FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki内検索 / 「【うさぎのしっぽ】」で検索した結果

検索 :
  • 【うさぎのしっぽ】
    82話 194話 398話
  • アイテム履歴
    ...】 【アンブレラ】 【うさぎのしっぽ】 【静寂の玉】 【アダマンアーマー】 【ブレイブブレイド】 【クロスクレイモア】 【ビームウィップ】 【タークスのスーツ(男性用)】 【暗闇の弓矢】 【プレデターエッジ】 【クリスタルの小手】 【星降る腕輪】 【ドレスフィア(パラディン)】 【魔法の法衣】 【ガイアの剣】 【破壊の剣】 【ドラゴンテイル】 【ダーツの矢】 【番傘】 【官能小説】 【草薙の剣】 【スノーマフラー】 【ハリセン】 【ナイフ】 【銀のフォーク】 【ミスリルアクス】 【カヌー】 【雷鳴の剣】 【さざなみの剣】 【水のリング】 【命のリング】 【アリーナ2の首輪】 【ひそひ草A】 【リフレクトリング】 【いばらの冠】 【スプラッシャー】 【魔石バハムート】 【高級腕時計】 【世界結界全集】 【守りのルビー】 【お鍋(蓋付き)】 【ポケットティッシュ】 【ファイアビュート】 ...
  • 139話
    第139話:虚無の襲撃者 クラウドは逃げた。夢中で走った。 ――大きな建物と町らしいものが見えてきた頃、地鳴りと轟音が彼を転倒させたが、それが彼をかえって落ち着かせた。 虚空のスクリーンに現れた魔女が、次々に死者の名前を読み上げてゆく。 「バレット…エアリスも」 彼は地面に膝をついたまま、拳を握り締めた。が、悲しむ余裕など無いのもわかっていた。 ユフィ、シド、ザックス…そしてティファ。彼らは果たして無事だろうか。 早く探し出さねば。その思いが彼を立ち上がらせる。 追ってきたはずのセフィロスと、もう一人はどうした? 辺りを注意深く見回すと、遥かに見える岩山のほうから、一人の黒髪の女が歩いてくるのが見えた。 「この辺は危険だ!早く…」 逃げろ、と言おうとして彼は息をのんだ。女の瞳を、見てしまったから。 赤い瞳にあったのは、殺意でも、狂気ですらなく。――ただ、深淵。 ...
  • 【ももんじゃのしっぽ】
    254話 283話
  • 202話
    第202話:更に走る者達 俺達は走る、闇夜をただ走る。 かなり涼しい。暑過ぎず寒すぎずで疲労し辛いから丁度良い。 俺たちは走る、寒空の下を走る。 状況が状況の所為か、少し肌寒くも思える。これだから人が傷つくのを間近でみるのは嫌だ。 次の一手を考えないと、死ぬと思った。 バッツは戦闘には長けている。きちんとした作戦、段取りを考えれば安全だろう。 レーベに着いたらまずは宿屋で潜伏しよう。そして一手を考える。それができなければ…その時、か? 俺はやっとローグの走りに追いついた。 あいつは走りながら何かを考えているようだった。 器用な奴だ。凄いスピードで走ってるのにそれでまだ考える余力があるなんて。 アリアハンには大勢の人間が居た。 しかも手負いの者は居れど、強い人間は揃っている。 全員が俺たちを追いかけることは…あいつらの行動から見れば...
  • 147話
    第147話:守りたい心 ガギッ! クラウドとパイン、それぞれの持つ刃がぶつかり合って嫌な音を立て、また離れる。 …もうこうして幾度、攻防が続いたことだろうか。 クラウドの体の芯には、澱のように疲労が溜まり始めていた。 (それでも…俺は負けるわけにはいかないんだ。) 参加者名簿に、死んだはずの彼女の名を見つけたとき。 死んでいるはずの彼女が、何故?と疑問が脳裏をかすめたのは一瞬で。 あとは、喜びのほうが大きかった。 今度こそは、死なせずに済むかもしれない。 今度こそは、守りきれるかもしれない―― ――だが、その望みは、僅か半日足らず。魔女が彼女の名を呼んだ瞬間に潰え去った―ー また、守れなかった。 また、死なせてしまった。 その事実が、何よりも痛切な悔恨となって、彼自身をさいなんだ。 悔しい。心が痛い――もうこんな思いは、嫌だ- だからこそ、残された仲間たち...
  • 345話
    第345話:偽りの風の導き 「馬鹿な…あれは、風のクリスタル、か…?」 旅の扉をくぐり抜け、一人転送された先でザンデを迎えたもの。 それは、中央の台座の上で静かに光を放つクリスタル。 かつて、クリスタルの力を用いて世界を崩壊させようとした男がいた。 その男の目的は復讐。 男に「人間としての生命」などというちっぽけなものしか与えなかった己の師、 そしてその師が愛した世界への復讐。 だが男は光の戦士達との戦いに倒れ、ついにその悪しき野望は打ち砕かれる。 暫くの間ザンデはその場で昔のことを思い出していた。 風のクリスタルがあるということはここは浮遊大陸、祭壇の洞窟なのか? 再度見上げたクリスタル、確かに光を放つそれにザンデは違和感を覚える。 改めて観察してみればその光は単に鉱物的で冷たく、 クリスタル本来の神秘的で暖かな光とは全く異なるしろものである...
  • 255話
    第255話:虫の声も聞こえそうな 「おい、ストップ」 「ローグ?どうした」 「人がいるんだ、人が」 「本当か」 休憩も程ほどにし、またレーベへと向かっていたバッツとローグ。 そして2人は2人の人間を見つけたのだ。 「ローグ、どうする?接触するか?森を迂回する方法もあるけどよ…」 「俺が見た限り…殺気は無いな。お互いバレても問題はなさそうだ。」 「だったら大丈夫か?でも接触して長話でもしたらレーベに着くのに時間が掛かるな」 「ああ、それに確かに殺気は無いんだが……何か妙な緊張感があるんだよな」 少し様子を見ようというバッツの提案で、まずは静かに様子を見る事にした。 「で、これからどうしよっか」 「そうだな…どうやら街と村があるようだな……」 「あー、でも微妙に遠いわね…」 エッジとユフィは地図を片手に難儀していた。 月明かりの...
