第463話:Cross Purpose2 発展篇
Scene-3
同行者のことなんか考えずに北へ走った。
目指すは爆音のした方…だったんだけどすぐにあたしは天へ立ち上る光の柱を見ることになった。
あれはきっと魔法の光、よね?
事態のシンコクさがより一層。どうしてあたしの足はもっと早く走れないかなぁ。
最後の爆発音が聞こえてからちょっと経っちゃった。
あたしは遅すぎたのかもしれない。
…というか、手がかりがなくなっちゃうと夜の森ってスゴク探しにくい環境よね。
なーんか同じところを回ってる気がするし。
でもあの時走り出さずにいられなかったのは本当だし。
あれ、なんか開けたとこに出ちゃった。足元、砂…じゃなくて灰ね、これは。
よーく見たらたくさん木が倒れてるし何があったのかな?
ずいぶん寂しい風景なんだけどここがさっきの光の柱の場所なのかな?
…あ、向こうのはもしかして……カンテラの光? 誰か来たみたい?
「落雷の跡、だよな。随分派手な…ラムゥでも呼んだか?」
「熱は失せているな。ファファファ、爆発ではこうはならん。これは明らかに雷撃魔法の痕跡」
西進する三人が森の中で出会った光景、それは不自然な規模で折れた木々、焼け焦げた跡。
まるで集中して落雷があったような。
誰よりも先んじて
ザンデが進み出て辺りを検分して回る。
「確かに随分時間が経過した跡のようだ。先程の爆発とは無関係だろうな」
「ってえことは、朝から夕方前くらいの間にここで誰かがやりあっていたってことか。
…結構戦いに乗ってる連中も生き残っているのかな。もう…60人まで減っちまったけどよ」
「そうだな。今のところ明確に乗っていることが分かっているのは」
「青い服のテリーって剣士と…
カインって竜騎士だったっけ」
「
アーヴァインもまだ疑わしい。しかしそれ以外にどれ程の人数がいるのか。情報が足り」
「待ちなさいよッッ!!」
ストン、と梢から影が飛び出し、三人の前へと着地する。
「カインが乗っているって…それどういう情報よ?」
「…何者だ」
剣、魔法、めいめいの戦闘スタイルに合わせ迎撃の構えを取る三人。
急に現れれば当然そうなるだろうが、そこを考えずに飛び出した
ユフィは大慌て。
「ああっと、ちょ、ちょっと待って、ね? あたしはゲームに乗ってなんかいないし…
あー…それ誤報だから! 根も葉もない噂だから、あのぅ、ほら、わかるでしょ?
ってそっかそっかごめん、あたしは…」
「ほう、よく見れば昨夜の女か。ファファファ、その様子、随分と元気になったようだな」
「なによ、あなた。確かにあたしは昨日の夜ヤバい状態だったけどさ、あなたなんて知らないわよ?
あたしを治療してくれたのはウネってお婆ちゃんだって聞いたけどあなたは何…覗き? …ストーカー?
ーって、自己紹介が遅れたわね。あたしはユフィ、1st級マテリアハンターよ! あなた達は?」
やれやれと言わんばかりにゆっくりと手をあごに持っていき、面白いものを見るような目で彼女を眺めるザンデ。
二人の間の不思議な空気をいぶかしみながら相手の自己紹介に答えようとした
ロックを
ピサロが制止する。
「……オレはロック=コール。で、隣にいるのが……」
「待て! これほど怪しい相手に先に名を名乗る必要はない、答えるな。目的を問う方が先だ。
それではユフィ、貴様は何の目的で姿を現した?」
さえぎられて口をつぐむロック、思考ポーズのままの無言のザンデ、威圧感と共に質問を返すピサロ。
対峙しているユフィはいまさらながら相手の発する重圧、そのヤバさを体感していた。
「…カインとどういう関係が有る。答えろ」
「あ、それよそれっ。カインがゲームに乗っているなんて誰が言ってたのよ。
カインはねぇ、
エッジの仲間なんだからそんなわけ無いじゃない。
あ、そうだ………あのさ、もしかして
フリオニールってヤツに聞いたんじゃない? 違うかな」
「フリオニールだって!? 会ったのか、あいつに!?」
「抑えろ。私は聞いたわけではない、己の実体験から話しているのだがな。
貴様がどう吹き込まれたかは知らないがカインは既に人を殺している」
「………殺した…」
実体験とまで持ち出されて頑強に言い張られ、その真摯な目にユフィはたじろぐ。
しかし改めてもう一度この一行を見直してみると…
(…うう、なんか悪そーな…見るからに悪の参謀みたいなやつもいるし。
喋ってるヤツはカッコいいケド悪役は顔じゃないってのは
セフィロスの例もあるしなぁ)
「…やっぱり、信じられないよ。
ラムザや
ケフカだってそんな事何も言ってないしさ」
「ケフカッッ!? ケフカだって!?」
突然思いもよらぬ名前を聞いてロックが剣を手にしたまま一歩踏み出す。
反射的に大きく飛びのくユフィ。
「何よっ、もういい! あんたたちのほうがずっと悪のパーティに見えるわよっ!
