「174話」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
174話 - (2008/02/15 (金) 00:54:59) の1つ前との変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
*第174話:レナとエリア
ヘンリーとビビが話すその横で、赤く目を腫らしたレナが、エリアに泣きながら語っていた。
その言葉は不明瞭でまとまっておらず、聞き取りづらかったので、少しわかりやすくまとめる。
「ねえ、エリア…私、何もできなかったわ。本当に、駄目よね…。いったいどうして気づかなかったのかしら。
あんな臆病な人が、この状況で一人で外を歩き回るなんて、ありえないのに。
本当に、どうして気づかなかったのかしら。
この村に、私たち以外誰もいないなんて、ありえないのに。ゲームに乗った人がいたって、おかしくなかいのに。
ねえ、私、何もできなかったのよ。
そう、いつだってそうだった。私は、人の命を救えたことなんてないの。
たくさんの人が、何かのために、私の目の前で死んでいったわ。
一度でも、それを止めることはできなかった。
…そういえば、普段野宿するときなんかも、たいていは姉さんとバッツが見張りをしてくれた。
危ないときは、いつも二人が私を助けてくれた。言ったかしら?私とバッツの出会いを。
それなのに、どうして私は何もできないの?
あのとき、私はギルバートを止めるべきだった。
ううん、それどころか、あたりを常に警戒してしかるべきだった。
そもそもここにきたのだって、誰かに会う為じゃない。危険を承知できたのに…。
それなのに、ああ、私、本当にバカだった。忘れてたのね、完全に。
ねえ、エリア。私、あなたと楽しくおしゃべりできて、本当に嬉しかった。
なんだか、クルルと話してるみたいで。
でも、クルルはもういないのよね。
私、わかってなかった。全然。逃げてた。死を受け止めてなんていなかったの!
ああして、目の前で、冷たくなった彼を見るまで…わかっていなかった…
ううん、わかろうとしていなかったの。
ねえ、エリア…私が今泣いているのは、何も彼の死が辛いからじゃないのよ。
もちろん、ギルバートの死は悲しいわ。
でも、それよりもっと、もっともっと…私は怖いの。
だってそうでしょ?死ぬかもしれないのよ。ギルバートみたいに…クルルみたいに…
そして、今周りに姉さんはいないの…バッツもいないの!
前にも一度、こんなことがあったわ。そのときは、飛竜が助けてくれたっけ…。
…言わなかったかな、飛竜のこと。私、助けられてばっかりよ。
ねえ、今、誰が私を助けてくれるの?
あの人?あの森で、あなたたちを殺そうとした?そんなはずないじゃない。
私はあの人の言葉に従って、この宿屋にきたわ。
けれども、本当のところ、私はあの人のことを信用なんてしてない。
当たり前じゃない。殺そうとしてたのよ、あなたたちを…。
それでどうして、あっさりということをきいたかわかる?
誰でもよかったのよ…ただ私に、手をさしのべてくれるなら、その言葉に従おうと思ったの。
でもね、これはやっぱり駄目。全然安心できない。
…エリア、私ね、強いんだよ。剣だって。
そりゃバッツや姉さんには負けるけど…城の近衛兵なんかより強かったんだから。
バッツに教えてもらってからは、本当に強くなったのよ。
それに、魔法ならバッツにも勝つ自信があるし。
それでも、私、何もできなかった。
ねえ、エリア…これじゃいけないのよね?ううん、いけないの。
私、決めたわ。
姉さんと、バッツを探すつもりだった…。
でも、それは多分、無理なのね。今の私じゃ、絶対に会えないと思った。
だから、やめる。探さない。
それが、きっと二人にあえる一番の方法なのよ。
大丈夫、バッツも姉さんも、私なんかと違って、本当に強いから…」
エリアは頷いて答えた。その答えも、涙混じりで、やはり不明瞭であったが。
「レナさん、まず、あまり自分を責めないで下さい。
あなたがいなければ、私もギルバートさんも、あの森の中で死んでいました。
それに、私とギルバートさんこそ、あなたに甘えていたんです。
…ただ、あの人は、ほんとうに私たちのことを殺すつもりだったのか…
いえ、そりゃあ、あのままいけば、間違いなく殺されていたでしょう。
でも、私は思うんです。
レナさんが来る前に、あの人は私たちを殺せたはずだと。
しかし、そうしなかった。何故かはわかりませんが…何か、迷っていたのかもしれません。
とにかく、私がそのとき感じたのは、今のような恐怖ではなく、むしろ生への欲求でした。
本当に、あんなことは初めてでした。
使命だとか、そういうのとは無関係に、がむしゃらな生への欲望…。
いったいどうしてなのか、私にもわからないのです。
…レナさん、私は一つ、隠し事をしています。いっても信じてもらえないだろうと…
いいえ、本当に怖いのは、信じて貰ったときのことかもしれませんね。
久しぶりなんです、私と同じくらい…といっても、四つも年上ですけど…
それでも私にとっては、同じくらいといえるんです……
…すみません、話がずれてますね。言います。
私は、一度死んでるんです。あ、やっぱり驚きますよね。
冗談でも、嘘でもないです。
光の戦士をかばって、矢に射抜かれ、存在を消されました。
なんか、逆ですよね、普通。でも私は、それを当然のことだと思っています。
それが、私の使命だったからです。
レナさん、私がここにきて、一番不安だったのは何だと思いますか?
それは、どうしてここにいるのかが、わからなかったことです。
おかしいですよね。私は生前…なんだかこの言葉もおかしいな…
ええ、私にははっきりとした使命がありました。
水の巫女としての、使命がありました。
ですが、ここはいったい何なのでしょう?
私は何故ここにいるのですか?
私が今泣いているのは…そう、その意味じゃレナさんと同じです。
ギルバートさんの死が悲しいからばかりじゃなくて、そのことが急に現実のものとして、私に問いかけてきたのです。
この問題は、私にいい知れない恐怖を与えます。今、この瞬間も。
人はみな、何かのために行き、何かのために死んでいくと…そう思いこんでいました。
事実、私のまわりにいたのは、そのような人たちばかりだったんです。
それで、この状況は何なのでしょう?
ギルバートさんは、何故生き?何故死んだのでしょう?
それを考えたとき、私は怖くなりました。涙が溢れて、止まらなくなりました。
…でも、少しわかった気がします。
烏滸がましいかもしれないけれど、ギルバートさんは…私たちと出会うために、ここまできてくれたのではないでしょうか?
レナさんは、とても強い意志を得ました。
…すみません。私、こんな風にしか考えられないんです。
そのように育てられ、生きてきたんです。
でも、もしそうだとしたら…私は、今、なんのために、ここにいるんだろう…」
そのとき、ターニアの叫び声が、辺りに響いた。
レナはそれを一瞥して、続けた。
「エリア…あなたは、水のクリスタルの巫女、よね。私は、クリスタルに選ばれた戦士…。
もし、私が何かのためにここにいるのなら…
エリア、あなたは私に勇気をくれた。
私は戦う。エリア、あなたを死なせない…」
続いて、カルナック城を彷彿とさせるように、あたりを火の手が囲んだ。
レナは立ち上がった…その手に、聖剣エクスカリバーをもって。
【エリア 所持品:妖精の笛、占い後の花
第一行動方針:現状打破 第二行動方針:サックスとギルダーを探す】
【レナ ジョブ、アビリティは次の人が適当に。
所持品:エクスカリバー、他は不明
第一行動方針:現状打破 基本行動方針:エリアを守る】
【現在位置:宿屋】