  • 82話
    第82話:冷静な殺意、残された狂気 一度覚悟を決めてしまえば楽なものだ。 若きラインハット王・デールは険しい崖を背に、こちらに向かって走ってくる男を見つめる。 死ぬのは別に怖くない。 母の狂気を止められなかった罰、罪なきサンタローズの人々を救えなかった罰として受け入れるつもりだ。 けれども、残されたラインハットの民と、何よりまだ幼いコリンズはどうなる? 自分が死に、ヘンリーやマリアの身にまで何かがあったら……ラインハットは荒れる。 権力を狙う輩はどこにでもいる。そして、手段を選ばない。 必ず、王となったコリンズを操ろうとするものが出てくるだろう。 あるいは追放するなり暗殺するなりして、己が王座に座ろうとするかもしれない。 それだけはさせたくない。叔父として、コリンズには幸せな人生を歩んで欲しい。 また、強欲な人間が政治を握る事態になれば、国民にも不幸をもたらす...
  • 194話
    第194話:狂人に、殺害者に 「おいおい…まずいんじゃないか?」 冷や汗を流しながらバッツが呟く。 「この女、正気じゃないぞ…」 剣を構えた女と睨み合う格好で、ローグ。 淡く輝く、凍てついた刃を持つ剣を構えながら、暗黒の女剣士はゆっくりと歩み寄ってくる。 彼女の身体の傷からは紅い血が絶えず流れだし、息をするたびに吐血している。 そんな状態でもなお鋭さと狂気を失わないその眼光に、2人は蛇に睨まれた蛙の如く一歩も動けないでいた。 「…どうする、バッツ?」 ローグが眼だけを自分に向け、小声で言う。 「どうするっつったって…」 話し合いはどう考えても無理だし、逃げようにもこの女はエクスデスよりしつこく追ってきそうだ。…なら。 「やるっきゃないぜ、ローグ。」 背負ったザックに手をかけ、ライオンハートの柄を見せてローグを見やると、彼も懐に隠してあるフォークを握り締めた。 ...
  • 191話
    第191話:仲間と孤独 「また、新しい奴らがきたな」 バッツが落ち着いた様子で呟く。 これ以上戦況が不利になるようであれば、助太刀も仕方なかったというだけに、この状況の変化は大きい。 今の俺たちの心境としては、正直なるべくよけいなことには関わりたくない。 「なあローグ、さっきの話、本当なのか?」 バッツがふと話しかけてきた。さっきの話とは、なんのことだろう。 「あの、頭のおかしいやつの話だよ」 「ああ、あれか」 思い出したくないものを思い出すのは、気分が悪い。 「そうだな、嘘だったらどんなにいいだろうよ」 苦笑いしているのが、自分にもわかった。 「そいつはどこにいて、どこにむかったんだ?」 「アリアハンの北西にいたことはわかったけれど、どこに向かったかまではみてねえな」 「そうか…それじゃあ、はやくここをでたほうがいいんじゃないか。  そんな血に飢えたヤツが次...
  • 497話
    第497話:Miβgestalt 最初の異変は音、いや振動する大気だった。 次の静寂が恐ろしく感じられるほどの激変。誰もがあまりに突然の事に全身を緊張させ、周囲に注意を配る。 独り、夜空を眺めていたサラマンダーだけがいち早く災厄を見届けていた。 ボロボロの羽根は巨大な身体をやっとのことで支えながら、滑るように目標へ誘う。 第二の異変はその動きがもたらす隠れざる気配であり、さらに地を伝う震動がそれに続く。 だが、捜索という任を帯びて村の各地へと散っていたものの多くはまだ常識外れの存在に想像を馳せるには至らない。 不安を隠さない表情でついさっき西の空低く見た凶兆の方角を眺めていたレナは地面から足へと知覚された震動の方角を正しく捉えてその影を見た。 わずか一度、熱望する跳躍で地に散りばめられた光の中心へと巨体は降り立った。 二度目の咆哮が天を指して放たれ、≪災厄来...
  • 382話
    第382話:ザンデの構想 「……」 バッツは考える。 視線の先、まるでエクスデスを見ているような凶悪な魔力。 間違いなくさっきの爆発音のもとはこいつだ。 できるんなら戦いじゃなくて交渉したいところだけど、向こうはどうだろうか…? 洞窟の出口がこっちにしか無いというのなら待ち伏せってのもありえる話。 敵だとしたら当然次に爆発を体感するのは俺達…か? いや、最初っから疑うのはよくない。良くない、けど… 「………」 ローグは考える。 視線の先、お前はアークマージかだいまどうかってレベル、いやもっと上か? はっきり言って嫌な気配がぷんぷんしやがる。例えるならそう、魔王だな。 交渉できりゃ…いいんだけどよ。 あのツラ、贔屓目に見れないほど悪人面だしなあ。関わり合いにもなりたく無いってヤツ? とは言え俺達には退路は無いワケで…ついてねぇ。 もし、バッツと俺、たっ...