誰もあんたたちみたいな連中の言う事なんて信じないんだから!」
踵を返し、森の暗みへと飛び込もうと身体を反転させる途上、
明らかに思い込み勘違いを含んだユフィを追撃してライブラが重なる。
うひゃあ、と甲高い悲鳴を残してそのまま逃げ去るユフィ。
ザンデがさも可笑しそうに哂い声をあげる。
「おい、待てよ、待てって! ザンデ、あんたも何やってんだ!
だいたいあんた、一方的に知っているような感じだけど前に見かけたことでもあるのか?
ああ、くそっ、行っちまった……」
「ファファファ、昨晩、怪我を負ったユフィをわが兄弟弟子たるウネが治療したというだけのこと。
あくまでウネの仕事、私にとって無価値である以上別に直接敵対せぬならその態度に興味などないのだ。
まああの時からの変化を分析できた点はありがたく興味深いことではあったが」
「あのなぁ…言えよ、言ってくれよ! ヘンな誤解されたじゃないか!」
「ファファファ、『悪のパーティに見える』とはまた我らが本質の一片を突いているがな。なあピサロよ?」
「ふん。しかし、カインの手駒にでも使われているのだろうな、あの娘は。……カイン、か。
ザンデよ、このままサスーン方面へ向かうなら方向は大体同じだ。少し追ってみても良いか」
「なあザンデ、オレからも頼む。あいつに聞いてみたいことがあるんだ。
で、追いついてからはあんたの仲間のウネさんのことについて説明してくれよな」
「まあ…いいだろう、別に構わぬ。たいした寄り道でもなかろうしな」
「……ならば、急ぎ追うぞ」
頷くロック、まだわずかに笑みの余韻を残して目で答えるザンデ。
同意を得たピサロは銀髪を翻して忍者の消えた闇へとそれを追う。
遅れることなく後に従う二人も走り始めた。
Scene-4
サスーンへ、西の方角へ。
幾ばくかの安心を感じられる距離を移動し、周囲の状況を確認してウィーグラフは足を止める。
それから抱えてきた荷物を地面へ転がし、剣の柄でもって地面に横たわるその腕を打った。
「!? ~~~~~っっ、ああっ、このカメがッッ!?」
上半身を跳ね起こして辺りをキョロキョロと見回す
アリーナ。
周囲の静寂と見下ろす同盟者の視線に気が付いて事態を認識する。
と、ぞくりと全身を走る寒気が。
「つっ、何よ、何だっての! なんで、この体調はなんなの?」
「毒だ」
「毒ですって?」
「その程度で済んだことに感謝すべきだな。あのカメ、想像以上の手練れだ」
「…で? 殺せたの?」
「…………いや」
「あはっ、なーによ、あなたも惨めにやられて逃げてきたってわけね?」
「ふん、恩人に言う事か。貴様はあのまま永眠していてもおかしくなかっただろうにな。
それより急ぐぞ。
ピエールが独走している。
サスーンに先行されるのは貴様としても面白いことではなかろう」
「あははは、ピエールもやられちゃってたりして……あいつはそんなタマじゃないわね。
同意するわ、急ぎま…待って、来客みたい」
気付いたのは二人同時、暗がりから浮かび上がるように人影が立っている。
「ヒャーーッヒャッヒャッヒャ!」
その影が、啼いた。
二人の射程距離からもう少しだけ離れて立つこの妙な闖入者に対して先んじようと力を溜めるアリーナ、
だがしかし逆に相手からの言葉がそれに先んじる。
「マホウのにおいがするねぇ、ヒャッヒャッヒャ。だーれにやられたのでしょうねー?」
「うるさいッ!」
癇に障る言い方に逆上して一気に間合いを詰めるアリーナ、その拳はしかし道化には届かない。
アリーナと
ウィーグラフの目の前で彼はあっという間に姿を消してしまったから。
「うそっ! なんなのよ?」
明らかに奇妙な消失を見た空間からはなんとも苛立たしい笑い声が聞こえるのみ。
聞くに堪えない罵詈雑言を撒きながら虚空に向けて無駄な攻撃を繰り返すアリーナ。
自慢の高速連続打撃も姿形のない相手には無意味なことこの上ない。
「話し合うより先に手が出るなんてナーンテ野蛮なんでしょう!
