175話

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*第175話:急襲者 「あれ?確かこっちでお城だと思ったんですけど…」 天然のフルートと磁針の使い方を良くわかっていないサックスのガイドは城に向かうどころか洞窟を出てしまったのだ。 城は遠く離れた場所にドッスリと建っている。 「おいおい、どぉすんだよお。城はあっちだぜ?」 ゼルが二人に問いかける、すると。 「あっ、そういえば洞窟からお城に行くには盗賊の鍵が要るんでした。  だからお城には入れなかったわけですし、結果的にOKだと思いますよー」 ヘラヘラと笑いながら言うフルートに、もう呆れて物も言えなくなったゼルである。 「それで、どうすんのサ?」 「そうですねー、泳ぐことも出来ませんしねぇ。この近くにレーベって村が有りますから、そこを目指すとしましょーかー?」 やはり此処は出身者に任せるべきであろう―――相当不安だが。 そうして、再び不安なガイドの元、五人は歩き始めた。 「くっ…厄介な暗闇だぜ…」 ほんのりと見えるようになってきたが、やはりこの闇は辛い。 かすかに見える中、袋の中を捜してみる。幸運なことに目薬らしき物がある。 それを掴み、蓋のような場所を探し、開けて中の液体を目にかける。 視界を覆っていた暗闇が晴れるように消える、もう一度袋を覗き込むと一振りのナイフのような物がある。 投げて使えば…不意打ちには使えるかもしれない、サラマンダーの口が嫌味に曲がる。 「あーもう邪魔くさいなーぁっ!ファイラ!」 道を邪魔せんとばかりに生える木に、リルムが火柱をぶつける。 ボゥォッ!っと勢いよく燃え上がる。その木が倒れ、近くにいたゼルが慌てて避ける。 「うわぁっ!アブねぇなぁっ!」 「そっちがボケッとしてたんでしょ~?」 「んだとコラァッ!」 今にも喧嘩が起こらんばかりの勢いで繰り広げられる口論。 そんな二人を見て、やれやれといった顔をするロランとサックス。 ふと、ロランがフルートにある事を聞く。 「そうだフルートさん、前に武闘の経験とか…ある?」 フルートがその言葉を聞き、すこし考え込んだような表情になる。 「そうですねぇ…前は武闘家をやってましたけど…あまり上達しませんでした、本も好きでしたし、僧侶になろうって考えたんです」 あまり覚えていない、その言葉に疑問を覚えるロラン。 あの時、竜王と闘ったあのフルートの動きはかなり熟練されたものだった。 武闘家時代に訓練したなら分かる、だが本人は覚えていないと言う。 なにか引っかかる…そういえばあの時は別人のように変わっていたような………? 「でも私、小さいときから記憶が飛ぶんです。さっきはお城に居たのに気がついたらお城から離れた草原に居ました…見たいな感じです。  そう…あの時だって」 「あの時?」 ロランとサックスが声を揃えてフルートに聞く、フルートはええと咳払いをしながら答える。 「魔王ゾーマの決戦の時ですよ、私魔王に驚愕して気絶しちゃったらしくって…アルスが光の玉を使った後は覚えてないんです」 へぇ、と相槌を返すサックス。気絶していた、と本人は言うが実際は違う。 フルート本人が、魔王の台詞にぶちギレ、そしてその後は…という話である。 「でも凄いね、フルートはやっぱり強いよ」 何時の間にか背後にいたリルムが言う、後ろではゼルがぜーぜーと息を切らしている。 そして、今度は唐突にサックスが口を開いた。 「そうだ、ロランさんはやっぱり何かしら凄い事してるでしょう?」 「え?何故だい?」 唐突にそんなことを聞くサックスに疑問を覚えるロラン。 「うーん、それは僕の第六感…って奴かなぁ?よく当たるんですよ、人が何をして来たかって言うのが」 「確かに、僕は…言っても分からないだろうけど、嘗て破壊神を破壊した今の………いやなんでもない、とにかく当てられてビックリしたよ」 何かにつっかえたのが気になったが、予感が的中したサックスはニコリと笑った。 