  • 265話
    第265話:ヒトトシテ……ヒトトシテ…… 朝。 レーベの村の入り口で、ある意味死にそうになっている人間が2人いた。 そう、ローグとバッツだ。 「あ~…疲れた……バッツ、お疲れ」 「俺たちの仲間が放送で呼ばれることも無かったし…ラッキーだったな……」 「ああ、そうだな………でも、これは有りだと思うか?」 「……………無しだろ」 やっと辿り着いたというのに、2人の目の前に広がるのは瓦礫くらい。 凄惨な状況だ。まぁ奥はまだマシらしいが。 「火事でも起こったのか?」 「…だと、思うけどな……」 「人もいないみたいだし……もしかして、無駄足?」 「いや、それはねぇだろ………俺の仲間がいた」 「な、本当か!?」 バッツがキョロキョロと辺りを見回す。 そしてローグがある一点を指差して、やっと気づいた。 「おお、本当にラッキーだな!接...
  • 514話
    第514話:クジケヌココロ 「こっちだ、デカブツ!」  わざと注意を引くように声を上げ、ダーツを投げつける。  ダーツの矢は一直線に巨大な的に突き刺さった。  分厚い皮膚の前ではダメージは毛ほども無いだろう。  だが、コチラに注意を引くことはできた。  魔物の瞳に捕えられると同時に、敵に背を向け走り始める。  魔物は地響きを響かせながら、目の前の獲物を逃すまいとその後を追ってくる。  ここまではコチラの思惑通り。  まずは敵を誘導して、戦場をこの場から遠ざける。  宿屋を巻き込まない為、という理由もあるが。  何より、すぐ側で横たわる彼女の体をこれ以上傷つけたくなかった。  敵の間合いギリギリ外、付かず離れずの距離を保ちながら敵を誘導する。  地を揺らしながら進む魔物の動きは、巨体に見合って遅い。  だが、歩幅の大きさがコチラとは違いすぎる。  総じて進む早...
  • 523話
    第523話:カーネイジ(NO FUTURE) 咆哮と稲妻。 それがマッシュとブオーンの開戦の合図。 手負いの獣、そんなありふれた表現がぴたりとはまる相手。 降り注ぐ雷の第一波を覚悟を決めて弾丸のように突き抜け、巨体へと肉迫しながら格闘家の目は冷静に相手のダメージを見定める。 ヤツの左眼は見えていない。全身はあちらこちらが火傷、そうでなければ裂傷、あるいはその両方。 とりわけ右肩には深い傷がある。 重傷を負っている巨体には似つかわしくない反応速度で叩きつけられる右腕を紙一重にすり抜け飛び上がる。 スピードと体重を乗せた拳は遠慮なくモンスターの顎を下から叩いた。 鋼鉄の感触と相反する弾力。 分厚い肉が可能とする防御力に臆することなく続けざまに数発の打撃を打ち込んで地面に降りる。 こんな化け物をよくここまで追い詰めたもんだ、と感心するマッシュの目の前で緩慢に口が開か...
  • 546話
    第546話:惨害の痕で寄り添って 《1》 「ピアスが鳴ったんだが、赤い奴は逃げたしって少し油断してたのかもしれない。  俺は振り返れたと思うんだがな、暗いもんで顔が見えなかったんだ。  だから、本当に振り返れたのかどうかはわからないな。  どっちにしたって、あっというまに腕を捻り上げられて地面に押し付けられたよ。  あれは兵士とか傭兵とか、とにかく軍人のやり方だ。  初めて本物を体験したんだけど、なんていうか、痛いってモンじゃないね。辛い、だな。  こんな痛いなら肩なんて外れてしまえー、あーすいません降伏しますギブギブ、って感じ。  それで『いぃぃぃぃっ!?』みたいな声あげちまってなあ……恥ずかしいのなんの。  確かに、あの状況じゃ俺がエリアを襲った敵だと勘違いされても仕方ないんだが、  一言くらい謝って欲しいもんだぜ。なあ?」 ...
  • 547話
    第547話:紛れ込んだ不純物 みんなの話が終わったのが多分一時間ほど前だから、あの二人はもう一時間近く喧嘩しているのか。 森が燃える音と風の音、そしてサイファーとスコールの殴り合ってる音を聞きながら、僕らは怪我人の治療をしている。 マッシュは魔石の召喚獣のおかげで、命は取り留めているものの、いつ誰が襲ってくるかも分からない。 バッツなど、魔法があまり得意ではないのに白魔道士にジョブチェンジして治療を行っている。 魔法を装備しなくても使えるのが、少し羨ましい。 生き返りの泉、回復の泉が使えれば一瞬だが、伏せておいた。そんな便利な泉を魔女が残すはずがない。 まあ、元々の世界でもリヴァイアサンを倒したことで効力は失われてしまっていたのだが。 道具の数も限りがある。この村にはポイゾナしか売っていなかったし、道具屋の回復薬は昼間にほとんど使ったらしい。 頼れる...
  • 461話
    第461話:ウル ~ある会話の風景~ 「みんなーヘンリーとソロ、連れてきたよー」 「レナ、エリア! 良かった目覚めたんだな……」 「エリアさん、良かった。レナさんも」 「うん、ありがとうソロ。ヘンリーも……ごめんなさい。私どう謝ってもいいのか判らないけど」 「いいさ、俺はこの通りピンピンしてる。エリアも回復した。だから、いいさ」 「はい、私もこうして元気……とはいえないけど、ここで今笑えています。だから気にしないでください」 「ヘンリー、エリア……それレナを追い詰めてる」 「うう……ごめんなさい」 「さて、今ウルにいる全員がここに揃ったわけだな」 「あのヘンリーさん、わたぼうが寝てるんですけど。一応ビビが今様子をみています」 「ん、なんだ疲れがでたのか? まぁそっとしておいてやろう」 「じゃあこれからのことを検討しようぜ、ずっとこの村にいるわけには行かないだろう」...