ぼくちんシンジラレナーイ!」
「攻撃を止めろ、アリーナ。
さて、先に手を出した無礼は詫びよう。貴様は何者で、何の目的を持って現れた」
姿は見えないが会話は可能だと判断してアリーナを制しウィーグラフが空間へ向け呼びかける。
返答はしかし会話には応じない。
「おまえたち、そうやってヒトをコロシテきたんだろう?
なーに、ぼくちんにはお見通しなんだ、そーんなに血の臭いさせてちゃねぇ?」
二人は沈黙を保ち肯定も否定もしない。その態度自体が肯定のようなものではあったが。
「まあぼくちんはおまえたちなんかをどーこーしようなんて気はゼーンゼンないから安心しな!
大体なんでそんなコトでぼくちんが手を煩わせなくちゃならないんでしょう!
さっさとどこへとなり殺しに行け! ヒャーーッヒャッヒャッヒャ!」
「…………行くぞ、アリーナ」
会話にも戦闘にも応じる気のない相手に付き合う無駄を察してまだ愚痴を呟く同行者を促す。
彼女も不満を表情に浮かべたまま、渋々出発に同意した。
歩き出して数歩、奇妙な遭遇をした道化師が最後に立っていたポイントを振り返るがやはりそこには誰の姿もない。
隣には怒りと悔しさから憎悪に満ちた目でその場所を睨みつけるアリーナ。
そんな二人をあざ笑うかのように回復魔法の光がまといつき、毒に蝕まれた体力を癒す。
「回復ぐらいはしてあげましょう! 困ったヒトには親切にするのが正しい偽善者ですからねえ!
ヒャーーッヒャッヒャッヒャ、ヒャーーッヒャッヒャッヒャ!!」
暗がりから悪意と嘲笑に満ちた道化の高笑いが響く。
それを背に受けつつウィーグラフとアリーナはサスーンへ向けて足を速めた。
【ユフィ(疲労/右腕喪失)
所持品:風魔手裏剣(19) プリンセスリング フォースアーマー ドリル 波動の杖 フランベルジェ】
第一行動方針:ラムザ、ケフカと合流する
第二行動方針:アポカリプスを持っている人物(
リュカ)と会う
第三行動方針:マリアの仇を討つ 基本行動方針:仲間を探す】
【ザンデ(HP 4/5程度) 所持品:シーカーソード、ウィークメーカー
第一行動方針:ピサロとロックに同行する
基本行動方針:ウネや他の協力者を探し、ゲームを脱出する】
【ピサロ(MP1/2程度) 所持品:天の村雲 スプラッシャー 魔石バハムート 黒のローブ
第一行動方針:ユフィに追ってカインについて尋ねる
基本行動方針:
ロザリーを捜す】
【ロック 所持品:キューソネコカミ クリスタルソード
第一行動方針:ユフィを追ってフリオニールとケフカについて尋ねる
第二行動方針:ザンデ(+ピサロ)の監視
基本行動方針:生き抜いて、このゲームの目的を知る】
【ケフカ(MP2/5程度、バニシュ)
所持品:ソウルオブサマサ、魔晄銃、ブリッツボール、裁きの杖、魔法の法衣
第一行動方針:疲れない程度の速度でラムザ・ユフィを探す
最終行動方針:ゲーム、参加者、主催者、全ての破壊】
【アリーナ2(分身) (毒、スリップ) 】
所持品:E:悪魔の尻尾 E皆伝の証 イヤリング 鉄の杖 ヘアバンド 天使の翼
第一行動方針:ピエールを葬り、サスーンに向かってリュカを殺す
第二行動方針:ラムザを殺し、ウィーグラフにアリーナを殺させる
最終行動方針:勝利する】
【ウィーグラフ (疲労、毒、スリップ)
所持品:暗闇の弓矢、プレデターエッジ、エリクサー×6、ブロードソード、レーザーウエポン、
フラタニティ、不思議なタンバリン、
スコールのカードデッキ(コンプリート済み)、
黒マテリア、グリンガムの鞭、攻略本、ブラスターガン、毒針弾、神経弾 首輪×2、研究メモ
第一行動方針:サスーンに向かいゴゴと
マティウスを殺す/ラムザを探す
第二行動方針:アリーナを殺してリュカと
エドガーに近づき、二人を利用してピエールを服従させる
基本行動方針:生き延びる、手段は選ばない/ラムザとその仲間を殺す(ラムザが最優先)】
【現在位置:カズス北西の森南部】
最終更新:2008年02月15日 22:21