「僕もですね…実は――――」 そこから先は一本のナイフに遮られた。胸に刺さる一本のナイフ…サックスの胸から血がぼたぼたと流れ出る。 「い…………いつの……まに?」 「喋らないで下さい!いま回復呪文を…」 回復呪文を唱えつづけるフルート、だがそれに追い打ちをかけるように今度は黒い衝撃が二人を襲った。 体に走る重い衝撃、自分はともかくサックスが…なぜこんなことに?見えないところからの急襲、卑怯者、許さない許さないゆるさないユルサナイ…。 彼女の思考が怒り一色に染まった、そして…………。 「っらぁぁあああっ!何所のどいつだぁっ!」 顔が豹変する、そしてナイフの飛んできた方向を目掛け、駆けた。 「待て!フルート!貴方がいなくなったら…!!」 しかし、もうロランの視界にはフルートはいない、ロランがフルートを急いで追おうとする。 「ゼル!リルム!サックスを頼む!僕は急いでフルートさんを連れ戻してくる!」 「おい!ロラン!」 「もし……………」 ロランが振り向きながらゼルに言う。 「もし僕がこのまま戻らなかったら…二人は頼むよ」 そう言い残して、彼もまた闇夜の森に溶け込んでいった。 ゼルは血塗れのサックスを見る、いまはドローしてある回復魔法はおろか、ポーションの一個すらない。 「ちくしょう!俺には何もできないって言うのかよ!」 ゼルが地面を叩いている中、リルムがサックスのナイフに手をかける 「ちょっと痛いけど…我慢してね…」 ズブリと音を立てナイフを引き抜く、サックスが口から血を大量に吐く。 すかさず魔法を唱える、上級回復魔法、ケアルガ。大きな光が段々サックスを包んでいく。 だが出血は止まらない、意識も戻らない。 どくどくと胸から血が流れ、目を閉じたままげほげほと血の混じった咳をするサックス。 「だめだ…あたしの魔力じゃサックスの傷を塞ぐ事すら出来ないよ…」 それでもリルムは回復魔法を止めなかった。 すこし…人の気配がする、ゼルは咄嗟にリルムを守るように構えた…だが。 「だ、大丈夫ですか!」 思いもしなかった声と共に現れた少し奇抜な格好をした女性と酒場にいそうな男性がこちらに駆け寄ってくる。 目線は…サックス。 【フルート(MP減少、プッツン) 所持品:スノーマフラー 裁きの杖 魔法の法衣  第一行動方針:ナイフを投げた奴の元へ(フルート)】 【ロラン 所持品:ガイアの剣 ミンクのコート  第一行動方針:フルートを追う(ロラン)】 【リルム(MP減少) 所持品:英雄の盾 絵筆 祈りの指輪 ブロンズナイフ  【ゼル 所持品:レッドキャップ ミラージュベスト  第一行動方針:フルートを待つ、微力ながら治療(リルム、ゼル)】 【サックス(瀕死) 所持品:水鏡の盾 草薙の剣 チョコボの怒り  第一行動方針 死にかけ、フルートを待つ?(サックス)】  第二行動方針(共通):なるべく仲間を集める 最終行動方針(共通):ゲームから抜ける。アルティミシアを倒す】 【現在位置:岬の洞窟から北西の森(デュラン達とは離れた場所)】 【サラマンダー 所持品:ジ・アベンジャー(爪)  基本行動方針:参加者を殺して勝ち残る(ジタンたちも?)  備考:目薬は使用済み】 【現在位置:岬の洞窟から北西の森、フルート達から少し北】 【ユウナ(ジョブ:魔銃士) 所持品:銀玉鉄砲(FF7)、やまびこの帽子 【プサン 所持品:不明  第一行動方針:サックスの治療(?) 第二行動方針:ドラゴンオーブを探す  基本行動方針:仲間を探しつつ、困ってる人や心正しい人は率先して助ける 最終行動方針:ゲーム脱出】 【現在位置:岬の洞窟から北西の森(デュラン達とは離れた場所)】

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