  • 447話
    第447話:薄闇の村のディナータイム(-3) 真後ろの異変を華麗なジャンプで回避、テーブルの上へ着地する。 目の前には悲鳴を上げる眠ってた子と、目を丸くして固まっているビビ。 からんからんとお鍋のふたが床を転がり、からからからんと倒れる。 わたぼうはついさっきの自己紹介の笑顔のまま、くるりと辺りを見回してもう一度話しかける。 「あはは、ゴメンゴメン。ちょっと失敗しちゃったみたい。  えーーっと……改めておはよう! 僕はわたぼう、よろしくね。君は?」 「あ……ターニアです」 「よろしく、ターニア! それで、僕の作ったスープ……はどうだった?」 「え、えと、とっても個性的な味だったけど、ちょっと…味が強すぎるかな?  あっ、そんなことより! お鍋、片付けないと大変!」 言い終わるより早くターニアは無惨な状態のお鍋の後片付けに取り掛かった。 とりあえずビビに...
  • 487話
    第487話:迷走と覚悟と現実 「…誰です?」 誰何の声が殺気を帯びたその背を引き留める。 サラマンダーはゆっくりとその声に振り返った。 眼前には少年というには逞しく、青年というには幼げな影があった。やけに重そうな華美な盾を肩にかけ、剣は抜き身だが垂れたその切っ先に殺気はない。 「お前は?」 「僕はソロ。誰かを捜しているのですか?」 「捜す…そうだな、誰かを捜しているんだろうな。俺は」 言う唇が歪み、低い嗤いが漏れた。 あからさまに吹き出すその邪気をソロは無言で見つめている。 「この下らない茶番劇、だが俺が今ここにあるのは事実…」 閃光一閃、道の両脇でゆらめく仄明かりを映し、金属の鈍い光がソロの胸元に躍りかかった。 が、既にそこにソロの影はない。跳躍して飛びすさった彼は舌打ちするサラマンダーの面前、4、5歩先で盾と剣を構えている。 「あなたもか!茶番と言いながら魔...
  • 398話
    第398話:Salva me, fons pietatis. ウルの村ではまだ混乱が続いていた。カーバンクルの出現、レナの突然の逃亡。充分過ぎる程の騒動だ。 だが彼らが混乱している現時点での最大の理由は、やはりエリアの重傷だった。 「早く治れ……治れっ!」 ソロは深い傷を負ったエリアの胸に、自分自身の魔力を込めた回復呪文を必死にかけていた。 ピサロもそれを手伝い、ターニアは出来るだけ血を見ないよう宿屋で水や薬の調達をしていた。 そして「自分の事は良い、まずはエリアだ」と頑なに治療の拒否をしていたヘンリーだが、 ビビは彼を何度も何度も説得し、そして何とか彼の手当てをする事は出来た。 「あーあーあー!俺の手はもうこれで良いから!後だ後!後の傷薬は全ッ部エリアにだ!!わかってんな!?」 ヘンリーの怒号にも似た叫びを聞き、ターニアは傷薬を持ってエリアの倒れている場所へ向か...
  • 539話
    第539話:雷鳴が止むとき 【マッシュVSブオーン・前】 「こいつは、骨だな」 ダメージから判断するなら、虫の息。 けれど何か。そう、執念とも言うべき精神力がこの獣の命を繋ぎとめている。 ほとんど身じろぎさえしなくなった肉の塊に連撃を叩き込み、離れる。 ただひたすらにマッシュが繰り返す攻撃も、まるで効を奏しているように見えない。 「……先に俺の拳の方が音を上げそうだ」 いかづち降り止まぬ空を一瞬だけ見上げ、地面を蹴る。 わずかに逃げ遅れ、マッシュの身体を大電流が駆け抜けていく。 「っ!!」 苦痛は歯を食いしばって飲み込み、声に出さない。 バッツはソロを背負って助けを求める誰かのもとへたどり着けただろうか。 救いの手を、届けられただろうか。 俺達は同じ戦場で共通した敵、そう、理不尽な不幸、そしてとんでもない悪意と戦っている。 ...
  • 395話
    第395話:古く青い箱 アルガス、彼は多くの支給品を持つ者である。 役立つ役立たないは関係ない。ただただ多くのアイテムを持つ者。 そんな彼は、またも新しいアイテムを手に入れようとしていた。 事の発端は、不機嫌な彼がある事を思い出したことにある。 彼は自身が2人分の支給品を持っていたのを思い出したのだ。 「よし、開けてみるか」 彼はかなり期待をしながら、袋を開けてみることにした。 そして今に至る。 「では行くぞ……当たり出ろッ!!」 まずは1つめの袋を開けた。すると入っていたのは……。 まずは妙なものだった。どうやって使うのかも判らないものが5つセットで出てきた。 説明書を見ると「マシンガン用の予備弾倉です」と書いてある。 しかしその肝心の"ましんがん"が無い。ならばこれ単体では大外れだ。 だがそのマシンガンとい...
  • 423話
    第423話:魔王の訪問、魔王の出立 ウルは、浮遊大陸を、そこにいる人物を繋いでいる過酷な定めとは無関係に、 静かだった。 10人もの数がその静寂の中で身を休めている。 今その村へとたどり着く、魔王の姿があった。 静かだ。 村の西側の入り口。ザンデはそんな感想を漏らしながら、歩みを止める。 本物の静寂の中、静けさを装う気配の存在に気付いたため。 「見張りか。ファファファ……そこにいるのだろう?出て来たらどうだ」 言いながらゆっくりと抱えていたレナの身体を静かに地面へ下ろす。 返事は素早かった。 「レナッ!?」 物陰から重装備に身を固めた少女が飛び出し、レナの元へと駆け寄る。 「レナ…良かった、気を失ってるだけか」 横たわるレナの生存を確認し、直立不動でそれをじっと凝視しているザンデを見上げる。 「あのさ、レナと…いや、レナは……うー、レナは一体どうしたの...
