいだ。 「ちょっと! 平民の、それも使い魔の分際で! 貴族を呼び捨てにするとは何事よ!」 どうやら自分の名前を呼ばれたのが気に食わなかったみたいだ。 「いいこと!? わたしを呼ぶ時は『御主人様』というのよ! わかった!?」 「アンタは名前の無い俺に素敵な名前を付けてくれた。この名前はオレの宝物だ。  だからオレのほうもアンタの事を名前で呼びたい。……ダメか?」 「なな…何よ、宝物なんて言っちゃって……当然でしょ! 貴族が名付け親なのよ!  け、けど、そそ、そこまで言うなら、な、名前で呼んだって構わないわよ? ありがたく思いなさい!」 「ああ、ありがとう。ルイズ」 「陽が暮れてきたな……」 夕焼けが部屋を赤く染める。 窓の側に立っていたルイズの顔は、夕日よりいっそう赤く見えた。 ----

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
記事メニュー
目安箱バナー