  • 【猫耳&しっぽアクセ】
    395話 460話
  • 254話
    第254話:宝の持ち腐れ 小鳥のさえずりが聞こえはじめ、夜行性の虫達の鳴き声がやみはじめる。 それと同時に水平線の向こうから一筋の光が伸びてくる。 「ぁ…?」 このステージを出るまで地獄耳の巻物と目薬草の効力は続く。 偵察には便利だが、休むには多少不便。寝ている間中、生き物の「音」が聞こえるし、 朝になれば目を閉じていても光が入ってくる。 「朝か…?正直、あまり眠れなかった…。放送はまだ無いようだが…」 辺りを見回す。東の方の海は明るくなってきているが、西の森にはまだ闇が広がっている、そんなところだろうか。 北に目を向ける。城下町の方角は常に明るく、賑やかだったのだが、今は静寂に包まれている。 戦闘は終わっているのだろう。あそこには色々なアイテムが転がっているに違いない。 …まるでハイエナ。まるで、骸旅団のような、薄汚い盗賊共と同じだが、ここではこの姿...
  • 511話
    第511話:走る風 巡る炎 村北部の森を抜けたところで、2人は少しの間、呆然と立ち尽くしていた。 目前で村を燃やす炎を吐く者のあまりの大きさに圧倒されたのである。 「こ…こんなモンスターも参加してるのか…」 「…バッツさん…まずは宿屋を…」 互いに、元いた世界で同じくらいの大きさの敵も相手にしてきた。 だがこの世界に来てから、モンスターではなく、人間ばかりを相手にしてきた2人にとって、 村で咆哮を上げているブオーンの姿はあまりに非現実的だった。 そもそもこの世界自体が、非現実の元に成り立つものなのだが。 バッツとソロの2人は、村の北の森で行方不明となったヘンリーを探していた。 そこで村の中央部の異変に気づいた。凄まじい地響きが伝わり、モンスターの咆哮が聞こえたのだ。 2人は、宿屋に残っているエリアたちの危機を感じ、村へ戻ることを決めた。 ヘンリー...
  • 452話
    第452話:Tears どこからともなく響いている声の所為で、エリアは深い眠りから現実へと引き戻された。 声は何か短い言葉を感情無く紡いでいく。 『……ンカ』『ギルダー』『はぐ……』 エリアは考える気力が無かった。身体がだるいのも原因かもしれない。 この声の主や、放つ言葉の意味などを考える事はできず、冴えない頭で、つまらない音楽を聞いているかのように毛布の中で耳にしていた。 「レナ……」 バッツは静かに、目が合った相手の名前を呟いた。 「……良かった」 実のところ、レナが目を覚ましたら何をどんな風に言えばいいのかずっと考えていた。 だが考えても考えても良いと思う言葉は見つからず、ようやく訪れたレナの目覚めに、バッツはただ純粋に心から安堵した。 「…………」 レナは何事か言おうとして口を開くが、その唇はすぐに閉じられてしまった。 「起きれるか?まだ寝とくか...
  • 554話
    第554話:騎士達の計略 放送が流れ、そして知った。 仲間として一日を過ごし、そして自分達を見捨て裏切った男の死を。 「……ゼルも、死んだのか」 ふう、と息を吐く。 悲しいという気持ちはあまりなく、むしろざまあみろという笑いを抑えるので精一杯。 じゃあ今のため息は何なんだと言えば、人の死を喜べるようになった自分への驚きと呆れだ。 周囲を見る。 四度目の放送となれば覚悟やら耐性やらがついてしまうのだろうか、泣き出す者は予想より少なく、黙り込む者の方が多かった。 そんな、数少ない泣いている人間――ターニアの傍らに、サイファーの姿があった。 舌を打ちながら、小声で何か囁いている。 もしかしたら慰めているのかもしれないが、遠目で見る限りでは少女を脅しているチンピラそのもの。 見た目と態度で損をするタイプ、という奴だ。 「サイファー! あ...
  • 492話
    第492話:Dual Moon 天に輝くは紅玉のような月。投げかけられるは血の色彩。時はただ尽きるのみ。 ウルの村、その北に外れた場所に位置する建物の前。 木々の向こう、およそ不釣合いに煌々と輝く灯を遠目にサイファーは不釣合いに考え込んでいた。 ヒーローの定義。 弱きを助け、巨悪を挫く。シンプルかつロマンティック、皆に頼られ称えられる存在。 なのに、自分はどうだ。 目前にした殺人も止められず、守るべき存在とも切り離され。 なお自分が選んできた側が正しいのだという絶対の自信はあるがあげられた成果を考えるだけ悔しさと苛立たしさがこみ上げる。 これでヒーローと言えるのか、いやとても。 遠い光を背景にした闇から紅が浮かび上がったのはそんな中であった。 無言で現れた上背ある影は表情の見えない距離をおいて立ち止まる。 武器の類は不所持のようではあるが明らか...
  • 283話
    第283話:敵ではないがお前の態度が気に入らない 「ひでぇな…」 城下町にたどり着いたアルガスは思わず呟いてしまう。 美しかった城も街も瓦礫の山と化し、あちこちに大穴が開いている。 もう戦いが終わって何時間も経っているのだろうが、未だに炎が燻っており、煙が立ち上っている。 彼自身、戦場となって廃墟と化した街を見たこともあるが、それ以上のひどい壊れっぷりだ。 これがたった数人の参加者によって行われたことなのだからゾッとする。 門の近くには放置された2人の死体。浜辺で見た女と、塔の上から見つけた、黒いドレスを纏っていた女だ。 両方とも目が閉じており、並べられていることから、誰かが動かしたのだろう。 近くにアイテムは落ちていないようなので、無視することにした。 ももんじゃのしっぽがある方向を指し示す。 放送で旅の扉が発表されたとき、手で弄んでいたこのアクセサリが突然...
  • 378話
    第378話:ソロという青年は ジェノラ山。 少女と、中年の戦士を背負った老婆――言葉にすれば一見不可解な集団が、山頂目指して歩き続けていた。 「ソロ…殿…」 ウネの背中でライアンが呻く。 「ライアン?大丈夫?」 アリーナが歩きながら心配そうに見つめる。 まだ意識を回復していないライアンだが、先程からしきりにソロの名を呼んでいる。 「まったく…気を失っている時くらい妻とか恋人とかの名を呼ぶものじゃないのかい。 ソロってのは…そんなに大切な仲間かい?」 ウネがやれやれと言った表情でアリーナを見る。 「うん、まぁ、確かにそうだけど…ライアンに恋人がいるなんて聞いた事もないしね」 アリーナは、ライアンの顔を見ながら少し笑顔を見せる。 「…確かに、いる風には見えないけどねぇ」 ウネもそれに合わせて笑う。 「それはそうと、ソロってのはどんな人...
  • 289話
    第289話:哀れな屍を アルガスが井戸に蓋をし、アイテムを探し始めてどれくらいの時間が経っただろうか。 彼はそろそろアイテム探しに飽きと疲労を感じ始めていた。 瓦礫が多い故に一向に見つからないまともなアイテム。 瓦礫の色がる街の中、何の収穫も無いままだった。 だが、そんな彼の前に姿を現したモノがあった。 「おいおい……これも銀髪野郎の仕業か?」 モノ。それは、少年の屍。 生きている間は「レックス」と呼ばれていたモノがそこにある。 不思議と腐ってはいないが、土にまみれ、喉を血で濡らしたその姿が痛々しい。 どこからか吹き飛ばされたのだろうか。 「嫌になるぜ、本当にな」 そう呟くと、彼はそれを蹴り飛ばした。 何の抵抗もしない体は予想以上に吹っ飛ぶ。 ―――と、アルガスはふと何かを思いついた。 彼は旅の扉の事をよく知らない。 一...
  • 486話
    第486話:不愉快な彼は歩き出したばかり こいつは、オレの自信とプライドの問題だ。 自分はもう戦場の人間としてダメになっちまった。 どれだけグロいったって死体にさえビビるなんざもう言い訳できるレベルじゃねえ。どこの女子供だ。 引き裂かれる人の肉、流れ出る人の血液、そういう光景が神経に焼きついちまってる。 想像するだけで………人になんか剣は振るえないだろうな。 だいたいそんな状態じゃ遅れをとるのがオチだ。 「おいイザ、お前テリーとか言うヤツを探していたな?」 真っ暗とはいえ記憶に新しい街路を抜け、あいつらの隠れ家へと飛び込む。同時に言葉を吐く。 聞こえたはずの三人は突然のこと、突然の訪問に短い音で聞き返すしか出来ない。 「テリーだ。仲間にそういう名前の奴がいると言ってたろ?」 「あ、ああ、そうだよ、アルガス。いきなり何だい?」 彼の善人振りを示すように問い...
  • 339話
    第339話:人と焦りと不愉快と カイン達4人が森を進んでいた。静かに、ただ静かに進んでいた。 そして、セージとタバサが何度目かの地図のチェックをしている時に、カインは気づかれぬようにスミスに話しかけた。 「とりあえずお前の気持ちは汲み取ってやる…隙あらば殺してやる」 (ああ、本当に頼むよ。うざったくて堪らない) 「……だが、それはもう少し待ってくれないか?」 (…………はい?なんでだよ、言ってる事が違うじゃないか!) 念を送り、返事をするスミス。だがそれは納得のいっていない返事だ。 当然だ。早く殺して欲しいのにそれを待てという。どういう事か。 (どういう事?まさかしばらく利用する為に猶予を与えるとか?) 「それもある…だが、俺たちはこの世界をまだ良く知らない。城に到着してここの事をよく調べてからでも良いだろう」 (成程…迂闊過ぎるのは危険だしね。でも城に着いた...
  • 404話
    第404話:夢の中へ 「ウネさん、向こうに誰かいるみたい」 「ほう、こんなところで先客かい?読み違えたねぇ」 地獄耳の巻物が切れた聴覚はもどかしいほどに不便だ。 アリアハンではかなり離れた位置の音だって拾うことができたというのに、 今はちょっと向こうで何か会話しているのも聞き取ることができない。 さっき確認した相手の姿は婆さんに女、それに背負われているオッサン。 はっきりと断定できないことが苛立たしいが、こいつらはおそらく殺人者ではない。 それは、まず第一に足手まといになる怪我人を連れている。甘い奴等ってことだ。 そういう発想を誘う偽装ってこともありえるが、こんな僻地でやることじゃない。 次に怪我人以外の数が二人ってこと。 人間てのは怖いもんで、死体なんかに執着する奴もいる。 だが、そういう変態連中はもともと数はいないし、そうは徒党を組まないものだ。 以上...
  • 460話
    第460話:疑心暗鬼は猫と関係ない 沈滞していた屋内へと流れ込んでくるさっきまでとは質の違う空気を肌で感知する。 それから、物音、加えて複数人による声の応酬が鼓膜を叩いて、 床に身を横たえたままのギルガメッシュは薄く瞼を押し開ける。 暗く荒涼とした街路に人の姿は見えない。 だからアルガスは立ち並ぶ建物を探索することを主張し、ライアンはそれに追従する。 持ち主のいない、故に施錠も何もない扉を極めて注意を払いながら押し開け、 レイピアを構えるライアンを前に、用心深く暗がりを注視するアルガスを後ろにして忍び込む。 「次は…マジックアイテムの店か? 今度こそ使えるものの一つもありゃあいいがな。いくぞ」 丁寧な行動も三軒ほど空振りに終わり心中に苛立ちが波立つアルガスだが表情には出さないように努める。 それを察してか扉を指す仕草に無言でうなずいて静かに扉に張り...
  • 473話
    第473話:人を殺したりするのはいけないことです 焼けるようなのどの奥の痛みに苦しみながら、何とかぎりぎりでそれを胃の腑へと送り返すことに成功する。 この程度の光景など戦場では当たり前のことじゃねえか? 畜生! 割と凄惨なものが残されているとはいえ新兵のような反応を見せる自分に心中で悪態もとい活を入れる。 命のやり取りの事実を雄弁に語る血の香りが鼻を刺激する。 どうしてそうなったのか考えるまでもない回復の光とそれに包まれた女が見える。 傍目にももう生きていないことが明白な身体が見える。 ライアンがそれに近づいたため光が当たり、形の歪んだ頭の無残な姿が目に入った。 分かった。知りたくもない事であったが、いま分かった。 オレはあの時、灯台で死んでいたらしい。 さんざアマちゃんを馬鹿にしていたが歩く死人予備軍だったのは自分も同じだったってワケだ。 湧...
  • 544話
    第544話:魔王と助手 ザンデは決断した。 どうやらアリーナの捜索から手を引かざるを得ない、と。 カナーンの町。 夢で見たなどという曖昧な情報を手がかりにここまでやってきたのは、 マティウスの協力を得るため彼の目的に同行する必要を認めたためであり、 またザンデ自身メモに記されていた魔力が無いというアリーナの首輪に興味を抱いたからだ。 しかし。 目的地カナーンはこの世界のほかの場所と同じように無活力に静まり返っていて、 それでいて起こった火災の赤い光が暗闇を彩っていた。 話に聞くに、アリーナとやらは相当なトラブルメーカー、 本当に彼女がここにいたのならば何がことが起きていても何もおかしくは無い。 故にこそ、一行はカナーンの町へ躍り入ると時間を惜しんで彼女の捜索を開始した。 結果だけを言うと、 少なくはない時間が費やされたというのに...
  • 414話
    第414話:夢世界より、悲愴とともに 山の上の平和な村、ライフコッド。 今日は一年に一度の村のお祭り。 今年は私が神の使いの役をやるの。 精霊のかんむりをかぶって、きれいな衣装で着飾って…… そばにはお兄ちゃんがいて、向こうにランドがいて。 お兄ちゃんの仲間のハッサンさんやミレーユさん、バーバラさんにテリーさん、 みんなお祭りを見に来てくれてる。 もうすぐ私の出番、神の使いの行進が始まる――― 夢を、平和な日々の夢を、見ていた。 「ねぇ、アルガス」 「あっおい、ちょっと待て、来るな!」 「?…ああ、アイテムの整理やってたの?随分たくさんあるのね」 こういうことはよくトルネコがやっていたっけ。既に名前を呼ばれた仲間のことを思い出すが、 気を取り直して広げられたアイテムの一つに手をのばした。 「おいおまえ、人のアイテムに勝手に触るんじゃねぇ!」 ...
  • 430話
    第430話:黄昏に見る夢 「……ああーーっ、そーーだっ!!」 「ーーーっ、何だよリュック、大声出して」 「ごめんごめん。あー、ピサロさんもロックももう行っちゃったよね…  みんなに伝えなきゃいけないことがあったんだけどなぁ」 「大事なことならいまさら思い出すなよな」 「だって色々あって大変だったじゃない。みんな疲れて休んでたしさ」 「それで、大事なことって、なんですか?」 「ああ、えーとね、アリーナって子の伝言を預かってるんだ。  ソロとピサロと、その他の彼女の仲間宛に」 午後も半ばを過ぎたウルの村。 ピサロ達を見送った後、突然叫んだリュックの言葉を聞いてソロは驚愕した。 「アリーナ? アリーナと会ったんですか!? 何処で? 何時?  何故もっと早く言わないんですか!?」 「おい、落ち着けソロ」 「待って、話す、話すから! 全部! だから揺らさないでぇ!」 ...
  • 43話
    第43話:ピクニック 陽光が木の葉の間をすりぬける。 暖かい風が、肩をやさしく撫でながら通り過ぎていく。 そんな静かな森の中で輪を描くように座った自分と、四人の男女。 その中心に、かなり大き目のピクニック用バスケットが置かれている。 皆、好き勝手に籠の中のサンドイッチをつまみ、コーヒーを飲み、うさぎリンゴを齧り…… (なんなんだ、この雰囲気は? 俺たちは殺し合いの会場にいるんだぞ? いくらなんでも、これはおかしいんじゃないか?) 「これ、結構うまいな。もう一つもらうぜ」 金髪を短く刈り込んだ、いかにも格闘家風の男がカツサンドを口一杯にほおばる。 「よくそんなに食べれるわね。私、もうお腹一杯だわ」 頭巾をかぶった少女が、そう言ってコーヒーをすすった。 (……こんなのんきにピクニックやってる場合じゃないだろ。  既に人が一人死んで、首を吹き飛ば...
  • 530話
    第530話:心を覗いたものは手痛い反撃を受ける カインはいない。ライアンもいない。ウネもいない。 ほんの少し前まで、カナーンでは剣音が響いていた。誰かが戦っていたのは明らか。 だが、勝者どころか、死体すら残されていない。どこへ行ったのか? 目薬草が切れた視覚はもどかしいほど不便だ。 アリアハンではかなり離れた場所だって見ることができたというのに、 今はちょっと向こうがどうなっているのかすら認識できない。 皆は遠くで戦っているのか。 耳を済ませても風の音が聞こえるだけ。目を凝らしても深い闇が広がるだけ。 光が何か関係しているとは考えるのだが、その方向には最初に飛ばされてきた険しい山があり、行くのはさすがに面倒。 結局、何がどうなっているのかはさっぱり理解できない。 彼はただ一人、無防備な状態だ。 思えば、アリアハンでは地獄耳の巻物と目薬草があることで、...
  • 256話
    第256話:呪われし者たち それは夜明けの絶望の声が響く前に起こった出来事だった。 「失敗しちゃったなぁ…まさかメガザル唱えられるとはねー。  ホント、しぶといったら」 「彼女を侮辱するな」 ハッサンは涙を流しながら憤怒の表情でゆっくりと少女へ近づいていく。 「何故、殺した。あんたはミネアさんの仲間じゃなかったのか!」 「仲間だったよ。でもあたしが勝利するのに邪魔だから。  少しでも役に立つようだったら生かしておいたんだけどねー」 あっけらかんと答える少女にハッサンの顔はさらに険しくなる。 「一応、聞いておくけどおじさん逃げないの?  さっきやりあって勝てないのわかったと思うけど」 『逃がすつもりなんかないけどね』 胸中でそう呟いて戦闘体勢をとる。 「勝てるさ。今ならな」 そう言ってハッサンの筋肉が膨れ上がっていく。 視界を遮る涙を拭った時、瞬時に間...
  • 448話
    第448話:二人の懲罰者 「…で二十…七、か。明るいってのに随分派手に間引かれたな」  読み上げられたすべての名前の変化を確認し、名簿をザックへ放り込む。  聞いたことのある名前はいくつかあったが内容は自分には関係ない。ラムザの奴もまだ生きているようだ。  仲間でも死んだのか姫様がソロだシンシアだとやかましい。  年長二人はそいつをなだめるのが大変そうだ。  ライアンと婆さんはまあ分かってるって感じだがお姫様は今までもこんな調子だったのか?  それで自分がやったことが間接的な人殺しだけってんだから救い難いバカだ。もっとも同レベルの偽善者さんもたくさんいそうだが。  大体婆さんにしたって探してると言っていたドーガとやらは死んじまったし、本当に脱出できるのかねぇ。  バカと甘ちゃんの役立たずばかり残ったって何もできやしないぞ。  しかし、27人も減ればず...
  • 338話
    第338話:負の思考 しまった、と思ったときにはもう遅かった。 肉体は光に飲まれ、青い異次元空間に引きずり込まれた。 ここで自分がいなくなってしまったらどうなる? 戦いの場に残るのは丸腰の女性と負傷した男、それだけでピンピンしたあの切れ者の魔物を出し抜くのは困難極まりない。 だからこそ、何としてでも相手を黙らせるべきだった、あの魔物とあの二人という状況だけは絶対作らせてはいけなかった。 だが、自分は敵の罠にはまり、戦いの場から追放されてしまった。 いくら戻ろうともがいても、青い空と砂の衣は自分から遠ざかるだけ。 そして世界がぶれたかと思うと、自分は建物の中に立っていた。 急いで辺りを見回す。 もしかすると、まだ戻れるかもしれないからだ。 だが、周りの空間自体には何ら違和感はない。もう戻れない。もがいてもどうにもならない。 続いて、壁を背に、辺りを警戒す...
  • 498話
    第498話:夜に見る光 自分の負の感情のままに作り出した不安定な状況は、しかし次の展開へとは至らない。 そんなただ徒に潰すしかない時間を前に、暴言へのたしなめと仲間の弁護を始めたライアン。 やれ「今は一致団結して苦難に当たるべき。不和を招くような発言はできるだけ避けたほうが賢明です」だの 「アリーナ殿にも何か止むに止まれぬ事情があるのでしょうぞ、理由なく力を振るう方ではない」だの 「戦う力を持つものが傷ついたもの、戦えぬものを守るのは当然のことですぞ」だの。 思ったとおりの仲間擁護に古臭い本にでも出てきそうな精神教条、そんなライアンを疎ましく思い、 感情的に衝突したアルガスは彼の制止も聞かず一人、カナーンの街を歩く。 脱出と勝利を両天秤にかけたアルガスの思惑はどこか中途半端のまま。 理由は自分でもわかっている。 どちらに乗るにしても、賭けるに足るだけの条件はまっ...
  • 510話
    第510話:人を騙したりするのはいけないことです 「さて、この町にいる4人の参加者を仕留めるということだが、誰から始末するのだ?  俺はライアンとアリーナについては多少は知っているが、他の二人はまったく知らん。  これから戦う相手の情報くらいは知っていても損はないだろう」 「…確かに、その通りだな。  ウネの婆さんは主に風の魔法を使うと言っていたな。  あと、夢の中で呼べば連絡を取ることができるとか言ってたぜ。  まあ、こっちは眉唾もんだが」 「風の魔法に通信の能力か…」 風の魔法は攻撃だけでなく防御にも使える。実に厄介なものだ。 回復が望めないこの状況で、ミールストームなどを使われたらたまったものではない。 少なくともバルバリシア程度の実力があると見積もっておくべきか。 通信能力のほうはよく分からない。夢で通信など可能なものなのか? こっちは保留だ。 「続けて...
  • 518話
    第518話:煙が出たなら火種が散らばる 「貴様のような悪人を生かしておくわけにはいかんでござる!」 ライアンが怒りを込めた一撃を繰り出す。 「ほう? 俺はただ、生きるために必要なことをしているだけだが?」 カインは槍で軽くさばき、お返しにとばかりに神速の突きを繰り出す。 「己のために、他人を犠牲にするようなことが許されるはずがないでござるよ!」 ライアンは足を後ろに一歩下げてかわし、そのまま一回転してカインを横に薙ぎ払う。 「今朝の裏切りのことか? あれは騙されるほうが悪いのだろうが」 カインは上に飛び上がり、剣閃の範囲内から逃れると同時に、槍を下に構えてそのままライアン目掛けて飛び降りる。 「貴様……!!」 ライアンが横に飛んで攻撃をかわすが、カインはそこは予想済み。着地したと同時に槍で連続して突きを繰り出す。 世界によってはさみだれ突きを...
  • @wiki全体から「【うさぎのしっぽ】」で調べる

更新順にページ一覧表示 | 作成順にページ一覧表示 | ページ名順にページ一覧表示 | wiki内検索

ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。